本発明に用いられるポリイミドについて説明する。
本発明に用いられるポリイミドは、下記一般式(1)及び一般式(2)の構造を有する。
(ただし、式中のR1は芳香族テトラカルボン酸からテトラカルボン酸を除く4価の残基を示し、R2は2価の有機基、R3はジアミン化合物よりアミノ基を除く2価の残基を示す。)
一般式(1)の構造は、テトラカルボン酸二無水物とアルコール性ジオールと反応することにより得られる。下記スキーム1に示すように、テトラカルボン酸二無水物mモルとアルコール性ジオールnモルを反応させれば、末端が酸無水物となる構造が得られる。(m>n)
また、前述のスキーム1のようにテトラカルボン酸二無水物とアルコール性ジオールを反応させることにより、得られた前記末端が酸無水物となる構造中にカルボン酸基が生成する。スキーム1で生成したカルボン酸基は、本発明の目的物であり最終生成物である感光性樹脂組成物まで保持され、これにより通常現像液として用いられるアルカリ水溶液により現像可能となる。カルボン酸基や水酸基などの基を当初から有するモノマーを用いなくとも、スキーム1の反応の結果カルボン酸基が発生する構成である本発明によりアルカリ可溶性の感光性樹脂組成物を提供することが出来る。
次いで、スキーム1の反応の後に、スキーム2の様にジアミン化合物を反応させポリアミド酸としたあとに加熱するか脱水剤の存在下でイミド化させると、一般式(2)の構造(イミド構造)を得ることが出来る。
反応の順序は、テトラカルボン酸二無水物とアルコール性ジオールと反応させた後で、ジアミンと反応させる。反応の際に有機溶媒を用いてもよいし、用いるモノマーが200℃以下の温度で液化するのであれば、無溶媒で反応させることができる。この時の反応温度は、−20℃〜300℃が望ましい。反応時間は30分から24時間程度である。
ポリアミド酸の平均分子量は2000〜1000000であることが望ましい。平均分子量が2000未満では、できあがったポリイミドの分子量も低くなり、そのポリイミドをそのまま用いても樹脂が脆くなる傾向にある。一方、1000000を越えるとポリアミド酸の粘度が高くなり取り扱いにくくなる。
ここでポリアミド酸及び該ポリイミドの生成反応に使用される有機極性溶媒としては、例えば、ジメチルスルホキシド、ジエチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミドなどのホルムアミド系溶媒、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミドなどのアセトアミド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドンなどのピロリドン系溶媒、フェノール、o−、m−、またはp−クレゾール、キシレノール、ハロゲン化フェノール、カテコールなどのフェノール系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコール系溶媒、ブチルセロソルブ等のセロソルブ系あるいはヘキサメチルホスホルアミド、γ−ブチロラクトンなどをあげることができ、これらを単独または混合物として用いるのが望ましいが、更にはキシレン、トルエンのような芳香族炭化水素も使用可能である。溶媒は、ポリアミド酸及びポリイミドを溶解するものであれば特に限定されない。
ポリアミド酸をイミド化する条件は、100℃以上の温度に加熱しイミド化に伴って生成する水を窒素等の不活性ガスで系外に押し出してもよいし、トルエン、キシレン等の共沸溶媒を加え共沸により生成する水を除去してもよい。またこの際に減圧して、積極的に生成する水を除去してもよい。
他のイミド化する方法として、無水酢酸等の脂肪族酸二無水物とトリエチルアミン、ピリジン、ピコリン、イソキノリン等の3級アミンを加える化学的イミド化法を用いてもよい。
このポリイミドに用いられるアルコール性ジオールは、アルコール性の水酸基を分子内に2個有するものであれば特に限定されないが、例えばHO−CwH2w−OH(wは、2から20の整数)で表されるアルコール性ジオールや、p−キシリレングリコール、o−キシリレングリコール、m−キシリレングリコール等のキシリレングリコール類等を例示することが出来る。また、一部であればグリセリン等のトリオールを用いてもかまわない。
このポリイミドに用いられる酸二無水物は、酸二無水物であれば特に限定されないが、例えば2,2´−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3´,4,4´−テトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸二無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらのテトラカルボン酸二無水物は、単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
特に、耐熱性と機械特性を高次元で発現するには、下記一般式(3)及び一般式(4)の構造から選ばれる少なくとも一種以上の酸二無水物を用いることが望ましい。(R4は、エステル結合あるいはエーテル結合を示し、R5は2価の有機基であり特に下記一般式(5)、(6)、(7)及び(8)で示される群から選択される一種以上の構造が望ましく、R6は、直結、−O−、−CH2−、−(C=O)−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、及び−SO2−から選ばれる一種以上である。)
(式中、R7は、水素、ハロゲン、メトキシ、C1〜C16のアルキル基を、R8は−CH2−、−O−、−SO2−、−C(CH3)2−、−C(CF3)2−、−CO−を、rは0〜4の整数、sは0〜2の整数、tは0〜4の整数、uは1〜3の整数を示す。)
有機溶媒への溶解性の高いポリイミドを得るためには、一般式(3)または一般式(4)で示される酸二無水物として、2,2’−ヘキサフルオロプロピリデンジフタル酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンジベンゾエート−3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物を一部用いることが望ましい。
また、スキーム2で用いるジアミン化合物としては下記一般式(9)で表されるシロキサンジアミンを用いれば、柔軟性・溶解性の高い可溶性イミドが得られるため望ましい。(式中、R9は、C1〜C12のアルキル基或いはフェニル基、xは1〜20の整数、yは1〜40の整数を示す。)
式中、R9の好ましい例としてメチル基、エチル基、フェニル基をあげることができ、さらに好ましくはメチル基である。またx=2〜10が好ましく、特に2〜5が好ましい。y=4〜30が好ましく、さらに好ましくは5〜20、特に8〜15が好ましい。このなかでyの値の範囲が物性に与える影響が大きく、yの値が小さいと、得られたポリイミドの可とう性が乏しくなり、また大きすぎるとポリイミド耐熱性が損なわれる傾向にある。
前記シロキサンジアミンは、全ジアミン成分中、5〜70モル%用いることが好ましくは、さらには10〜50モル%用いることが好ましい。
その他にこのポリイミドに用いられるジアミンは、ジアミンであれば特に限定されないが、例えば、p−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノフェニルエタン、4,4’−ジアミノフェニルエーテル、4,4’−ジアミノフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノフェニルスルフォン、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,7−ジアミノフルオレン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等の芳香族ジアミン;ジアミノテトラフェニルチオフェン等の芳香環に結合された2個のアミノ基と当該アミノ基の窒素原子以外のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;1,1−メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6,2,1,02.7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族ジアミンおよび脂環式ジアミン等を挙げることができる。これらのジアミン化合物は単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
