JP4467568B2 - 微粒子堆積装置及び微粒子堆積物製造方法 - Google Patents

微粒子堆積装置及び微粒子堆積物製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、量子ドットや磁性粒子等の微粒子が均一に分散または堆積した半導体膜や磁性膜若しくは光学膜等の無機膜製造の際に基板等に微粒子を堆積させる微粒子堆積装置及び微粒子堆積物製造方法並びに発光素子の製造方法に関する。
従来、半導体発光素子として、pn型発光素子、pin型発光素子、量子ドット分散型発光素子(量子井戸、量子細線等を含む)等があり、このうち量子ドット分散型発光素子が低次元構造の点から注目されている。量子ドット分散型発光素子は、Stranski−Krastnowモードによる自己組織型量子ドット形成法(例えば特許文献1)、リソグラフィ法・エッチング法(例えば特許文献2)、表面処理剤を用いた自己組織化量子ドット形成法(例えば特許文献3)等の方法で製造されている。
一方、ES−OMCVD法により、CdSeナノ結晶(NCs)からなる量子ドットを、アモルファス又は多結晶のZnSeマトリクス中へ分散させて、フォトルミネッセンス発光材料を製造する方法が知られている(非特許文献1)。ここでZnSeは、バンドギャップがCdSeより広い材料であり、かつ伝導帯端及び価電子帯端エネルギーレベルが、CdSeのそれらよりそれぞれ上及び下にあるため、微小なCdSe結晶をZnSeマトリックスで囲む構造とすることにより、CdSe結晶内での電子・正孔の発光再結合効率発光を増大させる役割を果たしている。
特開平05−62896 特開平07−30151 特開平11−354843 Appl.Phys.Lett., Vol.65, No.22, 1994, p2795−2797
特許文献1〜3等に記載されている方法は、その製造方法が複雑であること、量子ドットのサイズの制御が困難であること、その製造方法の特性上、量子ドットとマトリックスの材料とが限定されること、得られた量子ドットの発光効率が高くないこと、などの点で問題であり、実用化されるに至っていない。
また、非特許文献1には、照射された光に対して、CdSeの1s−1s量子化準位間遷移に起因する光を発する発光材料が記載されている。その発光波長はNCsのサイズに応じて決定するため、非特許文献1のNCsは、凝集が起こりNCsサイズが多様化しているため、その発光スペクトルはブロード化している。 非特許文献1では、CdSeのNCsや、ZnSeマトリクスの形成を、OMCVD法で行っている。具体的には、トルエンとアセトニトリルの混合溶媒にCdSeのNCsが分散した溶液を、エレクトロスプレー(ES)法により反応器内に導入し、水素をキャリアガスとして導入したHSe及びdiethyl−Znと反応させることにより、ZnSe/CdSeフィルムを形成している。
ここで、非特許文献1では、観測されている発光はフォトルミネッセンスであり、発光ダイオードに要求されるエレクトロルミネッセンスとは発生メカニズム自体が異なる別の発光現象である。エレクトロルミネッセンスに対する影響に比べてCdSeの周囲に位置するアモルファス又は多結晶のZnSeマトリクスの結晶性が、発光に及ぼす影響は少ない。非特許文献1におけるZnSeは、CdSeを囲んで位置してCdSe量子ドットのエネルギー井戸壁を構成する役割を果たしており、ZnSe自体の組成や結晶性は、CdSeの発光効率には殆ど影響しない。非特許文献1に記載の方法で形成されたZnSe/CdSeフィルムには、キャリアガス由来の水素や、ZnSe原料由来の炭素などの不純物が混入してしまうが、非特許文献1のフォトルミネッセンスはCdSe結晶内でのキャリア対生成及び対消滅で生じるため、高強度で観測されている。
一方、非特許文献1を発光ダイオードの製造に適応した場合、ZnSeマトリクス中に混入した不純物(C、Hなど)の存在により、キャリアの移動が阻止されてしまう問題がある。キャリアの移動が阻害されることにより、発光効率が著しく低下し、電気伝導性が制御されてしまい、所望の特性が得られない。ここで、非特許文献1には、TOP(CdSeの周囲に位置する炭化水素系側鎖)に由来するNやPがオージェ電子分光装置により検出されなかった旨が記載されているが、オージェ電子分光装置の検出限界は0.1%である一方、エレクトロルミネッセンスにおいては、キャリアが移動する必要があるという発光機構から、これらの不純物は0.01%以下であることが必要である。これを達成するためには、基板温度を上げて(例えば400℃以上)アルキル鎖等を脱離させる手法が考えられるが、構成元素の相互拡散などによりCdSeとZnSeの量子井戸構造の破壊が生じてしまい、所望の発光強度が得られなくなり、また量子化準位間遷移による筈の発光波長も所望の値とは異なるものとなってしまう。そもそもCVD法は、高い成膜温度や、成膜後の熱処理が必要であるため、エレクトロルミネッセンスには適していない。
本発明は、このような技術的背景のもとでなされたものであり、不純物のない単結晶や多結晶若しくはアモルファスの均質な無機膜中に、所望のサイズの微粒子が均一に分散された微粒子分散膜を製造できる微粒子堆積装置、微粒子堆積物製造方法及び発光素子を提供することを目的とする。また、本発明は、所望のサイズの微粒子を被堆積体上に堆積するための微粒子堆積装置、およびこれを用いた微粒子堆積物製造方法を提供することを目的とする。
上述の課題を解決するための手段として、第1の手段は、
微粒子が溶媒中に分散してなる溶液を原料に用いて、被堆積体上に前記微粒子を堆積するための微粒子堆積装置であって、
前記原料を供給する溶液供給装置と、
前記原料を帯電させる帯電装置と、
内部を減圧雰囲気にするための排気口を備えた減圧チャンバーであって、前記溶液供給装置から噴出される原料をジェットノズルを通じて内部に導入可能な減圧チャンバーと、
内部を前記減圧チャンバーより高い真空度にするための排気口を備えた成膜チャンバーであって、前記減圧チャンバー内から排出される原料をスキマーノズルを通じて内部に導入可能であると共に、この原料のうち、特定の質量電荷比を有する微粒子のみを選別して内部に配置した被堆積体上に堆積させる分離装置を備えた成膜チャンバーと、
を有することを特徴とする微粒子堆積装置である。
第2の手段は、
前記成膜チャンバー内には、前記帯電装置により帯電した原料を収束させるレンズ装置と、このレンズ装置によって収束された原料に電界若しくは磁界を印加して特定の質量電荷比を有する微粒子のみを前記被堆積体の方向に進行させて被堆積体上に堆積させる分離装置を有することを特徴とする第1の手段にかかる微粒子堆積装置である。
第3の手段は、
前記帯電装置が、前記溶液供給装置を所定電位にするための電圧印加装置であることを特徴とする第1又は第2の手段にかかる微粒子堆積装置である。
第4の手段は、
前記帯電装置が、前記減圧チャンバー内を放電領域にするために、前記ジェットノズルとスキマーノズルとの間に放電電圧を印加する放電電圧印加装置であることを特徴とする第1乃至第3のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置である。
第5の手段は、
前記分離装置が、電界発生手段を用いた軌道偏向エネルギー分離装置である静電型エネルギー分離装置であることを特徴とする第1乃至第4のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置である。
第6の手段は、
前記分離装置が、磁界発生手段又は直交電磁界発生手段を用いた軌道偏向質量分離装置である電磁場型質量分離装置であることを特徴とする第1乃至第4のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置である。
第7の手段は、
前記分離装置が、高周波多重極型質量分離装置であることを特徴とする第1乃至第4のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置である。
第8の手段は、
前記分離装置から前記被堆積体に向けて進行する微粒子を減速させる微粒子減速装置を有することを特徴とする第1乃至第7のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置である。
第9の手段は、
前記微粒子減速装置によって減速された微粒子を収束して前記被堆積体上に堆積させる微粒子収束装置を有することを特徴とする第8の手段にかかる微粒子堆積装置である。
第10の手段は、
前記成膜チャンバーは、前記分離装置が配置されるイオン光学領域と、前記被堆積体が配置される高真空領域とに区分され、これらの領域は、微粒子を通過させるアパーチャーを備えた隔壁によって仕切られており、それぞれの領域を目的の真空度にする排気装置が設けられ、高真空領域の真空度がイオン光学領域の真空度よりも高真空に維持されることを特徴とする第1乃至第9のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置である。
第11の手段は、
半導体微粒子が溶媒中に分散してなる溶液を用い、第1乃至第10のいずれかの手段にかかる微粒子堆積装置を用いて半導体微粒子を被堆積体に堆積させることを特徴とする半導体微粒子堆積物製造方法である。
第12の手段は、
微粒子が溶媒中に分散してなる溶液を原料に用いて、被堆積体上に前記微粒子を堆積するための微粒子堆積物製造方法であって、
溶液供給装置から前記原料を噴出し、前記原料を帯電させる帯電工程と、
原料を、内部が減圧雰囲気にされた減圧チャンバーに設けられたジェットノズルを通じて内部に導入する工程と、
前記減圧チャンバー内を進行する噴流を、内部を前記減圧チャンバーより高い真空度に保持された成膜チャンバーに設けられたスキマーノズルを通じて内部に導入する工程と、
前記原料から、特定の質量電荷比を有する微粒子のみを選別して内部に配置した被堆積体上に堆積させる分離工程と、
を有することを特徴とする微粒子堆積物製造方法である。
第13の手段は、
前記帯電工程は、溶液供給装置としてキャピラリーを用い、前記キャピラリー先端から大気圧雰囲気中に前記溶液を微細液滴流として噴出させるとともに、前記キャピラリーを所定電位にすることで前記キャピラリー先端から噴出される微細液滴を帯電させるものである特徴とする第12の手段にかかる微粒子堆積物製造方法である。
第14の手段は、
前記帯電工程は、前記減圧チャンバー内を放電領域とし、前記減圧チャンバー内に前記原料を通過させる工程であることを特徴とする第12又は第13の手段にかかる微粒子堆積物製造方法である。
ここで「原料」とは、原料が液滴となり帯電・イオン化したもの、原料がフラグメンテーションしたもの(堆積目的物である微粒子、溶媒、配位子、およびこれらがまとまったもの、これらが帯電・イオン化したもの)等、原料に起因する全てのものを含有するものである。また、微粒子として半導体微粒子を用い、同時にその半導体微粒子と共に量子ドットを形成する半導体マトリックスを用いることで、発光素子を形成可能である。
