JP4474710B2 - 空気調和装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷媒回路で冷媒を循環させる空気調和装置に関し、特に、蒸発器における水蒸気の凝縮や蒸発器への着霜を回避するためのものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、圧縮機、室外熱交換器、膨張弁及び室内熱交換器が設けられた冷媒回路で冷媒を循環させ、室内の空調を行う空気調和装置が知られている。
【0003】
この空気調和装置において、冷房運転を行う場合、室内熱交換器を蒸発器とし且つ室外熱交換器を凝縮器として蒸気圧縮式冷凍サイクルを行う。室内熱交換器では、室内空気が冷媒に対して放熱し、その温度が低下する。そして、冷却された室内空気を室内へ送り、冷房を行う。また、室外熱交換器では、冷媒が室外空気に対して放熱し、凝縮する。
【0004】
一方、暖房運転を行う場合、室内熱交換器を凝縮器とし且つ室外熱交換器を蒸発器としてヒートポンプサイクルを行う。室内熱交換器では、室内空気が冷媒から吸熱し、その温度が上昇する。そして、加熱された室内空気を室内へ送り、暖房を行う。また、室外熱交換器では、冷媒が室外空気から吸熱し、蒸発する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、蒸発器において冷媒と熱交換する室内外の空気は、湿り空気である。即ち、当該空気には、水蒸気が含まれている。そして、一般に、蒸発器において空気が冷媒に対して放熱すると、空気の温度が当該空気の露点温度よりも低下する。
【0006】
従って、冷房運転時の室内熱交換器では、室内空気中の水蒸気が凝縮してドレン水が生成する。このため、このドレン水を室外に排出するための構成が必要となり、構成の複雑化を招いていた。また、ドレン水が冷却された空気と共に室内に吹き出される、いわゆる“水飛び”現象が生じる場合があり、この場合には在室者の快適性を損なうおそれがあった。
【0007】
また、暖房運転時の室外熱交換器では、外気温等の運転条件によって、室外空気中の水蒸気が凝縮し、更に凝固して室外熱交換器に付着する、いわゆる着霜現象が生じる。室外熱交換器に霜(氷)が付着すると、室外熱交換器における冷媒と室内熱交換器の熱交換が妨げられる。このため、着霜が生じると逆サイクルデフロスト等の手段を講じて霜を融かさなければならず、その間は暖房運転が中断されることから、暖房能力の低下を招くという問題があった。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気調和装置の蒸発器における水蒸気の凝縮や凝固を防止し、上記の弊害を回避することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明が講じた第1の解決手段は、圧縮機(21)と、凝縮器と、膨張機構(24)と、蒸発器とが設けられ且つ冷媒が循環する冷媒回路(20)を備えた空気調和装置を対象としている。そして、上記蒸発器は、第1空気との熱交換によって冷媒を蒸発させるように構成される一方、上記蒸発器へ送られる第1空気を水蒸気透過膜の一方の表面と接触させ、該水蒸気透過膜の両側における水蒸気圧の差により第1空気中の水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第1空気から分離されるように構成された減湿部と、上記減湿部で分離された水蒸気を第2空気に対して放出するために、該減湿部から吸引した水蒸気を所定圧力にまで昇圧させる昇圧手段(34,39)とを備えるものである。
【0010】
また、上記第1の解決手段は、上記の構成に加えて、昇圧手段(34)は、吸引した水蒸気を第2空気の水蒸気圧よりも高い圧力にまで昇圧するように構成される一方、昇圧手段(34)で昇圧された水蒸気を水蒸気透過膜の一方の表面と接触させ、且つ第2空気を該水蒸気透過膜の他方の表面と接触させて、上記水蒸気透過膜の両側における水蒸気圧の差により水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第2空気に放出されるように構成された放湿部を備えるものである。
【0011】
本発明が講じた第2の解決手段は、上記第1の解決手段において、放湿部は、水蒸気透過膜により区画されて上記昇圧手段(34)で昇圧された水蒸気が導入される高圧空間を備え、上記水蒸気透過膜における高圧空間と反対側の表面を第2空気と接触させるものである。
【0012】
本発明が講じた第3の解決手段は、上記第1の解決手段において、減湿部は、水蒸気透過膜により区画されて第1空気の水蒸気圧未満に減圧される低圧空間を備え、上記水蒸気透過膜における低圧空間と反対側の表面を第1空気と接触させるものである。
【0013】
本発明が講じた第4の解決手段は、上記第3の解決手段において、蒸発器は、内部を冷媒が流れる伝熱管(51)と、該伝熱管(51)の外側面に接合されたフィン(52)とを備える一方、減湿部は、水蒸気透湿膜をチューブ状に形成して内部が低圧空間に構成されたチューブ部材(40)を備え、上記チューブ部材(40)は、上記蒸発器における伝熱管(51)の前面側に位置し且つ該伝熱管(51)に沿って設けられるものである。
【0014】
本発明が講じた第5の解決手段は、上記第1の解決手段において、蒸発器が室外空気との熱交換を行う室外熱交換器(23)により構成され、且つ凝縮器が室内空気との熱交換を行う室内熱交換器(25)により構成されて、室内の暖房運転を行う一方、暖房運転時には、第2空気を室内空気とし、放湿部において室内空気の加湿を行うものである。
【0015】
