JP2004279816A - 照明光学系およびプロジェクタ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストおよびLEDからの光量の損失をそれぞれ抑制したプロジェクタ装置を提供する。
【解決手段】レンズL1〜L4を直線状に配設してレンズ光学系5とする。各LED2からの照射光が重なり合う位置とLCD8の変調面7の位置が光学的に共役になるようにレンズ光学系5を設ける。各LED2からの照射光の重なり合いで比較的均一化した照度分布に応じた照度分布を安価な構成で確実にLCD8に構成し、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できる。
【選択図】 図1
【解決手段】レンズL1〜L4を直線状に配設してレンズ光学系5とする。各LED2からの照射光が重なり合う位置とLCD8の変調面7の位置が光学的に共役になるようにレンズ光学系5を設ける。各LED2からの照射光の重なり合いで比較的均一化した照度分布に応じた照度分布を安価な構成で確実にLCD8に構成し、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の光源を所定の位置に配置した照明光学系およびこれを備えたプロジェクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光源としての例えばメタルハライドランプなどの白熱ランプで液晶表示素子、すなわちLCD(Liquid Crystal Display)を背面から照明し、このLCDに表示される画像を、投射レンズを介してスクリーン上に拡大投射するプロジェクタ装置が知られている。
【0003】
しかしながら、光源として白熱ランプを用いた上述のプロジェクタ装置では、白熱ランプから発生する熱に対する対策としてファンなどの設置が不可欠であり、また、白熱ランプ自体の小型化が容易でないことにより、装置全体としての小型化が容易でないとともに、白熱ランプを駆動するために例えば120W程度の比較的大型の電源が必要であるなどの問題点があった。
【0004】
このため、これら問題点を解決する構成として、光源としての複数のLEDを格子状に配置した光源部としてのLEDアレイを備え、このLEDアレイの各LEDの前側にマイクロレンズがそれぞれ位置するようにマイクロレンズアレイを配置して、LEDアレイの各LEDが照射した光をマイクロレンズアレイで集光してLEDアレイが照射した光の照度を均一化するプロジェクタ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−123512号公報(第3−5頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のプロジェクタ装置では、マイクロレンズアレイが比較的高価であるため、製造コストを抑制することが容易でない問題を有している。
【0007】
また、互いに隣接するマイクロレンズの境界部分では集光作用が弱くなるため、LEDアレイが照射した光がこの境界部分を通過することで光量の損失を招くおそれがある問題も有している。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、製造コストおよび光源からの光量の損失をそれぞれ抑制した照明光学系およびこれを備えたプロジェクタ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の照明光学系は、複数の光源を所定の位置に配置した光源部と、前記光源部の前記各光源からそれぞれ照射された光を集光するレンズ光学系と、このレンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段とを具備し、前記レンズ光学系は、前記光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と前記光変調手段の変調面の位置とが光学的に略共役になるように設けられているものである。
【0010】
そして、複数の光源を所定の位置に配置した光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、光源からの光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失がそれぞれ抑制される。
【0011】
請求項2記載の照明光学系は、請求項1記載の照明光学系において、レンズ光学系が、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される前記各光源からの光が光変調手段に入射するように設けられているものである。
【0012】
そして、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される各光源からの光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、光源が照射した光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量が確保される。
【0013】
請求項3記載の照明光学系は、複数の光源を所定の位置に配置した光源部と、この光源部の前記各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系と、前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光を集光するレンズ光学系と、このレンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段とを具備し、前記レンズ光学系は、前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が少なくとも重なり合う位置と前記光変調手段の前記変調面の位置とが光学的に略共役になるように設けられているものである。
【0014】
そして、光源部の各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系により偏光方向を揃えられた光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失がそれぞれ抑制される。
【0015】
請求項4記載の照明光学系は、請求項3記載の照明光学系において、レンズ光学系は、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するように設けられているものである。
【0016】
そして、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量が確保される。
【0017】
請求項5記載のプロジェクタ装置は、請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系と、この照明光学系の光変調手段に変調された光を投射する投射レンズ光学系とを具備したものである。
【0018】
そして、請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系の光変調手段にて変調された光を投射レンズ光学系にて投射することにより、製造コストおよび光量の損失がそれぞれ抑制され、かつ照度斑が低減された所定の照度分布の光を投射可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロジェクタ装置の第1の実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0020】
図1および図2において、1はプロジェクタ装置を示し、このプロジェクタ装置1は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光をそれぞれ照射する光源としてのLED2を複数備えた光源部としてのR(赤)、G(緑)、B(青)の各色光のLEDアレイ3、光路統一手段としての直方体状のダイクロイッククロスプリズム4、レンズ光学系5、PBS(Polarized Beam Splitter:偏光ビームスプリッタ)プリズム6、変調面7を有する光変調手段としての液晶表示装置である液晶表示素子、すなわちLCD(Liquid Crystal Display)8、および、投射レンズ光学系9をそれぞれ備えている。
【0021】
LEDアレイ3は、複数のLED2を色毎に所定の位置に配置したものであり、本実施の形態では、例えば上下方向および左右方向に3列ずつ、計9個それぞれ配設した構成で説明する。これらLEDアレイ3は、各LED2の図示しない端子配線などの構造物が付随していることにより、互いのLED2を隙間なく密接して配置させることが困難であるため、各LED2の間に所定の隙間が形成されている。そして、これらLEDアレイ3は、図1および図2に示すように、LED2をダイクロイッククロスプリズム4の互いに隣接する3つの側面にそれぞれ対向させた状態で配設されている。