また、他の手段の態様としての微粒子分散膜およびその製造方法は、以下の構成を有する。
(構成1)
炭化水素系の側鎖が配位した直径1〜10nmの微粒子が有機溶媒中に分散してなる溶液を、イオン化処理して、帯電液滴を生成するイオン化工程と、
前記帯電液滴を成膜チャンバー内に導入する工程と、
前記帯電液滴から溶媒成分を除去する溶媒除去工程と、
前記帯電液滴から側鎖を除去して前記微粒子を得る側鎖除去工程と、
前記成膜チャンバー内に、無機膜を形成するための原料を供給する工程と、
前記溶媒除去工程および前記側鎖除去工程により得られた前記微粒子と、前記無機膜の原料を、同時に被成膜基板上に供給して、前記微粒子が分散した無機膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする微粒子分散膜の製造方法。
(構成2)
前記イオン化工程は、前記溶液を大気圧中で電圧を印加することにより行う工程を含むことを特徴とする構成1に記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成3)
前記側鎖除去工程は、前記帯電液滴が前記被成膜基板表面と衝突する工程を含むことを特徴とする構成1又は2に記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成4)
前記側鎖除去工程は、前記帯電液滴を前記成膜チャンバー内で電圧を印加する工程を含むことを特徴とする構成1乃至3いずれかに記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成5)
前記帯電液滴は、前記成膜チャンバーに導入される前に、前記成膜チャンバーより真空度の低い減圧チャンバーに供給されることを特徴とする構成1乃至4いずれかに記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成6)
前記側鎖除去工程は、
前記帯電液滴を、前記減圧チャンバー内で電圧を印加し、さらに、前記減圧チャンバー内の印加より低電圧にて前記成膜チャンバー内で印加する工程を含むことを特徴とする構成5に記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成7)
前記無機膜の原料は、炭化水素系の側鎖が配位した微粒子として有機溶媒中に分散されていることを特徴とする構成1乃至6いずれかに記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成8)
前記微粒子が量子ドットであり、前記微粒子分散膜が発光層であり、前記微粒子分散膜が発光ダイオードにおける発光層であることを特徴とする構成1乃至7いずれかに記載の微粒子分散膜の製造方法。
(構成9)
電圧印加手段を具備し、かつキャピラリー先端から溶液を排出可能な溶液排出手段と、前記キャピラリーと離れて位置し、かつ前記キャピラリー先端から排出された溶液を注入可能な開口部を有する電圧印加可能な減圧チャンバーと、
前記減圧と連通し、かつ前記減圧チャンバーより高真空度からなる成膜チャンバーと、
を具備し、
前記成膜チャンバーは、基板保持手段と、磁界発生手段とを有することを特徴とする成膜装置。
上述の手段においては、所望の微粒子が均一分散した無機膜を形成する際に、前記微粒子の原料として、炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒に分散した溶液を用いた場合においても、無機膜中に前記溶液中の溶媒および側鎖起因の成分を取り込むことなく、微粒子のみを分散又は堆積させることが可能である。
さらに、このような溶液を用いることで、溶液中の微粒子と同一の大きさの微粒子を無機膜中に分散させることが可能であるので、あらかじめ溶液を準備することで、従来の手法では実現できなかった数nmの微粒子を、再現性良く無機膜中に分散させることが可能となる。この効果を顕著に得る形態として、本発明の製造方法を、量子ドット分散型発光ダイオードに適応した場合が上げられる。すなわち、本発明の製造方法を用いて、微粒子としての量子ドットを、同時二極性を有する材料から成る無機材質膜に分散し、発光活性層とした場合、発光層のマトリクス中に、量子ドットがナノ結晶のまま存在しているので、三次元量子井戸としての量子ドットが形成された発光ダイオードを製造することが可能である。
本発明で用いる「炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒に分散してなる溶液」の一例を、図5を用いて説明する。微粒子は1.5〜7.0nmのサイズのナノ結晶、側鎖はC5〜C30程度の炭化水素系化合物(O、N、P等を含んでも良い)からなる。ここで、微粒子は単一の組成からなるナノ結晶であっても良いし、図5のようなcore−shell構造を有するナノ結晶であっても良い。core−shell構造の場合、core部分に量子ドット材料(例えばCdSe、InPなど)を採用し、shell部分に無機膜材料と同等の材料(例えばZnSe、ZnSなど)を採用することで、微粒子が無機膜中にさらに分散しやすく(微粒子が無機膜中に親和しやすく)することが可能となり、また、量子ドットの三次元量子井戸特性を実現しやすくすることが可能となるので好ましい。この場合、無機膜材料は、量子ドットであるcore部分の材料よりもワイドギャップの材料が用いられるが、三次元量子井戸を実現するのは主として無機膜部分であり、よってshell部分は数原子程度の薄膜でも良い。量子ドットの三次元量子井戸特性を実現するためには、量子ドットと無機膜材料との間に、キャリア移動を阻害するような成分(溶媒、側鎖等)が存在しないことが必要である。ここで微粒子(core−shell構造を含む)の周囲に囲むように位置する炭化水素系の側鎖は、共有結合のような強い結合ではなく、配位結合のような比較的弱い結合で吸着している。微粒子を炭化水素系の側鎖で囲むことにより、微粒子同士の合体を防止し、微粒子は所望のサイズのまま有機溶媒中に分散させることができる。
量子ドット分散型発光ダイオードに求められる要件として、次の要件が挙げられる。
a)量子ドットの径が変化することなく分散されていること
本要件を満たさない場合、量子ドットの径が変化することにより、所望の発光色が得られなくなってしまうので好ましくない。
b)量子ドットが、三次元量子井戸特性を示すように、ワイドギャップ半導体内に分散されていること
本要件を満たさない例として、量子ドット(ナローギャップ半導体)同士が十分な距離を隔てて分散されていない場合が挙げられる。このような場合、量子ドット微粒子中のキャリアの波動関数が染み出し、互いに重なり合い、量子の閉じ込めが生じないため、量子井戸が形成されない。そのため、単なる「ナローギャップ半導体+ワイドギャップ半導体」の混合物(単なる混合多結晶体)としての特性しか得られず、発光効率は低く、所望の発光色も得られないので好ましくない。
c)キャリア(電子・ホール)が、量子ドットが分散されている無機膜(マトリックス)中を移動可能であること
本要件を満たさない場合、電子注入電極からの電子と、正孔注入電極からのホールが、移動して量子ドット中で再結合することが出来ないことになり、発光が得られなくなってしまう。本要件を満たさない例として、無機膜中の不純物の存在(例えば、炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒に分散してなる溶液を用いた場合の「溶媒」や「炭化水素鎖」など)が挙げられる。
d)量子ドットの発光特性が破壊されていないこと
本要件を満たさない場合、発光特性が得られない。本要件を満たさない例として、量子ドット材料の熱破壊(製造過程での高温処理による結晶性の変化)などが挙げられる。
本発明は、上記の要件を満たした量子ドット分散型発光ダイオードを製造することを可能としたものである。以下、本発明で用いる装置の一例を説明する。
(1)装置について
本発明で用いる装置の一例を図4に示す。炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒中に分散してなる微粒子分散溶液1は、マイクロシリンジポンプ2によって、キャピラリー3へ送られ、キャピラリー先端3aから放出される。なお、キャピラリー3には、電圧印加手段3bによって所定の電圧が印加可能となっている。
キャピラリー先端3aから放出された微粒子分散液は、減圧チャンバー4の上流側先端部に設けられたジェットノズル4aを通じて減圧チャンバー4内に導入され、さらに、成膜チャンバー5の上流側先端部に設けられたスキマーノズル5aを通じて成膜チャンバー5内に導入される。減圧チャンバー4と成膜チャンバー5とは、それぞれは真空ポンプ4dや高真空ポンプ5d等により、所定の異なる真空度にすることが可能となっている。また、成膜チャンバー5内には、上流側から順に、静電レンズ6、磁界発生手段7及び基板8を保持する保持手段8aが、キャピラリー3と同軸延長上にそれらの基準軸が一致するように設けられている。
(2)イオン化工程(帯電工程)について
本発明の一態様である微粒子分散膜の製造方法における「イオン化工程(帯電工程)」について説明する。原料として用いる溶液中の微粒子は、少なくとも分離装置に導入される前に、溶液中からのフラグメンテーションおよびイオン化(帯電)される必要がある。すなわち、「原料」は、被堆積体に到達するまでの間に、帯電・フラグメンテーションされ、様々な状態を取り得る可能性がある。溶液供給装置としてのキャピラリー先端3aから放出される液滴は、キャピラリー3に印加された電圧によってイオン化され、帯電液滴としてジェットノズル4aに向かって放出される。なお、キャピラリー先端3aは、ほぼ大気圧に配設されることが好ましい。大気圧であれば、キャピラリー先端から放出された帯電液滴中の溶媒成分が、ジェットノズル4aへ到達前に蒸発する効果(溶媒除去工程としての効果)が得られるからである。また、溶媒除去工程として、キャピラリー先端3aとジェットノズル4aとの距離を大きくして、大気圧での帯電液滴の飛程を大きくする方法を採用することも可能である。さらに、溶媒除去工程として、キャピラリー先端に加熱ガスを導入する方法を採用することも可能である。この場合、単に周囲を加熱ガス雰囲気とする方法でも良いし、キャピラリーの周囲に、キャピラリーと同軸の加熱ガスラインを設ける方法でも良く、これにヒーターを具備する方法でも良い。また、溶媒除去工程として、キャピラリー先端にネブライザーガスを導入する方法を採用することも可能である。この場合、単にキャピラリー先端付近にネブライザーガスを導入する方法でも良いし、キャピラリーの周囲に、キャピラリーと同軸のネブライザーガスラインを設ける方法でも良い。また、イオン化工程や溶媒除去工程として、さらにキャピラリー先端に高周波数超音波を印加可能としても良い。これにより、微小液滴の形成を補助する効果や、溶媒の蒸発を促進する効果が得られる。なお、溶液の種類やキャピラリーへの電圧印加条件、キャピラリー先端の雰囲気等を制御して、イオン化工程中に側鎖除去工程の効果を兼ねるようにすることも可能である。あるいは、「原料」がキャピラリーからジェットノズルに至るまでの飛程に所謂プルームを形成する領域において、放電用の電極あるいはアンテナを設け、高電圧を印加、放電を生じさせることで飛行中の「原料」の帯電を行うことも可能である。このとき、放電用の電極あるいはアンテナには直流、交流あるいは高周波の印加が可能であり、アーク放電等による飛行中の「原料」への電子衝撃、グロー放電、プラズマ生成、コロナ放電等による荷電粒子衝撃、ラジカルとの相互作用によるオージェ過程、または電子衝撃、紫外線による電離過程等を経て、効率的な帯電プロセスが供される。なお、帯電装置として、後述のように溶液供給装置ではなく、減圧チャンバーに設けることも可能である(図10)。この場合、原料が減圧チャンバーを通過する工程が、帯電工程に相当する。もちろん、キャピラリーへの電圧印加と併用しても良い。併用することで、さらにフラグメンテーションが促進されるので好ましい。