本発明が講じた第6の解決手段は、圧縮機(21)、室外熱交換器(23)、膨張機構(24)及び室内熱交換器(25)が設けられ且つ冷媒が循環する冷媒回路(20)を備え、室内熱交換器(25)を蒸発器とし且つ室外熱交換器(23)を凝縮器として冷凍サイクルを行う冷房運転と、室内熱交換器(25)を凝縮器とし且つ室外熱交換器(23)を蒸発器としてヒートポンプサイクルを行う暖房運転とを切り換えて行う空気調和装置を前提としている。そして、水蒸気透過膜により区画された第1閉空間(32)を備え、室内熱交換器(25)へ送られる室内空気を該水蒸気透過膜における第1閉空間(32)と反対側の表面と接触させる第1水蒸気移動部(31)と、水蒸気透過膜により区画された第2閉空間(37)を備え、室外熱交換器(23)へ送られる室外空気を該水蒸気透過膜における第2閉空間(37)と反対側の表面と接触させる第2水蒸気移動部(36)と、吸引した水蒸気を所定圧力にまで昇圧させて送り出す昇圧手段(34)とを備えるものであって、冷房運転時には、第1水蒸気移動部(31)の第1閉空間(32)を減圧して室内空気から水蒸気を分離し、第1閉空間(32)の水蒸気を昇圧手段(34)により昇圧して第2閉空間(37)へ導入すると共に、第2水蒸気移動部(36)において第2閉空間(37)の水蒸気を室外空気へ放出して、室内空気を減湿する減湿動作を行う一方、暖房運転時には、第2水蒸気移動部(36)の第2閉空間(37)を減圧して室外空気から水蒸気を分離し、第2閉空間(37)の水蒸気を昇圧手段(34)により昇圧して第1閉空間(32)へ導入すると共に、第1水蒸気移動部(31)において第1閉空間(32)の水蒸気を室内空気へ放出して、室内空気を加湿する加湿動作を行うものである。
【0016】
−作用−
上記第1の解決手段では、冷媒回路(20)において冷媒が相変化しつつ循環し、圧縮、凝縮、膨張、蒸発の各過程を順に繰り返すサイクルを行う。例えば、冷房を行う場合には、上記サイクルが冷凍サイクルとなる。そして、蒸発器における冷媒の吸熱によって、第1空気である室内空気が冷却される。一方、暖房を行う場合には、上記サイクルがヒートポンプサイクルとなる。そして、凝縮器における冷媒の放熱によって、室内空気が加熱される。この暖房時には、蒸発器において、第1空気である室外空気から冷媒が吸熱する。
【0017】
第1空気は、減湿部を通った後に蒸発器へ送られる。減湿部において、第1空気は水蒸気透過膜の一方の表面と接触する。また、減湿部における水蒸気透過膜の両側には、水蒸気圧差が形成されている。この水蒸気圧差を駆動力として、第1空気に含まれる水蒸気が水蒸気透過膜を透過する。これによって、第1空気から水蒸気が分離され、第1空気が減湿される。そして、減湿部において減湿された第1空気が蒸発器に送られる。
【0018】
減湿部において第1空気から分離された水蒸気は、昇圧手段(34,39)へ吸引される。この時点で、水蒸気の圧力は、第1空気の水蒸気圧よりも低い値となっている。その後、昇圧手段(34,39)は、吸引した水蒸気を圧縮して所定圧力にまで昇圧する。昇圧手段(34,39)で所定圧力とされた水蒸気は、直接に又は何らかの手段を介して第2空気に放出される。
【0019】
蒸発器では、冷媒が第1空気から吸熱して蒸発する。即ち、第1空気は冷媒に対して放熱することから、第1空気の温度が低下する。一方、上述のように、蒸発器へ送られる第1空気は、減湿部で減湿されており、その露点温度が低下している。従って、第1空気の温度が減湿後における第1空気の露点温度を下回らない限り、蒸発器における結露は生じない。
【0020】
また、上記第1の解決手段では、昇圧手段(34)が吸引した水蒸気を圧縮し、この水蒸気を第2空気の水蒸気圧よりも高い圧力にまで昇圧する。昇圧手段(34)によって昇圧された水蒸気は、放湿部を通じて第2空気へ放出される。具体的に、放湿部では、昇圧後の水蒸気が水蒸気透過膜の一方の表面と接触する。また、水蒸気透過膜の他方の表面は、第2空気と接触する。昇圧後における水蒸気の圧力が第2空気の水蒸気圧よりも高ければ、水蒸気透過膜の両側において水蒸気圧差が形成される。この水蒸気圧差を駆動力として、昇圧後の水蒸気が水蒸気透過膜を透過する。これによって、水蒸気が第2空気に対して放出される。
【0021】
上記第2の解決手段では、放湿部に高圧空間が形成される。この高圧空間は、水蒸気透過膜によって区画されている。ただし、高圧空間は、水蒸気透過膜のみによって区画形成されている必要はない。従って、例えば、高圧空間を区画する壁の一部が水蒸気透過膜で構成されるようなものであってもよい。
【0022】
昇圧手段(34)において昇圧された水蒸気は、放湿部の高圧空間へ導入されて、水蒸気透過膜の一方の表面と接触する。また、水蒸気透過膜の他方の表面は、第2空気と接触する。従って、水蒸気透過膜の両側には水蒸気圧差が形成され、高圧空間の水蒸気が水蒸気透過膜を透過する。そして、水蒸気が第2空気に対して放出される。
【0023】
上記第3の解決手段では、減湿部に低圧空間が設けられる。この低圧空間は、水蒸気透過膜によって区画されている。ただし、低圧空間は、水蒸気透過膜のみによって区画形成されている必要はない。従って、例えば、低圧空間を区画する壁の一部が水蒸気透過膜で構成されるようなものであってもよい。
【0024】
低圧空間は、第1空気の水蒸気圧よりも低い圧力に維持されている。一方、水蒸気透過膜における低圧空間と反対側の表面には、第1空気が接触する。即ち、水蒸気透過膜を挟んで、一方には第1空気が存在し、他方には第1空気の水蒸気圧未満に維持された低圧空間が形成されている。従って、水蒸気透過膜の両側では、水蒸気圧差が形成される。そして、第1空気に含まれる水蒸気は、水蒸気透過膜を透過して低圧空間へと移動する。
【0025】
上記第4の解決手段では、蒸発器に伝熱管(51)及びフィン(52)が設けられる。また、減湿部には、チューブ部材(40)が設けられる。このチューブ部材(40)は、水蒸気透過膜をチューブ状に形成したものである。更に、チューブ部材(40)の内部は、低圧空間に構成されて第1空気の水蒸気圧未満に維持される。