芳香族ジアミンを用いる場合、m−位(3−)にアミノ基を持つジアミンを用いれば、g線・i線領域での可溶性イミド自体の光の吸収が小さくなる傾向にあり、感光性樹脂を設計する際に有利である。
本発明に用いられるポリイミドのCOOH当量は、200〜3000であることがのぞましい。これは、前述のアルコール性ジオールを本発明のポリイミドの原料として用いることにより実現される。一般式(1)と末端の無水カルボン酸の合計が存在するCOOH量となる。つまり、一般式(1)と一般式(2)存在割合は、酸当量が200〜3000の範囲となるように調製される。一般式(1)/一般式(2)=1/99〜99/1であり、望ましくは、5/95〜95/5、更に望ましくは10/90〜90/10である。ポリイミドの好ましいCOOH当量としては、250〜2500、さらに好ましくは、350〜2000である。カルボン酸当量が、3000を超えると、水溶液系のアルカリ現像液に溶解しにくくなり、現像時間が長くなるため望ましくない。また、カルボン酸当量が200以下の場合、電気特性に悪影響を及ぼす可能性がある。
本発明に用いられるポリイミドの各モノマー反応比は、酸二無水物/(アルコール性ジオール+ジアミン)=50/100〜100/50の範囲が好ましい。モノマー反応比が、酸二無水物>(アルコール性ジオール+ジアミン)の場合酸末端となり、酸二無水物<(アルコール性ジオール+ジアミン)の場合、アミンあるいはアルコール性ジオール末端となる。前述のCOOH当量の範囲であれば、特に末端をどちらにしても問題ない。
また、本発明の感光性樹脂組成物は、実用に供しうる感光感度を達成するため、炭素−炭素二重結合を有する化合物を含む。炭素−炭素二重結合を有する化合物は、光重合を容易にする。
炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、ビスフェノールF EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールA EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、ビスフェノールS EO変性(n=2〜50)ジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、テトラメチロールプロパンテトラアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、テトラメチロールプロパンテトラメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、メトキシジエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−メタクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクレート、ステアリルメタクレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシジエチレングリコールアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート、β−アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、ラウリルアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクレート、ネオペンチルグリコールジメタクレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、2−ヒドロキシ1,3ジメタクロキシプロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(メタクロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、ポリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2−ヒドロキシ1−アクリロキシ3−メタクロキシプロパン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、メトキシジプロピレングリコールメタクレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、ノニルフェノキシポリプロピレングリコールアクリレート、1−アクリロイルオキシプロピル−2−フタレート、イソステアリルアクリレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテルアクリレート、ノニルフェノキシエチレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジメタクレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2,2−水添ビス[4−(アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、イソシアヌル酸トリ(エタンアクリレート)、ペンタエリトリトールテトラアクリレート、エトキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、プロポキシ化ペンタエリトリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリトリトールポリアクリレート、イソシアヌル酸トリアリル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアリルエーテル、1,3,5−トリアクリロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、トリアリル1,3,5−ベンゼンカルボキシレート、トリアリルアミン、トリアリルシトレート、トリアリルフォスフェート、アロバービタル、ジアリルアミン、ジアリルジメチルシラン、ジアリルジスルフィド、ジアリルエーテル、ザリルシアルレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、1,3−ジアリロキシ−2−プロパノール、ジアリルスルフィドジアリルマレエート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジメタクリレート、4,4’−イソプロピリデンジフェノールジアクリレート等が好ましいが、これらに限定されない。架橋密度を向上するためには、特に2官能以上のモノマーを用いることが望ましい。
この共重合モノマーは、上述した本発明に用いられるポリイミド100重量部に対し、1〜300重量部配合することが好ましく、3〜200重量部の範囲がさらに好ましい。1未満では光硬化が不十分であり、露光部と未露光部の現像溶液への溶解度の差がでにくく、得られるパターンの形状が悪くなる傾向があるため好ましくない。300を超えると得られる感光性樹脂組成物の耐熱性が低下する傾向にあり好ましくない。なお、炭素−炭素二重結合を有する化合物として、1種類の化合物を用いても良いし、数種を混合して用いてもよい。
光反応開始剤について説明する。
本発明の感光性樹脂組成物においては、感光性を付与するために、光反応開始剤を配合する。
光反応開始剤として、光によりg線程度の長波長の光によりラジカルを発生する化合物の一例として、下記一般式(10)・一般式(11)で表されるアシルフォスフィンオキシド化合物が挙げられる。これにより発生したラジカルは、2重結合を有する反応性基(ビニル・アクロイル・メタクロイル・アリル等)と反応し架橋を促進する。
一般式(10)
一般式(11)
(式中、R10,R11,R12,R13,R14及びR15は、C6H5−,C6H4(CH3)−,C6H2(CH3)3−,(CH3)3C−,C6H3Cl2−,メトキシ基,エトキシ基を表す。)
特に一般式(11)で表されるアシルフォスフィンオキシド化合物は、α開裂により、4個のラジカルを発生するため好ましい。(一般式(10)で表されるアシルフォスフィンオキシド化合物は、2個のラジカルを発生)。
ラジカル開始剤として種々のパーオキサイドを下記の増感剤と組み合わせて用いることができる。特に3,3‘,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンと増感剤との組み合わせが特に好ましい。