(3)側鎖除去工程ついて
本発明の一態様である微粒子分散膜の製造方法における「側鎖除去工程」について説明する。イオン化工程により形成された帯電液滴は、ジェットノズル4aから減圧チャンバー4内へ導入され、後にスキマーノズル5aから成膜チャンバー5内へ導入される。上述のように、ジェットノズル4aおよびスキマーノズル5aにはそれぞれ電圧印加手段4c,5cが具備されている。本発明では、印加電圧が「ジェットノズル>スキマーノズル」となるように印加することで、キャピラリー先端3aから放出された帯電液滴の急激加速を実現し、急速加速により、帯電液滴に運動エネルギー(好ましくは1〜10eV)を付与されることになり、これにより上述の同軸上の被成膜基板へ向かって高速で突進する方法を見出した。さらに本発明では、帯電液滴の急激加速は、真空度を「キャピラリー<減圧チャンバー」とすることで効果が得られることを見出した。これは、帯電液滴が真空度の高い状態になると同時に高電圧が印加されることで、帯電液滴が急激加速されることによる。
このように急激加速された帯電液滴と被成膜基板表面との衝突エネルギーにより、微粒子と側鎖との(配位)結合を切断することが可能であり、基板表面にて側鎖を完全に除去することが可能となった。この方法は、高温処理を不要とするため、量子ドットとしての微粒子の特性を破壊することなく、側鎖を除去可能な点で、非常に有効である。
なお、予め被成膜基板8の表面を加熱(100℃〜250℃程度)しておくことで、衝突と同時に、基板表面に生じた残渣(側鎖)の昇華を促進し、さらに効果的に側鎖を除去することが可能となる。ただし、基板の加熱は、量子ドットの発光特性を破壊しない温度とする必要がある。
(4)溶媒除去工程について
溶媒の分子量は、微粒子や側鎖の分子量に比べて非常に小さい。これを利用して、(2)で述べた溶媒除去工程で除去されず、さらに減圧チャンバーを通り抜け、成膜チャンバーの被成膜基板表面まで到達してしまう溶媒起因の成分を、被成膜基板の手前に配設された、分離装置としての磁界発生手段7により除去することを可能とした。すなわち、イオン化された溶媒分子イオンは、他の分子イオンに比べて分子量が非常に小さいので、磁界発生手段7により生じた磁界の影響を受けて、その進行軌道を反らされ、被成膜基板8の表面へ到達出来なくなる。本工程により、溶媒除去を可能とした。
本発明によれば、製造工程や製造装置の複雑化の必要が無く、簡単な構成で、微粒子が均一に分散した微粒子分散膜、および微粒子が基板上に堆積した微粒子堆積物を製造することが可能である。また、本発明の方法は、原料に由来する炭素化合物、燐、窒素などの不純物の除去性能に優れており、コンタミネーション・フリーを可能とするものである。さらに、得られた微粒子間には明確な結晶界面が存在せず、キャリア散乱要因、無輻射中心あるいは消光中心となる欠陥密度が低い微粒子分散膜を製造することが可能である。さらに、本発明の方法によれば、異種材料間での相互拡散が生じないため、三次元量子井戸である量子ドット構造の根幹である三次元ポテンシャル井戸を形成する為のナローギャップ半導体/ワイドギャップ半導体間でのバンド端エネルギーの不連続性が容易に確保できるため、微粒子として(量子ドット)量子井戸となるナローギャップ半導体微粒子あるいはマトリックスとなるワイドギャップ半導体微粒子を用いることで、キャリア輸送性に優れ、発光効率の高い量子ドット分散発光層を製造することが可能である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。ただし、以下の説明は、あくまでも本発明の例示にすぎず、以下の記載によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施の一形態に係る微粒子分散膜を有する発光ダイオードの断面図である。図1に示す発光ダイオードは、ガラス基板10、正孔注入電極層12(材料:p型(Nドープ又はCuドープ)ZnSe膜、膜厚:100〜10000nm、発光層14(主材料:ZnSe、ZnS、ZnSSe等、膜厚:1.5〜1000nm)、電子注入電極層18(材料:ZnS、Zn0、ZnSe等、膜厚:100〜10000nm)、金属電極(材料:Au、Pt、Cr、Al、In、Ga等、又はこれらの合金または積層膜、膜厚:20〜100nm)、パッシベーション膜(保護膜の役割。図示せず)からなる。
図1に示す発光ダイオードの製造方法について説明する。まず、ガラス基板10上に、透明電極としてITO(100〜500nm)、電子注入電極層12として、ZnSe:Cl(ZnSe中にClをドープした膜を示す。以下、同様。)膜を、MBE法により形成した。詳しくは、フラックス(Zn:2〜4×10−7Torr、Se:5〜8×10−7Torr)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(230℃以下)、材料(ZnCl:粉末、Al:ペレット)で行った。
次に、電子注入電極層12上に、発光層14として1.5〜1000nmのZnSe膜(ここでは5nm、10nm、5nmの積層で、合計20nmとした)を、MBE法により形成した。詳しくは、フラックス(Zn:2〜4×10−7Torr Se:5〜8×10−7Torr)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(150〜300℃、ただし量子ドットの発光特性が破壊されない温度)、背景圧力(1×10−8Torr以上1×10−7以下)で行った。ここで、発光層14の形成中、所定の膜厚(5m程度)の発光層14を形成した時点で、ZnSe材料の供給を止め、量子ドット16及びマトリクス層14’(後述)材料の導入を開始して、量子ドット分散発光層14a(膜厚:10nm程度)を形成した。量子ドット分散発光層14aの形成に関しては、後述にて詳細に説明する。所定膜厚の量子ドット分散発光層14aを形成後、量子ドット16及びマトリクス層14’(後述)材料の供給を終了して、再び発光層14の形成(膜厚:5nm程度)を行った。
次に、発光層14上に、正孔注入電極層18として、100〜10000nmのZnSe:Cu(ZnSe中にCuをドープした膜を示す。以下、同様。)膜(ここでは300nmとした)を、MBE法によって形成した。詳しくは、フラックス(Zn:1〜2×10−7Torr、Se:1×10−6Torr、Cu:所望の温度(1×10−8Torr程度)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(240℃程度)、材料(Zn、Se、Cuすべて6N)、背景圧力(1×10−11Torr以上5×10−9Torr以下)で行い、さらに、図1のように、金属電極としてAuを30nm形成して、本発明の発光ダイオードを形成した。
得られた発光ダイオードの発光特性を図6に示す。発光は、ほぼ量子ドットからの発光色が支配しており、単一波長(535nm)の発光が観察された。エネルギー効率は1%、輝度は200cd/mであった。
次に、量子ドット分散発光層14aの形成方法について詳細に説明する。
(1)使用装置
量子ドット分散発光層14aの形成は、図4に示す装置を用いて行った。先ず、ここでは、シリンジポンプによる溶液供給速度は、3.3μl/minに設定した。なお、キャピラリー3には、X、Y、Z方向にマイクロメーターがついており(図示せず)、キャピラリー先端3aの位置の微調整が可能となっている。キャピラリー先端3aは、ジェットノズル4aと0〜50mmの距離に配置されている。なお、キャピラリー先端3aとジェットノズル4aとの間は、ほぼ大気圧となっている。なお、ここでは、キャピラリー先端3aの内径が20μmのものを用いた。
また、減圧チャンバー4内の圧力を、1Torr、成膜チャンバー5内の圧力を、1×10−6Torr以下とした。減圧チャンバー4の入り口であるジェットノズル4aと、成膜チャンバー5の入り口であるスキマーノズル5aとの中心位置は一致しており、ジェットノズル4aとスキマーノズルとの間の距離は、1〜10mmの間で設定されている。なお、前述のキャピラリー先端3aは、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの中心位置と合致するように位置を調整する。さらに、図示しないが、基板保持手段8aは、加熱手段を具備しており、被成膜基板8を加熱することが可能である。ここでは、基板温度を230℃に設定した。基板温度が高すぎると、量子ドットの結晶がアモルファス化したり、量子井戸およびマトリックス間での相互拡散によって生じる量子井戸構造自体の破壊が生じることにより、発光特性を劣化してしまうので好ましくない。また、基板温度が低すぎると、微粒子等が基板に衝突した際に、溶媒や側鎖に起因する成分が残留しやすくなるため、好ましくない。
磁界発生手段7は、キャピラリー先端から放出された微粒子等が被成膜基板に到達する前に、分子量の小さい成分(例えば、溶媒分子イオンや側鎖分子イオン)を除去する役割(質量分離機能)を有している。
(2)溶液の準備
量子ドット及びマトリクス(発光層)ともに、原料として、炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒中に分散してなる溶液を用いた。詳しくは、量子ドット及び発光層ともに、図5に示す構造のナノ結晶(直径:1.5〜7.0nm、側鎖:C5〜C30程度の炭化水素系(N、P等を含む)化合物)を用いた。量子ドット材料は、core−shell構造を有し、core部分にCdSe、shell部分にZnSeから成るものを用いた。発光層材料は、ZnSeから成るものを用いた。これらのナノ結晶が、トルエンとアセトンの混合溶液に分散されている溶液を用いた。