【0026】
チューブ部材(40)は、蒸発器の前面側に配置される。即ち、チューブ部材(40)は、蒸発器における空気の流れ方向の上流側に設けられる。また、チューブ部材(40)は、蒸発器の伝熱管(51)に沿って、該伝熱管(51)とほぼ並行に設けられる。そして、蒸発器に送られる第1空気は、蒸発器の前面側に設けられたチューブ部材(40)と接触した後に、蒸発器に導入される。
【0027】
上記第5の解決手段では、暖房運転時において、冷媒回路(20)で冷媒が循環してヒートポンプサイクルを行う。その際、冷媒は、室外熱交換器(23)で室外空気から吸熱して蒸発し、室内熱交換器(25)で室内空気へ放熱して凝縮する。つまり、室外熱交換器(23)が蒸発器となり、室内熱交換器(25)が凝縮器となる。
【0028】
また、暖房運転時には、放湿部において水蒸気透過膜と接触する第2空気が、室内空気とされる。放湿部には、減湿部で第1空気から分離され、更に昇圧手段(34)で昇圧された水蒸気が導入されている。そして、放湿部では、昇圧後の水蒸気が水蒸気透過膜を透過し、第2空気である室内空気に放出される。つまり、減湿部で第1空気から分離された水蒸気を利用して、放湿部で室内空気の加湿が行われる。
【0029】
上記第6の解決手段では、冷媒回路(20)において冷媒が相変化しつつ循環し、圧縮、凝縮、膨張、蒸発の各過程を順に繰り返すサイクルを行う。冷房運転時には、室内熱交換器(25)で冷媒が室内空気から吸熱して蒸発し、室外熱交換器(23)で冷媒が室外空気に放熱して凝縮する。そして、室内熱交換器(25)における冷媒の吸熱を利用する冷凍サイクルを行い、室内空気を冷却する。暖房運転時には、室内熱交換器(25)で冷媒が室内空気に放熱して凝縮し、室外熱交換器(23)で冷媒が室外空気から吸熱して蒸発する。そして、室内熱交換器(25)における冷媒の放熱を利用するヒートポンプサイクルを行い、室内空気を加熱する。
【0030】
室内熱交換器(25)における空気の流れの上流側には、第1水蒸気移動部(31)が設けられる。第1水蒸気移動部(31)には、第1閉空間(32)が水蒸気透過膜により仕切られて形成される。この水蒸気透過膜における第1閉空間(32)の反対側は、室内空気と接触する。つまり、室内空気は、第1水蒸気移動部(31)で水蒸気透過膜と接触してから、室内熱交換器(25)へ送られる。
【0031】
また、室外熱交換器(23)における空気の流れの上流側には、第2水蒸気移動部(36)が設けられる。第1水蒸気移動部(31)には、第2閉空間(37)が水蒸気透過膜により仕切られて形成される。この水蒸気透過膜における第2閉空間(37)の反対側は、室外空気と接触する。つまり、室外空気は、第2水蒸気移動部(36)で水蒸気透過膜と接触してから、室外熱交換器(23)へ送られる。
【0032】
冷房運転時には、第1水蒸気移動部(31)において、室内空気に含まれる水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第1閉空間(32)へ移動する。これによって室内空気から水蒸気が分離され、室内空気が減湿される。減湿された室内空気は、その後に室内熱交換器(25)へ送られる。室内空気から分離された水蒸気は、第1閉空間(32)から昇圧手段(34)に吸引され、昇圧後に第2閉空間(37)へ送られる。第2水蒸気移動部(36)では、第2閉空間(37)の水蒸気が水蒸気透過膜を透過し、室外空気へと放出される。
【0033】
暖房運転時には、第2水蒸気移動部(36)において、室外空気に含まれる水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第2閉空間(37)へ移動する。これによって室外空気から水蒸気が分離され、室外空気が減湿される。減湿された室外空気は、その後に室外熱交換器(23)へ送られる。室外空気から分離された水蒸気は、第2閉空間(37)から昇圧手段(34)に吸引され、昇圧後に第1閉空間(32)へ送られる。第1水蒸気移動部(31)では、第1閉空間(32)の水蒸気が水蒸気透過膜を透過し、室内空気へと放出される。これによって、室内空気が加湿される。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、空気との熱交換を行う蒸発器に対して、減湿されて露点温度が低下した空気を供給することができる。従って、蒸発器における熱交換で空気の温度が低下した際にも、当該空気は予め露点温度の低減が図られていることから、空気の温度を露点温度以上に維持することが可能となる。このため、冷媒が空気から吸熱する蒸発器において、空気の温度低下に起因する水蒸気の凝縮を防止できる。
【0035】
これによって、冷房運転時であれば、蒸発器におけるドレン水の発生を皆無とすることが可能となり、ドレン水を処理するための構成を省略して簡素化を図ることができる。また、上述の“水飛び”等の問題を確実に回避することができ、在室者の快適性を損なうことなく、確実に冷房を行うことができる。
【0036】
一方、暖房運転時であれば、蒸発器における着霜を皆無とすることができ、デフロスト運転を不要とすることができる。つまり、ヒートポンプサイクル動作の中断を伴うデフロスト運転を行う必要がなくなり、継続して室内空気の加熱を行うことができる。従って、暖房能力を十分に発揮させることができ、暖房を確実に行うことができる。
【0037】
また、本発明では、水蒸気透過膜を有する放湿部へ昇圧後の水蒸気を導入し、水蒸気透過膜の両側における水蒸気圧差によって水蒸気が水蒸気透過膜を透過し、第2空気へ放出されるようにしている。このため、昇圧手段(34)における水蒸気の昇圧幅を最小限に留めることができ、昇圧に要するエネルギの削減を図ることができる。以下、この点について説明する。尚、以下に示す数値は、全て例示である。
