JP4463738B2 - Ofdm受信装置 - Google Patents
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OFDM方式は、マルチキャリア変調方式の一種であり、互いに直交する複数であるn本(nは、例えば、数十〜数千)の搬送波にデジタル変調を施す伝送方式である。
OFDM方式は、その性質上、マルチパス環境や移動体伝送などのように、劣悪な環境下で使用されることが多い。マルチパス環境下においては、受信機では、送信機から直接的に伝搬してきた主波と、山や建物などに反射して遅延時間を伴って到来してきた反射波との合成波が受信される。また、移動体伝送では、主波と反射波の信号レベルが独立に変動するレイリーフェージングなども発生し、主波のレベルよりも反射波のレベルの方が大きくなるような場合も発生する。
図5には、OFDM方式で使用される1つのシンボル(OFDMシンボル)の波形の一例を示してある。
図示されるように、OFDMシンボルは、有効データシンボルに、その一部を巡回的にガードインターバルとして付加して構成される。ガードインターバルの付加により、ガードインターバル内の遅延時間における反射波に対しては、シンボル間干渉による劣化を避けることができるため、マルチパスフェージングに対して強い耐性を有することが可能となる。
本例のOFDM受信装置では、受信信号がA/D(Analog to Digital)コンバータ21、窓制御部22、周波数シフト処理部23、FFT部24、SP抽出部25により処理される。そして、SP抽出部25からの出力信号が時間内挿部26、周波数外挿部27、周波数内挿部28により処理された結果に基づいて、SP抽出部25からの出力信号が等化処理部29により処理される。等化処理部29からの出力信号が復調部30により処理されて、受信信号が復調される。
窓制御部22は、時間窓であるFFT窓を設定して、A/Dコンバータ21により受信信号をサンプリングした受信サンプリング系列から、有効シンボル長のサンプルを取り出して周波数シフト処理部23へ出力する。
周波数シフト処理部23は、窓制御部22から入力されたサンプルを周波数シフトさせてFFT部24へ出力する。
FFT部24は、周波数シフト処理部23から入力されたサンプルについて、高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行い、時間軸信号から周波数軸信号(キャリア信号)へ変換する。
また、主波ばかりでなく反射波が混入すると、振幅変動や位相回転などが発生するため、例えば、16QAM(Quadrature Amplitude Modulation)や32QAMや64QAMなどのように同期検波方式で復調する必要のある変調方式では、各キャリアに対して、振幅及び位相の補正を行う必要がある。
図7には、このようにFFT窓が有効シンボルと一致している場合における位相回転の一例を模式的に示してある。図7のグラフでは、I成分とQ成分とキャリア番号iの関係を示してある。この場合には、各キャリアの位相としては、全てのキャリアについて位相角が0度(°)となる。これは、全てのキャリアが、FFT窓内で0度の位相角から始まり0度の位相角で終結するためである。
図8には、FFT窓の位置がK(Kは1以上の整数)サンプルだけ有効シンボルの位置から時間的に前にずれた場合における、OFDMシンボルの波形とFFT窓の時間的なタイミングの一例を示してある。この場合、各キャリアに位相回転が発生する。
図9には、このようにFFT窓が有効シンボルからずれた場合における位相回転の一例を模式的に示してある。図9のグラフでは、I成分とQ成分とキャリア番号iの関係を示してある。この場合、位相の回転量は例えばキャリア番号iに比例して増加するため、角周波数−2πKで回転する信号となる。具体的には、例えばNを有効シンボル長として、位相角φ(i)=ej{2π(−K)i/N}と表される。
図10には、このような位相回転のスペクトラムの一例を示してある。本例では、−Kサンプルに位置するインパルス性の波形となっている。
本例のようにFFT窓を主波に同期させて設けたとすると、主波の位相回転は図7に示されるものと等価とみなすことができ、反射波の位相回転は図9に示されるものと等価とみなすことができる。これに関しては、線形演算が可能であるため、位相回転は図7に示される位相回転量と図9に示される位相回転量を加算した結果と一致し、また、その時のスペクトラムも、主波のスペクトラムと反射波のスペクトラムを線形加算した波形となる。
図12には、このように主波と反射波を線形加算したスペクトラムの波形の一例を示してある。
図13には、パイロットキャリアの配置の一例を示してある。本例では、数キャリア間隔毎に設けられたパイロットキャリアを振幅や位相の基準として使用するとともに、その間のキャリアをデータキャリアとしてデータ伝送に使用している。
等化処理部29では、データキャリアと、パイロットキャリアの内挿補間処理により算出された伝送路特性とを複素除算することにより、データキャリアについて振幅と位相を補正する。
図12を参照して説明されるように、反射波の遅延時間が長くなると、位相角のスペクトラムも遅延時間に比例して広がっていく。本例のようなOFDM方式では、ガードインターバル期間Tgまでに収まる遅延時間の反射波に対しては、シンボル間干渉が発生しないため、ガードインターバル期間Tg以内の反射波については精度の良い内挿補間を行う必要がある。
