JP4465965B2 - 熱処理装置および熱処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱処理炉の内部に配置された被処理体の加熱或いは冷却を行うとともに被処理体の収縮や歪み等の変形を計測する熱処理装置および熱処理方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、焼入れ等の熱処理を行うと熱処理対象の被処理体には焼歪みが生じる。焼歪みには、膨張、収縮の寸法変化と、曲り、反り、捩れなどの形状変化(変形)との二通りがあり、形状変化は不均一冷却や不均一加熱が原因となる。特に不均一冷却が曲り等の形状変化の原因となり、曲りは通常早く冷えた側が凸となり、遅く冷えた側が凹となる。形状変化が生じた被処理体は機械加工等により直す必要があり、これには相当の手間と時間がかかり、熱処理作業のコスト増大に繋がる。
【0003】
従来、熱処理を行うときに生じる曲り等の形状変化を軽減するため、被処理体の均一冷却や均一加熱を行うシステムが提供されている。これは、予めサンプルから均一冷却や均一加熱を行うのに適当と考えられる温度、時間、および被処理体に当る冷却ガス等の流路方向等を情報として取得し、この情報を基に熱処理を行う際の温度や時間を決定するとともに、一定時間により冷却ガス等の流路方向を切り替えるシステムである。このシステムを使用して熱処理を行うと、より均一に被処理体の冷却や加熱を行うことが可能となり、被処理体の曲り等の形状変化を軽減することができる(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−225830号公報 (第3−4頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した従来のシステムによると、均一冷却や均一加熱を行うのに適当と考えられる温度、時間及び流路方向等は、被処理体の形状や材質等により大きく異なるため、被処理体毎にそれらの情報を取得する必要があるという問題が存在する。このため、多種類の被処理体の熱処理を行う場合には、実際に熱処理を行うまでに膨大な量のサンプル実験を行う必要があり、相当の時間を費やすことになる。また、形状や材質等が同じサンプルの情報により被処理体の熱処理を行っても、多少の誤差により被処理体の形状変化が生じるため、最終的には機械加工等により直す必要がある。
【0006】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、熱処理対象である被処理体毎にその形状変化を把握し、被処理体の形状変化(変形)を抑止することができる熱処理装置および熱処理方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部に熱処理対象の被処理体が収納される熱処理炉を備える熱処理装置において、前記被処理体の表面上に定められた定点の位置を検知するセンサー部と、該センサー部に接続され前記定点の位置の変化から前記被処理体の変形を計測する計測部とからなる変位計測手段と、該変位計測手段と電気的に接続され、該変位計測手段によって計測される前記被処理体の変形の情報を受けて当該被処理体の変形を抑止するように熱処理手段を調節する制御部と、を備え、前記センサー部は、前記被処理体を挟むように対をなして設けられ、かつ、前記定点は、少なくとも前記被処理体の中央部及び両端部に設定されることを特徴とする。
【0008】
このような特徴により、熱処理炉の中に配置された熱処理対象である被処理体の変形は計測される。また、被処理体の変形の状態によって熱処理の温度設定や、熱処理を行うガスの風速や、熱処理を行うガスの量や、熱処理炉におけるガスの流路方向や、熱処理の時間等を調節する熱処理手段は適宜調整され、被処理体は均一に熱処理される。また、熱処理中の被処理体の変形はリアルタイムで計測される。また、相対的に被処理体全体の形状が把握され、被処理体全体の変形が計測される。また、熱処理によって生じる被処理体の収縮や膨張が把握される。
【0017】
また、前記センサー部は、前記熱処理炉の外部或いは該熱処理炉を内部に格納する熱処理室の外部のうちのいずれかに配置され、前記熱処理炉或いは前記熱処理室のうちの少なくとも一方には前記センサー部から出るレーザ光が通過する窓部が形成されていることを特徴としている。