【0038】
つまり、減湿部で第1空気から分離された水蒸気は、第1空気の水蒸気圧(約2kPa)よりも低い圧力(約1kPa)となっている。そして、分離された低圧の水蒸気を直接第2空気へ放出しようとすると、昇圧手段(34)において、低圧(約1kPa)の水蒸気を大気圧(約100kPa)にまで昇圧する必要がある。
【0039】
これに対し、本発明のように水蒸気透過膜を利用する場合であれば、昇圧手段(34)において、低圧(約1kPa)の水蒸気を、第2空気の水蒸気圧(約2kPa)よりも高い圧力(約3kPa)にまで昇圧すれば充分である。昇圧後における水蒸気の圧力が第2空気の水蒸気圧よりも高ければ、放湿部の水蒸気透過膜の両側において水蒸気圧差が形成され、水蒸気が水蒸気透過膜を透過するからである。このため、本発明によれば、昇圧手段(34)による水蒸気の昇圧幅を最小限とし、第1空気の減湿に要するエネルギを最小限に抑制できる。
【0040】
また、上記第5の解決手段によれば、暖房運転時において、蒸発器に送られる第1空気から分離した水蒸気を利用して、室内空気の加湿を行うことができる。このため、蒸発器の着霜が防止されてデフロスト運転が不要となることによる暖房能力の増大と相まって、室内の加湿により在室者の快適性を一層向上させることが可能となる。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0042】
《発明の実施形態1》
図1に示すように、本実施形態1に係る空気調和装置(10)には、冷媒回路(20)と水蒸気回路(30)とが設けられている。
【0043】
上記冷媒回路(20)は、冷媒圧縮機(21)と、冷媒側四路切換弁(22)と、室外熱交換器(23)と、膨張機構である膨張弁(24)と、室内熱交換器(25)とを順に配管接続して構成されている。この冷媒回路(20)には冷媒が充填されており、この冷媒が冷媒回路(20)内を相変化しつつ循環する。また、冷媒回路(20)では、冷媒側四路切換弁(22)を操作することによって、冷媒の循環方向が反転可能とされている。
【0044】
上記室内熱交換器(25)及び室外熱交換器(23)は、いわゆるクロスフィン型の熱交換器に構成されている。具体的に、両熱交換器は、平板状のアルミ製のフィン(52)と、銅製の伝熱管(51)とを備えている。上記フィン(52)は多数設けられ、所定のフィンピッチで配置されている。一方、伝熱管(51)は、各フィン(52)を貫通するように設けられ、その外側面がフィン(52)と接触している。そして、各フィン(52)の間を空気が流れ、伝熱管(51)内を流れる冷媒と熱交換を行う。
【0045】
上記空気調和装置(10)には、室内ファン(15)及び室外ファンが設けられている。尚、図1では、室内ファン(15)及び室外ファンの図示を省略している。室内ファン(15)は、室内熱交換器(25)に対応して設けられており、室内熱交換器(25)へ室内空気を送る。一方、室外ファンは、室外熱交換器(23)に対応して設けられており、室外熱交換器(23)へ室外空気を送る。
【0046】
上記水蒸気回路(30)には、第1水蒸気移動部(31)と、第2水蒸気移動部(36)と、水蒸気側四路切換弁(33)と、昇圧手段である水蒸気圧縮機(34)とが設けられている。第1水蒸気移動部(31)は、水蒸気側四路切換弁(33)の第1のポートに接続されている。第2水蒸気移動部(36)は、水蒸気側四路切換弁(33)の第2のポートに接続されている。水蒸気圧縮機(34)は、吸入側が水蒸気側四路切換弁(33)の第3のポートに接続され、吐出側が水蒸気側四路切換弁(33)の第4のポートに接続されている。この水蒸気圧縮機(34)は、モータ(35)により駆動されるターボ圧縮機であって、吸入した水蒸気を圧縮して吐出する。
【0047】
第1水蒸気移動部(31)は、室内熱交換器(25)の前面側、即ち室内熱交換器(25)における空気の流れの上流側に設けられている。また、第2水蒸気移動部(36)は、室外熱交換器(23)の前面側、即ち室外熱交換器(23)における空気の流れの上流側に設けられている。以下、水蒸気移動部の構成、及び水蒸気移動部と熱交換器の配置について、第1水蒸気移動部(31)と室内熱交換器(25)を例に、図2及び図3を参照しながら説明する。
【0048】
図2は、上記空気調和装置(10)の室内機(11)を示している。この室内機(11)は、いわゆる壁掛け型に構成されている。室内機(11)のケーシング(12)は、直方体状に形成されている。このケーシング(12)には、その前面及び上面に吸込口(13)が形成され、前面の下部に吹出口(14)が形成されている。
【0049】
上記室内機(11)のケーシング(12)には、室内熱交換器(25)、室内ファン(15)及び第1水蒸気移動部(31)が収納されている。室内熱交換器(25)は、側方から見て逆V字状に形成されている。また、室内ファン(15)は、いわゆるクロスフローファンにより構成され、室内熱交換器(25)の下流側に設けられている。
【0050】
上記第1水蒸気移動部(31)は、複数のチューブ部材(40)によって構成されている。チューブ部材(40)は、水蒸気を透過させる水蒸気透過膜によって構成されている。そして、図3に示すように、チューブ部材(40)は、水蒸気透過膜をチューブ状に形成したものであって、その内部が第1閉空間(32)とされている。各チューブ部材(40)の内部の第1閉空間(32)は、それぞれが水蒸気回路(30)に接続している。
【0051】
上記チューブ部材(40)は、室内熱交換器(25)の前面に配置されている。このチューブ部材(40)は、室内熱交換器(25)における前列側の各伝熱管(51)に対応して1本ずつ設けられている。また、チューブ部材(40)は、その軸方向が伝熱管(51)の軸方向と一致する姿勢で並べられている。そして、室内空気は、第1水蒸気移動部(31)のチューブ部材(40)と接触した後に、室内熱交換器(25)へ流入する。