本発明で用いられる感光性樹脂組成物は実用に供しうる感光感度を達成するため、増感剤を含むことができる。増感剤の好ましい例としては、ミヒラケトン、ビス−4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、ベンゾフェノン、カンファーキノン、ベンジル、4,4’−ジメチルアミノベンジル、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジメチルアミノベンジリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ビス(ジエチルアミノベンジリデン)−N−エチル−4−ピペリドン、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノ)クマリン、リボフラビンテトラブチレート、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、3,5−ジメチルチオキサントン、3,5−ジイソプロピルチオキサントン、1−フェニル−2−(エトキシカルボニル)オキシイミノプロパン−1−オン、ベンゾインエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンズアントロン、5−ニトロアセナフテン、2−ニトロフルオレン、アントロン、1,2−ベンズアントラキノン、1−フェニル−5−メルカプト−1H−テトラゾール、チオキサンテン−9−オン、10−チオキサンテノン、3−アセチルインドール、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジメチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−ジエチルアミノベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、4,6−ジメチル−7−エチルアミノクマリン、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン、7−ジエチルアミノ−3−(1−メチルベンゾイミダゾリル)クマリン、3−(2−ベンゾイミダゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、4−(p−ジメチルアミノスチリル)キノリン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ゼンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)−3,3−ジメチルー3H−インドール等が挙げられるが、これらに限定されない。
増感剤は、本発明に用いられるポリイミド100重量部に対し、0.1〜50重量部配合すること好ましく、0.3〜20重量部とすることが、さらに好ましい。0.1〜50重量部の範囲を逸脱すると、増感効果が得られなかったり、現像性に好ましくない影響を及ぼすことがある.なお、増感剤として、1種類の化合物を用いても良いし、数種を混合して用いてもよい。
また、本発明で用いられる感光性樹脂組成物は、実用に供しうる感光感度を達成するため、光重合助剤を含むことができる。光重合助剤としては、例えば、4−ジエチルアミノエチルベンゾエート、4−ジメチルアミノエチルベンゾエート、4−ジエチルアミノプロピルベンゾエート、4−ジメチルアミノプロピルベンゾエート、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエート、N−フェニルグリシン、N−メチルーN−フェニルグリシン、N−(4−シアノフェニル)グリシン、4−ジメチルアミノベンゾニトリル、エチレングリコールジチオグリコレート、エチレングリコールジ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパンチオグリコレート、トリメチロールプロパントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラ(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールエタントリチオグリコレート、トリメチロールプロパントリチオグリコレート、トリメチロールエタントリ(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサ(3−メルカプトプロピオネート)、チオグリコール酸、α一メルカプトプロピオン酸、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシメトキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシニトロベンゾエート、t−ブチルペルオキシエチルベンゾエート、フェニルイソプロピルペルオキシベンゾエート、ジt−ブチルジペルオキシイソフタレート、トリt−ブチルトリペルオキシトリメリテート、トリt−ブチルトリペルオキシトリメリテート、テトラt−ブチルテトラペルオキシピロメリテート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルペルオキシ)ヘキサン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3,4,4’−テトラ(t−アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4―カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−メトキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−1−メチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−N−アセチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(p−アジドベンザル)−N−メトキシカルボニルー4−ピペリドン、2,6−ジ(p−アジドベンザル)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−メトキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(m−アジドベンザル)−4−ヒドロキシメチルシクロヘキサノン、3,5−ジ(m−アジドべンザル)−N−メチル−4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−N−アセチルー4−ピペリドン、3,5−ジ(m−アジドベンザル)−N−メトキシカルボニル−4−ピペリドン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−ヒドロキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−カルボキシシクロヘキサノン、2,6−ジ(p−アジドシンナミリデン)−4−シクロヘキサノン、3,5−ジ(p−アジドシンナミリデン)−N−メチル−4−ピペリドン、4,4’−ジアジドカルコン、3,3’−ジアジドカルコン、3,4’−ジアジドカルコン、4,3’−ジアジドカルコン、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−アセチル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−n−プロピルカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ジフェニル−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−フェニルオキシカルボニル)オキシム、1,3−ビス(p−メチルフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、1,3−ビス(p−メトキシフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−(p−メトキシフェニル)−3−(p−ニトロフェニル)−1,2,3−プロパントリオン−2−(o−フェニルオキシカルボニル)オキシム等を用いることができるが、これらに限定されない。また、別の助剤として、トリエチルアミン・トリブチルアミン・トリエタノールアミン等のトリアルキルアミン類を混合することもできる。
