JP4464591B2 - 振動トルクおよび一方向ドライブを使用する連続可変変速機 - Google Patents
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Description
(発明の分野)
本発明は、自動車に使用されるような、エンジンまたは原動機から負荷への動力伝達を調整するために使用されるタイプの変速機に関する。
【0002】
(発明の背景)
変速機は様々な用途に使用されて、エンジンまたは原動機が提供する速度およびトルクを変化させる。変速機の1つの一般的な用途は自動車用である。自動車では、変速機がエンジンと駆動輪またはタイヤの間に接続される。
【0003】
先行技術の自動車は、固定比変速機を使用する。その変速機は、エンジンからの入力とタイヤへの出力との間に幾つかの固定した別個の速度比を提供する1組の歯車を有する。エンジンのrpm(毎分回転数)は、速度比ごとに広範囲に変動する。エンジンは広範囲の速度にわたって動作しなければならないので、その全体的効率が低下する。
【0004】
連続可変変速機(continuouly variable transmissions)は、エンジン効率を増強する一方法を提供する。固定比変速機とは異なり、連続可変変速機は、エンジンからの入力とタイヤへの出力との間に広範囲の速度比を提供する。これによって、エンジンは狭い範囲の最適rpmにわたって動作し、エンジン効率を上昇させることができる。速度比を変動させることにより、様々な運転状態でもエンジン速度を最適範囲に維持し、それによって燃費を改善することができる。
【0005】
(発明の概要)
連続可変変速機を提供することが、本発明の目的である。
【0006】
本発明は、回転式入力部材を備える変速機を提供する。また長さ(length)および端部(end)を有するアームもある。アームは、長さを横断する軸線を有し、端部は軸線から隔置される。アーム端部は軸線を中心に回転可能である。アームは、入力部材から独立して回転可能である。アームは、回転自在にアーム端部に結合される質量を有する。第1質量(mass)はアーム端部に対して偏心している。入力部材は、第1質量がアーム端部に対して回転するよう、第1質量に結合される。第1の一方向クラッチが、アームと出力部材の間に結合される。第1の一方向クラッチは、アームが一方向に回転すると、出力部材をその方向に駆動する。第2質量が回転自在にアーム端部に結合され、第2質量はアーム端部に対して偏心しており、入力部材によって回転可能である。第2質量は、第1質量に対して調節可能な位相を有する。第1質量に対する第2質量の位相を調節するよう、第2質量に結合された位相制御装置がある。
【0007】
本発明の別の態様によると、アームは、第1質量に対する第1釣合錘および第2質量に対する第2釣合錘を有する。
【0008】
本発明の別の態様によると、アーム端部は第1アーム端部である。アームは第2端部を有し、第1アームと第2アーム間の中間部分を中心に回転可能である。第3質量および第4質量がアーム第2端部に対して偏心していて、入力部材によって回転可能である。第4質量は、第3質量に対して調節可能な位相を有する。位相制御装置は、第3質量に対する第4質量の位相を調節するよう、第4質量に結合される。
【0009】
本発明のさらに別の態様では、アームに対して回転する毎にアームの回転軸線を通過するよう、第1、第2、第3および第4質量がアームに装着される。
【0010】
本発明のさらに別の態様では、入力部材は入力シャフトであり、入力部材への第1、第2、第3および第4質量の結合は歯車を備え、アームの入力および出力部材が回転自在に枠に結合される。
【0011】
本発明のさらに別の態様では、アームと出力部材の間に結合された第2の一方向クラッチがあり、第2の一方向クラッチは、アームが他方向に回転すると、出力部材を一方向に駆動する。
【0012】
本発明のさらに別の態様では、第2の一方向クラッチがアームの他方向への回転を防止する。
【0013】
本発明のさらに別の態様では、入力部材、アームおよび出力部材に対して静止している枠があり、第2の一方向クラッチが枠に結合される。
【0014】
本発明の別の態様によると、機械的動力を動力源から負荷に伝達する方法がある。回転入力は動力源から受ける。回転入力は、アームの端部の回りに第1偏心質量を回転し、アームの端部の回りに第2偏心質量を回転することにより、振動トルク(oscillating torque)に変換される。振動トルクは、軸線の回りにアームを回転することにより、双方向回転(bidirectional rotation)に変換される。双方向回転は一方向の回転に変換される。一方向の回転が負荷に提供される。第1質量と第2質量との間の位相は、アームに加えられるトルクの量を制御するよう調節される。
【0015】
本発明の1つの態様によると、回転入力の振動トルクへの変換は、さらに、第1および第2偏心質量をアームの第1端部の回りに回転することと、第3偏心質量および第4偏心質量をアームの第2端部の回りに回転することとを含む。振動トルクは、アームの第1端部と第2端部の間の中間部分を通る軸線の回りにアームを回転することにより、双方向回転に変換される。双方向回転は一方向の回転に変換される。一方向の回転が負荷に提供される。第1質量と第2質量及び第3質量と第4質量の間の位相は、アームに加えられるトルクの量を制御するよう調節される。
【0016】
本発明の別の態様によると、アームは第1方向に回転することができるが、アームの回転はその逆の方向では防止される。第1方向でアームに作用するトルクが、負荷に提供される。
【0017】
(好ましい実施例の説明)
図1では、車両の動力システム11の略図が図示されている。このシステムは原動機13、変速機15、および出力負荷17を有する。
【0018】
原動機13は、通常、内燃機関であり、ガソリン、ディーゼル(diesel)、天然ガスなどによって動力を供給することができる。あるいは、原動機は電気モータまたは何らかの他の動力源でよい。
【0019】
変速機15は本発明の変速機であり、好ましい実施形態に従って図示されている。変速機15は、原動機13に接続された入力部、および負荷17に接続された出力部を有する。負荷17はドライブ・シャフト19および車両の車輪21として図示されている。
【0020】
変速機15は連続可変タイプである。多くの内燃機関(および電気モータ)は、エンジン速度の範囲が狭い方がより高い効率で作動する。連続可変変速機には、狭い範囲の入力速度を設けて、負荷に広範囲の出力速度をもたらすことができる。各出力速度が特定の歯車を有する先行技術の歯車式変速機とは異なり、連続可変変速機は連続する速度出力を提供する。これによって、エンジンは、狭くそれ故により効率的な速度範囲内で作動することができる。
【0021】
