JP4464422B2 - 車両用空調装置の排水構造 - Google Patents
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Description
この排水構造では、差圧によりブロア内に誘導された水がブロアによって送風された後、エバポレータに捕獲され、凝縮水としてエバポレータの下方のドレンパイプから排出される。この結果、インテークダクトにドレンパイプを設けることなく、インテークダクト内に雨水が貯留することを防止する車両用空調装置を提供することができる。
前記遠心送風機は、吸込側に前記インテークダクトを連結し、下部に水溜まりスペースが構成されたスクロールケーシングを有し、
前記空調ケースは、前記スクロールケーシングの吐出側に連通する部分に送風路が形成され、
前記送風抵抗部材は、外周面が前記空調ケースの内壁面に設定され、前記送風路を流れる風の流れに通気抵抗を持たせる部材であり、
前記インテークダクトの底壁面と、前記スクロールケーシングの下部を連通する第1連通部と、
前記スクロールケーシングの下部と、前記スクロールケーシングの下部位置にレイアウトされた前記送風抵抗部材の上部を連通する第2連通部と、
前記第2連通部からの水が落下する位置に、前記送風抵抗部材の外周に沿って形成された排水溝と、
前記空調ケースの下部に設けられ、前記排水溝を経過した水を前記空調ケースの外部に排出するドレン構造と、
を備えたことを特徴とする。
排水作用のうち遠心送風機の作動時においては、空調ケース内に風の流れが生じる。このため、例えば、風の流れの影響を受ける位置に排水ルートが配置されていると、飛水が発生したり、排水の逆流が発生したり、吹き出し温度を変動させたりする。
しかし、本発明の場合、排水溝が送風抵抗部材の外周に沿って形成されているため、排水ルートは、風流れによる影響を受けない隔絶されたルートとなる。したがって、風流れによる吹き出し側への飛水の発生を防止できるし、風流れによる排水の逆流の発生を防止できる。さらに、風流れとは隔絶された位置の排水溝を通過して排水するため、吹き出し温度への影響も抑えられる。
この結果、既存のドレン構造を利用した簡単な構成としながら、遠心送風機の停止・作動にかかわらず、スクロールケーシングの下部に溜まろうとする水を外部に排除することができると共に、遠心送風機の作動時、飛水や排水逆流の発生を防止できるし、吹き出し温度への影響を抑制できる。
図1は実施例1の排水構造が適用された車両用空調装置を示すモータ回転軸方向断面図である。図2は実施例1の排水構造が適用された車両用空調装置を示す図1のA−A線によるモータ回転軸直交方向断面図である。図3は実施例1の排水構造における図1の第1,第2連通部を示す拡大断面図である。図4は実施例1の排水構造における第2連通部を示す図3のB−B線による拡大断面図である。
すなわち、実施例1の排水構造が適用された車両用空調装置は、暖房のみを行う暖房専用の車両用空調装置であり、冷房と暖房を共に行う冷暖兼用の車両用空調装置の空調ケースを流用し、冷暖兼用の場合にエバポレータを設定する位置に、エバポレータに代えダミーエバポレータ6を設定したバリエーションユニットである。
このインテークダクト2の底壁面は、内外気導入ダクト1の直下部分であり傾斜角度が急角度である第1傾斜底壁面2aと、遠心送風機4に向かう部分であり傾斜角度が緩角度である第2傾斜底壁面2bと、を有する。
このダミーエバポレータ6は、冷暖兼用の場合に用いられるエバポレータの外形形状とほぼ同一形状の外形形状を持ち、その外周は、図1〜図4に示すように、気密止水シート8により囲まれている。
前記ダミーエバポレータ6の外周面は、気密止水シート8を介して空調ケース5の内壁面に対して、図1に示すように、両側面と上面の3面が気密止水状態で固定され、下面のみにはドレンパイプ9と連通するドレン隙間13を介装させている。そして、気密止水シート8には、図3に示すように、前記第2排水穴11と一致する位置に、第2排水穴11から落下する水を排水溝12へ受け渡す溝導入穴8aが開穴されている。
スクロールケーシングの巻き角度が300°程度あり、モータを水平に配置した遠心送風機を用いた車両用空調装置では、エンジンルームのスチーム洗浄時、インテークダクトに浸入してきた水滴が水となってダクト底壁面に沿って流れたり、ブロア停止時、インテークダクトの内面に付着した雪や水滴が水となってダクト底壁面に沿って流れたりすると、図5に示すように、スクロールケーシングの下部に水が溜まっていた。そして、このスクロールケーシングの下部に溜まった水が凍結すると、ファンの破損原因となっていた。
以下、実施例1の車両用空調装置の排水構造における遠心送風機の停止/作動時における排水作用を説明する。
例えば、内外気導入ダクト1からインテークダクト2に導入された水は、図1の(a)に示すように、傾斜底壁面2a,2bに沿って、下流側の遠心送風機4のスクロールケーシング41の下部に向かって流れる。
スクロールケーシング41の下部に向かって流れる水は、図1の(b)に示すように、傾斜底壁面2a,2bから第1排水穴10を通過し、遠心送風機4のスクロールケーシング41の下部に導かれる。
ここで、第1排水穴10と第2排水穴11との間は、第1排水穴10から第2排水穴11に向かって下り勾配の案内傾斜溝14により接続されている。このため、図3に示すように、第1排水穴10からの水は案内傾斜溝14に集められ、かつ、図2及び図4に示すように、スクロールケーシング41の内面に付着した水滴が凝縮した水も案内傾斜溝14に集められる。すなわち、案内傾斜溝14に集約された水が遠心送風機4のスクロールケーシング41の下部に導かれる。
