しかしながら、R光とG光とB光とを順次投写して、全体として白色の投写画像を得るためには、G光の光束量を全体の光束量に対して60%から80%程度にする必要がある。このために、各色光の発光素子を同一出力のものを同一数量設けると、G光の光束量が不足してしまう。
また、G光用の発光素子の数量を、R光用及びB光用の発光素子の数量よりも多くすることも考えられる。しかしながら、G光用の発光素子の数量を多くすると、当然ながらG光用発光素子の占める空間的な面積が大きくなる。
ここで、光源部とティルトミラーデバイスとを含めた光学系において、有効に扱える光束が存在する空間的な広がりを面積と立体角の積(エテンデュー、Geometrical Extent)として表すことができる。この面積と立体角の積は、光学系において保存される。従って、光源部の空間的な広がりが大きくなると、ティルトミラーデバイスで取り込むことができる角度が小さくなる。このため、光源部からの光束を有効に用いることができない。
このように、光源部としてLEDやLDのような発光素子を用いると、G光用の発光素子の数量が他の光の発光素子の数量よりも多く必要となるため光源部が大型化してしまうという問題がある。さらに、上述のように、G光用の光源部の空間的な広がりが大きくなるため、有効に使用できる光束量が減少してしまうという問題を生ずる。
本発明は、上述の問題点を解決するためになされたものであり、空間光変調装置、特にティルトミラーデバイスを用いた小型で高輝度な画像表示デバイス及びこれを備えるプロジェクタを提供することを目的とする。
また、従来のプロジェクタでは、メタルハライドランプなどの白色光源が用いられている。このようなランプは、発熱量が大きいため冷却のための装置を必要とする。このことが、プロジェクタの小型化に対する制約の一つである。
このため、本発明においては、固体発光素子を用いた、低コストでコンパクトな構成のプロジェクタを提供し、さらに、固体発光素子からの照明光束を無駄なく投写光として利用することができる光の利用効率が高いプロジェクタを提供することを目的としている。そして、個々の光量は小さい固体発光素子を用いたプロジェクタであって、明るく、鮮明な高画質なカラー画像を表示できるプロジェクタを提供することを目的としている。
上記課題を解決し、その目的を達成するために、本発明は、第1の波長領域の第1色光を供給する第1色光用光源部と、前記第1の波長領域と異なる第2の波長領域の第2色光を供給する第2色光用光源部と、第1の反射位置と第2の反射位置とを択一的に選択可能な複数の可動ミラー素子を有するティルトミラーデバイスとを有し、前記第1色光用光源部は、前記可動ミラー素子が前記第1の反射位置のときに前記第1色光が所定方向へ反射され、前記可動ミラー素子が前記第2の反射位置のときに前記第1色光が前記所定方向とは異なる方向へ反射されるように設けられ、前記第2色光用光源部は、前記可動ミラー素子が前記第2の反射位置のときに前記第2色光が前記所定方向へ反射され、前記可動ミラー素子が前記第1の反射位置のときに前記第2色光が前記所定方向とは異なる方向へ反射されるように設けられていることを特徴とする画像表示デバイスを提供する。これにより、高輝度で小型な画像表示デバイスを得ることができる。特に、前記第1色光用光源部の空間的な面積を小さくできるので、当該第1色光用光源部を小型化できる。さらに、エテンデューを用いて上述したように、前記第1色光用光源部の空間的な面積が小さいので有効に使用できる光束を増加できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1色光用光源部と前記第2色光用光源部とを順次切り換えて点燈させる光源駆動部をさらに有することが望ましい。これにより、観察者が肉眼で第1色光と第2色光とを積分した状態で認識できる。よって、フルカラー像を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記可動ミラー素子は所定軸の周りに回動可能であり、前記可動ミラー素子を、画像信号に応じて、前記第1の反射位置と、前記第1の反射位置とは前記所定軸を中心に略対称な前記第2の反射位置とに駆動するティルトミラーデバイス駆動部をさらに有することが望ましい。これにより、高速かつ確実に可動ミラー素子を駆動できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、ティルトミラーデバイス駆動部は、前記第1色光を前記所定方向へ導くために前記第1色光用光源部が点燈しているときに前記可動ミラー素子を前記第1の反射位置に駆動し、前記第2色光を前記所定方向へ導くために前記第2色光用光源部が点燈しているときに前記可動ミラー素子を前記第2の反射位置に駆動することが望ましい。これにより、第1色光及び第2色光を所定方向へ導くか否かという内容の変調を行うことができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、表示される画像の1フレーム内において、前記第1色光用光源部の点燈期間と、前記第2色光用光源部の点燈期間とを異ならせることが望ましい。これにより、光源の光束量が異なってもより明るい画像表示ができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、表示される画像の1フレーム内において、前記第1色光用光源部の点燈期間を、前記第2色光用光源部の点燈期間よりも長くすることが望ましい。これにより、第1色光用光源部と第2色光用光源部とが同一出力で同一数量の場合でも、光源部の小型を図りつつ、白色を得るために必要な第1色光の光束量を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、前記第1色光の階調表現期間の単位期間の長さと前記第2色光の階調表現期間の単位期間の長さとは異ならせることが望ましい。これにより、各色光において適切な階調表現を行える。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、前記第1色光用光源部を駆動するときの第1色光用光源駆動クロック信号の周波数と、前記第2色光用光源部を駆動するときの第2色光用光源駆動クロック信号の周波数とを異ならせることが望ましい。これにより、各色光において適切な光源駆動を行える。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1色光用光源駆動クロック信号と、前記第2色光用光源駆動クロック信号とは、さらに両信号に共通の周波数の単位クロック信号を有することが望ましい。これにより、駆動回路を簡略化できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第2色光用光源部は、複数の赤色用発光素子と複数の青色用発光素子とからなり、前記赤色用発光素子と前記青色用発光素子とは同一基板上に配置されていることが望ましい。これにより、光束量の大きい発光素子は独自に効率良く照明できる。なお、以下本明細書において、発光素子は固体発光素子を含む素子をいう。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1色光用光源部と前記第2色光用光源部とは、それぞれ複数の発光素子を有し、前記各発光素子は、発光チップ部と、前記発光チップ部からの光を前記ティルトミラーデバイスの略全領域へ導くためのレンズ部材とを有していることが望ましい。これにより、ティルトミラーデバイスを効率良く照明できるので、高輝度な画像を得られる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記各発光素子は、前記発光チップ部からの光を所定方向へ導くためのテーパ状ロッド部材をさらに有することが望ましい。これにより、さらに効率良く各発光素子からの光をティルトミラーデバイスへ導くことができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記発光チップ部と前記レンズ部材とは一体的に形成されていることが望ましい。これにより、製造が容易になり、かつ各発光素子の光量むらを低減できる。