図14には、反射波の遅延時間がガードインターバル期間Tgまで及ぶ時における位相角のスペクトラム分布の一例を示してある。本例では、位相角のスペクトラム分布(斜線部分)が−Tg〜0に広がっており、Tgの帯域幅を有している。
ここで、位相角スペクトラムがTgの帯域幅を有するような反射波を正しく内挿補間処理するためには、サンプリング定理により、パイロットキャリア間隔を少なくとも(式1)の間隔で配置する必要がある。
図15(a)には、CPについて、データキャリア(白丸)とパイロットキャリア(黒丸)の配置の一例を示してある。CPは、(式1)を満足するパイロットキャリア間隔で配置される。本例では、キャリア番号が0、4、8、12、・・・といった等間隔の位置に、全てのシンボル番号において、パイロットキャリアが配置されている。
図15(b)には、SPについて、データキャリア(白丸)とパイロットキャリア(黒丸)の配置の一例を示してある。SPでは、シンボル毎にパイロットキャリアの位置が異なる。本例では、キャリア番号が0、4、8、12、・・・といった等間隔の位置であって、それぞれのキャリア番号について異なるシンボル番号において、パイロットキャリアが配置されている。パイロットキャリアが配置される1つのキャリア番号(例えば、キャリア番号0、など)に着目すると、例えば、シンボル番号の方向で等間隔に(つまり、時間的に周期的に)パイロットキャリアが配置される。
図16(a)、(b)には、SPの時間内挿処理の一例を示してある。
図16(a)には、時間内挿処理の対象となるSPの受信状態を示してある。この状態では、送信側で配置された通りに、データキャリア(白丸)とパイロットキャリア(黒丸)が並んでいる。
図16(b)には、このSPに対して時間内挿処理を行った結果を示してある。具体的には、受信パイロットキャリア(黒丸)をシンボル方向に内挿補間処理することで、パイロットキャリアが配置される各キャリア番号0、4、8、12、・・・について、パイロットキャリア間のデータキャリア(縞模様の丸)の位置についても伝送路特性を推定することができ、(式1)を近似的に満足することができる。
一般に、図14に示されるような周波数分布(斜線の範囲)を有する信号の周波数内挿演算を実施するためには、この周波数分布範囲(斜線枠の周波数範囲)を通過領域内に有するフィルタが用いられる。
図17(a)、(b)を参照して、これについて説明する。
図17(a)には、図14に示されるのと同様な周波数分布の一例を示してある。
通常は、回路の論理規模を削減するために、図17(b)に示される周波数内挿フィルタの帯域Aのように、正と負の周波数特性が対称となるようなデジタルの低域通過フィルタ(LPF:Low Pass Filter)を周波数内挿部28に備えて、位相角のスペクトラムに対して変調を施すことにより周波数内挿による補間を行う手法が用いられる。
なお、一般に、反射波の帯域(斜線部分)が小さいほど、周波数内挿フィルタの帯域幅を小さくすることができ、雑音を小さくすることができる。
ここで、位相角スペクトラムの変調すなわち周波数シフトを行う方式としては、種々な方式が用いられてもよく、例えば、マルチパスの検出結果を用いてFFT部24に入力する受信サンプリング系列に対して変調演算を行う方式や、或いは、受信サンプリング系列の一部を巡回的に並び替える方式などを用いることができる。
また、周波数内挿フィルタとしては、例えば、FIRフィルタを用いることができる。
そして、受信データキャリア信号は、等化処理後に、復調部30により復調処理されて、情報符号として出力される。
例えば、データキャリアが存在しない無効シンボル期間が存在する系では、無効シンボル期間のパイロットキャリアを有効シンボル期間のパイロットキャリアから推定する外挿補間の処理を行う。
本例では、OFDM方式による受信信号の帯域幅と比べてFFT部24により行われるFFTにおける帯域幅の方が大きいため、FFTの結果に対して、有効な受信信号が存在する帯域内の左右の外側である帯域外について、周波数内挿フィルタを通す前に補間しておくことが必要となる。一例として、FFTの点数は2のべき乗であって例えば8192本である一方、OFDM方式を使用する地上デジタル放送の点数は5616本であり、この5616本の左右の帯域外にもFFTの結果が存在するため、この帯域外について周波数外挿により補間を行う。
図18(b)には、OFDM伝送の帯域内に存在するパイロットキャリア(黒丸)や時間内挿推定キャリア(縞模様の丸)に基づいて周波数外挿処理を行った結果の一例を示してある。周波数外挿の対象となった無効キャリア(点線の丸)が、周波数外挿処理により伝送路特性が推定されたキャリア(網模様の丸)になっている。なお、本例では、1次外挿を用いている。
例えば、劣悪なマルチパス環境下においては、主波よりも先行する波が存在する場合もあり、また、長い遅延時間を伴った遅延波が存在する場合もある。このような環境下において、FFT窓の位置を適応制御して、ガードインターバル期間内の反射波によるシンボル間干渉を避け、位相角スペクトラムの周波数をシフトすることにより、伝送路を推定することができるOFDM方式の特徴を効果的に利用することが可能となる。
