JP4468806B2 - フェロセン化合物およびその用途 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なフェロセン化合物、その化合物を含有する試薬、その試薬を用いるビタミンD化合物の高感度測定法、およびそのフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、医薬品としてのビタミンD化合物(VD化合物)として、カルシトリオール(商品名 ロカルトロール(登録商標))、アルファカルシドール(商品名 アルファロール(登録商標))、マキサカルシトール(商品名 オキサロール(登録商標))、タカルシトール(商品名 ボンアルファ(登録商標))、カルシポトリオール(商品名 ドボネックス(登録商標))、ファレカルシトリオール(商品名 ホーネル(登録商標);商品名 フルスタン(登録商標))、2β−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(ED−71(開発コード名)、中外製薬株式会社)等、各種の化合物が上市或いは臨床開発段階にある。VD化合物はごく微量で薬効を発揮し、副作用であるCa上昇作用も発現することから、高感度測定法が必須である。近年、質量分析法の発展に伴い、液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)およびタンデム型の液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/MS/MS)が薬物の高感度分析、代謝研究に広く用いられる。なかでも、エレクトスプレーイオン化法(ESI)および大気圧化学イオン化法(APCI)が最も繁用されており、VD化合物についてもLC/MS法がよく用いられている。しかし、マキサカルシトールやED−71等の分子内にエステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有するVD化合物は高感度測定が可能であるのに対して、アルファカルシドールやコレカルシフェロール(VD3)等の分子内にエステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有しないVD化合物では、ヘテロ原子を有するVD化合物の1/5〜1/100程度の感度しか得られていない。このことから、あらゆるVD化合物に適用可能な高感度測定法の開発が求められている。
【0003】
マススペクトロメトリー測定におけるVD化合物の高感度化には誘導体化法が有用であると考えられる。VD化合物の誘導体化にはDiels−Alder反応でトリエン構造に選択的に反応するトリアゾリン誘導体(Cookson型試薬)がよく用いられ〔Analytical Biochemistry 1992;194:77−81、薬学雑誌 1998;118(6):206−215、薬学雑誌 1999;119(12):898−920、Biological Mass Spectrometry 1993;22:621−632、Jornal of Chromatography 1993;645:115−123、Analytical Biochemistry 1996;243:28−40、等〕、LC/MSにおいて共鳴電子捕獲を利用したPTAD(4−フェニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン)〔前掲の〕やPFBTAD(4−ペンタフルオロベンジル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン)〔前掲の〕等がある。PTADはポストカラム誘導体化により7〜70倍感度が向上するとされているが、生体試料に適用された例はない〔前掲の〕。PFBTADは定量下限25pg/mL(ヒト血漿1mL)を達成しているが〔前掲の〕、この感度では不十分である。我々の検討によると、PFBTADの類似物であるPFPTAD(4−ペンタフルオロフェニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン)を利用した方法では、誘導体化により5倍程度の感度しか得られなく、また、生体試料に適用すると誘導体化率が悪い等から十分な感度が得られなかった。従って、LC/MSに対してより高感度に応答する原子団を有する試薬(誘導体化剤)の開発が求められている。
【0004】
BerkelらはESIに対してフェロセン化合物が高感度に応答し、水酸基を有する化合物に対してフェロセニルアジドを誘導体化剤として用いる時、高感度測定が可能であることを報告している〔Analytical Chemistry 1998;70:1544−1554〕。ESIはイオン性の化合物に対して高感度測定が可能であり、本誘導体化法はイオン化(正イオンモード)の際にフェロセンが容易に酸化され、安定なイオンを効率よく生成することを利用したものである。しかしながら、これをVD化合物の測定方法に応用した例は報告されていない。また、フェロセニルアジドを誘導体化剤として用いる場合、その反応条件に加熱を要するばかりかフェロセニルアジド自身も爆発性を有するため、取り扱いが困難であるという問題もあった。
【0005】
上述した如く、あらゆるビタミンD化合物に適用可能であり且つ利用しやすい高感度のビタミンD化合物の測定法、それに用いる誘導体化剤、およびその誘導体化剤とビタミンD化合物とが結合した化合物は現在のところ存在していない。
【発明の開示】
【0006】
本発明者らは、かかる問題点を解決する為に鋭意研究を進めたところ、下記式(1)
【化6】
(式中、Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
で表されるフェロセン化合物をビタミンD化合物(VD化合物)に結合させ、液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)、特に液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化−マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/ESI−MS/MS)により測定することにより、あらゆるVD化合物に適用可能であり且つ利用しやすく、なおかつ従来にない高感度でVD化合物の測定が可能となることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるフェロセン化合物に関する。
【化7】
(式中、Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
本発明においては、前記式(1)で表される化合物中、RおよびR'が水素原子であるフェロセン化合物にも関する。また、本発明は、前記式(1)で表される化合物中、Qが直接結合またはアルキレンを表すフェロセン化合物にも関する。さらにQがメチレンである前記フェロセン化合物、およびQが直接結合であるフェロセン化合物にも関する。
本発明のフェロセン化合物としては、具体的には、4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン(FMTAD)、4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン(FTAD)等が挙げられる。
また、本発明は、上記フェロセン化合物を含有する、トリエン構造を有する化合物を測定するための試薬にも関する。このような試薬は、さらにフェロセン化合物を溶解し得る溶媒を含有することができる。
【0008】
また、本発明は、下記式(1)
【化8】
(式中、Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
で表されるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物に関する。
また、本発明は、前記化合物において、前記フェロセン化合物と前記ビタミンD化合物との結合が共有結合であるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物にも関する。
【0009】
さらに本発明は前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物が、下記式(2)
【化9】
(式中、A1およびA3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい低級アルキレン、置換基を有していてもよい低級アルケニレンまたは置換基を有していてもよい低級アルカイニレンを表し;A2は直接結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−または−NH−を表し;R1は水素原子または−OR9(R9は水素原子または保護基を表す。)を表し;R2は水素原子、水酸基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基または置換基を有していてもよい低級アシル基を表し;R3は水素原子または保護基を表し;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいアミノ基を表し;R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子または水酸基を表すか、或いは、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成し;Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
で表される化合物であるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物にも関する。
本発明は、前記式(2)で表される化合物中、A1−A2−A3は−CH(CH3)−(CH23−、−CH(CH3)−CH=CH−または−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH−を表し;R1は水素原子または水酸基を表し;R2は水素原子またはヒドロキシプロポキシ基を表し;R3は水素原子であり;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し;R7およびR8は水素原子であるか、または、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成する化合物にも関する。また、前記式(2)で表される化合物中、RおよびR'が水素原子である化合物にも関する。
さらに、本発明は、前記式(2)で表される化合物中、Qが直接結合またはアルキレンを表すフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物にも関する。さらにQがメチレンである前記フェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物、およびQが直接結合であるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物にも関する。また、本発明は、前記フェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物のうち、ビタミンD化合物がビタミンD3化合物であるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物にも関する。
【0010】
また、さらに本発明は、試料中に含まれるビタミンD化合物の測定方法であって、下記式(1)
【化10】
(式中、Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
で表されるフェロセン化合物と、試料中のビタミンD化合物とを反応させ、得られたフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物を液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)により測定することを特徴とするビタミンD化合物の測定方法にも関する。
また、本発明は、前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物が、前記フェロセン化合物と前記ビタミンD化合物とが共有結合により結合した化合物である前記のビタミンD化合物の測定方法にも関する。
【0011】