光重合助剤は、本発明に用いられるポリイミド100重量部に対し、0.1〜50重量部配合されることが好ましく、0.3〜20重量部の範囲がさらに好ましい。0.1〜50重量部の範囲を逸脱すると、目的とする増感効果が得られなかったり、現像性に好ましくない影響をおよぼすことがある。なお、光重合助剤として1種類の化合物を用いてもよいし、数種を混合してもよい。
また、本発明の感光性樹脂組成物の接着性を向上させたり、電気絶縁性を向上させるためにために、エポキシ化合物を含有することが好ましい。エポキシ化合物とは、エポキシ基を分子内にもっていれば特に限定されないが、以下のように例示することができる。
例えば、エピコート828(油化シェル社製)等のビスフェノール樹脂、180S65(油化シェル社製)等のオルソクレゾールノボラック樹脂、157S70(油化シェル社製)等のビスフェノールAノボラック樹脂、1032H60(油化シェル社製)等のトリスヒドロキシフェニルメタンノボラック樹脂、ESN375等のナフタレンアラルキルノボラック樹脂、テトラフェニロールエタン1031S(油化シェル社製)、YGD414S(東都化成)、トリスヒドロキシフェニルメタンEPPN502H(日本化薬)、特殊ビスフェノールVG3101L(三井化学)、特殊ナフトールNC7000(日本化薬)、TETRAD−X、TETRAD−C(三菱瓦斯化学社製)等のグリシジルアミン型樹脂などがあげられる。
また、エポキシ基と2重結合・3重結合を分子内に持っている化合物も混合することができる。例えば、アリルグリシジルエーテル・グリシジルアクリレート・グリシジルメタクレート・グリシジルビニルエーテル・プロパギルグリシジルエーテル・グリシジルプロピオレート・エチニルグリシジルエーテル等を例示することができる。
特にエポキシ化合物のなかで、分子内に1個のエポキシ基を有するエポキシ化合物を用いれば、硬化時の硬化収縮を抑えることが出来るため特に望ましい。単官能の(分子内に1個のエポキシ基を有する)エポキシ化合物として、ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アルキルモノグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、クレジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、バーサティック酸モノグリシジルエステル、直鎖アルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールモノグリシジルエーテル、ポリグリコールグリシジルエーテル、グリシジルメタクリレートなどがあげられるが、これらに限定されるものではない。
更に好ましい例として、p−t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、ノニルフェニルグリシジルエーテル、p−sec−ブチルフェニルグリシジルエーテル、アルキルフェノールモノグリシジルエーテル、バーサティック酸モノグリシジルエステル、直鎖アルコールモノグリシジルエーテル、グリセロールモノグリシジルエーテル、ポリグリコールグリシジルエーテル、2−メチルヘキシルグリシジルエーテル、3−(2−ビフェニロキシ)−1,2−エポキシプロパン、グリシジル4−メトキシグリシジルエーテル、グリシジルメシチルエーテル、N−(2,3−エポキシプロピル)フタルイミド、グリシジルヘキサデシルエーテル、グリシジルノニルフェニルエーテル、グリシジルラウリルエーテル、3−ドデカフルオロヘプロキシ−1,2−プロペオキシド、日本化薬株式会社製BR−250H、日本化薬株式会社製BROC−Y、日本化薬株式会社製BROC−C、日本化薬株式会社製BROC等を例示することが出来る。
本発明の感光性樹脂組成物には、本発明に用いられるポリイミド・光反応開始剤・炭素−炭素二重結合を有する化合物・エポキシ化合物の他に難燃剤を含んでもよい。
次に本発明に供せられる難燃剤について説明する。
難燃剤がリンを含む化合物である場合、難燃性を効果的に付与できる点から、そのリン含量は5.0%以上であることが好ましく、さらに好ましくは7.0%以上である。難燃剤がハロゲンを含む化合物である場合、難燃性を効果的に付与できる点から、ハロゲン含量は15%以上であることが好ましく、さらに好ましくは20%以上である。ハロゲンとしては、特に塩素または臭素を用いたものが一般的に用いられる。難燃剤がシロキサン部位を含む化合物である場合、耐熱性よび難燃性を効果的に付与できる点から、芳香環を高比率で含有するオルガノポリシロキサン化合物であることが好ましい。
難燃剤としてリン系化合物を用いる場合、リン系化合物として、ホスファゼン、ホスフィン、ホスフィンオキサイド、リン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)、亜リン酸エステルなどのリン化合物、などが挙げられるが、本発明に用いられるポリイミドとの相溶性の面からホスファゼン、ホスフィンオキサイド、またはリン酸エステル(縮合リン酸エステルも含む)であることが好ましい。難燃剤として用いるリン系化合物のリン含量は5.0重量%、さらに好ましくは7.0%以上であることが好ましい。
さらには、難燃性を付与でき、かつ耐加水分解性を持つという点から例えば、SPE−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、SPH−100(大塚化学製 ホスファゼン化合物)、TPP(トリフェニルホスフェート)、TCP(トリクレジルホスフェート)、TXP(トリキシレニルホスフェート)、CDP(クレジルジフェニルホスフェート)、PX−110(クレジル2,5−キシレニルホスフェート)(いずれも大八化学製)などのリン酸エステル、CR−733S(レゾシノ−ルジホスフェート)、CR−741、CR−747、PX−200)(いずれも大八化学製)などの非ハロゲン系縮合リン酸エステル、ビスコートV3PA(大阪有機化学工業製)、MR−260(大八化学製)などのリン酸(メタ)アクリレート、亜リン酸トリフェニルエステルなどの亜リン酸エステルなどが挙げられる。
難燃剤として含ハロゲン化合物を用いる場合、そのハロゲン含量はのぞましくは30重量%以上、さらにのぞましくは40重量%以上、最ものぞましくは50%以上であることが好ましく、難燃性の向上という点からは、ハロゲン含量は多ければ多いほど好ましい。含ハロゲン化合物として、塩素を含む有機化合物や臭素を含む有機化合物などが挙げられるが、難燃性の付与という面から、含臭素化合物であることが好ましく、以下のようなものが例示できる。
例えばニューフロンティアBR−30、BR−30M、BR−31、BR−42M(第一工業製薬製)などの臭素系モノマー、ピロガードSR−245(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族トリアジン、ピロガードSR−250、SR−400A(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族ポリマー、ピロガードSR−990A(第一工業製薬製)などの臭素化芳香族化合物、などが挙げられる。
また、難燃剤は1分子中にハロゲン原子を有するリン系化合物であってもよく、このような化合物としては、CLP(トリス(2-クロロエチル)ホスフェート)、TMCPP(トリス(クロロプロピル)ホスフェート)、CRP(トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート)、CR−900(トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート)(いずれも大八化学製)などの含ハロゲンリン酸エステルなどが挙げられる。
さらに、難燃剤として、シロキサン部位を有する化合物を用いる場合、難燃性を付与するというから芳香環を高比率で含有するオルガノポリシロキサン化合物であることが好ましく、フェニル基を全有機置換基のうち10%以上、さらにのぞましくは20%以上、より好ましくは25%以上含有するオルガノポリシロキサン化合物であることが好ましい。フェニル基の含有率が小さければ難燃の効果は小さくなり、フェニル基の含有率が高ければ高いほど、難燃の効果が高くなり望ましい。
