JP4474120B2 - プラズマ処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマを用いて半導体ウエハ等の被処理物を処理して半導体装置や電子部品等を製造する装置に係り、特に、減圧された空間で被処理物に対しエッチング,CVD等を行う装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラズマ処理装置において、生産効率や歩留まりの向上の要求が高まっている。このために、半導体ウエハ等の被処理対象物のより外周側まで中央部側と同様の処理を行い製品として使用するため、被処理対象物のより大きな範囲についてより均一な処理を行うことが求められている。
【0003】
このような要求に対しては、被処理物の処理対象表面の面方向についてより均一なプラズマを形成すること、あるいはより均一に被処理物にプラズマを入射させることが考えられてきた。
【0004】
このような従来の技術としては、特開2001−321662号公報(特許文献1)に記載されたものがあげられる。これらの従来技術では、プラズマ発生箇所においてプラズマ分布を均一化するために、処理装置に用いられる平板電極の周囲に複数個の素子を配置して各々を前記平板電極に接続して、各素子のインピーダンスの値を前記平板電極の電界分布が均一となるように選定するものである。
【0005】
また、特開2002−9047号公報(特許文献2)には、ウエハを接地する下部電極の内部に高周波で電力が印加される中央部から外周部に向かう方向に順次厚くなるように形成した誘電体を配置して、この下部電極の中央部周辺と外周部とでそのインピーダンスを異ならせることでこれらの箇所での電圧降下の大きさを異ならせて、その結果下部電極におけるウエハの被処理対象面の方向についての高周波電圧のピークツーピークを均一にするものが開示されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−321662号公報
【特許文献2】
特開2002−9047号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の技術では、実際の装置内に被処理物が処理台上に載置された際にプラズマを均一に入射させる際の課題について、考慮が不足していた。
【0008】
すなわち、このような処理物を載置する処理台上に載置された処理物の外周部側では、これに入射するプラズマあるいは処理台に印加される高周波の電界の分布が、乱れを生じて中央部側と異なっており、これにより中央部側と外周部側とで被処理物の処理が異なってしまうという問題点については考慮されていなかった。
【0009】
本発明の目的は、被処理対象物の外周部側までより均一に処理を行うことのできるプラズマ処理装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、その内側が減圧される容器と、この容器の内側に配置され試料がその上に載置される試料台と、この試料台の上方に配置され前記容器の内側にプラズマを形成するための電界を供給するアンテナと、前記試料台に高周波を供給する電源と、前記試料台を覆って配置され前記試料の外周端と隙間を介してこの試料の外周側の前記試料台の段差部に配置され絶縁性部材より構成されるリング状の部材とを備えたプラズマ処理装置であって、前記リング状の部材が、前記リング状部材の上面であってその内周端に沿って配置され前記試料の外周端より上方であって前記試料の外周端よりも外周側に位置する角部及びこの角部から前記内周端との間でこの内周端に向かうにつれて低くなる傾斜面とを備えた凸部と、前記リング状部材の上面の前記凸部の外周側に配置されこの凸部より低くされた平面部とを備えたプラズマ処理装置により達成される。
【0011】
その内側が減圧される容器と、この容器の内側に配置され試料がその上に載置される試料台と、この試料台の上方に配置され前記容器の内側にプラズマを形成するための電界を供給するアンテナと、前記試料台に高周波を供給する電源と、前記試料台を覆って配置され前記試料の外周端と隙間を解してこの試料の外周側の前記試料台の段差部に配置され絶縁性部材より構成されるリング状の部材とを備え、このリング状部材がその内周端の上面に配置され前記試料の外周端に沿って配置された凸部及びこの凸部の外周側であってこの凸部より低くされた前記リング状部材の上面である平面部とを備え、前記凸部が前記試料の外周端より上方であって前記試料の外周端よりも外周側に位置する角部及びこの角部から前記内周端との間でこの内周端に向かうにつれて低くなる傾斜面とを備えたプラズマ処理装置により達成される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図面を用いて説明する。
