JP4471909B2 - 防振装置 - Google Patents

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Description

本発明は、防振装置に関するものである。
従来より、例えば自動車のサスペンション用ブッシュとして用いられる防振装置が知られている(例えば特許文献1及び2を参照)。
特許文献1及び2の防振装置は、金属製の内筒体と、その内筒体の外周囲に内筒体と同軸に設けられた樹脂製の外筒体と、それら両筒体の間に設けられ、両筒体を互いに連結するゴム弾性体とを備えたものである。
以下、これら防振装置の製造方法を示す。まず、内筒体をゴム射出成形用金型のキャビティにセットして、その状態でキャビティにゴムを射出注入・充填して、ゴム射出成形用金型を加熱する。ゴムの加硫後、ゴム射出成形用金型を離型する。これにより、ゴム弾性体が射出成形されて、内筒体とゴム弾性体とからなる成形品が作製される。次に、成形品を樹脂射出成形用金型のキャビティにセットして、その状態でキャビティに樹脂を射出注入・充填して、樹脂射出成形用金型を冷却する。樹脂の固化後、樹脂射出成形用金型を離型する。これにより、外筒体が射出成形されて、防振装置が作製される。
ここで、ゴム弾性体は、樹脂の射出成形圧(注入圧)で筒軸直交方向(筒軸方向と直交する方向)に予備圧縮されて、耐久性が向上している。
特開昭49−46155号公報 実開平5−75537号公報
ところで、防振装置では、防振特性を向上させるため、筒軸方向及びねじり方向の静動比(=動ばね定数/静ばね定数)を所望の値にしたいという要求がある。しかしながら、樹脂の射出成形圧による予備圧縮では、ゴム弾性体の圧入率は、例えば2〜3%という比較的小さい値であった。そのため、樹脂の射出成形圧による予備圧縮では、筒軸方向及びねじり方向の静動比を狭い範囲でしか調整することができず、それらを所望の値にすることは困難であった。
また、樹脂の射出成形圧による予備圧縮によって、ゴム弾性体の形状が不安定になりやすかった。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、内筒体と、該内筒体の外周囲に内筒体と同軸に設けられた樹脂製の外筒体と、該両筒体の間に設けられ、上記両筒体を互いに連結するゴム弾性体とを備えた防振装置において、筒軸方向及びねじり方向の静動比を所望の値にする技術を提供することにある。また、ゴム弾性体の形状の安定性を向上させる技術を提供することにある。
第1の発明は、内筒体と、該内筒体の外周囲に内筒体と同軸に設けられた樹脂製の外筒体と、該両筒体の間に設けられ、上記両筒体を互いに連結するゴム弾性体とを備えた防振装置であって、上記ゴム弾性体の筒軸方向両端部には、少なくとも1つの孔部が筒周方向の少なくとも一部に亘ってそれぞれ設けられており、上記ゴム弾性体の筒軸方向各端部の少なくとも1つの孔部には、上記外筒体と一体に成形された少なくとも1つの樹脂製のばね体が筒周方向の少なくとも一部に亘って設けられており、上記ゴム弾性体の外周面には、少なくとも1つの凹部が筒周方向の全周に亘って設けられており、上記凹部には、環状の剛体が嵌められていることを特徴とするものである。
これにより、ゴム弾性体の外周面に、少なくとも1つの凹部を筒周方向の全周に亘って設けており、その凹部に、環状の剛体を嵌めているので、それら凹部及び剛体の寸法(例えば凹部の底面の外径、凹部の幅、剛体の内径や幅等)等を調整することによって、剛体による予備圧縮の大きさを比較的広い範囲で調整できる。そのため、ゴム弾性体の圧入率を比較的広い範囲で調整できる。したがって、筒軸方向及びねじり方向の静動比を比較的広い範囲で調整でき、それらを所望の値にすることができる。
また、ゴム弾性体の外周面に、少なくとも1つの凹部を筒周方向の全周に亘って設けており、その凹部に、環状の剛体を嵌めているので、その剛体によってゴム弾性体の形状の安定性を向上させることができる。
第2の発明は、上記第1の発明において、上記孔部は、上記ゴム弾性体の筒軸方向各端部に筒周方向の全周に亘って設けられた1つの孔部で構成されており、上記ばね体は、上記ゴム弾性体の筒軸方向各端部の孔部に筒周方向の全周に亘って設けられた1つのばね体で構成されていることを特徴とするものである。
これにより、本発明の最適形態を実現できる。