図1および図2を参照すると、変速機15は枠23、入力シャフト25、速度制御装置27、アーム・アセンブリ29、回転式質量31、および出力アセンブリ33を有する。原動機またはエンジン13が入力シャフト25を回転する。変速機は入力シャフト25の回転動力を受け、その動力を振動トルクに変換する。これは、偏心状態で装着した質量31をアーム・アセンブリ29の端部の周囲で回転することにより達成される。質量31が回転するにつれ、これはトルクを最初は一方向(例えば時計回り)に、次に他方向(例えば反時計回り)に加える。振動トルクがアーム・アセンブリに作用し、アーム・アセンブリを前後に回転させる。したがって、アーム・アセンブリは両方向に回転する。この双方向の回転が、出力アセンブリ33によって単一方向の回転へと変換される。出力アセンブリ33は、負荷17に回転動力を提供する。
【0022】
したがって、変速機15は入力シャフト25の回転動力を受け、その動力を負荷に伝達する。
【0023】
変速機の出力速度は、アーム・アセンブリ29に加えられる振動トルクの量を制御することによって制御される。変速機が負荷に接続されると、トルクが大きいほど生成される出力速度は大きくなり、その逆にもなる。アーム・アセンブリ29に加えられるトルクの量は、速度制御装置27によって制御される。出力速度は、アーム・アセンブリに加わる振動トルクが高い場合、高くなる。出力速度を低下させるには、振動トルクを減少させる。
【0024】
振動トルクは、質量31を操作することによって制御する。トルクの式は以下の通りである。
トルク=Fd
ここでF=質量が生成する力(以下で説明するように、主に遠心力)、
d=力から回転軸線までの距離である。
したがって、トルクは、質量によって加えられる力、または力を加える距離を変化させることによって変更することができる。好ましい実施形態では、複数の偏心質量をアーム・アセンブリ29の端部に設ける。まとまった質量は重心を有し、この重心が回転して、アーム・アセンブリへのトルクを生成する。重心は、相互に対する質量の方向を変化させることにより変更することができる。質量が相互に整列している場合は、重心がアーム・アセンブリの回転軸線から最も遠い距離にあり、最大トルクを生成する。この整列状態で、質量は相互に同相であると言う。質量が相互に反対に整列すると、重心が質量の回転軸線にあり、アーム・アセンブリ上にトルクが生成されない。反対に整列した質量は、180°位相がずれていると言う。
【0025】
質量は、ゼロから180°の間の任意の位相で、相互に対して整列することができる。したがって、アーム・アセンブリに加えられるトルクを、連続する範囲にわたって変化させることができる。これは、負荷に対して連続可変出力速度を生成する。
【0026】
次に、変速機15についてさらに詳細に説明する。図3を参照すると、枠23の好ましい実施形態が図示されている。枠23は静止し、回転部材を支持する。枠23は、第1、第2および第3脚部35、37、39を有し、これらは全て一端でベース部材41によって相互に結合される。脚部は相互に平行で、相互から隔置される。脚部には様々な開口43、45、47、49を設け、以下でさらに詳細に説明するように、他の構成要素の幾つかを受ける。枠23は、車両または機器のシャーシまたは建物の床など、固定した物体に装着することができる。
【0027】
以下の説明では、「内側」とは第1脚部と第3脚部35、39の間の空間を指し、「外側」とは、第1脚部の内側とは反対側にある空間、および第3脚部の内側とは反対側にある空間を指す。
【0028】
入力シャフト25が図4Aおよび図4Bに図示されている。入力シャフト25は、開口43によって回転可能に枠の3本の脚部全てに結合される。回転式結合は、軸受けまたはブッシュを使用してもよい。シャフトは、枠に対し長手方向軸線に沿って移動しないよう固定される。入力シャフト25の第2脚部と第3脚部37、39間に位置する部分は、自身上に装着された歯車51を有する。歯車51は入力シャフト25と一体で回転する。入力シャフトは、第1脚部35から出て多少の距離だけ延在する。入力シャフトのこの外部分25Aは、原動機の出力部に結合されるよう構成され、配置される。入力シャフトは、原動機に直接結合する必要はなく、何らかの回転動力源に結合することができる。
【0029】
速度制御装置27が図5Aで個別に図示され、図5Bの入力シャフトに装着される。速度制御装置は、回転式質量の相互に対する方向を調節するため使用される。速度制御装置は、入力シャフト25の周囲に配置され、入力シャフトとは別個に回転できる歯車53を有する。しかし、歯車は、概して入力シャフトとともに回転するよう、速度制御装置の残りの部分によって入力シャフト25に結合される。歯車53は、延長管55の一方端に装着される。延長管55の他方端には第1傘歯歯車57がある。歯車53、延長管55および第1傘歯歯車57は、相互に一体で、入力シャフト25の第1脚部35の外側に配置することができる。
【0030】
速度制御装置27は、入力シャフト25の垂直に延在する突起61(図4A参照)に装着された第2傘歯歯車59も有する。第2傘歯歯車59は、この突起61を中心に回転することができる。第2傘歯歯車59は、2部片のリンク機構65によってスライド・ブロック63に接続される。スライド・ブロック63は、入力シャフト25の長手方向軸線に沿って滑動することができるが、それとともに回転する。好ましい実施形態では、入力シャフトのその部分25Aは、スライド・ブロックを入力シャフトとともに回転させるため、スライド・ブロック63の穴と同様、正方形の断面を有する。他の形態の結合を使用して、スライド・ブロックを滑動自在に入力シャフトに結合することができる(例えばキー)。スライド・ブロック63は、回転自在に制御部材67に結合され、これが入力シャフト25に装着される。制御部材67は、スライド・ブロック63とともに入力シャフトに沿って滑動する。しかし、入力シャフト25およびスライド・ブロック63が回転する間、制御部材67は静止したままである。制御部材67は、スティック69に接続される。スティック69は、オペレータによって作動し、変速機の出力速度を変化させる。
【0031】
スティック69が動作するにつれ、制御部材67およびスライド・ブロック63は入力シャフト25の長さに沿って移動する。制御部材67が入力シャフトに沿って滑動するにつれ、第1および第2傘歯歯車57、59および歯車53が入力シャフト25および他の歯車51に対して回転する。入力シャフト25が回転するにつれ、スライド・ブロック63が回転し、リンク機構65および第2傘歯歯車59も(突起61によって)回転する。第2傘歯歯車59が歯車53を回転する。制御ブロック67は回転しない。
【0032】
アーム・アセンブリ29を図6Aに示す。アーム・アセンブリ29は2本の平行で隔置されたアーム71を有する。アーム71の端部は、シャフト73によって相互に結合され、図示のように長方形を形成する。各アーム71の中心は、枠23に装着する際に使用する開口75を有する。アームの一方は、自身上に装着され、自身から垂直に延在する装着用管77を有する。装着用管77は、自身を通って延在する開口75を有する。
【0033】
