JP4467711B2 - 酵素センサおよびこれを用いた酵素センサ装置 - Google Patents

酵素センサおよびこれを用いた酵素センサ装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素を測定素子とする酵素センサ、およびこの酵素センサを組み込んだ測定装置に関する。本発明装置は、特に医療分野における生体成分の測定に有用である。
【0002】
【従来の技術】
酵素センサは、主に生体関連物質、例えばグルコース、アルコール、乳酸、尿酸、尿素、蔗糖等を酵素反応を利用して簡便に定性または定量することのできる測定素子であり、基本的には図12に示すような構造をしている。すなわち、プラスチック等の電気絶縁性基板213上に、測定極214と対極215とが近接配置され、これらの電極に酵素を担持固定させて基質検知部となし、上記測定極214と対極215とは、それぞれリード部214a・215aを介して外部接続端子部214b・215bに電気接続されている。また、一般には測定極214、対極215、リード部214a・215a、外部接続端子部214b・215bを含む電極系は、保護のため外部接続用の電極端子部214b・215bを残して電気絶縁性フィルム216で被覆されている。
【0003】
このような構造の酵素センサの最重要部分は、酵素を担持固定させた基質検知部であるが、導電性金属からなる電極面に酵素を強力に密着固定させること容易でない。そこで、固定力を高めるために、酵素溶液にバインダーとして親水性ポリマーを添加し、この溶液を電極に塗布し乾燥する方法が従来より採用されている。
【0004】
また、酵素化学反応過程における電子の授受を円滑に行わせるために、フェリシアン化カリウムなどの電子メデイエータ(電子受容体)を配合する技術が提案され実施されている(特開昭48−37187号公報等)。この技術によると、酵素および電極との間の電子移動がスムーズになるので、測定電圧を小さくすることができるとともに、測定速度を速くすることができる。
【0005】
また、測定に際し検液を基質検知部にまで迅速に導入するために、検液を導入するための導入口と、検液とともに持ち込まれる空気を排出する排出口とを設けた構造が提案されている(特開平1−291153号公報)。この構造であると、基質検知部が陽圧になることがないので、検液の導入を迅速に行うことができる。
【0006】
更に、酵素センサを用い被検成分を効率良く測定する手段についても従来より種々な提案がなされており、例えば特開昭60−17344号公報(米国特許第5,509,410号)では、被検成分と酵素との反応を電流検知でもって測定できる回路を組み込んだ酵素センサ装置が提案されている。この装置は、酵素センサを測定毎に使い棄てる方式であり、このために装置本体に酵素センサを着脱自在に接続できる機構が組み込まれている。また、この公報には、活性電極が支持部材上の25mm2 未満の面積を有する印刷層を備え、第1導電性素子および前記活性電極を第2導電性素子及び参照極から離間している電極方式が開示されている。
【0007】
また、特開平11−304748号公報には、図13に示すような酵素センサを用いて自動測定する電気回路が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記の如く、酵素センサに関しては従来より既に多くの技術が提案され実施されているが、何れも未だ改善すべき課題をを有している。従来の酵素センサにおける問題点を列記すると次の通りである。
【0009】
(i)同一条件で製造された酵素センサであっても、各々のセンサの検出精度に違いがあった。このため、特に使い捨て方式の酵素センサ装置において、信頼性の高い測定を行うことができなかった。具体的には、例えば同一人から採取した血中の糖量を酵素センサを変えて測定した場合、個々の酵素センセ間で測定値に大きなバラツキが認められた。
【0010】
(ii)また、測定感度が充分でなく、血糖値が低い人の場合においては、十分に信頼できる値が得られなかった。
(iii) 更に、保存安定性が充分でなく、性能の経時的劣化が大きいという問題があった。
【0011】
本発明者らは、上記問題点について鋭意検討した。その結果、性能のバラツキの程度は、電子メディエータの種類によって大きく変動し、例えば電子メディエータとしてフェリシアン化カリウムや、フェロセンを用いた場合に、より大きいことを知った。また、酵素や電子メディエータを電極に固定する親水性ポリマーの種類によっても性能バラツキの程度が大きく変化することを知った。そして、これらの検討の過程で、意外なことに、反応性を有せずかつ水不溶性の微細セルロース粉体を反応層に配合したところ、上記問題点が一挙に解決することを知った。本発明はこれらの知見に基づいて完成された。
【0012】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、絶縁性基板と、前記絶縁性基板上に形成された、少なくとも測定極と対極とを有する電極系と、前記電極系の一方先端側の少なくとも測定極上に密着固定された、酵素と電子メディエータとを含む反応層と、を有する酵素センサであって、前記反応層が、更に水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体を含むことを特徴とする。
【0013】
この構成によると、上記した問題点(i) 〜(iii) が一挙に解決される。この理由は次のように考えられる。従来の酵素センサでは、反応層成分である酵素及び電子メディエータの粒子サイズに大きなバラツキが認められ、また各成分の混合状態も悪い。このため、検液に浸漬された時の酵素反応の立ち上がりにバラツキが生じ、また電子の授受が円滑になされないために、電気的検知にバラツキが生じる。よって、両者が相まって測定精度のバラツキを生じる。また、従来の酵素センサはバインダーとして親水性ポリマーを用いているため、経時的な吸湿により反応層成分が失活し易い。
【0014】
これに対し、反応層に水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体(以下、微細セルロース粉体等とする)を添加した上記構成であると、微細セルロース粉体等が、電極と電子メディエータや、電子メディエータと酵素との直接的接触を少なくするように作用する。よって、保存期間中の性能劣化が少なくなる。また、微細セルロース粉体等は、水等の溶媒に溶解せず、かつ水分吸着能力が大きいという性質を有するが、この性質が反応層の吸湿に起因する性能劣化の抑制に寄与する。
【0015】
すなわち、酵素や電子メディエータや水溶性ポリマーは、空気中の水分を吸収すると、電極と電子メディエータとの間で局部電池が形成されて電気化学的腐食反応が進行する。然るに、本発明によると、微細セルロース粉体等が水分を吸収して反応層内の自由水を減少させるように作用する。また上記したように、微細セルロース粉体等が電極と電子メディエータの直接的接触を少なくするように作用する。よって、両作用が相まって吸湿に起因する性能劣化が大幅に抑制される。
【0016】
また、繊維状の微細セルロース粉体等は、酵素粒子や電子メディエータ粒子の偏在化を防止する。他方、微細セルロース粉体等を含む反応層は、検液に触れると迅速に膨潤し、一次粒子にまで崩壊する。よって、反応層各成分の検液中への放出が迅速であり、その結果として被検成分と酵素との反応が迅速かつ適正に進行する。
【0017】
また、反応層内の微細セルロース粉体等は、繊維同士が絡み合ってネットワーク構造を形成しており、反応層が検液に浸漬されると、このネットワーク構造内に検液を取り込みつつ膨潤することになるので、酵素や電子メディエータが反応系外へ飛散しにくい。つまり、微細セルロース粉体等のネットワーク構造が、測定感度や測定精度を向上させ、また測定ごとに測定値がバラツクといったことを防止する。
【0018】
更に、微細セルロース粉体等は次のような独自の作用効果を有する。すなわち、酵素センサの主用途は、生体成分の測定であるが、微細セルロース粉体等はこの用途における測定において次のような作用効果を奏する。例えば全血から血漿を分離する場合、血漿中に微量の血球が混入(無機塩類の混入もある)し、その程度は一定しない。そして、血球の混入は測定値のバラツキ原因になる。このため、従来の酵素センサでは、被検体が血液等である場合には、測定の度に浮動的な要因によって測定値が変動するという問題を有していた。
【0019】
然るに、本発明酵素センサでは、反応層が検液に浸漬されると、検液と微細セルロース粉体等の界面に弱いζ(ゼータ)電位が発生し、このζ電位が血球や無機塩類をセルロースの表面に吸着固定して、血漿中に混入した血球や無機塩類による悪影響を軽減させる。よって、この種の原因に起因する測定誤差が減少する。
【0020】
更に、従来の酵素センサでは、電子の授受が不安定であるため、両極に印加するBG電圧を高くしておく必要があり、このために低血糖領域での測定精度が悪かった。これに対し、本発明によると、微細セルロース粉体等の作用により電子の授受が円滑迅速に行われるので、従来に比較しBG電圧を低くでき、上記した作用効果と相まってこれが低血糖値領域における測定精度の向上に寄与する。