なお、量子ドットの濃度は0.01〜0.5mg/mlであり、CdSeとZnSeの体積比率が5:95の溶液を用いた。溶液中の体積比率は、分散させる量子ドットの体積比から決定されるが、CdSeの体積比率は、100ppm〜30%とすることが、十分な量子井戸のポテンシャルバリア幅の確保、ひいては電子及び正孔の量子化準位形成の点から好ましい。
(3)微粒子分散膜の形成
まず、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aの開口部が詰まっていないことを確認し、上記ジェットノズルとスキマーノズルの中心位置が一致していることを確認した。キャピラリー3とスキマーノズル5aとのアースをとり、ジェットノズル4aにイオン加速用の電源をつないだ。ここで、印加電圧は100V〜10kV(好ましくは200〜350V)から選択するが、ここでは330Vとして設定した。
さらに、電界型イオンレンズ6を使用してイオンビームを収束させた。ここでは電界型イオンレンズ6としてアインツェルレンズを用いた。ここで、電界型イオンレンズ6は同一の径を持つ3個の円筒形電極6a,6b,6cから構成され、各々コアキシャルな配列構造に設置されている。3つの電界型イオンレンズに印加する電圧を制御することにより、イオンビームの収束電極の役割を果たす。印加する電圧は、微粒子の種類(サイズ、分子量など)により適宜決定される。微粒子を収束させることは勿論であるが、溶媒分子イオンなどの軽いイオンを収束させて、後工程(例えば、磁界発生手段など)で効率良く除去可能とすることも有効である。ここでは、スキマー側の電界型イオンレンズ6aに−6kV、中間の電界型イオンレンズ6bに−1kVを印加した。なお、スキマーノズル5aの電位は、ジェットノズル4aと等電位かそれ以下の電位とした。
キャピラリー先端3aに、マイクロシリンジ2により液滴を形成し、この状態でキャピラリー先端3aに電圧を印加して液滴のイオン化により帯電液滴を生じさせて、キャピラリー先端からジェットノズル4aへ放出させた。このとき、電圧は1.9kVとした。また、pAメーターでファラデーカップの指示するイオン電流密度値が0.15nA/cmであることを確認した。
本実施の形態の製造装置によると、大気中で放出された帯電液滴は、ジェットノズル4aから減圧チャンバー4内へ入った後、スキマーノズル5aから成膜チャンバー5内へ入り、被成膜基板表面8へ到達する。本発明の装置により、帯電液滴は、被成膜基板8の表面に衝突する迄に溶媒や側鎖起因の成分を除去することが可能となる。さらに本発明の装置により、帯電液滴は、キャピラリー先端3aから放出後、ジェットノズル3aやスキマーノズル4aを通過する際に、その移動速度の加速を促進を可能とし、その結果、基板8の表面との衝突の際に、溶媒や側鎖起因の成分の衝突脱離が可能となり、基板表面には微粒子のみを残留させることが可能となる。
ここで、本発明の発光層14としては、構成上、次の2態様に分類される(図2、図3参照)。
(I)発光層の一部に、量子ドットが分散されている態様(図2)
図2に示すように、発光層14の膜厚方向の一部に、量子ドット16(材料:CdSe、CdSe/ZnS(ZnSからなるshell付CdSeを意味する。以下、同様。)等、直径:15〜60Å)が、マトリクス材料14’中に分散されている。この分散部分の発光層14a(膜厚:1.5〜1000nm)が、本発明の一態様である微粒子分散膜に相当する。
本態様は、分散部分の発光層14aが、発光層の材料(ここではZnSe)に挟まれたサンドイッチ構造となっている。各電極層から注入された電子及びキャリアが、発光層材料中を移動して、分散部分の発光層14a中の量子ドット16で会合し、発光するため、発光層材料からマトリクス材料へのキャリアの移動がスムーズに行われる必要がある。この点から、両層は、同材料か同結晶構造を有する材料(ZnSeとZnS等)とすることが好ましい。
本態様の発光層は、平坦なモフォロジーを得られる観点から好ましい。これにより、一様な発光面強度を生じる発光層が得られるからである。
本態様を実施するための製造方法として、次の方法が挙げられる。
(I)−1
量子ドット材料を、「イオン化工程、溶媒除去工程、側鎖除去工程」を含む工程で供給しながら、別の系統(MBE法、IBD法など)からマトリクス材料を供給する方法である。
発光層材料からマトリクス材料へのキャリア移動をスムーズにする観点から、マトリクス材料を、発光層材料と同様の方法で供給することが好ましい。これにより、結晶性の連続性が実現されやすくなるからである。
マクロなモフォロジーの観点から、本方法が好ましい。これにより、密に充填されたボイドレスな膜が実現されやすくなるからである。
(I)−2
量子ドット材料を、「イオン化工程、溶媒除去工程、側鎖除去工程」を含む工程で供給しながら、マトリクス材料も同様に、「イオン化工程、溶媒除去工程、側鎖除去工程」を含む工程で供給する方法である。
この場合、量子ドット材料と同様に、マトリクス材料も、「炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒に分散してなる溶液」を用いることが出来るが、量子ドット材料とマトリクス材料が、共に分散されている溶液を用いても良いし、別々に分散されている溶液をそれぞれ用いても良い。同一の溶液中に共に分散されている溶液を用いる方法は、装置の複雑化の必要が無く、さらに、マトリクス材料と量子ドット材料をあらかじめ所定の割合で調合しておくことで、均一な組成の分散部分の発光層14aを形成できる点で好ましい。
異種材料間での相互拡散の低減の観点から、本方法が好ましい。これにより、ナローギャップ半導体/ワイドギャップ半導体間でのバンド端エネルギーの不連続性が容易に確保できるが実現されやすくなるからである。
(I)−3
上記両方の方法を同時に採用する方法である。
上述両メリットの観点から、本方法が好ましい。これにより、無欠陥の量子井戸構造が実現されやすくなるからである。
(II)発光層の全体に、量子ドットが分散されている態様(図3)
図3に示すように、発光層14全体に量子ドット16(材料:CdSe、CdSe/ZnS等、直径:15〜60Å)が、発光層材料中に分散されている。発光層14全体(膜厚:1.5〜100nm)が、本発明の微粒子分散膜に相当する。本態様では、各電極層から注入された電子及びキャリアが、発光層材料中を移動して量子ドット16で会合し、発光する。
本態様の発光層は、キャリアの再結合確率の観点から好ましい。これにより、高発光効率の発光層が得られるからである。
本態様を実施するための製造方法として、次の方法が挙げられる。
(II)−1
量子ドット材料を、「イオン化工程、溶媒除去工程、側鎖除去工程」を含む工程で供給しながら、別の系統(MBE法、IBD法など)から発光層材料を供給する方法である。
マクロなモフォロジーの観点から、本方法が好ましい。これにより、密に充填されたボイドレスな膜が実現されやすくなるからである。
(II)−2
量子ドット材料を、「イオン化工程、溶媒除去工程、側鎖除去工程」を含む工程で供給しながら、発光層材料も同様に、「イオン化工程、溶媒除去工程、側鎖除去工程」を含む工程で供給する方法である。
この場合、量子ドット材料と同様に、発光層材料も、「炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒に分散してなる溶液」を用いることが出来るが、量子ドット材料と発光層材料が、共に分散されている溶液を用いても良いし、別々に分散されている溶液をそれぞれ用いても良い。同一の溶液中に共に分散されている溶液を用いる方法は、装置の複雑化の必要が無く、さらに、発光層材料と量子ドット材料をあらかじめ所定の割合で調合しておくことで、均一な組成の分散部分の発光層14aを形成できる点で好ましい。
異種材料間での相互拡散の低減の観点から、本方法が好ましい。これにより、ナローギャップ半導体/ワイドギャップ半導体間でのバンド端エネルギーの不連続性が容易に確保できるが実現されやすくなるからである。
(II)−3
上記両方の方法を同時に採用する方法である。
上述両メリットの観点から、本方法が好ましい。これにより、無欠陥の量子井戸構造が実現されやすくなるからである。
(実施例1)
以下、上述の(I)−1に示した製造方法を用いて発光ダイオード(図1)を製造する場合を実施例1として説明する。図7は実施例1で用いる装置の概要を示す図である。
図7に示される装置は、図4に示した微粒子堆積装置に、ロードロック室9aを介して超高真空成膜室9を接続したものである。超高真空成膜室9は、超高真空ポンプ9dによって内部を超高真空にすることができ、内部に設置された蒸発源9bから蒸発する成膜原料を基板保持手段9aに保持された被成膜基板8に堆積させるものである。なお、蒸発源9bは図4に示される微粒子堆積装置の成膜チャンバー5内にも設置され、必要に応じて微粒子の堆積と併せて蒸発原料を基板8に堆積させる。したがって、成膜チャンバー5内で微粒子の堆積等を行った基板8を、ロードロック室9aを介して超高真空成膜室9内に移送し、必要な成膜を行い、また、超高真空成膜室9で成膜を行った基板8を逆に成膜チャンバー5内に移送して微粒子の堆積を行う処理等を必要に応じて行うものである。
基板8としては、ITOがコートされたガラス基板を用いた。ITO膜付ガラス基板は純水、アセトン、純水で超音波洗浄した後、酸化エッチングを行い、その後、純水でリンスし、窒素ブローにより乾燥させて、基板保持手段8aにセットした。
成膜チャンバー5内に、蒸発源9bとして、マトリクス材料の原料となるZnとSeを各クヌーセンセル(以下Kセルという)に投入して設置した。図示しないが、各Kセルには、ビームを遮断するシャッターが個別に取り付けられている。微粒子堆積装置において、分子ビーム、イオンビームの軸は、成膜チャンバー5内でフェースダウンの向きに取り付けられた基板8の中心軸に、それぞれ向けられている。さらには、図示しないが、各ビームと基板8との間には、基板8の近傍に、すべてのビームを遮断するメインのシャッターが設置されている。成膜中、基板は加熱し、回転させる。
図2における発光層14を作成する前に、超高真空成膜室9内において、電子注入電極層12を作成した。これは、成膜チャンバー5よりも、超高真空成膜室9の方が、到達真空度を高くしやすいためである。
電子注入電極層12として、ZnSe:Cl(ZnSe中にClをドープした膜を示す。以下、同様。)膜を、MBE法により形成した。詳しくは、フラックス(Zn:2〜4×10−7Torr、Se:5〜8×10−7Torr)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(230℃以下)、材料(ZnCl:粉末、Al:ペレット)で行った。
さらに、超高真空成膜室9内で発光層14(1.5〜100nm)の一部としてZnSe膜を形成した。詳しくは、フラックス(Zn:2〜4×10−7Torr Se:5〜8×10−7Torr)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(150〜300℃)、背景圧力(1×10−10Torr以上1×10−9以下)で行った。ここで、所定の膜厚(5nm程度)の発光層14の一部を形成した時点で、ZnSe材料の供給を止めて、ロードロック室9aを介して、基板を成膜チャンバー5内に移動した。