フェニル基の含有率の低いオルガノポリシロキサン化合物を難燃剤として用いた場合、本発明に用いられるポリイミドや炭素−炭素二重結合を有する化合物への分散性や相溶性が悪い傾向にあり、感光性樹脂をフィルム化した場合に、屈折率の異なる複数成分が相分離した透明性の低いフィルムか、不透明なフィルムしか得られない傾向にある。また、このようなフェニル基の含有率の低いオルガノポリシロキサン化合物を用いる場合、添加する量を多くしないと十分な難燃効果が得られにくいが、添加量を多くすると作製される感光性カバーレイの機械強度などの物性が大幅に低下してしまう傾向がある。
さらに、オルガノポリシロキサン化合物を用いると、燃焼時に有害ガスを発生しないで樹脂の難燃化を実現させることができる。含ハロゲン化合物を含有する樹脂組成物の場合は、難燃化は実現できるものの燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生するという欠点がある。
オルガノポリシロキサン化合物の構造は、一般的に3官能性シロキサン単位(T単位)と、2官能性シロキサン単位(D単位)と、4官能性シロキサン単位(Q単位)との組合せで構成されるが、本発明で良好な組合せはT/D系、T/D/Q系、D/Q系等のD単位を含有する系であり、これにより良好な難燃性が与えられる。D単位は、いずれの組合せの場合でも10〜80モル%含有される必要がある。D単位が10モル%未満であると、オルガノポリシロキサン化合物に付与される可撓性が乏しく、その結果十分な難燃性が得られない。また、80モル%を超えると、(A)成分:可溶性ポリイミドとの分散性・溶解性が低下し、感光性樹脂組成物の外観及び光学的透明度や強度が悪くなる。更に好ましくは、D単位の含有率は10〜70モル%の範囲である。従って、上記良好なD単位含有率に応じて、T/D系の場合、T単位の含有率は30〜90モル%の範囲であり、T/D/Q系あるいはD/Q系の場合、T単位の含有率は0〜89.99モル%、好ましくは10〜79.99モル%であり、Q単位の含有率は0.01〜50モル%である。官能基の立体障害の観点において、空間の自由度さえ確保されていれば、難燃性の実現のためには酸化度の高いQ単位をより多量に含有している方がより有利であるが、オルガノポリシロキサン化合物中にQ単位を60モル%を超えて含有すると、無機微粒子的性質が強くなりすぎるため、可溶性ポリイミド中への分散性が不良となるので、配合量はこれ以下に抑える必要がある。以上のシロキサン単位含有率範囲から、難燃性、加工性、成形品の性能などのバランスを考慮して、フェニルシロキサンの全重量のうち40〜80重量%をT単位が占めるような領域を選択することが更に望ましい。
ここで、好ましい構成シロキサン単位を例示すると、3官能シロキサン単位(T単位)は、C6H5SiO3/2,CH3SiO3/2であり、2官能シロキサン単位は、(C6H5)2SiO2/2,(CH3)C6H5SiO2/2,(CH3)2SiO2/2である。
この場合、可撓性を付与するD単位としてジメチルシロキサン単位((CH3)2SiO2/2)は、シリコーン樹脂に可撓性を付与する効果は最も大きいものの、反面、あまりこの部位が多すぎると難燃性が低下する傾向があるため難燃性の向上は難しく、多量に含有させることは望ましくない。従って、ジメチルシロキサン単位は、D単位中60モル%以下に抑えることが好ましい。メチルフェニルシロキサン単位((CH3)C6H5SiO2/2)は、可撓性を付与できると同時に、フェニル基含有率を高くすることができるため最も好ましい。また、ジフェニルシロキサン単位((C6H5)2SiO2/2)は、高フェニル基含有率維持の点で優れるが、嵩高いフェニル基が一つのSi上に密集した構造であるため、多量に配合すると立体障害の大きな構造をオルガノポリシロキサン分子にもたらすため、シロキサン骨格の空間的自由度が低下し、芳香環相互のカップリングによる難燃化機構が作用するのに必要な芳香環同士の重なりが困難になり、難燃化効果を低下させる場合がある。従って、D単位はこれら3原料を前述した範囲を満たすように配合して使用すればよいが、主としてメチルフェニルシロキサン単位を使用するのが好ましい。
また、難燃剤のフェニルシロキサンの重量平均分子量は300〜50,000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量が300未満では感光性樹脂組成物のBステージ状態でフェニルシロキサンが染み出してくることがあるため好ましくない。50,000を超えると現像液へのフェニルシロキサンの溶解性が低下し、現像時間が長くなり加工性が低下することがある。更に好ましくは400〜30,000の範囲である。
このようなオルガノポリシロキサン化合物は公知の方法で製造できる。例えば、加水分解縮合反応により上記のシロキサン単位を形成し得るオルガノクロロシラン及び/又はオルガノアルコキシシラン、あるいはその部分加水分解縮合物を、すべての加水分解性基(クロル基、アルコキシ基等)を加水分解するのに過剰の水と原料シラン化合物及び生成するオルガノポリシロキサン化合物を溶解可能な有機溶媒の混合溶液中へ混合し、加水分解縮合反応させることで得られる。所望の重量平均分子量のオルガノポリシロキサ化合物を得るには、反応温度及び時間、水、有機溶媒の配合量を調節することで可能である。使用する際、不要な有機溶媒を除去し、粉体化して使用してもよい。
例えば信越シリコーン(株)製のKF50−100S、KF54、KF56、HIVAC F4、HIVAC F5、X−22−1824B、KR211,KR311などが挙げられ、単独で用いても2種類以上を混合して用いてもよい。
難燃剤は、本発明に用いられるポリイミドや炭素−炭素二重結合を有する化合物の合計量を基準として5〜50重量%用いることが好ましい。5%より少ないと硬化後のカバーレイフィルムに難燃性を付与することが難しくなる傾向があり、50%より多いと硬化後のカバーレイフィルムの機械特性が悪くなる傾向がある。
また、難燃剤として含ハロゲン化合物を用いた場合には、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンを添加すると、プラスチックの熱分解開始温度域で、酸化アンチモンが難燃剤からハロゲン原子を引き抜いてハロゲン化アンチモンを生成するため、相乗的に難燃性を上げることができる。その添加量は、本発明に用いられるポリイミドや炭素−炭素二重結合を有する化合物、難燃剤の合計重量を基準として0.1〜10重量%であることが好ましく、さらに好ましくは1〜6重量%であることが好ましい。
三酸化アンチモンおよび五酸化アンチモンの白色粉末は有機溶媒に溶解しないため、その粉末の粒径が100μm以上であると、感光性樹脂組成物に混入すると白濁し、得られる感光性カバーレイフィルムに難燃性を付与することはできるが、透明性および現像性が低下する傾向にあるので100μm以下であることが好ましい。さらには、感光性カバーレイフィルムの透明性を失うことなく難燃性を上げるためには、粉末の粒径が50μm以下の三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンを用いることが好ましい。さらに好ましくは、粒径10μm以下、もっとも好ましくは粒径5μm以下の粉末である。
粒径が50μm以下の五酸化アンチモンとしては、サンエポックNA−3181、NA−4800、NA−1030、NA−1070L(いずれも日産化学製)、などが挙げられる。
三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンは、粉末のまま感光性樹脂組成物に混入してもよいし、感光性樹脂組成物中で粉末が沈降するようであれば、粉末を有機溶媒に分散させ、ゾル状にしてから混入してもよい。ゾル状にするための具体的な方法としては、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンの粉末とともに分散剤を有機溶媒に添加し、ネットワークを形成して粉末の沈降を防ぐというものである。この分散剤としては気相法シリカ(二酸化ケイ素)とアルミナ(三酸化アルミニウム)の混合物を用いることができる。この分散剤は、三酸化アンチモンおよび/または五酸化アンチモンの重量の2〜5倍重量添加することが好ましい。
前述の本発明に用いられるポリイミド・炭素−炭素二重結合を有する化合物・光反応開始剤等を有機溶媒に溶解させ根構成樹脂組成物の溶液とする。このようにして得られた感光性樹脂組成物の溶液を乾燥させてフィルム状の感光性ドライフィルムレジストとする。この際、金属やPET等の支持体の上に塗布し、乾燥後、支持体より剥がして単独のフィルムとして取り扱ってもいし、PET等のフィルムの上に積層されたままの状態で用いることもできる。この感光性樹脂組成物の乾燥温度は、熱によりエポキシ或いは2重結合若しくは3重結合がつぶれてしまわない温度で行うことが望ましく、具体的には180℃以下、好ましくは150℃以下である。