遠心送風機4のスクロールケーシング41の下部に導かれた水は、図1(c)に示すように、スクロールケーシング41の下部から、第2排水穴11及び溝導入穴8aを経過し、ダミーエバポレータ6の上部の排水溝12が設定された位置に導かれる。
ダミーエバポレータ6の排水溝12に導かれた水は、図1(d)に示すように、ダミーエバポレータ6の中央上部から、排水溝12に沿って図1の左方向に流れ、その後、図1の下方向に流れる。なお、空調ケース5の車両レイアウトや車両の傾斜状況等により、ダミーエバポレータ6の排水溝12に導かれた水が、図1(d')に示すように、ダミーエバポレータ6の中央上部から、排水溝12に沿って図1の右方向に流れ、その後、図1の下方向に流れることもある。
ダミーエバポレータ6の排水溝12に沿ったルートで下方に落下してきた水は、図1(e)に示すように、空調ケース5のドレンパン部5aへ集約される。
空調ケース5のドレンパン部5aへ集約された水は、図1(f)に示すように、空調ケース5のドレンパイプ9から外部に排出される。
・遠心送風機4の停止・作動にかかわらず、スクロールケーシング41の下部に溜まろうとする水を外部に排除することができる。
・風流れによる吹き出し側への飛水の発生を防止できる。
・風流れによる排水の逆流の発生を防止できる。
・吹き出し温度(暖房)への影響が抑えられる。
実施例1の車両用空調装置の排水構造にあっては、下記に列挙する効果を得ることができる。
図6は実施例2の排水構造が適用された車両用空調装置の要部を示す一部拡大断面図である。
すなわち、実施例2の排水構造が適用された車両用空調装置は、冷房と暖房を共に行う冷暖兼用の車両用空調装置であり、冷房用の熱交換器であるエバポレータ60を設定している。
ここで、一対の気密止水シート8’,8’を、互いに間隔を介して対向させるにあたっては、2本の気密止水シート8’,8’を巻き付けるようにしても良いし、1本の気密止水シート8’を全体に巻き付け、中央部をスリット状に取り除くようにしても良い。なお、他の構成については、実施例1と同様であるので、図示並びに説明を省略する。
・遠心送風機4の停止・作動にかかわらず、スクロールケーシング41の下部に溜まろうとする水を外部に排除することができる。
・風流れによる吹き出し側への飛水の発生を防止できる。
・風流れによる排水の逆流の発生を防止できる。
・吹き出し温度(冷房、暖房)への影響が抑えられる。
実施例2の車両用空調装置の排水構造にあっては、実施例1の(1),(2)の効果に加え、下記の効果を得ることができる。
2 インテークダクト
2a 第1傾斜底壁面
2b 第2傾斜底壁面
3 クリーンフィルタ
4 遠心送風機
41 スクロールケーシング
42 ブロアファン
43 ファンモータ
5 空調ケース
5a ドレンパン部(ドレン構造)
6 ダミーエバポレータ(送風抵抗部材)
7 送風路
8,8’ 気密止水シート
9 ドレンパイプ(ドレン構造)
10 第1排水穴(第1連通部)
11 第2排水穴(第2連通部)
12 排水溝
13 ドレン隙間
14 案内傾斜溝
60 エバポレータ(送風抵抗部材)
Claims (4)
- インテークダクトと遠心送風機と送風抵抗部材と空調ケースを備え、前記インテークダクトから前記遠心送風機に向かって浸入してきた水を前記空調ケースの外部に排出する車両用空調装置の排水構造において、
前記遠心送風機は、吸込側に前記インテークダクトを連結し、下部に水溜まりスペースが構成されたスクロールケーシングを有し、
前記空調ケースは、前記スクロールケーシングの吐出側に連通する部分に送風路が形成され、
前記送風抵抗部材は、外周面が前記空調ケースの内壁面に設定され、前記送風路を流れる風の流れに通気抵抗を持たせる部材であり、
前記インテークダクトの底壁面と、前記スクロールケーシングの下部を連通する第1連通部と、
前記スクロールケーシングの下部と、前記スクロールケーシングの下部位置にレイアウトされた前記送風抵抗部材の上部を連通する第2連通部と、
前記第2連通部からの水が落下する位置に、前記送風抵抗部材の外周に沿って形成された排水溝と、
前記空調ケースの下部に設けられ、前記排水溝を経過した水を前記空調ケースの外部に排出するドレン構造と、
を備えたことを特徴とする車両用空調装置の排水構造。 - 請求項1に記載された車両用空調装置の排水構造において、
前記第1連通部は、前記インテークダクトの傾斜底壁面と前記スクロールケーシングの下部位置を前記遠心送風機のモータ回転軸方向に連通する第1排水穴であり、
前記第2連通部は、前記スクロールケーシングの下部位置と前記送風抵抗部材の上部位置を一致させ、両位置を前記遠心送風機のモータ回転軸と直交する方向に連通する第2排水穴であり、
前記第1排水穴と前記第2排水穴との間は、第1排水穴から第2排水穴に向かって下り勾配の案内傾斜溝により接続したことを特徴とする車両用空調装置の排水構造。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用空調装置の排水構造において、
前記送風抵抗部材は、通風穴を開口した抵抗合わせ板部と、該抵抗合わせ板部の全周に形成した枠板部を有した部材であり、
前記排水溝は、前記枠板部の全周に形成したことを特徴とする車両用空調装置の排水構造。 - 請求項1または請求項2に記載された車両用空調装置の排水構造において、
前記送風抵抗部材は、外周面に気密止水シートを巻き付け、該気密止水シートを介して空調ケースに設定されるエバポレータであり、
前記排水溝は、前記気密止水シートを互いに間隔を介して一対配置することで、一対の気密止水シートの対向面と前記エバポレータの外周面により形成したことを特徴とする車両用空調装置の排水構造。
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