【0018】
このような特徴により、センサー部から出るレーザ光は、窓部を通過して熱処理炉内に配置された被処理体に当たり、被処理体の定点の位置は計測される。
【0019】
本発明は、熱処理炉の内部に収納されている被処理体の熱処理方法であって、前記被処理体の熱処理を行うとともに前記被処理体の変形を計測し、前記被処理体の変形に応じて当該被処理体の変形を抑止するように前記被処理体の熱処理方向を調節することを特徴とする。
【0020】
このような特徴により、被処理体の変形の状態によって熱処理炉における冷却ガスの流路方向等の熱処理方向は切り換えられ、被処理体は均一に熱処理される。
【0021】
また、前記被処理体の変形の計測は、熱処理初期に前記被処理体に定められた複数の定点のうちの一つである基準点の位置を測定するとともに前記被処理体に定められた複数の定点のうちのその他の観測点の位置を測定し、熱処理中に前記基準点の位置を測定するとともに前記観測点の位置を測定し、熱処理初期の前記基準点及び前記観測点の位置と熱処理中の前記基準点及び前記観測点の位置との差分から算出することを特徴とする。
【0022】
このような特徴により、熱処理初期の被処理体の形状と熱処理中の被処理体の形状が把握され、被処理体の変形が計測される。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1及び図2は、本実施形態に係る熱処理装置1の全体構成の概略図であり、図1は縦断面図、図2は横断面図である。図1、図2に示すように、熱処理装置1は、被処理体Xを冷却する冷却室(熱処理室)2、被処理体Xを加熱する加熱室(熱処理室)3を備える多室型熱処理装置であり、これらに加えて、冷却室2と加熱室3との間に中間室4を有している。
【0024】
図3の(a)は冷却室2の拡大図であり、(b)は(a)のA−A'矢視図である。図3(a)、図3(b)に示すように、冷却室2は、冷却室2の内部が加圧状態となった場合にその圧力に耐えられるように略円筒形に形状設定されており、この円筒形の中心軸が水平となるように姿勢設定されている。冷却室2の一方側(図1及び図2における右側)には冷却室2の軸方向に水平移動するクラッチ式の扉5が設置されており、他方側(図1及び図2における左側)には上下に開閉するクランプ式の真空シールド扉(中間扉)6が設置されている。熱処理装置1の内側空間は、扉5が閉じた状態で外部と遮断された密閉状態となる。この冷却室2の内部には、冷却室2の中心軸方向に長い略直方体形の冷却炉(熱処理炉)7が設置され、冷却炉7の上方および下方には冷却室2内の冷却ガスの流路方向を調節するガス流案内板8a、8bがそれぞれ設置されている。また、冷却炉7外の冷却室2の内部は仕切板9によって上下に区分けされている。
【0025】
冷却炉7の長手方向に対応する冷却炉7の側面部7a,7bはそれぞれ扉5および真空シールド扉6に固定されているとともに冷却炉の本体7cと着脱自在に形成されており、扉5及び真空シールド扉6が閉まった場合には冷却炉7の内部が閉じられた空間となるように形成されている。冷却炉7の上壁部及び下壁部には、冷却ガスを整流して通過させる格子状の整流板10a,10bがそれぞれ形成されている。また、冷却炉7の内部には、被処理体Xを載せた架台11を冷却室2の軸方向に移送するための移送台12が設置されており、移送台12には複数のフリーローラ13が架台11の移送方向に回転自在に備えられている。また、架台11は冷却ガスが通過できるように例えば格子状に形成されている。
【0026】
また、冷却炉7の内部には、冷却室2の外部に配置された図2に示す加圧ガス供給装置14から供給される冷却ガスを吐出するガス吐出枝管15が被処理体Xの全体に吹付けられるように被処理体Xの上方及び下方にそれぞれ配置されている。具体的には、冷却炉7の長手方向に延在する四本のガス吐出枝管15が冷却炉7の四隅部にそれぞれ配置され、4本のガス吐出枝管15はヘッダー管16に各々接続されている。また、ガス吐出枝管15には被処理体Xに向けて冷却ガスが吐出する吐出口15aが複数形成されている。
【0027】
