JP4474251B2 - 円錐形インボリュート歯車対 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車、トラック、船舶、建設機械、鉄道車両等の輸送機及び産業その他一般機械に好適に用いられる円錐形インボリュート歯車対に関する。
円錐形インボリュート歯車対は、本質的には、どのような相対位置にある二軸間にも、回転運動を伝達できる歯車対である。従って、円錐形インボリュート歯車対は、従来より広く使用されている各種歯車対の代用となる可能性だけでなく、従来の歯車対が対応できない特殊用途にも使用される可能性を持っている。それにもかかわらず、食違軸用の円錐形インボリュート歯車対は、その設計方法が十分に確立されていなかった。
これに対処し、例えば、非特許文献1には、図23、図24に示す円錐形インボリュート歯車対(及び歯車対の基準円錐形)において、以下の式(100)〜(106)に示す相互関係を用いて、各円錐形インボリュート歯車(以下、小径の歯車をピニオンと称し、大径の歯車をギヤと称す)に設定した基本諸元から、歯車対の組立諸元を演算する技術が開示されている。
すなわち、非特許文献1には、歯直角モジュールm、ピニオン歯数z、ギヤ歯数z、ピニオン円錐角δ、ギヤ円錐角δ、ピニオンのネジレ角ψ、及び、ギヤのネジレ角ψ)を円錐形インボリュート歯車対の基本諸元とし、オフセットΕ、軸交差Σ、ピニオンの組立距離J、及び、ギヤの組立距離Jを円錐形インボリュート歯車対の組立諸元とした場合に、
Figure 0004474251
の相互関係が成り立つことが開示されており、この関係を用いることによって、歯車対の組立諸元の演算が可能となる。
三留謙一,「円すい形インボリュート歯車の研究(第5報,食違い軸用円すい形インボリュート歯車の設計法)」,日本機械学会論文集(C編),56巻528号(1990−8),P2219−2225
しかしながら、円錐形インボリュート歯車対においては、未だ、円錐母線直角歯丈係数が「1」のものしか提案されておらず、円錐母線直角歯丈係数の設計方法が確立されていない。従って、歯先尖り現象や歯底切下げ現象を防止しつつ、適切な円錐母線直角歯丈係数を設定することが困難であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、歯先尖り現象や歯底切下げ現象を防止しつつ任意の歯丈係数を設定することのできる円錐形インボリュート歯車対を提供することを目的とする。
本発明の円錐形インボリュート歯車対は、一対の円錐形インボリュート歯車の関係を設計ピッチ点を基準とする噛合モデルで規定し、上記各円錐形インボリュート歯車の軸直角転位係数をx、歯直角モジュールをm、ネジレ角をψ、創成円錐角をδ、円錐母線直角歯末丈係数kknの限界値をkkn lim、設計ピッチ点から大端までの円錐母線方向の有効歯幅bの限界値をbs lim、右歯面の正面圧力角をαsr、左歯面の正面圧力角をαsl、基準ピッチ円直径をD、右歯面の基礎円筒直径をDgr、左歯面の基礎円筒直径をDglとした場合に、
s lim=(1/F)・((π・Bν/2)
−((kkn lim・cosψ(B・tanαsr+B・tanαsl))/cosδ))
s lim=(xs lim−x)・m/sinδ
=(invαksr lim−invαsr)/tanαsr
=(invαksl lim−invαsl)/tanαsl
ν=(cosαsr/cosαksr lim)−1
=(cosαsl/cosαksl lim)−1
F=(B・cosψ−Bν)・tanαsr+(B・cosψ−Bν)・tanαsl
cosαksr lim=Dgr/Dk lim
cosαksl lim=Dgl/Dk lim
k lim=D+2・m・(xs lim+kkn lim・secδ)
の関係式を満足させるよう上記各円錐形インボリュート歯車の円錐母線直角歯末丈係数kknと設計ピッチ点から大端までの円錐母線方向の有効歯幅bを設定したことを特徴とする。
また、本発明の円錐形インボリュート歯車対は、一対の円錐形インボリュート歯車の関係を設計ピッチ点を基準とする噛合モデルで規定し、上記各円錐形インボリュート歯車の軸直角転位係数をx、歯直角モジュールをm、創成円錐角をδ、円錐母線直角歯元丈係数krnの限界値をkrn lim、円錐母線直角頂隙係数をckn、設計ピッチ点から小端までの円錐母線方向の有効歯幅bの限界値をbu lim、右歯面の正面圧力角をαsr、左歯面の正面圧力角をαsl、基準ピッチ円直径をD、歯直角工具歯先半径をr 、右歯面圧力角をα nr 、左歯面圧力角をα nl とした場合に、
ur lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
−(((r・(1−sinα nr ))/(m・cosδ))
+((D・sinαsr)/(2・m)))
ul lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
−(((r・(1−sinα nl ))/(m・cosδ))
+((D・sinαsl)/(2・m)))
u lim=(xu lim−x)・m/sinδ
u lim=max(xur lim,xul lim
の関係式を満足させるよう上記各円錐形インボリュート歯車の円錐母線直角歯元丈係数krnと設計ピッチ点から小端までの円錐母線方向の有効歯幅bを設定することを特徴とする。
また、本発明の円錐形インボリュート歯車対は、一対の円錐形インボリュート歯車の関係を設計ピッチ点を基準とする噛合モデルで規定し、上記各円錐形インボリュート歯車の軸直角転位係数をx、歯直角モジュールをm、ネジレ角をψ、創成円錐角をδ、円錐母線直角歯末丈係数kknの限界値をkkn lim、円錐母線直角歯元丈係数krnの限界値をkrn lim、円錐母線直角頂隙係数をckn、円錐母線方向の有効歯幅bの限界値をbn lim、右歯面の正面圧力角をαsr、左歯面の正面圧力角をαsl、基準ピッチ円直径をD、右歯面の基礎円筒直径をDgr、左歯面の基礎円筒直径をDgl 、歯直角工具歯先半径をr 、右歯面圧力角をα nr 、左歯面圧力角をα nl とした場合に、