【0022】
ダイクロイッククロスプリズム4は、各LEDアレイ3のLED2から照射されたR(赤)、G(緑)、B(青)の光を、W(白)の光に互いに色合成したり、あるいは各LEDアレイ3のLED2から照射されたR(赤)、G(緑)、B(青)の光を共通の光路上に導いたりして、LEDアレイ3が対向していない側面から光軸Xの方向に沿ってレンズ光学系5へと照射するものである。
【0023】
レンズ光学系5は、光軸X方向に沿って直線状に順次配設されたレンズL1〜L4を備えている。これらレンズL1〜L4は、両凸レンズである第1レンズL1、この第1レンズL1側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズL2、この第2レンズL2側に凸面を向けた平凸レンズであり第2レンズL2と同形状の第3レンズL3、この第3レンズL4側に凸面を向けた平凸レンズである第4レンズL4である。そして、これらレンズL1〜L4は、LEDアレイ3の最も外側に位置するLED2の光軸よりも内側の範囲、すなわち図3に示す範囲Yの内側に照射される各LED2からの照明光がLCD8の変調面7全体に少なくとも入射するように、ダイクロイッククロスプリズム4側からPBSプリズム6に向けて配設されている。また、レンズ光学系5は、LEDアレイ3の互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合う所定の位置とLCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。
【0024】
PBSプリズム6は、第4レンズL4とLCD8との間に、このLCD8の変調面7に対向して配置されており、レンズ光学系5により集光された光およびLCD8から反射された光のS偏光光のみを透過させ、P偏光光を略垂直に反射させるダイクロイック面11を有している。
【0025】
LCD8は、本実施の形態では、いわゆる反射型のものである。
【0026】
投射レンズ光学系9は、平凸レンズであるレンズL5およびレンズL6を有している。これらレンズL5およびレンズL6は、互いに反対側に凸面を向け平面を対向させてPBSプリズム6の側方にダイクロイック面11に対向して配設されている。この投射レンズ光学系9は、PBSプリズム6により反射された光を図示しないスクリーン上に投射像として投射する。
【0027】
そして、図4に示すように、LEDアレイ3、レンズ光学系5およびLCD8にて照明光学系12が構成されている。
【0028】
次に、上記第1の実施の形態における照明光学系12の照度分布によるLEDアレイ3、レンズ光学系5およびLCD8の変調面7の位置関係を、図面を参照して説明する。
【0029】
図4に示すように、各LEDアレイ3のLED2から照射される光、すなわち照明光は発散光であり、この照明光の照度分布は、図5および図6にそれぞれ示すように、LED2の光軸Xを中心として中心部ほど照度が大きく、光軸Xからこの光軸Xに略直交する方向、すなわち左右方向に離れるにしたがって周辺部ほど照度が低くなる、いわゆるガウス分布状の照度分布となっている。
【0030】
さらに、LED2からの照明光は、LED2の直前、すなわちLED2の近傍において、光軸上の照度と光軸外の照度の変化が比較的急峻になっており、LED2から光軸の方向に遠ざかるにしたがって照度の変化が比較的緩慢になっている。
【0031】
このため、LEDアレイ3による照明光の照度分布は、LEDアレイ3の近傍、例えば図5のA−Aの位置では、各LED2に対向する位置の照度が大きく、互いに隣接するLED2からの照明光の間に各LED2の間の隙間に対応した照明光が当たらない部分、すなわち暗部が形成されるので、図6(a)に示すように光斑状の照度分布になっている。
【0032】
また、図5のB−Bの位置では、互いに隣接するLED2からの照明光が連続するようになるため、暗部はなくなるが、図5のA−Aの位置と同様に、各LED2に対向する位置の照度が大きく、周囲の照度は小さくなる。このため、図5のB−Bの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、図6(b)に示すように、照度斑が著しい照度分布になっている。
【0033】
さらに、図5のC−Cの位置では、互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合うようになり、図6(c)の破線に示すように、この重なり合った部分の照度は互いに重なり合っている照明光の照度の和になる。このため、図5のC−Cの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、図5のA−Aの位置、あるいはB−Bの位置の照度分布のように互いに隣接するLED2の間の照度が小さくなることがなく、図6(c)に示すように、図6(a)および図6(b)に比べてLEDアレイ3による照明光の照度分布の照度斑が低減されている。
【0034】
また、図5のD−Dの位置では、互いに隣接するLED2からの照明光の重なり合う部分が増加し、一方のLED2からの照明光の照度が略0になる付近と、他方のLED2からの照明光の照度がピーク値になる付近とが互いに重なり合っている。さらに、互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合っている部分の中間位置が、ピーク値の約半分の照度になるように重なり合っている。
【0035】
このため、図5のD−Dの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、図5のA−Aの位置、あるいは図5のB−Bの位置での照度分布のように互いに隣接するLED2の間の照度が著しく低下することがなく、LEDアレイ3全体としての照明光の照度斑が、図6(d)の破線に示すように大幅に低減される。
【0036】
すなわち、図5のD−Dの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、互いに重なり合う照明光同士が互いの照明光の照度を補い合うことで、照明光が重なり合った部分の照度が各LED2からの照明光の照度のピーク値に略等しくなり、各LED2からの照明光のピーク値に略均一化されている。
【0037】
また、図5のE−Eの位置では、1つのLED2からの照明光に、このLED2に隣接するLED2および他のLED2の2つ以上のLED2からの照明光が重なり合い、LEDアレイ3による照明光の照度分布は、図6(e)に示すように、光軸側の照度が大きく、光軸から左右方向に離れるにしたがって照度が低くなるが、照度の変化は比較的緩慢であり、全体として均一化されている。
【0038】
そして、レンズ光学系5は、図5のC−Cの位置とE−Eの位置との間、すなわち互いに隣接するLED2からの照明光が少なくとも重なり合う位置で照度分布が最も均一化された位置である図5のD−Dの位置と、LCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。ここで、LEDアレイ3の各LED2からの照明光の照度分布が所定の照度分布になる位置は、互いに隣接するLED2からの照明光が少なくとも重なり合う位置、かつ投射レンズ光学系9によりスクリーン上に投射される投射像に要求される照度分布の均一さなどに応じた照度分布になる位置として適宜決定する。
【0039】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0040】
R(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3がLCD8を駆動する画像信号に基づき時分割で駆動されると、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光がダイクロイッククロスプリズム4に入射し、このダイクロイッククロスプリズム4にてR(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3の各LED2からの照明光が、光軸Xに沿った方向に向けて共通の光路上に導かれる。
【0041】
ダイクロイッククロスプリズム4にて導かれた光は、レンズ光学系5により集光され、PBSプリズム6を透過する。
【0042】
このとき、レンズ光学系5により集光された光のS偏光光成分のみがLCD8へと透過し、P偏光光成分は投射レンズ光学系9と反対方向に向けてダイクロイック面11に反射される。
【0043】