扉5は中空形状に形成されており、その内部には熱交換器17、冷却ファン18及びダンパ19a,19bが備えられている。熱交換器17は、水と冷却ガスを熱交換することによって冷却ガスを冷却するものであり、扉5内に配置された熱交換器格納室20の内部に配置されている。冷却ファン18は、熱交換器17内からガス通過口21aを通過してきた冷却ガスに流れを与えるためのものであり、熱交換器17と扉5の内周面との間、すなわち、冷却室2に載置される被処理体Xの側面から水平方向に離間するように配置されている。この冷却ファン18は、扉5から突出するように設置された冷却ファンモータ22によって駆動される。ダンパ19a,19bは、冷却ファン18による冷却ガスの流路方向を決定するものであり、熱交換器格納室20の上部および下部に形成された複数のガス通過口21a、21bと冷却ファン18の上方および下方に形成されたガス通過口21c、21dをそれぞれ選択的に閉鎖するものである。なお、熱交換器格納室20外の扉5の内部は、図示せぬ仕切板によって上下に区分けされている。
【0028】
また、冷却室2の外部には、レーザ光の波長を基準とした干渉法を利用して定点23までの直線距離を測定するセンサー部24と、定点23の位置の変化から被処理体Xの変形を計測する計測部25とから構成されている変位計測手段26が配置されている。このような構成の変位計測手段26により、冷却中の被処理体Xの変形をリアルタイムで計測することができる。
【0029】
センサー部24は冷却室2の上方及び下方に配置されたベース板27にそれぞれ複数設置されており、上方のセンサー部24aと下方のセンサー部24bとは被処理体Xを上下で挟むように対をなして対向する位置に配置されている。このような構成により、被処理体Xの厚さが測定されるため、被処理体Xの収縮や膨張を測定することができる。
【0030】
図3(a)、図3(b)、図4に示すように、冷却室2の上方に配置されたセンサー部24aの鉛直下方の被処理体X上面、および冷却室2の下方に配置されたセンサー部24bの鉛直上方の被処理体X下面には、複数の定点23が定められている。複数の定点23のうちの一つであって被処理体Xの変形計測の基準となる基準点28、29は、被処理体Xの上面中央および下面中央にそれぞれ設定されている。また、複数の定点のうちのその他(基準点28、29以外)である観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dは被処理体Xの上面および下面の四隅にそれぞれ設定されている。上記のように定点23が中央部および端部に設定されているため、相対的に被処理体X全体の形状が把握され、被処理体X全体の変形が計測することができる。
【0031】
また、被処理体Xの上面の基準点28と下面の基準点29とは上下に対応した位置に設定され、上面の観測点30a、30b、30c、30dと下面の観測点31a、31b、31c、31dとはそれぞれ上下に対応した位置に設定されている。
【0032】
また、各々のセンサー部24に対向する冷却室2の上壁および下壁には、センサー部24から出るレーザ光が通過するための窓部32がそれぞれ設けられている。窓部32は冷却室2を貫通する孔にガラス板が嵌め込まれる構成からなり、外気が冷却室2内に浸入しないように気密に形成されている。窓部32は整流板10a,10bの鉛直上方或いは鉛直下方にそれぞれ配置されており、整流板10a,10bの隙間をセンサー部24から出るレーザ光が貫通される。このような窓部32により、冷却室2外に配置されたセンサー部24から出るレーザ光は、窓部32を通過して冷却炉7内に配置された被処理体Xに当たり、被処理体Xの定点23の位置を冷却室2外から計測することができる。
【0033】
図4、図5に示すように、センサー部24は、計測部25に電気的に接続されている。センサー部24a、24bによって測定されるセンサー部24a、24bから基準点28、29までの直線距離である基準値L1、L2の情報はそれぞれ計測部25に伝達され、基準点28、29の位置は特定される。また、センサー部24a、24bによって測定されるセンサー部24a、24bから観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dまでの直線距離である観測値A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2の情報はそれぞれ計測部25に伝達され、観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dの位置は特定される。