また、本発明は、第1の波長領域の第1色光を供給する第1色光用光源部と、少なくとも前記第1の波長領域と異なる第2の波長領域の第2色光を供給する第2色光用光源部とを有し、前記第1色光用光源部と前記第2色光用光源部とからの光を画像信号に応じて変調する空間光変調装置(空間変調素子)と、表示される画像の1フレーム内において、前記第1色光用光源部の点燈期間と、前記第2色光用光源部の点燈期間とを異ならせる前記光源駆動部とを有することを特徴とする画像表示デバイスを提供する。これにより、空間光変調装置を用いた小型で高輝度な画像表示デバイスを提供することができる。また、各光源部の光束量がそれぞれ異なってもより明るい画像表示ができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、表示される画像の1フレーム内において、前記第1色光用光源部の点燈期間を、前記第2色光用光源部の点燈期間よりも長くすることが望ましい。これにより、第1色光用光源部と第2色光用光源部とが同一出力で同一数量の場合でも、光源部の小型化を図りつつ、白色を得るために必要な第1色光の光束量を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、表示される画像の1フレーム内において、前記第1色光用光源部の階調表現期間を、前記第2色光用光源部の階調表現期間よりも長くすることが望ましい。これにより、第1色光用光源部と第2色光用光源部とが同一出力で同一数量の場合でも、光源部の小型化を図りつつ、白色を得るために必要な第1色光の光束量を得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1色光は緑色光であり、前記第2色光は赤色光及び青色光の少なくともいずれか一方の光であることが望ましい。これにより、G光用光源部の占める空間的な面積を小さくしつつ、かつ白色光を得るために必要なG光の光束量を十分に得ることができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、前記第1色光の階調表現期間の単位期間の長さと前記第2色光の階調表現期間の単位期間の長さとは異ならせることが望ましい。これにより、各色光において適切な階調表現を行える。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記光源駆動部は、前記第1色光用光源部を駆動するときの第1色光用光源駆動クロック信号の周波数と、前記第2色光用光源部を駆動するときの第2色光用光源駆動クロック信号の周波数とを異ならせることが望ましい。これにより、各色光において適切な光源駆動を行える。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記第1色光用光源駆動クロック信号と、前記第2色光用光源駆動クロック信号とは、さらに両信号に共通の周波数の単位クロック信号を有することが望ましい。これにより、駆動回路を簡略化できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記空間光変調装置は、第1の反射位置と第2の反射位置とを択一的に選択可能な複数の可動ミラー素子を有するティルトミラーデバイスであり、前記ティルトミラーデバイスは、前記可動ミラー素子が前記第1の反射位置のときに前記第1色光及び前記第2色光が所定方向へ反射され、前記可動ミラー素子が前記第2の反射位置のときに前記第1色光及び前記第2色光が前記所定方向とは異なる方向へ反射されることが望ましい。これにより、ティルトミラーデバイスを用いた小型で高輝度な画像表示デバイスを提供することができる。特に、前記第1色光用光源部の空間的な面積を小さくできるので、当該第1色光用光源部を小型化できる。さらに、エテンデューを用いて上述したように、前記第1色光用光源部の空間的な面積が小さいので有効に使用できる光束を増加できる。
また、本発明の好ましい態様によれば、前記空間光変調装置は、反射型又は透過型液晶ライトバルブであることが望ましい。これにより、液晶ライトバルブを用いた小型で高輝度な画像表示デバイスを提供することができる。
また、本発明の好ましい態様によれば、上記に記載の画像表示デバイスと、前記空間光変調装置からの変調光を投写する投写レンズとを有することを特徴とするプロジェクタを提供する。これにより、小型で高輝度な画像を得られるプロジェクタを提供できる。
また、本発明においては、反射型の空間光変調装置の前面にフィールドレンズを配置し、このフィールドレンズと反射型の空間光変調装置を含む変調光学系を介して投写レンズ(投写レンズシステム)の入射瞳と共役関係となる位置および面積に複数の固体発光素子、たとえばLED素子が並べられた光射出領域を配置する。すなわち、本発明のプロジェクタは、複数の発光部よりなる固体発光素子が並べられた光射出領域を備えた光源と、この光源からの照明光束をスイッチングし画像を形成する変調領域を備えた反射型の空間光変調装置と、この空間光変調装置からの表示光束をスクリーンに投写する投写レンズと、空間光変調装置の近傍に、照明光束および表示光束が透過するように配置された正の屈折力のフィールドレンズとを有し、投写レンズの入射瞳と光射出領域とが、フィールドレンズおよび空間光変調装置を含む変調光学系を介して、光学的に共役関係にあるようにしている。
このプロジェクタにおいては、光射出領域と投写レンズの入射瞳とが変調光学系を介して共役関係にあるので、光射出領域から変調光学系に出力された光はすべて投写レンズの入射瞳に入る。したがって、光射出領域から変調光学系に出力された照明光束は、空間光変調装置がオン状態であれば、すべて表示光束となり、すべてがスクリーンに向けて出力される。このため、光源の光射出領域から出力された照明光束は無駄にならず、表示光束として出力され、レンズなどによる吸収等はあるとしても、光射出領域に並べられた固体発光素子の光量をすべて画像表示のために無駄なく利用ができる。したがって、無駄に配置される固体発光素子はなくなり、固体発光素子からの照明光束の利用効率が高く、最も小さな構成で、明るく鮮明なカラー表示ができるプロジェクタを提供できる。
空間光変調装置が、反射方向が変化しない反射型である場合、たとえば、反射型の液晶パネルである場合は、投写レンズの入射瞳に共役な光射出領域の方向は一意に決まる。一方、小型の可動ミラー素子がマトリクス状に配置された、所謂、デジタルミラーデバイス(DMD)の場合は、可動ミラー素子が数10度程度の範囲を動いて照明光束をオンオフ制御あるいは変調する。したがって、投写レンズの入射瞳と、光射出領域とが、空間光変調装置の可動ミラー素子がオンの状態の変調光学系を介して光学的に共役関係になるようにする必要がある。すなわち、入射瞳の共役な像の範囲に光射出領域を配置する場合、その像の範囲は、空間光変調装置のスイッチング方向、またはオン状態の入射方向に形成された像の範囲となる。
さらに、可動ミラー素子が第1の有効角度(反射位置)、および第2の有効角度(反射位置)という2状態を選択可能な空間光変調装置においては、共役な位置が2つある。したがって、光源に2つの光射出領域を持たせることができる。すなわち、光源は、これら可動ミラー素子が第1の有効角度の状態の変調光学系を介して、投写レンズの入射瞳と共役関係にある第1の光射出領域と、可動ミラー素子が第2の有効角度の状態の変調光学系を介して投写レンズの入射瞳と共役関係にある第2の光射出領域とを持つことができる。光源に、投写レンズの入射瞳と共役関係にあり射出される照明光束が無駄にならない2つの光射出領域を設定できるので、固体発光素子を配置できる面積が2倍になり、さらに明るい画像を表示できる。
ただし、2つの光射出領域から出力された照明光束を同時に変調することはできないので、2つの光射出領域には異なる色の照明光束を射出する固体発光素子を配置することが望ましい。さらに、色の異なる照明光束を射出する固体発光素子を配置する場合、これら第1および第2の光射出領域の面積は等しくなるので、どのような割り振りをするかが問題となる。比視感度を考えた場合には、LED素子や有機ELなどの各色の固体発光素子から射出される色の光のうち、緑色の照明光束の光量感度が非常に低く、他の色の半分程度となる。したがって、2倍に増えた光射出領域の1面を、緑色の光を照射する固体発光素子を並べる領域として使用することが望ましく、このような配置は、異なる色の照明光束を異なるタイミングでスイッチングする制御と合致する。
変調光学系による入射瞳の像の範囲にほぼ合致する光射出領域の範囲内に固体発光素子を配置する1つの方法は、入射瞳のフィールドレンズによる円形の像とほぼ一致する範囲に、複数の固体発光素子が円形の範囲を埋めるあるいは散らばるように配置することである。これにより、無駄なく固体発光素子を配置することができ、すべての固体発光素子から出力された照明光束を、画像を表示するために利用できる。
フィールドレンズと空間光変調装置で構成される変調光学系の倍率が、約1となるように選択されると、フィールドレンズから空間光変調装置の間では光線が平行、すなわち、テレセントリックとなる。このため、可動ミラー素子を採用した空間光変調装置であると、小角度で無効光を排除できるのでスイッチングしやすく、高コントラストの画像を生成しやすい。変調光学系を倍率が1以上となるように選択すると、表示光束と光射出領域とが干渉する可能性があるので難しい。一方、変調光学系を倍率が1以下となるように選択することは可能であり、光射出領域の面積を大きくできるので、数多くの固体発光素子を配置できる可能性がある。この場合は、フィールドレンズから空間光変調装置に収束光が入射することになるが、空間光変調装置のスイッチング可能な角度範囲内であれば、特に画質に大きな影響を与えることはない。
