JP4472204B2 - 回転圧入杭の駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、昇降可能に設けた駆動装置で鋼管杭やケーシングを回転させて地中に建て込む回転圧入杭の駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
本発明の実施の形態である図3に示すように、従来から自走可能な施工機本体1の前部にリーダ2を立設し、これに付設したガイドレール2aに係合させて杭駆動装置3を昇降可能に設け、鋼管杭を回転させながら地中に押し込んで建て込む杭施工機が知られている。
【0003】
鋼管杭の回転駆動は油圧モータによっており、杭が支持地盤に達したときは杭径などにより予め設定した所定の回転トルクで建て込まれる必要があるので、通常、油圧モータの出力トルクを監視するトルク管理装置(例えば、特開平10−280409号)を設けている。
【0004】
油圧モータの油圧回路は、特開平10−280409号公報では図4に示すように、制御圧に応じて押しのけ容積が可変な油圧モータ6を油圧ポンプ10から切換弁11を介して接続している。
そして、供給圧センサ17および制御圧センサ16の検知信号を取り入れて設定トルク(杭が支持地盤に達し杭を回転させて建て込むときの値)と出力トルクを演算して表示するとともに油圧モータの押しのけ容積を変える電磁制御弁15へ信号を送る管理制御装置14を設けて、要求される回転トルクになるように管理している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
油圧モータの出力トルクTは、供給圧をP3、油圧モータの1回転当たりの押しのけ容積をVとすると、T=V×P3/2πで表される。また、押しのけ容積Vは斜板の角度を変える制御圧P2に比例するので、T=α×P2×P3/2πと直すことができる。
【0006】
したがって、出力トルク(T)は、制御圧(P2)と油圧モータへの供給圧(P3)を検知すれば演算して求めることができ、また、設定トルクは、P3の代わりに油圧モータへの供給路に設けたリリーフ弁の設定圧力P1を代入することによって求めることができる。なお、αは比例定数である。
【0007】
ところで、回転圧入時の出力トルクは変動が大きく、小型の杭施工機では油圧モータの回転トルクが不足する場合がしばしば起こり、回転トルクの大きな駆動装置が要望されている。
出力トルクを上げるには押しのけ容積の大きな油圧モータを使用すればよいが、一般に、油圧モータの押しのけ容積の可変範囲は、容積比が3:1程度となっており、回転トルクの調整はこの範囲でしかできないので、押しのけ容積の大きな油圧モータを使用すると回転トルクの上限値は高くできるが、下限値も上がることになる。
【0008】
このため、例えば小径などの設定トルクの低い杭を施工する場合には出力トルクが設定トルクを超えてしまうことが多くなり、トルク管理ができないこととなったり、場合によっては杭が破損してしまう虞れがある。
そこで、本発明は、高い回転トルクで杭を駆動でき、必要に応じて低い回転トルクにすることができる回転圧入杭の駆動装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では次の手段を採った。即ち、昇降可能に設けた杭駆動装置に備えられた減速機の出力軸に支持された杭を、前記出力軸にギア接続されている油圧モータにて前記杭を回転させるとともに前記杭駆動装置にて地中に押し込んで前記杭を建て込む回転圧入杭の駆動装置において、前記油圧モータとして、制御流路に設けた電磁制御弁からの制御圧に応じて押しのけ容積が可変で、かつ、仕様が同じ油圧モータを油圧ポンプから切換弁を介して並列に少なくとも2個設け、一方の油圧モータと他方の油圧モータの圧油の供給路と排出路が連通する流路に、他方の油圧モータへの供給路と排出路を遮断するとともに他方の油圧モータの供給路と排出路を連通するように切り換える循環バルブを設け、該循環バルブが、一方の油圧モータと他方の油圧モータの供給路と排出路を連通しているときは、各油圧モータの電磁制御弁には同時に同じ値が指令され、減速機を介して一方の油圧モータと他方の油圧モータとで前記杭を回転し、前記循環バルブの切り換えで、他方の油圧モータの供給路と排出路が連通したときは、他方の油圧モータの電磁制御弁への指令により、他方の油圧モータの押しのけ容積が最小となるように制御して、減速機を介して一方の油圧モータで前記杭を回転することを特徴としている。
【0010】
この発明は、回転圧入杭の回転駆動を行う可変吐出型の油圧モータを複数個並列に設けて、高い回転トルクで杭を駆動できるようにするとともに、低い回転トルクが必要とされる場合に杭を駆動する油圧モータの数を制限するようにしたものである。