【0021】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の酵素センサにおいて、前記水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体の添加量が、電子メデイエータに対して1〜50重量%であることを特徴とする。
【0022】
微細セルロース粉体等を電子メデイエータに対し1〜50重量%の範囲で添加した場合において、上記した作用効果が一層顕著に発揮されるので、測定精度に優れ、個々間のバラツキの小さい酵素センサを構成できる。
【0023】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の酵素センサにおいて、前記酵素がグルコースオキシターゼであり、電子メデイエータがフェリシアン化カリウムであることを特徴とする。
【0024】
グルコースオキシターゼ、フェリシアン化カリウム、及び微細セルロース粉体等の組み合わせであると、微細セルロース粉体等の作用効果が十分に発揮される結果、測定精度、保存安定性などに優れた信頼性の高い酵素センサが得られる。
【0025】
請求項4に記載の発明は、長方形の絶縁性基板(2)と、前記基板(2)上に基板長手方向に沿って略平行に形成された測定極と対極とを含む電極系(3)と、前記電極系の一方端部を残して前記電極系の形成された基板(2)上に積層された電気絶縁性のマスク層(4)と、前記マスク層(4)上に積層された電気絶縁性のスペーサ(5)と、前記スペーサ(5)上に積層された電気絶縁性の保護層(7)と、からなり、前記電極系(3)の一方端部を電極端子部(3c、3d)とし、他方端部側に基質検知部(6)が形成された酵素センサであって、
前記マスク層(4)は、前記基質検知部(6)に対応する位置に窓(4a)を有し、前記スペーサ(5)は、前記マスク層(4)と前記保護層(7)との間に、外部より前記基質検知部(6)に検液を導くことができる検液吸入口(5b)とこれに続く余裕空間としての空洞部(5a)とが形成できる形状の切欠を有し、前記基質検知部(6)の少なくとも測定極の表面には、酵素と電子メディエータと水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを含んでなる反応層が密着固定された構造であることを特徴とする。
【0026】
この構成では、電極系の一方端部を覆うことなく露出させて外部接続用の電極端子として活用する一方、電極系の大部分をマスク層(4)で覆い保護する。また、所定形状の切欠を有するスペーサ(5)をマスク層(4)と保護層(7)との間に介在させて、マスク層(4)と保護層(7)との間に隙間を形成するが、この隙間が、外部より前記基質検知部(6)に検液を導くことができる検液吸入口(5b)とこれに続く余裕空間としての空洞部(5a)として機能する。
【0027】
つまり、この構成であると、保護層が蓋の役割をして基質検知部(6)を保護し、かつ外部より検液を基質検知部に導入する導入口を確保するように作用する。そして、検液吸入口(5b)の奥に形成された空洞部(5a)は、検液を迅速に基質検知部(6)にまで導入しようとするとき障害となる空気を後方に逃がす役割を担う。よって、この構造であると、検液を円滑かつ迅速に基質検知部(6)にまで導入することができる。検液の導入が迅速であると、基質検知部(6)における酵素化学反応が迅速かつ円滑に行われるので、ピーク電流を検出して被検成分濃度を測定する方式の酵素センサおける測定感度や測定精度が向上することになる。
【0028】
なお、上記構成における空洞部(5a)は行き止まり構造であるので、従来技術にかかる排気口のように、基質検知部(6)が無用に外気にされされることもない。
【0029】
更に、上記構成では、反応層に水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体が配合されているので、上述した構造上の作用効果にさらに請求項1の発明で説明した微細セルロース粉体等の作用効果が加わる。よって、上記構成であると、高い信頼性を有する酵素センサを構成できる。
【0030】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の酵素センサにおいて、前記スペーサ(5)の切欠が、前記基質検知部(6)の長手方向幅の0.5〜1.5倍の入口幅を有する検液吸入口(5b)を形成できる形状及び大きさであることを特徴とする。
【0031】
検液吸入口(5b)の口が小さ過ぎると、測定に際し基質検知部への検液の導入に時間が掛かり、酵素反応が円滑に進行しない。よって、測定精度が悪くなる。その一方、検液吸入口(5b)を無用に大きくしても、反応層の安定性を損なう方法に作用するのみで、もはや測定精度の向上に寄与しない。よって、検液吸入口の大きさ等は適正に設定する必要があるが、基質検知部(6)の長手方向幅(電極系3の測定極と対極に跨がる方向幅)の0.5〜1.5倍の入口幅を有する検液吸入口(5b)とすると吸入口として必要十分となる。
【0032】
請求項6に記載の発明は、請求項4に記載の酵素センサにおいて、前記保護層(9)の前記空洞部(5a)に対応する部分には、凹部(9a)が形成されており、この凹部(9a)によりマスク層(8)の上下方向に前記余裕空間を拡張させたことを特徴とする。
【0033】
この構成では、検液に付随して導入される空気の逃がし空間(余裕空間)をマスク層(8)の上下方向(マスク層に対し垂直の方向)にまで広げたので、検液の導入が一層円滑になる。
【0034】
請求項7に記載の発明は、請求項4に記載の酵素センサにおいて、前記スペーサが、先端側に1又は2以上の柱状の突起部を有し、この突起部とこの突起部の各面にそれぞれ積層されたマスク層及び保護層とで、前記基質検知部に外部より検液を導くことができる検液吸入口が形成されていることを特徴とする。
【0035】
上記構造のスペーサであると、柱状の突起部に検液をセンサ内部に導き入れる案内棒の役割を担わせることができる。なぜなら、柱に沿って毛細管現象が生じ、これによって検液がセンサ内部に導かれるからである。ここで、毛細管現象を有効に利用するには、1又は2以上の柱状の突起部を幅狭とし、かつ基質検知部の直上を通過する構造とするのがよい。この構造であると、マスク層と保護層との隙間(検液吸入口の容積)が小さくとも検液を迅速かつ確実に基質検知部に導き入れることができる。
【0036】
請求項8に記載の発明は、絶縁性基板上に形成された、少なくとも測定極と対極とを有する電極系と、前記電極系の少なくとも測定極の一方先端側に密着固定された酵素と電子メディエータと水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを含む反応層と、を備える酵素センサの製造方法であって、
前記製造方法が、酵素と電子メディエータとを溶媒に溶解し且つこの溶液に水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体を分散して反応層形成溶液となす反応層形成溶液作製工程と、前記反応層形成溶液をノズルを介して電極系の所定部分に供給した後、乾燥して電極系の所定部分に反応層を密着固定する反応層固定工程と、を備えることを特徴とする。
【0037】
この構成では、酵素と電子メディエータを溶解させ、この状態で微細セルロース粉体等と混合し、かつ所定部分に供給した後、微細セルロース粉体等とともに溶液を乾燥するが、この方法であると、各成分を十分な接着力をもって電極表面に密着固定させることができる。また、この方法によると、酵素や電子メディエータの微細粒子を微細セルロース粉体等の表面で析出させることができる。つまり、この製造方法によると、各成分が偏在することなく反応層全体に均一に分散された好適な反応層を形成することができ、この結果として測定感度や測定精度に優れた酵素センサを得ることができる。
【0038】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の酵素センサの製造方法において、前記反応層形成溶液の粘度を30〜800mPa・Sとすることを特徴とする。
【0039】
上記範囲の粘度の反応層形成溶液は十分な流動性を有しているので、ノズルを用いて円滑に反応層形成溶液を電極系の所定部分に供給できるとともに、供給された反応層形成溶液が反応セル内で自然流延するので、同質性・均質性に優れた反応層を生産効率よく製造することができる。
【0040】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし7の何れかに記載の酵素センサを電位走査部に着脱自在に接続するための酵素センサ接続部と、酵素センサに測定電圧を印加するための印加電圧可変機能付き電位走査部と、被検成分との反応により酵素センサから発せられる電流を検出するための電流検出部と、電流検出部からの電気信号をA/D変換するとともに、酵素センサに印加する測定電圧値をD/A変換し電位走査部へ供給するためのマイクロコンピュータと、を備えた酵素センサ装置である。
【0041】
この構成によると、高い信頼性をもって被検成分濃度を自動定量できる酵素センサ装置を提供できる。
【0042】