成膜チャンバー5内で、前述と同様にイオン化工程の条件を整え、ファラデーカップでイオン電流によりビーム強度(密度)を確認した後、量子ドット、Zn、Seの各ビームを開放し、最後に図示しない基板手前のメインシャッターを開けて量子ドット分散膜14aを10〜100nm成膜した。詳しくは、量子ドット分散液(0.5mg/mL)フラックス(Zn:0.5〜1×10−7Torr Se:1〜3×10−7Torrイオン電流:1.5nA)、レート(0.1〜0.6μm/hr)、基板温度(150〜300℃)、背景圧力(1×10−8Torr以上1×10−7以下)で行った。ここで、所定の膜厚(5nm程度)の量子ドット分散膜14aを形成した時点で、図示しないメインのシャッターを閉め、ZnSe材料の供給を止めた。
再び、ロードロック室9aを介して、超高真空成膜室9に基板8を移し、発光層14の一部と正孔注入電極層18を作成した。
発光層14の一部として5nm程度のZnSe膜を形成した。詳しくは、フラックス(Zn:2〜4×10−7Torr Se:5〜8×10−7Torr)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(150〜280℃、ただし量子ドットの発光特性が破壊されない温度)、背景圧力(1×10−10Torr以上1×10−9以下)で行った。
さらに、正孔注入電極層18として、100〜10000nmのZnSe:Cu(ZnSe中にCuをドープした膜を示す。以下、同様。)膜(ここでは300nmとした)を、MBE法によって形成した。詳しくは、フラックス(Zn:1〜2×10−7Torr、Se:1×10−6Torr、Cu:所望の温度(1×10−8Torr程度)、レート(0.5〜2μm/hr)、基板温度(240℃程度)、材料(Zn、Se、Cuすべて6N)、背景圧力(1×10−11Torr以上5×10−9Torr以下)で行った。
その後、金属電極としてAuを20〜100nm形成して、本発明の発光ダイオードを形成した。
得られた発光ダイオードの断面を、TEM(透過型電子顕微鏡)で観察した結果、量子ドット分散部分以外の膜は、c軸に配向した柱状の多結晶体となっていた。量子ドット分散部分については、明確な結晶界面は観察されず、微結晶子で構成される多結晶体のような構造で、量子ドットがマトリックスに均一に分散した膜となっているのが確認された。なお、量子ドットの中心間の平均距離は、量子ドットの直径の約2倍であった。
得られた発光ダイオードに、垂直方向に電圧をかけたところ、図6と同様の発光特性を示した。
なお、本実施例のガラス基板の代わりに、ZnSe単結晶基板を用いて、量子ドット分散膜以前の成膜をすべてエピタキシャル成長させて発光ダイオードを作成したところ、効率、輝度について、ガラス基板の場合よりもさらに向上していることが確認された。しかし、大面積化を考慮すると、単結晶基板を用いるのはあまり適しておらず、本実施例のようにガラス基板を用いる方が実用化には適していると考えられる。
(実施例2)
以下、上述の(I)に示した製造方法を用いて発光ダイオード(図1)を製造する場合の量子ドット堆積例を実施例2として説明する。本実施例では、量子ドットはマトリクス材料に分散されずに、数nmの量子ドット堆積層を有し、この層がマトリクス材料に挟まれたサンドイッチ構造を有する発光ダイオードにおける量子ドット堆積層を製造した。図8は実施例2に用いる微粒子堆積装置の概要を示す図である。また、被堆積基板として、実施例1と同様の基板(ITO膜付きガラス基板)にZnSe発光層10nmが形成された基板を用いた。
本実施例では、溶液供給装置としてシリンジポンプを有するキャピラリーを用いた。図8において、マイクロシリンジポンプ2は、筒状本体部2b内の微粒子分散溶液1をピストン2aによって押出し、チューブ2cを通じて、キャピラリー3へ送り、キャピラリー先端3aから放出するようになっている。なお、キャピラリー3には、電圧印加手段3bによって所定の電圧が印加可能となっている。また、マイクロシリンジポンプ2による溶液供給速度は、0.5〜4μl/min(好ましくは1〜2μl/min)である。さらに、図示しないが、キャピラリー3には、X、Y、Z方向にマイクロメーターがついており、キャピラリー先端3aの位置の微調整が可能となっている。なお、キャピラリーとして上述のような構成を用いたが、本発明においてキャピラリーは、毛管現象あるいは濡れ現象によって前記溶液の表面を露出させる溶液送出器具として定義される。キャピラリー先端3aから放出された微粒子分散液は、減圧チャンバー4の上流側先端部に設けられたジェットノズル4aを通じて減圧チャンバー4内に導入され、さらに、成膜チャンバー5の上流側先端部に設けられたスキマーノズル5aを通じて成膜チャンバー5内に導入されるようになっている。キャピラリー先端3aとジェットノズル4aとの距離は0〜50mm、好ましくは、4〜10mmに設定される。この実施例では8mmの距離に設定されている。なお、キャピラリー先端−ジェットノズル間は、ほぼ大気圧となっている。また、キャピラリー先端3aの内径が20μmであるものを用いた。ジェットノズル4aと、スキマーノズル5aとの中心位置は一致しており、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの距離は、1〜10mmの間で適宜設定される(この実施例では3mmとした)。なお、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとには、それぞれ、電圧印加手段4c,5cによって所定の電圧を印加できるようになっている。
成膜チャンバー5は、イオン光学系領域51と高真空領域52とで構成されている。イオン光学系領域51と高真空領域52とは、開口5bを有する隔壁5eによって仕切られ、その基準軸(微粒子が進行する方向の中心軸)が互いに直交するようになっている。開口部5bを通じて粒子が移動可能となっている。本実施例では、開口部5bの直径を20mmとした。減圧チャンバー4、イオン光学系領域51及び高真空領域52は、それぞれ、排気口4d,51d,52dを通じて、図示しない真空ポンプにより適切な真空度を維持するように排気されるようになっている。これらの排気には、例えば、差動排気手段が用いられ、これにより、圧力は、「キャピラリー先端(大気圧)>減圧チャンバー>イオン光学系領域>高真空領域」の関係となっている。ここでは、減圧チャンバー内圧力を1Torr、イオン光学系領域内圧力を1×10−5Torr、高真空領域内圧力を1×10−6Torr程度とした。ここで、差動排気は、以下のようにして行っている。すなわち、ジェットノズル4a(φ0.5mm)からスキマーノズル5a(φ0.7mm)に至る領域を100〜500[m/h]程度の排気速度のメカニカルブースターポンプあるいはロータリーポンプによって排気し、大凡1[Torr]程度の真空状態に保持し、その後段に当たるイオン光学系領域51を300〜1000[L/s]程度のターボ分子ポンプ等によって排気することで、10−4[Torr]程度の真空状態に保持するようにする。さらに、イオン光学領域51と高真空領域52(成膜のための領域)間に直径φ20mm程度、厚さ数mmのオリフィスを設け、高真空領域を1000〜2000[L/s]程度のターボ分子ポンプ等によって排気することで、この領域を10−6[Torr]程度の高真空状態に保持するようにする。
イオン光学系領域51内には、ジェットノズル4a及びスキマーノズル5aの同軸延長上に、レンズ装置としての電界型イオンレンズ6と、分離装置としてのエネルギー分離装置71が設けられている。電解型イオンレンズ6は、3つの筒状電極6a,6b,6cとからなるアインツエルレンズである。筒状電極6a,6bには、電圧印加手段6d,6eによって電圧を印加できるようになっている。筒状電極6cはアース電位にされる。電界型イオンレンズ6は、イオンビームを収束させる機能を有する。ここで、電界型イオンレンズ6は1個以上であれば機能するが、本実施例のように、同一の径を持つ3個の円筒形電極6a,6b,6cから構成され、各々コアキシャルな配列構造に設置されていることが好ましい。3個の電界型イオンレンズに印加する電圧を制御することにより、イオンビームの収束電極の役割を果たす。印加する電圧は、微粒子の種類(サイズ、分子量など)により適宜決定される。微粒子を収束させることは勿論であるが、溶媒分子イオンなどの軽いイオンを収束させて、後工程(例えば、磁界発生手段、エネルギー分離手段など)で効率良く除去可能とすることも有効である。
また、本実施例では、分離装置としてエネルギー分離装置71を用いている。エネルギー分離装置71は、アース電位に設定された第1電極板71aとこの第1電極板71aに対して所定の距離をおいて平行に配置された第2電極板71bとを有する。第1電極板71aには、入射孔71cと出射孔71dとが設けられている。入射孔71cは、上記のジェットノズル4a及びスキマーノズル5aの同軸延長上にある。また、第2電極板71bは、電圧印加手段71eによって所定の電位に設定される。エネルギー分離装置71は、入射孔71cに入射したイオンビームを所定の角度に曲げて、所望のエネルギーを有する微粒子を分級して出射孔71dから出射させる。曲げる角度は90度が最も高分解能が得られるため好ましい。エネルギー分離装置71は、キャピラリー先端3aから放出された微粒子等が被成膜基板8に到達する前に、質量数の小さい成分(例えば、溶媒分子イオンや側鎖分子イオン)や飛来する微粒子や溶媒、側鎖の材料にもなる有機分子の一緒になった粒塊を除去する役割(質量、エネルギー分離機能)を有している。
エネルギー分離装置71は、静電偏向を利用した分離機構である。ある一定の静電偏向量を得ようとするとき、荷電粒子の運動エネルギーに偏向電圧が比例する。よって、偏向電圧により荷電粒子の運動エネルギーを分離可能である。図8の装置では、平行平板電極構造のものを使用しており、一方の電極71aには二つの開孔を有しており、一方は入射孔71c、他方は出射孔71dである。開孔を有していない方の電極71bには、荷電粒子を減速する電圧±V(荷電粒子がプラスイオンの場合には+V、マイナスイオンの場合には−V)を与える。まず、入射孔から荷電粒子ビームが斜めに入射し、電極内に入った荷電粒子は、粒子の持っている運動エネルギーで決定される特定の値(エネルギー値)である場合に、反発されて出射孔から出射する。ここでエネルギー値は、電極間距離、開孔間距離、電圧によって決定されるため、これらのパラメータを変動させることにより、分級したいエネルギー値を決定可能である。