【0013】
図1は、本発明のプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。この図において、1はその内側でプラズマが形成されて処理が行われる真空処理室であり、その周囲は容器により囲まれている。4は、処理対象となる半導体ウエハ等の被処理物(試料)である。真空処理室1の内側には上記被処理物4がその上に載置される試料台3が配置されている。試料台3の真空処理室1上方には、
UHF等のプラズマ発生用の電磁波を供給する電源9からマッチング回路112や同軸ケーブルを介して伝達される高周波を真空処理室1内に供給するアンテナ6及びこれから発送される電磁波が通過して真空処理室1内に伝播する石英窓2が配置されている。さらに、この石英窓2の下方であって試料台3及び被処理物4の上方には、ガス源を含むガス流量調節器10から供給される処理用ガスを、被処理物4の上方で拡散して真空処理室1内に導入するためのガス分散板(シャワープレート)8が配置されている。本実施の形態において供給されるガスは複数のガス源から複数のガスが供給されるが、求められる仕様に応じて単一のガス,単一のガス源を用いることもできる。
【0014】
試料台3は、その内側に、導電性の部材で構成され、処理室内に形成されたプラズマの粒子を被処理物4表面に引き込んで処理を進めるためのバイアス電圧を形成するに必要な高周波が供給され試料台電極13を備え、その周囲には絶縁性の物質を備えて構成されたサセプタ12が試料台3の周囲を覆って配置されいる。試料台電極13には、プラズマが形成されて被処理物4の処理が行われている間、高周波電源5からの高周波がマッチング回路111等を介して供給される。
【0015】
この被処理物4が、試料台3上に載置された状態で、図示しない真空排気ポンプにより内側の気体が図1に示す矢印のように排気されて減圧された真空処理室1内に、ガス源からのガスがガス分散板8に設けられた複数の貫通孔11から導入され、このガスに対してアンテナ6から放射される電波と真空処理室1の周囲に配置されたソレノイドコイル7から供給される磁界とが相互に作用してプラズマPが形成される。このソレノイドコイル7は、上記電波により供給される電子の運動と位置とを調節するものであり、ソレノイドコイル7により供給される磁界を調節することでプラズマPの密度とその分布や形成される位置を調節することができる。
【0016】
このプラズマP内のイオンは、形成されるプラズマの領域の下部において、試料台3の試料台電極13に供給される高周波によるバイアス電圧で試料台3側あるいは被処理物4表面に引き込まれて、被処理物4の表面に入射してこの表面をエッチングする。
【0017】
サセプタ12は、被処理物4が処理台上で載置された位置がズレることを抑制するために被処理物4の外周端と所定の隙間を介して被処理物(試料)の外周側を囲むように配置されている、リング形状の部材である。このサセプタ12は、アルミナ等の絶縁性の部材により構成されている。すなわち、試料台3上の被処理物4を載置される表面との間に段差が設けられており、この段差により規定されるサセプタ12のリング内側の凹んだ空間の領域に前記被処理物4が載置される。
【0018】
また、本実施の形態では、このサセプタ12の上面であってアンテナ6の方向に段差を有する凸部14が配置されている。この凸部14は、被処理物4の外周端あるいはサセプタ(リング)12の内周端よりも外周側となる位置に角部を有しており、この凸部14以外のサセプタ12の上面は、被処理物4の上面とほぼ同じ高さとなるように構成されている。つまり、凸部14及びその角部は前記被処理物4よりもアンテナ6に近くなるように配置されている。さらに、サセプタ12には、被処理物4の外周端と隙間を介して位置する内周端と角部との間の表面には前記角部より低く構成された部分を有している。特に、本実施の形態では、後述する図3に示すように、角部とサセプタ12の内周端との間には、外周側から内周に向かい傾斜する傾斜面が設けられている。
【0019】