アーム・アセンブリ29は、図6Bで示すように、枠23の第1脚部と第2脚部35、37の間に配置される。装着用管77が、第2脚部37の開口45(図3参照)を通って配置される。装着用管は、第2脚部37に対して回転可能である。装着用管77は第1入力アーム・シャフト79(図7Aおよび図7B参照)を受け、該シャフトは、装着用管を伴うアーム(アームは第2脚部37に隣接する)および装着用管を通って延在し、枠23の第3脚部39の開口47(図3参照)に入る。第1入力アーム・シャフト79は、自身上に2つの歯車81、83を有し、この歯車はシャフト79と一体で回転する。一方の歯車81はアーム・アセンブリ29の内側に配置される。他方の歯車83は装着用管77と第3脚部39の間に配置される。他方のアーム(第1脚部35に隣接する)は、第2入力アーム・シャフト85によって第1脚部に結合され、シャフトは、第1脚部およびアームそれぞれの開口47、75を通って延在する。第2入力アーム・シャフト85は、シャフトの各端に配置された歯車87、89を有する。歯車は第2入力アーム・シャフト85と一体で回転する。したがって、第1脚部35の外側に歯車87があり、アーム・アセンブリ29の内側に別の歯車89が配置される。第2入力アーム・シャフト85は、アーム・アセンブリ29および枠23とは別個に回転する。第2入力アーム・シャフト85も、アーム・アセンブリ29の枠23への装着を補助する。アーム・アセンブリ29は、枠に対してシャフト79、85を中心に回転する。
【0034】
アーム・アセンブリ29の内側は、内側の歯車81、89に隣接して垂直に延在する突起91(図6Aおよび図7B参照)を有する。内側の歯車と各シャフト73の間に突起91が挟まれる。調時歯車(timing gear)93が、図8Aおよび図8Bで示すように、この突起91それぞれに取り付けられる。各アーム上の調時歯車93は、内側の歯車81、89によって回転自在に相互に結合される。
【0035】
回転式質量31を図9Aおよび図9Bに示す。質量31は、シャフト73に対して(したがってアーム71の端部に対しても)偏心し、したがって質量を回転すると、アームに遠心力がかかる。回転式質量は、第1および第2セット95、97にまとめられる。各セットは1つまたは複数の位相合わせ質量(95A、97A)および1つまたは複数の非位相合わせ質量(95B、97B)を有する。各セットは、アーム・アセンブリ29(図6B参照)のシャフト73に回転自在に装着された1対のハブ99も有する。延長部101が各ハブ99から半径方向外側に突き出す。各延長部101の端部には質量または錘31がある。
【0036】
各ハブ99の外端は歯車103を有する。したがって、ハブ99を個々のアーム・アセンブリ・シャフト73に組み付けると、歯車103が調時歯車93と噛み合う。
【0037】
質量31は、回転すると個々のシャフト73の回りに360°回転することができる。したがって、質量31の形状および延長部101の長さは、回転が可能になるようなものでなければならない。さらに、第1セット95の質量は、第2セット97の質量との接触を回避しなければならない。1セット95の質量が他方セット97の質量と接触するのを回避するため、第1セットの質量は、アーム71間で第2セットの質量に対してずれる。例えば、第1セット95の質量95A、95B(およびその延長部)は、個々のハブ99の長さに沿ってセンタリングされ、第2セット97の質量97A、97Bは、個々のハブの端部に向かって配置される。したがって図25に示すように、第2セットの各質量(例えば質量95A)は、干渉または接触することなく、第2セットの2つの質量(例えば質量97B)間を通過する。第2セットの質量2個およびその延長部の重量は、第1セットの質量のうち一方およびその延長部の重量と等しい。質量をこの方法で分散させることにより、重心は、変速機の振動を最小にする位置に維持される。
【0038】
調時歯車93は、質量によって引き起こされるようなフィードバック負荷を減少させる。
【0039】
質量は、ドライブ・ベルト105(図10Aおよび図10B参照)によって回転する。第1脚部35の外側に位置し、入力シャフト25上の歯車53を第2入力アーム・シャフト85上の歯車87に結合する1本のドライブ・ベルト105がある。別のベルト105は、第2脚部39の内側に配置され、入力シャフト25上の歯車51を第1入力アーム・シャフト79上の歯車83に結合する。したがって、第1および第2入力アーム・シャフト79、85(図7A参照)が入力シャフト25に結合される。
【0040】
出力アセンブリ33が図11A、図11B、図12A、図12Bに図示される。出力アセンブリ33は、装着用管77(図6A、図11Aおよび図11B参照)に装着された第1および第2の一方向歯車107、109を有する。装着用管77が第1方向に回転すると、第1の一方向歯車107が第1方向に駆動され、第2の一方向歯車は駆動されない。装着用管が反対、つまり第2方向に回転すると、第2の一方向歯車109が第2方向に駆動され、第1の一方向歯車は駆動されない。一方向歯車は、駆動されない場合、装着管に対して滑動することができる。
【0041】
一方向歯車の動作は出力、つまり駆動シャフト19(図12Aおよび図12B参照)に提供される。第1の一方向歯車107は、出力シャフト上の歯車111によって出力シャフト19に結合される。第2の一方向歯車109は、補助シャフト113によって出力シャフトに結合される。補助シャフトは、第2の一方向歯車109と噛み合う歯車115を有する。補助シャフト113は、出力シャフト19上の歯車119と噛み合う歯車117も有する。歯車111、119は出力シャフト19と一体で回転し、歯車115、117は補助シャフト113と一体で回転する。
【0042】
一方向歯車107、109は、従来の一方向クラッチ121(図13参照)を使用する。一方向クラッチには4つの基本的タイプ、つまり爪車、ばね、ころまたは玉、またはスプラグ・クラッチ(sprag clutches)がある。(One Way Clutch Design Guide Types, Selection, Applications[Borg Warner Automotive, 1978]参照。その開示は参照により本明細書に援用される。)スプラグ・クラッチが好ましい実施形態に使用される。スプラグ・クラッチは、従来からあり、市販されている装置である。各歯車107、109が、歯車の内側に配置されたスプラグ・クラッチ121を有する。図13を参照すると、各スプラグ・クラッチは平坦な円筒形軌道輪123、124を有する。外輪123と内輪124とがある。軌道輪123の間には、一方向の回転時には、スプラグが軌道輪の間に楔になって停止させ、クラッチを通してトルクを伝達し、他方向の回転時には、力を与える側のばね129に対してスプラグが撓み、他方の軌道輪を駆動することなく、一方の軌道輪が回転できるようにするよう、一連のカムまたはスプラグ125が重ねられている。スプラグ125は一つまたは二つの保持器127によって保持されている(図13では、図示のクラッチは保持器が1つのスプラグ・クラッチである)。保持器127は、スプラグ125の軸線方向の整列が等間隔であることを保証する。ばね129が、スプラグと保持器との接触を維持し、軌道輪の表面に対するスプラグの適切な配置を維持する。