第3の発明は、上記第1又は第2の発明において、上記剛体の内径が、該剛体が上記凹部に嵌められる前において、該凹部の底面の外径よりも小さいことを特徴とするものである。
これにより、剛体の内径が、その剛体が凹部に嵌められる前において、その凹部の底面の外径よりも小さいので、凹部に剛体を嵌めることによって、剛体による予備圧縮を確実に付与できる。
第4の発明は、上記第1〜第3のいずれか1つの発明において、上記ゴム弾性体内における上記剛体よりも筒軸直交方向内側の部分には、少なくとも1つの空間部が筒周方向の少なくとも一部に亘って設けられていることを特徴とするものである。
ところで、防振装置にこじり(筒軸方向と直交する軸周りの傾動)外力が入力されたときには、内筒体がその筒軸方向中央点を中心として外筒体に対して相対的に回転して、ゴム弾性体の筒軸方向一端部が筒軸直交方向に圧縮される一方、ゴム弾性体の筒軸方向他端部が筒軸直交方向に引っ張られる。そして、乗り心地を向上させるため、こじり剛性を低めたいという要求がある。
ここで、本発明によれば、ゴム弾性体内における剛体よりも筒軸直交方向内側の部分に、少なくとも1つの空間部を筒周方向の少なくとも一部に亘って設けているので、その空間部によってこじり剛性を低めることができる。
また、防振装置に軸直外力(筒軸直交方向の外力)が入力されたときには、ゴム弾性体の筒軸直交方向一方側が筒軸直交方向に圧縮され、ゴム弾性体の筒軸直交方向他方側が筒軸直交方向に引っ張られることになる。そして、操縦安定性を向上させるため、軸直剛性(筒軸直交方向の剛性)を高めたいという要求がある。
ここで、本発明によれば、ゴム弾性体の筒軸方向両端部に、少なくとも1つの孔部を筒周方向の少なくとも一部に亘ってそれぞれ設けており、ゴム弾性体の筒軸方向各端部の少なくとも1つの孔部に、少なくとも1つの樹脂製のばね体を筒周方向の少なくとも一部に亘って設けているので、ゴム弾性体内にばね体を設けていない場合と比較して、軸直剛性を高め得る。
以上により、こじり方向のばね定数の筒軸直交方向のばね定数に対するばね比を小さくすることができる。
本発明によれば、ゴム弾性体の外周面に、少なくとも1つの凹部を筒周方向の全周に亘って設けており、その凹部に、環状の剛体を嵌めているので、それら凹部及び剛体の寸法(例えば凹部の底面の外径、凹部の幅、剛体の内径や幅等)等を調整することによって、剛体による予備圧縮の大きさを比較的広い範囲で調整できる。そのため、ゴム弾性体の圧入率を比較的広い範囲で調整できる。したがって、筒軸方向及びねじり方向の静動比を比較的広い範囲で調整でき、それらを所望の値にすることができる。
また、ゴム弾性体の外周面に、少なくとも1つの凹部を筒周方向の全周に亘って設けており、その凹部に、環状の剛体を嵌めているので、その剛体によってゴム弾性体の形状の安定性を向上させることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る防振装置10の平面図であり、図2は図1のII−II線の断面図である。防振装置10は、自動車のサスペンション用ブッシュとして用いられている。防振装置10は、中空円筒状の金属製の内筒体11と、その内筒体11の外周囲に内筒体11と同軸に配設された中空円筒状の外筒体12と、それら両筒体11,12の間に配設されて、両筒体11,12を互いに連結するゴム弾性体13とを備えている。
内筒体11の外周面とゴム弾性体13の内周面とは、互いに接着剤で接着された接着状態である。外筒体12は、樹脂製のものであり、サスペンションリンクの筒部14(図2にのみ図示)内に圧入固定されている。ゴム弾性体13の材料は、例えば天然ゴムである。
ゴム弾性体13の筒軸方向両端面には、筒軸方向外側に向かって開口した、孔部としての1つのすぐり部15がそれぞれ配設されている。各すぐり部15は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部の内筒体11寄りに、筒周方向の全周に亘って連続して設けられている。すなわち、各すぐり部15は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部における筒軸方向の互いに対向する部分に、筒軸方向視で環状に形成されている。各すぐり部15は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端面から筒軸方向中央部付近まで延びている。各すぐり部15は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部に内筒体11の外周面との距離が筒軸方向内側から外側に行くに従って大きくなるように設けられている。すなわち、各すぐり部15は、筒軸方向内側から外側に行くに従って筒軸直交方向(筒軸方向と直交する方向。筒径方向)外側に拡開するように形成されている。
