JPH11354843A - Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途 - Google Patents

Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途

Info

Publication number
JPH11354843A
JPH11354843A JP15610898A JP15610898A JPH11354843A JP H11354843 A JPH11354843 A JP H11354843A JP 15610898 A JP15610898 A JP 15610898A JP 15610898 A JP15610898 A JP 15610898A JP H11354843 A JPH11354843 A JP H11354843A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
layer
quantum dot
group iii
iii nitride
base
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP15610898A
Other languages
English (en)
Inventor
Satoru Tanaka
悟 田中
Katsunobu Aoyanagi
克信 青柳
Yoichiro Ouchi
洋一郎 大内
Hiroaki Okagawa
広明 岡川
Kazuyuki Tadatomo
一行 只友
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Cable Industries Ltd
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Original Assignee
Mitsubishi Cable Industries Ltd
RIKEN Institute of Physical and Chemical Research
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Cable Industries Ltd, RIKEN Institute of Physical and Chemical Research filed Critical Mitsubishi Cable Industries Ltd
Priority to JP15610898A priority Critical patent/JPH11354843A/ja
Publication of JPH11354843A publication Critical patent/JPH11354843A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Led Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 キャップ層形成時における意図しない量子ド
ットの発生を抑制し、意図したとおりの仕様、組成、発
光特性を有する III族窒化物系量子ドット構造および半
導体発光素子の製造方法を提供すること。 【解決手段】 GaN系材料(A)からなるベース層a
の上面(ベース面)の表面状態をアンチサーファクタン
トSによって変化させ、GaN系材料(B)からなる量
子ドットbと、GaN系材料(C)からなるキャップ層
cとを形成するに際し、キャップ層の材料(C)を2元
の III族窒化物系の半導体材料とすることによって、キ
ャップ層成長のための供給原料ガスからの有害な量子ド
ットの発生を阻止し、キャップ層cの組成を安定させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、 III族窒化物系の
半導体材料からなる量子ドット構造の製造方法と、その
用途である半導体発光素子の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】III族窒化物系の半導体材料(例えば、
GaN、InGaNなど)からなる発光素子は、近年高
輝度の発光ダイオード(LED)が実現されたのを機会
に研究が活発に行われており、半導体レーザの室温連続
発振の報告も聞かれる様になっている。
【0003】上記発光素子のなかでも、緑色〜青色の短
い波長の発光が得られ、しかも高い発光効率が得られる
ものとして、発光層(活性層)にInGaNの量子井戸
層を用いたものがある。InGaNを用いて量子井戸層
を形成する場合、その熱力学的な不安定性から、層全体
にわたって均一な組成比にはならず、層中で局所的にI
n組成比の異なった部分が発生する。この部分は量子ド
ットに似た性質をもつ。InGaNの量子井戸層を発光
層として用いた発光素子では、この量子ドット的な部位
が、層の厚み方向のみならず3次元的な方向について励
起子を閉じ込める作用を示し、この部分でキャリアの再
結合発光が起きると言われており、これがInGaN量
子井戸層が高い発光効率で発光し得る要因の1つとされ