さらに本発明は前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物が、下記式(2)
【化11】
(式中、A1およびA3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい低級アルキレン、置換基を有していてもよい低級アルケニレンまたは置換基を有していてもよい低級アルカイニレンを表し;A2は直接結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−または−NH−を表し;R1は水素原子または−OR9(R9は水素原子または保護基を表す。)を表し;R2は水素原子、水酸基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基または置換基を有していてもよい低級アシル基を表し;R3は水素原子または保護基を表し;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいアミノ基を表し;R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子または水酸基を表すか、或いは、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成し;Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
で表される化合物である前記のビタミンD化合物の測定方法にも関する。
【0012】
本発明は、前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物において、A1−A2−A3は−CH(CH3)−(CH23−、−CH(CH3)−CH=CH−または−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH−を表し;R1は水素原子または水酸基を表し;R2は水素原子またはヒドロキシプロポキシ基を表し;R3は水素原子であり;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し;R7およびRaは水素原子であるか、または、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成する、ビタミンD化合物の測定方法にも関する。また、本発明は、前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物において、RおよびR'が水素原子であるビタミンD化合物の測定方法にも関する。また本発明は、前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物が、前記式で表される化合物中、Qが直接結合またはアルキレンを表すフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物であるビタミンD化合物の測定方法にも関する。さらにQがメチレンである前記フェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物である前記のビタミンD化合物の測定方法、およびQが直接結合であるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物である前記のビタミンD化合物の測定方法にも関する。
また、本発明は、前記フェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物のうち、ビタミンD化合物がビタミンD3化合物であるフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物である前記のビタミンD化合物の測定方法にも関する。
また、さらに本発明は、前記試料(測定対象の試料)が生体由来の試料である前記のビタミンD化合物の測定方法にも関する。
また、さらに本発明は、液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)が、液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化−マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/ESI−MS/MS)である前記のビタミンD化合物の測定方法にも関する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を更に具体的に説明する。
下記式(1)
【化12】
で表される本発明のフェロセン化合物において、「Q」は直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。)、好ましくは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はメチレンまたはフェニレンを表し;W2はメチレンを表し;Xは−O−、−N(CH3)C(=O)−、−N(CH3)C(=O)NH−または−OC(=O)NH−を表す。)、より好ましくは直接結合またはアルキレンであり、更に好ましくはアルキレンであり、更により好ましくはメチレンである。また、「Ra」における「低級アルキル基」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基を指す。
上記のQ、「W1およびW2におけるアルキレン」とは、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブチレン等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン鎖を指す。また、W1における「フェニレン」とは、o−フェニレン、m−フェニレンまたはp−フェニレンを指す。
【0014】
また、上記の「R」および「R'」は、それぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基であり、好ましくは水素原子、水酸基、ハロゲンまたは低級アルキル基であり、より好ましくは水素原子である。ここで、「ハロゲン」とは塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等を指し;「低級アルキル基」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基を指し;「低級アルケニル基」とは、エテニル、1−プロペニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基を指し;「低級アルキニル基」とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基を指し;「低級アルコキシ基」とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ等の炭素数1〜6のアルコキシ基を指し;「低級アシル基」とは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル等の炭素数1〜6のアシル基を指す。
【0015】
また上記置換基における「置換基を有していてもよい」とは、所望により1または複数(例えば1〜3個)の水酸基;ニトロ基;シアノ基;塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;エテニル、1−プロペニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル等の炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基等の置換基を有していてもよいことを意味する。
【0016】
本発明のフェロセン化合物(下記製造スキーム中の化合物6)は、下記の製造スキームに従って製造することができる。
【化13】
(式中、Q、R、R'、mおよびnは前述の式(1)における定義と同一である。)
【0017】
工程1において、化合物2は化合物1からジフェニルホスホリルアジドおよび塩基を作用させる方法、カルボン酸を酸塩化物、酸無水物に変換後ナトリウムアジドを作用させる方法、カルボン酸をエステルに変換後、ヒドラジンを作用させ、ヒドラジンとのアミドに変換させた後、亜硝酸または亜硝酸エステルを作用させる方法などにより、合成することができ、好ましくは、ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基を作用させる方法により合成することができる。なお、出発物質である化合物1は公知であるか、或いは公知の化合物から公知の合成法によって容易に合成できる。また、化合物1は市販もされており、例えば東京化成株式会社より購入することもできる。ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基を作用させる方法に用いられる塩基としてはトリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどが挙げられ、好ましくはトリエチルアミンが挙げられる。ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基を作用させる方法に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはジクロロメタンが挙げられる。ジフェニルホスホリルアジドおよび塩基を作用させる方法の反応温度は、進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、−78〜50℃で行い、好ましくは−10〜10℃で行う。
【0018】
工程2において、化合物3は化合物2を加熱することにより、合成することができる。上記工程2に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはトルエンが挙げられる。反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、20℃〜200℃で行い、好ましくは50〜150℃で行う。
【0019】
工程3において、化合物4は化合物3にカルバジン酸エステルを作用させることにより行うことができる。上記工程3に用いられる溶媒としては、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはトルエンが挙げられる。反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、0〜200℃で行い、好ましくは20〜120℃で行う。
【0020】
工程4において、化合物5は化合物4に塩基を作用させることにより行うことができる。上記工程4に用いられる塩基としてはナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、ナトリウム tert−ブトキラート、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、カリウム tert−ブトキシド、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジシクロヘキシルアミド、リチウムビス(トリメチルシリル)アミド、カリウムビス(トリメチルシリル)アミド、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウムなどが挙げられ、好ましくは炭酸カリウムが挙げられる。上記工程4に用いられる溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはエタノールが挙げられる。反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、0〜200℃で行い、好ましくは20〜120℃で行う。
【0021】
工程5において、化合物6は化合物5にヨードベンゼンジアセテートを作用させることにより行うことができる。上記工程4に用いられる溶媒としては、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンが挙げられる。反応温度は、反応が進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、−78〜100℃で行い、好ましくは−10〜50℃で行う。
【0022】
また、本発明のフェロセン化合物(化合物6において、Q=W1−X−W2の化合物)は、下記の製造スキームに従って製造することもできる。