s lim=(1/F)・((π・Bν/2)
−((kkn lim・cosψ(B・tanαsr+B・tanαsl))/cosδ))
s lim=(xs lim−x)・m/sinδ
=(invαksr lim−invαsr)/tanαsr
=(invαksl lim−invαsl)/tanαsl
ν=(cosαsr/cosαksr lim)−1
=(cosαsl/cosαksl lim)−1
F=(B・cosψ−Bν)・tanαsr+(B・cosψ−Bν)・tanαsl
cosαksr lim=Dgr/Dk lim
cosαksl lim=Dgl/Dk lim
k lim=D+2・m・(xs lim+kkn lim・secδ)
ur lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
−(((r・(1−sinα nr ))/(m・cosδ))
+((D・sinαsr)/(2・m)))
ul lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
−(((r・(1−sinα nl ))/(m・cosδ))
+((D・sinαsl)/(2・m)))
u lim=(xu lim−x)・m/sinδ
u lim=max(xur lim,xul lim
n lim=bs lim−bu lim
の関係式を満足させるよう上記各円錐形インボリュート歯車の円錐母線直角歯末丈係数kknと円錐母線直角歯元丈係数krnと円錐母線方向の有効歯幅bを設定することを特徴とする。
本発明による円錐形インボリュート歯車対によれば、歯先尖り現象や歯底切下げ現象を防止しつつ任意の歯丈係数で製造することができる。
以下、図面を参照して本発明の形態を説明する。図1乃至図18は本発明の一形態に係わり、図1は円錐形インボリュート歯車対の噛合モデルの断面図、図2は図1の歯車対の基準円錐系を示す説明図、図3は円錐形インボリュート歯車対の噛合モデルの断面図、図4は円錐形インボリュート歯車と円筒形インボリュート歯車の噛合モデルの断面図、図5は図4の歯車対の基準円錐・円筒系を示す説明図、図6は円錐形インボリュート歯車と円筒形インボリュート歯車の噛合モデルの断面図、図7,8は左右非対称歯の歯直角断面図、図9は歯面修正歯の斜視図、図10は歯先尖り現象が発生した円錐形インボリュート歯車の大端側軸直角断面図、図11は歯底切下げ現象が発生した円錐形インボリュート歯車の小端側軸直角断面図、図12〜図14は歯車ブランクの形状寸法を示す説明図、図15は円錐形インボリュート歯車対とその等価円筒歯車対との関係を定義する説明図、図16は円錐形インボリュート歯車対の設計装置の概略構成図、図17は円錐形インボリュート歯車対の設計装置を実現するためのコンピュータシステムの一例を示す概略図、図18は円錐形インボリュート歯車対の設計フローチャート、図19,図20は円錐形インボリュート歯車対の歯当りを示す説明図、図21,図22は円筒・円錐形インボリュート歯車対の歯当りを示す説明図である。
図1において、符号100は円錐形インボリュート歯車対を示す。本形態において、この円錐形インボリュート歯車対100を構成する各円錐形インボリュート歯車(以下、小径をなす一方の円錐形インボリュート歯車をピニオン、大径をなす他方の円錐形インボリュート歯車をギヤと称す)101P,101Gは、強度向上等を目的として、それぞれ所定の軸直角転位係数で転位されている。また、各歯車101P,101Gの歯丈は、噛合率向上による振動騒音性能確保等を目的として、所定の円錐母線直角歯丈係数で規定されている。さらに、各歯車101P,101Gの歯面は、左右歯面両方での良好な歯当たりの実現を目的として、左右非対称形状に形成されている。
このような円錐形インボリュート歯車対100は、例えば図16に示す設計装置1によって設計される。この設計装置1は、歯車対100に係る各種諸元を入力するための入力部5と、入力部5からの入力諸元に基づいて各種演算(各種諸元及び寸法計算、評価計算等)を行う演算部6と、演算部6で実行される各種プログラムを格納するとともに、入力部5からの入力諸元や演算部6での演算結果等を適宜記憶する記憶部7と、演算部6での演算結果等を出力する出力部8とを有して構成されている。ここで、記憶部7には、各種諸元計算及び寸法計算、評価計算等を行うための各種プログラムが格納されており、演算部6は、これらのプログラムに基づいて演算を行うことにより、諸元設定手段、及び、評価手段として機能する。
なお、設計装置1は、例えば図17に示すコンピュータシステム10で実現される。このコンピュータシステム10は、例えば、コンピュータ本体11に、キーボード12と、ディスプレイ装置13と、プリンタ14とが接続ケーブル15を介して接続されて要部が構成されている。そして、このコンピュータシステム10において、例えば、コンピュータ本体11に配設された各種ドライブ装置やキーボード12等が入力部5として機能するとともに、コンピュータ本体11に内蔵されたCPU,ROM,RAM等が演算部6として機能する。また、コンピュータ本体11に内蔵されたハードディスク等が記憶部7として機能するとともに、ディスプレイ装置13や14等が出力部8として機能する。
