JP4470475B2 - 固体電解質型燃料電池 - Google Patents

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Description

本発明は、平板型の固体電解質を挟むように燃料極と空気極の各電極を形成して発電部を形成し、発電部の外周側に接合材を用いて枠部を接合した固体電解質型燃料電池に関する。
例えば、下記特許文献1には、平板型固体電解質の両側に燃料極と空気極とをそれぞれ配置し、さらに平板型固体電解質の外周側の空気極側の面に保持薄板枠を取り付ける構成が開示されている。
特開2000−331692号公報
上記した従来の固体電解質型燃料電池においては、発電部に保持薄板枠を取り付けることにより、発電部をセパレータなど他の構成部品と積層した場合の積層部の隙間を塞ぎ、燃料ガスと酸化ガスとの混合を防止するとともに、セパレータおよび発電部を多数積層してスタック化する際の締結時の締付や、発電部と他のスタック構成部品との熱膨張係数差によって発生する熱応力を保持薄板枠によって吸収する構造としている。
しかし、発電部の一部である平板型固体電解質と保持薄板枠とではその材質の違いから熱膨張係数を完全に一致することがないため、その接合部分には熱応力が発生することになる。特に固体電解質型燃料電池においては常温と動作温度との差が大きいため、発生する熱応力も大きく、起動・停止による温度サイクルの影響もより大きい。
また、保持薄板枠によって発電部を保持するにはある程度の厚さが必要であり、発電部を保持するにあたり充分な厚さを持たせた場合、逆にスタック内において発電部と他の構成部品との熱膨張係数差によって発生する熱応力を充分吸収することができなくなる。
この二つの熱応力により、接合部が次第に劣化、剥離してガスリークが発生する、もしくは発電部の接合部分そのものが破損するなどの問題がある。
燃料電池の内部でガスリークが発生すると、燃料ガスと空気とが混合・燃焼して燃料利用率の低下、出力の低下を招くだけでなく、上記した燃焼により局所的な温度上昇、熱応力分布の不均一を起こし、各種部品の歪やクラックの原因となり、ついには燃料電池として寿命が短くなり、信頼性の低下を招くことになる。
そこで、この発明は、発電部と枠部との接合部での熱応力を低減し接合部の信頼性を向上することを目的としている。
本発明は、平板型の固体電解質を挟むように燃料極と空気極の各電極を形成して発電部を形成し、この発電部の外周側に接合材を用いて枠部を接合する接合部を備えるとともに、この枠部を有する発電部およびセパレータを積層してなる固体電解質型燃料電池において、前記枠部の前記接合部と反対側の面に切欠部を設けて、少なくとも前記接合部に対応する部分の厚さを他の部分より薄くし、前記枠部の前記接合部に対向する面に溝を設け、この溝内に前記接合材を設けて前記接合部とし、この接合材を前記溝内に封じ込めることを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、枠部の接合部と反対側の面に切欠部を設けて、少なくとも前記接合部に対応する部分の厚さを他の部分より薄くしたため、発電部と枠部との接合部での熱応力を低減し、発電部、接合材、枠部など接合周辺部分の耐久性が向上し、信頼性を向上できる。
また、枠部の接合部に対向する面に溝を設け、この溝内に接合材を設けて前記接合部とし、この接合材を前記溝内に封じ込めるようにしたため、空気極が存在する酸化雰囲気もしくは燃料極が存在する還元雰囲気への接合材の露出を防止して、接合材の劣化を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
図1(a)は、本発明の第1の参考例を示す固体電解質型燃料電池の基本構成を示す平面図、図1(b)は、図1(a)のA−A断面図、図1(c)は、図1(b)のB部の拡大図である。
この固体電解質型燃料電池は、図1(b)に示すように、基材となる平板型の固体電解質1を挟むように、その両側に燃料極3と空気極5とをそれぞれ配置して発電部としての単セル7を構成している。
例えば固体電解質1にはイットリア安定化ジルコニア(以下YSZ)、燃料極3にはNiO/YSZサーメット、空気極には(LaxSr1-x)CoO3(以下LSC)をそれぞれ用い、この各電極材料を基材(固体電解質1)のYSZに高温で焼き付けている。