【実施の形態】
本発明の酵素センサの概略構造を図1に基づいて説明する。本発明酵素センサは、基本的には図1aに示すように、電気絶縁性基板(2)と、この基板(2)上に形成されたストライブ状の2本の電極からなる電極系(3)と、電極上に密着固定された、酵素と電子メディエータと水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを含む反応層とからなる。
【0043】
上記電極系(3)は、一般には測定極と対極とで構成され、上記反応層は、電極系(3)の一方端部側に密着固定されている。反応層が固定されたこの電極部分は基質を検知する測定本体部であり、本明細書ではこの部分を基質検知部(6)と称する。電極系(3)の他方端部は、外部と電気接続するための電極端子となり、電極系(3)の中間部分は、基質検知部(6)と電極端子とを結ぶリード部となる。なお、上記したように基質検知部は、測定本体部となり、測定極と対極と反応層とを含む領域を意味している。
【0044】
ここで、図1aの酵素センサは、ストライブ状に形成された電極系が、測定本体部と電極端子部と両者の間を繋ぐリード部の3つの役割を担うものとして構成してあるが、これらを別々の部材で構成してもよい。また、図1aでは、基質検知部全体に反応層を密着固定した構成を示してあるが、測定極のみに反応層を密着固定した構造であってもよい。更に図1aでは、測定極と対極を一対とする電極構造を採用しているが、これに限られるものではない。例えば参照極を加え、測定極を中心にして参照極と対極を左右に配置した3極構造とすることもできる。
【0045】
更に、図1aは、本発明酵素センサの必要最少限の要素を記載したものであり、この構造では電極系や基質検知部が外部環境に対し開放されている。よって、反応層や電極系が損傷を受け易いため、図1bのように電極端子(3c、3d) 部分を除き、また検液吸入口(5b)を確保した状態で、電極系の形成された面を他の部材で覆う構造を採用するのが好ましい。以下では、好ましい形態である図1bの構造の酵素センサについて説明する。
【0046】
先ず、絶縁基板としては、通常、機械的特性、耐薬品性、非吸水性等に優れるプラスチックス製基板を用いる。但し、プラスチックス以外であってもよく、例えば電気絶縁性のセラミック製の基板を用いることもできる。プラスチックス基板としては、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)、PEN(ポリエチレンナフタレート)などの芳香族ポリエステルや、例えば脂肪族ポリエステルなどの生分解性ポリエステルからなる基板を用いることができる。なお、酸化チタンなどを練り込んだプラスチックスを用いると、白色に着色した基板が得られるので見易さの点から好ましい。
【0047】
絶縁基板上への電極の形成方法としては、下記する(A)〜(D)の方法を用いることができる。
(A)導電ペーストを用い、予め設計された電極パターンを基板面に直接スクリーン印刷する方法。
【0048】
(B)金、白金、パラジウム、ITO(インジウム−チタン酸化物)などの導電性貴金属を物理的薄膜形成手段を用いて直接または間接的に基板上に形成する方法。
この方法の代表的なものとしては、スパッタリング法があり、この方法によると良質の電極を形成することができる。スパッタリング法では、例えば次のようにして電極を形成する。予め脱脂洗浄した基板面にコロナ放電等の前処理を行う。この基板に対し、上記貴金属の何れかをターゲットとし、例えば直流スパッタリング装置を用い、アルゴン等の稀ガス下、真空度10-2トール以下、印加電圧1kw程度の条件でスパッタリングを行い、基板表面に膜厚300〜1500Å程度の蒸着膜(導電膜)を形成する。この際、所望する電極パターンのマスキングシートを基板に被せてスパッタリングを行えば、所望形状の電極を直接基板上に形成することができる。また、基板面全面に金属を蒸着した後に、所望のパターンのマスキングフィルムを用いてフォト・エッチングすることによっても所望形状の電極を形成することができる。
【0049】
(C)所望パターンにカットした導電膜付きフィルムを基板面に張りつける方法。
先ず裏面に接着剤が貼付されたプラスチックフィルムの表面に、上記したスパッタリング法などの方法で白金等の導電膜を蒸着し、しかる後にこのフィルムを所望パターンにカットし、これを基板面に張りつける。この方法では、薄くて支持性があり、耐熱性に優れるプラスチックフィルムを使用するのがよい。このようなプラスチックフィルムとしては、ポリイミドや芳香族ポリイミドなどが挙げられる。
【0050】
(D)金属箔を凸版で転写する方法。
先ず上記貴金属をスパッタリング法等で転写用フィルムに蒸着し、ホットスタッピング用の転写箔を作成する。次いで、所望の電極パターンを有する金属凸版を用い、この転写箔を基板面に加熱しつつ加圧圧着する。これにより、所望の電極パターンを基板面に転写できる。
【0051】
以上のA〜Dの方法のうち、加工し易く且つ電極自体の品質がよい点で、C法が推奨される。なお、電極パターンは、図1aに記載した形状に限られず、種々な形状を取り得る。
【0052】
次に電極系が形成された基板に密着固定する反応層について説明する。本発明にかかる反応層は、酵素と、電子メディエータ(電子授与体ともいう)と、水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを少なくとも含んでなるものであることを特徴としている。このような反応層を構成する各成分の詳細は次の通りである。
【0053】
先ず酵素は、被検成分に対して酸化還元作用を及ぼすものを使用する。具体的には測定対象となる被検成分に合わせ適当な酵素を個別具体的に選択する。例えば、血糖値を測定する場合には、グルコース(基質)に対し特異性を有するグルコースオキシターゼを使用する。またアルコール値を測定する場合には、アルコールオキシターゼ又はアルコールデヒドロゲナーゼを使用する。また乳酸を測定する場合には、乳酸オキシターゼ又は乳酸デヒドロゲナーゼを使用する。更に尿酸を測定する場合には、ウリカーゼを使用することになる。
【0054】
更に、一種類の酵素で被検成分を測定できない場合や充分でない場合等には、二種類以上の異なる酵素を混合して使用する。例えば、蔗糖を被検成分とする場合は、インベルターゼ、ムタローゼ、グルコースオキシターゼの三種類を混合して使用する。このように、反応層構成成分としての酵素は、一種類に限れるものではなく、複数の酵素が混合された酵素(混合酵素)であってもよい。
【0055】
反応層構成成分としての電子メディエータは、酵素と被検成分との反応に際して電子を授受し得る電子移動媒体として機能するものであり、酵素反応に悪影響を与えない限りその種類に制限はない。好ましい電子メディエータとしては、例えばフェリシアン化アルカリ金属の1つであるフェリシアン化カリウム、フェロセン又はそのアルキル置換体、更にはフェナジンメトサルフェート、p−ベンゾキノン、2,6−ジクロロフェノールインドフェノール、メチレンブルー、β−ナフトキノン4−スルホン酸カリウム等の酸化還元性の無機又は有機化合物、などの物質が挙げられる。なお、これらは結晶性であるが、融点を有するものであるので、溶液状で結晶セルロースに添加し混合した場合に微細粒子を得やすい。
【0056】
電子メディエータ物質は、粉末の形で添加してもよく、また水又はアルコール等の有機溶剤に溶解した形で添加してもよい。また、上記した物質の何れを電子メディエータとして使用するかは、使用する酵素との関連において適切に選択する。一般には、フェリシアン化カリウム『K3 [Fe(CN)6 ]』、フェロセン『Fe(C5 5 )』、またはフェロセンのアルキル置換体が好適に使用でき、更にフェリシアン化カリウムがより好ましく使用できる。
【0057】
フェリシアン化カリウムやフェロセン等が好ましい理由としては、こららの物質が水、アルコールなどに溶解するので取扱い易いこと、電子移動媒体としての働きが安定していること、後記する水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体との相性がよく、これらの物資と水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを組み合わせると、測定精度を大幅に向上させることができること、などが挙げられる。
【0058】
次に、水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体について説明する。本明細書では水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体を総称して、微細セルロース粉体等ということがある。
【0059】
セルロース(繊維素)は、木材、綿、麻などの植物の細胞膜の主成分であり、分子が比較的規則正しく平行に配列している結晶領域と、分子が乱れて配列している非結晶領域とで構成されている。また、直径が10〜50μm程度のフィブリル(微細繊維)が螺旋状に寄り集まって繊維が組成されている。
【0060】