【0034】
計測部25によって、熱処理初期における観測値A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2から熱処理初期における基準値L1、L2をそれぞれ差し引いた計算値E1、F1、G1、H1、E2、F2、G2、H2はそれぞれ算出され、また熱処理中における観測値A1´、B1´、C1´、D1´、A2´、B2´、C2´、D2´から熱処理中における基準値L1´、L2´をそれぞれ差し引いた計算値E1´、F1´、G1´、H1´、E2´、F2´、G2´、H2´はそれぞれ算出される。熱処理初期における計算値E1、F1、G1、H1、E2、F2、G2、H2と熱処理中における計算値E1´、F1´、G1´、H1´、E2´、F2´、G2´、H2´との差分の合計した差分値J1、J2を比較することで被処理体Xの変形は計測される。つまり、上面の差分値J1が下面の差分値J2より小さい場合は、被処理体Xは上面が凹で下面が凸となる状態に変形されており、上面の差分値J1が下面の差分値J2より大きい場合は、被処理体Xは上面が凸で下面が凹となる状態に変形されている。
【0035】
以下に、上記した計測部25における被処理体Xの変形計測の計算式を示す。
[被処理体X上面]
〈熱処理初期の計算値〉A1−L1=E1、B1−L1=F1、C1−L1=G1、D1−L1=H1
〈熱処理中の計算値〉A1´−L1´=E1´、B1´−L1´=F1´、C1´−L1´=G1´、D1´−L1´=H1´
〈差分値〉J1=(E1´−E1)+(F1´−F1)+(G1´−G1)+(H1´−H1)
[被処理体X下面]
〈熱処理初期の計算値〉A2−L2=E2、B2−L2=F2、C2−L2=G2、D2−L2=H2
〈熱処理中の計算値〉A2´−L2´=E2´、B2´−L2´=F2´、C2´−L2´=G2´、D2´−L2´=H2´
〈差分値〉J2=(E2´−E2)+(F2´−F2)+(G2´−G2)+(H2´−H2)
【0036】
図2、図3(a)、図3(b)に示すように、計測部25は、熱交換器17、ダンパ19a、19b、冷却ファンモータ22、加圧ガス供給装置14をそれぞれ制御する制御部33に電気的に接続されている。制御部33は計測部25からの情報によって自動的に調節され、計測部25で計測された被処理体Xの変形態様に応じて、熱交換器17、ダンパ19a、19b、冷却ファンモータ22、及び加圧ガス供給装置14からなる熱処理手段34は調節あるいは切り換えは行われる。
【0037】
このような構成により、冷却温度の設定や、冷却ガスの風速や、冷却ガスの量や、熱処理炉における冷却ガスの流路方向や、冷却時間等は適宜調整され、被処理体Xは均一に冷却されるため、熱処理に伴って生じる被処理体Xの変形は制御され、被処理体の変形を抑止することができる。
【0038】
一方、図1、図2に示すように、加熱室3は、冷却室2と同様に略円筒形に形状設定されており、図示するように、冷却室2に対向して配置されている。また、加熱室3に連結された搬送棒収納室35の内部には、本熱処理装置1の内部において、被処理体Xが載置された架台11を搬送することによって被処理体Xを搬送するための搬送棒36が設置されている。
【0039】
加熱室3の内部には略直方形に形状設定された加熱炉(熱処理炉)37が設置されている。この加熱炉37の一方側(冷却室2と対向する側)には上下に開閉する断熱扉38が設置されており、他方側には搬送棒36の出入口となる搬送棒用扉39が設置されている。この搬送棒用扉39は、加熱室3の外壁から突出するように設置された昇降機構40によって上下方向に開閉される。加熱炉37の内部には、被処理体Xを載せた架台11を加熱室3の軸方向に移送するための複数のフリーローラ41を有する移送台42が設置されており、この移送台42は冷却炉7内部に設置された移送台12の延長線上に配置されている。なお、搬送棒用扉39、移送台42および架台11は断熱扉38と同様に断熱設計されている。また、加熱炉37の内部には、被処理体Xを加熱するためのヒータ43が、被処理体Xの全体が均等に加熱されるように被処理体Xの上下に複数設置されている。