上記した固体電解質1は、燃料極3および空気極5に対して外周側部分が全周にわたり突出しており、この突出した部分の空気極5側に枠部としてのフレーム9を取り付けてある。
フレーム9は、固体電解質1を構成する材料に熱膨張係数が近く、また耐熱性にも優れるフェライト系ステンレス合金の薄板からなり、中央部に単セル7の空気極5の領域よりも大きな開口11を形成してある。またフレーム9の周囲四方には、酸化ガスおよび燃料ガスを、単セル7に供給・排気するため酸化ガス供給口13・同排気口15、燃料ガス供給口17・同排気口19を貫通して設けてある。
そして、上記した固体電解質1とフレーム9との接合部21は、図1(c)に示すように、例えばAuロウ、Agロウなどの接合温度の高い金属ロウからなる接合材23を用いて接合している。フレーム9は接合材23と反対側の面に切欠部としての溝9aを形成し、これによりこの部分のフレーム9の厚さを、他の部分の厚さより薄くしている。
なお、上記した溝9aは、幅1mm程度、深さ数10μm程度であり、フレーム9の全周にわたり連続したものとして設けてある。このような構造のフレーム9は、圧延加工などにより薄肉化したステンレス合金箔をプレス加工、もしくはエッチング加工などにより作製する。
上記図1に示した単セル7にフレーム9を接合した構造体を、以下の説明ではセル板25と呼ぶ。図2は、上記セル板25を含む燃料電池全体の構成部材を示す分解斜視図である。
セル板25の図2中で上下両側には、いずれも電気絶縁性材料からなるスペーサ27およびとスペーサ29をそれぞれ配置する。
上部側のスペーサ27は、セル板25の酸化ガス供給口13・同排気口15間をつなぎ、かつ単セル7の空気極5の表面に酸化ガスを供給するための開口31を中央に備えるとともに、セル板25の燃料ガス供給口17・同排気口19にそれぞれ整合する貫通孔33・35を、前記開口31の外側にそれぞれ備える。
一方、下部側のスペーサ29は、セル板25の燃料ガス供給口17・同排気口19間をつなぎ、かつ単セル7の燃料極3の表面に燃料ガスを供給するための開口37を備えるとともに、セル板25の酸化ガス供給口13・同排気口15にそれぞれ整合する貫通孔39・41を、前記開口37の外側に備える。
また、スペーサ27のセル板25と反対側(もしくはスペーサ29のセル板25と反対側)には、導電性を有しかつガス分離が可能な材料、例えばLaCrO3などのセラミックからなるセパレータ43を配置する。
このセパレータ43は、セル板25の酸化ガス供給口13・同排気口15および燃料ガス供給口17・同排気口19に、それぞれ整合する貫通孔45,47,49,51をそれぞれ備えている。
さらに、単セル7における燃料極3および空気極5の表面には、集電のための金属メッシュ53および55をそれぞれ配置し、積層する複数の単セル7は、この金属メッシュ53,55およびセパレータ43により直列に接続することになる。
図3は、単セル7を二つ積層して組み付けた場合の、図2に示したセパレータ43におけるC−C線断面に相当する断面図、図4は、同D−D線断面に相当する断面図である。
すなわち、図3は燃料ガスの流れを示し、セル板25の燃料ガス供給口17,スペーサ27の貫通孔33,スペーサ29の開口37,セパレータ43の貫通孔49で構成する燃料ガス入口マニホールド57から燃料ガスを供給し、この燃料が各単セル7の燃料極3を通過して発電に消費される。その後、セル板25の燃料ガス排気口19,スペーサ27の貫通孔35,スペーサ29の開口37,セパレータ43の貫通孔51で構成する燃料ガス出口マニホールド59から余剰の燃料ガスを排気する。
また、図4は酸化ガスの流れを示し、セル板25の酸化ガス供給口13,スペーサ27の開口31,スペーサ29の貫通孔39,セパレータ43の貫通孔45で構成する酸化ガス入口マニホールド61から酸化ガスを供給し、この酸化ガスが各単セル7の空気極5を通過して発電に消費される。その後、セル板25の酸化ガス排気口15,スペーサ27の開口31,スペーサ29の貫通孔41,セパレータ43の貫通47で構成する酸化ガス出口マニホールド63から余剰の酸化ガスを排気する。