このように、光射出領域を投写レンズの入射瞳と共役関係になるように、固体発光素子を配置することにより、無駄な照明光束が発生することを防止できる。個々の固体発光素子に着目すると、個々の固体発光素子の発光面、すなわち、発光部は小さく、さらに、出力される照明光束の強度分布は個々の固体発光素子で個体差がある。したがって、単に、光射出領域に固体発光素子を並べ、それらから出力された照明光束を液晶やミラーデバイスなどの空間光変調装置の変調領域を照明しても、むら無く、均等に照射することが難しい。このため、本発明においては、固体発光素子の空間光変調装置側、すなわち出射側にマイクロレンズアレイを配置して光射出領域を形成すると共に、固体発光素子のそれぞれの発光部と変調領域とが、マイクロレンズアレイを含む照明レンズ光学系を介して共役関係にあるようにしている。
このプロジェクタにおいては、個々の固体発光素子の発光部と変調領域とが共役関係となるように光学系を形成することにより、個々の発光部から射出された照明光束が無駄無く変調領域に照射される。したがって、固体発光素子それぞれの発光部という微視的な点でも照明光束の無駄を防止できる。さらに、個々の固体発光素子から照射される照明光束により変調領域の全体が照明され、それらが重なり合うことにより投写するために必要な光量が確保される。個々の固体発光素子により変調領域全体が照明されるので、固体発光素子の個体差によるむらを無くし、変調領域全体を均等に照明することができる。さらに、変調領域と共役関係にある個々の固体発光素子により変調領域全体を照明するので、照明光束に無駄はなく、小さな構成で効率よく照明でき、コンパクトで明るいプロジェクタを提供できる。
また、固体発光素子と、それとペアとなるマイクロレンズとの光軸が、各々のペアでずれるように配置し、空間光変調装置上で、発光部の像がオーバーラップするようにして、個々の固体発光素子から無駄な照明光束が発生するのを防止することも有効である。
さらに、変調領域はほぼ方形の場合は、個々の固体発光素子の発光部も方形として、それぞれの方形の一辺がほぼ平行になるように配置することにより、個々の固体発光素子から無駄となる照明光束が発生するのを防止できる。変調領域は長方形の場合は、発光部も長方形とし、それぞれの長方形の長手方向の一辺が、ほぼ平行となるように配置することが望ましい。また、空間光変調装置の変調領域のアスペクト比と、発光部のアスペクト比とをほぼ等しく、相似な形状になるようにすることにより、さらに、個々の固体発光素子からの照明光束を重ねあわせやすくなり、無駄な照明光束が生ずるのを防止できる。
発光部の形状を方形にする代わりに、マイクロレンズアレイを構成する個々のマイクロレンズとして、縦横の曲率または倍率が異なるマイクロレンズを採用し、空間光変調装置上に、変調領域と相似、またはほぼ一致する形状の発光部の像を形成することが可能である。したがって、これらの発光部の像を重ね合わせることにより、無駄なく、また、むら無く照明することができる。この場合は、マイクロレンズの縦の形状に起因する第1の結像位置と、マイクロレンズの横の形状に起因する第2の結像位置とが異なることになるが、これら第1および第2の結像位置の間に、空間光変調装置を配置することにより、個々の固体発光素子により変調領域を無駄なく照明できる。
以下に添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態を詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係る画像表示デバイス1の概略構成を示す図である。第1色光用光源部10は、第1の波長領域の第1色光であるG光を供給する。また、第1色光用光源部10は、複数のG光用発光素子11から構成される。発光素子としては、LDやLED等を用いることができる。また、第1色光用光源部10として有機EL素子等を用いても良い。
第2色光用光源部20は、前記第1の波長領域と異なる第2の波長領域の第2色光であるB光又はR光を供給する。また、第2色光用光源部20は、複数のR光用発光素子21とB光用発光素子22とから構成される。これら発光素子の構成については後述する。
これら第1色光用光源部10又は第2色光用光源部20からの光は、互いに異なる方向からティルトミラーデバイス30に入射する。ティルトミラーデバイス30は、複数の可動ミラー素子31を有する。駆動制御部40は、第1色光用光源部10、第2色光用光源部20、及びティルトミラーデバイス30の駆動制御を行う。この駆動制御の詳細については後述する。
次に、図2(a)、(b)に基いて、ティルトミラーデバイス30が画像信号に応じて第1色光用光源部10又は第2色光用光源部20からの光を変調する構成について説明する。図2(a)、(b)は、ティルトミラーデバイス30の構成の一部を拡大して示す図である。図2(a)は、第1色光用光源部10からのG光を変調する構成を示す図である。ティルトミラーデバイス30の表面には、複数の可動ミラー素子31が設けられている。可動ミラー素子31は、所定軸35の周りに回動可能である。基板32上には、1つの可動ミラー素子31の周辺部近傍に2つの電極33、34が設けられている。
可動ミラー素子31が所定軸35を中心にして傾き、電極33に当接している状態を第1の反射位置という。同様に、可動ミラー素子31が所定軸35を中心にして傾き、電極34に当接している状態を第2の反射位置という。なお、反射ミラー素子31は、第1の反射位置と第2の反射位置とを択一的に選択可能である。
そして、駆動制御部40は、可動ミラー素子31を、画像信号に応じて、前記第1の反射位置と、前記第1の反射位置とは前記所定軸35を中心に略対称な前記第2の反射位置とに駆動する。図2(a)において、右側と左側の可動ミラー素子31は、第1の反射位置の状態である。これに対して、図2(a)の真中の可動ミラー素子31は第2の反射位置の状態にある。
より具体的には、G光用発光素子11が点燈している期間内にある画素をON(点燈)にすべき場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31が第1の反射位置に位置するように、駆動制御部40はティルトミラーデバイス30を駆動する。同様に、G光用発光素子11が点燈している期間内にある画素をOFF(消灯)にすべき場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31が第2の反射位置に位置するように、駆動制御部40はティルトミラーデバイス30を駆動する。
このことによって、G画像に対応する画像信号がある画素のONを表す場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31によってG光用発光素子11からの色光がL1の方向に導かれる。同様に、G画像に対応する画像信号がある画素のOFFを表す場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31によってG光用発光素子11からの色光がL1とは異なるL2の方向に導かれる。
この構成により、所定方向L1の一定の視野(方向L2へ向かう光は遮光される)から観察した場合、画像信号に応じてG光を所定方向L1へ向かう光(ON)と、方向L2へ向かう光(OFF)とに変調できる。
次に、R光又はB光の変調について図2(b)に基づいて説明する。B光又はR光を供給する第2色光用光源部20は、可動ミラー素子31が第2の反射位置のときにR光又はB光が所定方向L1へ反射され、可動ミラー素子31が第1の反射位置のときにR光又はB光が所定方向L1とは異なる方向L3へ反射されるように設けられている。
より具体的には、R光用発光素子21またはB光用発光素子22が点燈している期間内にある画素をON(点燈)にすべき場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31が第2の反射位置に位置するように、駆動制御部40はティルトミラーデバイス30を駆動する。同様に、R光用発光素子21またはB光用発光素子22が点燈している期間内にある画素をOFF(消灯)にすべき場合には、対応する可動ミラー素子31が第1の反射位置に位置するように、駆動制御部40はティルトミラーデバイス30を駆動する。
このことによって、R画像またはB画像に対応する画像信号がある画素のONを表す場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31によってR光用発光素子21またはB光用発光素子22からの色光がL1の方向に導かれる。同様に、R画像またはB画像に対応する画像信号がある画素のOFFを表す場合には、その画素に対応する可動ミラー素子31によってG光用発光素子11からの色光がL1とは異なるL3の方向に導かれる。
この構成により、所定方向L1の一定の視野(方向L3へ向かう光は遮光される)から観察した場合、画像信号に応じてR光又はB光を所定方向L1へ向かう光(ON)と、方向L3へ向かう光(OFF)とに変調できる。
ティルトミラーデバイス30におけるそれぞれの可動ミラー素子31は、1フレーム期間内でR光、B光およびG光のそれぞれをパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)の方法に従って変調することによって、そのフレームにおけるすべての画素の色および輝度を表現する。