本実施の形態では、このような構成により、試料台3の上方のアンテナから放射された電波と試料台3内側の試料台電極13に印加される高周波によるバイアス電圧とにより形成される電界の向きと強さを好適にして、被処理物4の外周側近傍での電界の乱れを抑制し、この外周部の近傍で電界が被処理物4の表面により垂直になりプラズマ中の荷電粒子がより試料表面に垂直に近い角度で入射させることができる。これは、被処理物4の外周端あるいはサセプタ12の内周端よりもアンテナ6に近くこれらより試料台3の外周側に位置する凸部の角部に偏って向かうように電場が形成されることで、被処理物4の外周端には、その表面により垂直に向かう電界が構成できるからである。この偏った、あるいは集中した電界が被処理物4より外周側であって上方に形成することで、サセプタ12を通って試料台電極13へ向かう電界の流れ(向き)が安定しその乱れが生じることが抑制される。このためには、角部が、試料台電極13の外周側であって、被処理物4の外周端あるいはサセプタ12よりも外周側でこれらよりも上方(アンテナ6に近い位置)にあることが望ましい。
【0020】
図2,図3は、本実施の形態の作用,効果を、従来の技術と比較して説明する断面図である。図2は、従来の技術によるプラズマ処理装置における被処理物の外周端近傍の電界の向きを示す摸式図である。図3は、上記実施の形態に係るプラズマ処理装置における被処理物の外周端近傍の電界の向きを示す摸式図である。
【0021】
これらの図に示すように、図2の従来技術による装置では、被処理物4の外周端近傍とサセプタ12との隙間には電界の乱れが生じてその向きに偏りが生じている。一方、図3の本実施の形態における被処理物4の外周端近傍では、凸部14の角部に電界の向きの偏りが生じているが、被処理物4の外周端では電界の向きはほぼ被処理物4の表面に垂直な方向を向いており、電界の乱れが抑制されていることが分かる。
【0022】
このように、被処理物4の外周端部での電界の乱れが抑制されて、外周端部でもプラズマ中の粒子がより被処理物の表面に垂直に近い角度で入射することになり、被処理物の全体にわたってより均一に処理が行われることになる。
【0023】
上記実施の形態では、凸部はその縦断面が矩形の形状を有しているが、この形状に限定されず他の形状でも良く、またその角部も縦断面が垂直の形状のみではなく、仕様に応じて適宜丸みや面取りがされた形状であっても、同様の作用・効果を奏することができる。
【0024】
以上のように、上記実施の形態によれば、被処理対象物の外周部側までより均一に処理を行うことのできるプラズマ処理装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。
【図2】従来の技術によるプラズマ処理装置における被処理物の外周端近傍の電界の向きを示す摸式図である。
【図3】図1に示す実施の形態における被処理物の外周端近傍の電界の向きを示す摸式図である。
【符号の説明】
1…真空処理室、2…石英窓、3…試料台、4…被処理物、5…高周波電源、6…アンテナ、7…ソレノイドコイル、8…ガス分散板、9…UHF電源、10…ガス流量調節器、11…貫通孔、12…サセプタ、13…試料台電極、14…凸部、111,112…マッチング回路。

Claims (2)

  1. その内側が減圧される容器と、この容器の内側に配置され試料がその上に載置される試料台と、この試料台の上方に配置され前記容器の内側にプラズマを形成するための電界を供給するアンテナと、前記試料台に高周波を供給する電源と、前記試料台を覆って配置され前記試料の外周端と隙間を介してこの試料の外周側の前記試料台の段差部に配置され絶縁性部材より構成されるリング状の部材とを備えたプラズマ処理装置であって、
    前記リング状の部材が、前記リング状部材の上面であってその内周端に沿って配置され前記試料の外周端より上方であって前記試料の外周端よりも外周側に位置する角部及びこの角部から前記内周端との間でこの内周端に向かうにつれて低くなる傾斜面とを備えた凸部と、前記リング状部材の上面の前記凸部の外周側に配置されこの凸部より低くされた平面部とを備えたプラズマ処理装置。
  2. その内側が減圧される容器と、この容器の内側に配置され試料がその上に載置される試料台と、この試料台の上方に配置され前記容器の内側にプラズマを形成するための電界を供給するアンテナと、前記試料台に高周波を供給する電源と、前記試料台を覆って配置され前記試料の外周端と隙間を解してこの試料の外周側の前記試料台の段差部に配置され絶縁性部材より構成されるリング状の部材とを備え、このリング状部材がその内周端の上面に配置され前記試料の外周端に沿って配置された凸部及びこの凸部の外周側であってこの凸部より低くされた前記リング状部材の上面である平面部とを備え、前記凸部が前記試料の外周端より上方であって前記試料の外周端よりも外周側に位置する角部及びこの角部から前記内周端との間でこの内周端に向かうにつれて低くなる傾斜面とを備えたプラズマ処理装置。
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