このような燃料ガスおよび酸化ガスの流れが発生することで、各単セル7にて発電がなされ、燃料電池が起動する。このとき、特に固体酸化物型燃料電池の場合には、その動作原理による制約から動作温度が800℃程度の高温となる。
ここで、フレーム9は単セル7への燃料電池全体からの応力を緩和するために介在しているが、一方で単セル7を支えるためにある程度の厚さが必要となる。しかし、このフレーム9を単セル7を支持するために厚くすると、フレーム9は燃料電池全体からの応力を緩和できたとしても、接合部21におけるフレーム9と接合材23,固体電解質1との熱膨張係数差によって発生する応力により、単セル7が破損する、もしくは応力により接合材23の劣化を加速してしまうことになる。
このため、上記した第1の参考例においては、図1(c)に示すように、フレーム9の内側の端部に溝9aを設けることにより、フレーム9の全体の厚さをそのままにしながら、ガスシールするのに必要なシール幅を確保し、その上で接合部21にかかる応力を緩和している。これにより接合部21におけるフレーム9と接合材23,固体電解質1との熱膨張係数差によって発生する応力による接合材23の劣化や、単セル7の接合部21での破損を防止することができる。
この結果、接合部21からのガスリークの発生を防止することができ、燃料ガスと酸化ガスとの混合・燃焼による燃料利用率の低下、出力の低下を防止できるとともに、上記燃焼による局所的な温度上昇、熱応力分布の不均一を防止し、燃料電池としての高寿命化を達成することができる。
切欠部は、図1に示すように連続する溝9aとして1つ設けてもよく、また、第2の参考例として図5(a),(b)に示すように不連続な凹部9b,9cとして複数設けてもよい。図5(a)は矩形状の凹部9bを示し、図5(b)は円形状の凹部9cを示している。
また、図6(a)および図6(a)のE−E断面図である図6(b)に示すように、切欠部となる凹部9dの一側部が、フレーム9の開口11に開放する構造とすれば、さらに接合部21の応力を低下させることができる。
さらに、図7(a)および図7(a)のF−F断面図である図7(b)に示すように、第3の参考例として、連続する溝9aを複数列(ここでは2列)設けてもよい。また、図5(a),(b)で示した凹部9b,9cを、図7(a)の溝9aのように複数列設けてもよい。
なお、上記した各参考例では、単セル7およびフレーム9を、いずれも方形としているが、他の形状、例えば円形や楕円形としてもよい。図8(a),(b)は円形とした場合のフレーム9を示しており、図8(a)は前記図5()で示したものと同様の円形状の凹部9cを設けたもので、図8(b)は前記図6で示したものと同様な開口11に一側部が開放する凹部9dを設けたものである。
また、1枚のフレーム9に複数の開口11を設け、この各開口11に対応して単セル7をそれぞれ配置する構成、すなわち複数の単セル7を1枚のフレーム9上に並列配置した構成にも、本発明を適用できる。
図9は、本発明の第4の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、フレーム9の接合部21に対向する面に切欠部としての溝9eを設け、この溝9e内に接合材23を設けてここを接合部21としている。溝9eはフレーム9の全周にわたり連続して設けてある。
固体酸化物型燃料電池のように、高温下使用される部品の接合には、通常接合材として金,銀,ニッケル,パラジュウムなどを主成分とする金属系のロウ材、もしくは酸化物を主成分としたガラスなどが用いられる。しかし、このような材料は例えば高温下で酸化雰囲気では金属ロウ材が酸化劣化する、もしくは還元雰囲気においてはガラスなどの酸化物は還元され劣化することになる。
この第4の参考例においては、これまでの各参考例と同様にフレーム9の接合部21に対応する部位に切欠部となる溝9eを形成して接合部21の応力を低減させているのに加え、接合材23を溝9eに封じ込め、空気極5が存在する酸化雰囲気もしくは燃料極3が存在する還元雰囲気に接合材23が露出することを防止している。これにより、接合材23の劣化を防止することができ、より一層の長寿命化、信頼性の向上が可能となる。
図9(a)は、酸化雰囲気および還元雰囲気の双方に対し、図9(b)は還元雰囲気のみに対し、図9(c)は酸化雰囲気のみに対し、それぞれ接合材23を保護している。また、図9(d)は互いに並列となる2つの溝9eを設けた例である。