【化14】
(式中、Q、R、R'、W1、X、W2、mおよびnは前述の式(1)における定義と同一である。)
【0023】
工程6において、化合物9は化合物7(Yは水酸基、カルボン酸酸塩化物残基、カルボン酸酸無水物残基、カルボン酸エステル基、イソシアネート基、スルホニルクロリド残基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基を示す)と化合物8(Zは水酸基、置換基を有していても良いアミノ基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基を示す)を反応させることにより合成することもできる(工程6)。この際、反応は塩基存在下にて行うことが好ましい。YおよびZの組み合わせとしては、Yがカルボン酸酸塩化物残基、カルボン酸酸無水物残基、カルボン酸エステル基、イソシアネート基またはスルホニルクロリド残基である化合物7と、Zが水酸基、置換基を有していても良いアミノ基である化合物8の組み合わせ;Yが水酸基である化合物7と、Zがハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基である化合物8の組み合わせ;或いはYがハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基またはアリールスルホニルオキシ基である化合物7と、Zが水酸基である化合物8の組み合わせが挙げられる。なお、出発物質である化合物7および化合物8は公知であるか、或いは公知の化合物から公知の合成法によって容易に合成できる。また、化合物7は市販もされており、例えば東京化成株式会社より購入することもできる。上記工程6に用いられる塩基としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸セシウム、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、2,6−ジメチルピリジン、2,4,6−トリメチルピリジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジンなどが挙げられる。上記工程6に用いられる溶媒としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられる。反応温度は、進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、−78〜200℃で行い、好ましくは−10〜150℃で行う。なお、工程5の反応条件などについては前述の通りである。
【0024】
このようにして得られた本発明のフェロセン化合物は、必要に応じ公知の方法に従って精製・乾燥等の操作を行い単離することができる。なお、得られたフェロセン化合物が不安定である場合もあり、その場合は、その化合物が安定して存在することのできる溶媒中(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど)で保存するとよい。
【0025】
本発明のフェロセン化合物は、ビタミンD化合物(VD化合物)などのトリエン構造を有する化合物を液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)、特に液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化−マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/ESI−MS/MS)にて測定する際の試薬(誘導体化剤)として有用である。
本発明の試薬は、上記フェロセン化合物単体、および上記フェロセン化合物を含有する溶液の両方を意味する。本発明の試薬において用いることができる溶媒としては、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタンなどが挙げられ、好ましくはテトラヒドロフラン(THF)またはジオキサンが挙げられる。この溶液中のフェロセン化合物の含有量は、特に限定されないが、例えば、0.001〜99重量%、好ましくは0.005〜50重量%、さらに好ましくは0.01〜10重量%の範囲から適宜選択される。本発明の試薬を用いて対象化合物を測定する場合、具体的には、その試薬中のフェロセン化合物とVD化合物とを反応させ、これらを結合した化合物をLC/ESI−MS/MS等に供することにより、VD化合物を測定する。測定の詳細については後述する。
【0026】
ここで、本発明のフェロセン化合物と結合させるVD化合物(即ち、測定対象となるVD化合物)としては、ビタミンD3化合物(VD3化合物)が好ましい。ここでVD3化合物とは、9,10−セココレスタ−5,7,10(19)−トリエン構造を有する化合物であり、好ましくは(5Z,7E)−9,10−セココレスタ−5,7,10(19)−トリエン構造を有する化合物であり、より好ましくは(1α,5Z,7E)−9,10−セココレスタ−5,7,10(19)−トリエン−1−オール構造を有する化合物、(3β,5Z,7E)−9,10−セココレスタ−5,7,10(19)−トリエン−3−オール構造を有する化合物、または(1α,5Z,7E)−9,10−セココレスタ−5,7,10(19)−トリエン−1,3−ジオール構造を有する化合物である。これらVD3化合物の具体的な化合物としては、コレカルシフェロール(VD3)、カルシトリオール(1α,25(OH)23;商品名 ロカルトロール(登録商標)、カプセル/製造・販売元 中外製薬株式会社、販売元 杏林製薬株式会社、注/輸入先 中外製薬株式会社、販売先 麒麟麦酒株式会社)、アルファカルシドール(ALF;商品名 アルファロール(登録商標)、中外製薬株式会社;特開昭48−62750号公報およびTetrahedron Lett.,1973,2339、Tetrahedron,30,2701(1974)等)、マキサカルシトール(OCT;商品名 オキサロール(登録商標)、軟膏/販売先 マルホ株式会社、製造元 中外製薬株式会社、注/製造販売元中外製薬株式会社;特開昭61−267550号公報等)、タカルシトール(商品名 ボンアルファ(登録商標)、帝人株式会社)、カルシポトリオール(商品名 ドボネックス(登録商標)、輸入元 帝国製薬株式会社、販売 藤沢薬品株式会社、テイコクメディックス株式会社)、ファレカルシトリオール(商品名ホーネル(登録商標)、大正製薬株式会社;商品名 フルスタン(登録商標)、製造元 住友製薬株式会社、販売元 キッセイ薬品株式会社)、2β−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(ED−71(開発コード名)、中外製薬株式会社;特開昭61−267548号公報等)、EB1089(開発コード名、Leo Pharmaceutical Products社;J.chromatogr.B,740,117−128(2000)等)、国際公開WO95/27697号公報、同WO98/28266号公報、同WO00/49403号公報、同WO00/61776号公報、同WO00/64870号公報、同WO00/66548号公報、同WO01/16099号公報、同WO01/62723号公報、同WO01/79166号公報、同WO01/90061号公報、同WO01/96293号公報、同WO02/13832号公報等に記載の化合物が挙げられる。尚ここで、VD3、1α,25(OH)23、ALF等は市販されており、例えば、Solvay Pharmaceutical社、CALBIO社、FLUKA社、FORMOSA社、WAKO社等から購入することができる。これら化合物の代表的な構造を以下に示す。
【0027】
・コレカルシフェロール(VD3
【化15】
【0028】
・アルファカルシドール(ALF)
【化16】
【0029】
・2β−(3−ヒドロキシプロピルオキシ)−1α,25−ジヒドロキシビタミンD3(ED−71)
【化17】
【0030】
・国際公開WO02/13832号公報の実施例6に記載の化合物(以下、化合物Aと称する)
【化18】
【0031】
上述した本発明のフェロセン化合物と結合させるVD化合物(即ち、測定対象となるVD化合物)のうち、特に好ましくは、分子内にエステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有しないVD化合物(具体的には、前掲のVD3、カルシポトリオール、1α,25(OH)23、ALF、ファレカルシトリオール、EB1089、化合物A等)である。
本発明のフェロセン化合物とVD化合物を結合させるには、本発明のフェロセン化合物のトリアゾリン骨格をDiels−Alder反応でVD化合物のトリエン構造に選択的に反応させればよい。具体的には、酢酸エチル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジオキサン、ジメトキシエタン(好ましくはテトラヒドロフラン(THF)またはジオキサン)などの適当な溶媒中で、本発明のフェロセン化合物とVD化合物を5分間〜5時間(好ましくは15分間〜3時間)反応させればよい。反応温度は、進行する温度であれば特に制限はないが、一般に、−78〜100℃で行い、好ましくは−10〜50℃で行う。尚、必要により反応を停止するために、水またはメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール溶媒を加えてもよい。このようにして得られた本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体は、必要に応じ公知の方法に従って精製・乾燥等の操作を行い単離することができる。
このようにして得られた本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体は、前記フェロセン化合物と前記VD化合物とが共有結合している化合物である。
【0032】
また、本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体は、好ましくは、下記式(2)
【化19】
で表される化合物である。ここで、前記式中、「Q、R、R'、mおよびn」は前掲の式(1)と同一の定義である。「A1およびA3」はそれぞれ独立して、置換基を有していてもよい低級アルキレン、置換基を有していてもよい低級アルケニレンまたは置換基を有していてもよい低級アルカイニレンを表す。「A2」は直接結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−または−NH−を表し、好ましくは直接結合、−CH=CH−または−C≡C−である。A1−A2−A3は、好ましくは、−CH(CH3)−(CH23−、−CH(CH3)−CH=CH−または−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH−であり、最も好ましくは−CH(CH3)−(CH23−である。「R1」は水素原子または−OR9(R9は水素原子または保護基を表す。)を表し、好ましくは水素原子または水酸基である。「R2」は水素原子、水酸基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基または置換基を有していてもよい低級アシル基を表し、好ましくは水素原子またはヒドロキシプロポキシ基である。「R3」は水素原子または保護基を表し、好ましくは水素原子である。「R4、R5およびR6」はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいアミノ基を表し、好ましくはそれぞれ独立して水素原子、水酸基ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル基または低級シクロアルキル基である。「R7およびR8」はそれぞれ独立して水素原子または水酸基を表すか、或いは、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成し、好ましくは水素原子またはR7およびR8が一緒になって二重結合を形成する。
【0033】