この後、レンズ光学系5により集光された光のS偏光光成分がLCD8の変調面7に入射し、このLCD8を駆動する画像信号に応じて変調されて反射され、再びPBSプリズム6に入射する。
【0044】
そして、このPBSプリズム6に入射した光のS偏光光成分は、ダイクロイック面11を透過し、P偏光光成分のみが投射レンズ光学系9に向けてダイクロイック面11に反射されて、投射レンズ光学系9のレンズL5およびL6によりスクリーン上に投射されて投射像となる。
【0045】
このとき、LEDアレイ3の各LED2からの照明光の照度分布が最も均一化された図5のD−Dの位置と、LCD8の変調面7の位置とが光学的に共役になるようにレンズ光学系5を配設することにより、LEDアレイ3の各LED2による照射光の図5のD−Dの位置の照度分布とLCD8の変調面7における照明光の照度分布とが互いに物体と像との関係になるので、LEDアレイ3の各LED2による照射光の図5のD−Dの位置の照度分布に応じた照度分布がそのままLCD8の変調面7における照度分布となる。
【0046】
このため、互いに隣接するLED2からの照射光の重なり合いで均一化された照度分布に応じた照度分布を、例えばマイクロレンズアレイなどの比較的高価な構成を用いることなくレンズL1〜L4を光軸Xに沿って直線状に配設した比較的安価な構成で確実にLCD8に構成できるので、プロジェクタ装置1全体として製造コストを抑制できるとともに、LED2からの照射光を効率よく利用でき、LED2からの照明光の光量の損失を抑制できる。
【0047】
そして、投射レンズ光学系9によりスクリーン上に投射された投射像も、図5のD−Dの位置の照度分布に応じた均一化された照度分布に状態になり、鮮明な投射像をスクリーン上で容易に観察できる。
【0048】
また、範囲Y内に照射されるLED2からの照明光をLCD8の変調面7に入射させるようにレンズ光学系5を配設することにより、LED2からの照射光の重なり合いが少なく照度の均一度が範囲Y内に比べて劣る範囲Y外の照射光を含める場合よりも照度分布が良好に均一化された照明光をLCD8に入射させることができるので、LCD8に入射される光の光量を確保し、より明るい投射像をスクリーン上で得ることができる。
【0049】
さらに、LCD8を駆動する画像信号に基づいてLEDアレイ3を時分割で駆動することで、残像によるR(赤)、G(緑)、B(青)の加色混合により、色彩がある投射像をスクリーン上で観察できる。
【0050】
そして、光源としてLED2を用いることにより、大型の電源、あるいは冷却用のファンなどが必要なく、プロジェクタ装置1全体として省電力化および小型化できる。
【0051】
また、LCD8を反射型にしたことにより、LCD8を透過型にした場合よりも各LEDアレイ3の各LED2からの照明光の損失が少ないため、LCD8を透過型にした場合よりも明るい投射像をスクリーン上で得ることができる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態の構成を図7および図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
この第2の実施の形態においては、図7および図8に示すように、各LEDアレイ3の各LED2からの照明光の偏光方向を所定の方向、例えばP偏光方向に揃える偏光変換光学系としてのPBSアレイ15がそれぞれ配置されている。これらPBSアレイ15は、各LEDアレイ3とダイクロイッククロスプリズム4との間に、各LEDアレイ3に対向して配設されている。
【0054】
また、これらPBSアレイ15は、各LED2に対応した数の複数のダイクロイック面16を備えている。これらダイクロイック面16は、LED2の配設方向に沿って互いに隣接して設けられ、各LED2からの照明光のS偏光光成分をそれぞれ透過させるとともにP偏光光成分をそれぞれ反射させる。さらに、PBSアレイ15は、ダイクロイッククロスプリズム4側に対向する側面に、例えば1/2波長板などの位相差板17を備えている。これら位相差板17は、それぞれLED2の配設方向に沿って配設され、各LED2からの照明光のS偏光光成分をP偏光方向に変換する。
【0055】
また、レンズ光学系5は、PBSアレイ15により偏光方向を揃えられ互いに隣接する照明光が重なり合う位置で、照度分布が最も均一化された位置と、LCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。さらに、レンズ光学系5は、PBSアレイ15により偏光方向を揃えられた光の最も外側に位置するものの光軸よりも内側に照射されるPBSアレイ15にて偏光方向を揃えられた光がLCD8の変調面7全体に入射されるように配設されている。
【0056】
そして、R(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3がLCD8を駆動する画像信号に基づき時分割で駆動されると、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光がPBSアレイ15に入射する。
【0057】
このPBSアレイ15では、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光のP偏光光成分がダイクロイック面16により反射された後、このダイクロイック面16に隣接するダイクロイック面16により再度反射されて、PBSアレイ15のダイクロイッククロスプリズム4側の側面からこのダイクロイッククロスプリズム4に向けて出射する。
【0058】
一方、PBSアレイ15に入射した各LEDアレイ3の各LED2からの照射光のS偏光光成分は、ダイクロイック面16を透過し、位相差板17によりP偏光方向に偏光方向を変換されて、PBSアレイ15のダイクロイッククロスプリズム4側の側面からこのダイクロイッククロスプリズム4に向けて出射する。
【0059】
この結果、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光は、PBSアレイ15により2つの光束に分割され、かつ偏光方向がP偏光方向に揃えられる。
【0060】
この後、PBSアレイ15から出射した光は、ダイクロイッククロスプリズム4に入射し、上記第1の実施の形態と同様の作用により図示しないスクリーン上に投射される。
【0061】
このように、PBSアレイ15にて偏光方向をP偏光方向に揃えられ互いに隣接する照明光の重なり合いで照度分布が均一化された位置と、LCD8の変調面7の位置とが光学的に共役になるようにレンズ光学系5を配設することにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
また、LEDアレイ3の各LED2からの照明光の偏光方向をPBSアレイ15にて揃えることにより、LEDアレイ3の各LED2からの照明光をより効率よく利用できる。
【0063】
尚、上記各実施の形態において、反射型のLCD8の代わりに、光を変調して反射するDMD(Digital Micromirror Device、商品名)などの他の様々な素子を使用することも可能である。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態の構成を図9および図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この第3の実施の形態においては、図9および図10に示すように、LCD8はいわゆる透過型のものであり、PBSプリズム6がなく、LCD8のレンズ光学系5と反対側、すなわち各LEDアレイ3の各LED2からの照明光のLCD8の透過方向に投射レンズ光学系9が配設されている。
【0066】
そして、R(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3がLCD8を駆動する画像信号に基づき時分割で駆動されると、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光がダイクロイッククロスプリズム4に入射して光軸X方向に向けて共通の光路上にそれぞれ導かれ、レンズ光学系5により集光されて、所望の均一な照度分布に応じた照度分布でLCD8の変調面7に入射する。レンズ光学系5は、LEDアレイ3の互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合う所定の位置とLCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。
【0067】
このLCD8の変調面7に入射した光は、LCD8を駆動する画像信号により変調され、LCD8を透過して投射レンズ光学系9により図示しないスクリーン上に投射される。
【0068】