一例として、電極間距離を26.5mm、開孔間距離を53.0mm、電圧を5kV〜8kVとして、ビームを90度曲げて分級することが可能である。また、所望の質量電荷比(イオンの質量/電荷量)に対応する電圧±Vの値を与えられた際に得られるイオン電流密度は、キャピラリー径、キャピラリーへの印加電圧、溶液の流量、溶液の粘度、揮発性、表面張力、極性、pH(電気伝導度)、溶質の特性等により決定されるため、これらのパラメータを可変させることにより所望のイオンを分級可能である。エネルギー分離手段で分級するイオンは、後述のように、自由噴流によって速度が支配的であるため、イオン種に関わらず速度が一定となっている。これにより、所望の質量電荷比(イオンエネルギー)を選別することができる。また、図示していないが、出射孔からの所望の荷電粒子ビームの出射は、ファラデーカップによりイオン電流を測定することで強度(密度)を確認した。この実施例では、電圧印加手段3bによるキャピラリー3への印加電圧を 1.9kV、電界型イオンレンズ6aの電圧E1を−8kV、電界型イオンレンズ6bの電圧E2を3kV、 エネルギー分離装置71の電圧印加手段71eによる電極71bへの印加電圧Vdを8kVとした。また、Zn,Seのマトリックス材料を用いず、微粒子のみを1分子層に満たない量だけ、基板上に分散させる方法も試みた。ここで、所定の膜厚(5nm程度)の量子ドット分散膜14aを形成した時点で、図示しない基板手前のメインのシャッターを閉め、ZnSe材料の供給を止めた。
ここで、上記エネルギー分離装置71の作用について、簡単に説明する。上述のキャピラリー3およびその対向電極(ここでは電圧印加可能なジェットノズル)は、溶液供給装置と減圧チャンバーとの間に電界を形成可能であり、いわゆるエレクトロスプレー装置であるということができる。そして、このエレクトロスプレーより放出されたイオンを含む流体流は、ジェットノズル4aに導入されるとき自由噴流を形成するということができる。すなわち、このエレクトロスプレーにより生成したイオン種は気体の自由噴流に乗って真空中に導入されることになるが、その時(自由噴流はλ0(平均自由行程)<D(オリフィスの口径) の粘性流領域でおこる。)、流れの速度は概ね、膨張前に気体が持っていたエンタルピーが断熱的過程によって、全て並進エネルギーに変わることで決まる。空気(窒素、酸素等の二原子分子も)の平均自由行程は大凡10−7[m] であり、数百μmのオリフィスを介して真空中に導入することで自由噴流を形成できる。このとき、自由噴流の速度v[m/s]はオリフィスからの距離x[m]の関数として、
v={3.65(x/D)2/5−0.82(x/D)−2/5}{γkT/m}, T=T(P/P)(1−γ)/γ
D:オリフィスの直径[m]≒5×10−4[m]
γ:気体の比熱比≒1.4
T: 噴流の温度[K]
: 導入される気体の温度[K]≒3×10[K]
P: オリフィスの低圧側の圧力[Pa]≒1×10[Pa]
: オリフィスの高圧側の圧力[Pa]≒1×10[Pa]
で表され、凡そ10[m/s]程度の値である。
混合物の場合、自由噴流中で主成分となる気体(今回は空気)の速度とその他の混合物はほぼ同じスピードで飛行することになる。よって重い成分はきわめて高い運動エネルギーを持つことになる(実際には、オリフィスでの差圧(押し圧)が大きいほど、質量による速度の違いは小さくなり、さらに重い分子の速度分布は極めて鋭くなる。また、多少の速度差、温度差と噴流の中心軸上に重いものが富むようになるが、ここでは無視出来る。)。一方、この気体中(粘性係数は約2×10−5[Pa・s])での微粒子(直径数[nm])の電界移動度η=v/E (Eは電界)は、P ≒1×10[Pa]のとき凡そη≒10−5[m/s・V]程度、P≒1×10[Pa]のとき凡そη≒10−2[m/s・V]程度の値である。
したがって、オリフィスの高圧側でのエレクトロスプレーに供する印加電界(10[V/m]程度)、オリフィスの低圧側でのグロー放電に供する印加電界(10[V/m]程度)の寄与による終端速度はそれぞれ、凡そ10[m/s]程度、10[m/s]程度である。また、エネルギー分離機構に至る以前のイオン光学系領域では、始状態と終状態で静電ポテンシャルが同じであるので、この間で電界による加減速は生じない。したがって、エネルギー分離機構に入射するイオンは、その種類にかかわらず、ほぼ同一の速度を付与する装置構成となっている。当然、該実施例に限らず、イオンビームの経路中に付加的な加速機構を挿入し、その機構中で付加されるエネルギーを考慮した、エネルギー分離機構の校正も可能である。
エネルギー分離機構では、粒子が入射孔から入り、出射孔から飛び出してきた時、
L=2V/V・sin2α
である。ここで、
L:電極に設けた開孔間距離(今回は26.5mm)
α:入射角度(今回は45度)
:荷電粒子の加速電圧(V=E/q、 E:運動エネルギー、 q:電荷)
:荷電粒子を減速する電圧
L、αは一定であるため、VはVによって分析できる。
また、V=E/q
=(mv)/2
よりV=(mv)/2q=(m/q)・(v/2)であり、vは先ほど述べたとおり、自由噴流中では全てのイオンがほぼ同じ速度をもつと考えるため、この装置によって、エネルギーを分離するということは、質量電荷比m/q(質量/電荷)を分離することになる。
高真空領域52内には、被成膜基板8を保持する基板ホルダー52gと、この基板8に向かう荷電粒子線を収束させる収束装置としての収束電極52bと、上記収束された荷電粒子線を減速させて基板8に堆積させる減速装置としての減速電極52cとが設けられている。エネルギー分離装置71の出射孔71d−隔壁5aの開口5b、収束電極52a,52b、減速電極52cは、それぞれ、同軸延長上に設けられている。図9は基板ホルダー52gと収束電極52bと減速電極52cとを示す図である。図9に示されるように、収束電極52bと減速電極52cとは、ともにリング状の開孔電極である。収束電極52a,52bの開口径は、それぞれ25.4mm,33mmである。また、減速電極52cは、略円錐台形状の開口部が形成され、円錐台形状開口部の頂部に基板ホルダー52gが形成されるようになっている。円錐台形状の円錐の開き角は約135度である。
収束電極52a,52bは,正(負)イオンの減速時に、イオン同士のクーロン斥力でビームが発散するのを抑制する機能を有する。この実施例では、負(正)電圧を印加された開孔電極で外径約120mm、内径約25mmの接地電極であるシールド電極である電極52aと、外径約120mm、内径約33mmの電極52bとで形成されている。これらは、20mmの間隔をあけて平行に設置されており、減速電極52cとともに基板8の極近傍で、平行な等電位面を形成する。電極の板厚は2mmとした。本発明の装置の構成は、減速装置を有している。これは、原料として微粒子が分散された溶媒を用い、かつ、特定の質量電荷比を有する目的物のみを分離装置により得るという、本発明の装置の構成を検討するにあたり、本願発明者が初めて見出した課題によって得られた構成である。本願発明者は鋭意研究の結果、分離機構にイオンビームを導入するためには、飛来イオンはエネルギーを大きい状態としたい一方、エネルギーが大きいまま基板に堆積させると、基板にめり込んだり跳ね返ったりしてしまい、基板に微粒子が付着しないことを見出した。すなわち、堆積物である微粒子のエネルギーは、基板直前までは大きくする必要があるが、基板堆積時にはエネルギーを小さくする必要があることを見出した。そこで、減速電極52cは、飛来するイオンの正(負)イオンの運動エネルギーを堆積に適当な値に調整する役割を果たす。数eV〜数百eVの低いエネルギーのイオンビームは空間電界効果により発散しやすいので長距離輸送することができない。したがって、長距離輸送中は高エネルギーで輸送したい。しかし、飛来するイオンは、エネルギーが大きすぎると、基板にめり込んだり、跳ね返ったりするため、基板に付着しないため、基板直前で適当なエネルギーに減速する必要があることがわかった。なお、本発明の装置では、クラスターの質量数として1010amu程度のものでも、イオンクラスターとして加速・分離・堆積が可能であり、この時の速度は500〜5000m/sec程度であると推定される。
減速電極52cには、正(負)電圧が印加され(例えば1〜8kV)、基板8上及びその近傍に平行な等電位面を形成する。具体的には、イオンに含まれる原子一個当たりの運動エネルギーが1μeV〜1eVとなる様な減速電圧を選択する。いずれの場合も、ナノ結晶イオンが基板に到達し、非弾性的な堆積現象を生じさせるのに十分大きく、且つ、飛行時に有していた運動エネルギーが散逸する過程で、結晶を変形させ固定してしまうような発熱を避ける為に十分小さな値として選択する。この実施例では、収束電極52bから約20mmの距離に平行に設置されている。電極は外径約120mmで、約33mmの基板保持部分から、90mmの外径部近傍まで約135度のテーパー(お椀型)がついていることにより、空間電界効果を打ち消しており、被成膜基板に垂直な電界が形成され、面内均一性の高い膜が形成可能となる。
なお、上述のように本発明では被堆積基板の直前に減速装置が必要であるが、絶縁された基板の表面に堆積させる場合には、少量の微粒子が堆積することにより基板表面に電荷が生じるため、基板表面の電荷により微粒子が減速される。この場合には、装置自体に減速装置を設ける必要が無い(被成膜基板表面が、本発明の「減速装置」となる)。
基板ホルダー52gは、加熱手段を具備することで、被成膜基板を加熱することが可能である。ここでは、基板温度を100℃に設定した。基板温度が高すぎると、ナノ結晶がアモルファス化したり、量子井戸およびマトリックス間での相互拡散によって生じる量子井戸構造自体の破壊が生じることにより、ナノ結晶が量子ドットとして機能しなくなり発光特性を劣化してしまうので好ましくない。なお、この装置は、原理上、複数の種類の微粒子が混在する混合溶液から所望の質量の微粒子を取り出すことも可能である。例えば、単一の混合溶液を用いて、分離手段の電圧を変化させることにより、異種微粒子の積層膜を形成することも可能である。なお、ここで扱う微粒子としては、非常に軽量の原子イオン(1×10−22g)から1×10−18g程度の大重量イオンまで可能である。
溶液の準備
この実施例では、量子ドット及びマトリクス(発光層)ともに、原料として、炭化水素系の側鎖が配位した微粒子が有機溶媒中に分散してなる溶液を用いた。詳しくは、量子ドット及び発光層ともに、図5に示す構造のナノ結晶(直径:1.5〜7.0nm、側鎖:C5〜C30程度の炭化水素系(N、P等を含む)化合物及び/又は炭素を珪素で置換した形態のシリコーン系化合物(Si5〜Si30程度)、微粒子1個の重量は1×10−20g〜1×10−17g程度)を用いた。量子ドット材料は、core−shell構造を有し、core部分にCdSe、shell部分にZnSから成るものや、core部分にInP、shell部分にZnSeからなるものを用いた。これらのナノ結晶が、トルエンまたはジエチルエーテルまたはクロロホルムまたはアセトンの混合溶液(例えば、クロロホルム:ジエチルエーテル:トルエン=6:3:1)に分散されている溶液を用いた。