ここで、本発明における水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体における「微細」の定義する処とは、概ね直径が10μm以下で長さが300μm以下のものを意味している。上記した天然のセルロースであってもこのサイズであれば、そのまま使用することもできるが、通常は上記のようなセルロースをそのまま使用するのではなく、微細化したものを使用する。セルロースのサイズが大き過ぎると、反応層構成成分としての添加効果(後記)が減少するとともに、密着固定に支障が生じるからである。
【0061】
具体的には、例えば直径が約10〜50μmのフィブリルで構成されたセルロースである場合には、粉砕によってフィブリルを繊維軸方向に引き裂いて直径を10μm以下にする。また、セルロースの繊維長が300μmを越える場合には、粉砕によって、300μm以下、好ましくは100μm以下の繊維長とする。繊維直径が10μmを越えると、表面積が過少になるので、充分な作用効果が得られない。また、繊維長が300μmを越えると、均一混合性が悪くなるとともに、溶液に分散したときにおける混合溶液の流れが悪くなるため、ノズルを用いて電極部分に塗布しがたくなる。
【0062】
但し、過度に微細化して繊維径、繊維長を小さくしても測定精度は向上しない。また、セルロースの粒度と測定精度向上効果との関係は、酵素や電子メディエータの種類によっても影響を受ける。よって、微細セルロース粉体等の粒度は、実際の使用経験に基づいて適当に設定するのが好ましい。
【0063】
セルロースを微細化する方法としては、例えば雑誌“繊維と工業 Vol.48、No.10(1992)、p−566に記載された高圧ホモジナイザー法を用いることができる。この方法は、原料セルロースを水に分散させ、セルロースに剪断力、衝撃力、急激減圧に伴うキャビテーションを作用させて繊維を繊維軸方向に引き割いて微細化する方法である。この方法によると、0.1〜3μm程度の繊維径の微細セルロース粉体が均一分散した好適な懸濁液を得ることができる。
【0064】
他方、本発明では、上記微細セルロース粉体に代えて、または上記微細セルロース粉体とともに水不溶性の微細結晶セルロース粉体を用いることができる。水不溶性の微細結晶セルロース粉体とは、非結晶部分を除去し、かつ微細化した結晶性の水不溶性セルロース粉体をいう。このセルロースは、例えば次の方法で作製することができる。
【0065】
先ず植物繊維(木材、パルプ等)を希塩酸、希硫酸などの鉱酸で加水分解するか、又はアルカリで酸化分解する。この分解操作によって非結晶領域分子が溶解解除されるので、この処理液を中和して不溶分子である結晶領域分子をろ集する。ろ集物を充分に洗浄した後、水に分散し水和させた後、機械的な摩碎力を加えて粉砕する。この方法により、繊維直径が0.01〜0.05μm程度、繊維長が2〜50μm程度の水不溶性の微細結晶セルロース粉体を得ることができる。この微細結晶セルロースの平均重合度は約50〜500であり、このセルロースは、非結晶領域分子が除去されているので、当初の分子量に比べて大幅に分子量が小さくなっている。
【0066】
上記微細結晶セルロース粉体の作製方法においては、例えば鉱酸濃度やアルカリ濃度、処理時間、処理温度などの分解操作条件を変えて、非結晶領域の分解程度を変化させることにより、結晶セルロースの純度を高めることができる。但し、分解操作条件を必要以上に強めると、結晶領域分子の分解などが生じるので、却って好ましくない。よって、適正に条件設定する必要がある。
【0067】
なお、結晶セルロースの微細化に、上記の高圧ホモジナイザー法を用いることもできる。また、微細セルロース粉体と微細結晶セルロース粉体の作用効果に本質的な違いはない。但し、微細結晶セルロース粉体の方が、反応層を電極に密着固定する際における操作性(分散性、輸送性など)がやや優れている。また電極に対する密着性も若干よい。
【0068】
次に本発明にかかる反応層の形成方法について説明する。
本発明にかかる反応層は、酵素と電子メディエータと微細セルロース粉体等の3者を粉末状態で混合した後、これをバインダーで電極部分に圧着してもよいが、好ましくは酵素と電子メディエータを溶媒(例えば水)に溶解し、この溶液に微細セルロース粉体等を分散混合した後、この溶液を電極部分に塗布し乾燥するのがよい。この方法であると、酵素や電子メディエータの微細粒子を微細セルロース粉体等の表面に吸着分散させた形で分散させることができので、各成分の均一分散性が格段に向上する。既に説明したように、各成分の粒度が均一で偏在がないと、酵素反応が円滑になされるので、測定感度や測定精度が一段と向上する。
【0069】
微細セルロース粉体等を使用する本発明においては、従来より使用されているバインダー(固定化剤)を必ずしも必要としないが、微細セルロース粉体等とともにバインダーを使用することもできる。但し、微細セルロース粉体等とともにバインダーを使用する場合には、従来よりも使用量を少なくするのが好ましい。バインダーの使用量が多いと、微細セルロース粉体等の作用効果が減殺されるからである。
【0070】
微細セルロース粉体等とともに使用するバインダーとしては、一般には水又はアルコールに溶解する水溶性ポリマーを使用する。具体的には、ケン化度約70%以上のポリビニルアルコール、アクリル酸誘導体(ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリル酸エステルの部分ケン化物、ポリアクリル酸アミド等)、メタアクリル酸誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルキル(メチル、エチル)エーテル、マレイン酸共重合体(コモノマーとして例えば酢酸ビニル、スチレン)等の合成ポリマー、セルロース誘導体(メチル又はエチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等)澱粉誘導体(カルボキシメチル澱粉、ジアルデヒド澱粉等)などの半合成ポリマー、アラビヤゴム、澱粉、アルギン酸ソーダなどの天然高分子が使用できる。これらのうち、反応層成分との親和性がよく、被検成分に対しても親和性がよいことから、セルロース誘導体又は澱粉誘導体等の半合成ポリマーが好適である。
【0071】
上記の水溶性ポリマーを使用する場合、酵素、電子メディエータ、微細セルロース粉体等の三者の合計重量に対し、5重量%以下程度とするのがよい。この程度の添加であれば、微細セルロース粉体等の作用効果が減殺されないからである。
【0072】
本発明の反応層を構成する酵素、電子メディエータ、及び微細セルロース粉体又は/及び微細結晶セルロース粉体の成分比率は、例えば次のようにして決める。
【0073】
酵素、電子メディエータの必要量は、被検成分の量(濃度)に左右され、微細セルロース粉体等の必要量は、電子メディエータの量に左右される。そこで、先ず予備テストを行って不足しない程度のやや過剰量の酵素量(一定)を決め、電子メディエータと微細セルロース粉体とを或る比率に定め、この成分比率の反応層を有する酵素センサを作製する。次いで、被検成分濃度の異なる各種試料液を用意し、上記酵素センサを用いて出力電流を検出する。このとき得られた出力電流値を縦軸にし、被検成分量を横軸しグラフ化し、このグラフにおいて、一次関数直線で表すことのできる範囲(検量線の範囲)を調べる。この範囲が狭い場合や測定の度に値が大きく異なる場合には、電子メディエータと微細セルロース粉体との成分比率が適正でないと判断し、この場合には、両成分の成分比率を変えて再度同様な実験を行う。このようにして、試行実験を行って適正な成分比率を確定する。
【0074】
被検成分がグルコースの場合において上記方法で得た成分比率を例示すると、検液中のグルコース濃度が1〜500mg/mlである場合、グルコースオキシターゼが2〜20mg/ml、フェリシアン化カリウムが10〜500mg/ml、微細セルロース粉体等がフェリシアン化カリウムに対して1〜50重量%、好ましくは2〜40重量%、より好ましくは3〜30重量%とする。この組成比であると、広範囲にわたって高い精度の定量をなし得る酵素センサが構成できる。
【0075】
なお、水不溶性の微細セルロース粉体と水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを混合した混合系セルロース粉体を用いる場合の混合比率としては、通常、10〜90重量%の範囲とする。何れかの粉体が10重量%未満であると、混合する意義が殆どなくなるからである。
【0076】
また、反応層中の酵素量に対し検液中の基質濃度(被検成分量)が過大である場合や、検液に含まれる他成分の影響が大きい場合、測定温度による影響が大きい場合等には、出力電流値と被検成分濃度との関係を示す検量線が放物線様に傾くが、この傾き傾向が小さい場合には、測定装置(後記)に基準線(直線検量線)に近づける修正回路(ソフト的回路)を組み込み電気的修正を加えるとよい。
【0077】
反応層成分の混合方法としては、水又はアルコールを希釈溶媒として予め酵素と電子メディエータを溶媒に溶解し、更に必要に応じ水溶性ポリマーを溶解した後、この溶液に水不溶性の微細セルロース粉体又は/及び水不溶性の微細結晶セルロース粉体を添加し分散する方法が好ましいが、混合手順については特段の制限はない。例えば所定量の溶媒に各成分を同時に添加し混合する方法であってもよい。