図10は、本発明の第5の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、フレーム9の接合部21に対向する面に、切欠部としての凹部9fを互いに並行となるよう2つ設け、この各凹部9fの両側部の隣接する部分におけるフレーム9と固体電解質1との間に接合材23を設けている。
上記した第5の参考例においては、接合部21の領域に切欠部となる凹部9fを設けて接合部21の応力を低減させるとともに、凹部9fに隣接する部分のみで固体電解質1と接合することにより、フレーム9の接合部21の領域内に固定されていないフレキシブルな領域を形成することで、さらに接合部21の応力を低減することができる。
図11は、本発明の第6の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、フレーム9の接合部21に対向する面に、前記図9(a)に示したものと同様な切欠部となる溝9eを形成した上で、さらにこの溝9e内に切欠部となる2つの凹部9gを設けている。この凹部9gの両側部の隣接する部分におけるフレーム9と固体電解質1との間に接合材23を設けている。
そして、フレーム9における溝9eの両側は、固体電解質1に接触する接触部9h,9iとし、この接触部9h,9iによって、前記図9(a),(d)と同様に接合材23を溝9e内に封じ込めている。なお、内周側の接触部9hを廃止して前記図9(b)のように接合材23を酸化雰囲気側に開放してもよく、また外周側の接触部9iを廃止して前記図9(c)のように接合材23を還元雰囲気側に開放してもよい。
上記した第6の参考例では、接合部21周辺の応力緩和と接合材23の保護を同時に行い、接合部21の信頼性を向上している。
なお、上記図9の第4の参考例と図11の第6の参考例は、フレーム9の接合部21に対向する面に、溝9eや凹部9gなどの切欠部を形成しているが、これらはフレーム9の接合部21と反対側の面に溝9aや凹部9b〜9dなどの切欠部を形成している前記第1〜第3の参考例と任意に組み合わせることで、本発明の実施形態とすることが可能である。
その一例を図12に示す。図12(a)はフレーム9の接合部21と反対側を示す上面図、図12(b)はフレーム9の接合部21側を示す下面図、図12(c)は図12(a)の単セル7を含むG−G断面図である。
図12の例は、フレーム9の上面に前記図6と同様な凹部9dを設けて接合部21の応力を低減するとともに、フレーム9の下面に前記図9(d)と同様な溝9eを設け、その溝9eにて接合をしていることから、接合材23の保護ができ、より一層信頼性が向上することになる。
図13(a)は、本発明の第7の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、フレーム9の接合部21に隣接する外周側部分の固体電解質1側の面に、全周にわたり溝9jを設けている。
この溝9jを設けたフレーム9の領域は、単セル7への接合部21およびセパレータ43などスタックの他の部品と重ね合わされる積層ガスシール部分を除いた領域、すなわちスタック化に際し積層・締結する際の締付で発生する応力や、スタック内において単セル7と他の部品との熱膨張係数差による熱応力を吸収している応力緩和領域である。
このような応力緩和領域に溝9jを設けることで、その領域の厚さを他の部分より薄くしている。これにより、スタック内の単セル7と他の部品との間に発生する応力を、この薄肉化した領域で吸収し、フレーム9と単セル7との接合部21の応力を低減している。
図13(b)は第7の参考例の別の例であり、上記した幅広の溝9jに代えて幅の狭い溝9kを複数並列して設けることで、上記した応力緩和領域の厚さを他の部分より薄くしている。図13(c)は第7の参考例のさらに別の例であり、フレーム9の上面側にも溝9mを設け、この溝9mを下面の溝9kと互い違いとなるようにすることで、上記した応力緩和領域の厚さを他の部分より薄くしている。
図14は、本発明の第8の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、第1の参考例から第6の参考例における、接合部21の応力緩和や接合材23の保護に加え、上記した第7の参考例における応力緩和領域の薄肉化を行うことで、さらに接合部21にかかる負担を軽減する効果を加えたものである。