【0043】
各クラッチ121の内輪124が装着用管77に結合される。各クラッチの外輪123は個々の歯車107、109に結合される。第1の一方向歯車107のスプラグ125は、第2の一方向歯車109のスプラグとは反対方向に配向される。したがって、一方のクラッチは他方のクラッチに対して逆転する。
【0044】
出力シャフト19および補助シャフト113は、開口49(図3参照)および軸受けまたはブッシュによって回転自在に枠に結合される。
【0045】
出力シャフト19は負荷に結合され、これは車輪21(図1参照)として図示される。
【0046】
次に、変速機の操作について説明する。最初に操作作業について説明し、その後に出力速度の制御方法について検討する。
【0047】
概して、入力シャフト25(図2参照)の回転は、出力シャフト19の回転を生じさせる。入力シャフト25は、アーム・アセンブリ29の端部の周囲で質量31を回転する。第1セットの質量95A、95Bは第2セットの質量97A、97Bと同じ方向に回転する。質量が回転するにつれ、可変トルクがアーム・アセンブリ29に加えられる。アーム・アセンブリは、最初は一方向に、次に反対方向に回転する。この回転は、通常、一回転より少ない。
【0048】
アーム・アセンブリ29は装着用管77と一体である。したがって、装着用管は前後に2方向に回転する。この前後の回転は、一方向歯車107、109によって、一方向に回転する出力シャフト19に転換される。
【0049】
次に特性について説明する。原動機13は一定速度で、または狭い範囲の速度で操作される。したがって、原動機は、より効率的に動作するよう設計することができる。入力シャフト25が原動機(図1)によって回転する。図2を参照すると、入力シャフト25が回転するにつれ、2つの歯車51、53が回転する。これはドライブ・ベルト105を回転させる。ドライブ・ベルト105は第1および第2入力アーム・シャフト79、85(図7B参照)を回転し、これはアーム・アセンブリ29の内側の内歯車81、89を回転する。
【0050】
アーム71は、第1および第2入力アーム・シャフト79、85および枠23の周囲で自由に回転する。したがって、アームの端部に偏心質量がないと、入力シャフト25が回転しても、アームは静止したままである(摩擦はないものとする)。しかし、回転する偏心質量を設けることによって、アームの端部にトルクが生じ、アームを回転させる。
【0051】
偏心して装着された質量31は、質量が回転するとアームに引張り力を加える。図14を参照すると、アームの一方端が図示され、その上に時計回りに回転する質量31がある。回転する質量31は遠心力を生成し、それによってアーム71が第1および第2入力アーム・シャフト79、85の周囲で回転する。
【0052】
質量31によって生成される加速度の一般式は以下の通りである。
a=∝r+rω2+2ωr(・)+r(¨)+arel
ここで2ωr(・)=0および
r(¨)=0である。
r(アーム71の長さ)が一定であるので、下式のようにもなる。
∝r=0
入力シャフトが一定速度で回転する場合、∝が0だからである。調時歯車93は、同様に質量を入力シャフトと同じ一定速度で回転させる。したがって下式のようになる。
a=rω2+arel
ここでrω2は遠心力であり、arelはアーム71の端部におけるシャフト73の運動である。
【0053】
実際的に、arelは質量31の遠心力と比較すると小さい。これは、アーム71の質量が回転質量31に対して小さいからであり、質量31が半回転程度するごとにアームの回転方向が変化するからでもある。
【0054】
回転する質量31によって、アームが最初は一方向に、次に反対方向に回転する。そうなる理由については、図14および図15を参照されたい。遠心力は延長部101と同一線上にあり、アームの端部から半径方向外側を指し示す。質量31は位置1から位置2へと時計回りに回転し、次に位置3、位置4、そして位置1に戻る。質量は一定のrpmで回転する。位置1で、回転式質量31はアーム71から十分に延長して、それと一直線上にある。質量によって加えられた遠心力はアームと平行で、アームの回転軸(これはシャフト73の長手方向軸線である)に直角である。したがって、この位置では、質量によってアームの端部に加えられる力またはトルクがない。
【0055】
質量が時計回りに回転すると、位置2に到達する。位置2では、質量の遠心力がアーム71の端部に直角である(そしてシャフト73の長手方向軸線に対して傾斜する)。遠心力はアームにトルクを加え、アームを回転軸の周囲で時計回りに動作させる。このトルクを図15に示す。
【0056】
質量は、時計回りに回転し続けるにつれ、位置3に到達する。位置3で、質量の遠心力は再び回転軸線に直角になる。したがって、質量によってアームの端部に加えられるトルクがない。
【0057】
質量は、時計回りに回転し続けるにつれ、位置3から位置4へと移動し、位置1に戻る。質量が位置4にある時、これは位置2で加えた方向とは反対方向にトルクを加える。アーム71は、回転軸を中心に反時計回りに動作する。
【0058】
図15で示すよう、質量31によってアーム71内に加えられるトルクTは正弦曲線である。トルクは、質量が位置1および3にある時に0である。トルクは、質量が位置1、2、3の間で動作する時に時計回りになり、質量が位置2にある時に最大となる。トルクは、質量が位置3、4、1の間で動作する時に反時計回りになり、質量が位置4にある時に最大となる。位置2と位置4の間で、トルクは増加する(位置1から位置2および位置3から位置4)、または減少する(位置2から位置3および位置4から位置1)。また、トルクは、質量のように方向が変化する。質量が時計回りに回転するにつれ、トルクは最初は時計回り(位置1から位置3)であり、次に反時計回り(位置3から位置1)になる。好ましい実施形態では、偏心質量31が個々のシャフト73の周囲で毎秒25から30サイクルまたは回転で、回転することができる。
【0059】
アームの各端部の質量は、図16から図19に示すように、相互に作用する。(図16から図19では、質量31は個々のシャフト73を中心に時計回りに回転する。)したがって、両方のアームが個々の位置1にある時(図16に図示)、アーム71に加えられるトルクTはない。両方のアームが、図17に示すように位置2で、アームに垂直である時、時計回りのトルクがアームに加えられ、アームが時計回りに回転する。アームは、質量が位置2から位置3(図18)へと回転するにつれて、時計回りに回転し続け、ここで0トルクがアームに加えられる。質量が位置4(図19)へと回転するにつれ、アームは方向転換し、反時計回りに回転する。アーム71は、質量が位置4から位置1へと回転するにつれ、反時計回りに回転し続け、ここで回転サイクルが繰り返される。アームは実際に時計回りの方向に前進する。(両方のアーム71が一体で回転する。)
【0060】
