JP4464387B2 - オゾン水生成方法 - Google Patents
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Description
このような直接電解法は、具体的には、ケーシング内を固形電解質膜によって陽極室と陰極室とに仕切り、陽極室側の固形電解室膜面に陽極電極を、陰極室側の固形電解質膜面に陰極電極をそれぞれ圧接して設けた装置を使用して、陽極室及び陰極室に水を供給するとともに陽極電極と陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成している。
しかし、上記装置においてオゾン水生成運転を継続すると、オゾン水の濃度が次第に低下する現象が観察されている。この原因としては、継続運転することによって固形電解質膜の分子配列が少しずつ乱れることによって、膜の性能が低下するためであることが知られている。また、継続運転によって固形電解質膜の陰極側の表面にカルシウムやマグネシウムなどの汚れ成分(主として硬度成分)が付着し、これらの汚れ成分によってもオゾン水生成効率が阻害されるという問題がある。
そこで、固形電解質膜自体の性能の劣化防止として、陽極電極と陰極電極の両方を液圧シリンダによって固形電解質膜に対して圧接及び離脱可能に設け、直流電圧の印加時に液圧シリンダを前進作動させて陽極電極及び陰極電極を固形電解質膜に圧接させ、直流電圧のオフ時に液圧シリンダを後退作動させて陽極電極及び陰極電極を固形電解質膜から離脱させることにより、固形電解質膜が再び電解に使用し得る回復状態になる所定時間の間停止させる技術がある(例えば、特許文献2参照)。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、陽イオン交換膜の経時疲労の回復及び汚れ成分の除去を簡易にかつ安価に行うことのできるオゾン水生成方法を提供することを目的としている。
陽イオン交換膜21a〜21cの一方の面に陽極電極22を圧接し、他方の面に陰極電極23を圧接し、前記陽極電極及び前記陰極電極に水を供給するとともに前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成方法において、
前記陽イオン交換膜は、複数枚重ねられており、複数の陽イオン交換膜は、互いに質量が異なるもので、かつ、前記陽極電極側の陽イオン交換膜は、前記陰極電極側の陽イオン交換膜よりも厚さが厚く、
前記陽極電極及び前記陰極電極に水を供給することによって吸水状態となった前記陽イオン交換膜に、正極性の直流電圧を印加してオゾン水を生成した後、一定時間以上の無通電時間を置いて、逆極性の直流電圧を印加することにより前記陽イオン交換膜に電気刺激が与えられて、電歪現象により、陽イオン交換膜の分子配列の乱れが矯正されて、元の膜性能に復帰させることを特徴とする。
無通電時間を置かずに逆極性の直流電圧を印加した場合、陽イオン交換膜の分子配列が一層大きく乱されて、次に正極性の直流電圧を印加してオゾン水を生成しても逆に性能を低下させてしまったり、性能の回復が不能になったりすることがあるためである。
また、陽イオン交換膜は複数枚重ねられているので、逆極性の直流電圧を印加した場合に見られる電歪現象は、陽イオン交換膜を同じ厚さの1枚の膜にした場合に比べて、薄い複数枚の膜とした場合の方が大きく変位し、汚れを落とし易くなる。特に、カルシウムやマグネシウムなどの汚れ成分の大部分は陰極電極に接している膜の、陰極電極側に付着するので、陰極電極に接触している膜には薄い陽イオン交換膜を使用することが効果的である。
さらに、複数の陽イオン交換膜は互いに質量が異なるものであるので、オゾン発生にも、付着した汚れを落とすにも有効なオゾン水生成方法を実現することができる。
特に、厚さの厚い陽イオン交換膜は電気抵抗がそれだけ大きく、高い電圧を維持するのでオゾン発生には有利である。一方、電歪現象を利用して付着した汚れを落とすためには、厚さの薄い膜が有利である。したがって、オゾンを発生する陽極電極側の陽イオン交換膜には厚い膜を、陰極電極側の陽イオン交換膜には薄い膜を使用することによって、オゾン発生に有利でかつ、付着した汚れを確実に落とすことができるといった両方の効果を実現することができる。