【0052】
以上、第1水蒸気移動部(31)及び室内熱交換器(25)について説明したが、第2水蒸気移動部(36)及び室外熱交換器(23)についても、上記とほぼ同様に構成されている。即ち、第2水蒸気移動部(36)も、第1水蒸気移動部(31)と同様に、複数のチューブ部材(40)を備えている。そして、第2水蒸気移動部(36)のチューブ部材(40)は、室外熱交換器(23)の前面側に、室外熱交換器(23)の伝熱管(51)に沿って所定の間隔で配列されている。また、第2水蒸気移動部(36)のチューブ部材(40)は、その内部が第2閉空間(37)とされている。各チューブ部材(40)の内部の第2閉空間(37)は、それぞれが水蒸気回路(30)に接続している。
【0053】
−運転動作−
本実施形態1に係る空気調和装置(10)の運転動作について、冷房運転と暖房運転に分けて説明する。
【0054】
《冷房運転》
冷媒回路(20)では、冷媒側四路切換弁(22)が図1に実線で示すように切り換えられる。この状態で冷媒圧縮機(21)を運転すると、冷媒回路(20)において冷媒が相変化しつつ循環し、冷凍サイクル動作が行われる。その際、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能し、室外熱交換器(23)が凝縮器として機能する。
【0055】
具体的に、冷媒圧縮機(21)から吐出された冷媒は、冷媒側四路切換弁(22)を通って室外熱交換器(23)へ送られる。室外熱交換器(23)では、室外空気との熱交換により、冷媒が放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、膨張弁(24)で減圧された後に室内熱交換器(25)へ送られる。室内熱交換器(25)では、室内空気との熱交換により、冷媒が吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、冷媒側四路切換弁(22)を通って冷媒圧縮機(21)に吸入される。以上の循環を繰り返して、冷凍サイクルが行われる。そして、室内熱交換器(25)において冷却された室内空気を再び室内に供給し、冷房を行う。
【0056】
一方、水蒸気回路(30)では、水蒸気側四路切換弁(33)が図1に実線で示すように切り換えられる。この状態で水蒸気圧縮機(34)を運転し、室内空気の減湿動作を行う。尚、以下に示す数値は、全て例示である。
【0057】
具体的に、第1水蒸気移動部(31)では、チューブ部材(40)の内部の第1閉空間(32)が室内空気の水蒸気圧(約2kPa)よりも低い圧力(約1kPa)に維持される。つまり、第1水蒸気移動部(31)が減湿部として機能し、第1閉空間(32)が低圧空間を構成する。また、チューブ部材(40)の外側面は、室内空気と接触する。そして、チューブ部材(40)の水蒸気透過膜の両側では約1kPaの水蒸気圧差が形成され、室内空気に含まれる水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第1閉空間(32)へ移動する。これによって、室内空気が減湿される。減湿された室内空気は、その後に室内熱交換器(25)へ流入する。
【0058】
第1閉空間(32)の水蒸気、即ち第1水蒸気移動部(31)で室内空気から分離された水蒸気は、水蒸気側四路切換弁(33)を通って水蒸気圧縮機(34)へ送られる。水蒸気圧縮機(34)は、吸入した水蒸気を圧縮して昇圧させる。その際、水蒸気圧縮機(34)は、室外空気の水蒸気圧(約2kPa)よりも高い圧力(約3kPa)にまで水蒸気を昇圧させる。昇圧された水蒸気は、水蒸気側四路切換弁(33)を通って第2水蒸気移動部(36)へ送られる。
【0059】
第2水蒸気移動部(36)では、チューブ部材(40)の内部の第2閉空間(37)へ昇圧された水蒸気が導入される。つまり、第2水蒸気移動部(36)が放湿部として機能し、第2閉空間(37)が高圧空間を構成する。また、チューブ部材(40)の外側面は、室外空気と接触する。そして、チューブ部材(40)の水蒸気透過膜の両側では約1kPaの水蒸気圧差が形成され、第2閉空間(37)の水蒸気が水蒸気透過膜を透過する。これによって、水蒸気が室外空気に対して放出される。
【0060】
《暖房運転》
冷媒回路(20)では、冷媒側四路切換弁(22)が図1に破線で示すように切り換えられる。この状態で冷媒圧縮機(21)を運転すると、冷媒回路(20)において冷媒が相変化しつつ循環し、ヒートポンプサイクル動作が行われる。その際、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能し、室内熱交換器(25)が凝縮器として機能する。
【0061】
具体的に、冷媒圧縮機(21)から吐出された冷媒は、冷媒側四路切換弁(22)を通って室内熱交換器(25)へ送られる。室内熱交換器(25)では、室内空気との熱交換により、冷媒が放熱して凝縮する。凝縮した冷媒は、膨張弁(24)で減圧された後に室外熱交換器(23)へ送られる。室外熱交換器(23)では、室外空気との熱交換により、冷媒が吸熱して蒸発する。蒸発した冷媒は、冷媒側四路切換弁(22)を通って冷媒圧縮機(21)に吸入される。以上の循環を繰り返して、ヒートポンプサイクルが行われる。そして、室内熱交換器(25)において加熱された室内空気を再び室内に供給し、暖房を行う。
【0062】
一方、水蒸気回路(30)では、水蒸気側四路切換弁(33)が図1に破線で示すように切り換えられる。この状態で水蒸気圧縮機(34)を運転し、室外空気を減湿すると共に室内空気を加湿する動作を行う。
【0063】