【0040】
一方、中間室4は、中空の略方形状に形状設定されており、冷却室2と加熱室3との間に配置されている。その上部には、真空シールド扉6を昇降させるためのホイスト等からなる昇降機構44aと断熱扉38を昇降させるための断熱扉用の昇降機構44bとが設置されている。また、冷却室2、加熱室3及び中間室4の外部には、減圧装置45が設置されている。減圧装置45は、冷却室2及び加熱室3の内部を真空引きするためのものであり、冷却室2及び加熱室3にそれぞれ接続されている。
【0041】
次に、上記した構成からなる熱処理装置1の動作について説明する。
【0042】
まず、図1、図2に示すように、熱処理装置1外で架台11の上に被処理体Xを載せ、扉5を後方に移動させて冷却炉7の側面部7aを開き、冷却炉7内に設けられた移送台12の上に被処理体Xが載せられた架台11を移動させる。また、昇降機構44a、44bを駆動させ、真空シールド扉6および断熱扉38を上方に移動させて冷却炉7、中間室4、加熱炉37を連通させる。そして、被処理体Xが載せられた架台11を冷却炉7内の移送台12に備えられたフリーローラ13と加熱炉37内の移送台42に備えられたフリーローラ41とによって加熱炉37の中まで案内し、加熱炉37内の所定位置に架台11を配置する。
【0043】
次に、昇降機構44a、44bを再び駆動させて真空シールド扉6および断熱扉38を下方に移動させ、扉5を前方に移動させて冷却室2に当接させ、冷却炉7の側面部7aを閉め、冷却室2、加熱室3、および中間室4を密閉する。そして、減圧装置45を駆動させ、冷却室2、加熱室3及び中間室4の真空引きを行い、ヒータ43により加熱炉37の中に配置された被処理体Xの加熱を行う。
【0044】
加熱完了後、ヒータ43を停止し、昇降機構44a、44bをそれぞれ駆動させて真空シールド扉6および断熱扉38を上方に移動させるとともに、昇降機構40により搬送棒用扉39を上方に移動させる。そして、搬送棒36により被処理体Xが載せられた架台11を冷却炉7の中まで移動させ、冷却炉7内の所定位置に配置し、昇降機構44aによって真空シールド扉6を下降させて冷却室2を密閉する。
【0045】
次に、加圧ガス供給装置14を駆動させ、加圧ガス供給装置14からヘッダー管16を介して加圧された冷却ガスをガス吐出枝管15に供給し、ガス吐出枝管15のガス吐出口15aから真空状態の冷却炉7の内部に冷却ガスを噴射する。このとき、図3(a)、図3(b)、図5に示すように、センサー部24a、24bから被処理体Xの上面および下面にそれぞれレーザ光を当てて、基準点28、29および観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dをそれぞれ設定する。また、干渉法を利用してセンサー部24a、24bから基準点28、29および観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dまでの直線距離をそれぞれ測定し、熱処理初期における基準値L1、L2および熱処理初期における観測値A1、B1、C1、D1、A2、B2、C2、D2をそれぞれ検出する。そして、計測部25によって、計算値E1、F1、G1、H1、E2、F2、G2、H2をそれぞれ算出する。
【0046】
次に、冷却ファンモータ22を駆動させて冷却ファン18を作動させ、ガス吐出口15aから噴射された冷却ガスを冷却室2内で循環させる。冷却炉7内の冷却ガスは、下方の整流板10bから冷却炉7外の冷却室2内下部に流出し、ガス流案内板8bにより冷却室2内の熱交換器17方向に向かって流通し、ガス通過口21bから熱交換器格納室20内に流入する。熱交換器格納室20内に流入した冷却ガスは熱交換器17によって熱交換が行われ、冷却された冷却ガスは冷却ファン18を介して冷却室2内上部に流出する。この冷却ガスはガス通過口21cを通過し、ガス流案内板8aにより冷却炉7方向に向かって流通し、上方の整流板10aから冷却炉7内に流入する。冷却ガスは、上方から被処理体Xの上面に当たり、再び下方の整流板10bから冷却炉7外の冷却室2内下部に流出する。上記した冷却ガスの流れの場合、ダンパ19bはガス通過口21bとガス通過口21dとのうち択一的にガス通過口21dを塞いでおり、ダンパ19aはガス通過口21aとガス通過口21cとのうち択一的にガス通過口21aを塞いでいる。