前述のA1およびA3における「低級アルキレン」とは、炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキレン鎖を指し、「低級アルケニレン」とは炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニレン鎖を指し、「低級アルカイニレン」とは炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルカイニレン鎖を指す。また「置換基を有していてもよい」とは、所望により1または複数(例えば1〜3個)の水酸基;ニトロ基;シアノ基;塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;エテニル、1−プロペニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル等の炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基等の置換基を有していてもよいことを意味する。
【0034】
前述のR2、R4、R5およびR6における「ハロゲン」とは、塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等を指し;「低級アルキル」とは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基を指し;「低級アルケニル」とは、エテニル、1−プロペニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基を指し;「低級アルキニル」とは、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基を指し;「低級アルコキシ基」とは、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ等の炭素数1〜6のアルコキシ基を指し;「低級アシル基」とは、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル等の炭素数1〜6のアシル基を指す。また、R4、R5およびR6の「シクロアルキル基」とは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロアクチル等の炭素数3〜8のシクロアルキル基を指す。
【0035】
また上記置換基における「置換基を有していてもよい」とは、所望により1または複数(例えば1〜3個)の水酸基;ニトロ基;シアノ基;塩素、フッ素、臭素、ヨウ素等のハロゲン;メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;エテニル、1−プロペニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、3−ブテニル、ペンテニル、ヘキセニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル等の炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ、フェノキシ等の炭素数1〜6のアルコキシ基;ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル等の炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基等の置換基を有していてもよいことを意味する。また、前述のR1およびR3における「保護基」とは、水酸基の保護基として適切なものであれば特に限定はなく、例えば、低級アシル基、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルキルスルホニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシカルボニル基、置換シリル基等が挙げられる。「低級アシル基」、「低級アルキル基」、「低級アルコキシ基」、可能な「置換基」などについては、前段において説明した通りである。
【0036】
上述の本発明のフェロセン化合物とVD化合物とを反応させることにより得られたフェロセン化合物とVD化合物の結合体は、VD化合物をLC/ESI−MS/MS等にて測定する際の標品等として有用である。
【0037】
尚、試料中に存在するVD化合物を測定するに際しても、前述の方法に従って本発明のフェロセン化合物とVD化合物を結合させればよい。ここで、前記試料は生体由来の試料であることが好ましい。生体由来の試料とは、体液(血液、リンパ液、髄液)や尿などを指し、好ましくは血漿、血清、尿である。さらに、生体由来とは好ましくは哺乳類由来を意味し、より好ましくはヒト、サル、イヌ、ウサギ、モルモット、ラット、マウス由来である。生体由来の試料中に存在するVD化合物を測定する場合、エタノール除蛋白等の公知の方法により除蛋白を行うなどの必要な前処理を行った後、前述した方法と同様にして本発明のフェロセン化合物と試料中に存在するVD化合物を結合させ、得られた本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体を後の測定に用いればよい。
ここで、試料の前処理として、試料の除蛋白を行った後、本発明のフェロセン化合物と試料中に存在するVD化合物を反応させる前に、試料の固相抽出を行うことが好ましい。また、本発明のフェロセン化合物と試料中に存在するVD化合物を反応させた後、試料の固相抽出を行うことが好ましい。特に好ましくは、試料の除蛋白を行い、試料の固相抽出を行った後、本発明のフェロセン化合物と試料中に存在するVD化合物を反応させ、その後再度試料の固相抽出を行う。試料の除蛋白を行った後、本発明のフェロセン化合物と試料中に存在するVD化合物を反応させる前の固相抽出は、好ましくは順相系の固相抽出カートリッジを用いて行い、特に好ましくはシリカゲル系の固相抽出カートリッジを用いて行う。本発明のフェロセン化合物と試料中に存在するVD化合物を反応させた後の固相抽出は、好ましくは逆相系の固相抽出カートリッジを用いて行う。
【0038】
このようにして得られた本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体を、LC/MSに供して測定する。ここで、LC/MSとは、LC/MS(液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー)による測定原理を利用または応用した測定法或いは測定機器を指し、具体的には液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)およびタンデム型の液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/MS/MS)、並びにそれらにエレクトスプレーイオン化法(ESI)および大気圧化学イオン化法(APCI)を組み合わせた測定法或いは測定機器である。このうち、本発明の測定法を実施するにあたって、特に好ましくは液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化−マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/ESI−MS/MS)を用いる。
LC/ESI−MS/MSによる測定は、具体的には、前述のようにして得られた本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体を含む残渣を移動相に溶解し、LC/ESI−MS/MSに注入し測定する。ここで、各測定におけるLC/ESI−MS/MS測定条件の設定等の具体的な操作については、公知の方法に従って、測定対象となる試料の量や種類、試料中に存在するVD化合物の量や種類、必要とされる測定感度、誘導体化剤として用いる本発明フェロセン化合物の種類、測定に使用するLC/ESI−MS/MS機器の構成等に合わせて適宜調整・設定すればよい。具体的には、本発明のフェロセン化合物とVD化合物の結合体のMRM(Multiple Reaction Monitoring)条件を精査して各種条件を適宜設定するとともに、効率的なイオン化が可能なLC条件も設定する。生体試料中濃度測定に際しては、ブランク試料に濃度勾配をつけた既知濃度の測定対象物を添加し、内部標準物質(I.S.、好ましくは測定対象物質の安定同位元素標識体)を加え、それぞれ測定する。I.S.に対する測定対象物のピーク面積比(またはピーク高さ比)を求め、添加濃度との関係から、検量線を作成し、検量線と測定試料のピーク面積比(またはピーク高さ比)から、生体試料中濃度を算出する。これらの詳細については、最新のマススペクトロメトリー(第1版、発行:化学同人、編集:丹羽利充、1995年)、バイオロジカルマススペクトロメトリー(発行:東京化学同人、編集:上野民夫、平山和雄、原田健一、1997年)、LC/MSの実際(第1版、発行:講談社サイエンティフィック、編集:原田健一、岡尚男、1996年)等を参照することができる。
【0039】
このようにして行う本発明のVD化合物の測定方法は、従来方法よりも高感度の測定法である。さらに本発明の測定方法は、今までの測定方法では感度が不十分であった分子内にエステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有しないVD化合物(具体的には、前掲のVD3、カルシポトリオール、1α,25(OH)23、ALF、ファレカルシトリオール、EB1089、化合物A等)の測定においては、従来法に比べて数百倍もの高感度化を達成可能な測定方法である。従って、エステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有するVD化合物(具体的には、前掲のOCT、ED−71等)のみならず、それらヘテロ原子を有さないVD化合物に至るまで、あらゆるVD化合物に適用可能な高感度測定法である。
以下、本発明の好適な実施例についてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例】
【0040】
以下の実施例においては、核磁気共鳴スペクトル(NMR)はEX−270(JEOL社製)を用いて測定した。また、エレクトロスプレーイオン化LC/MS/MS(LC/ESI−MS/MS)として、高速液体クロマトグラフ Alliance2790(Waters Co.社製)および四重極型質量分析計 Quattro LC(Micromass UK Ltd.社製)を用いた。また、データ解析には、Masslynx Ver3.3(Micromass UK社製)およびMicrosoft Excel 2000(Microsoft社製)を使用した。
【0041】
実施例1 誘導体化剤の合成
〔実施例1−1〕 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン(FMTAD)の合成
(1)3−(フェロセニルメチル)カルバモイルカルバジン酸エチルエステルの合成
フェロセン酢酸(東京化成株式会社製)0.5g(2mmol)、ジフェニルホスホリルアジド0.44mL(2mmol)およびトルエン4mLの混合物に氷冷下トリエチルアミン0.57mL(4mmol)を加え、室温で、30分間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下濃縮し、4mLトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液に2mLのトルエンを加え、室温攪拌下カルバジン酸エチルエステル0.32g(3mmol)を加え、3時間加熱還流した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=20:1)で精製し、3−(フェロセニルメチル)カルバモイルカルバジン酸エチルエステル0.55g(78%)を黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:1.27(3H,t,J=7.3Hz),4.0−4.3(13H,m),5.59(1H,m),6.59(1H,s),6.66(1H,s)
【0042】
(2)4−(フェロセニルメチル)ウラゾールの合成
上記(1)で得られた3−(フェロセニルメチル)カルバモイルカルバジン酸エチルエステル0.55g(1.6mmol)、炭酸カリウム460mg(3.3mmol)およびエタノール16mLの混合物を14時間加熱還流した。反応混合物を濾過後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=10:1)で精製し、4−(フェロセニルメチル)ウラゾール376mg(78%)を得た。
1H NMR(THF−d8)δ:3.86(2H,m),3.96(5H,s),4.10(2H,m),4.13(2H,s),8.38(2H,brs)