【0078】
なお、上記した微細セルロースおよび微細結晶セルロースは溶媒に不溶であるので、反応層形成溶液は懸濁状で得られる。よって、微細セルロース粉体等の懸濁を充分に行うためにホモジナイザなどの混合機を用いて充分に混合分散させるのが良い。またこの際、反応層のpHを検液のpHと合致させるために、分散懸濁液にリン酸等の緩衝剤を添加するのもよい。
【0079】
次に、上記分散懸濁液(反応層形成溶液)の反応セル(基質検知部)への塗布方法について説明する。反応層形成溶液の反応セルへの塗布方法としては、オフセット印刷やスクリーン印刷等の広く知られた印刷法を使用することもできるが、生産効率に優れることから、下記するノズル法(ノズルによる流延塗布法)を用いるのが好ましい。
【0080】
一般に印刷法では比較的高い粘度(通常3000〜4000mPa・S程度)のインキが使用されるが、ノズル法においては30〜800mPa・S程度の低粘度懸濁液を用いる。30〜800mPa・S程度の低粘度懸濁液であると、不溶性の微細セルロース粉体等を含む反応層形成溶液をノズルでもって反応セル内に円滑に供給でき、また供給された組成液を反応セル内で自然流延させることができるからである。よって、低粘度懸濁液を用いたノズル法であると、生産効率よく、同質性・均質性に優れた酵素センサを生産することができる。
【0081】
なお、上記粘度は、JIS K7117の粘度試験方法に従って回転粘度計で測定した値を意味する。
【0082】
また、上記低粘度懸濁液であると、溶解した酵素や電子メディエータが微細セルロース粉体等の表面に微粒子となって析出した形状の反応層を形成することができる。このような反応層であると、反応層が検液に浸漬されると、膨潤と同時進行的に各成分が検液に溶出するので、酵素化学反応が円滑になされる。
【0083】
上記ノズル法で用いるノズルとしては、例えば注射針状の細管(0.1〜0.3mmφ)を用いることができる。また、反応層形成溶液(懸濁液)の供給方法としては、適量をノズルの先から反応セル内に1滴ないし数滴滴下する方法や、ノズルの先を反応セルに接触させて必要液量を連続注入する方法を例示することができる。なお、一定量を自動供給できる自動供給装置(デスペンサー)を用いると効率良く供給できる。
【0084】
上記ノズルを用いて反応セル内に一定量の反応層形成溶液を供給した後、暫く(30分程度)放置すると、液滴が自然流延し均等に広がるので、これを待って酵素活性に悪影響を与えない温度(例えば30℃)で溶媒を乾燥除去する。これにより反応層が電極に密着固定された本発明にかかる基質検知部を構成できる。
0000
図2〜5に基づいて本発明の酵素センサの好ましい構造について更に説明する。なお、本発明の主要な特徴は反応層の組成にあるので、本発明において従来より公知の構造を採用することができることは勿論である。
【0085】
図2は、酵素センサ1の構造を各部材ごとに分解した分解斜視図で表した図である。図中、2は電気絶縁性基板であり、白色のPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムからなる。電気絶縁性基板2は、長手方向の一端が半円形状に加工されている。
【0086】
3は、2本のストライブ状の白金電極からなる電極系であり、その一方は測定極、他方は測定極に対する対極である。電極系の一方端部側の3a・3bは測定本体部となり、3c・3dは電極端子部、3e・3fは測定本体部と電極端子部を繋ぐリード部となる。なお、この例では、両極に跨がって反応層が形成されているので、電極系3の何れが測定極であってよいが、こでは3a側の電極を測定極とする。
【0087】
上記電気系3は、例えば2〜30μm前後の厚みの電気絶縁性フィルム(例えば耐熱性ポリイミド、全芳香族ポリアミド等)にスパッタリング法で白金膜を形成し、このフィルムを帯状にカットして白金膜付きフィルム(2枚)となし、この2枚のフィルムを電気絶縁性基板2の長手方向に沿って、両者の間隔を0.3〜1mmとし、接着剤で基板2に張りつける方法で作製することができる。
【0088】
電極系3の上面には、電極系を保護するとともに、反応セルを形成するための開放窓4aを有する電気絶縁性マスク層4が積層されている。前記開放窓4aは、電極系の測定本体部3a、3b部分に対応する位置に設けられており、ここでは基板長手方向に直交する方向に長い長方形状に形成されている。また、その先端は基板2と同様な半円形状に形成され、この先端と基板2の先端とを合致させたとき、基板2の後端部分の電極端子3c、3dが覆われない大きさに形成されている。なお、窓4aから露出する電極系部分(3a、3b)に反応層が形成され、当該部分が基質を検知する基質検知部(反応層形成溶液を入れる容器を概念したときには反応セルという)なる。
【0089】
上記反応セルの位置、形状、大きさ等については次のことを考慮して決める。反応セルの設置位置は、電極の先端から若干内側(例えば先端から1〜2mm)とする。形状、大きさについては、両極に跨がる大きさとし、通常、ストライブ状の電極系に直交する方向を長辺とする長方形とする。但し、正方形、円形、楕円形とすることもできる。
【0090】
反応セルの容積は、窓4aの面積とマスク層4の厚みによって決まり、この容積により反応セル内に注液される反応層形成溶液の容量が規制されることになる。よって、窓4aの面積とマスク層4の厚みは、必要な反応層量を考慮し、更には反応層形成溶液の濃度をも考慮して決める必要がある。一般には、窓4aを2×4mm程度の長方形とし、厚みを0.02〜0.4mm程度とする。この大きさであると、前記した希薄な反応層形成溶液(1〜3μl)を用いて好適な反応層を形成することができる。
【0091】
なお、本発明酵素センサは、主に血中等の生体成分を測定する用途で使用されるので、少量の検液でもって正確な測定ができる必要がある。よって、反応セルを無用に大きくしないのがよい。
【0092】
マスク層4の形成方法としては、電気絶縁性の樹脂(例えば光硬化性のアクリル系、エステル系の樹脂)をスクリーン印刷等の方法で基板2上にコーテングし、その後、所定形状の窓4aを穿設する方法、或いは予め窓4aを穿設した樹脂フィルム(それ自身が感熱接着性を有するフィルムでもよい)を、接着剤を用いて基板2に貼着する方法などが例示できる。
【0093】
5は、マスク層4の上に積層される電気絶縁性のスペサーである。このスペサー5には、検液吸入口5bとこれに続く余裕空間としての空洞部5aを形成するためのキノコ状の切り込みが形成されている。このスペサー5も前記マスク層4と同様な材料、かつ同様な手法で作製することができる。
【0094】
6は、反応層を示すが、図2の例では反応層が測定極3aと対極3bに跨がって反応セル内の全面に形成されているので、反応層の形状と基質検知部の形状が同一となっている。よって、この明細書では基質検知部と反応層に同一符号6を付して表現することがある。但し、測定極のみに反応層を密着固定させた酵素センサであってもよく、この場合には、基質検知部の一部が反応層となる。
【0095】
7は、スペーサ5の上面を被覆する電気絶縁性の保護層である。この保護層7は、マスク層4と同一の大きさに形成されており、スペーサ5を挟んでマスク層4の上に積層されることにより、検液吸入口5bとこれに続く空洞部5aを形成する役割を担っている。この保護層7も、前記マスク層4と同様な材料、かつ同様な手法でスペーサ5上に形成することができる。
【0096】
ここで、上記空洞部5aは、反応層6の背後に形成されているので、検液吸入口を介して検液が反応層に導かれたとき、検液は反応層に滲み込み、検液と一緒に導入された空気は空洞部5aに逃げることができる。よって、空洞部5aを有する構造であると、検液が空気に邪魔されてスムーズに反応層に導入されないといった問題が解消される。空洞部5aの形状は、図2に示す形状に限れるものではなく、例えば検液吸入口の後方ばかりでなく、上下方向(基板に対し垂直な方向)又は/及び左右方向に広がった余裕空間であってもよい。上下方向に広がった空洞部の例を図3により説明する。
【0097】
図3に記載のスペーサ8は、前記図2のキノコ状の部分をコの字状に形成してあり、このスペーサ8に積層する保護層9は、スペーサ8に接する面(裏面)の所定部分に表面にまで貫通しない長方形の凹部9aが形成してある。よって、スペーサ8と保護層9とを重ね合わせると、上方向にも余裕空間が広がった空洞部89aを形成できる。
【0098】
検液吸入口5bの幅は、基質検知部(反応セル)6の横幅の0.5〜1.5倍、好ましくは0.8〜1.3倍に設定するのがよい。図2においては、反応層6とほぼ同じ幅としてある。
【0099】
また、空洞部の容積は、基質検知部(反応セル)6の容積よりも大きくするのがよく、一般には基質検知部の容積の2〜10倍程度とする。空洞部の形状については前記した如く特段の制約はない。
【0100】
なお、検液吸入口の位置に相当する保護層の裏面に吸水性のポリマーを主体とする親水層を設けてもよい。
【0101】