ている。
【0004】InGaN量子井戸層中の量子ドット的な
部位は、InGaN自体の性質によってInGaN層中
に存在するものである。他方、GaAs系の材料では、
ドット材料と基板材料との格子不整合を利用した量子ド
ットの形成が知られている。
【0005】これらに対して、近年、 III族窒化物系の
半導体材料( III族窒化物系材料)からなる結晶層をベ
ース層として、その層上面(ベース面)にアンチサーフ
ァクタントによる特殊な表面処理を施し、特定の気相成
長法を用いることによって、該ベース面上にこれと格子
整合性の良好な III族窒化物系材料を量子ドットとして
突起状に結晶成長させ得ることが明らかとなった(App
l.Phys.Lett.69(1996)4096 )。この III族窒化物系の
量子ドットの形成のメカニズムは、前記InGaNや、
GaAs系における量子ドットの形成とは全く異なるも
のである。
【0006】上記アンチサーファクタントを用いる方法
では、 III族窒化物系の量子ドットを形成した後、さら
に別の III族窒化物系材料を用い、ベース面上の残りの
領域を出発面として量子ドットを埋め込む層(キャップ
層)を成長させ、 III族窒化物系量子ドット構造として
いる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このような
アンチサーファクタントを用いた量子ドット構造の製造
方法では、キャップ層を成長させる際に、該キャップ層
を形成するための原料の供給によって、先の量子ドット
に加えて意図せぬ量子ドットがベース面上に発生する場
合があることを、本発明者等は新たに見い出した。そし
てこのような意図せぬ量子ドットを含んだ量子ドット構
造を発光素子に用いると、本来意図して形成した量子ド
ットからの発光だけでなく、意図せず発生した量子ドッ
トから他の波長光が発せられ、発光色の単色性が悪くな
る等、発光素子にとって有害な現象が発生することを見
い出した。そこで、本発明者等は、このような意図しな
い量子ドットの発生を阻止し、 III族窒化物系量子ドッ
ト構造の仕様や組成などを安定させることを解決すべき
課題としたのである。
【0008】本発明の目的は、上記のような III族窒化
物系量子ドット構造の製造において、キャップ層形成時
に起こる意図しない量子ドットの発生を抑制し、意図し
たとおりの仕様、組成、発光特性を有する III族窒化物
系量子ドット構造の製造方法を提供し、さらにこれを半
導体発光素子の製造方法に応用することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意研究
の結果、意図しない量子ドットが発生するのは、キャッ
プ層の組成を3元以上とする場合であることを見い出し
た。キャップ層の組成を3元以上として原料を供給する
と、供給した原料のなかから、成長すべきキャップ層の
組成とは異なる組成にて意図しない量子ドットが先ず形
成され、次に、成長すべきキャップ層が成長することが
わかった。即ち、意図しない量子ドットの発生を阻止
し、安定したキャップ層を形成するには、キャップ層の
組成を2元とすればよいことがわかったのである。
【0010】本発明によるGaN系量子ドット構造の製
造方法は、以下の特徴を有するものである。 (1) III族窒化物系の半導体材料(A)からなる結晶
層をベース層とし、該ベース層上面の表面状態をアンチ
サーファクタントによって変化させた後、下記(i)の
格子整合性を有する III族窒化物系の半導体材料(B)
を気相成長法にて供給することによって、ベース層上面
に材料(B)からなる量子ドットを形成し、次に、前記
材料(B)とは異なる2元の III族窒化物系の半導体材
料(C)によって、前記量子ドットを埋め込んでベース
面上に成長する結晶層を形成する工程を有することを特
徴とする III族窒化物系量子ドット構造の製造方法。
【0011】上記および下記の説明でいう(i)の格子
整合性とは、次に示す格子整合性をいう。 (i)ベース層上面の表面状態をアンチサーファクタン
トによって変化させることなく、該ベース層上面に III
族窒化物系の半導体材料(B)を直接的に結晶成長させ
たとき、該ベース層上面に膜状に結晶成長し得るよう
な、ベース層の材料(A)に対する材料(B)の格子整
合性。
【0012】(2)上記量子ドットを埋め込んでベース
面上に成長する結晶層を、新たにベース層とする繰り返
しの態様にて、量子ドットとこれを埋め込む結晶層との
形成を繰り返し、それによって最初のベース層上に、量
子ドットとこれを埋め込む結晶層との組を1段としてこ
れを2段以上積層し、多重の量子ドット構造とするもの
である上記(1)記載の製造方法。
【0013】(3)材料(B)のバンドギャップが、材
料(A)および材料(C)の各々のバンドギャップより
も小さいものである上記(1)記載の製造方法。
【0014】(4)材料(C)がGaNまたはAlNで
ある上記(3)記載の製造方法。
【0015】また、本発明による III族窒化物系量子ド
ット構造の製造方法の用途は、上記(1)〜(4)のい
ずれかに記載の製造方法によって得られる III族窒化物