【0047】
また、このとき、センサー部24a、24bから基準点28、29および観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dまでの直線距離をそれぞれ測定し、熱処理中における基準値L1´、L2´および熱処理中における観測値A1´、B1´、C1´、D1´、A2´、B2´、C2´、D2´をそれぞれ検出する。そして、計測部25によって、計算値E1´、F1´、G1´、H1´、E2´、F2´、G2´、H2´をそれぞれ算出するとともに、熱処理初期の計算値E1、F1、G1、H1、E2、F2、G2、H2を基に差分値J1、J2を算出し、二つの差分値J1、J2を比較して被処理体Xの変形の状態を計測する。
【0048】
制御部33は、被処理体Xの変形の態様に応じて熱交換器17、ダンパ19a、19b、冷却ファンモータ22、及び加圧ガス供給装置14の調節あるいは切り換えを行う。例えば、上面の差分値J1が下面の差分値J2よりも小さく、被処理体Xの上面が凹で下面が凸となる状態に変形され、その変形のしきん値を超えたとき、ガス通過口21cを塞ぐ位置にダンパ19aを切り換えるとともにガス通過口21bを塞ぐ位置にダンパ19bを切り換え、冷却ガスの流路方向を逆にして、冷却ガスが被処理体Xの下面に当るようにする。引き続き被処理体Xの変形を継続的に測定して、上面の差分値J1が下面の差分値J2よりも大きく、被処理体Xの上面が凸で下面が凹となる状態に変形され、その変形のしきん値を超えたとき、ガス通過口21aを塞ぐ位置にダンパ19aを切り換えるとともにガス通過口21dを塞ぐ位置にダンパ19bを切り換え、冷却ガスの流路方向を逆にして、冷却ガスが被処理体Xの上面に当るようにする。この、被処理体Xの変形を継続的に測定し、冷却ガスの流路方向を切り替えることで被処理体Xを均等に冷却する。
【0049】
また、熱交換器17を調節することで冷却ガスの温度を調整し、冷却ファンモータ22を調節することで冷却ガスの風速を調整し、加圧ガス供給装置14を調節することで冷却ガスを増量する。また、必要に応じて熱交換器17、冷却ファンモータ22、および加圧ガス供給装置14のそれぞれを停止或いは作動を切り換え、さらに冷却時間を調整する。
【0050】
次に、図1、図2に示すように、被処理物Xが所定の温度まで冷却された後、扉5を冷却室2から脱離して、被処理物Xを外部に搬出して熱処理を完了する。また、必要に応じて上記した加熱と冷却とを繰り返して、より高強度になるように被処理物Xの熱処理を行う。
【0051】
上記した構成からなる熱処理装置1および熱処理方法によれば、冷却炉7の中に配置された被処理体Xの変形は把握されるため、被処理体Xの変形に応じて冷却ガスの流路方向を切り換えることで被処理体Xを均一に冷却することができ、被処理体Xの変形を抑止することができる。また、被処理体Xの変形が抑止されることで、熱処理後の機械加工の手間が省け、熱処理作業のコストダウンを図ることができる。
【0052】
以上、本発明に係る熱処理装置および熱処理方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では冷却炉7内における被処理体Xの変形を測定しているが、本発明は加熱炉37内における被処理体Xのダレ曲り変形を測定してもよい。また、上記した実施の形態では被処理体Xの焼歪みによる変形を計測しているが、本発明は被処理体Xの収縮や膨張を測定してもよい。
【0053】
また、上記した実施の形態では変位計測手段26によって計測された被処理体Xの変形の情報を制御部33に伝達して自動的に熱処理手段34が調整されているが、本発明は変位計測手段26によって被処理体Xの変形の状態を把握して手動により熱処理手段34を調整してもよい。これによって、制御部33の構造は簡易化されて、熱処理装置1の製作コストが軽減することができる。
【0054】