なお、量子ドットの濃度は0.01〜0.5mg/mlであり、この他にCdSe、ZnSe、InP、ZnSe、InGaP、InGaAsP、ZnS、ZnSSe、GaN、SiGe、C(ダイヤモンド) 等の混合分散液を用いた。CdSeとZnSeまたはInPとZnSeについては、体積比率が5:95の溶液を用いた。溶液中の体積比率は、分散させる量子ドットの体積比から決定されるが、CdSeの体積比率は、100ppm〜30%とすることが、十分な量子井戸のポテンシャルバリア幅の確保、ひいては電子及び正孔の量子化準位形成の点から好ましい。また、本実施例の装置によれば、溶液に微粒子が分散している溶液を供給原料として用いることが可能であり、溶解度がそれほど高い必要は無く、溶液中で凝集しない状態であれば良い。このような溶液であれば、側鎖は不要である。例えば、粘性のある溶媒であれば、側鎖がなくとも微粒子は凝集せずに溶液中に存在できる。また、微粒子が荷電粒子の場合には、溶媒として極性溶媒を用いることで溶液が調整可能である。いずれの場合にも、溶媒の分子量は、微粒子の質量に近似すると分級が困難となるため、微粒子に応じて選定する必要がある。なお、本発明の装置によれば、溶液原料を用いて微粒子分散膜を形成可能であるが、微粒子としては量子ドットに限定されない。溶液中に分散された微粒子であれば、磁性材料や光学材料等としても適用可能である。
微粒子分散膜の形成
まず、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの開口部が詰まっていないことを確認し、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの中心位置が一致していることを確認した。キャピラリー3とスキマーノズル4aとのアースをとり、ジェットノズル4aにイオン加速用の電源をつないだ。ここで、印加電圧は0V〜10kV(好ましくは200〜350V)から選択するが、ここでは330Vとして設定した。この際、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの間で放電を生じさせる放電手段を設け、電圧を調節することで、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの間にグロー放電を生じさせ、生じたプラズマ中にイオンを飛行させることにより、さらに電離、フラグメンテーションを促進させることもできる。図10はジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの間にグロー放電を生じさせた状態を示す図である。
プラズマの雰囲気として、不活性ガスを中心に数%〜50%以下の酸素あるいは水素を用いた混合気体を利用すると、ラジカルとイオンの反応によって微結晶に配位した有機分子を除去できる。このとき、ジェットノズル4aに印加する電源を定電流源とすることで、安定したグロー放電を生じさせることが出来る。ここで、放電電流密度は0.01〜1A/cmとした。形成されたイオンシース4eは、陰極であるスキマーノズル5aのオリフィスを覆い、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの双方のオリフィス間に継続的なプラズマが生成維持され、プラズマ中の電子が、飛行するナノ結晶を含むイオンに衝突する。この電子衝撃によって、キャピラリー先端3aから放出された帯電液滴のフラグメンテーションが促進され、残留する溶媒分子、表面配位分子の解離を促進する。さらに、ジェットノズル4aとスキマーノズル5aとの間には磁界を印加しプラズマ中の電子のサイクロトロン運動を促進し、プラズマ密度の増加、延いては飛行するイオンへの電子衝撃の単位時間当たりの回数を増大することも有効である。その結果、溶媒、表面配位分子を含まずナノ結晶単独で構成されるイオンの比率が増加し、堆積させ得るナノ結晶の収率が増加する。また、ノズルの高圧側から導入する気体種は、水素等のみならずハロゲンあるいはハロゲン化物等のエッチング性分子を用いた場合、ナノ結晶イオン表面をエッチングする、あるいは表面活性を付与する上で有効である。
キャピラリー先端3aに、マイクロシリンジ2により液滴を形成し、この状態でキャピラリー先端3aに電圧を印加して液滴のイオン化により帯電液滴を生じさせて、キャピラリー先端3aからノズルへ放出させた。このとき、電圧は1.3〜2.5kVとした。さらに、電界型イオンレンズ6を使用してイオンビームを収束させた。ここでは、スキマー側の電界型イオンレンズ6aにE1:−6〜11kV、中間の電界型イオンレンズ6bにE2:+0〜5.5kVを印加した。なお、スキマーノズル5aへは、ジェットノズル4aと等電位かそれ以下の電位を印加した。一実施形態として、エネルギー分離装置71の電圧±Vと電界型イオンレンズ電圧E1、E2の3つの電圧を個別に走査して、電流のたくさん取れる範囲でかつ±Vの小さい値(微粒子が凝集せず、独立に存在している可能性が高くなる)となるように設定し、被成膜基板8上に堆積させた。また、pAメーターでファラデーカップの指示するイオン電流密度値が0.10〜0.002nA/cmであることを確認した。
本態様の製造装置によると、大気中で放出された帯電液滴は、ジェットノズル4aから減圧チャンバー内へ入った後、スキマーノズル5aから成膜チャンバー5内のイオン光学系領域51に入り、電界型イオンレンズ6を通過時に絞られ、エネルギー分離装置71の入射孔71cに入り、エネルギー分離装置71内で90度曲げられて出射孔71dおよび隔壁5aの開口5bを通過し、成膜チャンバー内の高真空領域52へ入り、収束電極52a,52bと減速電極52cで成型を受けて被成膜基板8の表面へ到着する。本実施例の装置により、特定の質量電荷比の微粒子のみを分離して被成膜基板表面に堆積可能であるため、溶媒や側鎖起因の成分を完全に除去可能であり、非常に高純度の微粒子堆積物を製造可能である。
(実施例3)
本実施例では、図8に示す装置を用いて、微粒子として、Journal of Applied Physics,91,1502(2002)、Journal of Applied Physics,95,4251(2004)等に開示される様な、コバルトナノ結晶、及びコバルト白金合金ナノ結晶のヘキサン分散溶液を強磁性体ナノ結晶堆積物材料として用い、磁気記録媒体の形成を行った。これらコバルトナノ結晶、及びコバルト白金合金ナノ結晶は、塩化コバルト(CoCl2)、ビス(2エチル-ヘキシル-)スルホコハク酸、ラウリン酸(C12H25COOH)、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4)、イソオクタン、ヘキサン及び塩化白金(PtCl4)を原料に用い生成した。ラウリン酸を表面配位分子として、常温常圧下においてヘキサン中に安定分散されたコバルトナノ結晶、及びコバルト白金合金ナノ結晶は、ともに結晶の底面直径を2〜10nmとし、長さを30〜100nmとした円筒形であり、何れもサイズの標準偏差は0.5nm以下である。分散液中のナノ結晶の濃度は0.02〜20nmol/mlとした。
実施例2と同様に、該材料分散液(ナノ結晶のサイズ:底面直径×長さ=2nm×30nm, 2nm×50nm, 5nm×50nm, 10nm×100nm)をキャピラリー先端3aから本発明製造装置に導入し、前実施例と同様の装置パラメーターに設定し、該コバルトナノ結晶、及びコバルト白金合金ナノ結晶を100〜300℃に保持したホウ珪酸ガラス基板上に堆積した。ただし、基板表面に対して垂直の磁界(500〜5000Gauss)を印加できるように、イオンビーム軌道上に直径130mm、長さ100mmの空芯コイル(電磁石)を配置し、直流電流を通電した状態で堆積を行った。何れの濃度の分散液を用いた場合も、堆積時間に比例し、基板表面上に面積占有率20〜90%の単一層を形成できた。
さらに、実施例1、2で用いたような半導体微結晶を本発明製造装置の強磁性体ナノ結晶分散溶液に混合あるいは同時供給することで、基板上に同時に堆積した。常磁性体半導体微粒子が該強磁性ナノ結晶を安定支持することで、個々の強磁性体ナノ結晶が孤立した磁区を形成出来たことが、透過型電子顕微鏡像観察によって確認された。また、同様の効果は強磁性体ナノ結晶の堆積後に常磁性体をオーバーコートすることによって、あるいはナノ結晶の堆積中常磁性体の共蒸着、スパッタによっても得られる。ここで、磁区を区分する為の常磁性体は、金属及びその酸化物、半導体半導体及びその酸化物、有機樹脂類、シリコーン樹脂類等の何れで有っても良い。
透過型電子顕微鏡像中で観測される堆積膜中のコバルト、白金あるいはコバルト白金合金の(111)格子面間隔(0.205〜0.227nm)に相当するフリンジ像は基板に対して垂直方向に配向しており、イオンビームの飛行過程中に印加した磁界によって、ナノ結晶の長辺を基板面に垂直に指向させたまま堆積出来ることが確認された。この結果、底面の直径が2nmの強磁性ナノ結晶を面積占有率90%で堆積した場合、長辺方向の結晶サイズにかかわらず、120Gビット/平方インチに相当する所謂「垂直磁気記録媒体」を形成できた。一般には、単一磁区のサイズが小さくなり過ぎると常温であっても記録磁界を保てない「熱ゆらぎ」現象が起き、これが記録密度向上の妨げとなるが、本実施例で作製したコバルトあるいはコバルト白金合金ナノ結晶堆積膜では、記録媒体面に対して垂直方向に円筒形ナノ結晶の長辺(30〜100nm)の軸を配向させることによって、単一磁区当たりの磁気記録媒体面上の占有面積(1ビット当たりの面積)を3.4nm程度の極めて小さな値に止め、且つ単一磁区の体積を大きく保つことが出来る。
また、従来、所謂垂直磁気記録媒体の製造には、磁区を分画するための常磁性材料を予め強磁性材料とともに成膜し熱処理などで偏析させる自己形成的な手法が用いられたり、あるいはフォトリソグラフィー等によって強制的に分画する所謂パターンドメディアの手法が用いられてきた。これらでは、個々の強磁性体結晶子が必ずしも孤立しているわけではなく、結晶子間の相互作用が強く、本来単一ビットの情報担体となるべき結晶子同士が磁気的に結合して大きな磁区を形成したり、あるいはリソグラフィーで形成できるパターンのサイズの限界が大きく、実用的な情報記録密度は100Gビット/平方インチ程度にとどまっていた。しかし、本実施例に示す強磁性体堆積膜は、予め極めて標準偏差の小さいサイズ分布を有する強磁性体微結晶を材料とし、その構造を保存したまま、所望の基板上に垂直方向に配向させ堆積したものであるため、個々の結晶は完全に孤立し、各ナノ結晶が1磁区を形成し、1ビットの情報記録担体として機能する。本発明の装置によれば、更なる記録密度の向上が期待できる。
(実施例4)