図14(a)は図7と図13(a)との組合せ、図14(b)は図7と図13(b)との組合せ、図14(c)は図7と図13(c)との組合せ、図14(d)は図10と図13(a)との組合せ、図14(e)は図11と図13(a)との組合せである。
図15は、本発明の第9の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、フレーム9の接合部21に対応する部分の厚さを、他の部分より薄くしている。図15(a)は、フレーム9の接合部21側に凹部9nを、図15(b)は、フレーム9の接合部21と反対側に凹部9pを、それぞれ設けることで、薄肉化している。
上記した薄肉化により、接合部21の応力を低減し、第1の参考例と同様の効果を得ることができる。
図16は、本発明の第10の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、図15の接合部21の薄肉化を行った第9の参考例と、図13の応力緩和領域の薄肉化を行った第7の参考例とを組み合わせたものである。
図16(a)は図15(a)と図13(a)との組合せ、図16(b)は図15(a)と図13(b)との組合せ、図16(c)は図15(b)図7と図13(c)との組合せである。
すなわち、フレーム9の接合部21に対応する部分の肉厚を薄くして接合部21の応力を低減するとともに、フレーム9に部分的に肉厚の薄い領域を形成することにより、スタック内の単セル7と他の部品との間の応力を、フレーム9でより効果的に吸収することができ、より接合部21にかかる負担を軽減する効果を加えたものである。
図17は、本発明の第11の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、図16に示した第10の参考例と、図1〜図11に示した第1〜第6の参考例とを適宜組み合わせたものである。
図17(a)は図16(a)と図7との組合せ、図17(b)は図16(b)と図7との組合せ、図17(c)は図16(c)と図7との組合せ、図17(d)は図16(a)と図10との組合せ、図17(e)は図16(a)と図11との組合せである。
すなわち、フレーム9の応力緩和領域の肉厚を薄くすることにより、スタック内の単セル7と他の部品との間の応力を、フレーム9でより効果的に吸収するとともに、フレーム9の接合部21に対応する部分の肉厚を薄くして接合部21の応力を低減し、さらにフレーム9の接合部21に対応する部分に溝9aや凹部9fなどの切欠部を設けることで、応力低減、接合材21の保護などの機能を加えてさらなる耐久性、信頼性の向上が得られる。
図18は、本発明の第12の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。この参考例は、フレーム9の厚さが変化する境界部位にテーパ部を設けている点が、これまでの各参考例と異なっている。例えば図18(a)は、前記図13における溝9jの幅方向両角部にテーパ部となるR部9qを形成している。また、図18(b)は、図18(a)の溝9jに代えて2つの断面円弧状となる溝9rを設け、溝9rに連続するテーパ部となるR部9sを幅方向両角部に設けている。さらにこの図18(b)ではフレーム9の接合部21と反対側の面に、図1(c)の溝9aに代えて断面円弧状となる溝9tを設けてここをテーパ部としている。
上記図18のような構造とすることにより、フレーム9の厚さが変化する部分の応力集中を緩和することができ、これまでの各参考例における効果に加え、フレーム9の破損を防止することができる。
図19(a)は、本発明の第13の参考例を示す、前記図1(b)に対応するセル板25の断面図である。この参考例は、燃料極30を基材として、その上に固体電解質1を、さらにその上に空気極5を配置した、いわゆる電極支持型の単セル70に、この発明を適用している。
図19(b)は、図19(a)におけるフレーム9と固体電解質1との接合部21の詳細を示す断面図で、フレーム9の上面に溝9aを設けた前記図1(c)に対応している。固体電解質1の外周側の端部は燃料極30の同端部より内側に位置し、この状態で固体電解質1の外周側の端部を覆うように、フレーム9と固定電解質1との間および、フレーム9と燃料極30との間に、接合材23を設けている。