本出願人らは、転位等の概念を導入した円錐形インボリュート歯車対100の設計を可能とするため、例えば図1,2に示すように、互いに噛み合うピニオン101Pとギヤ101Gの関係(及び、これらの基準円錐105P,105Gの関係)を、設計ピッチ点Pを基準として新たに定義した。なお、図1,2には、左ネジレ(LH)のピニオン101Pを基準ピッチ点P0Pから正転位させるとともに、左ネジレ(LH)のギヤ101Gを基準ピッチ点P0Gから負転位させ、これらを転位後の設計ピッチ点Pで互いに噛み合わせた歯車対100が例示されている。ここで、図中において、符号Tは、各基準円錐105P,105Gの基準円錐母線に対する共通接平面(Plane of Symmetry)を示す。また、符号107は設計ピッチ点Pを通る共通垂線(共通接平面Tの垂線)であり、符号n,nは、各基準円錐105P,105Gの中心軸X,Xと共通垂線107との交点である。また、符号a,aは、各基準円錐105P,105Gの設計ピッチ点Pを通る軸直角断面と中心軸X,Xとの交点である。また、符号108は各基準円錐105P,105Gの中心軸X,Xの共通垂線であり、符号O,Oは、各中心軸X,Xと共通垂線108との交点である。さらに、符号O,Oは、各基準円錐105P,105Gの頂点である。
このように設計ピッチ点Pを基準として定義されたピニオン101Pとギヤ101Gの関係に基づき、円錐形インボリュート歯車対100は、例えば図18に示す円錐形インボリュート歯車対の設計フローチャートに従って、設計装置1で設計される。
なお、以下の説明において、ピニオン101Pとギヤ101Gとで計算式が共通する場合には、適宜、これらを歯車101と総称し、対応する式中の諸元等についても、特に区別する必要のない場合には添字「P」或いは「G」の表記を省略する。
この歯車対100の設計では、先ず、ステップS101の工程で、ピニオン101P及びギヤ101Gの基本諸元(歯車の基本諸元)、歯車対100の基本諸元、及び、歯車対100の組立諸元(以下、これらを総称して円錐形インボリュート歯車対の設計諸元ともいう)が設計装置1に設定される。
本形態において、設計装置1には、歯車の基本諸元として、少なくとも、歯直角モジュールm、左右の歯面圧力角αnl,αnr、クラウニング歯筋修整半径ρ、ピニオン101P及びギヤ101Gのラック中心面ネジレ角ψ,ψ、ピニオン101P及びギヤ101Gの創成円錐角δ,δ、ピニオン101P及びギヤ101Gの歯数z,z、ピニオン101P及びギヤ101Gの軸直角転位係数x,x、円錐母線直角歯末丈係数kkn、円錐母線直角歯元丈係数krn、円錐母線直角頂隙係数ckn、円錐母線方向有効歯幅b(=(設計ピッチ点Pから大端までの円錐母線方向有効歯幅b)−(設計ピッチ点Pから小端までの円錐母線方向有効歯幅b)、bは正値で、bは負値である)、歯直角工具刃先半径rが設定される。また、歯車対の基本諸元として、少なくとも、ピニオン101P及びギヤ101Gの設計ピッチ円半径R,R、ピニオン101P及びギヤ101Gの創成円錐角δ,δ、ピニオン101P及びギヤ101Gのラック中心面ネジレ角ψ,ψが設定され、歯車対の組立諸元として、少なくとも、軸交差角Σ、オフセットΕ、オフセット角ε,η、ピニオン101P及びピニオン101Gの軸直角基準平面の組立距離J,Jが設定される。
これらの設定に際し、先ず、設計装置1には、上記各諸元のうち所定の諸元(例えば、ユーザが歯車対100に対して優先的に要求する諸元等)がキーボード12等を通じたユーザ入力によって適宜設定される。さらに、設計装置1では、ユーザ入力等によって設定された諸元から、以下に説明する関係に基づいて、適宜、関連する他の諸元が算出される。また、設計装置1では、設定された諸元から、関連する他の諸元を設定するための指標を算出し、これを表示することも可能である。
具体的に説明すると、本出願人らは、図1,2に定義した関係に基づいて、以下に示すように、設計ピッチ円半径を算出するための式(1)〜(4)、及び、歯車対100の基本諸元と組立諸元との関係式(5)〜(10)を作成した。そして、ピニオン101P及びギヤ101Gの基本諸元との関係等において、これらの式を満足させるよう歯車対100の基本諸元と組立諸元とを設定することにより、転位、無転位に関係なくピニオン101Pとギヤ101Gとを正しく噛み合わせることが可能であることを見いだした。
Figure 0004474251
設計装置1には、上述の式(1)〜(10)に基づいて各種諸元計算を行うためのプログラムが格納されており、設計装置1は、ユーザ入力等によって所定の諸元が設定された際に、適宜、関連する他の諸元を算出し、これらを設定する。例えば、設計装置1は、歯直角モジュールm、ラック中心面ネジレ角ψ,ψ、創成円錐角δ,δ、歯数z,z、及び、軸直角転位係数x,xがユーザ入力等によって設定されている場合に、上述の式(1)〜(10)の関係に基づいて、軸交差角Σ、オフセットΕ、オフセット角η,ε、及び、軸直角基準平面の組立距離J,Jを算出し、これらを設定する。
また、本出願人らは、次式(11)を作成し、この式を満たすように各軸直角転位係数x,xを設定することにより、共通垂線107上で転位零の基準ピッチ点P0P,P0Gの位置が一致する噛合条件が実現されるだけでなく、転位零でない設計ピッチ点Pでの良好な歯当たりも維持されたまま、各歯車101P,101Gを転位できることを見いだした。すなわち、本出願人らは、ピニオン101Pとギヤ101Gを転位させるに際し、共通垂線107上での転位量を等しく設計することにより、これらを転位させた場合にも設計ピッチ点Pでの良好な歯当たりを維持することができ、転位に伴う歯筋方向の歯面ネジレ角修正が不要となることを見いだした。
更に、本出願人らは、式(11)を満たすように設計製作した円錐形インボリュート歯車対の設計ピッチ点Pでの良好な歯当りを実際に確認した。歯当分布を図19,20に示す。尚、図19は101Gが負転位、101Pが正転位した場合における歯当りの楕円分布を示し、図20は101Gが正転位、101Pが負転位した場合における歯当りの楕円分布を示す。