複数の可動ミラー素子31のアレイによって規定される平面(以下、水平面Hとする)に対する傾き角度と反射方向との関係を図3に基づいてさらに説明する。可動ミラー素子31は、水平面Hに対して角度±θだけ変位可能であるとする。この場合、所定方向L1(ON)は第1色光用光源部10からの光に対して角度2θをなす。また、所定方向L2(OFF)は、第1色光用光源部10からの光に対して角度6θをなす。第1色光用光源部10と第2色光用光源部20との2つの光源部を配置する場合の、可動ミラー素子31の水平面に対する傾き角度と反射方向との関係を図4に示す。第1色光用光源部10からの光の所定方向L1(ON)と、第2色光用光源部20からの光の所定方向L1(ON)とは同一方向となるように各光源部が配置される。また、第1色光用光源部10からの光がOFF光として反射される所定方向L2は、第1色光用光源部10からの光に対して角度6θをなす。同様に、第2色光用光源部20からの光がOFF光として反射される所定方向L3も、第2色光用光源部20からの光角度6θをなす。そして、OFF光の所定方向L2とL3とは、所定方向L1に関して対称な方向となる。
次に、フルカラー画像を得るためのR光用発光素子21とG光用発光素子11とB光用発光素子22とを点燈させる期間とタイミングについて説明する。
図5(a)は、点燈期間とそのタイミングを示す図である。図5(a)のチャートは、「フレーム信号」、「R点燈信号」、「G点燈信号」、「B点燈信号」、および「駆動極性反転信号」を示している。チャートの横軸は時間軸である。まず、「フレーム信号」のHigh状態は、画像信号の1フレーム期間を表す。また、「R点燈信号」がHighの期間は、R光用発光素子21が点燈する期間(点灯期間RT)を意味し、これは、R光に対応する画像のサブフレームの期間にほぼ一致している。「G点燈信号」がHighの期間は、G光用発光素子20が点燈する期間(点灯期間GT)を意味し、これはG光に対応する画像のサブフレームの期間にほぼ一致している。「B点燈信号」のHighの期間は、B光用発光素子22が点燈する期間(点灯期間BT)を意味し、これはB光に対応する画像のサブフレームの期間にほぼ一致している。最後に、「駆動極性反転信号」は、(スクリーン上の)画素をONすべき場合に、可動ミラー素子31を第1の反射位置に位置させるか、それとも第2の反射位置に位置させるか、を示す信号である。この図5(a)では、「駆動極性反転信号」がHighの期間は、画素をONにすべき場合に可動ミラー素子31を第2の位置に位置させ、Lowの期間は、画素をONにすべき場合に可動ミラー素子31を第1の位置に位置させることを指示する。
図5(a)の例では、1フレーム期間において、まず、G光用発光素子20が所定の点燈期間GTの間点燈し、点燈期間GTが終わった後にR光用発光素子21が所定の点燈期間RTの間点燈する。そして点燈期間RTが終わった後にB光用発光素子22が所定の点燈期間BTの間点燈する。駆動極性反転信号は、点灯時間GTに対応する期間はLow状態である。つまり、この期間にある画素をONにすべき場合には、対応する可動ミラー素子31を第1の位置に位置させる。一方、駆動極性反転信号は、点灯時間RTおよびBTに対応する期間はHigt状態である。つまり、この期間にある画素をONにすべき場合には、対応する可動ミラー素子31を第2の位置に位置させる。
光源駆動部の機能も兼用する駆動制御部40は、R光用発光素子21とG光用発光素子11とB光用発光素子22とを順次切り換えて点燈させる。また、観察者は肉眼でR光、G光、B光を時間的に積分した状態で認識できるので、フルカラー像を得ることができる。さらに、表示される画像の1フレーム内において各色発光素子の点燈期間GT、RT、およびBTのそれぞれを独立に異ならせる。これにより、各光源の光束量が異なっても適切な画像表示ができる。なお、図5(a)の例では、点燈時間GTが最も長く、次に点燈時間BTが長く、点燈時間RTが最も短い。
上述したように、白色を得るためには、G光の光束量を全体の60%から80%程度にする必要がある。このため、G光用発光素子11の点燈期間GTを、R光用発光素子21の点燈期間RTとB光用発光素子22の点燈期間BTよりも長くする。これにより、G光用発光素子11と、R光用発光素子21及びB光用発光素子22とが、同一出力で同一数量の場合でも、光源部の小型化を図りつつ、白色を得るために必要なG光の光束量をえることができる。
また、駆動制御部40は、G光を所定方向L1へ導くためにG光用発光素子11が点燈しているときに可動ミラー素子31を第1の反射位置に駆動する。さらに、駆動制御部40は、R光又はB光を所定方向L1へ導くためにR光用発光素子21又はB光用発光素子22が点燈しているときに可動ミラー素子31を第2の反射位置に駆動する。
即ち、G光を所定方向L1へ導くときの可動ミラー素子31の反射位置(第1の反射位置)と、R光又はB光を所定方向L1へ導くときの可動ミラー素子31の反射位置(第2の反射位置)とは反対の位置状態である。このため、図5(a)の駆動極性反転信号に示すように、可動ミラー素子31のための駆動極性は、G光用発光素子11と、R光用発光素子21又はB光用発光素子22とで反転させている。これにより、R光、G光、B光を所定方向へ導くか否かという内容の変調を行うことができる。
図5(b)は、ティルトミラーデバイス30の駆動タイミングを示す図である。図5(b)は、「フレーム信号」、「R階調表現信号」、「G階調表現信号」、「B階調表現信号」、および「クロック」のタイミングチャートを示している。チャートの横軸は、時間軸である。より具体的には、「R階調表現信号」がHighの期間が階調表現期間RKに対応し、「G階調表現期間」がHighの期間が階調表現期間GKに対応し、「B階調表現期間」がHighの期間が階調表現期間BKに対応する。図5(b)では、まず、階調表現期間GKが現れ、G階調表現期間GKが終了後に階調表現期間RKが続き、階調表現期間RKが終了後に階調表現期間BKが現れる。また、図5(b)に示すように、階調表現期間GKの長さが最も長く、階調表現期間RKの長さが最も短い。
さて、階調表現期間GKとは、空間光変調装置(ティルトミラーデバイス30)が、画像信号によって表されるG色光の強度(階調)を実現するために必要な時間期間である。また、階調表現期間GKは、G色光に対応する画像のサブフレームの期間にほぼ一致している。この階調表現期間GK内で、入射光は画像信号に応じてパルス幅変調の方法に従って変調される。より具体的には、画像信号がG色光の強度をnビット(nは正の整数)で表す場合には、階調表現期間GKは、長さの比が20:21:…:、:2(n-1)であるn個の単位期間に分割されており、n個の単位期間のそれぞれの間、可動ミラー素子31は、ON状態およびOFF状態のどちらかの状態を維持する。そして、所定の上記強度(階調)を実現するためには、その強度に比例する時間の長さだけ入射光が方向L1に向かうように、n個の単位期間うちの必要な単位期間だけ可動ミラー素子31をON状態にすればよい。例えば、画像信号が表す強度値が最大値((2n)−1)であれば、n個の単位期間の全ての間、つまり、階調表現期間GKのほぼ全期間で、ミラーをON状態にすればよい。一方、画像信号が表す強度値が最小値(0)であれば、n個の単位期間の全ての間、つまり、階調表現期間GKのほぼ全期間で、ミラーをOFF状態にすればよい。なお、階調表現期間RKおよび階調表現期間BKも階調表現期間GKと同様であるため説明を省略する。ただし、階調表現期間RKおよび階調表現期間BKにおいてON状態にある可動ミラー素子31の位置と、階調表現期間GKにおいてON状態にある可動ミラー素子31の位置とは、互いに異なる。
図5(b)に示すように、この階調表現期間RK、GK、BKの長さは、異なる長さであっても良い。階調表現期間RK、GK、BKの長さが異なる場合には、n個に分割された単位期間のそれぞれも、R,G、Bの各色光に応じて異なる。
階調表現期間RKは、図5(a)の点灯期間RTとほぼ一致している。また、階調表現期間GTは、図5(a)の点灯期間GTとほぼ一致している。そして、階調表現期間BTは、図5(a)の点灯期間BTとほぼ一致している。
また、ティルトミラーデバイス30は、あるサブフレームの開始タイミングに同期して、そのサブフレームの画像におけるすべての画素に対応する可動ミラー素子31の変調を同時に開始するため、すべての可動ミラー素子31が、図5(b)に示すタイミングチャートに従って駆動されている。
また、駆動制御部40は、G光用発光素子11を駆動するときのG光用光源駆動クロック信号の周波数と、R光用発光素子21又はB光用発光素子22を駆動するときの第2色光用光源駆動クロック信号の周波数とを異ならせることができる。これにより、各色光において適切な光源駆動を行うことができる。さらに好ましくは、G光用光源駆動クロック信号と、前記第2色光用光源駆動クロック信号とは、さらに両信号に共通の周波数の単位クロック信号を有することが望ましい。これにより、駆動回路を簡略化できる。
また、R光用発光素子21とG光用発光素子11とB光用発光素子22との数量がそれぞれ異なる場合においても、G光の点燈期間又は階調表現期間を他の色の光よりも多くなるように制御すればよい。