図19(c)は、前記図15(b)に対応するもので、フレーム9の接合部21と反対側に凹部9pを設けてフレーム9の接合部21に対応する部分の厚さを他の部分より薄くした例である。
図19(d)は、上記図19(c)の構成に対し、前記図9(a)のようにフレーム9の接合部21側の面に溝9eを設けた例であり、この溝9eおよび固体電解質1の外周側に、接合材23を設けている。
図20(a)〜(c)は、上記図19と同様な電極支持型の単セル70による第14の参考例を示す。この参考例は、図20(a)に示すように、燃料極30の固体電解質1と反対側にフレーム9を接合部21を介して接合している。さらに、この例では、接合部21の外側に燃料極30の側部を覆うように、固体電解質1からフレーム9にわたり封止材65を設けている。
図20(b)は、図20(a)におけるフレーム9と燃料極30との接合部21の詳細を示す断面図で、図1(c)と同様に、フレーム9の接合部21と反対側に溝9aを設けている。
図20(c)は、前記図15(b)に対応するもので、フレーム9の接合部21と反対側に凹部9pを設けてフレーム9の接合部21に対応する部分の厚さを他の部分より薄くした例である。
図20(d)は、上記図20(c)の構成に対し、前記図9(a)のようにフレーム9の接合部21側の面に溝9eを設けた例である。
本発明によれば、前記切欠部を、前記枠部の全周に沿って連続なものとして少なくとも一つ設けたため、発電部と枠部との接合部での熱応力を確実に低減し、発電部、接合材、枠部など接合周辺部分の耐久性が向上し、信頼性をより一層向上できる。
前記切欠部を、前記枠部の全周に沿って不連続なものとして複数設けることで、発電部と枠部との接合部での熱応力を低減し、発電部、接合材、枠部など接合周辺部分の耐久性が向上し、信頼性を向上できる。
前記切欠部を、前記枠部の全周に沿って複数列設けることで、発電部と枠部との接合部での熱応力を低減し、発電部、接合材、枠部など接合周辺部分の耐久性が向上し、信頼性を向上できる。
前記切欠部を、前記枠部の前記発電部との接合部に対向する面に設け、前記切欠部内に前記接合材を設けて前記接合部としたため、接合部の応力を低減させているのに加え、接合材を切欠部内に封じ込め、空気極が存在する酸化雰囲気もしくは燃料極が存在する還元雰囲気への接合材の露出を防止することにより、接合材の劣化を防止することができ、より一層の長寿命化、信頼性の向上が可能となる。
前記切欠部を、前記枠部の前記接合部に対向する面に設け、切欠部に隣接する部分のフレームと発電部との間に接合材を設けて接合部としたため、接合部の応力を低減させるとともに、切欠部に隣接する部分のみで固体電解質と接合することにより、フレームの接合部の領域内に固定されていないフレキシブルな領域を形成することで、さらに接合部の応力を低減することができる。
前記接合材の内周側と外周側との少なくともいずれか一方を覆うように、前記発電部に接触する接触部を設けたため、接合部の応力緩和と接合材の保護を同時に行い接合部の信頼性を向上することができる。
前記枠部は、少なくとも前記接合部に対応する部分および外周側の前記セパレータなど他の部品と重ね合わされる部分に対し、他の部分すなわち発電部と他の部品との熱膨張係数差による熱応力を吸収している応力緩和領域の厚さを薄くしたため、発電部と他の部品との間に発生する応力を、この薄肉化した領域で吸収し、フレームと発電部との接合部の応力を低減することができる。
前記枠部は、少なくとも前記接合部に対応する部分の厚さを、他の部分より薄くしたため、接合部の応力を低減することができる。
前記枠部は、厚さが変化する境界部位にテーパ部を備えているため、フレームの厚さが変化する部分の応力集中を緩和することができ、接合部の応力を低減できる効果に加え、フレームの破損を防止することができる。