この結果、透過型のLCD8においても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
また、LCD8が透過型であるため、LCD8を反射型とした場合と比較してPBSプリズム6などが必要なく、プロジェクタ装置1の構成をより簡略化でき、製造コストを抑制できるとともに、より小型化できる。
【0070】
なお、上記各実施の形態において、LEDアレイ3は、図11に示すように、LED2を正三角形の格子状に複数配設する構成なども可能である。この場合には、互いに隣接するLED2の間の距離が等しくなるため、これらLED2からの照明光による照度斑をより低減できる。
【0071】
また、LEDアレイ3は、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれを使用したが、同じLEDアレイ3にこれら各色のLED2を配置して時分割で駆動させる構成なども可能である。この場合には、ダイクロイッククロスプリズム4が必要なくなるなど、製造コストをより抑制できるとともに、プロジェクタ装置1をより小型化できる。
【0072】
このように、LEDアレイ3は様々な構成が可能であるため、LEDアレイ3の構成によっては、1つのLED2からの照明光の照度が略0になる付近と、このLED2に隣接する他のLED2からの照明光の照度がピーク値になる付近とが互いに重なり合い、かつこれらLED2からの照明光が重なり合っている部分の中間位置が、ピーク値の約半分の照度になるように重なり合っている位置でも、照度分布の均一化が最も図られている位置ではない場合がある。
【0073】
また、1つのLED2からの照明光の照度が略0になる付近と、このLED2に隣接する他のLED2からの照明光の照度がピーク値になる付近とが互いに重なり合い、かつこれらLED2からの照明光が重なり合っている部分の中間位置が、ピーク値の約半分の照度になるように重なり合っているような位置がない場合もある。
【0074】
すなわち、LEDアレイ3のLED2からの照明光による照度分布は、LEDアレイ3におけるLED2の間隔および配置などの位置関係により様々である。
【0075】
したがって、レンズ光学系5の各レンズL1〜L4の位置、あるいはレンズの枚数などは、LEDアレイ3の互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合う位置で照度分布が所定の状態に均一化された位置とLCD8の変調面7との位置とが光学的に共役になるように、例えばLEDアレイ3の発光面からの距離毎に照度を観測して実験的に求めたり、コンピュータによってシミュレーションしたりしてLEDアレイ3の特性に応じて設計する。
【0076】
なお、変調面7とは、LCD8に入射した光について偏光方向を変換する変調が完了した面、つまりLCD8における画像の形成面をいい、液晶表示素子であるLCD8においては、液晶層の光出射面(反射型のLCDでは、光入射面と光出射面とは同じ面)にスクリーンに投射される画像が形成されていると考えられるため、液晶層の光出射面が変調面7ということになる。
【0077】
さらに、LEDアレイ3のLED2からの照明光、あるいはPBSアレイ15から出射する光による照度分布は、光軸X方向に多少移動した位置でも急激に変化するものではないので、LEDアレイ3のLED2からの照明光、あるいはPBSアレイ15から出射する光が重なり合って照度分布が均一化されている位置と、LCD8の変調面7の位置とは、厳密に光学的に共役でなくてもよい。
【0078】
例えば、反射型のLCD8においては、光の反射面の位置を照明光の照度分布が均一化されている位置と共役位置としても、また、液晶層の前面に配置される位相差板の配置位置を照明光が均一化されている位置と共役位置としても、あるいは、透過型のLCD8においては、液晶層の光入射面の位置を照明光の照度分布が均一化されている位置と共役位置としても、また、液晶層の前後に配置される位相差板の配置位置を照明光の照度分布が均一化されている位置と共役位置としても、いずれの場合も、変調面7の近傍の位置であるため、本発明の効果が大きく損なわれるものではない。
【0079】
そして、LED2の照度は、範囲Yの外側であっても急激に低下するものではないので、厳密に範囲Y内だけに照射される光をLCD8の変調面7に入射するようにしなくてもよい。
【0080】
【発明の効果】
請求項1記載の照明光学系によれば、複数の光源を所定の位置に配置した光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、光源からの光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できる。
【0081】
請求項2記載の照明光学系によれば、請求項1記載の照明光学系の効果に加え、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される各光源からの光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、光源が照射した光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量を確保できる。
【0082】
請求項3記載の照明光学系によれば、光源部の各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系により偏光方向を揃えられた光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できる。
【0083】
請求項4記載の照明光学系によれば、請求項3記載の照明光学系の効果に加え、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量を確保できる。
【0084】
請求項5記載のプロジェクタ装置によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系の光変調手段にて変調された光を投射レンズ光学系にて投射することにより、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できれ、かつ照度斑が低減された所定の照度分布の光を投射できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロジェクタ装置の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図2】同上プロジェクタ装置を示す平面図である。
【図3】同上プロジェクタ装置の光源部を示す正面図である。
【図4】同上プロジェクタ装置の照明光学系を示す側面図である。
【図5】同上照明光学系の光源部による照度分布を示す説明側面図である。
【図6】同上照明光学系の光源部による図5に示す照度分布の説明断面図である。
(a) 図5に示す照度分布のA−A断面図
(b) 図5に示す照度分布のB−B断面図
(c) 図5に示す照度分布のC−C断面図
(d) 図5に示す照度分布のD−D断面図
(e) 図5に示す照度分布のE−E断面図
【図7】本発明のプロジェクタ装置の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図8】同上プロジェクタ装置を示す平面図である。
【図9】本発明のプロジェクタ装置の第3の実施の形態を示す側面図である。
【図10】同上プロジェクタ装置を示す平面図である。
【図11】本発明のプロジェクタ装置の光源部の他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ装置
2 光源としてのLED
3 光源部としてのLEDアレイ
5 レンズ光学系
7 変調面
8 光変調手段としてのLCD
9 投射レンズ光学系
12 照明光学系
15 偏光変換光学系としてのPBSアレイ
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数の光源を所定の位置に配置した照明光学系およびこれを備えたプロジェクタ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、光源としての例えばメタルハライドランプなどの白熱ランプで液晶表示素子、すなわちLCD(Liquid Crystal Display)を背面から照明し、このLCDに表示される画像を、投射レンズを介してスクリーン上に拡大投射するプロジェクタ装置が知られている。
【0003】
しかしながら、光源として白熱ランプを用いた上述のプロジェクタ装置では、白熱ランプから発生する熱に対する対策としてファンなどの設置が不可欠であり、また、白熱ランプ自体の小型化が容易でないことにより、装置全体としての小型化が容易でないとともに、白熱ランプを駆動するために例えば120W程度の比較的大型の電源が必要であるなどの問題点があった。