外筒体12の筒軸方向両端部には、樹脂製の1つのばね体16がそれぞれ配設されている。各ばね体16は、外筒体12と一体に射出成形されている。これら各ばね体16及び外筒体12の材料は、例えばアシアミド、ポリアミド、ナイロン、PPO(ポリフェニレンオキサイド)、ポリエステル等である。
各ばね体16は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端面の一部を覆う蓋部17と、各すぐり部15に埋設された埋設部18とを有している。
各蓋部17は、外筒体12の筒軸方向各端部に一体に設けられている。各蓋部17は、筒軸方向視で環状に形成されていて、ゴム弾性体13の筒軸方向各端面におけるすぐり部15の外周部に配置されている。各蓋部17の筒軸方向内側面とゴム弾性体13の筒軸方向各端面とは、互いに接着剤で接着されていない非接着状態である。
各埋設部18は、各蓋部17の内周部に一体に設けられている。各埋設部18は、各すぐり部15に筒周方向の全周に亘ってかつ筒軸方向の全域に亘って設けられている。すなわち、各埋設部18は、各すぐり部15の全部を塞ぐように設けられている。各埋設部18は、各すぐり部15の形状に合うように形成されている。すなわち、各埋設部18は、筒軸方向内側から外側に行くに従って筒軸直交方向外側に拡開する中空円錐台(中空略円筒)状に形成されている。各埋設部18の外面と各すぐり部15とは、非接着状態である。
ゴム弾性体13の外周面の筒軸方向中央部には、筒軸直交方向内側に窪んだ1つの凹部19が筒周方向の全周に亘って連続して設けられている。
凹部19には、環状の剛体(以下、剛体リングという)20が嵌められている。剛体リング20の材料は、例えば金属、樹脂等である。剛体リング20の内径は、その剛体リング20がゴム弾性体13の凹部19に嵌入される前において、その凹部19の底面の外径よりも小さい。剛体リング20の幅(筒軸方向長さ)は、凹部19の幅とほぼ同じである。剛体リング20の内周面及び上下面と凹部19とは、非接着状態である。
図3は試料としての直方体状のゴムブロック体の圧入率と、そのゴムブロック体の所定の方向の静動比との関係を示す図である。図3から分かるように、圧入率が変化すると、静動比も変化し、圧入率が所定の値の場合、静動比は最も小さい値となる。なお、静動比は、防振特性の向上の観点から、小さい値が好ましい。
ここで、本実施形態では、凹部19や剛体リング20の寸法(例えば凹部19の底面の外径、凹部19の幅、剛体リング20の内径や幅等)等を調整することによって、剛体リング20による予備圧縮の大きさを比較的広い範囲で調整できる。そのため、ゴム弾性体13の圧入率を比較的広い範囲で調整できる。したがって、筒軸方向及びねじり方向の静動比を比較的広い範囲で調整でき、それらを所望の値にすることができる。なお、剛体リング20によるゴム弾性体13の圧入率をL、剛体リング20を凹部19に嵌める前におけるその凹部19の底面の外径をφA(図4(a)を参照)、剛体リング20を凹部19に嵌めた後におけるその凹部19の底面の外径をφA´(図4(b)を参照)とすると、L=[(φA−φA´)/φA]×100である。本実施形態では、凹部19や剛体リング20の寸法を、剛体リング20によるゴム弾性体13の圧入率Lが例えば20〜40%の値になるように設定している。
−防振装置の製造方法−
以下、図4を参照しながら、本実施形態の防振装置10の製造方法について説明する。
まず、内筒体11の外周面に接着剤を塗布する。
次に、内筒体11をゴム射出成形用金型(図示せず)のキャビティにセットして、その状態でキャビティに所定のゴム射出注入孔を介してゴムを射出注入・充填して、ゴム射出成形用金型を加熱する。ゴムの加硫後、ゴム射出成形用金型を離型する。これにより、図4(a)に示すように、ゴム弾性体13が射出成形されて、内筒体11とゴム弾性体13とからなる成形品が作製される。