系量子ドット構造を、発光に係る部分として形成するこ
とを特徴とする半導体発光素子の製造方法である。
【0016】本発明でいう III族窒化物系の半導体材料
とは、式InX GaY AlZ N(0≦X≦1、0≦Y≦
1、0≦Z≦1、X+Y+Z=1)で表されるものであ
る。この III族窒化物系の半導体材料のなかには、Al
NのようにGaを含まないものもあるが、以下、「 III
族窒化物系」を「GaN系」とも呼んで説明する。
【0017】また、ベース層を構成するGaN系材料
(A)を「ベース材料」、量子ドットを構成するGaN
系材料(B)を「ドット材料」、量子ドットを埋め込ん
でベース面上に成長する結晶層を「キャップ層」、該キ
ャップ層を構成するGaN系材料(C)を「ドット材
料」とも呼んで説明する。
【0018】本発明でいうGaN系量子ドット構造は、
GaN系材料からなる量子ドットが、そのドット材料と
は異なる組成比のGaN系材料からなるベース層とキャ
ップ層とによって包含された構造をいう。
【0019】
【作用】上記したとおり、本発明者等は、アンチサーフ
ァクタントによって表面処理がなされたベース面上に、
3元以上の組成のGaN系材料をその組成比に従って気
相にて原料供給したとき、先ず、供給した原料のなかか
ら、供給した組成比とは異なる組成比をもって量子ドッ
トが先に形成され、次に、これを埋めるキャップ層が形
成される現象があることを新たな知見として得た。本発
明では、この現象をもとに、キャップ材料の組成を2元
のGaN系材料に限定することとした。この限定によっ
て、キャップ層の組成は、多元混晶とした場合のような
大きな変動ではなく、化学量論組成からの微小な変動だ
けの実質的に一定した組成となり、意図せぬ量子ドット
の発生は阻止され、常に意図したとおりの仕様、組成の
GaN系量子ドット構造が安定して形成される。
【0020】ここで、GaN系材料が結晶成長するよう
に気相成長法にて原料ガスを供給するとは、そのGaN
系材料がその組成のとおりのGaN系結晶として形成さ
れるような元素の比にて、原料ガスを気相成長法の条件
下でベース面上に供給することである。
【0021】ドット材料は、ベース材料に対して上記
(i)の格子整合性を有する。即ち、ベース面の表面状
態を何ら変化させることなく従来通りの結晶成長法・成
長条件にてベース面上にキャップ材料を成長させた場合
には、ドット材料は、従来知られているとおり、膜とし
てベース面上を全面覆う結晶層として成長する材料であ
る。即ち、ドット材料とベース材料とは、共にGaN系
材料であって少なくともその程度に格子整合していると
いうことである。
【0022】ドット材料とベース材料とが、共にGaN
系材料であってしかも上記のような格子整合の関係にあ
る状態において、ベース面上に、ドット材料を膜状とし
てではなく量子ドットとして成長させるためには、ベー
ス面にアンチサーファクタント(ベース面の表面状態を
変化させる物質)を作用させる。ベース面の表面状態の
変化については、詳しくは解明されていないが、表面自
由エネルギーが小さくなる変化であると考えられる。表
面状態をこのように変化させることによって、GaN系
材料からなる層上に、GaN系材料が量子ドットとして
成長する。
【0023】
【発明の実施の形態】図1は本発明の製造方法によって
GaN系量子ドット構造が形成される様子を示す断面図
である。GaN系材料(ベース材料(A))からなる結
晶層をベース層aとし、該ベース層の上面をベース面と
する。ベース層aは、気相成長装置の槽内に配置されて
おり、ベース面上にGaN系材料が結晶成長可能な環境
となっている。
【0024】本発明によるGaN系量子ドット構造の製
造方法は、この状態から、先ず図1(a)に示すよう
に、槽内にアンチサーファクタントSを供給し、ベース
面と接触させてその表面状態を変化させる。次に、図1
(b)に示すように、量子ドットを構成すべきGaN系
材料をドット材料(B)として、その原料ガスB1を供
給し、ベース面上に該材料(B)からなる量子ドットb
を形成する。このドット材料(B)は、ベース材料
(A)に対して上記(i)の格子整合性を有するもので
ある。次に、図1(c)に示すように、ドット材料
(B)とは異なる組成で2元のGaN系材料をキャップ
材料(C)として、その原料ガスC1を供給し、量子ド
ットbを埋め込んで結晶成長するキャップ層cをベース
面上に形成し、GaN系量子ドット構造を得る。このよ
うな製造方法とすることによって、キャップ層の原料ガ
スを供給しても、該原料から意図せぬ量子ドットが発生
することはない。
【0025】本発明によって得られる量子ドット構造
は、図3に示すように、半導体発光素子における発光現
象に係る部分として好ましく利用することができる。そ
の場合、発光する部分である量子ドットに電子およびホ
ールを効率よく注入するため、ベース材料、キャップ材
料のバンドギャップよりも、ドット材料のバンドギャッ
プを小さくすることが必要となる。このバンドギャップ
の大小関係とする態様について、以下説明する。
【0026】ベース材料、ドット材料、キャップ材料