このようにして得られた感光性ドライフィルムレジストの使用法の一例について説明する。通常、FPCの工程は、長尺のフィルムに接着剤を連続的に塗布し、連続的に乾燥され、銅箔と連続的にラミネートされるため生産性がよい。しかし、従来の技術でも述べたが、貼り合わせる前のカバーレイフィルムに回路の端子部や部品との接合部に一致する穴や窓を開ける加工をした後、カバーレイフィルムの穴等を、FPCの端子部や部品との接合部に合わせる位置合わせ工程はほとんど手作業に近く、しかも小さなワークサイズでバッチで貼り合わせるため作業性及び位置精度が悪くまたコストもかかるものであった。
本発明における感光性ドライフィルムレジストは、150℃以下の温度でラミネートでき、接着剤を介さずに直接にプリント基板に積層することが可能である。このラミネート温度は、低いほうが好ましく、好ましくは130℃以下、更に好ましくは110℃以下である。
また、本発明の感光性ドライフィルムレジストは、FPCと感光性ドライフィルムレイジストを貼り合わせてから、露光・現像することにより、FPC端子部と接合するための穴をあけることができ、位置精度・作業性の問題を改善することができる。
FPCは、半田で接合する際に200℃以上の高温に数秒曝し接合する。よって、硬化後の感光性ドライフィルムレジストの耐熱温度は高いほうが好ましく、硬化後の感光性ドライフィルムレジスト単独の熱分解温度は、300℃以上であり、好ましくは320℃以上、更に好ましくは340℃以上である。
FPCの導体層には、主に銅が用いられる。200℃を超える温度に、銅を曝せば、徐々に銅の結晶構造が変化し、強度が低下する。よって、硬化温度を200℃以下にすることが必要である。
このようにして得られた感光性ドライフィルムレジストとFPCを貼り合わせる工程について説明する。この工程は、予め銅箔等の導電体によって回路が形成されたFPCの導電体面を感光性ドライフィルムレジストにより保護する工程である。具体的に、FPCと感光性ドライフィルムレジストをあわせて、熱ラミネート、熱プレス或いは熱真空ラミネートにより貼り合わせる。この時の貼り合わせ温度は、熱によりエポキシ基或いは2重結合若しくは3重結合が化学的な活性を失わない温度で行うことが望ましく、具体的には180℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
感光性樹脂組成物の溶液を、予め銅箔等の導電体によって回路が形成されたFPCの導電体面上に直接塗布乾燥しても、実質上感光性ドライフィルムを貼り合せたものと同様の被膜を形成することができる。塗布乾燥温度は、熱によりエポキシ基或いは2重結合若しくは3重結合が化学的な活性を失わない温度で行うことが望ましく、具体的には180℃以下、好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。
つぎに、この被膜に、所定のパターンのフォトマスクを介して光を照射した後、現像液、例えばアルカリ水溶液により未露光部を溶解除去して、所望のパターンを得る。この現像工程は、通常のポジ型フォトレジスト現像装置を用いて行ってもよい。
上記現像液としては、水系現像液を用いることができる。例えば、現像液は、塩基性を呈する水溶液、1種類の化合物の溶液でもよく、2種類以上の化合物の溶液でもよい。前記塩基性水溶液は、通常、塩基性化合物を水に溶解した溶液である。塩基性化合物の濃度は、通常0.1〜50重量%とするが、支持基板等への影響などから、0.1〜30重量%とすることが好ましい。なお、現像液は、ポリイミドの溶解性を改善するため、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N一ジメチルアセトアミド等の水溶性有機溶媒を一部含有していてもよい。
上記塩基性化合物としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウムイオンの、ホウ酸化合物または炭酸塩や、アミン化合物などが挙げられ、具体的には、2一ジメチルアミノエタノール、3−ジメチルアミノ−1−プロパノ−ル、4−ジメチルアミノ−1−ブタノール、5−ジメチルアミノ−1−ペンタノール、6−ジメチルアミノ−1−ヘキサノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、3−ジメチルアミノ−2,2一ジメチル−1−プロパノール、2−ジエチルアミノエタノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジイソプロピルアミノエタノール、2−ジ−n−ブチルアミノエタノール、N,N−ジベンジル−2−アミノエタノール、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール、2−(2−ジエチルアミノエトキシ)エタノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、1−ジエチルアミノ−2−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N−n−ブチルジエタノールアミン、N−t−ブチルジエタノールアミン、N一ラウリルジエタノールアミン、3−ジエチルアミノ−1,2−プロパンジオール、トリエタノールアミン、トリイソプロパノ−ルアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−n−ブチルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、1−アミノ−2−プロパノール、2−アミノ−2,2−ジメチル−1−プロパノール、1−アミノブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、N−(2−アミノエチル)エタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール,2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−アミノ−1,2−プロパンジオール、2−アミノ−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、アミノメタノール、2−アミノエタノール、3−アミノプロパノール、2−アミノプロパノール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリイソプロピルアミンなどを用いることが好ましいが、水或いはアルコールに可溶であり、溶液が塩基性を呈するものであれば、これら以外の化合物を用いてもかまわない。
現像によって形成したパターンは、次いでリンス液により洗浄して、現像溶媒を除去する。リンス液には、現像液との混和性の良いメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、水などが好適な例としてあげられる。
上述の処理によって得られたパターンを、20℃から200℃までの選ばれた温度で加熱処理することにより、本発明の感光性樹脂組成物のパターンが高解像度で得られる。この感光性樹脂組成物のパターンは、耐熱性が高く、機械特性に優れる。
このようにして本発明の感光性樹脂組成物を用いてFPCのカバーレイを作製することができる。
以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例における感光性樹脂組成物の調製、感光性ドライフィルムレジストの作製、感光性樹脂組成物および感光性ドライフィルムレジストの評価は以下のように行った。
(1)感光性樹脂組成物の調製
本発明に用いられるポリイミド、炭素−炭素二重結合を有する化合物、エポキシ化合物、光反応開始剤を混合し、有機溶媒に溶解して感光性樹脂組成物を調製した。
(2)感光性ドライフィルムレジストの作製
上記感光性樹脂組成物をPETフィルム(厚み25μm)上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、90℃で2分乾燥して有機溶媒を除去し、感光性ドライフィルムレジストとした。
(3)感光性樹脂組成物および感光性ドライフィルムレジストの評価
得られた感光性樹脂組成物および感光性ドライフィルムレジストについて以下の方法により諸特性の評価を行った。
<積層体の作製>:感光性樹脂組成物