検液の吸入側の先端形状については、前記図2〜3では、半円形状に設計されているが、これを吸入口を中心に劣弧形状にすることもできる。この例を図4に示す。図4における基板2、電極系3、窓4aは図2と同様であり、マスク層10、スペーサ11及び保護層12の先端側形状が異なる。
【0102】
すなわち、マスク層10は、先端を劣弧状とし、反応層の幅よりもやや広い幅を残し、両サイドを切り落とした形状(T字型)に形成されている。また、スペーサ11は、前方に2本の柱状突起部11aが形成されるように先端側の大部分を切り欠き、他の部分については、マスク層11と同サイズに形成されている。柱状突起部11aは、マスク層10と保護層12との間にあって、基板長手方向に直交する方向の両サイドを塞ぎ、前方が開放された検液吸入口11bを形成する役割を担う。保護層12は、マスク層10(窓4aを除く)と同形状に形成されており、マスク層10、スペーサ11及び保護層12が、電極系3の形成された基板2に先端部を合わせて順次積層することにより、酵素センサ1Bが完成する。
【0103】
図4の1Bに示す形状の酵素センサであると、図2〜3のセンサに比較し、先端部分の幅が小さく、また検体吸入口の位置が外見上明瞭であるので、検液が少ない場合においても、操作者が検液を的確に採取することができる。
【0104】
なお、吸入口の先端部分の形状は、図4以外であってもよく、、例えば矢のように突出させた形状(「く」の字形状)、又は逆「く」の字形状、或いは凹形状、又は凸形状にすることもできる。
【0105】
また、スペーサの形状も図2の5、図3の8、図4の11に記載した形状に限られるものではない。例えば図5の21のように、先端側の柱状突起部を1本とすることもできる。柱状突起部を1本とする場合、柱状突起部(21a)を基質検知部の幅よりも充分に幅狭に形成し、この突起部が窓4a(基質検知部)上を通過するように配置するのがよい。
【0106】
幅狭の1本の柱状突起部を有するスペーサを用いた場合、基板前方180度(柱状突起部の幅を除く)から検液を導入することができるとともに、幅狭の柱状突起部とすることにより、表面張力を利用して検液を基質検知部にまで導くことができる。よって、この構造においては、空洞部を小さくし、または廃止しても検液を基質検知部まで迅速に導入することができる。
【0107】
また、例えば図14の22のように、先端側の柱状突起部を無くした形状のスペーサを用いて酵素センサを構成することもできる。
【0108】
ところで、従来技術にかかる酵素センサ(特開平1−291153号公報等)では、検液を導入するための導入口と、検液の導入によって溜まる空気を逃がすための排出口を設けた構造が採用されているが、この構造であると、吸・排気口が外気の循環路となるために、反応層が外部環境(空気、湿度、埃など)の影響を受けやすい。これに対し、本発明では基質検知部の背後に空洞部を設ける構造を採用し、この空洞部に空気の逃げ空間としての機能を担わせる。空洞部を基質検知部の背後に設ける構造であると、空洞部が検液の導入障害となる空気の逃げ道として十分に機能する一方、この空洞部は外部に通じていないので、外気が基質検知部(反応セル内)を通り抜けることによる悪影響(吸湿、酸化等)がない。つまり、保存安定性の低下や排気口の目詰まりに起因する測定不能等の問題を生じることなく、検液の迅速な吸入を実現することができることになる。
【0109】
次に、本発明の酵素センサを組み込んだ酵素センサ装置について説明する。但し、以下の装置は好ましい一例であり、本発明の酵素センサ装置は以下の例に限定されるものではない。
【0110】
図6は、測定極と対極との2極型酵素センサを組み込んだ装置の概略を示すブロック図である。この装置は全体を制御するマイクロコンピュータ100(以下単にマイコンと称する)を有しており、これにA/D(アナログ/デジタル)とD/A(デジタル/アナログ)の両変換機能が内蔵されている。A/D変換機能は、被検成分と酵素との反応によって発生した電流をA/D変換する働きをし、D/A変換機能は、酵素センサに必要な測定電圧を印加するために設けられた電位走査部101からの電流をD/A変換する働きをしている。測定中、電位走査部101から酵素センサへは常にコントロールされた所定電圧がBG(バックグラウンド)電圧として印加されている。
【0111】
接続部102に酵素センサが接続され、センサ先端が検液に浸漬されると、検液が反応層に導かれ被検成分と酵素との反応が開始され、被検成分の量に比例した電流iが発生する。この電流iは電流検出部103で検出されてマイコン100のA/D変換器に送られ、ここでA/D変換されて被検成分量に換算される。そして、この結果が測定値として表示部に表示されることになる。
【0112】
前記ブロック図6を更に詳細にした図7および図8(電気回路図)に基づいて、測定機構と測定手順を説明する。図7、8においては、図6の各機能部100、101、102、103に対応する電気回路を点線で囲み、相互の関係が判るように表示してある。
【0113】
酵素センサ1が酵素センサ接続部102に接続されるとリミットSW105が作動し、全回路系が繋がり、全回路系が繋がると、マイコン100の制御の下でD/A変換器100aからバツファ101aを通過して所定電圧P1が出力され、これが測定極と対極の間に作動電圧として印加される。またマイコン100の制御の下、もう1つのD/A変換器100bからバツファ101bを通過して所定電圧P2が出力される。なお、酵素センサを制御回路に接続する機構については後記する。
【0114】
演算増幅回路101cの−、+端子は仮想短絡なので、酵素センサ端子(外部端子3c、3d)には電位差(P2−P1)が与えられ、この時、酵素センサは導通状態にあるので、酵素センサの基質検知部に電流iが流れる。この結果、抵抗RxとコンデンサC1及び演算増幅器101cとにより回路形成された電流電圧変換回路103bの出力端子に、Px=P2+i・Rxの電圧が観測されることになる。そして、ここでP2が加算されるので、減算回路103aによりP2の電圧を除いた新たな電圧P3が出力される。このP3は、(Px+P4)−P2=[(P2+i・Rx)+P4]−P2=i・Rx+P4 によって演算された値をとる。この演算式におけるP4は、BG電圧であり、単電源駆動回路の場合には正電圧に設定される。
【0115】
上記電圧P3は、A/D変換回路100cによりA/D変換され、さらにマイコン100により電流iに対応する被検成分量に換算されて表示部に数字表示される。
【0116】
以上のような機構により検液中の被検成分量が測定されるが、より信頼性の高い測定を行うために、この例ではマイコン100に次のようなデータテーブル(データ修正用ソフトプログラム)が格納されている。その1つは、測定のたびにピーク電流値を予め作成した基準検定線に対比して被検成分量を演算するプログラムである。酵素に対して被検成分が多い場合とか、検液中に含まれる他成分の影響が大きい場合とかには、被検成分濃度にピーク電流値が比例しない場合があるが、このプログラムを用いると、被検成分濃度とピーク電流値が比例しない範囲(放物線的部分)における測定の信頼性を高めることができる。
【0117】
その2は、実際の測定温度での値を基準温度での値に換算修正するプログラムである。これは酵素活性に温度依存性がある場合に有用である。
【0118】
次に、装置本体(制御回路部)と酵素センサの接続方法について図8に基づいて説明する。この装置は、酵素センサ接続部102を有し、この接続部102は、酵素センサの電極端子3c、3dと電位走査部101の両端子とを着脱自在に接続できる構造になっている。制御回路部と酵素センサの接続は、電位走査部101の回路端子102aに酵素センサ1の端子(電極端子3c、3d)を挿入することによりなされる。挿入に際してはセンサの電極端子3c、3dにリミットSW105が接した時点で挿入を停止するようになっている。図8AのA−A断面図である図8Bに、回路端子102aに電極端子3c(3d)が挿入された状態を示す。図8Bに示すように、回路端子102aは半円形状の板バネで作られている。このような形状の端子であると、挿着および脱着が容易であり、かつ圧接によりセンサ外部端子と完全に接触するので、導通不良を生じない。
【0119】
更にこの例では、図8Aに示すような押し出し機構104設けてある。この押し出し機構104は、取っ手104aを有する逆L字型部材と、装置本体に固定支持された固定部104cと、固定部104cと逆L字型部材とを繋ぐバネ104bとで構成されている。被検成分の定量が終了した後、操作者が取っ手104aを矢印方向(←)に押すと、センサ側面が逆L字型部材により矢印方向に押されて、センサが回路端子102aから脱着される。この後、手を放すとバネ104bの働きにより逆L字型部材が元の位置に戻る。
【0120】
なお、本発明酵素センサは、人等の生体成分を取り扱う。よって、病原菌等に汚染された可能性のある検液に手が触れないのが望ましいが、押し出し機構104を備えた本発明酵素センサ装置であると、酵素センサに触れることなくワンハンドで脱着を行うことができる。よって、この構成によると、操作者に対する安全性に優れた測定装置を提供できることになる。
【0121】
【実施例】
本発明の内容を実施例により更に具体的に説明する。
【0122】
(実施例1)