具体的に、第2水蒸気移動部(36)では、チューブ部材(40)の内部の第2閉空間(37)が室外空気の水蒸気圧よりも低い圧力に維持される。つまり、第2水蒸気移動部(36)が減湿部として機能し、第2閉空間(37)が低圧空間を構成する。また、チューブ部材(40)の外側面は、室外空気と接触する。そして、チューブ部材(40)の水蒸気透過膜の両側では所定の水蒸気圧差が形成され、室外空気に含まれる水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第2閉空間(37)へ移動する。これによって、室外空気が減湿される。減湿された室外空気は、その後に室外熱交換器(23)へ流入する。
【0064】
第2閉空間(37)の水蒸気、即ち第2水蒸気移動部(36)で室外空気から分離された水蒸気は、水蒸気側四路切換弁(33)を通って水蒸気圧縮機(34)へ送られる。水蒸気圧縮機(34)は、吸入した水蒸気を圧縮して昇圧させる。その際、水蒸気圧縮機(34)は、室内空気の水蒸気圧よりも高い圧力にまで水蒸気を昇圧させる。昇圧された水蒸気は、水蒸気側四路切換弁(33)を通って第1水蒸気移動部(31)へ送られる。
【0065】
第1水蒸気移動部(31)では、チューブ部材(40)の内部の第1閉空間(32)へ昇圧された水蒸気が導入される。つまり、第1水蒸気移動部(31)が放湿部として機能し、第1閉空間(32)が高圧空間を構成する。また、チューブ部材(40)の外側面は、室内空気と接触する。そして、チューブ部材(40)の水蒸気透過膜の両側では所定の水蒸気圧差が形成され、第1閉空間(32)の水蒸気が水蒸気透過膜を透過する。これによって、水蒸気が室内空気に対して放出され、室内空気が加湿される。
【0066】
−蒸発器における空気の状態変化−
上述のように、本実施形態1では、蒸発器として機能する熱交換器に対しては、予め減湿された空気が送り込まれる。即ち、冷房運転時には、室内熱交換器(25)が蒸発器として機能し、第1水蒸気移動部(31)で減湿された室内空気が室内熱交換器(25)へ送られる。このため、室内熱交換器(25)において、ドレン水の発生が回避される。一方、暖房運転時には、室外熱交換器(23)が蒸発器として機能し、第2水蒸気移動部(36)で減湿された室外空気が室外熱交換器(23)へ送られる。このため、室外熱交換器(23)において、着霜が回避される。
【0067】
以下では、蒸発器におけるドレン水の発生や着霜が回避される点について、図4の空気線図を参照しながら説明する。尚、以下の説明では、冷房運転時を例に説明する。
【0068】
仮に、室内空気が点Aの状態(乾球温度t1,絶対湿度x1)であり、室内熱交換器(25)の表面温度がt2であるとする。室内熱交換器(25)での熱交換により、点Aの状態の室内空気は、乾球温度及び絶対湿度が低下して点Bの状態(乾球温度t2,絶対湿度x2)となる。
【0069】
その際、室内空気をそのまま室内熱交換器(25)へ導入する従来の場合、点Aの状態の室内空気は、概ね図4に一点差線で示す経路を通って点Bの状態となる。具体的に、室内空気は、絶対湿度一定のままで乾球温度が低下する。その際、絶対湿度がx1の湿り空気の露点温度はtsであることから、室内空気の乾球温度がtsに至ると水蒸気の凝縮が始まる。そして、室内空気は、相対湿度が100%に維持されたまま乾球温度及び絶対湿度が低下し、点Bの状態に至る。その間に、室内空気中の水蒸気が凝縮し、ドレン水が発生する。
【0070】
これに対し、本実施形態1のように室内空気を減湿してから室内熱交換器(25)へ導入する場合、点Aの状態の室内空気は、概ね図4に実線で示す経路を通って点Bの状態となる。具体的に、点Aの状態の室内空気は、第1水蒸気移動部(31)で減湿され、乾球温度が一定のままで絶対湿度が低下して点A'の状態(乾球温度t1,絶対湿度x2)となる。この点A'の状態の室内空気が、室内熱交換器(25)へ導入される。室内熱交換器(25)では室内空気が冷却され、絶対湿度が一定のままで乾球温度が低下して点Bの状態に至る。つまり、本実施形態1の場合、室内空気が点Aの状態から点Bの状態に至るまでの間において、その相対湿度は100%未満に維持される。従って、本実施形態1では、ドレン水は発生しない。
【0071】
以上の点は、暖房運転時においても同様である。つまり、暖房運転時には、第2水蒸気移動部(36)で減湿された室外空気を、室外熱交換器(23)へ送り込んで冷媒と熱交換させている。従って、その間、室外空気の相対湿度は100%未満に維持される。このため、室外熱交換器(23)では、室外空気に含まれる水蒸気の凝縮が回避され、着霜現象も生じない。
【0072】
−実施形態1の効果−
本実施形態1によれば、冷房運転時において、室内熱交換器(25)でのドレン水の発生を回避できる。このため、従来は必要であったドレン水を処理するための構成を省略でき、簡素化を図ることができる。また、上述の“水飛び”等の問題を確実に回避することができ、在室者の快適性を損なうことなく、確実に冷房運転を行うことができる。
【0073】
また、暖房運転時において、室外熱交換器(23)での着霜を防止でき、デフロスト運転を不要とすることができる。つまり、ヒートポンプサイクル動作の中断を伴うデフロスト運転を行う必要がなくなり、継続して室内空気の加熱を行うことができる。従って、暖房能力を十分に発揮させることができ、暖房を確実に行うことができる。
【0074】
更に、暖房運転時には、第2水蒸気移動部(36)で室外空気から分離した水蒸気を第1水蒸気移動部(31)へ送り、この水蒸気を利用して室内空気の加湿を行っている。このため、蒸発器の着霜が防止されてデフロスト運転が不要となることによる暖房能力の増大と相まって、室内の加湿により在室者の快適性を一層向上させることが可能となる。
【0075】