Figure 0004474251
設計装置1には、上述の式(11)に基づいて各種諸元計算を行うためのプログラムが格納されており、設計装置1は、ユーザ入力等によって所定の諸元が設定された際に、適宜、関連する他の諸元を算出し、これらを設定する。例えば、設計装置1は、軸直角転位係数x、及び、創成円錐角δ,δがユーザ入力等によって設定されている場合に、上述の式(11)の関係に基づいて軸直角転位係数xを算出し、これを設定する。ここで、式(11)の関係を用いた場合、例えば図1,2に示したようにピニオン101Pを正転位させ、ギヤ101Gを負転位させる組み合わせの他に、例えば図3に示すように、ピニオン101Pを負転位させ、ギヤ101Gを正転位させる組み合わせを設計することも可能となる。
ところで、円筒形インボリュート歯車は、広義の意味で、円錐角δが零の円錐形インボリュート歯車と考えることができる。そこで、本出願人らは、例えば、上述の円錐形インボリュート歯車101Gを円筒形インボリュート歯車101Hで置換したインボリュート歯車対100についても、設計ピッチ点P基準の関係を新たに定義することで(例えば、図4,5参照)、上述の式(1)〜(10)を適用可能であることを見いだした。すなわち、この種のインボリュート歯車対は広義の意味で本発明の円錐形インボリュート歯車対として定義することができ、例えば、上述の式(1)〜(10)にδ=0を代入することにより、転位、無転位に関係なく正しく噛み合う円錐形と円筒形インボリュート歯車対の基本諸元と組立諸元とを設計するための計算式として以下の式(1)’〜(10)’が得られ、設計装置1による同様の諸元計算が可能となる。
Figure 0004474251
さらに、本出願人らは、円錐形インボリュート歯車101Gを円筒形インボリュート歯車101Hで置換した円錐形と円筒形インボリュート歯車対100についても上述の式(11)を適用可能であることを見いだした。すなわち、例えば、上述の式(11)にδ=0を代入することにより、共通垂線107上で転位零の基準ピッチ点P0P,P0Gの位置が一致する噛合条件が実現されるだけでなく、転位零でない設計ピッチ点Pでの良好な歯当たりも維持されたまま、各歯車101P,101Hを転位させるための計算式として以下の式(11)’が得られ、設計装置1による同様の諸元計算が可能となる。
更に、本出願人らは、式(11)’を満たすように設計製作した円錐形と円筒形インボリュート歯車対の設計ピッチ点Pでの良好な歯当りを実際に確認した。歯当分布を図21,22に示す。尚、図21は101Hが負転位、101Pが正転位した場合における歯当りの楕円分布を示し、図22は101Hが正転位、101Pが負転位した場合における歯当りの楕円分布を示す。
Figure 0004474251
ここで、式(11)’の関係を用いた場合、例えば図4,5に示したように円錐形インボリュート歯車101Pを正転位させ、円筒形インボリュート歯車101Hを負転位させる組み合わせの他に、例えば図6に示すように、円錐形インボリュート歯車101Pを負転位させ、円筒形インボリュート歯車101Hを正転位させる組み合わせを設計することも可能である。
また、本出願人らは、従来、円錐形インボリュート歯車対には用いられていなかった限界圧力角及び限界歯筋半径の概念を導入し、基準ピッチ点Pでの限界圧力角φ及び限界歯筋半径ρを算出するための式として、以下の式(12)〜(15)を作成した。
Figure 0004474251
そして、本出願人らは、求められた限界圧力角φが、歯車101の左右の歯面圧力角αnl,αnrを設定する際の条件値となり得、また、限界歯筋半径ρが、歯車101のクラウニング歯筋修整半径ρ(図9参照)を設定する際の下限値の目安となり得ることを知見した。
さらに、本出願人らは、求められた限界圧力角φに基づいて円錐形インボリュート歯車の歯面圧力角を左右個別に設計するための式として、以下の式(16),(17)を作成した。そして、式(14)から求まる限界圧力角φに応じて式(16),(17)を用い、左右の歯面圧力角αnl,αnrを個別に設定することで、左右歯面両方に良い歯当たりの左右非対称歯形を得られることを見いだした。
すなわち、式(14)から求まる限界圧力角φが負の場合には、式(16),(17)を用いて左右の歯面圧力角αnl,αnrを個別に設定することで、歯車101の歯形を厳密な左右非対称形状に設計できる。
Figure 0004474251
この場合、例えば図7に示すように、歯車101の右歯面圧力角αnrが左歯面圧力角αnlよりも相対的に小さく設定される。
一方、式(14)から求まる限界圧力角φが正の場合には、式(16),(17)を用いて左右の歯面圧力角αnl,αnrを個別に設定することで、歯車101の歯形を厳密な左右非対称形状に設計できる。
この場合、例えば図8に示すように、歯車101の右歯面圧力角αnrが左歯面圧力角αnlよりも相対的に大きく設定される。
設計装置1には、上述の式(12)〜(14)に基づいて限界圧力角φを算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて算出した限界圧力角φを、ユーザ入力による左右の歯面圧力角αnl,αnr設定の際の指標として適宜開示する。また、設計装置1には、上述の式(12),(13),(15)に基づいて限界歯筋半径ρを算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて算出した限界歯筋半径ρを、ユーザ入力によるクラウニング歯筋修整半径ρ設定の際の指標として適宜開示する。さらに、設計装置1には、算出された限界圧力角φに応じて式(16),(17)を用い、左右の歯面圧力角αnl,αnrを算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて、適宜、歯面圧力角αnl,αnrを算出し、設定する。