アーム71が前後に振動するにつれ、取り付けられた装着用管77も振動する。したがって、アーム・アセンブリ29全体が回転する。このアーム・アセンブリ29の双方向の回転は、一方向歯車107、109によって一方向の回転に変換され、これは出力シャフト19を回転する。図2を参照する(および第3脚部39から第1脚部35へと見る)と、アーム・アセンブリが時計回りに回転するにつれ、第1の一方向歯車107がアーム・アセンブリによって駆動され、これも時計回りに回転する。第2の一方向歯車109は反時計回りに回転する。しかし、第2の一方向歯車は、装着用管ではなく歯車115、117、119によって駆動される。したがって、第2の一方向歯車109は、時計回りに回転するアーム・アセンブリ29の反対方向に回転する。第2の一方向歯車を装着用管77に結合するスプラグ・クラッチにより、第2の一方向歯車が装着用管に対して滑動することができる。
【0061】
アーム・アセンブリが反時計回りに回転すると、第2の一方向歯車109はアーム・アセンブリによって反時計回りに駆動される。第1の一方向歯車107は時計回りに回転し、歯車115、117、119、111によって駆動される。したがって、第1の一方向歯車107は、反時計回りに回転するアーム・アセンブリとは反対方向に回転する。第1の一方向歯車に関連するスプラグ・クラッチにより、第1の一方向歯車が装着用管77に対して滑動することができる。
【0062】
出力シャフト19は、アーム・アセンブリ29が時計回りに回転する時は、第1の一方向歯車107によって駆動され、アーム・アセンブリが反時計回りに回転する時は、第2の一方向歯車109によって駆動される。
【0063】
出力シャフト19の速度は、入力シャフト25が一定速度で、あるいは狭い速度範囲で回転している場合でも、変更することができる。出力シャフトの速度は、セット95、97に対する質量31の重心を変化させることにより、変更される。
【0064】
これは図20から図22に図示され、それは第1セットの質量95A、95Bを示す。(図20から図22では、ハブ99が図示されていない。)質量95Aは、位相合わせ質量と呼ばれる。その位相が、他方の質量95Bに対して変化することができるからである。他方の質量95Bは非位相合わせ質量と呼ばれる。位相合わせ質量95Aの基準として使用されるからである。図20では、2つの質量95A、95Bが相互に整列した状態で図示されている。2つの延長部101は相互に隣接し、2つの質量は相互に同相であると言われる。2つの質量の重心102は、歯車103から比較的遠くに位置する。図20に示す配置構成では、入力シャフト25の全速度が出力シャフト19に伝達される。
【0065】
変速機15は、出力シャフト19が入力シャフト25より高速で回転できるよう設計することができる。例えば、調時歯車93(図8B)は、質量31を入力シャフトより高速で回転し、したがってオーバードライブ構成を生成するよう設計することができる。あるいは、オーバードライブ構成を提供するよう、歯車51、53を設計するか、出力歯車111その他のサイズを決定することができる。
【0066】
有力シャフトの速度に対する出力シャフトの速度を減少させるため、位相合わせ質量95Aを、同じセットの非位相合わせ質量95Bに対して角度をつける。例えば図21では、質量95A、95Bは、相互から90°位相がずれた状態で図示されている。これは、重心102を質量の回転軸に近づけ、軸は歯車103の中心である。その結果、質量によってアーム・アセンブリの端部に加えられるトルクが減少する。負荷に加えられるトルクが減少するにつれ、加重された出力シャフト19の速度も減少する。
【0067】
図22では、2つの質量95A、95Bの位相が相互から180°ずれている。重心102は、質量の回転軸へと移動している。その結果、質量はアーム・アセンブリの端部にトルクを加えない。出力シャフトは全く回転しない。
【0068】
中間速度は、質量の位相を0°から180°間の何らかの位相に調節することによって達成することができる。
【0069】
2セットの質量95、97は、平衡を維持し、振動を減少させるため、等しい位相である。例えば、図23から図25を参照する。図23を参照すると、第1セットの質量95A、95Bが、相互に対して同相であり、第2セットの質量97A、97Bもそうである。出力シャフトを駆動するため、最大トルクが生成される。図24では、第1セットの質量95Aの一方が、他方の質量95Bから90°位相がずれる。アーム・アセンブリを釣り合わせるため、第2セットの質量97Aのうち2つが、第2セットの他の質量97Bから90°位相がずれる。時計回りに回転するため、質量95Aおよび97Aは、他の質量95B、97Bの背後で回転する。図24の配置構成によって生成されるトルクは、図23の配置構成によって生成されるトルクより小さい。出力シャフトに加重すると、出力速度は、図23の配置構成で示した速度より小さくなる。
【0070】
図25では、第1セットの質量95Aは、他の質量95Bから180°位相がずれ、第2セットの質量97Aは、他の質量97Bから180°位相がずれる。出力シャフトは全く回転しない。アーム・アセンブリの端部に加えられるトルクがゼロだからである。
【0071】
質量31の位相は、速度制御装置27(図23参照)によって制御される。速度制御装置27は、歯車51に対する歯車53の位相を変化させる。制御スティック69を動作させると(図23および図24参照)、制御部材67およびスライド・ブロック63が入力シャフトに沿って歯車53に接近する。リンク機構65が傘歯歯車59、57を回転させ、これが歯車53を入力シャフトの周囲で回転させる。歯車53が個々のドライブ・ベルト105を回転し、これが第2入力アーム・シャフト85を回転する。シャフト85が歯車89および調時歯車93を回転し、これが位相合わせ質量95A、97Aを回転させる。したがって、位相合わせ質量95A、97Aの位相が入力シャフト25に対して、および非位相合わせ質量95B、97Bに対しても変化する。非位相合わせ質量95B、97Bは入力シャフト25に対して変化しないままである。これは、歯車51が入力シャフトに固定されるからであり、歯車51が非位相合わせ質量95B、97Bを駆動するからでもある。入力シャフトが回転するにつれ、歯車51、53が同じ速度で回転する。同様に、質量は同じ速度で回転するが、ここでは相互に対して位相がずれる。
【0072】
ロック機構を設けて、制御スティックをその位置に含むことができる。
【0073】
本発明の変速機は、様々な方法で修正することができる。例えば図26では、変速機131が、アーム・アセンブリ133の回転軸と同軸である入力シャフト25を有するよう図示される。アーム・アセンブリ133は、入力シャフト25とは別個に回転する。アーム・アセンブリ133は、シャフト139によって端部で相互に接合された第1および第2平行アーム135、137で構成される。第1アームは、垂直に延在する突起141を有し、これが調時歯車93を受ける。位相合わせ質量95A、97Aは第1アーム135の外側に配置され、非位相合わせ質量95B、97Bは第1アーム135と第2アーム137の間に配置される。シャフト139は、入力シャフト25から十分に隔置されて、シャフトを中心とする質量95A、95B、97A、97Bの回転を可能にする。質量95A、95B、97A、97Bは全て同じ値を有し、延長部101は全て等しい長さおよび質量である。位相合わせ質量95A、97Aは、位相合わせ歯車143によって制御され、これはスリーブ145に結合される。スリーブ145は入力シャフト25の周囲に配置される。位相合わせ質量95A、97Aの位相は、スライダ・クランク147が入力シャフト25に対してスリーブ145および歯車143を回転させることによって変化する。入力シャフト25はスリーブ145、および歯車143、149を回転させる。非位相合わせ歯車149は非位相合わせ質量95B、97Bを回転させる。第2アーム137の外側には、第1および第2の一方向歯車107、109を支持するシャフト151がある。