上記(1)で調製した感光性樹脂組成物の溶液を電解銅箔(三井金属製3EC−VLP 1オンス(厚み35μm))の輝面にバーコーターを用い塗布し、90℃で2分乾燥して有機溶媒を除去し積層体とした。
<積層体の作製>:感光性ドライフィルムレジスト
上記(2)で作製した感光性ドライフィルムレジストの感光性樹脂組成物面を電解銅箔(三井金属製3EC−VLP 1オンス(厚み35μm))の輝面に積層し、遮光しながら100℃、20000Pa・mでラミネート加工し積層体とした。
<現像性>:感光性樹脂組成物
上記で作製した感光性樹脂組成物の積層体の上にマスクパターンをのせ、波長400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、1重量%のNaCO3水溶液或いは1重量%の水酸化ナトリウム水溶液(液温40℃)で現像した。フォトマスクパターンは、直径500μmφ、200μmφ、100μmφの微細な穴及びライン/スペースが500μm/500μm、200μm/200μm、100μm/100μmのラインを描いたものである。現像後、次いで蒸留水により洗浄して現像液を除去することによって、パターンを形成した。顕微鏡で確認し、少なくとも直径500μmφの穴およびライン/スペースが500μm/500μmのパターンが現像できていれば、合格とした。
<現像性>:感光性ドライフィルムレジスト
上記で作製した感光性ドライフィルムレジストの積層体のPETフィルム上にマスクパターンをのせ、波長400nmの光を300mJ/cm2だけ露光した。このサンプルのPETフィルムを剥離した後は、上記感光性樹脂組成物の現像性評価と同様に、現像・現像液除去のための洗浄を行い、パターンを形成した。このパターンの現像性を、上記感光性樹脂組成物の現像性評価と同様の判定基準で判定した。
<吸水率>
上記(1)で調製した感光性樹脂組成物の溶液を電解銅箔(三井金属製3EC−VLP 1オンス(厚み35μm))の輝面にバーコーターを用い塗布し、90℃で2分乾燥して有機溶媒を除去し積層体とした。この積層体をエッチングにより銅箔を除去、水洗、100℃で30分乾燥して、25μ厚み10cm角のサンプルを作製した。この重量を測定してA1とする。25μ厚み10cm角のサンプルを蒸留水に23℃で24時間浸漬し、表面の水を拭いて除去し直ちに重量を測定した。この重量をA2とする。下記式より吸水率を求めた。
吸水率(%)=(A2−A1)÷A1×100
<密着性>
感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストの積層体をフォトマスクなしで波長400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、160℃で2時間加熱し、IPC TM650 2.4.28.1 に記載のクロスカットピール試験を行った。剥がれが無いものを、合格と判定した。一部でも剥離するものは不合格と判定した。
<耐マイグレーション性>
新日鐵化学製フレキシブル銅貼積層板(ポリイミド系の樹脂の片面に銅箔を形成している片面銅貼積層板:SC18−25−00FR)に図1に示すライン/スペース=50μm/50μmの櫛型パターンを形成した。
感光性樹脂溶液を直接塗布する場合は、上記(1)で調製した感光性樹脂組成物の溶液を上記櫛型パターンにバーコーターを用い塗布し、90℃で2分乾燥して有機溶媒を除去し積層体とした。
感光性ドライフィルムレジストとしてから積層する場合は、この櫛型パターンの上に、感光性ドライフィルムレジストを積層し、条件100℃、20000Pa・mでラミネートした。波長400nmの光を400mJ/cm2だけ露光し、その後、180℃で2時間加熱して積層した。
85℃、85%RHの環境試験機中で、被覆した櫛型パターンの両端子に60Vの直流電圧を印加し、抵抗値の変化や顕微鏡観察によりデンドライトの有無を含めマイグレーションの有無を観察した。
<反り量>
上記(2)で作製した感光性ドライフィルムレジストを鐘淵化学工業株式会社製 ポリイミドフィルム アピカルNPI(25μm厚み)に積層し、遮光しながら100℃、20000Pa・mでラミネート加工するか或いは本発明の感光性樹脂組成物溶液をアピカルNPIに直接塗布乾燥して得られるこの積層体に、波長400nmの光を400mJ/cm2だけ露光し、10cm角の大きさにカットした。PETフィルムを剥がした後、180度で1時間加熱した。23℃、65%RHの条件下で24時間放置後、この硬化後の積層体を平らな面に置き、平らな面から浮き上がっている距離の最大値(mm)を反り量とした。感光性ドライフィルム側を上にして平らな面に置いた場合に浮き上がる場合を+の反り量、アピカルNPIを上にして平らな面に置いた場合に浮き上がる場合を−の反り量とした。
<半田耐熱温度>
感光性樹脂組成物及び感光性ドライフィルムレジストの積層体をフォトマスクなしで波長400nmの光を300mJ/cm2だけ露光し、160℃で2時間加熱し、40℃95%RH 24時間調湿後、半田浴に10秒浸漬し、表面の膨れ及び変色の有無を観察した。膨れ・変色の無かった最高温度を半田耐熱温度とした。
<ポリイミドの分子量>
サイズ排除クロマトグラフィーにより下記条件で測定した。
使用機器:東ソー株式会社製HLC-8220GPC
カラム :東ソー株式会社製 TSKgel Super AWM-H 2本
展開液 :30mM LiBr+20mM H3PO4のDMF溶液
流 速 :0.6ml/分
カラム温度:40℃
検出器 :RI
試料濃度:1.0mg/ml
基準物質:ポリエチレンオキシド、ポリエチレングリコール
下記実施例1〜5では、ポリイミドの原料として、1,2-エタンジベンゾエート-3,3’,4,4’−テトラカルボン酸二無水物(以下、TMEGと示す)4,4’−(4,4’−イソプロピリデンジフェノキシ)ビスフタル酸無水物(以下、BPADAと示す。)、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(以下、BTDAと示す。)、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(以下、a−BPDAと示す)を用いた。溶媒として、N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)およびジオキソラン(感光性ドライフィルムレジストを作製する際に使用)を用いた。
(実施例1)
攪拌機を設置した500 mlのセパラブルフラスコに、BPADA 52.05g(100mmol)、22,2−ジメチル−1、3−プロパンジオール 5.21g(50mmol)、DMF100gをとり、窒素気流下120℃で2時間反応した。次いで反応溶液を放冷し、シロキサンジアミンの一例であるシリコンジアミンKF-8010(信越シリコーン製)41.5 g (50mmol)を加え、窒素気流下で20℃に1時間反応を行ってポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を真空オーブンで200℃2時間(10hPa)加熱して、94gのポリイミドを得た。重量平均分子量は105000、重量平均分子量/数平均分子量=2.8であった。
(感光性ドライフィルムレジストの作製)
以下に示す成分を混合してジオキソラン溶液に固形分濃度30%になるように溶解して感光性樹脂組成物を調製し、前述の(2)の方法でPETフィルム上にBステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。このPETフィルム付き感光性ドライフィルムレジストの上に保護フィルムをラミネートして三層構造シートを作製した。
(A)上記方法により合成したポリイミド 54重量部
(B)炭素−炭素二重結合を有する化合物:ダイセル ユーシービー株式会社製 EB3708(変性エポキシアクリレート)25重量部、および第一工業製薬株式会社製BR−42M 20重量部
(C)エポキシ化合物:なし
(D)光反応開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 1重量部
(物性評価結果)
現像性試験(現像液3重量%Na2CO3水溶液)を行ったところ、直径100μmφの微細な穴及びライン/スペースが100μm/100μmのパターンが現像できており、合格であった。密着性は剥がれるものが無く合格であった。反り量は0mmであった。また吸水率は1.3%であった。耐マイグレーション性は500時間以上10-6Ω以上の抵抗値を示し、デンドライトは観察されなかった。半田耐熱温度は295℃であった。
(実施例2)
(ポリイミドの合成)