【0011】
ここで、回転圧入杭は鋼管杭やケーシングを意味し、これの施工機は、自走できる施工機本体の前部にリーダを立設し、リーダに付設したガイドレールに杭駆動装置を案内昇降させるようにしたものが一般的であるが、本発明はこれに限るものではなく、例えばケーシングを把持して回転するとともに地中へ押し込む場所打ち杭工法で使用されるケーシングドライバなども含まれる。また、回転圧入杭の地中への押込み手段はどんなものでもよく、例えば動力を備えず装置の重量を利用するものも含まれる。
【0012】
油圧モータの個数は要求される回転トルクに基づいて決めればよいが、油圧モータの仕様は同じものを使用し、制御を簡素にす。また、循環バルブの切り換えによって油が循環するときは、油が循環する油圧モータ押しのけ容積が最小となるように制御すれば、循環に費やされる動力を少なくすることができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、上記説明した従来例(図4)に示す機器や部材が同じであるものは同一符号で示している。杭施工機は図3に示すように、自走可能な施工機本体1の前部にリーダ2を立設し、これに付設したガイドレール2aに係合させて杭駆動装置3を昇降可能に設けている。
【0014】
杭駆動装置3にはリーダ2の上下両端に設けたスプロケット4に張設されたチェーン5の両端が連結されており、該スプロケット4を図示しない別途設けた駆動装置で駆動することにより、杭駆動装置3がガイドレール2aに案内されて昇降するように構成されている。
【0015】
杭駆動装置3は2個の油圧モータ21,22とこれに接続された減速機20を備え、減速機20の出力軸には杭9を支持する杭支持金具8が設けられている。
この油圧モータ21,22の油圧回路は図1に示すように、油圧ポンプ10から切換弁11を介して接続され、切換弁11と油圧モータ21とは流路25と26によって接続され、油圧モータ22は流路25と流路26から分岐した流路27、28によってそれぞれ接続されている。そして、流路27および流路28には循環バルブ23が設けられている。
【0016】
この循環バルブ23は流路25および流路26を流路27および流路28と連通するポジションと、流路25および流路26を流路27および流路28と遮断し、流路27と流路28を連通するポジションの2つがあり、ソレノイドを励磁することによって切り換えられる。なお、この切換スイッチ41は管理制御装置40に設けられている。
【0017】
また、油圧モータ21と油圧モータ22とは流路33と流路34で連通されておりこの流路にはチェック弁31、32が設けられている。なお、12はリリーフ弁で、17は供給圧センサである。
油圧モータ21と油圧モータ22は同じもので、斜板の傾きによって押しのけ容積が変わり、斜板の傾きは斜板制御部21a,22aに制御圧P2 を供給することによって変えている。
【0018】
油圧モータ21,22の斜板制御部21a,22aへ送る制御圧は別途設けた制御ポンプから制御流路19、19aを通し、電磁制御弁15,15aを介してそれぞれ供給される。
電磁制御弁15,15aはここでは電磁比例減圧弁を用いており入力される指令信号に応じて制御流路19,19aから導入される制御圧を減圧して斜板制御部21a,22aに導いている。電磁制御弁15,15aは制御流路19,19aの圧力の変動にかかわらず二次圧が一定となるように、二次圧と電磁力との釣合により弁開度が決定されるものである。また、制御流路19には斜板制御部21aへの制御圧P2(電磁制御弁15の二次側)を検知する制御圧センサ16が設けられている。
【0019】
一方、運転室には、制御圧P2を設定するための設定ダイヤル42と上記循環バルブ23の切換スイッチ41と、設定トルクTsおよび出力トルクTを演算して表示する管理制御装置40が設けられている。
設定ダイヤル42は、これを回すことにより制御流路19,19aの電磁制御弁15,15aへの指令信号を任意に変えることができ、したがって、油圧モータ21,22の押しのけ容積を変更できる。なお、電磁制御弁15と電磁制御弁15aへは同時に同じ値が指令される。また、循環バルブ23のソレノイドがONのとき、すなわち、油圧モータ22の供給側と吐出側が連通された時は電磁制御弁15aへの指令は油圧モータ22の押しのけ容積が最小になるように最小の値となるようにしている。
【0020】
杭径や地盤により高い出力トルクを必要とするときは圧油が油圧モータ22にも供給されるように循環バルブ23が連通したポジション(図1の状態)にする。そして、切換弁11を操作すれば、油圧ポンプ10からの圧油は油圧モータ21に供給されるとともに循環バルブ23を通って油圧モータ22に供給され、2個の油圧モータ21,22によって杭を回転させる。