【0074】
変速機131の操作は、上述した変速機15の操作と同じである。入力シャフト25は、質量95A、95B、97A、97Bを歯車143、93、102(位相合わせ質量95A、97A)および歯車149、93、103(非位相合わせ質量95B、97B)によって回転させる。回転する質量は、アーム・アセンブリ133を前後に動作させる振動トルクを生成する。これは、シャフト151を前後に回転させ、それは一方向歯車107、109によって一方向での出力シャフト19の回転に転換される。
【0075】
図27の変速機161は、出力アセンブリ163以外、図26の変速機131と同様である。図26では、第1および第2の一方向歯車107、109が相互に直列である。図27では、第1および第2の一方向歯車107、109が相互に平行である。一方向歯車はそれぞれ個々の補助シャフト165、167に装着され、補助シャフトは相互に平行である。補助シャフト165、167は、回転自在に枠23Aに結合する。一方向歯車は相互に結合され、第1の一方向歯車107は出力シャフト上の歯車171によって出力シャフト19に結合される。一方向歯車はそれぞれ、結合歯車169によってアーム・アセンブリの歯車173に結合される。
【0076】
回転する質量によってアーム・アセンブリ133が前後に振動するにつれ、アーム・アセンブリの歯車173も同様に回転する。アーム・アセンブリ歯車173が(図27の左から右に見て)時計回りに回転すると、第1の一方向歯車107が補助シャフト165によって反時計回りに駆動され、したがって出力シャフト19を時計回りに駆動する。第2の一方向歯車109が時計回りに回転して、補助シャフト167に対して滑動し、シャフトが反時計回りに回転する。アーム・アセンブリ歯車173が反時計回りに回転すると、出力シャフト19が、第1の一方向歯車107を通して第2の一方向歯車109によって駆動される。特に、アーム・アセンブリ歯車173は補助シャフト167を時計回りに回転させ、これは第2の一方向歯車109を駆動する。第2の一方向歯車109は、(反対方向に回転する個々の補助シャフト165に対して滑動する)第1の一方向歯車107を駆動し、これは出力シャフト19を駆動する。
【0077】
図28は、別の変速機181を示す。この変速機181は、直列の一方向歯車107、109を伴う半アーム・アセンブリ183を有する。アーム・アセンブリのアーム185はそれぞれ、(図2に示すように)自由端が2つではなく、自由端187が1つしかない。回転式質量は回転自在にシャフト189に装着され、これはアーム185の端部187を相互に結合する。アームは、回転自在に枠191に結合される。質量95A、95Bは、アーム・アセンブリ183の回転軸で回転する。
【0078】
振動を低下させるため、釣合錘193、195を使用して、各質量を釣り合わせる。各釣合錘は個々の質量に対して180°位相がずれる。
【0079】
入力シャフト25が回転するにつれ、非位相合わせ質量95Bがドライブ・ベルト197によって回転する。ドライブ・ベルト197は歯車207を回転させ、これはシャフトによって別の歯車209に拘束される。歯車209は、ベルトによって質量95Bを回転させる。その個々の釣合錘195もベルト199によって回転する。位相合わせ質量95Aはベルト201によって回転し、その釣合錘193はベルト203によって回転する。ベルト201は歯車207を回転させ、それはシャフトによって別の歯車209を回転させる。歯車209はベルトによって質量95Aを回転させる。質量95A、95Bが回転すると、アーム・アセンブリ183が振動し、その振動は一方向歯車107、109によって一方向の回転に変換される。
【0080】
速度を変動させるには、スライダ205を移動させ、これが入力シャフト25に対してスリーブ213およびベルト201、203を回転させる。位相合わせ質量95Aは、非位相合わせ質量95Bから位相がずれる。釣合錘193も、位相合わせ質量95Aと180°位相がずれたままになるよう、移動する。
【0081】
変速機181は、アーム質量が低いという利点を有し、これは効率を上げると考えられる。
【0082】
釣合錘193、195は、回転する質量によって生じるような振動を減少させる働きをする。釣合錘はアームにトルクを提供しない。
【0083】
速度制御機構はリンク機構(図2)またはスリーブおよびスライダ・クランク(図28)を含むものとして説明してきたが、他の機構を使用することもできる。例えば、速度制御装置はサーボ制御することができる(図1参照)。また、スライダの位置は、ガバナまたは他のフィードバック装置で制御して、自動速度制御を提供することができる。
【0084】
図29は、別の実施形態による本発明の変速機301を示す。変速機301は、出力アセンブリ303を除き、ほぼ図2に示す変速機と同様である。同様の数字は、両方の変速機で同様の構成要素を表す。
【0085】
出力アセンブリ303は、2つの一方向クラッチ305、307を使用する(図29および図30参照)。好ましい実施形態では、クラッチ305、307はスプラグ・クラッチである。クラッチは、相互に対して逆方向である。したがって、クラッチの一方のスプラグは、他方クラッチのスプラグとは反対方向に配向される。
【0086】
各クラッチ305、307の内輪は、装着用管77に結合される。したがって、装着用管が回転すると、各クラッチの内輪が回転する。
【0087】
クラッチの外輪は、図2の変速機とは異なる方法で結合する。第1クラッチ305の外輪は、枠23に固定されるよう、それに接続される。第2クラッチ307の外輪は出力歯車107に接続される。出力歯車107は、出力シャフト19の歯車111に回転自在に結合される。
【0088】
変速機の操作は、出力を除き、図2の変速機と同じである。一方向クラッチの構成のため、アーム(1本または複数)71が一方向にしか回転しない。図31から図34を参照すると、アーム71は(図31から図34に示す方向に対して)時計回りに回転するが、反時計回りに回転することができない。
【0089】
質量31は、個々のシャフトの周囲で時計回りに回転する。質量31が図31に示すように外側に延在すると、トルクがアーム71に加えられない。その結果、出力シャフト19にトルクが加えられない。質量が、図32に示すようにアーム71に対して垂直の場合は、時計回りのトルクがアーム71に加えられ、アームが時計回りに回転する。アーム71は装着用管77を回転させる。第1クラッチ305が滑動して、第2クラッチ307が駆動され、したがって出力シャフト、つまりドライブ・シャフト19を駆動する。