は、ともに上記式InX GaY AlZNで表される窒化
物半導体である。本発明ではキャップ材料の組成を2元
のGaN系材料に限定しているから、ドット材料は、そ
の限定されたキャップ材料よりもバンドギャップの小さ
いGaN系材料であって、かつ上記(i)の格子整合性
を有するものであればよい。ドット材料とキャップ材料
との好ましい組合せは、(ドット材料/キャップ材料)
のように表記するとして、(GaN/AlN)、(In
GaN/GaN)などが挙げられる。
【0027】ベース材料は、ドット材料よりもバンドギ
ャップの大きいGaN系材料が発光素子には好ましく、
またドット材料にとって上記(i)の格子整合性の対象
となるものであればよい。
【0028】ベース面にGaN系材料を量子ドットとし
て形成するには、上記作用の説明で述べたように、ベー
ス面にその表面状態を変化させる物質(アンチサーファ
クタント)を作用させる。ベース面にアンチサーファク
タントを作用させるには、ベース面とアンチサーファク
タントとを接触させればよい。接触の方法は限定されな
いが、例えば、MOCVD法によって、AlNからなる
ベース層を成長させた後、該ベース面上に、GaNから
なる量子ドットを形成する場合であれば、MOCVD装
置内でベース層が成長した後、装置内にガス状のアンチ
サーファクタントを供給して、該ガスをベース面に接触
させる方法が挙げられる。
【0029】アンチサーファクタントをガス状として供
給するには、例えば、テトラエチルシランをアンチサー
ファクタントとするのであれば、その溶液にH2 ガスを
バブリングさせることにより、H2 ガスをキャリアガス
として供給する方法が挙げられる。
【0030】アンチサーファクタントとして用いられる
物質は、上記(i)の格子整合性を有するGaN系材料
がドット状に成長する程度に、ベース面の表面状態を変
化させる物質であればよく、ベース材料とドット材料と
の組合せによって適当なものが選択でき、限定されな
い。例えば、AlNからなるベース層上にGaNを量子
ドットとして形成させる場合、アンチサーファクタント
としては、テトラエチルシランが挙げられる。その他、
ベース材料とドット材料との組合せに応じて、Si
4 、Si2 6 、またはこれらの混合ガス、Cp2
g(ビスシクロペンタジエニルマグネシウム)等が挙げ
られる。
【0031】量子ドットおよびキャップ層を成長させる
ときの原料供給法を含む結晶成長方法は、気相成長法に
従えばよく、特にMOCVD、MBEなどが好ましい方
法として挙げられる。
【0032】個々の量子ドットの大きさ、形状、また量
子ドットの分散の度合いは、アンチサーファクタントの
供給量、量子ドットの成長温度、ベース材料の組成をパ
ラメータとして変化させることによって制御することが
できる。
【0033】以上は、1つの量子ドット構造を製造する
方法であるが、これを繰り返すことによって、多重の量
子ドット構造を容易に形成することができる。即ち、図
2に5段の例を挙げて示すように、先ず、アンチサーフ
ァクタントの処理によってベース層aの上面に量子ドッ
トb1を形成し、さらにキャップ層c1を形成し、量子
ドット構造とする。この状態で、量子ドットとキャップ
層との組を1段として数える。そのキャップ層c1の上
面を新たにベース面として、再びアンチサーファクタン
トの処理によって量子ドットb2とキャップ層c2との
組(2段目)を成長させるという繰り返しの態様にて、
最初のベース層a上に、量子ドットとキャップ層との組
を(b1、c1)〜(b5、c5)として、5段まで積
層し、多重量子ドット構造とするのである。
【0034】多重量子ドット構造の各段の量子ドットの
材料は、上記説明と同様、そのベース層の材料よりもバ
ンドギャップの小さい材料であればよい。多重量子ドッ
ト構造において、各段の量子ドットのバンドギャップが
その周囲の材料のバンドギャップよりも小さいのであれ
ば、各段のキャップ材料同士は、互いに異なるバンドギ
ャップでもよい。
【0035】本発明による量子ドット構造の製造方法を
用いたGaN系発光素子の製造例を図3に示す。同図で
は、説明のために簡単な構造のLEDを例として示して
いる。同図に示すように、結晶基板1上に、GaN系材
料からなる結晶層を順次成長させて積み重ね、上記説明
によって形成される量子ドット構造3を含む積層体Sを
形成し、これにp型側の電極5とn型側の電極6を設け
て構成する。層2はn型コンタクト層、層4はp型コン
タクト層である。
【0036】図3の例における伝導型(p型、n型)の
上下位置関係は、伝導型を形成するための加工上の理由
から、結晶基板側をn型とし上層側をp型とする一般的
なものとなっている。また、同図の例では、結晶基板に
絶縁体(サファイア結晶基板)を用いており、層2の上
面を露出させ、その面に電極6を設けるという電極の配
置となっている。しかし、p/n型の上下が逆の態様
や、結晶基板が導電性を有する場合の電極配置なども自
由に選択してよい。
【0037】図3の量子ドット構造3におけるベース層
aとキャップ層cの伝導型は、同じであっても、互いに
異なるものであってもよく、発光素子における発光部分