次に、ステップS102の工程において、上述のステップS101で設定された設計諸元に基づき、実際に形成される歯車101の諸元である歯車諸元が算出されるとともに、当該歯車101を形成する歯車ブランクの形状寸法が算出される。
本形態において、設計装置1では、歯車諸元として、少なくとも、正面モジュールm、正面圧力角αsl,αsr、基準ピッチ円筒直径D、ピッチ円筒ネジレ角β0l,β0r、基礎円筒直径Dgl,Dgr、基礎円筒ネジレ角βgl,βgr、小端側軸直角転位係数xtoe、大端側軸直角転位係数xheel、軸直角歯末丈係数kks、軸直角歯元丈係数krs、軸直角頂隙係数cks、軸方向有効歯幅B、正面円弧ピッチt、正面法線ピッチtesl,tesrが設定される。また、形状寸法として、少なくとも、円錐母線直角歯丈h、軸直角歯丈h、設計ピッチ円直径D、小端ピッチ円直径Dtoe、小端歯先円直径D、小端歯底円直径D、大端ピッチ円直径Dheel、大端歯先円直径D、大端歯底円直径Dが設定される。
具体的に説明すると、歯車101の歯車諸元は、以下に示す式(20)〜(33)を用いて、それぞれ算出することが可能である。
Figure 0004474251
設計装置1には、上述の式(20)〜(33)に基づいて歯車101の歯車諸元を算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて歯車101の歯車諸元を算出する。
また、歯車ブランクの形状寸法は、例えば、以下に示す式(34)〜(42)を用いて、それぞれ算出することが可能である。
Figure 0004474251
なお、上述の式(34)〜(42)のうち、式(37)〜(42)は、例えば図12に示す形状の歯車101(すなわち、歯の大端及び小端が円錐母線直角な歯車)に対して有効な計算式である。このため、これらの式は、例えば以下に示すように、歯車101の形状に応じて適宜変更される。
すなわち、例えば図13に示すように、歯の大端及び小端が歯車本体の各端面と面一な歯車101では、式(37)〜(42)が、以下に示す式(37)’〜(42)’に変更される。
Figure 0004474251
また、例えば図14に示すように、歯の大端のみが円錐母線直角な歯車101では、式(37)〜(42)が、以下に示す式(37)”〜(42)”に変更される。
Figure 0004474251
設計装置1には、上述の式(34)〜(42)、(37)’〜(42)’、(37)”〜(42)”に基づいて歯車101の歯車ブランクの形状寸法を算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて歯車ブランクの形状寸法を算出する。
次に、ステップS103の工程において、上述のステップS101で設定した設計諸元の歯車101に歯先尖り現象(図10参照)が発生するか否か、及び、歯底切下げ現象(図11参照)が発生するか否かを調べる。
以下、歯先尖り現象及び歯底切下げ現象の判定について具体的に説明する。
歯車101において歯先尖り現象の発生は、設計ピッチ点Pから大端までの円錐母線方向有効歯幅(以下、大端側円錐母線方向有効歯幅と称す)bと、円錐母線直角歯末丈係数kknとに密接に関係する。そこで、本出願人らは、歯先尖り防止のために設計時に許容し得る大端側円錐母線方向有効歯幅b及び円錐母線直角歯末丈係数kknの各限界値をbs lim,kkn limと定義し、これらの関係を表す式として、以下の式(43)〜(51)を作成した。なお、式中においてDgrは右歯面の基礎円筒直径、Dglは左歯面の基礎円筒直径である。
Figure 0004474251
すなわち、式(43),(44)からも明らかなように、大端側円錐母線方向有効歯幅の限界値bs limと、円錐母線直角歯末丈係数の限界値kkn limとは、トレードオフの関係にあり、例えば、歯車101の設計において大端側円錐母線方向有効歯幅bを優先する場合、当該値を上式のbs limに代入することで、歯先尖り現象を回避し得る円錐母線直角歯末丈係数の限界値kkn limが求まる。逆に、歯車101の設計において円錐母線直角歯末丈係数kknを優先する場合、当該値を上式のkkn limに代入することで、歯先尖り現象を回避し得る大端側円錐母線方向有効歯幅の限界値bs limが求まる。そして、求められた限界値kkn lim或いはbs limとステップS101での設定値kkn或いはbとを比較することにより、歯先尖り現象の発生の有無が判定可能となる。
また、歯車101において、歯底切下げ現象の発生は、設計ピッチ点Pから小端までの円錐母線方向有効歯幅(以下、小端側円錐母線方向有効歯幅と称す)bと、円錐母線直角歯元丈係数krnとに密接に関係する。そこで、本出願人らは、歯底切下げ防止のために設計時に許容し得る小端側円錐母線方向有効歯幅b及び円錐母線直角歯元丈係数k
の各限界値をbu lin,krn limと定義し、これらの関係を表す式として、
以下の式(52)〜(55)を作成した。
Figure 0004474251
ここで、小端側円錐母線方向有効歯幅の限界値bu limは負値で算出されるものであり、式(52)〜(55)からも明らかなように、小端側円錐母線方向有効歯幅の限界値bu limと、円錐母線直角歯元丈係数krn limとは、トレードオフの関係にあり、例えば、歯車101の設計において小端側円錐母線方向有効歯幅bを優先する場合、当該値を上式のbu limに代入することで、歯先尖り現象を回避し得る円錐母線直角歯末丈係数の限界値krn limが求まる。逆に、歯車101の設計において円錐母線直角歯末丈係数krnを優先する場合、当該値を上式のkrn limに代入することで、歯先尖り現象を回避し得る端側円錐母線方向有効歯幅の限界値bu limが求まる。そして、求められた限界値krn lim或いはbu limとステップS101での設定値krn或いはbとを比較することにより、歯底切下げ現象の発生の有無が判定可能となる。