【0043】
(3)4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンの合成
上記(2)で得られた4−(フェロセニルメチル)ウラゾール10mg(0.033mmol)およびテトラヒドロフラン−d8 0.5mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート11mg(0.034mmol)を室温で加え、2時間攪拌し、4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンのテトラヒドロフラン溶液を得た。
1H NMR(THF−d8)δ:3.98(2H,m),4.04(5H,s),4.16(2H,m),4.38(2H,s)
【0044】
〔実施例1−2〕 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン(FTAD)の合成
(1)3−フェロセニルカルバモイルカルバジン酸エチルエステルの合成
フェロセンカルボン酸(東京化成株式会社製)0.5g(2.17mmol)、ジフェニルホスホリルアジド0.47mL(2.17mmol)およびトルエン4mLの混合物に氷冷下トリエチルアミン0.6mL(4.3mmol)を加え、室温で、30分間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下濃縮し、4mLトルエン溶液として得た。得られたトルエン溶液に2mLのトルエンを加え、室温攪拌下カルバジン酸エチルエステル0.34g(3.27mmol)を加え、1時間加熱還流した。反応混合物をジクロロメタンで希釈し、1%塩酸水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム溶液で順次洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下濃縮した。得られた残渣をヘキサン−ジクロロメタン(1:1)混合液で洗浄し、3−フェロセニルカルバモイルカルバジン酸エチルエステル0.52g(72%)を黄色粉末として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:1.31(3H,t,J=7.1Hz),4.03(2H,s),4.20(5H,s),4.25(2H,q,J=7.1Hz),4.47(2H,s),6.24(1H,brs),6.40(1H,brs),6.55(1H,brs)
MS(ESI):m/z 332(M++1),331(M+
【0045】
(2)4−フェロセニルウラゾールの合成
上記(1)で得られた3−フェロセニルカルバモイルカルバジン酸エチルエステル0.52g(1.57mmol)、炭酸カリウム434mg(3.14mmol)およびエタノール16mLの混合物を13時間加熱還流した。減圧下濃縮後、2N塩酸で酸性にした後、ジクロロメタン−メタノール(10:1)の混合溶媒で抽出し、水で洗浄後、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン:メタノール=20:1)で精製し、4−フェロセニルウラゾール320mg(71%)を得た。
1H NMR(THF−d8)δ:3.87(2H,t,J=2.0Hz),3.96(5H,s),4.86(2H,t,J=2.0Hz),8.64(2H,brs)
MS(ESI):m/z 286(M++1),285(M+
【0046】
(3)4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンの合成
上記(2)で得られた4−フェロセニルウラゾール10mg(0.035mmol)およびテトラヒドロフラン−d8 0.5mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート11mg(0.034mmol)を室温で加え、1時間攪拌し、4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンのテトラヒドロフラン溶液を得た。
1H NMR(THF−d8)δ:4.0−4.1(7H,m),4.66(2H,t,J=2.0Hz)
【0047】
(4)4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンの合成(その2)
上記(2)で得られた4−フェロセニルウラゾール10mg(0.035mmol)および1,4−ジオキサン−d8 0.5mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート11mg(0.034mmol)を室温で加え、2時間攪拌し、4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンの1,4−ジオキサン溶液を得た。
1H NMR(1,4−ジオキサン−d8)δ:4.2−4.3(7H,m),4.87(2H,m)
【0048】
実施例2 誘導体化剤とビタミンD化合物との結合体の合成
〔実施例2−1〕 アルファカルシドール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FMTAD)の合成
実施例1−1を参考にして、4−(フェロセニルメチル)ウラゾール5mg(0.017mmol)およびテトラヒドロフラン0.25mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート5mg(0.016mmol)を室温で加え、2時間攪拌し、4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンのテトラヒドロフラン溶液を得た。得られた溶液に、特開昭48−62750号公報およびTetrahedron Lett.,1973,2339、Tetrahedron,30,2701(1974)に記載の方法に従って製造したアルファカルシドール1mg(0.0025mmol)のテトラヒドロフラン(0.25mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物を減圧下濃縮し得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、標題のアルファカルシドール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FMTAD)1mg(57%)を黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.4−0.6(3H,m),3.6−3.8(1H,m),4.0−4.6(16H,m),4.6−4.8(1H,m),4.8−4.9(1H,m)
【0049】
〔実施例2−2〕 アルファカルシドール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FTAD)の合成
実施例1−2を参考にして、4−フェロセニルウラゾール5mg(0.017mmol)およびテトラヒドロフラン0.25mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート4.5mg(0.014mmol)を室温で加え、1時間攪拌し、4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンのテトラヒドロフラン溶液を得た。得られた溶液に、特開昭48−62750号公報およびTetrahedron Lett.,1973,2339、Tetrahedron,30,2701(1974)に記載の方法に従って製造したアルファカルシドール1mg(0.0025mmol)のテトラヒドロフラン(0.25mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物を減圧下濃縮し得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、標題のアルファカルシドール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FTAD)1mg(57%)を黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.54(3H,s),0.85(6H,d,J=6.3Hz),0.89(3H,d,J=5.3Hz),3.79(1H,brd,J=15.5Hz),4.0−4.4(11H,m),4.66(1H,d,J=17.6Hz),4.9−5.1(3H,m)
【0050】
〔実施例2−3〕 コレカルシフェロール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FMTAD)の合成
実施例1−1を参考にして、4−(フェロセニルメチル)ウラゾール10mg(0.033mmol)およびテトラヒドロフラン−d8 0.5mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート11mg(0.034mmol)を室温で加え、2時間攪拌し、4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンのテトラヒドロフラン溶液を得た。得られた溶液にコレカルシフェロール(VD3、Solvay Pharmaceutical社製)5mg(0.013mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物を減圧下濃縮し得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1:2)で精製し、標題のコレカルシフェロール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FMTAD)8mg(90%)を黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.47(3H,s),0.87(6H,d,J=6.4Hz),0.92(3H,d,J=5.9Hz),3.71(1H,brd,J=15.2Hz),4.0−4.5(15H,m),4.60(1H,d,J=9.9Hz),4.86(1H,d,J=9.6Hz)
【0051】
〔実施例2−4〕 コレカルシフェロール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FTAD)の合成
実施例1−2を参考にして、4−フェロセニルウラゾール10mg(0.035mmol)およびテトラヒドロフラン0.5mLの混合物にヨードベンゼンジアセテート11mg(0.034mmol)を室温で加え、1時間攪拌し、4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンのテトラヒドロフラン溶液を得た。得られた溶液にコレカルシフェロール(VD3、Solvay Pharmaceutical社製)10mg(0.026mmol)のテトラヒドロフラン(0.5mL)溶液を加え、室温で1時間攪拌した。得られた混合物を減圧下濃縮し得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=2:1)で精製し、標題のコレカルシフェロール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FTAD)11mg(63%)を黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.60(3H,s),0.85(6H,d,J=6.6Hz),0.92(3H,d,J=5.8Hz),3.81(1H,brd,J=15.5Hz),4.0−4.3(11H,m),4.73(1H,d,J=9.9Hz),4.9−5.0(2H,m),5.05(1H,d,J=1.5Hz)
【0052】
〔比較例2−1〕 3−(フェロセニルカルバモイルオキシ)コレカルシフェロールの合成(VD3−フェロセンカルバメート)の合成