攪拌機を設置した500 mlのセパラブルフラスコに、TMEG 41.0g(100mmol)、エチレングリコール 1.86g(30mmol)、シロキサンジアミンの一例であるシリコンジアミンKF-8010(信越シリコーン製)49.8 g (60mmol)を加え、窒素気流下で180℃に90分間加熱し、ポリイミド88gを得た。重量平均分子量は13000、重量平均分子量/数平均分子量=3.0であった。
(感光性ドライフィルムレジストの作製)
以下に示す成分を混合してジオキソラン溶液に固形分濃度40%になるように溶解して感光性樹脂組成物を調製し、前述の(2)の方法でPETフィルム上にBステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。このPETフィルム付き感光性ドライフィルムレジストの上に保護フィルムをラミネートして三層構造シートを作製した。
(A)上記方法により合成したポリイミド 54重量部
(B)炭素−炭素二重結合を有する化合物:共栄社化学株式会社製 ライトアクリレートNP-4EA 10重量部、および第一工業製薬株式会社製BR−42M 20重量部
(C)エポキシ化合物:グリシジルノニルフェニルエーテル(沸点312℃)15重量部
(D)光反応開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 1重量部
(物性評価結果)
現像性試験(現像液3重量%Na2CO3水溶液)を行ったところ、直径100μmφの微細な穴及びライン/スペースが100μm/100μmのパターンが現像できており、合格であった。密着性は剥がれるものが無く合格であった。反り量は0mmであった。また吸水率は1.3%であった。耐マイグレーション性は500時間以上10-6Ω以上の抵抗値を示し、デンドライトは観察されなかった。半田耐熱温度は290℃であった。
(実施例3)
攪拌機を設置した500 mlのセパラブルフラスコに、TMEG 41.0g(100mmol)、p−キシリレングリコール 4.84g(35mmol)、シロキサンジアミンの一例であるシリコンジアミンKF-8010(信越シリコーン製)49.8 g (60mmol)を加え、窒素気流下で180℃に90分間加熱し、ポリイミド91.5gを得た。重量平均分子量は23000、重量平均分子量/数平均分子量=2.7であった。
(A)上記方法により合成したポリイミド 54重量部
(B)炭素−炭素二重結合を有する化合物:共栄社化学株式会社製 ライトアクリレートNP-4EA 20重量部、および大阪有機化学株式会社製V#2308 20重量部
(C)エポキシ化合物:グリシジルノニルフェニルエーテル15重量部
(D)光反応開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 1重量部
(E)その他:大塚化学株式会社製 フォスファゼン化合物SP−100 10重量部
(物性評価結果)
現像性試験(現像液3重量%Na2CO3水溶液)を行ったところ、直径100μmφの微細な穴及びライン/スペースが100μm/100μmのパターンが現像できており、合格であった。密着性は剥がれるものが無く合格であった。反り量は0mmであった。また吸水率は1.3%であった。耐マイグレーション性は500時間以上10-6Ω以上の抵抗値を示し、デンドライトは観察されなかった。半田耐熱温度は290℃であった。
(実施例4)
攪拌機を設置した500 mlのセパラブルフラスコに、BTDA 32.2g(100mmol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール 5.21g(50mmol)、DMF100gをとり、窒素気流下120℃で2時間反応した。次いで反応溶液を放冷し、シロキサンジアミンの一例であるシリコンジアミンKF-8010(信越シリコーン製)41.5 g (50mmol)を加え、窒素気流下で20℃に1時間反応を行ってポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液を真空オーブンで200℃2時間(10hPa)加熱して、74gのポリイミドを得た。重量平均分子量は15000、重量平均分子量/数平均分子量=3.2であった。
(A)上記方法により合成したポリイミド 54重量部
(B)炭素−炭素二重結合を有する化合物:共栄社化学株式会社製 ライトアクリレートNP-4EA 20重量部、およびダイセル・ユーシービー株式会社製3708 20重量部
(C)エポキシ化合物:グリシジルノニルフェニルエーテル 15重量部
(D)光反応開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 1重量部
(E)その他:大塚化学株式会社製 フォスファゼン化合物SP−100 10重量部
(物性評価結果)
現像性試験(現像液3重量%Na2CO3水溶液)を行ったところ、直径100μmφの微細な穴及びライン/スペースが100μm/100μmのパターンが現像できており、合格であった。密着性は剥がれるものが無く合格であった。反り量は0mmであった。また吸水率は1.3%であった。耐マイグレーション性は500時間以上10-6Ω以上の抵抗値を示し、デンドライトは観察されなかった。半田耐熱温度は285℃であった。
(実施例5)
攪拌機を設置した500 mlのセパラブルフラスコに、a−BPDA 29.42g(100mmol)、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール 3.12g(30mmol)、ジメチルフォルムアミド60gをとり、100℃で2時間加熱した。次いでシロキサンジアミンの一例であるシリコンジアミンKF-8010(信越シリコーン製)33.2g (40mmol)、BAPS−M8.61g(20mmol)、DMFgを加え、減圧下で180℃に90分間加熱し、ポリイミド70gを得た。重量平均分子量は13000、重量平均分子量/数平均分子量=3.0であった。
(A)上記方法により合成したポリイミド 54重量部
(B)炭素−炭素二重結合を有する化合物:共栄社化学株式会社製 ライトアクリレートNP-4EA 20重量部、および大阪有機化学株式会社製V#2308 20重量部
(C)エポキシ化合物:グリシジルノニルフェニルエーテル 15重量部
(D)光反応開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 1重量部
(E)その他:大塚化学株式会社製 フォスファゼン化合物SP−100 10重量部
(物性評価結果)
現像性試験(現像液3重量%Na2CO3水溶液)を行ったところ、直径100μmφの微細な穴及びライン/スペースが100μm/100μmのパターンが現像できており、合格であった。密着性は剥がれるものが無く合格であった。反り量は0mmであった。また吸水率は1.3%であった。耐マイグレーション性は500時間以上10-6Ω以上の抵抗値を示し、デンドライトは観察されなかった。半田耐熱温度は280℃であった。
(比較例1)
可溶性ポリイミドの代わりにメタクリル酸の共重合体(メタクリル酸メチル57重量%、メタクリル酸23重量%、アクリル酸ブチル10重量%の三元共重合体:重量平均分子量8.5万)を用いた。
(感光性ドライフィルムレジストの作製)
以下に示す成分を混合して感光性樹脂組成物を調製し、前述の(2)の方法でPETフィルム上にBステージ状態の感光性ドライフィルムレジストを作製した。このPETフィルム付き感光性ドライフィルムレジストの上に保護フィルムをラミネートして三層構造シートを作製した。
(A)高分子バインダー:上記メタクリル酸の共重合体 60重量部
(B)炭素−炭素二重結合を有する化合物:共栄社化学株式会社製 ライトアクリレートNP-4EA 20重量部、およびビスフェノールA EO変性(m+n≒2)ジアクリレート(東亞合成株式会社製 アロニックスM−208)30重量部
(D)光反応開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド 1重量部
(物性評価結果)
現像性試験(現像液1重量%NaCO3水溶液)を行ったところ、100μmφの微細な穴及び100μm/100μmのラインが現像できており、合格であった。密着性は一部剥離するものがあり不合格であった。反り量は5mmであった。また吸水率は3.0%であった。耐マイグレーション性は約75時間で10-6Ωの抵抗値を下まわり、デンドライトが観察された。半田耐熱温度は、220℃以下であり、鉛フリー半田温度(250℃)を下まわった。