また、設計される歯車対100に許容され得る歯車101の円錐母線方向有効歯幅bの限界値(下限値)を、bn limとすると、大端側円錐母線方向有効歯幅bs lim及び小端側円錐母線方向有効歯幅bu limとの間には、次式(56)の関係が成り立つ。
Figure 0004474251
設計装置1には、ステップS101で任意に設定された円錐母線方向有効歯幅b(=b−b)、円錐母線直角歯末丈係数kkn、円錐母線直角歯元丈係数krnの関係において、上述の式(43)〜(56)に基づいて、歯先尖り現象及び歯底切下げ現象が発生するか否かを判定するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて歯先尖り及び歯底切下げの有無を判定する。
そして、歯車101に歯先尖り現象、或いは、歯底切下げ現象の少なくとも何れか一方が発生すると判断された場合には、ステップS101に戻り、歯車101の基本諸元の再設定等が行われる。
一方、ステップS103の工程において、歯先尖り現象及び歯底切下げ現象の何れも発生しないと判断された場合には、ステップS104の工程に進む。そして、ステップS104の工程において、円錐形インボリュート歯車対100の設計諸元に対する評価(設計検討)が行われる。
本形態において、円錐形インボリュート歯車対100の評価は、設計諸元を、共通垂線107を基準として等価な円筒歯車対(等価円筒歯車対:図15参照)の諸元(等価諸元)に変換し、この等価諸元を用いて行われる。
すなわち、設計装置1では、設計諸元に対する等価諸元として、等価円筒歯車の歯直角モジュールm、等価円筒歯車の圧力角αnl,αnr、等価円筒歯車の歯幅b、等価円筒歯車の歯末丈係数kkn、等価円筒歯車の歯元丈係数krn、等価円筒歯車の頂隙係数ckn、等価円筒歯車のネジレ角βe0P,βeOG、等価円筒歯車の歯数zeP,zeG、等価円筒歯車の転位係数xeP,xeG、等価円筒歯車の正面モジュールmsP,msG、等価円筒歯車の左歯面正面圧力角αeslP,αeslG、等価円筒歯車の右歯面正面圧力角αesrP,αesrG、等価円筒歯車の左歯面基礎円筒ネジレ角βeglP,βeglG、及び、等価円筒歯車の右歯面基礎円筒ネジレ角βegrP,βegrGを求める。
具体的に説明すると、上述の等価諸元のうち、等価円筒歯車の歯直角モジュールm、等価円筒歯車の圧力角αnl,αnr、等価円筒歯車の歯幅b、等価円筒歯車の歯末丈係数kkn、等価円筒歯車の歯元丈係数krn、等価円筒歯車の頂隙係数cknは、歯車101の設計諸元がそのまま用いられる。
また、設計装置1には、本出願人らによって作成された以下の式(57)〜(62)に基づいて等価諸元を算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて等価円筒歯車のネジレ角βe0P,βeOG、等価円筒歯車の歯数zeP,zeG、及び、等価円筒歯車の転位係数xeP,xeGを算出する。
Figure 0004474251
さらに、設計装置1は、例えばISO認証登録されたはすば歯車の諸元計算式に準拠して等価円筒歯車の正面モジュールmsP,msG、等価円筒歯車の左歯面正面圧力角αeslP,αeslG、等価円筒歯車の右歯面正面圧力角αesrP,αesrG、等価円筒歯車の左歯面基礎円筒ネジレ角βeglP,βeglG、及び、等価円筒歯車の右歯面基礎円筒ネジレ角βegrP,βegrGを算出する。すなわち、設計装置1には、例えば以下の式(63)〜(72)に基づいて等価諸元を算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて上記各等価諸元を算出する。
Figure 0004474251
そして、設計装置1は、求めた等価諸元を用いて、例えば、寸法(正面噛合圧力角αebs、中心距離増加係数y、中心距離a、噛合ピッチ円半径ReP,ReG、基準ピッチ円半径Re0P,Re0G、歯先円半径RekP,RekG、歯底円半径RerP,RerG、及び、基礎円半径RegP,RegG)、噛合率(正面噛合率εα、重なり噛合率εβ、全噛合率ε)、応力(歯元曲げ応力σ、歯面接触応力σ)等の評価を行う。これらの評価は、例えば、既に評価方法が確立されISO認証登録されているはすば歯車の評価式に準拠して行うことが好ましい。
すなわち、設計装置1には、以下の式(73)〜(85)に基づいて等価円筒歯車対の寸法計算を行うためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて等価円筒歯車対の寸法を算出する。
Figure 0004474251
また、設計装置1には、以下の式(86)〜(88)に基づいて等価円筒歯車対の噛合率を算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて等価円筒歯車対の噛合率を算出する。
Figure 0004474251
また、設計装置1には、以下の式(89)、(90)に基づいて等価円筒歯車対に作用する応力を算出するためのプログラムが格納されており、設計装置1は、このプログラムに基づいて等価円筒歯車対に作用する応力を算出する。なお、式中において、Tは入力トルク、DePは噛合ピッチ円直径、bは有効噛合歯幅、Yfaは歯形係数、Ysaは応力修整係数、Yεは加重分配係数、Yβはネジレ角係数、Zαは領域係数、Zは弾性定数係数、Zεは噛合率係数、Zβはネジレ角係数、ρは相対曲率半径(ρ=(ρ・ρ)/(ρ+ρ))である。これらの各種係数も、例えば、ISO認証登録されている各々の計算式に準拠して算出できる。