次に、図4(b)に示すように、成形品のゴム弾性体13の凹部19に剛体リング20を嵌め込む。ここで、ゴム弾性体13は、剛体リング20で筒軸直交方向に予備圧縮されて、耐久性が向上している。なお、この剛体リング20による予備圧縮では、ゴム弾性体13の圧入率は、20〜40%という比較的大きい値である。
次に、剛体リング20が嵌め込まれた成形品を樹脂射出成形用金型(図示せず)のキャビティにセットして、その状態でキャビティに所定の樹脂射出注入孔を介して樹脂を射出注入・充填して、樹脂射出成形用金型を冷却する。樹脂の固化後、樹脂射出成形用金型を離型する。これにより、図4(c)に示すように、外筒体12及び各ばね体16が一体に射出成形されて、防振装置10が作製される。ここで、ゴム弾性体13は、樹脂の射出成形圧(注入圧)で筒軸直交方向にさらに予備圧縮されて、耐久性がさらに向上している。なお、この樹脂の射出成形圧による予備圧縮では、ゴム弾性体の圧入率は、例えば2〜3%という比較的小さい値である。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、ゴム弾性体13の外周面に、1つの凹部19を筒周方向の全周に亘って設けており、その凹部19に、環状の剛体リング20を嵌めているので、それら凹部19及び剛体リング20の寸法(例えば凹部19の底面の外径、凹部19の幅、剛体リング20の内径や幅等)等を調整することによって、剛体リング20による予備圧縮の大きさを比較的広い範囲で調整できる。そのため、ゴム弾性体13の圧入率を比較的広い範囲で調整できる。したがって、筒軸方向及びねじり方向の静動比を比較的広い範囲で調整でき、それらを所望の値にすることができる。
また、ゴム弾性体13の外周面に、1つの凹部19を筒周方向の全周に亘って設けており、その凹部19に、環状の剛体リング20を嵌めているので、その剛体リング20によってゴム弾性体13の形状の安定性を向上させることができる。
また、剛体リング20の内径が、その剛体リング20が凹部19に嵌められる前において、その凹部19の底面の外径よりも小さいので、凹部19に剛体リング20を嵌めることによって、剛体リング20による予備圧縮を確実に付与できる。
(実施形態2)
本実施形態は、凹部19の構成等が実施形態1と異なるものである。以下、その相違点ついて説明する。
図5に示すように、各すぐり部15は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端面における外筒体12寄りに開口している。各ばね体16の埋設部18の筒軸方向に対する開き角度は、実施形態1のものよりも大きい。各ばね体16の埋設部18の筒軸方向長さは、実施形態1のものよりも短い。
ゴム弾性体13の外周面の筒軸方向両端部には、筒軸直交方向内側に窪んだ1つの凹部19が筒周方向の全周に亘って連続してそれぞれ配設されている。各凹部19には、剛体リング20が嵌められている。
本実施形態によれば、実施形態1とほぼ同様の作用効果が得られる。
(実施形態3)
本実施形態は、ゴム弾性体13の内部に空間部としてのすぐり部21が設けられており、その他の点に関しては、実施形態1とほぼ同様の構成である。以下、その相違点について説明する。
図6に示すように、各すぐり部15は、ゴム弾性体13の筒軸方向各端面における外筒体12寄りに開口している。各ばね体16の埋設部18の筒軸方向に対する開き角度は、実施形態1のものよりも大きい。各ばね体16の埋設部18の筒軸方向長さは、実施形態1のものよりも短い。
ゴム弾性体13の外周面における筒軸方向一端部から他端部に亘る部分には、筒軸直交方向内側に窪んだ1つの凹部19が筒周方向の全周に亘って連続して形成されている。
ゴム弾性体13の内部の剛体リング20(凹部19)よりも筒軸直交方向内側の部分における筒軸方向両端部には、1つのすぐり部21が筒周方向の全周に亘って連続してそれぞれ配設されている。各すぐり部21は、凹部19の底面における各ばね体16の埋設部18よりも筒軸方向内側の部分に、筒軸直交方向内側に窪むように形成されている。各すぐり部21の開口部は、剛体リング20によって覆い塞がれている。
−効果−