【0004】
このため、これら問題点を解決する構成として、光源としての複数のLEDを格子状に配置した光源部としてのLEDアレイを備え、このLEDアレイの各LEDの前側にマイクロレンズがそれぞれ位置するようにマイクロレンズアレイを配置して、LEDアレイの各LEDが照射した光をマイクロレンズアレイで集光してLEDアレイが照射した光の照度を均一化するプロジェクタ装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平10−123512号公報(第3−5頁、図2)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のプロジェクタ装置では、マイクロレンズアレイが比較的高価であるため、製造コストを抑制することが容易でない問題を有している。
【0007】
また、互いに隣接するマイクロレンズの境界部分では集光作用が弱くなるため、LEDアレイが照射した光がこの境界部分を通過することで光量の損失を招くおそれがある問題も有している。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みなされたもので、製造コストおよび光源からの光量の損失をそれぞれ抑制した照明光学系およびこれを備えたプロジェクタ装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の照明光学系は、複数の光源を所定の位置に配置した光源部と、前記光源部の前記各光源からそれぞれ照射された光を集光するレンズ光学系と、このレンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段とを具備し、前記レンズ光学系は、前記光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と前記光変調手段の変調面の位置とが光学的に略共役になるように設けられているものである。
【0010】
そして、複数の光源を所定の位置に配置した光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、光源からの光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失がそれぞれ抑制される。
【0011】
請求項2記載の照明光学系は、請求項1記載の照明光学系において、レンズ光学系が、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される前記各光源からの光が光変調手段に入射するように設けられているものである。
【0012】
そして、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される各光源からの光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、光源が照射した光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量が確保される。
【0013】
請求項3記載の照明光学系は、複数の光源を所定の位置に配置した光源部と、この光源部の前記各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系と、前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光を集光するレンズ光学系と、このレンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段とを具備し、前記レンズ光学系は、前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が少なくとも重なり合う位置と前記光変調手段の前記変調面の位置とが光学的に略共役になるように設けられているものである。
【0014】
そして、光源部の各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系により偏光方向を揃えられた光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失がそれぞれ抑制される。
【0015】
請求項4記載の照明光学系は、請求項3記載の照明光学系において、レンズ光学系は、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するように設けられているものである。
【0016】
そして、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量が確保される。
【0017】
請求項5記載のプロジェクタ装置は、請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系と、この照明光学系の光変調手段に変調された光を投射する投射レンズ光学系とを具備したものである。
【0018】
そして、請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系の光変調手段にて変調された光を投射レンズ光学系にて投射することにより、製造コストおよび光量の損失がそれぞれ抑制され、かつ照度斑が低減された所定の照度分布の光を投射可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のプロジェクタ装置の第1の実施の形態の構成を図面を参照して説明する。
【0020】
図1および図2において、1はプロジェクタ装置を示し、このプロジェクタ装置1は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光をそれぞれ照射する光源としてのLED2を複数備えた光源部としてのR(赤)、G(緑)、B(青)の各色光のLEDアレイ3、光路統一手段としての直方体状のダイクロイッククロスプリズム4、レンズ光学系5、PBS(Polarized Beam Splitter:偏光ビームスプリッタ)プリズム6、変調面7を有する光変調手段としての液晶表示装置である液晶表示素子、すなわちLCD(Liquid Crystal Display)8、および、投射レンズ光学系9をそれぞれ備えている。
【0021】
LEDアレイ3は、複数のLED2を色毎に所定の位置に配置したものであり、本実施の形態では、例えば上下方向および左右方向に3列ずつ、計9個それぞれ配設した構成で説明する。これらLEDアレイ3は、各LED2の図示しない端子配線などの構造物が付随していることにより、互いのLED2を隙間なく密接して配置させることが困難であるため、各LED2の間に所定の隙間が形成されている。そして、これらLEDアレイ3は、図1および図2に示すように、LED2をダイクロイッククロスプリズム4の互いに隣接する3つの側面にそれぞれ対向させた状態で配設されている。
【0022】
ダイクロイッククロスプリズム4は、各LEDアレイ3のLED2から照射されたR(赤)、G(緑)、B(青)の光を、W(白)の光に互いに色合成したり、あるいは各LEDアレイ3のLED2から照射されたR(赤)、G(緑)、B(青)の光を共通の光路上に導いたりして、LEDアレイ3が対向していない側面から光軸Xの方向に沿ってレンズ光学系5へと照射するものである。
【0023】
レンズ光学系5は、光軸X方向に沿って直線状に順次配設されたレンズL1〜L4を備えている。これらレンズL1〜L4は、両凸レンズである第1レンズL1、この第1レンズL1側に凸面を向けた平凸レンズである第2レンズL2、この第2レンズL2側に凸面を向けた平凸レンズであり第2レンズL2と同形状の第3レンズL3、この第3レンズL4側に凸面を向けた平凸レンズである第4レンズL4である。そして、これらレンズL1〜L4は、LEDアレイ3の最も外側に位置するLED2の光軸よりも内側の範囲、すなわち図3に示す範囲Yの内側に照射される各LED2からの照明光がLCD8の変調面7全体に少なくとも入射するように、ダイクロイッククロスプリズム4側からPBSプリズム6に向けて配設されている。また、レンズ光学系5は、LEDアレイ3の互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合う所定の位置とLCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。
【0024】
PBSプリズム6は、第4レンズL4とLCD8との間に、このLCD8の変調面7に対向して配置されており、レンズ光学系5により集光された光およびLCD8から反射された光のS偏光光のみを透過させ、P偏光光を略垂直に反射させるダイクロイック面11を有している。