次に、図6(a)、(b)を用いて光源部の構成について説明する。図6(a)は、光源部が照明光を供給する構成を示す図である。なお、図6(a)では簡単のため、可動ミラー素子などの一部の構成を省略する。
上述のように、第1色光用光源部10と第2色光用光源部20とは、それぞれ複数の各色用発光素子11、21、22を有する。また、これら各色用発光素子11、21、22は、それぞれ発光チップ部12、24、25と、前記発光チップ部12、24、25からの光源光をティルトミラーデバイス30の略全領域へ導くためのレンズ部材LSとを有する。また、複数のR光用発光素子21と複数のB光用発光素子22とは同一基板23上に配置されている。これにより、光束量の大きい発光素子は独自に効率良く照明できる。
図6(b)は、G光用発光素子11を代表例として、発光素子の構成をさらに詳細に示す図である。G光用発光素子11は、光源光を所定方向であるティルトミラーデバイス30へ導くためのテーパ状ロッド部材13を有する。テーパ部の内側には反射面が形成されている。これにより、発光チップ部12からの光を有効に射出させることができる。そして、ティルトミラーデバイス30を効率良く照明できるので、高輝度な画像を得られる。さらに好ましくは、発光チップ部12とレンズ部材LSとは一体的に形成されていることが望ましい。これにより、製造が容易になり、かつ各発光素子の光量むらを低減できる。
(第2実施形態)
図7(a)、(b)を用いて、本発明の第2実施形態に係るプロジェクタについて説明する。上記第1実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
上述した画像表示デバイス1により変調された光のうち、所定方向L1(図2(a)、(b)参照)へ進行する光のみが投写レンズ50に入射する。これに対して、方向L2又はL3(図2(a)、(b)参照)へ進行する光は投写レンズ50に入射せずに廃棄される。投写レンズ50は、画像信号に応じて画像表示デバイス1に表示された画像をスクリーン60上に投写する。スクリーン60を観察する人間は、投写される画像をフルカラーとして認識する。
(第3実施形態)
図8は、本発明の第3実施形態に係る画像表示デバイスを備えるプロジェクタ100の概略構成を示す図である。光源部110は、第1の波長領域の第1色光であるG光を供給するG光用発光素子110Gと、前記第1の波長領域と異なる第2の波長領域の第2色光であるR光を供給するR光用発光素子110Rと、B光を供給するB光用発光素子110Bとから構成される。これらの発光素子としては、LDやLED、有機EL素子等を用いることができる。
R光用発光素子110R、G光用発光素子110G、B光用発光素子110Bからの光はフライアイレンズアレイ120を経由してティルトミラーデバイス140に入射する。フライアイレンズアレイ120により、各色用発光素子110R、110G、110Bからの光は、それぞれ空間光変調装置(空間変調素子)であるティルトミラーデバイス140の略全領域を照明する。これにより、照度むらの低減された照明を行うことができる。駆動制御部130は、各色用発光素子110R、110G、110Bとティルトミラーデバイス140の駆動制御を行う。この駆動制御の詳細については後述する。
ティルトミラーデバイス140の表面には、複数の可動ミラー素子141が設けられている。可動ミラー素子141は、不図示の所定軸の周りに回動可能である。そして、可動ミラー素子141が所定軸を中心にして傾き、第1の反射位置と第2の反射位置との2つの位置状態を選択的にとることができる。
駆動制御部130は、可動ミラー素子141を、画像信号に応じて、前記第1の反射位置と、前記第1の反射位置とは前記所定軸を中心に略対称な前記第2の反射位置とに駆動する。例えば、可動ミラー素子141が第1の位置の場合、この素子141からの反射光は投写レンズ系150に入射する方向へ進行する。投写レンズ系150に入射した光は、スクリーン160に投写される。
これに対して、可動ミラー素子141が第2の位置の場合、この素子141からの反射光は投写レンズ系150以外の方向へ進行する。これにより、可動ミラー素子141が第2の位置の場合、反射光はスクリーン160に投写されない。この結果、ティルトミラーデバイス140により入射光を画像信号に応じて変調して反射させることができる。
次に、フルカラー画像を得るためのR光用発光素子110RとG光用発光素子110GとB光用発光素子110Bとを点燈させる期間とタイミングについて説明する。
本実施形態では、光源部110が投写レンズ150の片側に一つ設けられている点が上記第1実施形態及び第2実施形態と異なる。本実施形態における点燈期間とそのタイミングは、図5(a)、(b)を用いて説明した点燈タイミングと同様にすることができる。ただし、本実施形態では、図5(a)における駆動極性反転信号はない。光源駆動部の機能も兼用する駆動制御部130は、R光用発光素子110RとG光用発光素子110GとB光用発光素子110Bとを順次切り換えて点燈させる。そして、表示される画像の1フレーム内において各色発光素子の点燈期間を異ならせる。これにより、各色光の光束量を任意に設定できる。この結果、空間変調素子を用いた小型で高輝度な画像表示デバイスを提供できる。また、各光源部の光束量がそれぞれ異なってもより明るい画像表示ができる。
上述したように、白色を得るためには、G光の光束量を全体の60%から80%程度にする必要がある。このため、G光用発光素子110Gの点燈期間GTを、R光用発光素子110Rの点燈期間RTとB光用発光素子110Bの点燈期間BTよりも長くする。これにより、G光用発光素子110Gと、R光用発光素子110R及びB光用発光素子110Bとが、同一出力で同一数量の場合でも、光源部の小型化を図りつつ、白色を得るために必要なG光の光束量を得ることができる。
R光用発光素子110RとG光用発光素子110GとB光用発光素子110Bとの数量がそれぞれ略同じ場合について考える。この場合、各色の光源部の空間的な広がりは略同程度である。しかしながら、上述のように白色を得るためには、G光の光束量を全体の60%から80%程度にする必要がある。このため、G光用発光素子110Gを他の発光素子よりも長く点燈させてG光の階調表現期間GKを、R光階調表現期間RK及びB光階調表現期間BKよりも長くする。これにより、G光用発光素子110Gと、R光用発光素子110R及びB光用発光素子110Bとが、同一出力で同一数量の場合でも、光源部の小型化を図りつつ、白色を得るために必要なG光の光束量を得ることができる。
この場合、画像の階調をnビット(nは正の整数)で表現すると、G光階調表現期間GKの単位ビットの長さとR光又はB光の階調表現期間RK、BKの単位ビットの長さとは異なる。これにより、各色光において適切な階調表現を行うことができる。
また、駆動制御部130は、G光用発光素子110Gを駆動するときのG光用光源駆動クロック信号の周波数と、R光用発光素子110R又はB光用発光素子110Bを駆動するときの第2色光用光源駆動クロック信号の周波数とを異ならせることができる。これにより、各色光において適切な光源駆動を与える。
さらに好ましくは、G光用光源駆動クロック信号と、前記第2色光用光源駆動クロック信号とは、さらに両信号に共通の周波数の単位クロック信号を有することが望ましい。これにより、駆動回路を簡略化できる。
(第4実施形態)
図9は、本発明の第4実施形態に係る画像表示デバイスを備えるプロジェクタ200の概略構成を示す図である。空間変調素子として透過型液晶ライトバルブ210を用いる点が上記第3実施形態と異なる。その他の上記第1実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
光源部110は、図5(a)で示すタイミングで各色用発光素子110R、110G、110Bを点燈させる。これら発光素子からの光は、フライアイレンズアレイ120により透過型液晶ライトバルブ210を重畳的に照明する。透過型液晶ライトバルブ210は、画像信号に応じて入射光を透過又は非透過(遮光)させることで変調して射出する。透過型液晶ライトバルブ210からの変調光は投写レンズ系150を経てスクリーン160に投射される。
(第5実施形態)
図10は、本発明の第5実施形態に係る画像表示デバイスを備えるプロジェクタ300の概略構成を示す図である。空間変調素子として反射型液晶ライトバルブ330を用いる点が上記第4実施形態と異なる。その他の上記第4実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
光源部110は、図5(a)で示すタイミングで各色用発光素子110R、110G、110Bを点燈させる。これら発光素子からの光は、不図示の偏光変換装置によりS偏光光に変換される。次に、S偏光光は偏光ビームスプリッタ320の偏光面320aで反射される。ここで、偏光面320aは偏光分離に関して角度特性を有している。このため、レンズ310により、各色用発光素子110R、110G、110Bからの光の主光線が光軸AXと略平行となるように変換する。偏光面320aで反射された光は、反射型液晶ライトバルブ330に入射する。