実施例1(他の実施例も同様)では、前記図2に示す酵素センサを用い、酵素センサ装置としては、前記図7に示したものを用いた。酵素センサ等の内容については既に説明したと同様であるが、前記しなかった詳細な事項は次の通りである。電気絶縁性の基板1としては、厚さ0.25mm、幅7mm、長さ30mmで、一端が半円形の白色PETシートを用いた。この基板1の中央部分に、電極系3として、厚さ25μm、幅1mm、長さ29.7mmのポリイミドフィルムに厚み600Åの白金膜をスパッタリング蒸着したもの2枚を接着剤で0.5mm間隔で貼着した。
【0123】
電気絶縁性のマスク層4は、厚さ65μm、幅7mm、長さ25mmの感熱接着剤を有する先端半円形(前記基板1と同じ)のポリエステル系フィルムを用い、前記半円形の先端から1mmの位置に2×4mmの窓を開けたものを用いた。このマスク層4は、スペーサ5とともに、それぞれの先端を前記基板1の先端に合わせて熱圧着した。
【0124】
電気絶縁性のスペーサ5は、厚さ150μm、幅7mm、長さ25mmの先端半円形(前記基板1と同じ)のPET系フィルムを用い、このフィルムの先端部分をキノコ状にカットしたものを用いた。キノコ状のカット部分は、幅約4.5mm、奥行き約4mmの吸入口5bと、これに続く空洞部5aからなり、空洞部5aの容積は反応層容積の約7倍の容積となるようにカットした。
【0125】
電気絶縁性の保護層7は、厚さ100μm、幅7mm、長さ25mmの先端半半円形の白色PET系フィルムを用いた。そして、この保護層7をその先端を基板1の先端とを合致させ、接着剤で前記スペーサ5に貼着した。なお、上記貼着工程は、反応セル内に反応層形成溶液を供給し乾燥して電極等の所定部分に反応層を密着固定した後に行った。
【0126】
以上の内容の酵素センサ枠体(保護層が積層される前のもの)は、反応セルの広さが2mm×4mm、深さが65μで容積が約0.5μlであり、この酵素センサ枠体を300個作製した。
【0127】
次に、上記酵素センサ枠体の反応セル部分に注入する反応層形成溶液および反応層の形成方法について説明する。
<反応層形成溶液の作製>
グルコースオキシターゼ(GOD)15mgと、フェリシアン化カリウム(FCN)100mgとを、1mlの蒸留水に溶解し、この溶解溶液に直径が1〜2μm、繊維長約5mmの水不溶性の微細セルロースを20mg(FCNに対して20wt%)を添加し、スラターにて10分に攪拌混合して反応層形成溶液を作製した。なお、水不溶性の微細セルロースは混合液中に均一に分散するが、溶解しない。
【0128】
<反応層の形成>
上記組成液2μlをピペットで採取し、酵素センサ枠体の反応セル内に注入し、40℃、0.5時間の熱風乾燥を行い、反応セル内の測定極と対極との上に、両極に跨がった形の反応層を密着固定した。この反応層は、GOD30μg/FCN200μg/微細セルロース40μgを含むものである。
【0129】
この後、酵素センサ枠体と保護層7を張り合わせて酵素センサ1となし、図7に示す酵素センサ接続部102に接続した。
【0130】
上記装置を用いて、高純度のグルコース試験液、ヒト血漿、及び全血のそれぞれを検体として装置の性能試験を行った。
【0131】
(装置性能試験)
先ず、健康な男性(年齢30歳)から採血した全血を、低温保存(+5℃以下)で24時間保存し、しかる後に常温(25℃前後)に戻す処置(グルコース消費処理)を行い、全血中のグルコース濃度を0%(下記装置における検出限界以下)とした。この処理済全血(ヘマトクリット値を50%に調整)と、処理済全血を遠心分離処理した血漿(遠心分離法による)とを用意した。
【0132】
なお、上記処理前の全血中のグルコース濃度を、グルコース分析装置(イエロー・スプリング・インスツルーメント社製モデル2300)で測定したところ、血糖値75mg/dlであった。
【0133】
上記処理済全血又は血漿にグルコースを添加し、グルコース濃度が、0、25、50、100、150、200、300、400、500mg/dlの試料液を調整した。また、血液等に代えてPH7.4のリン酸緩衝液を用いて各々のグルコース濃度が上記と同様になるようにした標準液を作製した。これらの試料液は、それぞれ1mlごとに分けたものを下記実施例1〜3、比較例1等で必要な本数だけ用意した。
【0134】
上記酵素センサ装置の測定極と対極にBG電圧を0.5V印加した状態で、酵素センサの吸入口から試料液を約5μlを吸入させた。このとき、試料液は極めて迅速に反応セル内に到達することが確認できた。よって、吸入から約16秒経過後に、−0.5〜0.2Vで電位走査(走査速度50mV/sec)を行い、発生した電流を連続的にA/D変換しピーク電流μAを測定した。測定時の温度は25℃であった。測定は、1回ごとに酵素センサを交換して各試料液について10回行った。
【0135】
ここで、上記16秒は酵素が十分に溶解するのに要する時間であり、この時間が短ければ短い程、反応速度が迅速かつ円滑に行われ、上記16秒は充分に短い時間である。なお、ピーク電流の測定等は、マイコン制御で行った。
【0136】
各試料液毎に10個の測定値を平均し、縦軸をピーク電流(μA)、横軸を被検成分濃度(グルコース濃度;mg/dl)とするグラフ上にプロットした。その結果を図9に示した。図9から明らかなように、何れの種類の検体についても、各プロットが直線上に乗っており、少なくとも500mg/mlまでの測定濃度範囲において一次関数的関係が成立することが確認された。また、試料液と標準液との傾きの差も充分に小さかった。
【0137】
他方、全血試料の各濃度における測定値のバラツキ程度を評価するために、各々10個の測定値の標準偏差を算出し、これを平均値で除してCV値(変動係数)を求めた。この結果を下記表1に示した。表1において、比較例1(後記)に比較し、実施例1の全血試料のバラツキが顕著に小さかった。特にグルコース濃度が100mg/dl以上において実施例1と比較例との間に一層顕著なバラツキの差が認められた。
【0138】
以上の結果から、本発明にかかる実施例1の酵素センサ装置は、生体試料の分析用途において高い信頼性をもって使用できることが実証できた。
【0139】
(実施例2)
実施例1の微細セルロース粉体に変えて、繊維直径3μm以下、繊維長約6μmの微細結晶セルロース粉体を使用したこと以外は、実施例1と同一条件で実施例2にかかる酵素センサ装置を作製した。
【0140】
また、実施例1に記載した試料および標準液を用い且つ同様な条件で、この実施例2の装置の性能評価を行った。その結果をピーク電流(μA)と被検成分濃度(mg/dl)の関係で図10に示した。また各測定値のCV値(n=10)を表1に示した。
【0141】
図10より明らかなように、ピーク電流値と検体濃度の間に成立する一次関数性、および各測定値(n=10)のバラツキ傾向とも、概ね実施例1と同様であり、良好な結果であった。
【0142】
(実施例3)
実施例1の水不溶性の微細セルロース粉体に変えて、繊維直径3μm以下、繊維長約6μmの水不溶性の微細結晶セルロース粉体を用いたこと、及びカルボキシメチルセルロース(CMC)を、反応成分量(GODとFCNの合計量)に対し1重量%となるように添加した反応層形成溶液を用いたこと以外は、実施例1と同一条件で実施例3にかかる酵素センサ装置を作製した。
【0143】
また、この実施例3の装置を用い、実施例1に記載した全血試料について、実施例1と同様な条件で測定を行った。この結果を図11に示し、各濃度におけるCV値を表1に示した。なお、この結果については、後記する。
【0144】
(比較例1)
微細結晶セルロース粉体を含有させなかったこと、及び反応成分量(GODとFCNの合計量)対するCMC量を4重量%としたこと以外は、上記実施例3と同様にして比較例1にかかる酵素センサ装置を作製した。ここでCMC量を4重量%としたのは、CMC量が1重量%(実施例3での使用量)であると、均一塗布が困難であり、密着も不充分となったからである。
【0145】
この比較例1の装置を用い、実施例1で調整した全血試料液中のグルコース量の測定を行った。測定条件、測定個数は実施例1〜3と同様である。測定結果を図11に示し、各濃度におけるCV値を表1に示した。
【0146】
図11から、実施例3の各測定値(平均値)は、上記実施例1〜2の場合と同様、直線からのバラツキが小さく、ピーク電極値とグルコース濃度との間に良好な一次関数的関係が成立することが判った。他方、微細結晶セルロース粉体を含有させないで、CMCのみを用いた比較例1のセンサでは、直線からのバラツキが大きく、とくに全血試料中のグルコース濃度が約150mg/dl以下の低濃度領域でバラツキが大きかった。なお、図11の比較例1については、バラツキ程度を明示するために、各プロットを直線と折れ線(破線)の2通りの方法で表示してある。
【0147】
【表1】
Figure 0004467711
【0148】
<反応層の分散状態の観察>
上記実施例1〜3、比較例1、及びGODとFCNとを蒸留水に溶解した2成分系液を実施例1〜3等と同様にして反応セル内に注入し乾燥したものの4つの反応層を顕微鏡で拡大観察し、それぞれの分散状態を観察した。なお、上記2成分系反応層は、分散状態の比較基準とするためのものである。
【0149】