フェロセンカルボン酸10mg(0.043mmol)、ジフェニルホスホリルアジド0.01mL(0.046mmol)およびトルエン0.5mLの混合物に氷冷下トリエチルアミン0.015mL(0.108mmol)を加え、室温で30分間攪拌した。反応混合物をジクロロメタンで希釈後、1%塩酸、飽和重曹水で洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、濾過後、減圧下ジクロロメタンを留去し、未精製のトルエン溶液を得た。得られたトルエン溶液にコレカルシフェロール(VD3、Solvay Pharmaceutical社製)10mg(0.026mmol)を室温で加え、100℃で1時間攪拌した。反応混合物を減圧下濃縮し、得られた残渣を薄層シリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=5:1)により精製し、3−(フェロセニルカルバモイルオキシ)コレカルシフェロール(VD3−フェロセンカルバメート)6mgを黄色油状物として得た。
1H NMR(CDCl3)δ:0.55(3H,s),0.87(6H,d,J=6.4Hz),0.92(3H,d,J=6.1Hz),3.99(2H,brs),4.17(7H,brs),4.48(2H,brs),4.86(1H,s),4.94(1H,brs),5.08(1H,s),5.7−5.9(1H,m),6.06(1H,d,J=11.1Hz),6.25(1H,d,J=11.1Hz)
【0053】
実施例3 誘導体化剤とビタミンD化合物との結合体の測定
〔実施例3−1〕 アルファカルシドール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FMTAD)およびアルファカルシドール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FTAD)の測定
実施例2−1を参考に合成したアルファカルシドール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FMTAD)および実施例2−2を参考に合成したアルファカルシドール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ALF−FTAD)それぞれを移動相(10mmol/L 酢酸アンモニウム/アセトニトリル(1:9、v/v))50μLに溶解し、20μLをLC/ESI−MS/MSに注入した。HPLCカラムにCapcell Pak C18 UG−120(5μm、150×2.0mm i.d.:株式会社資生堂製)を用い正イオンモードでALF−FMTADおよびALF−FTADのESIマススペクトルを測定したところ、それぞれm/z 697、m/z 683に分子イオン〔M〕+をベースピークとして与えた。測定結果の一例を図1に示す。また、コーン電圧をそれぞれ70V、66Vに設定する時、強度が最大となった。
これら分子イオンをプリカーサイオンとしてプロダクトイオンスペクトルを測定したところ、フェロセン骨格を有する強いフラグメントイオンをそれぞれm/z 199、m/z 227に与えた。測定結果の一例を図2に示す。
そこで、ALF−FMTADおよびALF−FTADのMRM(Multiple Reaction Monitoring)条件を精査した結果、モニタリングチャンネルにそれぞれm/z 697〔M〕+>199〔M−C294443+、m/z 683〔M〕+>227〔M−C284432+を用い、コリジョンエネルギーを44eVに設定する時、超高感度測定が可能で、いずれも250fg(359amol、366amol)/inj(S/N比が約6〜8)という感度を得た。一方、同様にして測定したアルファカルシドール(ALF)の直接測定時における感度は75pg(188fmol)/inj(S/N比が約6)であり、本発明の測定法は直接測定時に比べ約300倍高感度であった。これら測定結果の一例を図3に示す。
【0054】
〔実施例3−2〕 コレカルシフェロール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FMTAD)およびコレカルシフェロール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FTAD)の測定
実施例2−3を参考に合成したコレカルシフェロール 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FMTAD)および実施例2−4を参考に合成したコレカルシフェロール 4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(VD3−FTAD)を用い、実施例3−1と同様に測定条件を最適化した結果、いずれも250fg(367amol、375amol)/inj(S/N比が約8〜11)という感度を得た。一方、同様にして測定したコレカルシフェロール(VD3)の直接測定時、および3−(フェロセニルカルバモイルオキシ)コレカルシフェロール(VD3−フェロセンカルバメート)(比較例2−1参照)における感度は50pg(130fmol)/inj(S/N比が約8)、1pg(1.64fmol)/inj(S/N比が約5)であり、本発明の測定法は直接測定時に比べ約200倍、フェロセンカルバメート誘導体化による測定時に比べても4倍以上高感度であった。これら測定結果の一例を図4に示す。
【0055】
〔実施例3−3〕 ED−71の4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ED−71−FMTAD)および国際公開WO02/13832号公報の実施例6に記載の化合物(化合物A)の4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(化合物A−FMTAD)の測定
実施例2を参考に合成したED−71の4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(ED−71−FMTAD)および国際公開WO02/13832号公報の実施例6に記載の化合物(化合物A)の4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン付加体(化合物A−FMTAD)を用い、実施例3−1と同様に測定条件を最適化した結果、それぞれ300fg(381amol)/inj、500fg(668amol)/injという感度を得た。一方、同様にして測定したED−71および化合物Aの直接測定時における感度は、それぞれ10pg(20fmol)/inj、50pg(111fmol)/injであった。
上記の実施例3−1、3−2および3−3の結果のまとめを表1に示す。
【表1】
【0056】
実施例4 生体試料中のビタミンD化合物の測定
〔実施例4−1〕 ラット血漿中のアルファカルシドール(ALF)のFMTAD誘導体化による測定
(1)ラットブランク血漿の調製
SD系無処置ラット(SPFグレード、Slc社より購入)よりヘパリンナトリウムを抗凝固剤として採血し、遠心分離して得られた数個体分の血漿を混合した血漿を使用した。プール血漿は−20℃以下で保存した。
(2)アルファカルシドール(ALF)の検量線下限検討(FMTAD誘導体化)
ラットブランク血漿100μLに特開昭48−62750号公報およびTetrahedron Lett.,1973,2339、Tetrahedron,30,2701(1974)に記載の方法に従って製造したアルファカルシドール(ALF)のエタノール溶液を添加し、0、0.08、0.25、0.8、2.5、8および25ng/mLの検量線作成用試料を調製した。各濃度100μLに、内部標準物質(I.S.)としてChem.Pharm.Bull.,48,215(2000)に記載の方法に従って製造した40ng/mLのd4−ALF 20μLを加え、エタノール除蛋白、固相抽出カートリッジ(Bond Elut SI、3cc、500mg:Vrian Inc.社製)による固相抽出を行った後、FMTADにより誘導体化した。誘導体化後、再び固相抽出カートリッジ(Oasis HLB、1cc、30mg:Waters社製)により固相抽出を行い、窒素乾固後、残渣を移動相40μLに溶解し、10μLをLC/ESI−MS/MSに注入した。試料の前処理の具体的な処理スキームを図5に示す。LC/ESI−MS/MSの測定条件は表2に示す。
【表2】
S/N比が約3〜5で検量線下限値を求めた結果、本発明の測定法における検量線下限値は0.08ng/mLであり、比較例4−1に示される直接測定時(10ng/mL)に比べて125倍、比較例4−2に示されるPTAD誘導体化による測定時(1ng/mL)に比べて12.5倍、高感度であった。また、ラット血漿1mLを用いて、上記と同様に検量線下限値を求めた結果、本発明の測定法における検量線下限値は0.01ng/mLであった。検量線下限におけるクロマトグラムの一例を図6に示す。
【0057】
(3)特異性検討
前記(2)の前段で用いた検量線ブランク(0ng/mL)および検量線下限(0.08ng/mL)のクロマトグラムとを比較した。その結果、ALF−FMTADおよびd4−ALF−FMTADの測定を妨害するピークは認められず、検量線ブランク試料にも、ALF−FMTADの溶出時間に妨害ピークは認められなかった。
(4)検量線の範囲と直線性の検討
前記(2)の前段で用いた試料をそれぞれ3日間測定し、I.S.に対する測定対象物のピーク面積比を求め、添加濃度との関係から最小二乗法により検量線を作成し、(1/y2重みづけ)、相関係数(r)および各濃度における逆算値の真度を求めた。検量線と各試料のピーク面積比から実測値をng/mL単位で有効数字3桁で求めた。尚、FMTADによる誘導体化反応において2種類の異性体(6R/6S)が生成するが、S/N比の大きいピークを選択し(保持時間(R.T.)約8.8分)、定量を行った。
検量線を3日間作成した結果を表3に、またその典型的なグラフを図7に示す。
【表3】
検量線の相関係数(r)は0.08〜25ng/mLの範囲で0.991277〜0.999741(1/y2重みづけ)、各濃度の逆算値の真度は−7.6〜9.9%と、良好な直線性を示した。
【0058】
(5)同時再現性の検討
前記(2)の前段と同様に、ラットブランク血漿(100μL)にALFを添加することにより、0.08、0.25、2.5および25ng/mLの同時再現性用試料を調製してそれぞれ処理し測定した。各濃度n=5で3日間測定し、1日単位で変動係数(Coefficient of Variation、以下CV値)および真度を求めた。尚、CV値および真度は、次式により算出した。
CV値=(実測値標準偏差/実測値平均値)×100(%)
真度={(実測値平均値−理論値)/理論値}×100(%)
結果の一例を表4に示す。
【表4】
各濃度におけるCV値は15%以下(定量下限では20%以下)、真度は±15%以内(定量下限では±20%以内)で、良好な精度、真度であった。
【0059】
(6)日差再現性の検討
前記(5)の測定結果をもとに、3日間全体のCV値および真度を同様に求めた。
結果の一例を表5に示す。
【表5】
各濃度におけるCV値は15%以下(定量下限では20%以下)、真度は±15%以内(定量下限では±20%以内)で、良好な精度、真度であった。
【0060】
(7)回収率の検討
前記(5)で用いた同時再現性試料を回収率用試料として利用した。回収率算出の対照となる試料(リファレンス試料)として、ラットブランク血漿を前処理した試料に0.145、0.436、4.36および43.6ng/mLのALF−FMTAD100μLを2本ずつ分注した。それぞれ測定し、リファレンス試料のピーク面積の平均値を100%とし、測定試料のピーク面積との比較によりALFの回収率を求めた。
回収率=(回収率用試料のピーク面積/リファレンス試料のピーク面積の平均値)×100(%)
結果の一例を表6に示す。いずれも実用に耐えうる回収率であった。
【表6】
【0061】
(7)誘導体化率の検討
前記(5)で用いた同時再現性試料を誘導体化率用試料として利用した。誘導体化率算出の対照となる試料(リファレンス試料)として、ラットブランク血漿をエタノール除蛋白、固相抽出カートリッジ(Bond Elut SI、3cc、500mg:Varian SPP社製)による固相抽出を行った後、FMTADを加えた試料にALF−FMTADを添加した試料を2本調製した。それぞれ測定し、リファレンス試料のピーク面積の平均値を100%とし、測定試料のピーク面積との比較によりALFの誘導体化率を求めた。
誘導体化率=(誘導体化率用試料のピーク面積/リファレンス試料のピーク面積の平均値)×100(%)
結果の一例を表7に示す。いずれも実用に耐えうる誘導体化率であった。
【表7】
【0062】
(8)サンプルクーラー中での安定性の検討
前記(2)の前段と同様に、ラットブランク血漿(100μL)にALFを添加することにより、0.08、0.25、2.5および25ng/mLの安定性検討用試料を調製してそれぞれ処理し測定した。各濃度n=3で、試料調製日の実測値(Initial値)と、サンプルクーラー中で5℃・24時間保存後の実測値(Post値)から、次式を用いて変動率を算出した。