反射型液晶ライトバルブ330は、画像信号に応じてS偏光をP偏光に変調して射出する。変調光であるP偏光光は、偏光ビームスプリッタ320の偏光面320aを透過することで検光される。他方、非変調光であるS偏光光は、偏光面320aで光源部110側へ反射されて廃棄される。そして、変調光は投写レンズ系150によりスクリーン160へ投写される。これにより、小型な光源で明るいフルカラー像を投射できる。
(第6実施形態)
図11は、本発明の第6実施形態に係る画像表示デバイス400の概略構成を示す図である。上記各実施形態と同じ部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。本実施形態は直視型の画像表示デバイスである。光源部110からの各色光はバックライト光として導光板410に入射する。導光板410を経由したバックライト光は、空間変調素子としての透過型液晶ライトバルブ420へ入射する。透過型液晶ライトバルブ420は、画像信号に応じて入射光を透過又は非透過させることで変調して射出する。これにより、方向Aから観察するとフルカラー像を得ることができる。
(第7実施形態)
本実施の形態では、発光ダイオードなどの固体発光素子を光源として有するプロジェクタを説明する。固体発光素子を用いた光源は、光源自体の寿命が長く、玉切れなどによるメンテナンスが不用である。さらに、固体発光素子のオンオフの応答速度が速いので、色毎にオンオフするタイミングを調整することによってカラーバランスが調整できる。また、白色光源と異なり、カラーフィルタが不要であり、光の利用効率が高く、また、騒音などの問題も生じない。したがって、固体発光素子を光源として採用することにより、高品質な明るいカラー画像を投写できるコンパクトなプロジェクタを提供できる。
しかしながら、個々の固体発光素子の光量は画像を投写するには充分ではなく、複数の固体発光素子を並べて、充分な光量を確保することが好ましい。個々の固体発光素子は、半導体発光素子であるので、サイズは小さく、アレイあるいはマトリクス状に2次元に並べて照明装置として必要な光量を得ることができる可能性がある。その一方で、個々の固体発光素子は小さいといっても面積はあるので、光量を確保するために数多くの固体発光素子を並べると照明装置の光射出領域の面積は大きくなる場合があり、この場合には照明装置から照明光束をライトバルブ上に集光するための光学システムが複雑で大型となりやすい。さらに、照明光束を集光する光学系で非点収差や色収差などの諸収差の要因が発生することにもなり、鮮明なカラー画像を投写するのが難しい場合もある。したがって、コンパクトで充分な明るさの画像を投写するためには、限られた固体発光素子からの光を無駄なく空間光変調装置(ライトバルブ)上に照射し、空間光変調装置(ライトバルブ)で変調された光を無駄なくスクリーン上に照射することが好ましい。
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。図12に、固体発光素子であるLED素子を光源として用いた本発明のプロジェクタ501の概略構成を示してある。本例のプロジェクタ501は、複数のLED素子を備えた光源510と、光源510からの照明光束(入射光束)571aをスイッチングし画像を形成する変調領域(反射面)531を備えた反射型の空間光変調装置であるライトバルブ530と、この照明光束571をライトバルブ530で変調した表示光束573をスクリーン599の上に投写する投写レンズ550とを備えている。
本例の反射型のライトバルブ530は、複数の微小な方形状で鏡面の変調面(マイクロミラー)を備えた可動ミラー素子であるティルトミラー素子(スイッチング素子)がアレイ状あるいはマトリクス状に配置された変調領域あるいは画像形成領域539を備えたマイクロミラーデバイスである。変調領域539を構成する各々のティルトミラー素子532は、図2(a)、(b)と同様に図13に拡大して示すように、マイクロミラー531が支柱534により旋回可能な状態で半導体基板535に支持されており、半導体基板535の表面に設けられた一対のアドレス電極536aおよび536bをアクチュエータとしてマイクロミラー531の傾きが制御できるようになっている。マイクロミラー531は、水平な位置から支柱534を中心に±10度程度の範囲で予め設定された方向に旋回し、それぞれの位置がオン位置になる。したがって、本例のスイッチング素子532は、支柱534に関して左右に傾いた2つの配向537aおよび537bを備えており、傾いた方向から入射した照明光束571があればそれを有効光、すなわち表示光束573として投写レンズ550の方向に反射する。
すなわち、照明光束571aについては、スイッチング素子532が配向状態537aにある場合に、オン状態(反射された光束が投写レンズに入射する状態)であり、配向状態537bにある場合にオフ状態(反射された光束が投写レンズに入射しない状態)である。
また照明光束571bについては、スイッチング素子532が配向状態537bにある場合のときに、オン状態(反射された光束が投写レンズに入射する状態)であり、配向状態537aの状態の場合にオフ状態(反射された光束が投写レンズに入射しない状態)である。
本例のプロジェクタ501は、さらに、ライトバルブ530の近傍の投写レンズ550の側に、照明光束571および表示光束573が透過するように配置された正の屈折力のフィールドレンズ540を備えている。つまり、フィールドレンズ540は、投写レンズ550と、ライトバルブ530との間に位置する。また、フィールドレンズ540は、投写レンズ550とライトバルブ530とを結ぶ間の光路上に位置する。このフィールドレンズ540は、照明光束571に対して、光源510から出力された照明光束571をライトバルブ530の上に集光する機能を果たし、表示光束573に対しては、投写レンズ550と共に表示光束573をスクリーン599の上に集光する機能を果たす。さらに、光源510と投写レンズ550との間に、フィールドレンズ540と、反射型のライトバルブ530の変調領域539と、フィールドレンズ540とで構成される1つの光学系を定義することができる。本明細書では、この光学系を変調光学系G1と称することにする。
本例の光源510は、フィールドレンズ540に向くように、投写レンズ550の入射端551を挟んで配置された2つの光射出領域512aおよび512bを備えている。これらの光射出領域512aおよび512bの形状およびサイズは互いにほぼ同じであるが、一方の光射出領域(第1の光射出領域)512aには、複数の赤色のLED素子(固体発光素子)511R、および複数の青色のLED素子511Bが並べられており、他方の光射出領域(第2の光射出領域)512bに複数の緑色のLED素子511Gのみが並べられている。ところで、LED素子511のライトバルブ530の側(前方あるいは射出側)に、複数のマイクロレンズ516が設けられている場合であって、LED素子511のそれぞれとマイクロレンズ516のそれぞれが一対一となるようにこの複数のマイクロレンズ516がアレイまたはマトリクス状に配置されている場合には、この複数のマイクロレンズ516の全て(すなわちマイクロレンズアレイ515aおよびマイクロレンズアレイ515b)が光射出領域512aおよび512bに対応する。一方、このようなマイクロレンズアレイ515aおよびマイクロレンズアレイ515bがLED11とライトバルブ530との間の光路上にない場合には、LED素子511の発光部513の全てが光射出領域512aおよび512bに対応する。
マイクロレンズ516のそれぞれとフィールドレンズ540とで構成される光学系(本明細書では照明光学系と称する)G2は、LED素子511のそれぞれから射出された照明光束571をライトバルブ530の変調領域539に導く。一方、フィールドレンズ540およびライトバルブ530を含む変調光学系G1は、光射出領域512aおよび512b(本実施の形態ではマイクロレンズアレイ515aおよび515b)のそれぞれから射出された照明光束571を投写レンズ550の入射瞳552に導く。
さらに、各々の光射出領域512aおよび512bは、フィールドレンズ540およびライトバルブ530を含む変調光学系G1を介して、投写レンズ550の入射瞳552に対して光学的に共役関係になるように配置されている。より具体的には、光射出領域512aおよび512bのそれぞれは、フィールドレンズ540およびライトバルブ530を含む変調光学系G1を介して、入射瞳552に対して光学的に共役な仮想平面上に位置する。投写レンズ550の入射側551から見てあらゆる光線を規制するのは入射瞳552である。したがって、照明光束571が出力されてから投写レンズ550に至る間に通過する変調光学系G1を介して、入射瞳552と共役関係となるように光射出領域512aおよび512bを設定することにより、光射出領域512aおよび512bの共役像515iが入射瞳552に形成されることになる。すなわち、光射出領域512aまたは512bから出力された照明光束571a又は571bは、フィールドレンズ540の反射・吸収やライトバルブ530の吸収などにより減少する以外は、すべてが絞り559を通過して投写レンズ550に入り、スクリーン599に投影される。したがって、光射出領域512aおよび512bから出力された照明光束571aおよび571bは無駄なく画像をスクリーン599に投写するために利用される。このため、最小面積の光射出領域512aおよび512bにより、最も明るい画像を表示できるプロジェクタ501を提供できる。