また、上記した実施の形態では定点23を被処理体Xの上面及び下面の中央および四隅部にそれぞれ設定されているが、本発明は四隅部以外にも設定してもよく、観測点30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31dを増やすことで、より正確に被処理体Xの変形が計測される。また、センサー部24を被処理体Xの測方に設置して、被処理体Xの側面に定点23を設定してもよく、さらに被処理体Xの上下方および測方にセンサー部24をそれぞれ設置して、被処理体Xの上下面および側面に定点23をそれぞれ設定してもよい。
【0055】
さらに、上記した実施の形態では被処理体Xの変形に応じて冷却ガスの流路方向を調整しているが、本発明は被処理体Xの上下方にそれぞれ配置されたガス吐出枝管15に切換手段を設けて被処理体Xの変形に応じて上下方の何れかのガス吐出枝管15から冷却ガスを噴射させてもよい。
【0056】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る熱処理装置および熱処理手段によれば、変位計測手段によって熱処理炉内に配置された被処理体の変形は把握されるため、被処理体の変形に応じて被処理体の熱処理方向は調整され、被処理体を均一に熱処理することができ、被処理体の変形を抑止することができる。また、被処理体の変形が抑止されることで熱処理後の機械加工の手間が省け、熱処理作業のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る熱処理装置および熱処理手段を説明するための縦断面図である。
【図2】 本発明に係る熱処理装置および熱処理手段を説明するための横断面図である。
【図3】 (a)は本発明に係る熱処理装置および熱処理手段を説明するための熱処理室の拡大縦断面図である。(b)は本発明に係る熱処理装置および熱処理手段を説明するための図3(a)に示すA−A´矢視図である。
【図4】 本発明に係る熱処理装置および熱処理手段を説明するための被処理体の拡大斜視図である。
【図5】 本発明に係る熱処理装置および熱処理手段を説明するための被処理体の動作図である。
【符号の説明】
1 熱処理装置
2 冷却室(熱処理室)
7 冷却炉(熱処理炉)
23 定点
26 変位計測手段
34 熱処理手段
33 制御部
25 計測部
24、24a、24b センサー部
28、29 基準点
30a、30b、30c、30d、31a、31b、31c、31d 観測点
32 窓部
X 被処理体
Claims (4)
- 内部に熱処理対象の被処理体が収納される熱処理炉を備える熱処理装置において、
前記被処理体の表面上に定められた定点の位置を検知するセンサー部と、該センサー部に接続され前記定点の位置の変化から前記被処理体の変形を計測する計測部とからなる変位計測手段と、
該変位計測手段と電気的に接続され、該変位計測手段によって計測される前記被処理体の変形の情報を受けて当該被処理体の変形を抑止するように熱処理手段を調節する制御部と、を備え、
前記センサー部は、前記被処理体を挟むように対をなして設けられ、かつ、前記定点は、少なくとも前記被処理体の中央部及び両端部に設定される
ことを特徴とする熱処理装置。 - 請求項1記載の熱処理装置において、
前記センサー部は前記熱処理炉の外部或いは該熱処理炉を内部に格納する熱処理室の外部のうちのいずれかに配置され、前記熱処理炉或いは前記熱処理室のうちの少なくとも一方には前記センサー部から出るレーザ光が通過する窓部が形成されていることを特徴とする熱処理装置。 - 熱処理炉の内部に収納されている被処理体の熱処理方法であって、
前記被処理体の熱処理を行うとともに前記被処理体の変形を計測し、前記被処理体の変形に応じて当該被処理体の変形を抑止するように前記被処理体の熱処理方向を調節することを特徴とする熱処理方法。 - 請求項3記載の熱処理方法において、
前記被処理体の変形の計測は、熱処理初期に前記被処理体に定められた複数の定点のうちの一つである基準点の位置を測定するとともに前記被処理体に定められた複数の定点のうちのその他の観測点の位置を測定し、熱処理中に前記基準点の位置を測定するとともに前記観測点の位置を測定し、熱処理初期の前記基準点及び前記観測点の位置と熱処理中の前記基準点及び前記観測点の位置との差分から算出することを特徴とする熱処理方法。
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