【0090】
質量が、図33に示すように内側に延在する場合は、アーム71にトルクが加えられない。その結果、出力シャフト19にトルクが加えられない。質量は時計回りに回転し続け、図34に示すように、アーム71に垂直に延在する。質量は、アーム71に反時計回りのトルクを加える。しかし、アーム71は、枠に結合された第1の一方向クラッチによって時計回りの動作が防止される。同様に、出力シャフト19は回転を防止される。第2の一方向クラッチ307は、装着用管が反時計回りに回転できる場合に滑動する。質量が図31に示すように外側に延在する状態で、サイクルが繰り返される。
【0091】
アーム71の動作を一方向のみに制限することにより、幾つかの利点が実現される。第1に、変速機の出力が増加する。これは、アーム・アセンブリ29がオンとオフの速度間のみで遷移するからである。図31から図34の例を参照すると、アーム・アセンブリは時計回りに回転するか、停止する。図16から図19で与えられた例では、アーム・アセンブリが両方向に自由に回転し、アーム・アセンブリがオンとオフと反転の間で遷移する。アーム・アセンブリは時計回りに回転し、次にオフになり(つまり停止し)、次に反時計回りに回転する。
【0092】
アーム・アセンブリが高速で(例えば800〜1800rpmで)回転すると、単純に、十分に方向を反転させる時間がない。その結果、変速機のトルクまたは出力が減少する。アーム・アセンブリは、オンおよびオフの状態で一方向に回転する。図31から図33は、オンの状態で回転するアーム71を示し、図34はオフ、つまり静止状態のアームを示す。アームの出力速度が上がるにつれ、サイクルのオン部分がオフ部分に対して長くなる。図35はこれを示し、アーム71の出力速度が実線(1,000rpm)および点線(250rpm)で図示されている。高速の方では、アームは約0.025秒回転し、低速ではアームは約0.0175秒しか回転しない。出力に提供されるトルクの量は、アームの速度が上がるにつれて増加する。図35のグラフは例示的であり、以下の状態で動作する変速機を示す。つまり入力シャフトの速度が1800rpm、不平衡の質量が約4.54kg(10 pounds)で直径が約15.24cm(6 inches)、アームの質量慣性モーメントは約0.477kg・cm秒2(0.414inch−pounds second2)、アームの半径は約10.16cm(4 inches)である。
【0093】
図29の変速機の別の利点は、出力アセンブリが、可動部品の減少により単純化されることである。
【0094】
上記で検討した出力アセンブリ303は、本明細書のいずれの変速機でも使用することができる。
【0095】
図36から図37は、本明細書で説明する変速機のいずれかで使用する、別の実施形態による回転式質量321を示す。質量321は円盤形であり、外周に溝323がある。質量321はアーム325の端部に回転自在に結合される。アーム325はハブ327に結合される。ハブ327は歯車103に接続される。ハブ327および歯車103は、アーム・アセンブリ29(図7Bおよび図8B参照)のシャフト91に取り付けられる。(シャフト91は、ハブ327内に延在するよう長めである。)
【0096】
エンドレス・ベルト329が、質量321の周囲の溝323内、およびシャフト91の周囲でループを生成する。歯車103が回転するにつれ、ハブ327およびアーム325が同様に回転する。質量321の中心も回転するが、質量はアーム325に対して回転する。このアームに対する質量の回転は、ベルトによるものである。ベルト329が、回転する質量の遠心力の多くを受ける。これによって、アーム325およびベルト329が、図9Aの質量のアーム101より少ない質量になることができる。
【0097】
アーム・アセンブリの慣性モーメントは、ベルト構成によって減少する。これにより、出力される力の量が増加する。また、アーム・アセンブリの疲労寿命が延長される。
【0098】
以上の開示および図面の表示は、本発明の原理を例示するに過ぎず、制限的な意味では解釈されない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の変速機を示す車両の動力伝達(drive train)の略図である。
【図2】 好ましい実施形態による本発明の変速機の等角図である。
【図3】 枠の等角図である。
【図4A】 入力シャフトの斜視図である。
【図4B】 変速機に組み付けた入力シャフトの斜視図である。
【図5A】 速度制御装置の等角図である。
【図5B】 変速機に組み付けた速度制御装置の等角図である。
【図6A】 アーム・アセンブリの等角図である。
【図6B】 変速機に組み付けた状態のアーム・アセンブリの等角図である。
【図7A】 アーム・シャフトの等角図である。
【図7B】 変速機に組み付けた状態のアーム・シャフトの等角図である。
【図8A】 調時歯車の等角図である。
【図8B】 変速機に組み付けた状態の調時歯車の等角図である。
【図9A】 回転式質量の等角図である。
【図9B】 変速機に組み付けた状態の回転式質量の等角図である。
【図10A】 ドライブ・ベルトの等角図である。
【図10B】 変速機に組み付けた状態のドライブ・ベルトの等角図である。
【図11A】 一方向歯車の等角図である。
【図11B】 変速機に組み付けた状態の一方向歯車の等角図である。
【図12A】 出力アセンブリの等角図である。
【図12B】 変速機に組み付けた状態の出力アセンブリの等角図である。
【図13】 スプラグ・クラッチの平面図である。
【図14】 アームの端部に対する回転式質量の様々な回転位置を示す線図である。
【図15】 図14の回転式質量の様々な位置に対するトルクを示す線図である。
【図16】 図2の線XVI−XVIを通って切り取ったアーム・アセンブリの断面図である。
【図17】 偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアームの回転を示す線図である。
【図18】 偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアームの回転を示す線図である。
【図19】 偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアームの回転を示す線図である。
【図20】 回転式質量の位相変化が回転式質量の重心に与える効果を示す線図である。
【図21】 回転式質量の位相変化が回転式質量の重心に与える効果を示す線図である。
【図22】 回転式質量の位相変化が回転式質量の重心に与える効果を示す線図である。
【図23】 相互に対して位相が合った回転質量を示す、枠なしで示した変速機の等角図である。
【図24】 図23と同様であるが、質量の位相が90°ずれて図示されている。