ところで、防振装置10にこじり外力が入力されたときには、内筒体11がその筒軸方向中央点を中心として外筒体12に対して相対的に回転して、ゴム弾性体13の筒軸方向一端部が筒軸直交方向に圧縮される一方、ゴム弾性体13の筒軸方向他端部が筒軸直交方向に引っ張られる。そして、乗り心地を向上させるため、こじり剛性を低めたいという要求がある。
ここで、本実施形態によれば、ゴム弾性体13内における剛体リング20よりも筒軸直交方向内側の部分に、2つのすぐり部21を筒周方向の全周に亘って設けているので、それら空間部21,21によってこじり剛性を低めることができる。
また、防振装置10に軸直外力が入力されたときには、ゴム弾性体13の筒軸直交方向一方側が筒軸直交方向に圧縮され、ゴム弾性体13の筒軸直交方向他方側が筒軸直交方向に引っ張られることになる。そして、操縦安定性を向上させるため、軸直剛性を高めたいという要求がある。
ここで、本実施形態によれば、ゴム弾性体13の筒軸方向両端部に、1つのすぐり部15を筒周方向の全周に亘ってそれぞれ設けており、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部のすぐり部15に、1つの樹脂製のばね体16を筒周方向の全周に亘って設けているので、ゴム弾性体13内にばね体16を設けていない場合と比較して、軸直剛性を高めることができる。
以上により、こじり方向のばね定数の筒軸直交方向のばね定数に対するばね比を小さくすることができる。
なお、本実施形態では、ゴム弾性体13内の剛体リング20よりも筒軸直交方向内側の部分に、2つのすぐり部21を形成しているが、1つ又は3つ以上のすぐり部21を形成しても良い。
また、本実施形態では、ゴム弾性体13内の剛体リング20よりも筒軸直交方向内側の部分に、すぐり部21を筒周方向の全周に亘って形成しているが、これに限らず、例えばゴム弾性体13内の剛体リング20よりも筒軸直交方向内側の部分における所定の筒軸直交方向の互いに対向する部分に、すぐり部21をそれぞれ形成しても良い。この場合、こじり剛性に方向性を付与できる。
また、本実施形態では、ゴム弾性体13内の剛体リング20よりも筒軸直交方向内側の部分における筒軸方向両端部に、1つのすぐり部21をそれぞれ配設しているが、ゴム弾性体13内における剛体リング20よりも筒軸直交方向内側の部分である限り、すぐり部21を何処に配設しても良い。
(その他の実施形態)
上記各実施形態では、防振装置10は、自動車のサスペンション用ブッシュとして用いられているが、これに限らず、自動車のサスペンション用以外にも、軸直剛性を高くしたいという要求があれば、どのようなブッシュにも適用できる。
また、上記各実施形態では、内筒体11は金属製のものであるが、これに限らず、例えば樹脂製のものであっても良い。
また、上記各実施形態では、すぐり部15を、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部に筒周方向の全周に亘って設けており、ばね体16を、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部のすぐり部15に筒周方向の全周に亘って設けているが、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部に、少なくとも1つのすぐり部15を筒周方向の少なくとも一部に亘って設けて、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部の少なくとも1つのすぐり部15に、少なくとも1つのばね体16を筒周方向の少なくとも一部に亘って設ければ良い。
また、上記各実施形態では、すぐり部15を、ゴム弾性体13の筒軸方向各端部に内筒体11の外周面との距離が筒軸方向内側から外側に行くに従って大きくなるように設けているが、これに限らず、例えば外筒体12の外周面との距離が筒軸方向内側から外側に亘って同じになるように設けても良い。
また、上記各実施形態では、内筒体11の外周面と各ばね体16の埋設部18の内周面との間に、ゴム弾性体13を設けているが、ゴム弾性体13を設けなくても良い。すなわち、内筒体11の外周面と各ばね体16の埋設部18の内周面との間に、空間部を形成しても良い。さらに、ゴム弾性体13を設けない場合、各ばね体16の埋設部18を内筒体11の外周面に接触させても良い。