【0025】
LCD8は、本実施の形態では、いわゆる反射型のものである。
【0026】
投射レンズ光学系9は、平凸レンズであるレンズL5およびレンズL6を有している。これらレンズL5およびレンズL6は、互いに反対側に凸面を向け平面を対向させてPBSプリズム6の側方にダイクロイック面11に対向して配設されている。この投射レンズ光学系9は、PBSプリズム6により反射された光を図示しないスクリーン上に投射像として投射する。
【0027】
そして、図4に示すように、LEDアレイ3、レンズ光学系5およびLCD8にて照明光学系12が構成されている。
【0028】
次に、上記第1の実施の形態における照明光学系12の照度分布によるLEDアレイ3、レンズ光学系5およびLCD8の変調面7の位置関係を、図面を参照して説明する。
【0029】
図4に示すように、各LEDアレイ3のLED2から照射される光、すなわち照明光は発散光であり、この照明光の照度分布は、図5および図6にそれぞれ示すように、LED2の光軸Xを中心として中心部ほど照度が大きく、光軸Xからこの光軸Xに略直交する方向、すなわち左右方向に離れるにしたがって周辺部ほど照度が低くなる、いわゆるガウス分布状の照度分布となっている。
【0030】
さらに、LED2からの照明光は、LED2の直前、すなわちLED2の近傍において、光軸上の照度と光軸外の照度の変化が比較的急峻になっており、LED2から光軸の方向に遠ざかるにしたがって照度の変化が比較的緩慢になっている。
【0031】
このため、LEDアレイ3による照明光の照度分布は、LEDアレイ3の近傍、例えば図5のA−Aの位置では、各LED2に対向する位置の照度が大きく、互いに隣接するLED2からの照明光の間に各LED2の間の隙間に対応した照明光が当たらない部分、すなわち暗部が形成されるので、図6(a)に示すように光斑状の照度分布になっている。
【0032】
また、図5のB−Bの位置では、互いに隣接するLED2からの照明光が連続するようになるため、暗部はなくなるが、図5のA−Aの位置と同様に、各LED2に対向する位置の照度が大きく、周囲の照度は小さくなる。このため、図5のB−Bの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、図6(b)に示すように、照度斑が著しい照度分布になっている。
【0033】
さらに、図5のC−Cの位置では、互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合うようになり、図6(c)の破線に示すように、この重なり合った部分の照度は互いに重なり合っている照明光の照度の和になる。このため、図5のC−Cの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、図5のA−Aの位置、あるいはB−Bの位置の照度分布のように互いに隣接するLED2の間の照度が小さくなることがなく、図6(c)に示すように、図6(a)および図6(b)に比べてLEDアレイ3による照明光の照度分布の照度斑が低減されている。
【0034】
また、図5のD−Dの位置では、互いに隣接するLED2からの照明光の重なり合う部分が増加し、一方のLED2からの照明光の照度が略0になる付近と、他方のLED2からの照明光の照度がピーク値になる付近とが互いに重なり合っている。さらに、互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合っている部分の中間位置が、ピーク値の約半分の照度になるように重なり合っている。
【0035】
このため、図5のD−Dの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、図5のA−Aの位置、あるいは図5のB−Bの位置での照度分布のように互いに隣接するLED2の間の照度が著しく低下することがなく、LEDアレイ3全体としての照明光の照度斑が、図6(d)の破線に示すように大幅に低減される。
【0036】
すなわち、図5のD−Dの位置でのLEDアレイ3による照明光の照度分布は、互いに重なり合う照明光同士が互いの照明光の照度を補い合うことで、照明光が重なり合った部分の照度が各LED2からの照明光の照度のピーク値に略等しくなり、各LED2からの照明光のピーク値に略均一化されている。
【0037】
また、図5のE−Eの位置では、1つのLED2からの照明光に、このLED2に隣接するLED2および他のLED2の2つ以上のLED2からの照明光が重なり合い、LEDアレイ3による照明光の照度分布は、図6(e)に示すように、光軸側の照度が大きく、光軸から左右方向に離れるにしたがって照度が低くなるが、照度の変化は比較的緩慢であり、全体として均一化されている。
【0038】
そして、レンズ光学系5は、図5のC−Cの位置とE−Eの位置との間、すなわち互いに隣接するLED2からの照明光が少なくとも重なり合う位置で照度分布が最も均一化された位置である図5のD−Dの位置と、LCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。ここで、LEDアレイ3の各LED2からの照明光の照度分布が所定の照度分布になる位置は、互いに隣接するLED2からの照明光が少なくとも重なり合う位置、かつ投射レンズ光学系9によりスクリーン上に投射される投射像に要求される照度分布の均一さなどに応じた照度分布になる位置として適宜決定する。
【0039】
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
【0040】
R(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3がLCD8を駆動する画像信号に基づき時分割で駆動されると、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光がダイクロイッククロスプリズム4に入射し、このダイクロイッククロスプリズム4にてR(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3の各LED2からの照明光が、光軸Xに沿った方向に向けて共通の光路上に導かれる。
【0041】
ダイクロイッククロスプリズム4にて導かれた光は、レンズ光学系5により集光され、PBSプリズム6を透過する。
【0042】
このとき、レンズ光学系5により集光された光のS偏光光成分のみがLCD8へと透過し、P偏光光成分は投射レンズ光学系9と反対方向に向けてダイクロイック面11に反射される。
【0043】
この後、レンズ光学系5により集光された光のS偏光光成分がLCD8の変調面7に入射し、このLCD8を駆動する画像信号に応じて変調されて反射され、再びPBSプリズム6に入射する。
【0044】
そして、このPBSプリズム6に入射した光のS偏光光成分は、ダイクロイック面11を透過し、P偏光光成分のみが投射レンズ光学系9に向けてダイクロイック面11に反射されて、投射レンズ光学系9のレンズL5およびL6によりスクリーン上に投射されて投射像となる。
【0045】
このとき、LEDアレイ3の各LED2からの照明光の照度分布が最も均一化された図5のD−Dの位置と、LCD8の変調面7の位置とが光学的に共役になるようにレンズ光学系5を配設することにより、LEDアレイ3の各LED2による照射光の図5のD−Dの位置の照度分布とLCD8の変調面7における照明光の照度分布とが互いに物体と像との関係になるので、LEDアレイ3の各LED2による照射光の図5のD−Dの位置の照度分布に応じた照度分布がそのままLCD8の変調面7における照度分布となる。
【0046】
このため、互いに隣接するLED2からの照射光の重なり合いで均一化された照度分布に応じた照度分布を、例えばマイクロレンズアレイなどの比較的高価な構成を用いることなくレンズL1〜L4を光軸Xに沿って直線状に配設した比較的安価な構成で確実にLCD8に構成できるので、プロジェクタ装置1全体として製造コストを抑制できるとともに、LED2からの照射光を効率よく利用でき、LED2からの照明光の光量の損失を抑制できる。
【0047】
そして、投射レンズ光学系9によりスクリーン上に投射された投射像も、図5のD−Dの位置の照度分布に応じた均一化された照度分布に状態になり、鮮明な投射像をスクリーン上で容易に観察できる。
【0048】
また、範囲Y内に照射されるLED2からの照明光をLCD8の変調面7に入射させるようにレンズ光学系5を配設することにより、LED2からの照射光の重なり合いが少なく照度の均一度が範囲Y内に比べて劣る範囲Y外の照射光を含める場合よりも照度分布が良好に均一化された照明光をLCD8に入射させることができるので、LCD8に入射される光の光量を確保し、より明るい投射像をスクリーン上で得ることができる。
【0049】