本例のライトバルブ530の変調領域539を構成するスイッチング素子532は、図13で説明したように2つの位置537aおよび537bを備えている。したがって、ライトバルブ530がオンのときに入射瞳552と共役関係にある位置は2つあり、図14に示すように、入射瞳552を挟み、スイッチング素子532のマイクロミラー531が旋回する方向(スイッチング方向)Sに対称な位置L1およびL2が入射瞳552と共役関係にある位置になる。すなわち、ライトバルブ530の中心530cを通り、ライトバルブ530の辺530aから45度ずれた方向に、第1および第2の光射出領域512aおよび512bが位置する。このライトバルブ530からの45度ずれた方向は、ライトバルブ530のスイッチング素子532のマイクロミラー531が旋回するスイッチング方向であり、照明光束571の入射方向となる。そして、変調光学系G1を介してその共役な位置L1およびL2に形成された入射瞳552の像552iの範囲が入射瞳552に共役関係にある領域である。そこで、その入射瞳552に対してスイッチング方向Sに対称に形成される共役像552iの範囲にLED素子511Rおよび511Bまたは511Gを配置して第1および第2の光射出領域512aおよび512bを形成している。
したがって、本例のプロジェクタ501では、凸レンズ効果を備えた、正の屈折力のフィールドレンズ540をライトバルブ530の近傍に配置することにより、投写レンズ550の入射瞳552と共役関係にある第1および第2の光射出領域512aおよび512bを設けている。さらに、それらの領域512aおよび512bにLED素子511R、511Bおよび511Gを配置することにより無駄なく複数のLED素子から射出された光が投写レンズ550に入力することができる。
近年、LED素子は、青色のLED素子511Bをはじめ高輝度で光量の大きなものが実用化されており、様々な光源として用いられているが、高輝度化が進んでいるものの、個々のLED素子から出力される光量は、従来の白色ランプに比較すると弱い。したがって、プロジェクタ501に必要な光量を確保するには複数のLED素子を並べることが好ましい。また、多くのLED素子を並べて光源とした場合には、それらから出力される光が画像をスクリーンに投影されるためにほぼ全て用いられることが好ましい。そうすれば消費電力の増加とサイズの増加とを抑えつつ、明るいプロジェクタが得られるからである。
これに対し、本例のプロジェクタ501においては、入射瞳552と共役関係にある領域512aおよび512bにLED素子511を配置しているので、LED素子511から出力される光が無駄になることはなく、光の利用効率が高い。したがって、最も小型で、省エネルギーの構成で最も明るい画像を投影可能なプロジェクタ501を実現できる。
本例のライトバルブ530の場合、入射瞳552に共役な領域が2つあるので、そのいずれか一方にのみLED素子511R、511Gおよび511Bを配置しても良い。その場合でも、それぞれのLED素子から出力された光は、無駄にならずに投写レンズ550に入射されるので、光の利用効率が高く、コンパクトで明るい画像を表示可能なプロジェクタとなる。しかしながら、共役な領域512aおよび512bの両方を利用すればLED素子511を配置可能な面積は2倍になるので、さらに明るい画像を表示することができる。
これらの領域512aおよび512bにLED素子511R(赤色)、511G(緑色)および511B(青色)を同じ割合で配置することも可能であり、スイッチング素子530の2つのオン状態537aおよび537bを第1および第2の光射出領域512aおよび512bから時分割で射出される各色の光に同期して制御することによりマルチカラーの画像を表示できる。2方向の光射出領域512aおよび512bから照明光束571aおよび571bがそれぞれ照射されるので、各色または少なくとも2色に対応した数のスイッチング素子532が変調領域539に用意されていれば、2色の画像を同時に出力することも可能である。
これに対し、一方の光射出領域512aまたは512bに特定の色のLED素子511が固まって配置されている場合は、色毎にオン状態の方向537aおよび537bを制御すれば良いので、スイッチング素子532の制御は非常に簡単になり、少ないスイッチング素子で明るい画像を表示できる。マルチカラー(フルカラー)の画像を出力するには、各色を発光する素子の数量(個数)のバランスは、比視感度などを考慮して白色が出せる割合に設定することが望ましい。比視感度は緑色が非常に低く、緑色のLED素子511Gの出力も現状では比視感度をカバーできるほどには向上していない。このため、本例では、比視感度の低い、緑色のLED素子511Gを単独で第2の発光面512bに配置し、赤色および青色のLED素子511Rおよび511Bを第1の発光面512aの上に配置することにより、カラーバランスを確保している。
本明細書で開示しているように、光射出領域512aおよび512bのそれぞれは、入射瞳552に対して共役な仮想平面上に位置する。したがって、この共役な仮想平面上に生じる入射瞳552の共役像552i内に効率よくLED素子511を配置すれば、LED素子511から出力された照明光束571を無駄なく画像を投影するために利用できる。したがって、明るい画像を表示するためには、光射出領域512aおよび512bのそれぞれの形状を共役像552iの形状に一致させればよい。
図14では、光射出領域512aおよび512bは、入射瞳552の共役像552iの範囲内にある。もっとも望ましい配置は、入射瞳552の共役像552i、すなわち、図14に一点破線で示すサークル内を、マイクロレンズ516を含めてLED素子511で満たすことである。
図15(a)に示した配置は、第1の光射出領域512aにLED素子511をアレイ状に配置して入射瞳の像552iを満たした配置例であり、LED素子511の光射出領域512aの一部が共役像552iからはみ出しているので無駄な光が発生している。また、共役像552iのうち光射出領域512aと重ならない部分もあるが、多数のLED素子511を規則的に並べやすい配置である。
図15(b)は、LED素子511を上下あるいは左右の列で半ピッチ(半ピッチ以下でも良いが)シフトして並べた配置例である。この配置例は、多数のLED素子511を並べる手間はかかるが、入射瞳の像552iをほぼLED素子511で埋めることができ、入射瞳の像552iからはみ出す部分もほとんどない。したがって、照明光束の無駄を最小限にすることができ、コンパクトで明るい画像を表示できるプロジェクタを提供するには適している配置である。
以上に説明したように、フィールドレンズ540およびライトバルブ530を含む変調光学系G1に対して入射瞳552と共役関係にある第1および第2の光射出領域512aおよび512bにLED素子511を配置することにより、照明光束571の無駄を防止でき、コンパクトで明るい画像を表示できるプロジェクタ501を提供できる。しかしながら、個々のLED素子511に着目すると、個々のLED素子511から出力される光量にはばらつきがあることがある。
まず、本例においては、光源510の第1および第2の光射出領域512aおよび512bに配置されたLED素子511R、511Gおよび511Bの前方に、マイクロレンズアレイ515を設け、マイクロレンズアレイ515を構成するマイクロレンズ516とフィールドレンズ540とを含む照明光学系G2を介して、各々LED素子511の発光部513とライトバルブ530の変調領域539とが共役関係になるように配置している。各々のLED素子511の中で光を射出する発光部である発光部513と、変調領域539とが共役関係になることにより、発光部513から出力された照明光束571は無駄なく変調領域539に照射される。したがって、個々のLED素子511という微視的な領域でも、LED素子511から出力された光の無駄を省くことができ、コンパクトでより明るい画像を表示できるプロジェクタ501を提供できる。
さらに、それぞれの発光部513と変調領域539が共役関係にあるので、個々のLED素子511の発光部513から出力された照明光束571により、変調領域539の全体が照明される。したがって、個々のLED素子511から出力される光の強度差といった個体差はキャンセルされ、複数のLED素子511により変調領域539を、無駄なく、さらに、むら無く照明することが可能となる。このため、スクリーン599に投写される画像の明るさを向上できるだけでなく、画像のむらを無くし、画像品質も向上できる。