(a)は本発明の第1の参考例を示す固体電解質型燃料電池の基本構成を示す平面図、(b)は、(a)のA−A断面図、(c)は、(b)のB部の拡大図である。 第1の参考例によるセル板を含む燃料電池全体の構成部材を示す分解斜視図である。 第1の参考例による単セルを二つ積層して組み付けた場合の、図2に示したセパレータにおけるC−C線断面に相当する断面図である。 第1の参考例による単セルを二つ積層して組み付けた状態の、図2のセパレータにおけるD−D線断面に相当する断面図である。 第2の参考例によるフレームの平面図である。 (a)は第2の参考例の別の例によるフレームの平面図、(b)は(a)のE−E断面図である。 (a)は第3の参考例によるフレームの平面図、(b)は(a)のF−F断面図である。 第2の参考例においてフレームを円形とした場合の平面図である。 第4の参考例を示す、図1(c)に対応する断面図である。 第5の参考例を示す、図1(c)に対応する断面図である。 第6の参考例を示す、図1(c)に対応する断面図である。 第4〜第6の参考例と第1〜第3の参考例とを組み合わせた例を示すもので、(a)はフレームの上面図、(b)はフレームの下面図、(c)は(a)のG−G断面図である。 第7の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。 第8の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。 第9の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。 第10の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。 第11の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。 第12の参考例を示す、前記図1(c)に対応する断面図である。 (a)は第13の参考例を示す、図1(b)に対応するセル板の断面図、(b)は(a)におけるフレームと固体電解質との接合部の詳細を示す断面図、(c)は第13の参考例の他の例を示す断面図、(d)は本発明の実施形態を示す断面図である。 (a)は第14の参考例を示す、図1(b)に対応するセル板の断面図、(b)は(a)におけるフレームと固体電解質との接合部の詳細を示す断面図、(c)は第14の参考例の他の例を示す断面図、(d)は本発明の実施形態を示す断面図である。
符号の説明
1 固体電解質
3,30 燃料極
5 空気極
7,70 単セル(発電部)
9 フレーム(枠部)
9a,9e 溝(切欠部)
9b,9c,9d,9f,9g 凹部(切欠部)
9h,9i 発電部に接触する接触部
9q,9s R部(テーパ部)
9t 溝(切欠部,テーパ部)
21 接合部
23 接合材
43 セパレータ

Claims (6)

  1. 平板型の固体電解質を挟むように燃料極と空気極の各電極を形成して発電部を形成し、この発電部の外周側に接合材を用いて枠部を接合する接合部を備えるとともに、この枠部を有する発電部およびセパレータを積層してなる固体電解質型燃料電池において、前記枠部の前記接合部と反対側の面に切欠部を設けて、少なくとも前記接合部に対応する部分の厚さを他の部分より薄くし、前記枠部の前記接合部に対向する面に溝を設け、この溝内に前記接合材を設けて前記接合部とし、この接合材を前記溝内に封じ込めることを特徴とする固体電解質型燃料電池。
  2. 前記切欠部を、前記枠部の全周に沿って連続なものとして設けたことを特徴とする請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
  3. 前記切欠部を、前記枠部の全周に沿って不連続なものとして設けたことを特徴とする請求項1記載の固体電解質型燃料電池。
  4. 前記切欠部を、前記枠部の全周に沿って複数列設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項記載の固体電解質型燃料電池。
  5. 前記接合材の内周側と外周側との少なくともいずれか一方を覆うように、前記発電部に接触する接触部を前記枠部に設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載の固体電解質型燃料電池。
  6. 前記枠部は、厚さが変化する境界部位にテーパ部を備えていることを特徴とする請求項1ないしのいずれか1項記載の固体電解質型燃料電池。
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