としてどのように用いるかによって選択すればよい。図
3の例における量子ドット構造3では、第1伝導型(図
ではn型)のベース層aと、多数の量子ドットbと、第
2伝導型(図ではp型)のキャップ層cとからなる。ベ
ース層aとキャップ層cはクラッド層としての役割を果
たし、量子ドットbがその中で発光部としての役割を果
たす。また、ベース層aとキャップ層cの伝導型を同じ
として、これらをさらにバンドギャップの大きいn型、
p型のクラッド層で挟んだ構造としてもよい。
【0038】図3の発光素子を構成するための結晶基板
は、GaN系結晶が成長可能なものであればよく、例え
ば、従来からGaN系結晶を成長させる際に汎用されて
いる、サファイア、水晶、SiC等が挙げられる。なか
でも、サファイアのC面、A面、6H−SiC基板、特
にC面サファイア基板が好ましい。またこれら材料の表
面に、GaN系結晶との格子定数や熱膨張係数の違いを
緩和するためのZnO、MgOやAlN等のバッファー
層を設けたものであっても良く、さらにはGaN系結晶
の薄膜を表層に有するものでもよい。図3の例では、基
礎となるサファイア結晶基板1a上に、格子整合性を改
善するためのバッファー層1bが形成されたものを結晶
基板1として用いている。
【0039】
【実施例】本実施例では、本発明による量子ドット構造
の製造方法を用いながら、図3に示す構造のLEDを実
際に製作した。本実施例は、量子ドット構造部分におけ
るベース材料をAlNとし、ドット材料をGaNとし、
キャップ材料をAlNとしたGaN系量子ドット構造を
発光素子中に形成した例である。
【0040】〔結晶基板1の形成〕最も基礎の結晶基板
1aとしてはサファイアC面基板を用いた。まずこのサ
ファイア基板1aをMOCVD装置内に配置し、水素雰
囲気下で1200℃まで昇温し、サーマルエッチングを
行った。その後温度を500℃まで下げAl原料として
トリメチルアルミニウム(以下TMA)、N原料として
アンモニアを流し、AlN低温バッファー層1bを30
nm成長させ、結晶基板1を得た。
【0041】〔n型コンタクト層2の形成〕成長温度を
1000℃に昇温し、Ga原料としてトリメチルガリウ
ム(以下TMG)、N原料としてアンモニア、ドーパン
ト原料としてシランを流し、n型GaNコンタクト層2
を3μm成長させた。
【0042】〔量子ドット構造3の形成〕 ベース層aの形成;成長温度を1100℃とし、TM
A、アンモニア、ドーパント原料としてシランを供給
し、ベース層aとしてn型AlN層を0.5μm成長さ
せた。ベース層aは、n型クラッド層としての機能を果
たす層である。
【0043】ベース面の表面処理;温度を1000℃
とし、H2 ガスをキャリアとしてテトラエチルシランを
供給し、ベース面に10秒間接触させた。
【0044】量子ドットbの形成;成長温度を100
0℃とし、TMG、アンモニアを供給し、GaNからな
る量子ドットbを形成した。量子ドット個々の高さhの
平均は約6nm、個々の幅wの平均は40nmであっ
た。また、ベース面上における量子ドットの分散の度合
い(密度、即ち単位面積当たりの量子ドットの数)は、
約3×109 cm-2であった。
【0045】キャップ層cの形成;成長温度を110
0℃とし、TMA、アンモニア、ドーパント原料として
ビスシクロペンタジエニルマグネシウム(Cp2 Mg)
を供給し、キャップ層cとしてp型AlN層を0.5μ
m成長させた。キャップ層cは、p型クラッド層として
の機能を果たす層である。
【0046】〔p型コンタクト層4の形成〕成長温度を
1000℃とし、TMG、アンモニア、およびドーパン
ト原料としてCp2 Mgを供給し、p型GaNコンタク
ト層4を1μm成長させた。
【0047】〔電極の形成等〕試料を装置から取り出
し、窒素雰囲気、800℃で20分間アニール処理を行
った。最後に、p型コンタクト層上にp型電極5を形成
し、またドライエッチングにより積層体の上面からp型
層と量子ドット構造の一部をエッチング除去し、n型コ
ンタクト層2の上面を露出させ、n型電極6を形成し、
LEDとした。
【0048】このLEDを、To−18ステム台にマウ
ントし、20mAでの光度の測定を行ったところ、50
mcdであった。また、この発光素子から発せられた光
のスペクトルを測定したところ、設計値どおりの単一の
ピークを有するものであり、本発明者らが提起した問題
が解消されていることがわかった。
【0049】比較例 上記実施例において、キャップ層の材料をAlGaNと
して、該キャップ層形成時に(原料ガス)TMG、TM
A、アンモニアを供給したこと以外は、上記実施例と同
様にLEDを作製した。キャップ層成長時においては、
先ず、正規の量子ドットbに加えて別の量子ドットが新
たに発生し、本来意図した量子ドット構造の仕様が変化
した。
【0050】このLEDを、上記実施例と同様に20m
Aでの光度の測定を行ったところ、25mcdであっ
た。また、この発光素子から発せられた光のスペクトル
を測定したところ、本来意図した発光波長のピークに加
え、意図せず発生した量子ドットからの発光と思われる
別の波長のピークが存在していた。
【0051】