前記一定時間以上の無通電時間を1分間以上とすることを特徴とする。
前記正極性の直流電圧の印加及び前記逆極性の直流電圧の印加とは、パルス波電流を印加することを特徴とする。
前記陽イオン交換膜の一方の面に前記陽極電極が圧接し、他方の面に前記陰極電極が圧接することによって、前記陽イオン交換膜は前記陽極電極と前記陰極電極との間でのみ保持されて、前記陽イオン交換膜の上下端部が固定されていないことを特徴とする。
図1は、オゾン水生成装置100の側断面図であり、 (a)は、陽イオン交換膜21a〜21cを強く圧接した場合を示し、(b)は、電歪現象を起こしやすくするため陽イオン交換膜21a〜21cを軽く接触した場合を示したものである。
まず、本発明に係るオゾン水生成方法で使用するオゾン水生成装置100について説明する。オゾン水生成装置100は、原料水(例えば、水道水)が流入されるケーシング1内に触媒電極2を配置して構成したもので、触媒電極2に正極性の直流電圧を印加することによって微細オゾン気泡を発生させて、発生間近の微細オゾン気泡を水に溶解させることによりオゾン水を生成し、生成後、逆極性の直流電圧を印加することによって触媒電極2の陽イオン交換膜21の経時疲労の回復及び汚れ成分の除去を行うことのできる装置である。
一方、ケーシング1の下端部には、陽極室11Aに連通し、陽極室11Aで生成されたオゾン水が排出される陽極側排出口14Aと、陰極室11Bで生成された水素水等が排出される陰極側排出口14Bとがそれぞれ形成されている。陽極排出口14Aには陽極室11Aに通じる陽極側排出路15Aが形成され、陰極側排出口14Bには陰極室11Bに通じる陰極側排出路15Bが形成されている。陽極側排水口14Aには、例えば図示しないが、ケーシング1内で生成されたオゾン水を貯留するタンクに接続するためのポンプやノズル等に連結されている。陰極側排水口14Bには、例えば図示しないが、ケーシング1内で生成された水素水を貯留するタンクに接続するためのポンプやノズル等に連結されている。
また、陽極側供給口12Aと陰極側供給口12Bとの間のケーシング1の内壁面には、後述する複数枚の陽イオン交換膜21a〜21cの上端部が挿入される挿入穴16が形成され、陽極側排出口14Aと陰極側排出口14Bとの間のケーシング1の内壁面には、複数枚の陽イオン交換膜21a〜21cの下端部が挿入される挿入穴17が形成されている。
このようなケーシング1において、陽極側供給口12A及び陰極側供給口12Bから水が供給され、陽極側供給路13A、陽極側排出路15A、陰極側供給路13B及び陰極側排出路15Bを通って、陽極側排出口14A及び陰極側排出口14Bへと水流が発生している。
ケーシング1の内壁面のうち陽極室11A側を向く面には凹部が形成されて、この凹部内に陽極電極22を保持する保持板18Aが取り付けられて、陽極電極22が保持板18Aに保持されている。同様に、ケーシング1の内壁面のうち陰極室11B側を向く面に凹部が形成されて、この凹部内に陰極電極23を保持する保持板18Bが取り付けられて、陰極電極11Bが保持板18Bに保持されている。保持板18A,18Bの背面には、適切なバネ定数のゴムや樹脂等の部材を組み合わせることが、オゾン生成に優れ、後述の逆極印加にも有効な接触圧力を実現できる点で好ましい。
以上の複数枚の陽イオン交換膜21a〜21c、陽極電極22及び陰極電極23は、それぞれ平板状に形成されており、これら複数枚の陽イオン交換膜21a〜21c、陽極電極22及び陰極電極23が密着して圧接されている。ここで、陽イオン交換膜21a〜21cと、陽極電極22及び陰極電極23との接合圧力は、図1(a)、(b)に示すように、通電できる状態でかつ後述するように逆極性の直流電圧の印加により陽イオン交換膜21a〜21cが変位できる範囲に調整する。すなわち、通電できる状態とは、陽イオン交換膜21a〜21cと陽極電極22及び陰極電極23が接触していることが条件となり、接触面圧を下げ、軽く接触させることが好ましい(例えば、図1(b)参照)。陽イオン交換膜21a〜21cが変位できる範囲とは、陽イオン交換膜の厚み、重ねる枚数などにより異なり、オゾンの生成状態や電歪現象を観察しながら決定することが好ましい。