変動率={Post値の平均値/Initial値の平均値}×100(%)
変動率を調べた結果、いずれの濃度においても大きな変動は認められず、安定性に問題は認められなかった
【0063】
〔実施例4−2〕 ラット血漿中のED−71のFMTAD誘導体化による測定
ビタミンD化合物としてED−71を用いた他は実施例4−1(2)の前段と同様にして、ラット血漿中のED−71をFMTAD誘導体化によりLC/ESI−MS/MSを用いて測定した。測定条件は表8に示す。
【表8】
S/N比が約3で検量線下限値を求めた結果、本発明の測定法では0.25ng/mLであった。
【0064】
〔実施例4−3〕 ラット血漿中の国際公開WO02/13832号公報の実施例6に記載の化合物(化合物A)のFMTAD誘導体化による測定
ED−71の代わりに国際公開WO02/13832号公報の実施例6に記載の化合物(化合物A)を用いた他は実施例3−2と同様にして、ラット血漿中の化合物AをFMTAD誘導体化によりLC/ESI−MS/MSを用いて測定した。測定条件は表9に示す。
【表9】
S/N比が約3で検量線下限値を求めた結果、本発明の測定法では0.25ng/mLであった。
【0065】
〔比較例4−1〕 誘導体化を行わないラット血漿中のアルファカルシドール(ALF)の直接測定
実施例4−1(2)と同様に、ラットブランク血漿にアルファカルシドール(ALF)を添加し0、1、3、10、30、100、300および1000ng/mLの検量線作成用試料を調製した。各濃度100μLに、内部標準物質(I.S.)として400ng/mLのd4−ALF 20μLを加えた後、エタノール除蛋白、固相抽出カートリッジ(Bond Elut SI、3cc、500mg:Varian SPP社製)による固相抽出を行った。窒素乾固後、残渣を移動相40μLに溶解し、10μLをLC/ESI−MS/MSに注入した。測定条件は表10に示す。
【表10】
S/N比が約3で検量線下限値を求めた結果、直接測定における検量線下限値は10ng/mLであった。検量線下限におけるクロマトグラムの一例は、実施例4−1(2)の結果および後述の比較例4−2の結果とともに図6に示す。
【0066】
〔比較例4−2〕 ラット血漿中のアルファカルシドール(ALF)のPTAD(4−フェニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン)誘導体化による測定
実施例4−1(2)と同様に、ラットブランク血漿にアルファカルシドール(ALF)を添加し0、0.1、0.3、1、3、10、30、100および300ng/mLの検量線作成用試料を調製した。各濃度100μLに、内部標準物質(I.S.)として40ng/mLのd4−ALF 20μLを加えた後、エタノール除蛋白、固相抽出カートリッジ(Bond Elut SI、3cc、500mg:Varian SPP社製)による固相抽出を行った後、論文記載の方法(Biological Mass Spectrometry 1993;22:621−632、Jornal of Chromatography 1993;645:115−123等)に従って4−フェニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオン(PTAD:SIGMA社製)により誘導体化した。誘導体化後、窒素乾固し残渣を移動相40μLに溶解し、10μLをLC/ESI−MS/MSに注入した。測定条件は表11に示す。
【表11】
S/N比が約2で検量線下限値を求めた結果、PTAD誘導体化による測定時における検量線下限値は1ng/mLであった。検量線下限におけるクロマトグラムの一例は、実施例4−1(2)の結果および比較例4−1の結果とともに図6に示す。
【0067】
[実施例4−4] 生体試料中ビタミンD誘導体の測定の前処理法簡便化
(1)前処理条件簡便化
図5に示す試料の前処理方法を以下のごとく、簡便化した。アルファカルシドール(ALF)を添加したラットブランク血漿(100μL)に40ng/mLのd4−ALF(I.S.)20μLを加え、アセトニトリルによる除蛋白処理後、96ウェル固相抽出カートリッジ(Oasis HLB 96well plate,1cc,10mg:Waters社製)により、固相抽出を行った。FMTADによる誘導体化を行い、窒素乾固後、10mmol/L酢酸アンモニウム/アセトニトリル(23:77,v/v)100μLに溶解し、30μLをカラムスイッチングを用いるLC/ESI−MS/MSに注入した。試料の具体的な処理スキームを図8に示す。LC/ESI−MS/MSの測定条件は表12に示す。
【表12】
また、カラムスイッチングについては図9に示す。尚、FMTADによる誘導体化反応において2種類の異性体(6R/6S)が生成するが、HPLC上、はじめに溶出する異性体のS/N比が高かったことから、トラッピングカラムから分析カラムには、このS/N比の高い異性体の溶出画分のみを通導するカラムスイッチング条件を設定した。
【0068】
(2)検量線の範囲と直線性の検討
100ng/mL ALFエタノール溶液をラットブランク血漿で希釈し、0,0.05,0.15,0.5,1.5,5および15ng/mLの検量線作成用試料を調製した。検量線作成用試料100μLを前記(1)に示した条件にて処理し、測定した。本試料は3日間測定した。I.S.に対する測定対象物のピーク面積比を求め、添加濃度との関係から最小二乗法により検量線を作成し(1/x重みづけ)、相関係数(r)および各濃度における逆算値の真度を求めた。
検量線を3日間作成した結果を表13に、その典型的なグラフを図10に示す。
【表13】
検量線の相関係数(r)は0.05〜15ng/mLの範囲で0.996552〜0.999950、各濃度の逆算値の真度は−17.6〜9.8%と良好な直線性を示した。
【0069】
(3)同時再現性の検討
前記(2)の前段と同様に、100ng/mL ALFエタノール溶液をラットブランク血漿で希釈し、0.05,0.15,1.5および15ng/mLの同時再現性用試料を調製してそれぞれ処理し測定した。各濃度n=5で3日間測定し、各測定日ごとにCV値および真度を求めた。結果を表14に示す。
【表14】
いずれの測定日も、各濃度におけるCV値は15%以下(定量下限では20%以下)、真度は±15%以内(定量下限では±20%以内)で、良好な精度、真度であった。
【0070】
(4)日差再現性の検討
前記(3)の結果をもとに、3日間全体のCV値および真度を求めた。結果を表15に示す。
【表15】
各濃度におけるCV値は15%以下(定量下限では20%以下)、真度は±15%以内(定量下限では±20%以内)で、良好な精度、真度であった。
【0071】
(5)回収率の検討
前記(3)で用いた同時再現性試料を回収率用試料として利用した。回収率算出の対照となる試料(リファレンス試料1)として、ラットブランク血漿を前処理した試料に前記(3)で調製した0.05,0.15,1.5および15ng/mL ALFエタノール溶液各100μLを3本ずつ分注し、誘導体化後、測定した。リファレンス試料1のピーク面積の平均値を100%とし、測定試料のピーク面積の比較によりALFの回収率を求めた。結果を表16に示す。いずれも実用に耐えうる回収率であった。
【表16】
【0072】
(6)誘導体化率の検討
前記(5)で調製したリファレンス試料(1)を誘導体化率用試料として利用した。誘導体化率算出の対照となる試料(リファレンス試料2)として、ラットブランク血漿を前処理し、誘導体化した試料に0.0436,0.0871,1.39および13.9ng/mL ALF−FMTADエタノール溶液各100μLを3本ずつ分注し、測定した。リファレンス試料2のピーク面積の平均値を100%とし、測定試料のピーク面積の比較によりALFの抽出効率を求めた。表16に示す。いずれも実用に耐えうる誘導体化率であった。
【0073】
(7)特異性の検討
ラットブランク血漿、前記(2)で用いた検量線ブランク(0ng/mL)および検量線下限(0.05ng/mL)のクロマトグラムを比較した。ALF−FMTADのクロマトグラムを図11に、d4−ALF−FMTADのクロマトグラムを図12に示す。
ラットブランク血漿にALF−FMTADおよびd4−ALF−FMTADの測定を妨害するピークは認められなかった。また、検量線ブランク(0ng/mL)にALF−FMTADの測定を妨害するピークは認められなかった。
【0074】
(まとめ)
以上の実施例に示されたように、ビタミンD誘導体のFMTADを用いた誘導体化法について前処理方法を簡便化するとともに、カラムスイッチングを用いるLC/ESI−MS/MS法を採用したことにより回収率が向上し、定量下限0.05ng/mLとさらに高感度化を達成することができた。本法は、感度、特異性、直線性および精度に優れる定量法であり、多検体の分析にも十分適用可能であると考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
以上述べたように、本発明のフェロセン化合物とVD化合物とを反応させ、これらを結合した化合物をLC/ESI−MS/MSに供することにより、従来方法よりも高感度でVD化合物を測定することが可能となった。さらに本発明の測定方法は、今までの測定方法では感度が不十分であった分子内にエステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有しないVD化合物(具体的には、前掲のVD3、カルシポトリオール、1α,25(OH)23、ALF、ファレカルシトリオール、EB1089、化合物A等)の測定においては、従来法に比べて数百倍もの高感度化を達成可能な測定方法である。従って、エステル結合・エーテル結合・チオエーテル結合・アミド結合等のヘテロ原子を有するVD化合物(具体的には、前掲のOCT、ED−71等)のみならず、それらヘテロ原子を有しないVD化合物に至るまで、あらゆるVD化合物に適用可能な高感度測定法である。また、フェロセニルアジドを誘導体化剤として用いる場合のように、反応条件に加熱を要する必要等もなく、取り扱いの容易なVD化合物の測定方法である。
また、上述のとおり、本発明のフェロセン化合物は、VD化合物をLC/ESI−MS/MSにて測定する際の誘導体化剤として非常に有用である。
さらに、本発明のフェロセン化合物とVD化合物とを反応させることにより得られたフェロセン化合物とVD化合物の結合体は、VD化合物をLC/ESI−MS/MSにて測定する際の標品等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】図1は、ALF−FMTADおよびALF−FTADのESIマススペクトルを測定した結果の一例を示す。
【図2】図2は、ALF−FMTADの分子イオン〔M〕+およびALF−FTADの分子イオン〔M〕+をプリカーサイオンとしてプロダクトイオンスペクトルを測定した結果の一例を示す。
【図3】図3は、LC/ESI−MS/MS測定条件を最適化した際の、ALF−FMTAD、ALF−FTADおよびALF直接測定時(対照)の測定結果の一例を示す。
【図4】図4は、LC/ESI−MS/MS測定条件を最適化した際の、VD3−FMTAD、VD3−FTAD、VD3直接測定時(対照)およびVD3−フェロセンカルバメート(対照)の測定結果の一例を示す。
【図5】図5は、ラット血漿を試料として用いた場合の、本発明測定法における前処理の具体的な処理スキームの一例を示す。
【図6】図6は、本発明測定法および従来法の検量線下限におけるクロマトグラムの一例を示す。A)はラット血漿1mLを用いた場合の本発明測定法の検量線下限におけるクロマトグラム、B)はラット血漿100μLを用いた場合の本発明測定法の検量線下限におけるクロマトグラム、C)はPTAD誘導体化による測定時の検量線下限におけるクロマトグラム(対照)、D)は直接測定時の検量線下限におけるクロマトグラムである。
【図7】図7は、ALF−FMTADによる本発明測定法の検量線を示す典型的なグラフの一例を示す。
【図8】図8は、ラット血漿を試料として用いた場合の、本発明測定法における前処理の具体的な処理スキームの一例で、図5の処理法を簡便化したものである。
【図9】図9は、本発明測定法におけるカラムスイッチングの図を示す。
【図10】図10は、本発明測定方法において図8、図9および表12の条件下で測定した時の、典型的な検量線のグラフの一例を示す。