【発明の効果】以上のように、本発明の製造方法によっ
て、本発明者等が発見した問題点(即ち、意図しない量
子ドットの発生)は抑制され、意図したとおりの仕様、
組成、発光特性を有する III族窒化物系量子ドット構
造、半導体発光素子が得られるようになった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法によってGaN系量子ドット
構造が形成される様子を示す断面図である。同図では、
他の層と区別するために、ベース層にハッチングを施し
ている。
【図2】図1に示す製造方法を繰り返すことによって得
られるGaN系の多重量子ドット構造の一例を示す断面
図である。同図では、断面を示すハッチングを省略して
いる。
【図3】本発明によって製造されたGaN系半導体発光
素子の一例を示す断面図である。同図では、説明のため
に、各層の厚み、量子ドット・電極の寸法などを誇張し
て示しており、実際の比率とは異なる。また、他の層と
区別するために、電極、ベース層、キャップ層にハッチ
ングを施している。
【符号の説明】
S アンチサーファクタント a ベース層 B1 ドット材料 b 量子ドット C1 キャップ材料 c キャップ層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 悟 北海道札幌市中央区宮の森一条13丁目2− 3 ソレアード宮の森3−2 (72)発明者 青柳 克信 埼玉県和光市広沢2番1号 理化学研究所 内 (72)発明者 大内 洋一郎 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 岡川 広明 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内 (72)発明者 只友 一行 兵庫県伊丹市池尻4丁目3番地 三菱電線 工業株式会社伊丹製作所内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 III族窒化物系の半導体材料(A)から
    なる結晶層をベース層とし、該ベース層上面の表面状態
    をアンチサーファクタントによって変化させた後、下記
    (i)の格子整合性を有する III族窒化物系の半導体材
    料(B)を気相成長法にて供給することによって、ベー
    ス層上面に材料(B)からなる量子ドットを形成し、 次に、前記材料(B)とは異なる2元の III族窒化物系
    の半導体材料(C)によって、前記量子ドットを埋め込
    んでベース面上に成長する結晶層を形成する工程を有す
    ることを特徴とする III族窒化物系量子ドット構造の製
    造方法。 (i)ベース層上面の表面状態をアンチサーファクタン
    トによって変化させることなく、該ベース層上面に III
    族窒化物系の半導体材料(B)を直接的に結晶成長させ
    たとき、該ベース層上面に膜状に結晶成長し得るよう
    な、ベース層の材料(A)に対する材料(B)の格子整
    合性。
  2. 【請求項2】 上記量子ドットを埋め込んでベース面上
    に成長する結晶層を、新たにベース層とする繰り返しの
    態様にて、量子ドットとこれを埋め込む結晶層との形成
    を繰り返し、それによって最初のベース層上に、量子ド
    ットとこれを埋め込む結晶層との組を1段としてこれを
    2段以上積層し、多重の量子ドット構造とするものであ
    る請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 材料(B)のバンドギャップが、材料
    (A)および材料(C)の各々のバンドギャップよりも
    小さいものである請求項1記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 材料(C)がGaNまたはAlNである
    請求項3記載の製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方
    法を用い、該製造方法によって得られる III族窒化物系
    量子ドット構造を、発光に係る部分として形成すること
    を特徴とする半導体発光素子の製造方法。
JP15610898A 1998-06-04 1998-06-04 Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途 Pending JPH11354843A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15610898A JPH11354843A (ja) 1998-06-04 1998-06-04 Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP15610898A JPH11354843A (ja) 1998-06-04 1998-06-04 Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JPH11354843A true JPH11354843A (ja) 1999-12-24