【0021】
一方、杭径が小さいときには切換スイッチ41を操作して循環バルブ23を図2の状態にする。そして、切換弁11を操作すれば、油圧ポンプ10からの圧油は矢印で示すように、流路25から油圧モータ21へ供給され、流路26から切換弁11を介してタンクへ排出される。このとき、油圧モータ22へは油圧ポンプ10からの圧油は供給されないが、杭の回転により油圧モータ22の出力軸が回転することになるので、流路27,28内にある油は矢印で示すように循環バルブ23と油圧モータ22間で循環する。
【0022】
なお、このとき、油圧モータ22の押しのけ容積は最小となっているので、使用される動力は小さなものである。また、循環内の油が不足するときは流路34から補充される。
油圧モータ21,22に供給される供給圧P3は、杭9の回転抵抗に応じて変化する。供給圧センサ17はこの供給圧P3を検出して管理制御装置40に送出し、この供給圧P3と制御圧P2とに基づいて出力トルクTを算出し表示されるので、作業者はこの出力トルクTを監視しながら作業する。
【0023】
杭9が支持地盤に到達したときには回転抵抗が増加し、出力トルクTが設定トルクTs に達する。作業者は切換弁11を操作して、油圧モータへの作動油の供給を停止すればよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の回転圧入杭の駆動装置は、制御圧に応じて押しのけ容積が可変な油圧モータを油圧ポンプから切換弁を介して並列に少なくとも2個設け、一方の油圧モータと他方の油圧モータの圧油の供給路と排出路が連通する流路に、他方の油圧モータへの供給路と排出路を遮断するとともに他方の油圧モータの供給路と排出路を連通するように切り換える循環バルブを設けたので、高い回転トルクが必要とされるときは複数の油圧モータで杭を駆動し、回転トルクを低く押さえたいときには、杭を駆動させる油圧モータを制限すればよく、杭径や地盤などにより必要とされる出力トルクが種々のものに対して適切に杭を駆動することができ、施工範囲が広くなる。
【0025】
また、従来の施工機に循環バルブと油圧モータを追加するだけで簡便に本発明の駆動装置にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての回転圧入杭の駆動装置の油圧回路図である。
【図2】同 油圧モータ22を循環させたときの作動を示す油圧回路図である。
【図3】本実施形態の杭施工機の正面図である。
【図4】従来の回転圧入杭の駆動装置の油圧回路図である。
【符号の説明】
1…杭施工機本体 2…リーダ
2a…ガイドレール 3…杭駆動装置
4…スプロケット 5…チェーン
8…杭支持金具 9…杭
10…油圧ポンプ 11…切換弁
12…リリーフ弁 14…管理制御装置
15,15a…電磁制御弁 16…制御圧センサ
17…供給圧センサ 18…供給流路
19,19a…制御流路 20…減速機
21,22…油圧モータ 21a,22a…斜板制御部
21…電磁比例リリーフ弁 22…管理制御装置
23…循環バルブ 25,26…流路
27,28,29…流路 31,32…チェック弁
33,34…流路 35a…切換制御部
40…管理制御装置 41…切換スイッチ
42…設定ダイヤル

Claims (1)

  1. 昇降可能に設けた杭駆動装置に備えられた減速機の出力軸に支持された杭を、前記出力軸にギア接続されている油圧モータにて前記杭を回転させるとともに前記杭駆動装置にて地中に押し込んで前記杭を建て込む回転圧入杭の駆動装置において、前記油圧モータとして、制御流路に設けた電磁制御弁からの制御圧に応じて押しのけ容積が可変で、かつ、仕様が同じ油圧モータを油圧ポンプから切換弁を介して並列に少なくとも2個設け、一方の油圧モータと他方の油圧モータの圧油の供給路と排出路が連通する流路に、他方の油圧モータへの供給路と排出路を遮断するとともに他方の油圧モータの供給路と排出路を連通するように切り換える循環バルブを設け、該循環バルブが、一方の油圧モータと他方の油圧モータの供給路と排出路を連通しているときは、各油圧モータの電磁制御弁には同時に同じ値が指令され、減速機を介して一方の油圧モータと他方の油圧モータとで前記杭を回転し、前記循環バルブの切り換えで、他方の油圧モータの供給路と排出路が連通したときは、他方の油圧モータの電磁制御弁への指令により、他方の油圧モータの押しのけ容積が最小となるように制御して、減速機を介して一方の油圧モータで前記杭を回転することを特徴とする回転圧入杭の駆動装置。
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