さらに、LCD8を駆動する画像信号に基づいてLEDアレイ3を時分割で駆動することで、残像によるR(赤)、G(緑)、B(青)の加色混合により、色彩がある投射像をスクリーン上で観察できる。
【0050】
そして、光源としてLED2を用いることにより、大型の電源、あるいは冷却用のファンなどが必要なく、プロジェクタ装置1全体として省電力化および小型化できる。
【0051】
また、LCD8を反射型にしたことにより、LCD8を透過型にした場合よりも各LEDアレイ3の各LED2からの照明光の損失が少ないため、LCD8を透過型にした場合よりも明るい投射像をスクリーン上で得ることができる。
【0052】
次に、本発明の第2の実施の形態の構成を図7および図8を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0053】
この第2の実施の形態においては、図7および図8に示すように、各LEDアレイ3の各LED2からの照明光の偏光方向を所定の方向、例えばP偏光方向に揃える偏光変換光学系としてのPBSアレイ15がそれぞれ配置されている。これらPBSアレイ15は、各LEDアレイ3とダイクロイッククロスプリズム4との間に、各LEDアレイ3に対向して配設されている。
【0054】
また、これらPBSアレイ15は、各LED2に対応した数の複数のダイクロイック面16を備えている。これらダイクロイック面16は、LED2の配設方向に沿って互いに隣接して設けられ、各LED2からの照明光のS偏光光成分をそれぞれ透過させるとともにP偏光光成分をそれぞれ反射させる。さらに、PBSアレイ15は、ダイクロイッククロスプリズム4側に対向する側面に、例えば1/2波長板などの位相差板17を備えている。これら位相差板17は、それぞれLED2の配設方向に沿って配設され、各LED2からの照明光のS偏光光成分をP偏光方向に変換する。
【0055】
また、レンズ光学系5は、PBSアレイ15により偏光方向を揃えられ互いに隣接する照明光が重なり合う位置で、照度分布が最も均一化された位置と、LCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。さらに、レンズ光学系5は、PBSアレイ15により偏光方向を揃えられた光の最も外側に位置するものの光軸よりも内側に照射されるPBSアレイ15にて偏光方向を揃えられた光がLCD8の変調面7全体に入射されるように配設されている。
【0056】
そして、R(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3がLCD8を駆動する画像信号に基づき時分割で駆動されると、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光がPBSアレイ15に入射する。
【0057】
このPBSアレイ15では、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光のP偏光光成分がダイクロイック面16により反射された後、このダイクロイック面16に隣接するダイクロイック面16により再度反射されて、PBSアレイ15のダイクロイッククロスプリズム4側の側面からこのダイクロイッククロスプリズム4に向けて出射する。
【0058】
一方、PBSアレイ15に入射した各LEDアレイ3の各LED2からの照射光のS偏光光成分は、ダイクロイック面16を透過し、位相差板17によりP偏光方向に偏光方向を変換されて、PBSアレイ15のダイクロイッククロスプリズム4側の側面からこのダイクロイッククロスプリズム4に向けて出射する。
【0059】
この結果、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光は、PBSアレイ15により2つの光束に分割され、かつ偏光方向がP偏光方向に揃えられる。
【0060】
この後、PBSアレイ15から出射した光は、ダイクロイッククロスプリズム4に入射し、上記第1の実施の形態と同様の作用により図示しないスクリーン上に投射される。
【0061】
このように、PBSアレイ15にて偏光方向をP偏光方向に揃えられ互いに隣接する照明光の重なり合いで照度分布が均一化された位置と、LCD8の変調面7の位置とが光学的に共役になるようにレンズ光学系5を配設することにより、上記第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0062】
また、LEDアレイ3の各LED2からの照明光の偏光方向をPBSアレイ15にて揃えることにより、LEDアレイ3の各LED2からの照明光をより効率よく利用できる。
【0063】
尚、上記各実施の形態において、反射型のLCD8の代わりに、光を変調して反射するDMD(Digital Micromirror Device、商品名)などの他の様々な素子を使用することも可能である。
【0064】
次に、本発明の第3の実施の形態の構成を図9および図10を参照して説明する。なお、上記第1の実施の形態と同様の構成については、同一符号を付してその説明を省略する。
【0065】
この第3の実施の形態においては、図9および図10に示すように、LCD8はいわゆる透過型のものであり、PBSプリズム6がなく、LCD8のレンズ光学系5と反対側、すなわち各LEDアレイ3の各LED2からの照明光のLCD8の透過方向に投射レンズ光学系9が配設されている。
【0066】
そして、R(赤)、G(緑)、B(青)の各LEDアレイ3がLCD8を駆動する画像信号に基づき時分割で駆動されると、各LEDアレイ3の各LED2からの照射光がダイクロイッククロスプリズム4に入射して光軸X方向に向けて共通の光路上にそれぞれ導かれ、レンズ光学系5により集光されて、所望の均一な照度分布に応じた照度分布でLCD8の変調面7に入射する。レンズ光学系5は、LEDアレイ3の互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合う所定の位置とLCD8の変調面7の位置とが、光学的に共役になるように配設されている。
【0067】
このLCD8の変調面7に入射した光は、LCD8を駆動する画像信号により変調され、LCD8を透過して投射レンズ光学系9により図示しないスクリーン上に投射される。
【0068】
この結果、透過型のLCD8においても、上記第1の実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0069】
また、LCD8が透過型であるため、LCD8を反射型とした場合と比較してPBSプリズム6などが必要なく、プロジェクタ装置1の構成をより簡略化でき、製造コストを抑制できるとともに、より小型化できる。
【0070】
なお、上記各実施の形態において、LEDアレイ3は、図11に示すように、LED2を正三角形の格子状に複数配設する構成なども可能である。この場合には、互いに隣接するLED2の間の距離が等しくなるため、これらLED2からの照明光による照度斑をより低減できる。
【0071】
また、LEDアレイ3は、R(赤)、G(緑)、B(青)のそれぞれを使用したが、同じLEDアレイ3にこれら各色のLED2を配置して時分割で駆動させる構成なども可能である。この場合には、ダイクロイッククロスプリズム4が必要なくなるなど、製造コストをより抑制できるとともに、プロジェクタ装置1をより小型化できる。
【0072】
このように、LEDアレイ3は様々な構成が可能であるため、LEDアレイ3の構成によっては、1つのLED2からの照明光の照度が略0になる付近と、このLED2に隣接する他のLED2からの照明光の照度がピーク値になる付近とが互いに重なり合い、かつこれらLED2からの照明光が重なり合っている部分の中間位置が、ピーク値の約半分の照度になるように重なり合っている位置でも、照度分布の均一化が最も図られている位置ではない場合がある。
【0073】
また、1つのLED2からの照明光の照度が略0になる付近と、このLED2に隣接する他のLED2からの照明光の照度がピーク値になる付近とが互いに重なり合い、かつこれらLED2からの照明光が重なり合っている部分の中間位置が、ピーク値の約半分の照度になるように重なり合っているような位置がない場合もある。
【0074】
すなわち、LEDアレイ3のLED2からの照明光による照度分布は、LEDアレイ3におけるLED2の間隔および配置などの位置関係により様々である。
【0075】
したがって、レンズ光学系5の各レンズL1〜L4の位置、あるいはレンズの枚数などは、LEDアレイ3の互いに隣接するLED2からの照明光が重なり合う位置で照度分布が所定の状態に均一化された位置とLCD8の変調面7との位置とが光学的に共役になるように、例えばLEDアレイ3の発光面からの距離毎に照度を観測して実験的に求めたり、コンピュータによってシミュレーションしたりしてLEDアレイ3の特性に応じて設計する。