Family

ID=15620495

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15610898A Pending JPH11354843A (ja) 1998-06-04 1998-06-04 Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JPH11354843A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004247493A (ja) * 2003-02-13 2004-09-02 Ngk Insulators Ltd エピタキシャル基板、半導体積層構造及びiii族窒化物層群の転位低減方法
JP2006140357A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Mitsubishi Cable Ind Ltd 窒化物半導体発光素子
JP2006190710A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Mitsubishi Cable Ind Ltd 窒化物半導体発光素子およびその製造方法
CN100341115C (zh) * 2000-08-18 2007-10-03 昭和电工株式会社 Ⅲ族氮化物半导体晶体的制造方法、基于氮化镓的化合物半导体的制造方法、基于氮化镓的化合物半导体、基于氮化镓的化合物半导体发光器件、以及使用半导体发光器件的光源
JP2008311579A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Sharp Corp 窒化物半導体発光素子の製造方法
US7829154B2 (en) 2004-10-21 2010-11-09 Hoya Corporation Particle deposition apparatus, particle deposition method, and manufacturing method of light-emitting device
US8227327B2 (en) 2009-01-22 2012-07-24 Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University Method for epitaxial growth
WO2013054431A1 (ja) * 2011-10-14 2013-04-18 富士通株式会社 半導体装置及びその製造方法、電源装置
US20140130731A1 (en) * 2012-10-25 2014-05-15 The University Of Utah Use of surfactants to control island size and density
CN108242385A (zh) * 2016-12-23 2018-07-03 比亚迪股份有限公司 生长氮化镓的方法、氮化镓外延结构及半导体器件

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100341115C (zh) * 2000-08-18 2007-10-03 昭和电工株式会社 Ⅲ族氮化物半导体晶体的制造方法、基于氮化镓的化合物半导体的制造方法、基于氮化镓的化合物半导体、基于氮化镓的化合物半导体发光器件、以及使用半导体发光器件的光源
JP2004247493A (ja) * 2003-02-13 2004-09-02 Ngk Insulators Ltd エピタキシャル基板、半導体積層構造及びiii族窒化物層群の転位低減方法
US7829154B2 (en) 2004-10-21 2010-11-09 Hoya Corporation Particle deposition apparatus, particle deposition method, and manufacturing method of light-emitting device
JP2006140357A (ja) * 2004-11-12 2006-06-01 Mitsubishi Cable Ind Ltd 窒化物半導体発光素子
JP2006190710A (ja) * 2004-12-28 2006-07-20 Mitsubishi Cable Ind Ltd 窒化物半導体発光素子およびその製造方法
JP2008311579A (ja) * 2007-06-18 2008-12-25 Sharp Corp 窒化物半導体発光素子の製造方法
US8227327B2 (en) 2009-01-22 2012-07-24 Industry-University Cooperation Foundation Hanyang University Method for epitaxial growth
WO2013054431A1 (ja) * 2011-10-14 2013-04-18 富士通株式会社 半導体装置及びその製造方法、電源装置