【図11】図11は、本発明測定方法において図8、図9および表12の条件下で測定した時の、ALF−FMTADの特異性のクロマトグラムを示す。A)はラットブランク血漿のクロマトグラム、B)は検量線ブランク(ALF:0ng/mL)のクロマトグラム、C)は検量線下限(ALF:0.05ng/mL)のクロマトグラムである。
【図12】図12は、本発明測定方法において図8、図9および表12の条件下で測定した時の、d4−ALF−FMTADの特異性のクロマトグラムを示す。A)はラットブランク血漿のクロマトグラム、B)検量線下限(ALF:0.05ng/mL、d4−ALF:8ng/mL相当)のクロマトグラムである。

Claims (26)

  1. 下記式(1)で表されるフェロセン化合物。
    (式中、Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し(ここで、置換基を有していてもよいとは、1〜3個の水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基を有していてもよいことを意味する。);mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
  2. RおよびR'が水素原子である請求項1記載のフェロセン化合物。
  3. Qが直接結合またはアルキレンを表す請求項1または2に記載のフェロセン化合物。
  4. Qがメチレンである請求項1または2に記載のフェロセン化合物。
  5. Qが直接結合である請求項1または2に記載のフェロセン化合物。
  6. 4−(フェロセニルメチル)−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンまたは4−フェロセニル−1,2,4−トリアゾリン−3,5−ジオンである請求項1に記載のフェロセン化合物。
  7. 請求項1に記載のフェロセン化合物を含有する、トリエン構造を有する化合物を測定する
    ための試薬。
  8. さらに前記フェロセン化合物を溶解し得る溶媒を含有する請求項7に記載の試薬。
  9. 記式(2)
    (式中、A1およびA3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい低級アルキレン、置換基を有していてもよい低級アルケニレンまたは置換基を有していてもよい低級アルカイニレンを表し;A2は直接結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−または−NH−を表し;R1は水素原子または−OR9(R9は水素原子または保護基を表す。)を表し;R2は水素原子、水酸基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基または置換基を有していてもよい低級アシル基を表し;R3は水素原子または保護基を表し;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいアミノ基を表し;R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子または水酸基を表すか、或いは、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成し;Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基または置換基を有していてもよいカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。ここで、A 1 、A 3 、R 2 、R 4 、R 5 、R 6 、RおよびR'における、置換基を有していてもよいとは、1〜3個の水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基を有していてもよいことを意味する。
    で表される前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物。
  10. 1−A2−A3は−CH(CH3)−(CH23−、−CH(CH3)−CH=CH−または−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH−を表し;R1は水素原子または水酸基を表し;R2は水素原子またはヒドロキシプロポキシ基を表し;R3は水素原子であり;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し;R7およびR8は水素原子であるか、または、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成する請求項9に記載の化合物。
  11. RおよびR'が水素原子である請求項9または10に記載の化合物。
  12. Qが直接結合またはアルキレンを表す請求項9または10に記載の化合物。
  13. Qがメチレンである請求項9〜11のいずれか一項に記載の化合物。
  14. Qが直接結合である請求項9〜11のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 前記ビタミンD化合物がビタミンD3化合物である請求項9〜14のいずれか一項に記載の化合物。
  16. 試料中に含まれるビタミンD化合物の測定方法であって、下記式(1)
    (式中、Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し(ここで、置換基を有していてもよいとは、1〜3個の水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基を有していてもよいことを意味する。);mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。)
    で表されるフェロセン化合物と、試料中のビタミンD化合物とを反応させ、得られたフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物を、液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)により測定することを特徴とするビタミンD化合物の測定方法。
  17. 前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物が、前記フェロセン化合物と前記ビタミンD化合物とが共有結合により結合した化合物である請求項16に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  18. 前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物が、下記式(2)
    (式中、A1およびA3はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい低級アルキレン、置換基を有していてもよい低級アルケニレンまたは置換基を有していてもよい低級アルカイニレンを表し;A2は直接結合、−CH=CH−、−C≡C−、−O−、−S−または−NH−を表し;R1は水素原子または−OR9(R9は水素原子または保護基を表す。)を表し;R2は水素原子、水酸基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基または置換基を有していてもよい低級アシル基を表し;R3は水素原子または保護基を表し;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよいシクロアルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基、置換基を有していてもよいカルバモイル基または置換基を有していてもよいアミノ基を表し;R7およびR8はそれぞれ独立して水素原子または水酸基を表すか、或いは、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成し;Qは直接結合、アルキレンまたは−W1−X−W2−を表し(ここで、W1はアルキレンまたはフェニレンを表し;W2はアルキレンを表し;Xは−O−、−N(Ra)C(=O)−、−N(Ra)C(=O)NH−、−OC(=O)NH−または−N(Ra)OS(=O)−を表し、Raは低級アルキル基を表す。);RおよびR'はそれぞれ独立して、水素原子、水酸基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン、置換基を有していてもよい低級アルキル基、置換基を有していてもよい低級アルケニル基、置換基を有していてもよい低級アルキニル基、置換基を有していてもよい低級アルコキシ基、置換基を有していてもよい低級アシル基、置換基を有していてもよいカルボキシ基または置換基を有していてもよいカルバモイル基を表し;mは1〜3の整数を表し;nは1〜4の整数を表す。ここで、A 1 、A 3 、R 2 、R 4 、R 5 、R 6 、RおよびR'における、置換基を有していてもよいとは、1〜3個の水酸基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルケニル基;炭素数1〜6の直鎖または分岐状のアルキニル基;炭素数1〜6のアルコキシ基;炭素数1〜6のアシル基;カルボキシ基;カルバモイル基;および/またはアミノ基を有していてもよいことを意味する。
    で表される化合物である請求項16に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  19. 前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物において、A1−A2−A3は−CH(CH3)−(CH23−、−CH(CH3)−CH=CH−または−CH(CH3)−CH=CH−CH=CH−を表し;R1は水素原子または水酸基を表し;R2は水素原子またはヒドロキシプロポキシ基を表し;R3は水素原子であり;R4、R5およびR6はそれぞれ独立して水素原子、水酸基、ハロゲンにより置換されていてもよい低級アルキル基または低級シクロアルキル基を表し;R7およびR8は水素原子であるか、または、R7およびR8が一緒になって二重結合を形成する請求項16、17または18に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  20. 前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物において、RおよびR'が水素原子である請求項16〜19のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  21. 前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物において、Qが直接結合またはアルキレンを表す、請求項16〜20のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  22. 前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物において、Qがメチレンである請求項16〜20項のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  23. 前記のフェロセン化合物および前記のフェロセン化合物とビタミンD化合物とが結合した化合物においてQが直接結合である、請求項16〜20のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  24. 前記の試料中のビタミンD化合物がビタミンD3化合物である、請求項16〜23のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  25. 前記試料が生体由来の試料である請求項16〜24のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
  26. 液体クロマトグラフィー/マススペクトロメトリー(LC/MS)が、液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化−マススペクトロメトリー/マススペクトロメトリー(LC/ESI−MS/MS)である請求項16〜25のいずれか一項に記載のビタミンD化合物の測定方法。
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