図11は、実施例4において用いる微粒子堆積装置の概略構成を示す図である。この実施例は、上述の実施例2で用いた微粒子堆積装置(図8参照)におけるエネルギー分離装置71のかわりに、図11に示されるように、電磁場型質量分離装置72を用いたほかは実施例2と同一であるので、以下では、図11を参照にしながら電磁場型質量分離装置72を説明し、他の説明は省略する。図11において、電磁場型質量分離装置72は、微粒子線の進行方向に対して直交する方向に磁界Hを形成するようにしたものである。すなわち、イオン光学系領域51は、90度曲がった筒状部5cによって、高真空領域52に接続されているが、この筒状部5cの外部に、一対の扇形磁石72a、72bを、相対向して配置したものである。これにより、磁界Hを形成するようにしている。本実施例の電磁場型質量分離装置72は、サイクロトロン運動(磁界中で運動する荷電粒子が力を受けてする円運動)の一部を利用して荷電粒子の偏向を行う方法である電磁偏向を利用したものである。電磁偏向では、荷電粒子の偏向量が質量電荷比に依存し、質量が大きいほど曲がりにくいので、主に質量の小さなイオンや電子の偏向に利用される。この実施例では、微粒子以外の特に軽い成分(溶媒分子、気体分子等)を除く目的で利用している。
この実施例にかかる扇形磁石によるエネルギー分離の作用は以下の通りである。すなわち、一様な磁界中では、磁界の方向に直交する方向から入射するイオンの軌道は加速電圧(に相当する値、非相対論的にV=mv/2z)が同一の場合、イオンの運動量の大きさに応じて軌道半径が決まる。 加速電圧が同一であればイオン運動量と質量は一対一の対応関係があるから、この軌道半径の差を利用して質量分離を行うことができる。
質量m、電荷zのイオンが電場で加速され、速度v[cm/s]となるとき、電圧 Vによる加速で与えられるイオンの運動エネルギーはmv/2=zVである。
イオンは運動方向に垂直方向の磁場H[esu]に入り、半径rの円弧軌道を描く。イオンの遠心力mv/rと磁力Hzvが釣り合うことで
mv/r=Hzv
m/z=r/(2V)となる。
広く用いられている質量分離装置ではビーム中で各イオンはVが一定であるので、Hを一定にしてVを変える、もしくはVを一定しにしてHを変えることでrを一定にできる。
本実施例で示す装置(図8)では、ビーム中で各イオンのvが一定であるので、
m/z=rH/v
であるから、磁場を一定にした場合、偏向半径を変化させることによって、あるいは、偏向半径を一定にした場合、磁場を変化させることによって、質量を分離することが出来る。
質量分離としてよく用いられる角度90度のものについて考える。回転半径Rの扇形磁石があり、その外部の点Aから加速電圧Vによって加速されたイオンが磁石に入射し、半径Rの円軌道を描き90度回転して出口に到達する。点Aと磁石入り口までの距離をL1、磁石出口からターゲットまでの距離をL2とする。このとき質量mIの一価イオンが中心軌道を通過するように磁界が調節されているものとする。
質量mi+Δmiのイオンの軌道はmiの軌道と比べて
1/2(R+L2)・(Δmi/mi)
の差が生じる。
(実施例5)
図12は実施例5において用いる微粒子堆積装置の概略構成を示す図である。この実施例は、上述の実施例2で用いた微粒子堆積装置(図8参照)におけるエネルギー分離装置71のかわりに、図12に示されるように、高周波多重極型質量分離装置73を用いたほかは実施例2と同一であるので、以下では、図12を参照にしながら高周波多重極(ここでは四重極)型質量分離装置73を説明し、他の説明は省略する。図12において、高周波四重極型質量分離装置73は、イオン光学系領域51と高真空領域52とを仕切る隔壁5aの手前に四重極分離電極73a、73b、73c、73dを設けたものである。これら4つの電極73a、73b、73c、73dは、一対の電極73a、73bが、図中上下に対向するように配置され、他の一対の電極73c、73dが図中紙面に直交する方向に対向するように配置し、4つの電極で断面四角形状の筒状体を形成するようにし、この筒状体内を粒子線が通過するようにしたものである。そして、電極73aと73bには、+{U+Vcos(ωT)}の高周波電界を、電極73cと73dとには、―{U+Vcos(ωT)}の高周波電界をそれぞれ印加することにより、通過する粒子線のエネルギーに応じて進行方向を変え、一定のエネルギーの粒子のみを直進させて基板8に堆積させるようにするものである。なお、この四重極分離電極による質量分離の原理は、いわゆる四重極分離による質量分析に用いられている周知原理である(例えば、石川順三著「荷電粒子ビーム工学」コロナ社発行 125頁等参照)。
本発明は、ナノ結晶や磁性粒子等の微粒子が均一に分散した半導体膜や磁性膜若しくは光学膜等の無機膜製造の際に、基板等に微粒子を堆積させる微粒子堆積装置及び微粒子堆積膜製造方法として、あるいは発光素子の製造方法として利用することができる。
本発明の実施の一形態に係る発光ダイオードを示す断面図である。 本発明の実施の一形態に係る微粒子分散膜(図1における発光層14)を示す断面図である。 本発明の実施の一形態に係る微粒子分散膜(図1における発光層14)を示す断面図である。 本発明の実施の一形態に係る微粒子分散膜製造装置を示す概略図である。 本発明の実施の一形態で用いた微粒子材料を示す模式図である。 本発明の実施の一形態で作成した素子の発光特性である。 実施例1で用いた微粒子分散膜製造装置を示す概略図である。 実施例2で用いた微粒子堆積装置を示す概略図である。 実施例2で用いた微粒子堆積装置の部分拡大図である。 実施例2で用いた微粒子堆積装置の部分拡大図である。 実施例4で用いた微粒子堆積装置を示す概略図である。 実施例5で用いた微粒子堆積装置を示す概略図である。
符号の説明
1 微粒子分散溶液
2 シリンジポンプ
3 キャピラリー
3a キャピラリー先端
4 減圧チャンバー
4a ジェットノズル
5 成膜チャンバー
5a スキマーノズル
6 電界型イオンレンズ
8 被成膜基板
10 基板(ガラス基板)
12 n型電極(電子注入電極)
14 発光層
14a 量子ドット分散部分
16 量子ドット
18 p型電極(正孔注入電極)
51 イオン光学系領域
52 高真空領域
71,72,73 エネルギー分離装置

Claims (14)

  1. 微粒子が溶媒中に分散してなる溶液を原料に用いて、被堆積体上に前記微粒子を堆積するための微粒子堆積装置であって、
    前記原料を供給する溶液供給装置と、
    前記原料を帯電させる帯電装置と、
    内部を減圧雰囲気にするための排気口を備えた減圧チャンバーであって、前記溶液供給装置から噴出される原料をジェットノズルを通じて内部に導入可能な減圧チャンバーと、
    内部を前記減圧チャンバーより高い真空度にするための排気口を備えた成膜チャンバーであって、前記減圧チャンバー内から排出される原料をスキマーノズルを通じて内部に導入可能であると共に、この原料のうち、特定の質量電荷比を有する微粒子のみを選別して内部に配置した被堆積体上に堆積させる分離装置を備えた成膜チャンバーと、
    を有することを特徴とする微粒子堆積装置。
  2. 前記成膜チャンバー内には、前記帯電装置により帯電した原料を収束させるレンズ装置と、このレンズ装置によって収束された原料に電界若しくは磁界を印加して特定の質量電荷比を有する微粒子のみを前記被堆積体の方向に進行させて被堆積体上に堆積させる分離装置を有することを特徴とする請求項1記載の微粒子堆積装置。
  3. 前記帯電装置が、前記溶液供給装置を所定電位にするための電圧印加装置であることを特徴とする請求項1又は2記載の微粒子堆積装置。
  4. 前記帯電装置が、前記減圧チャンバー内を放電領域にするために、前記ジェットノズルとスキマーノズルとの間に放電電圧を印加する放電電圧印加装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の微粒子堆積装置。
  5. 前記分離装置が、電界発生手段を用いた軌道偏向エネルギー分離装置である静電型エネルギー分離装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微粒子堆積装置。
  6. 前記分離装置が、磁界発生手段又は直交電磁界発生手段を用いた軌道偏向質量分離装置である電磁場型質量分離装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微粒子堆積装置。
  7. 前記分離装置が、高周波多重極型質量分離装置であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の微粒子堆積装置。
  8. 前記分離装置から前記被堆積体に向けて進行する微粒子を減速させる微粒子減速装置を有することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の微粒子堆積装置。
  9. 前記微粒子減速装置によって減速された微粒子を収束して前記被堆積体上に堆積させる微粒子収束装置を有することを特徴とする請求項8記載の微粒子堆積装置。
  10. 前記成膜チャンバーは、前記分離装置が配置されるイオン光学領域と、前記被堆積体が配置される高真空領域とに区分され、これらの領域は、微粒子を通過させるアパーチャーを備えた隔壁によって仕切られており、それぞれの領域を目的の真空度にする排気装置が設けられ、高真空領域の真空度がイオン光学領域の真空度よりも高真空に維持されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の微粒子堆積装置。
  11. 半導体微粒子が溶媒中に分散してなる溶液を用い、請求項1乃至10のいずれかに記載の微粒子堆積装置を用いて半導体微粒子を被堆積体に堆積させることを特徴とする半導体微粒子堆積物製造方法。
  12. 微粒子が溶媒中に分散してなる溶液を原料に用いて、被堆積体上に前記微粒子を堆積するための微粒子堆積物製造方法であって、
    溶液供給装置から前記原料を噴出し、前記原料を帯電させる帯電工程と、
    前記原料を、内部が減圧雰囲気にされた減圧チャンバーに設けられたジェットノズルを通じて内部に導入する工程と、
    前記減圧チャンバー内を進行する噴流を、内部を前記減圧チャンバーより高い真空度に保持された成膜チャンバーに設けられたスキマーノズルを通じて内部に導入する工程と、
    前記原料から、特定の質量電荷比を有する微粒子のみを選別して内部に配置した被堆積体上に堆積させる分離工程と、
    を有することを特徴とする微粒子堆積物製造方法。
  13. 前記帯電工程は、溶液供給装置としてキャピラリーを用い、前記キャピラリー先端から大気圧雰囲気中に前記溶液を微細液滴流として噴出させるとともに、前記キャピラリーを所定電位にすることで前記キャピラリー先端から噴出される微細液滴を帯電させるものである特徴とする請求項12記載の微粒子堆積物製造方法。
  14. 前記帯電工程は、前記減圧チャンバー内を放電領域とし、前記減圧チャンバー内に前記原料を通過させる工程であることを特徴とする請求項12又は13記載の微粒子堆積物製造方法。
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