Figure 0004474251
次に、ステップS105の工程において、ステップS104で等価円筒歯車対として評価した円錐形インボリュート歯車対100の設計諸元が実用に耐え得る諸元であるか否かが判定され、実用に耐えるに十分でない諸元であると判定された場合には、ステップS101に戻り、歯車101の基本諸元の再設定等が行われる。
一方、ステップS105において、円錐形インボリュート歯車対100の設計諸元が実用に耐え得る諸元であり、諸元再設定の必要がないと判定された場合には、設計処理が終了する。そして、設定された設計諸元に基づいて円錐形インボリュート歯車100が製造される。
このような形態によれば、互いに噛み合うピニオン101Pとギヤ101Gの関係(及び、これらの基準円錐105P,105Gの関係)を設計ピッチ点Pを基準として新たに定義し、これらの関係に基づいて作成した式(1)〜(10)(或いは、式(1)’〜(10)’)を用いて設計諸元を設定することにより、歯車101P,101Gを転位させた場合にも正しく噛合う円錐形インボリュート歯車対100を得ることができる。なお、式中の軸直角転位係数x,xを零とすることにより、上述の式を無転位の円錐形インボリュート歯車対100の諸元計算にも好適に適用できることは勿論である。
この場合、特に、上述の設計ピッチ点Pを基準とする歯車101P、101Gの関係に基づいて作成した式(11)(或いは、式(11)’)を用いてピニオンとギヤの軸直角転位係数x,xを設定することにより、共通垂線107上で転位零の基準ピッチ点P0P,P0Gの位置が一致する噛合条件が実現されるだけでなく、転位零でない設計ピッチ点Pでの良好な歯当たりも維持されたまま、各歯車101P,101Gを転位できる。
また、円錐形インボリュート歯車対100に限界圧力角φ及び限界歯筋半径ρの概念を導入し、これらを指標として各歯車101P,101Gの歯面に三次元的な歯面修整を行うことにより、左右歯面とも歯当たりの良好な円錐形インボリュート歯車対100を得ることができる。その際にも、上述の設計ピッチ点Pを基準とする歯車101P,101Gの関係に基づいて作成した式(12)〜(15)を用いることにより、適正な限界圧力角φ及び限界歯筋半径ρを算出することができる。
さらに、限界圧力角φに基づいて歯面圧力角を算出するための式(16),(17)を作成し、これらの式を用いて左右の歯面圧力角αnl,αnrを個別に設定することにより、歯車101P,101Gの左右歯面両方を、歯当たりの良好な厳密な左右非対称歯形形状に設計することができる。
また、上述の設計ピッチ点Pを基準とする歯車101P,101Gの関係に基づいて作成した式(43)〜(51)を用いて歯先尖り防止のために許容し得る大端側円錐母線方向有効幅の限界値bs limと円錐母線直角歯末丈係数の限界値kkn limの関係を求め、これらの関係を満たす範囲内で任意の円錐母線直角歯末丈係数kknを設定することにより、歯先尖りを防止しつつ噛合率の向上等を図ることができる。
また、上述の設計ピッチ点Pを基準とする歯車101P,101Gの関係に基づいて作成した式(52)〜(55)を用いて歯底切下げ防止のために許容し得る小端側円錐母線方向有効歯幅の限界値bu limと円錐母線直角歯元丈係数の限界値krn limを関係を求め、これらの関係を満たす範囲内で任意の円錐母線直角歯元丈係数krnを設定することにより、歯底切下げを防止しつつ噛合率の向上等を図ることができる。
さらに、上述の設計ピッチ点Pを基準とする歯車101P,101Gの関係に基づいて設定した円錐形インボリュート歯車対100の設計諸元を、設計ピッチ点Pを通る共通垂線107を基準として等価な円筒歯車対の諸元に変換し、変換した等価諸元に対する評価を行うことにより、空間上の位置関係が複雑な円錐形インボリュート歯車対100の設計検討を画一的な評価指標で行うことができる。
さらに、等価諸元を用いた評価を、ISO認証登録されたはすば歯車の諸元計算式に準拠して行うことにより、円錐形インボリュート歯車対100の評価を精度良く行うことができる。
円錐形インボリュート歯車対の噛合モデルの断面図 図1の歯車対の基準円錐系を示す説明図 円錐形インボリュート歯車対の噛合モデルの断面図 円錐形インボリュート歯車と円筒形インボリュート歯車の噛合モデルの断面図 図4の歯車対の基準円錐・円筒系を示す説明図 円錐形インボリュート歯車と円筒形インボリュート歯車の噛合モデルの断面図 左右非対称歯の歯直角断面図 左右非対称歯の歯直角断面図 歯面修正歯の斜視図 歯先尖り現象が発生した円錐形インボリュート歯車の大端側軸直角断面図 歯底切下げ現象が発生した円錐形インボリュート歯車の小端側軸直角断面図 歯車ブランクの形状寸法を示す説明図 歯車ブランクの形状寸法を示す説明図 歯車ブランクの形状寸法を示す説明図 円錐形インボリュート歯車対とその等価円筒歯車対との関係を定義する説明図 円錐形インボリュート歯車対の設計装置の概略構成図 円錐形インボリュート歯車対の設計装置を実現するためのコンピュータシステムの一例を示す概略図 円錐形インボリュート歯車対の設計フローチャート 円錐形インボリュート歯車対の歯当りを示す説明図 円錐形インボリュート歯車対の歯当りを示す説明図 円筒・円錐形インボリュート歯車対の歯当りを示す説明図 円筒・円錐形インボリュート歯車対の歯当りを示す説明図 従来の円錐形インボリュート歯車対の噛合モデルの断面図 図23の歯車対の基準円錐系を示す説明図
符号の説明
1 … 設計装置
6 … 演算部(諸元設定手段)
100 … 円錐形インボリュート歯車対
101P … 円錐形インボリュート歯車
101G … 円錐形インボリュート歯車
101H … 円筒形インボリュート歯車(円錐角が零度の円錐形インボリュート歯車)