観察の結果、実施例1〜3では微細で均一な粒子が均一に分散されていた。他方、比較例1は、不均一な粒子が反応層内に不均一に分散していた。更に、上記2成分系反応層は、比較例1よりもさらに分散状態が悪く、不均一な粒子が不均一に分散していた。また、100μm程度の大きなFCN粒子が認められた。
【0150】
<保存安定性試験>
上記実施例1〜3、比較例1で作成した酵素センサを各々4個用意し、25℃、RH50%の雰囲気中に1日または10日間放置した後にBG電圧を調べた。放置条件としては、▲1▼未包装のまま放置(開放)、▲2▼酵素センサを乾燥剤とともに70μm厚のアルミパックで密閉包装した状態で放置(密封)、の2通りで行った。
【0151】
保存試験におけるBG電圧値、およびBG電圧増加率を表2に示した。なお、増加率%は、数1で表される。
【0152】
【数1】
Figure 0004467711
【0153】
【表2】
Figure 0004467711
【0154】
表2から明らかなように、開放、密封とも、保存試験の基準となる一日目におけるBG電圧においても、実施例1〜3に比べ比較例1のBG電圧が顕著に大きく、この差は保存10日後において一層拡大した。他方、微細セルロース粉体等が使用され、かつCMCが使用されていない実施例1、2の密封品はBG電圧の増加率が0%であり、微細セルロース粉体等とCMCの双方を使用した実施例3の増加率は8.1%であった。これに対しCMCが使用され、微細セルロース粉体等が使用されていない比較例1の密閉品の増加率は55%であった。
【0155】
また、実施例1〜3の開放品の増加率が16.3%〜114.3%であるのに対し、CMCが使用され、微細セルロース粉体等が使用されていない比較例1の開放品の増加率187.5%であった。
【0156】
以上の結果から、微細セルロース粉体等の使用により保存性が顕著に向上することが明らかとなった。なお、BG電圧とは、被検成分の存在がない状態において検出されるいわばノイズ電流値であり、この値が大きいと、低濃度域における測定精度が悪くなる。
【0157】
【発明の効果】
以上に説明したように、酵素および電子メディエータとともに、微細セルロース粉体及び/又は微細結晶セルロース粉体を反応層に配合する本発明によると、測定精度や保存安定性を顕著に向上させることができ、また酵素センサ個々における測定精度上のバラツキを減少させることができる。よって、本発明によると、使い棄て方式の酵素センサおよび酵素センサ装置の信頼性を飛躍的に高めることができる。
【0158】
また、微細セルロース粉体及び/又は微細結晶セルロース粉体は安価であるので、本発明によると、測定精度や保存安定性に優れた酵素センサを殆どコストアップを伴うことなくして実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明酵素センサの概略構造を示す図であり、(a)は基本構造、(b)は実用品の構造を示す。
【図2】本発明酵素センサの構造を説明するための分解斜視図である。
【図3】本発明酵素センサの他の形態を説明するための分解斜視図である。
【図4】本発明酵素センサの他の形態を説明するための分解斜視図である。
【図5】本発明酵素センサの他の形態を説明するための分解斜視図である。
【図6】本発明酵素センサ装置の概略をブロック図で表した図である。
【図7】本発明酵素センサ装置の電気回路図である。
【図8】本発明酵素センサ装置の酵素センサ部分の詳細図である。
【図9】実施例1における、ピーク電流量と被検成分量との関係を示すグラフである。
【図10】実施例2における、ピーク電流量と被検成分量との関係を示すグラフである。
【図11】実施例3と比較例1における、ピーク電流量と被検成分量との関係を示すグラフである。
【図12】従来の酵素センサの構造を示す図である。
【図13】従来の酵素センサ装置の電気回路を示す図である。
【図14】本発明酵素センサの他の形態を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
1、1B、1C 酵素センサ
2 基板
3 電極系
3a、3b 測定本体部
3c、3d 電極端子部
3e、3f リード部
4 マスク層
4a 開放窓
5 スペーサ層
5a 空洞部
5b 検液吸入部
6 反応層(基質検知部)
7 保護層
8 スペーサ層
89a 空洞部
9 保護層
9a 空洞部
10 マスク層
11 スペーサ層
11b 検液吸入部
11a 柱状突起部
21、22 スペーサ層
21b 柱状突起部
100 マイクロコンピュータ
101 電位走査部
102 酵素センサ接続部
102a 回路端子
103 電流検出部
104 押し出し機構
104a 取っ手
104b バネ
104c 固定部

Claims (10)

  1. 絶縁性基板と、
    前記絶縁性基板上に形成された、少なくとも測定極と対極とを有する電極系と、
    前記電極系の一方先端側の少なくとも測定極上に密着固定された、酵素と電子メディエータとを含む反応層と、
    を有する酵素センサであって、
    前記反応層が、更に水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体を含むことを特徴とする酵素センサ。
  2. 前記水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体の添加量が、電子メデイエータに対して1〜50重量%である、
    請求項1に記載の酵素センサ。
  3. 前記酵素がグルコースオキシターゼであり、電子メデイエータがフェリシアン化カリウムである、
    請求項1または2に記載の酵素センサ。
  4. 長方形の絶縁性基板(2)と、前記基板(2)上に基板長手方向に沿って略平行に形成された測定極と対極とを含む電極系(3)と、前記電極系の一方端部を残して前記電極系の形成された基板(2)上に積層された電気絶縁性のマスク層(4)と、前記マスク層(4)上に積層された電気絶縁性のスペーサ(5)と、前記スペーサ(5)上に積層された電気絶縁性の保護層(7)と、からなり、前記電極系(3)の一方端部を電極端子部(3c、3d)とし、他方端部側に基質検知部(6)が形成された酵素センサであって、
    前記マスク層(4)は、前記基質検知部(6)に対応する位置に窓(4a)を有し、
    前記スペーサ(5)は、前記マスク層(4)と前記保護層(7)との間に、外部より前記基質検知部(6)に検液を導くことができる検液吸入口(5b)とこれに続く余裕空間としての空洞部(5a)とが形成できる形状の切欠を有し、
    前記基質検知部(6)の少なくとも測定極の表面には、酵素と電子メディエータと水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを含んでなる反応層が密着固定された構造の酵素センサ。
  5. 前記スペーサ(5)の切欠は、前記基質検知部(6)の長手方向幅の0.5〜1.5倍の入口幅を有する検液吸入口(5b)を形成できる形状及び大きさである、
    請求項4に記載の酵素センサ。
  6. 前記保護層(9)の前記空洞部(5a)に対応する部分には、凹部(9a)が形成されており、この凹部(9a)によりマスク層(8)の上下方向に前記余裕空間を拡張させた、
    請求項4に記載の酵素センサ。
  7. 前記スペーサは、先端側に1又は2以上の柱状の突起部を有し、この突起部とこの突起部の各面にそれぞれ積層されたマスク層及び保護層とで、前記基質検知部に外部より検液を導くことができる検液吸入口が形成されている、
    請求項4に記載の酵素センサ。
  8. 絶縁性基板上に形成された、少なくとも測定極と対極とを有する電極系と、前記電極系の少なくとも測定極の一方先端側に密着固定された酵素と電子メディエータと水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体とを含む反応層と、を備える酵素センサの製造方法であって、
    前記製造方法が、酵素と電子メディエータとを溶媒に溶解し且つこの溶液に水不溶性の微細セルロース粉体及び/又は水不溶性の微細結晶セルロース粉体を分散して反応層形成溶液となす反応層形成溶液作製工程と、
    前記反応層形成溶液をノズルを介して電極系の所定部分に供給した後、乾燥して電極系の所定部分に反応層を密着固定する反応層固定工程と、
    を備えることを特徴とする酵素センサの製造方法。
  9. 前記反応層形成溶液の粘度を30〜800mPa・Sとする、
    ことを特徴とする請求項8に記載の酵素センサの製造方法。
  10. 請求項1ないし7の何れかに記載の酵素センサを電位走査部に着脱自在に接続するための酵素センサ接続部と、
    酵素センサに測定電圧を印加するための印加電圧可変機能付き電位走査部と、
    被検成分との反応により酵素センサから発せられる電流を検出するための電流検出部と、
    電流検出部からの電気信号をA/D変換するとともに、酵素センサに印加する測定電圧値をD/A変換し電位走査部へ供給するためのマイクロコンピュータと、
    を備えた酵素センサ装置。
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