【図25】 図23と同様であるが、回転式質量の位相が相互から180°ずれて図示されている。
【図26】 別の実施形態による変速機の等角図である。
【図27】 別の実施形態による変速機の等角図である。
【図28】 別の実施形態による変速機の等角図である。
【図29】 別の実施形態による本発明の変速機の等角図である。
【図30】 図29の変速機の枠の等角図である。
【図31】 図29の線XXXI−XXXIに沿って切り取ったアーム・アセンブリの断面図であり、偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアーム・アセンブリの回転を示す。
【図32】 図29の線XXXI−XXXIに沿って切り取ったアーム・アセンブリの断面図であり、偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアーム・アセンブリの回転を示す。
【図33】 図29の線XXXI−XXXIに沿って切り取ったアーム・アセンブリの断面図であり、偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアーム・アセンブリの回転を示す。
【図34】 図29の線XXXI−XXXIに沿って切り取ったアーム・アセンブリの断面図であり、偏心および回転式質量の回転によって引き起こされるアーム・アセンブリの回転を示す。
【図35】 図29の変速機のアーム・アセンブリの2つの異なる速度を比較するグラフである。
【図36】 別の実施形態による回転式質量の等角図である。
【図37】 図36の回転式質量の組立分解等角図である。
Claims (11)
- 変速機であって、
回転式入力部材と、
長さおよび端部を有するアームと
を備え、アームが、長さに対して横方向の軸線を有し、端部が軸線から隔置され、アームの端部が軸線の周囲で回転可能であり、アームが回転式入力部材とは別個に回転することができ、
第1質量が、アームの端部に対して偏心して、アームの端部に回転自在に結合され、
回転式入力部材は、第1質量をアームの端部の周り回転させ、
さらにアームと出力部材の間に結合された第1の一方向クラッチ
を備え、第1の一方向クラッチは、アームが一方向に回転すると、出力部材を一方向に駆動し、
第2質量がアームの端部に対して偏心して、アームの端部に回転自在に結合され、
回転式入力部材は、第2質量をアームの端部の周りに回転させ、
第1質量と第2質量とは質量の回転軸を中心に回転し、
第1質量と第2の質量は、相互の重心を有し、
質量の回転軸から重心までの距離は変更可能であり、
第1質量と第2質量は互いに整合すると0度の位相となり、質量の回転軸からの重心の距離がさらに遠くなり、第1質量と第2質量とが質量の回転軸に関して互いに反対の位置となると位相が180度となり、重心が質量の回転軸上に位置し、
第2質量は、第1質量に対して位相の調節が可能であり、
位相制御装置が第2質量に結合され、第1質量に対して第2質量の位相を調節するようにした変速機。 - アームが、第1質量のための第1釣合錘となる第3の質量および第2質量のための第2釣合錘となる第4の質量を有する、請求項1に記載の変速機。
- アームの端部が第1アーム端部であり、
さらにアームは、第2アーム端部を有し、アームが第1アーム端部と第2アーム端部との間の中間部分で回転可能であり、
第2アーム端部に対して偏心して、第2アーム端部に第3質量と第4質量とが回転自在に結合され、第3および第4質量が、回転式入力部材によって回転可能であり、
質量の回転軸が第1の質量の回転軸であり、かつ重心が第1の重心であり、第3質量と第4質量が第2の質量の回転軸を中心に回転し、相互の第2重心を有し、
第4質量が、第3質量に対して位相が調節可能であり、
位相制御装置が第4質量に結合され、第3質量に対する第4質量の位相を調節するようにした、請求項1に記載の変速機。 - 第1、第2、第3および第4質量が、アームに対してそれぞれ回転する毎にアームの回転軸線を通過するよう、アームに装着される、請求項3に記載の変速機。
- 回転式入力部材が入力シャフトであり、
入力シャフトが少なくとも一つの入力歯車を有し、
第1質量が、入力歯車と係合する少なくとも一つの第1質量歯車を有し、第2質量が入力歯車と係合する少なくとも一つの第2質量歯車を有し、第3質量が入力歯車と係合する少なくとも一つの第3質量歯車を有し、第4質量が入力歯車と係合する少なくとも一つの第4質量歯車を有し、
アームの回転式入力部材および出力部材は、回転可能に枠に結合される、請求項4に記載の変速機。 - さらに、アームと出力部材の間に結合される第2一方向クラッチを備え、第2一方向クラッチは、アームが他方向に回転すると、出力部材を一方向に駆動する、請求項1に記載の変速機。
- 第2の一方向クラッチが、アームの他方向への回転を防止する、請求項1に記載の変速機。
- さらに、回転式入力部材、アームおよび出力部材に対して静止している枠を備え、第2の一方向クラッチが枠に結合される、請求項7に記載の変速機。
- 機械的動力を源から負荷へと伝達する方法で、
長さと端部を有し、アーム軸の周りに回転可能なアームを準備するステップと、
アームの端部に対して共に偏心した第1質量と2質量を準備するステップと、
ここで第1質量と2質量は、質量の回転軸を中心に回転可能であり、また第1質量と2質量は、相互の重心を有し、第1質量と第2質量は互いに整合すると0度の位相となり、質量の回転軸から重心までの距離がさらに遠くなり、第1質量と第2質量とが質量の回転軸に関して互いに反対の位置となると位相が180度となり、重心が質量の回転軸上に位置し、
源から回転入力を受け取るステップと、
回転入力で第1質量と第2質量を質量の回転軸を中心に回転させ、アームに振動トルクを与えるべく回転入力を用いるステップと、
振動トルクでアーム軸の周りにアームを双方向に回転させるべく振動トルクを用いるステップと、
双方向回転を一方向の回転に変換するステップと、
一方向の回転を負荷に与えるステップと
第1質量と第2質量との間の位相を調節してアームに付加するトルクの大きさを調節するステップと
を含む方法。 - 回転入力を用いる段階が、さらにアームの第1アーム端部の周りに第1偏心質量と第2偏心質量とを回転させ、かつ第3偏心質量と第4偏心質量とをアームの第2アーム端部の周りに回転させるステップを含み、
振動トルクを用いてアーム軸の周りにアームを双方向に回転させるステップが、さらにアームの第1アーム端部と第2アーム端部との間の中間部分を通るアーム軸の周りにアームを回転させるステップを含み、
双方向回転を一方向回転に変換して、一方向回転を負荷に与え、第1質量と第2質量との間の位相と、第3質量と第4質量との間の位相を調節してアームに付与するトルクの大きさを調節するようにした、請求項9に記載の方法。 - 第1方向にアームを回転させるが、その反対方向にアームを回転させることを禁止するステップと、
第1方向でアームに作用するトルクを負荷に付与するステップと
をさらに有する、請求項9に記載の方法。
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