また、本実施形態1では、減湿対象の空気から分離した水蒸気を放出する際に、水蒸気透過膜を利用し、水蒸気透過膜の両側における水蒸気圧差によって水蒸気を放湿対象の空気へ放出している。具体的に、冷房運転時には、第2水蒸気移動部(36)において水蒸気がチューブ部材(40)の水蒸気透過膜を透過し、室外空気へ放出される。暖房運転時には、第1水蒸気移動部(31)において水蒸気がチューブ部材(40)の水蒸気透過膜を透過し、室内空気へ放出される。
【0076】
このため、水蒸気圧縮機(34)において、放湿対象の空気の水蒸気圧よりも高い圧力にまで水蒸気を圧縮すれば、水蒸気を放出することが可能となる。つまり、水蒸気を大気圧にまで昇圧させる必要はない。従って、水蒸気圧縮機(34)における水蒸気の昇圧幅を最小限に留めることができ、水蒸気圧縮機(34)を駆動するモータ(35)への入力を最小限に抑制することができる。
【0077】
−実施形態1の変形例−
本実施形態1では、暖房運転時において、室外空気から分離された水蒸気を第1水蒸気移動部(31)へ導入し、その水蒸気の全てを室内空気の加湿に利用しているが、これに代えて以下のような構成としてもよい。つまり、第2水蒸気移動部(36)で室外空気から分離した水蒸気のうち、その一部を第1水蒸気移動部(31)へ導入して室内空気の加湿に利用する一方、残りを室内空気の加熱に利用してもよい。つまり、残りの水蒸気を室内空気と熱交換させ、水蒸気の凝縮熱によって室内空気を加熱するようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態1では、膨張機構として膨張弁(24)を用いているが、これに代えてキャピラリチューブを用いてもよい。また、タービン等の膨張機を用いることも可能である。
【0079】
《発明の実施形態2》
本発明の実施形態2は、上記実施形態1において、室内熱交換器(25)又は室外熱交換器(23)の構成を変更し、これに伴って第1水蒸気移動部(31)又は第2水蒸気移動部(36)の構成を変更したものである。尚、本実施形態2では、室内熱交換器(25)と室外熱交換器(23)の何れか一方だけの構成を変更してもよく、また、両熱交換器(23,25)の構成を変更してもよい。以下では、室内熱交換器(25)及び第1水蒸気移動部(31)を例にその構成を説明するが、室外熱交換器(23)及び第2水蒸気移動部(36)についても同様の構成である。
【0080】
図5及び図7に示すように、本実施形態2の室内熱交換器(25)は、伝熱管(51)、フィン(52)、液ヘッダ(53)及びガスヘッダ(54)により構成されている。これら伝熱管(51)等の部材は、全てアルミ製である。
【0081】
液ヘッダ(53)及びガスヘッダ(54)は、共に細長の円筒容器状に形成されている。液ヘッダ(53)とガスヘッダ(54)は、その軸方向がほぼ水平となる姿勢で、互いに平行に設けられている。そして、室内熱交換器(25)において、液ヘッダ(53)は下端部に設けられ、ガスヘッダ(54)は上端部に設けられている。
【0082】
伝熱管(51)は、四角形断面に形成され、その内部には複数の冷媒通路(55)が区画されている。伝熱管(51)は、複数設けられており、液ヘッダ(53)及びガスヘッダ(54)の長手方向に一定間隔で配置されている。各伝熱管(51)は、下端が液ヘッダ(53)に接合され、上端がガスヘッダ(54)に接合されている。即ち、各伝熱管(51)の冷媒通路(55)は、液ヘッダ(53)及びガスヘッダ(54)に連通している。
【0083】
フィン(52)は、板材を波形状(コルゲート状)に形成したものである。このフィン(52)は、各伝熱管(51)の間に設けられて、伝熱管(51)にロウ付け等により接合されている。つまり、室内熱交換器(25)では、液ヘッダ(53)及びガスヘッダ(54)の軸方向において、伝熱管(51)とフィン(52)とが交互に積層されている。
【0084】
図6及び図7に示すように、第1水蒸気移動部(31)は、複数のチューブ部材(40)と、水蒸気ヘッダ(41)とにより構成されている。水蒸気ヘッダ(41)は、円管状に形成され、液ヘッダ(53)に沿って設けられている。一方、本実施形態2のチューブ部材(40)は、断面がほぼ楕円形に形成されると共に、室内熱交換器(25)の伝熱管(51)に沿って設けられている。各チューブ部材(40)の下端は、水蒸気ヘッダ(41)に接続されている。従って、水蒸気ヘッダ(41)は、各チューブ部材(40)の内部の第1閉空間(32)と連通している。
【0085】
本実施形態2において冷房運転を行う場合、室内空気は、伝熱管(51)の前面に設けられたチューブ部材(40)と接触した後に室内熱交換器(25)へ流入する。従って、上記実施形態1と同様に、減湿後の室内空気が室内熱交換器(25)に流入するため、室内熱交換器(25)においてドレン水が生じることはない。
【0086】
《参考技術》
参考技術について説明する。この参考技術は、上記実施形態1において、水蒸気回路(30)の構成を変更したものである。冷媒回路(20)の構成は、上記実施形態1と同様である。以下、本参考技術の水蒸気回路(30)について説明する。
【0087】
図8に示すように、本参考技術の水蒸気回路(30)は、室内側の第1水蒸気移動部(31)と、昇圧手段であるポンプ(39)とによって構成されている。第1水蒸気移動部(31)の構成は、上記実施形態1のものと同様である。ただし、本参考技術において、第1水蒸気移動部(31)は、減湿部としてのみ機能する。一方、ポンプ(39)は、いわゆる真空ポンプと同様に構成され、第1水蒸気移動部(31)の第1閉空間(32)から吸引した水蒸気を、大気圧にまで昇圧する。水蒸気回路(30)は、終端で室外に開口している。この水蒸気回路(30)は、ポンプ(39)で昇圧されて大気圧となった水蒸気を室外空気へと放出する。
【0088】
本参考技術において、水蒸気回路(30)は、冷房運転時における室内空気の減湿だけを行う。即ち、冷房運転時においてポンプ(39)を運転し、室内熱交換器(25)へ送られる室内空気を、第1水蒸気移動部(31)で減湿する。