また、内筒体11の外周面とゴム弾性体13の内周面とを、接着状態にしているが、それを非接着状態にしても良い。
また、上記各実施形態では、各ばね体16の蓋部17の筒軸方向内側面とゴム弾性体13の筒軸方向各端面とを、非接着状態にし、各ばね体16の埋設部18の外面と各すぐり部15とを、非接着状態にしているが、それらをそれぞれ接着状態にしても良い。
また、上記各実施形態では、ゴム弾性体13の外周面に1つ又は2つの凹部19を設けて、各凹部19に剛体リング20を嵌めているが、3つ以上の凹部19を設けて、各凹部19に剛体リング20を嵌めても良い。
また、上記各実施形態では、凹部19を、ゴム弾性体13の外周面の筒軸方向中央部等に設けて、各凹部19に剛体リング20を嵌めているが、凹部19を、ゴム弾性体13の外周面の何処に設けても良い。但し、凹部19は、ゴム弾性体13の形状の安定性の向上等の観点から、上記各実施形態のようにバランス良く配置されるのが好ましい。
また、上記各実施形態では、剛体リング20の幅は、凹部19の幅とほぼ同じであるが、凹部19の幅よりも小さくても良い。
本発明は、実施形態に限定されず、その精神又は主要な特徴から逸脱することなく他の色々な形で実施することができる。
このように、上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には何ら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
以上説明したように、本発明は、内筒体と、該内筒体の外周囲に内筒体と同軸に設けられた樹脂製の外筒体と、該両筒体の間に設けられ、上記両筒体を互いに連結するゴム弾性体とを備えた防振装置等について有用である。
本発明の実施形態1に係る防振装置の平面図である。 図1のII−II線の断面図である。 直方体状のゴムブロック体の圧入率と、そのゴムブロック体の所定の方向の静動比との関係を示す図である。 実施形態1に係る防振装置の製造方法の工程を示す図であり、(a)はゴム弾性体の射出成形の工程を示す図であり、(b)は凹部に剛体リングを嵌める工程を示す図であり、(c)は外筒体及びばね体の射出成形の工程を示す図である。 実施形態2に係る防振装置の、図2に相当する図である。 実施形態3に係る防振装置の、図2に相当する図である。
符号の説明
10 防振装置
11 内筒体
12 外筒体
13 ゴム弾性体
14 サスペンションリンクの筒部
15 すぐり部(孔部)
16 ばね体
17 蓋部
18 埋設部
19 凹部
20 剛体リング(剛体)
21 すぐり部(空間部)

Claims (4)

  1. 内筒体と、該内筒体の外周囲に内筒体と同軸に設けられた樹脂製の外筒体と、該両筒体の間に設けられ、上記両筒体を互いに連結するゴム弾性体とを備えた防振装置であって、
    上記ゴム弾性体の筒軸方向両端部には、少なくとも1つの孔部が筒周方向の少なくとも一部に亘ってそれぞれ設けられており、
    上記ゴム弾性体の筒軸方向各端部の少なくとも1つの孔部には、上記外筒体と一体に成形された少なくとも1つの樹脂製のばね体が筒周方向の少なくとも一部に亘って設けられており、
    上記ゴム弾性体の外周面には、少なくとも1つの凹部が筒周方向の全周に亘って設けられており、
    上記凹部には、環状の剛体が嵌められていることを特徴とする防振装置。
  2. 請求項1記載の防振装置において、
    上記孔部は、上記ゴム弾性体の筒軸方向各端部に筒周方向の全周に亘って設けられた1つの孔部で構成されており、
    上記ばね体は、上記ゴム弾性体の筒軸方向各端部の孔部に筒周方向の全周に亘って設けられた1つのばね体で構成されていることを特徴とする防振装置。
  3. 請求項1又は2記載の防振装置において、
    上記剛体の内径が、該剛体が上記凹部に嵌められる前において、該凹部の底面の外径よりも小さいことを特徴とする防振装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載の防振装置において、
    上記ゴム弾性体内における上記剛体よりも筒軸直交方向内側の部分には、少なくとも1つの空間部が筒周方向の少なくとも一部に亘って設けられていることを特徴とする防振装置。
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