陽極側供給口12A及び陰極側供給口12Bから水をケーシング1内に供給して、陽極電極22面及び陰極電極23面に水を連続接触させる。同時に、電源装置を駆動させることによって陽極電極22及び陰極電極23間に所定の電圧を印加する。この通電により水が電気分解されて、陽極電極22側にはオゾン気泡が発生し、陰極電極23側には水素気泡が発生する。発生したオゾン気泡は水に溶解してオゾン水となり、陽極側排出口14Aから排出され、水素気泡は水に溶解して水素水となり、陰極側排出口14Bから排出される。
このように正極性から逆極性の電圧を印加することによって、吸水したゲル状の陽イオン交換膜21a〜21cが短時間の電気刺激によりミクロ状態で変位する。このため、陽イオン交換膜21a〜21cの経時疲労が回復し、付着したカルシウムやマグネシウム等の汚れ成分が除去される。その後、再び正極性の電圧を印加することによって、陽イオン交換膜21a〜21cの性能が低下することなく、繰り返しオゾン水を生成することができる。
パルス波電流を印加するので、電歪現象を繰り返し起こさせることで、陽イオン交換膜21a〜21cの膜性能の劣化をより回復させることができる。特に、カルシウムやマグネシウム等の除去に有効となる。
例えば、上記実施の形態では、陽イオン交換膜21a〜21cは三枚使用したが、一枚や二枚であっても良く、四枚以上であっても構わない。
白金製の陽極電極を用い、銀に塩化銀被覆を施した陰極電極を使用し、厚さの異なる三枚の陽イオン交換膜にはデュポン製のナフイオン膜を使用した。そして、これら三枚の陽イオン交換膜、陽極電極及び陰極電極を重ね合わせて圧接した触媒電極を、図1に示すようにケーシング内の所定位置に配置し、陽極側供給口及び陰極側供給口から蒸留水を供給し、陽極電極及び陰極電極間に12Vの正極性の直流電圧を印加したところ、流量5L/分において約28Aの電流が流れ、陽極側排出口から5ppmのオゾン水を得た。180分経過後、4ppmの濃度に低下したので、2分間の休止後、1秒間の逆極性の直流電圧を印加して電気刺激を与えることにより、元の5ppmのオゾン濃度に復帰したことが観察された。すなわち、経時劣化した陽イオン交換膜の膜性能が電気刺激により回復し、また、膜表面に付着したカルシウムやマグネシウムが離脱したためであると考えられる。また、経時疲労や汚れの度合いにより無通電時間の長短が考えられるが、上記実験によれば2分以上置けばほぼ問題なく回復することが認められる。したがって、本発明の効果が認められる。
21a,21b,21c 陽イオン交換膜
22 陽極電極
23 陰極電極
100 オゾン水生成装置
Claims (4)
- 陽イオン交換膜の一方の面に陽極電極を圧接し、他方の面に陰極電極を圧接し、前記陽極電極及び前記陰極電極に水を供給するとともに前記陽極電極と前記陰極電極との間に直流電圧を印加することによってオゾン水を生成するオゾン水生成方法において、
前記陽イオン交換膜は、複数枚重ねられており、複数の陽イオン交換膜は、互いに質量が異なるもので、かつ、前記陽極電極側の陽イオン交換膜は、前記陰極電極側の陽イオン交換膜よりも厚さが厚く、
前記陽極電極及び前記陰極電極に水を供給することによって吸水状態となった前記陽イオン交換膜に、正極性の直流電圧を印加してオゾン水を生成した後、一定時間以上の無通電時間を置いて、逆極性の直流電圧を印加することにより前記陽イオン交換膜に電気刺激が与えられて、電歪現象により、陽イオン交換膜の分子配列の乱れが矯正されて、元の膜性能に復帰させることを特徴とするオゾン水生成方法。 - 前記一定時間以上の無通電時間を1分間以上とすることを特徴とする請求項1に記載のオゾン水生成方法。
- 前記正極性の直流電圧の印加及び前記逆極性の直流電圧の印加とは、パルス波電流を印加することを特徴とする請求項1又は2に記載のオゾン水生成方法。
- 前記陽イオン交換膜の一方の面に前記陽極電極が圧接し、他方の面に前記陰極電極が圧接することによって、前記陽イオン交換膜は前記陽極電極と前記陰極電極との間でのみ保持されて、前記陽イオン交換膜の上下端部が固定されていないことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のオゾン水生成方法。
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