マイクロレンズ516が球面の場合は、各々の発光部513が変調領域539と共役関係にあるということは、個々の発光部513の形状は、変調領域539と相似な形状であることが好ましい。すなわち、発光部513の縦横比(アスペクト比)が、変調領域539のアスペクト比と同一であることが望ましい。さらに、変調領域539の一辺539aと発光部513の横辺513aが平行に配置されていることが望ましい。したがって、本例では、サイズが2mm×3mm程度の長方形の発光部513を備えたLED素子511を第1および第2の光射出領域512aおよび512bに配列している。
個々の発光部513の形状は、変調領域539と相似な形状に限定されるものではない。例えば、図16に示すように、2mm×2mm程度の正方形の発光部513を備えたLED素子511であっても、非点収差を発生させるシリンドリカル状のマイクロレンズ516を採用することにより、発光部513と変調領域539を共役な関係にすることが可能である。
図16に示したマイクロレンズ516は、縦横の曲率あるいは倍率が異なるように形成されており、照明光学系G2を通過することにより、照明光束571の断面が長方形となり、ライトバルブ530の変調領域539の全体を照明する。このマイクロレンズ516は非点収差を発生させるものなので、結像位置は縦方向と横方向では一致しない。
しかしながら、発光部513の縦方向513yの結像位置と、発光部513の横方向513xの結像位置の間にライトバルブ530が配置されるように照明光学系G2を設計することにより、個々の発光部513から出力された照明光束571により変調領域539のほぼ全体を照明することができ、照明光束に無駄が発生するのを最小限に抑えることができる。
このように個々のLED素子511の発光部513と変調領域539とを共役な関係として、個々のLED素子511で変調領域539の全体を照明することが望ましいが、個々のLED素子511からの照明光束571の無駄を防止するという点では、これに限定されるものではない。たとえば、個々のLED素子511が非常に微小な、たとえば、1mm×1mm程度の正方形の発光部513を備えている場合は、照明光学系G2で発光部513と変調領域539とを共役関係にすることは難しくなる。しかしながら、発光部513を正方形または長方形にする場合には、それぞれ利点がある。個々のLED素子511の発光部513からの像により変調領域539の全体を照明できない場合は、図17に示したように、LED素子511と、それとペアとなるマイクロレンズ516との光軸579をペア毎に、あるいは適当なグループ単位で適当にずらすことにより、図18に示すように変調領域539を発光部513の像571iが一部オーバーラップするように照明することができる。この際、微小発光面513が方形であると、変調領域539に形成される像571iも方形となるので、変調領域539の辺と発光部513の像571iの辺とを合わせやすく、照明光束571の無駄が発生するのを防止できる。
発光部513が変調領域539と相似あるいはそれに近い長方形であると、発光部513の長辺と変調領域539の長辺とを合わせることにより、変調領域539の形状に光射出領域512aから供給される照明光束571の全体の断面を合わせやすく、無駄のない照明ができる。このためには、発光部513の長辺と変調領域539の長辺とが平行になるようにLED素子511を配置する必要がある。
このように、個々の発光部513が照明光学系G2を介して変調領域539と共役関係にない場合でも、発光部513を方形、さらに望ましくは変調領域539と相似な長方形にすることにより、照明光束571のエッジを合わせて無駄な光が生ずるのを防止できる。さらに、フィールドレンズ540が配置されていないプロジェクタにおいても、発光部513が照明光学系G2(この場合はマイクロレンズ516だけになる)を介して変調領域539と共役関係にあることにより、照明光束の無駄を排除する効果が得られる。したがって、コンパクトで省エネルギーでありながら、明るい画像を表示できるプロジェクタを提供できる。また、発光部513が照明光学系G2を介して、変調領域539と共役関係にない場合でも、各々の発光部513の形状を方形または変調領域539に相似な長方形とすることにより、照明光束の無駄を防止できることは上述したとおりである。
なお、上記の例では、図19(a)に変調光学系G1を照明光束571の側と表示光束573の側に展開して示すように、照明光束、すなわち入射側と、表示光束、すなわち射出側との倍率が1:1の変調光学系に基づき説明している。この変調光学系G1は、入射側のフィールドレンズ540と、射出側のフィールドレンズ540(入射側と同一のレンズである)との間の光束572が平行光束となる。したがって、変調領域539に照射される照明光束572はテレセントリックとなり、マイクロミラー531の角度を変えてスイッチングするのが容易となる。すなわち、変調領域539に配列されたマイクロミラー531で得られる有効光だけでなく無効光も平行になるので、微小な角度で有効光と無効光を分離できる。あるいは、無効光を飲み込まない範囲で投写レンズ550の入射口径をおおきくすることが可能となり、より明るい画像を表示することができる。
一方、図19(b)に示すように、入射側に対する射出側の倍率が等しくない変調光学系G1を採用することも可能である。しかしながら、入射側に対して射出側の倍率が1より大きな変調光学系は、光源510が投写レンズ550よりライトバルブ530の側に位置する。一方、入射側に対して射出側の倍率が1より小さな、たとえば、1/2(0.5倍)の変調光学系G1においては、フィールドレンズ540によって、光源510からの照明光束571が縮小され投写レンズ550の入射瞳552に集光される。したがって、逆に、入射瞳552に対して光射出領域512aまたは512bの面積は大きくなり、さらに多くのLED素子511を並べて照明光束571の光量を増加できる。一方、ライトバルブ530の変調領域539においては、平行光ではなく収束光が照射され、有効光および無効光が共に平行光にはならない。しかしながら、投写レンズ550の開口で無効光が排除できる設計許容範囲内であれば、画質上は問題ない。また、投写レンズ550のFナンバーに依存するが、レンズの明るさは殆ど変えないように構成することも可能である。
以上に説明したように、本例のプロジェクタ501は、固体発光素子であるLED素子511R、511Gおよび511Bを光源510とし、複数のLED素子が並べられた光射出領域512と投写レンズ550の入射瞳552とが、フィールドレンズ540を含む変調光学系を介して共役関係になるようにレイアウトしている。したがって、光射出領域512から出力された照明光束の無駄をなくすことができ、固体発光素子のメリットを活かした、コンパクトで、省電力タイプのプロジェクタであって、高品質な明るいカラー画像を表示するプロジェクタを提供できる。
上述したように、本実施の形態のライトバルブ(空間光変調装置)530はマイクロミラーデバイスである。このようなマイクロミラーデバイスとして、DMD(デジタルマイクロミラーデバイス)が適用できる。DMDはテキサスインスツルメンツ社製のデバイスである。なお、上記では、ライトバルブにマイクロミラーデバイスを用いた例を説明しているが、さらに、これに限らず、他のタイプのライトバルブ、たとえば、反射型の液晶を用いることも可能である。また、固体発光素子としてLED素子を採用した例を説明しているが、これに限らず他の固体あるいは半導体発光素子、たとえば、有機EL、半導体レーザなどを用いることも可能である。以上に説明したように、本発明により、固体発光素子を光源として用いたプロジェクタにおいて、固体発光素子から出力される照明光束を無駄にせずに投写レンズに導くことができるプロジェクタを提供できる。したがって、最小の構成で、効率良くライトバルブを照明することができ、コンパクトで省エネルギーでありながら、明るく高品位の画像をスクリーンに投影できるプロジェクタを提供することが可能となる。
1…画像表示デバイス、10…第1色光用光源部、11…G光用発光素子、12…発光チップ部、13…テーパ状ロッド部材、20…第2色光用光源部、21…R光用発光素子、22…B光用発光素子、23…基板、24,25…発光チップ部、LS…レンズ部材、30…ティルトミラーデバイス、31…可動ミラー素子、32…基板、33,34…電極、35…所定軸、40…駆動制御部、50…投写レンズ、60…スクリーン、100,200,300…プロジェクタ、110…光源部、110R,110G,110B…各色用発光素子、130…駆動制御部、140…ティルトミラーデバイス、141…可動ミラー素子、150…投写レンズ系、160…スクリーン、210…透過型液晶ライトバルブ、310…レンズ、320…偏光ビームスプリッタ、320a…偏光面、330…反射型液晶ライトバルブ、400…画像表示デバイス、410…導光板、420…透過型液晶ライトバルブ、501…プロジェクタ、510…光源、511…LED素子、512…光射出領域、513…発光部、515…マイクロレンズアレイ、516…マイクロレンズ、530…ライトバルブ、531…マイクロミラー、532…ティルトミラー素子(スイッチング素子)、539…変調領域、540…フィールドレンズ、550…投写レンズ、552…入射瞳、571…照射光束、573…表示光束、599…スクリーン。