CN103875073A (zh) * 2011-10-14 2014-06-18 富士通株式会社 半导体装置及其制造方法、电源装置
JPWO2013054431A1 (ja) * 2011-10-14 2015-03-30 富士通株式会社 半導体装置及びその製造方法、電源装置
US9231056B2 (en) 2011-10-14 2016-01-05 Fujitsu Limited Semiconductor device and fabrication method therefor, and power supply apparatus
US20140130731A1 (en) * 2012-10-25 2014-05-15 The University Of Utah Use of surfactants to control island size and density
US9735008B2 (en) * 2012-10-25 2017-08-15 University Of Utah Research Foundation Use of surfactants to control island size and density
CN108242385A (zh) * 2016-12-23 2018-07-03 比亚迪股份有限公司 生长氮化镓的方法、氮化镓外延结构及半导体器件

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7190001B2 (en) GaN based semiconductor light emitting device and method of making the same
KR101241477B1 (ko) 질화물 반도체 발광소자 및 그 제조 방법
JP4405085B2 (ja) 縦型窒化インジウムガリウムled
JP3660801B2 (ja) GaN系半導体発光素子
KR100784065B1 (ko) 질화물 반도체 발광소자 및 그 제조방법
US20050236631A1 (en) Light emitting device using nitride semiconductor and fabrication method of the same
US20080191191A1 (en) Light Emitting Diode of a Nanorod Array Structure Having a Nitride-Based Multi Quantum Well
US20090121214A1 (en) Iii-nitride semiconductor light-emitting device and manufacturing method thereof
JP2010021287A (ja) Iii族窒化物系半導体発光素子、及びエピタキシャルウエハ
JPH11354842A (ja) GaN系半導体発光素子
JP3667995B2 (ja) GaN系量子ドット構造の製造方法およびその用途
KR100661960B1 (ko) 발광 다이오드 및 그 제조 방법
JPH11354843A (ja) Iii族窒化物系量子ドット構造の製造方法およびその用途
US20120241753A1 (en) Semiconductor device and method for manufacturing same
JP2009224370A (ja) 窒化物半導体デバイス
KR100728132B1 (ko) 전류 확산층을 이용한 발광 다이오드
JP4178836B2 (ja) 窒化ガリウム系半導体素子及びその製造方法
KR20090070980A (ko) 질화물 반도체 발광 소자 및 그 제조 방법
JP2006128653A (ja) 3−5族化合物半導体、その製造方法及びその用途
JP2007214378A (ja) 窒化物系半導体素子
CN211719609U (zh) 一种光电器件结构
TWI545798B (zh) Nitride semiconductor light emitting device and manufacturing method thereof
CN110050330B (zh) Iii族氮化物半导体
JP2008227103A (ja) GaN系半導体発光素子
KR100853935B1 (ko) 반도체 발광 다이오드 및 그의 제조방법

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20031212

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20031201

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20040604

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20040604

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20041214