【0076】
なお、変調面7とは、LCD8に入射した光について偏光方向を変換する変調が完了した面、つまりLCD8における画像の形成面をいい、液晶表示素子であるLCD8においては、液晶層の光出射面(反射型のLCDでは、光入射面と光出射面とは同じ面)にスクリーンに投射される画像が形成されていると考えられるため、液晶層の光出射面が変調面7ということになる。
【0077】
さらに、LEDアレイ3のLED2からの照明光、あるいはPBSアレイ15から出射する光による照度分布は、光軸X方向に多少移動した位置でも急激に変化するものではないので、LEDアレイ3のLED2からの照明光、あるいはPBSアレイ15から出射する光が重なり合って照度分布が均一化されている位置と、LCD8の変調面7の位置とは、厳密に光学的に共役でなくてもよい。
【0078】
例えば、反射型のLCD8においては、光の反射面の位置を照明光の照度分布が均一化されている位置と共役位置としても、また、液晶層の前面に配置される位相差板の配置位置を照明光が均一化されている位置と共役位置としても、あるいは、透過型のLCD8においては、液晶層の光入射面の位置を照明光の照度分布が均一化されている位置と共役位置としても、また、液晶層の前後に配置される位相差板の配置位置を照明光の照度分布が均一化されている位置と共役位置としても、いずれの場合も、変調面7の近傍の位置であるため、本発明の効果が大きく損なわれるものではない。
【0079】
そして、LED2の照度は、範囲Yの外側であっても急激に低下するものではないので、厳密に範囲Y内だけに照射される光をLCD8の変調面7に入射するようにしなくてもよい。
【0080】
【発明の効果】
請求項1記載の照明光学系によれば、複数の光源を所定の位置に配置した光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、光源からの光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できる。
【0081】
請求項2記載の照明光学系によれば、請求項1記載の照明光学系の効果に加え、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される各光源からの光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、光源が照射した光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量を確保できる。
【0082】
請求項3記載の照明光学系によれば、光源部の各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が重なり合う位置と、レンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段の変調面の位置とが、光学的に略共役になるようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系により偏光方向を揃えられた光の重なり合いで比較的均一化された照度分布に応じた照度分布を、比較的安価な構成で確実に光変調手段に構成することが可能になり、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できる。
【0083】
請求項4記載の照明光学系によれば、請求項3記載の照明光学系の効果に加え、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するようにレンズ光学系を設けることにより、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光の比較的照度が大きい部分が確実に光変調手段に入射され、充分な光量を確保できる。
【0084】
請求項5記載のプロジェクタ装置によれば、請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系の光変調手段にて変調された光を投射レンズ光学系にて投射することにより、製造コストおよび光量の損失をそれぞれ抑制できれ、かつ照度斑が低減された所定の照度分布の光を投射できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロジェクタ装置の第1の実施の形態を示す側面図である。
【図2】同上プロジェクタ装置を示す平面図である。
【図3】同上プロジェクタ装置の光源部を示す正面図である。
【図4】同上プロジェクタ装置の照明光学系を示す側面図である。
【図5】同上照明光学系の光源部による照度分布を示す説明側面図である。
【図6】同上照明光学系の光源部による図5に示す照度分布の説明断面図である。
(a) 図5に示す照度分布のA−A断面図
(b) 図5に示す照度分布のB−B断面図
(c) 図5に示す照度分布のC−C断面図
(d) 図5に示す照度分布のD−D断面図
(e) 図5に示す照度分布のE−E断面図
【図7】本発明のプロジェクタ装置の第2の実施の形態を示す側面図である。
【図8】同上プロジェクタ装置を示す平面図である。
【図9】本発明のプロジェクタ装置の第3の実施の形態を示す側面図である。
【図10】同上プロジェクタ装置を示す平面図である。
【図11】本発明のプロジェクタ装置の光源部の他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
1 プロジェクタ装置
2 光源としてのLED
3 光源部としてのLEDアレイ
5 レンズ光学系
7 変調面
8 光変調手段としてのLCD
9 投射レンズ光学系
12 照明光学系
15 偏光変換光学系としてのPBSアレイ
Claims (5)
- 複数の光源を所定の位置に配置した光源部と、
前記光源部の前記各光源からそれぞれ照射された光を集光するレンズ光学系と、
このレンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段とを具備し、
前記レンズ光学系は、前記光源部の光源からそれぞれ照射された光が少なくとも重なり合う位置と前記光変調手段の変調面の位置とが光学的に略共役になるように設けられている
ことを特徴とした照明光学系。 - レンズ光学系は、光源部の最も外側に位置する光源の光軸よりも内側の範囲に照射される前記各光源からの光が光変調手段に入射するように設けられている
ことを特徴とした請求項1記載の照明光学系。 - 複数の光源を所定の位置に配置した光源部と、
この光源部の前記各光源からそれぞれ照射された光の偏光方向を所定の方向に揃える偏光変換光学系と、
前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光を集光するレンズ光学系と、
このレンズ光学系に集光された光を変調する光変調手段とを具備し、
前記レンズ光学系は、前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が少なくとも重なり合う位置と前記光変調手段の前記変調面の位置とが光学的に略共役になるように設けられている
ことを特徴とした照明光学系。 - レンズ光学系は、偏光変換光学系に偏光方向を揃えられこの偏光変換光学系の最も外側に位置する光の光軸よりも内側の範囲にて前記偏光変換光学系に偏光方向を揃えられた光が光変調手段に入射するように設けられている
ことを特徴とした請求項3記載の照明光学系。 - 請求項1ないし4いずれか一記載の照明光学系と、
この照明光学系の光変調手段に変調された光を投射する投射レンズ光学系と
を具備したことを特徴としたプロジェクタ装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003072297A JP2004279816A (ja) | 2003-03-17 | 2003-03-17 | 照明光学系およびプロジェクタ装置 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008096777A (ja) * | 2006-10-13 | 2008-04-24 | Mitsubishi Electric Corp | レーザ光源装置及び映像表示装置 |
JP2009204871A (ja) * | 2008-02-27 | 2009-09-10 | Sanyo Electric Co Ltd | 照明装置および投写型映像表示装置 |
-
2003
- 2003-03-17 JP JP2003072297A patent/JP2004279816A/ja active Pending
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