代理人 弁理士 伊 藤 進

Claims (3)

  1. 一対の円錐形インボリュート歯車の関係を設計ピッチ点を基準とする噛合モデルで規定し、
    上記各円錐形インボリュート歯車の軸直角転位係数をx、歯直角モジュールをm、ネジレ角をψ、創成円錐角をδ、円錐母線直角歯末丈係数kknの限界値をkkn lim、設計ピッチ点から大端までの円錐母線方向の有効歯幅bの限界値をbs lim、右歯面の正面圧力角をαsr、左歯面の正面圧力角をαsl、基準ピッチ円直径をD、右歯面の基礎円筒直径をDgr、左歯面の基礎円筒直径をDglとした場合に、
    s lim=(1/F)・((π・Bν/2)
    −((kkn lim・cosψ(B・tanαsr+B・tanαsl))/cosδ))
    s lim=(xs lim−x)・m/sinδ
    =(invαksr lim−invαsr)/tanαsr
    =(invαksl lim−invαsl)/tanαsl
    ν=(cosαsr/cosαksr lim)−1
    =(cosαsl/cosαksl lim)−1
    F=(B・cosψ−Bν)・tanαsr+(B・cosψ−Bν)・tanαsl
    cosαksr lim=Dgr/Dk lim
    cosαksl lim=Dgl/Dk lim
    k lim=D+2・m・(xs lim+kkn lim・secδ)
    の関係式を満足させるよう上記各円錐形インボリュート歯車の円錐母線直角歯末丈係数kknと設計ピッチ点から大端までの円錐母線方向の有効歯幅bを設定することを特徴とする円錐形インボリュート歯車対。
  2. 一対の円錐形インボリュート歯車の関係を設計ピッチ点を基準とする噛合モデルで規定し、
    上記各円錐形インボリュート歯車の軸直角転位係数をx、歯直角モジュールをm、創成円錐角をδ、円錐母線直角歯元丈係数krnの限界値をkrn lim、円錐母線直角頂隙係数をckn、設計ピッチ点から小端までの円錐母線方向の有効歯幅bの限界値をbu lim、右歯面の正面圧力角をαsr、左歯面の正面圧力角をαsl、基準ピッチ円直径をD、歯直角工具歯先半径をr 、右歯面圧力角をα nr 、左歯面圧力角をα nl とした場合に、
    ur lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
    −(((r・(1−sinα nr ))/(m・cosδ))
    +((D・sinαsr)/(2・m)))
    ul lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
    −(((r・(1−sinα nl ))/(m・cosδ))
    +((D・sinαsl)/(2・m)))
    u lim=(xu lim−x)・m/sinδ
    u lim=max(xur lim,xul lim
    の関係式を満足させるよう上記各円錐形インボリュート歯車の円錐母線直角歯元丈係数krnと設計ピッチ点から小端までの円錐母線方向の有効歯幅bを設定することを特徴とする円錐形インボリュート歯車対。
  3. 一対の円錐形インボリュート歯車の関係を設計ピッチ点を基準とする噛合モデルで規定し、
    上記各円錐形インボリュート歯車の軸直角転位係数をx、歯直角モジュールをm、ネジレ角をψ、創成円錐角をδ、円錐母線直角歯末丈係数kknの限界値をkkn lim、円錐母線直角歯元丈係数krnの限界値をkrn lim、円錐母線直角頂隙係数をckn、円錐母線方向の有効歯幅bの限界値をbn lim、右歯面の正面圧力角をαsr、左歯面の正面圧力角をαsl、基準ピッチ円直径をD、右歯面の基礎円筒直径をDgr、左歯面の基礎円筒直径をDgl 、歯直角工具歯先半径をr 、右歯面圧力角をα nr 、左歯面圧力角をα nl とした場合に、
    s lim=(1/F)・((π・Bν/2)
    −((kkn lim・cosψ(B・tanαsr+B・tanαsl))/cosδ))
    s lim=(xs lim−x)・m/sinδ
    =(invαksr lim−invαsr)/tanαsr
    =(invαksl lim−invαsl)/tanαsl
    ν=(cosαsr/cosαksr lim)−1
    =(cosαsl/cosαksl lim)−1
    F=(B・cosψ−Bν)・tanαsr+(B・cosψ−Bν)・tanαsl
    cosαksr lim=Dgr/Dk lim
    cosαksl lim=Dgl/Dk lim
    k lim=D+2・m・(xs lim+kkn lim・secδ)
    ur lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
    −(((r・(1−sinα nr ))/(m・cosδ))
    +((D・sinαsr)/(2・m)))
    ul lim=((krn lim+ckn)/cosδ)
    −(((r・(1−sinα nl ))/(m・cosδ))
    +((D・sinαsl)/(2・m)))
    u lim=(xu lim−x)・m/sinδ
    u lim=max(xur lim,xul lim
    n lim=bs lim−bu lim
    の関係式を満足させるよう上記各円錐形インボリュート歯車の円錐母線直角歯末丈係数kknと円錐母線直角歯元丈係数krnと円錐母線方向の有効歯幅bを設定することを特徴とする円錐形インボリュート歯車対。
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