【0089】
尚、室外側の第2水蒸気移動部(36)と、ポンプ(39)とによって、水蒸気回路(30)を構成するようにしてもよい。この場合、水蒸気回路(30)は、暖房運転時における室外空気の減湿のみを行うこととなる。ただし、ポンプ(39)で昇圧された水蒸気を室内に導入すれば、室内の加湿も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施形態1に係る冷媒回路及び水蒸気回路の配管系統図である。
【図2】 実施形態1に係る室内機の概略構成図である。
【図3】 実施形態1に係るチューブ部材の概略斜視図である。
【図4】 実施形態1に係る空気調和装置の動作を説明するための空気線図である。
【図5】 実施形態2に係る室内熱交換器の概略斜視図である。
【図6】 実施形態2に係る室内熱交換器及び第1水蒸気移動部の概略斜視図である。
【図7】 図6におけるA−A断面で切断した状態を示す室内熱交換器及び第1水蒸気移動部の概略斜視図である。
【図8】 参考技術の冷媒回路及び水蒸気回路の配管系統図である。
【符号の説明】
(21) 冷媒圧縮機
(23) 室外熱交換器
(24) 膨張弁(膨張機構)
(25) 室内熱交換器
(31) 第1水蒸気移動部
(32) 第1閉空間
(34) 水蒸気圧縮機(昇圧手段)
(37) 第2閉空間
(36) 第2水蒸気移動部
(39) ポンプ(昇圧手段)
(40) チューブ部材
(51) 伝熱管
(52) フィン
Claims (6)
- 圧縮機(21)と、凝縮器と、膨張機構(24)と、蒸発器とが設けられ且つ冷媒が循環する冷媒回路(20)を備えた空気調和装置であって、
上記蒸発器は、第1空気との熱交換によって冷媒を蒸発させるように構成される一方、
上記蒸発器へ送られる第1空気を水蒸気透過膜の一方の表面と接触させ、該水蒸気透過膜の両側における水蒸気圧の差により第1空気中の水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第1空気から分離されるように構成された減湿部と、
上記減湿部で分離された水蒸気を第2空気に対して放出するために、該減湿部から吸引した水蒸気を所定圧力にまで昇圧させる昇圧手段(34,39)とを備え、
上記昇圧手段(34)は、吸引した水蒸気を第2空気の水蒸気圧よりも高い圧力にまで昇圧するように構成され、
上記昇圧手段(34)で昇圧された水蒸気を水蒸気透過膜の一方の表面と接触させ、且つ第2空気を該水蒸気透過膜の他方の表面と接触させて、上記水蒸気透過膜の両側における水蒸気圧の差により水蒸気が水蒸気透過膜を透過して第2空気に放出されるように構成された放湿部を備えている空気調和装置。 - 請求項1に記載の空気調和装置において、
放湿部は、水蒸気透過膜により区画されて上記昇圧手段(34)で昇圧された水蒸気が導入される高圧空間を備え、上記水蒸気透過膜における高圧空間と反対側の表面を第2空気と接触させる空気調和装置。 - 請求項1に記載の空気調和装置において、
減湿部は、水蒸気透過膜により区画されて第1空気の水蒸気圧未満に減圧される低圧空間を備え、上記水蒸気透過膜における低圧空間と反対側の表面を第1空気と接触させる空気調和装置。 - 請求項3に記載の空気調和装置において、
蒸発器は、内部を冷媒が流れる伝熱管(51)と、該伝熱管(51)の外側面に接合されたフィン(52)とを備える一方、
減湿部は、水蒸気透湿膜をチューブ状に形成して内部が低圧空間に構成されたチューブ部材(40)を備え、
上記チューブ部材(40)は、上記蒸発器における伝熱管(51)の前面側に位置し且つ該伝熱管(51)に沿って設けられている空気調和装置。 - 請求項1に記載の空気調和装置において、
蒸発器が室外空気との熱交換を行う室外熱交換器(23)により構成され、且つ凝縮器が室内空気との熱交換を行う室内熱交換器(25)により構成されて、室内の暖房運転を行う一方、
暖房運転時には、第2空気を室内空気とし、放湿部において室内空気の加湿を行う空気調和装置。 - 圧縮機(21)、室外熱交換器(23)、膨張機構(24)及び室内熱交換器(25)が設けられ且つ冷媒が循環する冷媒回路(20)を備え、室内熱交換器(25)を蒸発器とし且つ室外熱交換器(23)を凝縮器として冷凍サイクルを行う冷房運転と、室内熱交換器(25)を凝縮器とし且つ室外熱交換器(23)を蒸発器としてヒートポンプサイクルを行う暖房運転とを切り換えて行う空気調和装置であって、
水蒸気透過膜により区画された第1閉空間(32)を備え、室内熱交換器(25)へ送られる室内空気を該水蒸気透過膜における第1閉空間(32)と反対側の表面と接触させる第1水蒸気移動部(31)と、
水蒸気透過膜により区画された第2閉空間(37)を備え、室外熱交換器(23)へ送られる室外空気を該水蒸気透過膜における第2閉空間(37)と反対側の表面と接触させる第2水蒸気移動部(36)と、
吸引した水蒸気を所定圧力にまで昇圧させて送り出す昇圧手段(34)とを備え、
冷房運転時には、第1水蒸気移動部(31)の第1閉空間(32)を減圧して室内空気から水蒸気を分離し、第1閉空間(32)の水蒸気を昇圧手段(34)により昇圧して第2閉空間(37)へ導入すると共に、第2水蒸気移動部(36)において第2閉空間(37)の水蒸気を室外空気へ放出して、室内空気を減湿する減湿動作を行う一方、
暖房運転時には、第2水蒸気移動部(36)の第2閉空間(37)を減圧して室外空気から水蒸気を分離し、第2閉空間(37)の水蒸気を昇圧手段(34)により昇圧して第1閉空間(32)へ導入すると共に、第1水蒸気移動部(31)において第1閉空間(32)の水蒸気を室内空気へ放出して、室内空気を加湿する加湿動作を行う空気調和装置。
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