すなわち、窓設定手段が、前記受信信号に対して、FFT窓の位置を制御して、FFT窓を設定する。FFT手段が、前記窓設定手段により設定されたFFT窓に基づいて、前記受信信号に対してFFTを実行する。パイロット信号検出手段が、前記FFT手段によるFFT結果に基づいて、前記パイロット信号を検出する。位相回転量情報検出手段が、前記窓設定手段により設定されたFFT窓の位置に基づいて、シンボル毎の位相回転量に関する情報を検出する。位相回転量補正手段が、前記位相回転量情報検出手段により検出された情報に基づいて、前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号を用いて行われるシンボル方向の内挿補間に関して、位相回転量を補正する。時間内挿補間手段が、前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号に基づいて、前記位相回転量補正手段により位相回転量が補正された状態で、シンボル方向の内挿補間を行う。周波数内挿補間手段が、前記時間内挿補間手段による内挿補間結果に基づいて、キャリア方向の内挿補間を行う。等化手段が、前記周波数内挿補間手段による内挿補間結果に基づいて、前記FFT手段によるFFT結果について伝送路特性を補正する。復調手段が、前記等化手段による補正結果を復調する。
従って、FFT窓の位置を適応制御することにより発生するFFT窓の位置のずれに起因するシンボル毎の位相回転量を補償して、シンボル間の内挿補間(時間内挿補間)が行われることにより、時間内挿補間の精度を向上させることができ、復調の精度を向上させることができる。
また、パイロット信号としては、種々な信号が用いられてもよく、例えば、振幅や位相の基準となる信号が用いられる。また、例えば、送信側と受信側とで、パイロット信号の振幅や位相、パイロット信号の配置が共通に設定されて把握される。
また、FFT窓の位置を変化させることは、例えば、各シンボル毎に行われてもよく、或いは、所定の周期毎(所定のシンボル数毎)に行われてもよい。
また、FFT窓の位置に基づいてシンボル毎の位相回転量に関する情報を検出する手法としては、種々な手法が用いられてもよい。
また、位相回転量に関する情報は、例えば、各シンボル毎に検出されてもよく、或いは、所定の周期毎(所定のシンボル数毎)に検出されてもよく、或いは、予め定められた所定のシンボルについて検出されてもよい。
また、位相回転量に関する情報としては、例えば、各シンボルについて絶対的な位相回転量の値が検出されてもよく、或いは、シンボル間の位相回転量の相対的な差の値が検出されてもよく、要は、シンボル間の位相回転量を補償することが可能な情報であればよい。
また、シンボル方向の内挿補間では、例えば、内挿補間に関するシンボルの位相回転量が補正されればよく、具体的には、内挿補間の対象となるシンボルや、内挿補間に用いられる2つ(或いは、3つ以上でもよい)のパイロット信号のシンボルについて位相回転量が補正されればよい。
また、キャリア方向の内挿補間(周波数内挿補間)を行う態様としては、種々な態様が用いられてもよい。
また、パイロット信号に基づくシンボル方向の内挿補間やキャリア方向の内挿補間により、振幅や位相に関する伝送路特性が(推定的に)検出され、この検出結果に基づいて受信信号について伝送路特性が補正される。
すなわち、前記位相回転量補正手段は、前記位相回転量情報検出手段により検出された情報に基づいて、前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号の位相回転量及びシンボル方向の内挿補間が行われる対象となるシンボルの位相回転量を打ち消すように、シンボル毎に、補正する。
また、位相回転量付与手段が、前記時間内挿補間手段による内挿補間結果に対して、前記打ち消した位相回転量をシンボル毎に付与する。
また、前記周波数内挿補間手段は、前記位相回転量付与手段による位相回転量付与結果に基づいて、キャリア方向の内挿補間を行う。
従って、シンボル方向の内挿補間に関する各シンボルの位相回転量が打ち消されることで、シンボル方向の内挿補間が行われるに際して、シンボル間の位相回転量の差を打ち消すことができる。また、打ち消された位相回転量が各シンボルに再び付与されて、キャリア方向の内挿補間が行われることにより、等化処理に際して、位相回転量を有したままの受信信号との間で位相回転量を一致させることができる。
すなわち、前記位相回転量補正手段は、前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号の位相回転量を、当該パイロット信号を用いてシンボル方向の内挿補間が行われる対象となるシンボルの位相回転量に一致させるように補正する。
従って、シンボル方向の内挿補間に用いられるパイロット信号の位相回転量とその対象となるシンボルの位相回転量とが一致させられることにより、シンボル方向の内挿補間が行われるに際して、シンボル間の位相回転量の差を打ち消すことができる。
図1には、本発明の一実施例に係るOFDM受信装置の構成例を示してある。本例のOFDM受信装置は、移動体伝送システムにおいてOFDM方式を使用してデータを送信及び受信するデジタル伝送装置に設けられており、受信機としての機能を有して、送信側の装置から無線により送信されたOFDM方式による信号を受信して処理する。なお、本例のデジタル伝送装置は、送信機としての機能を有してOFDM方式による信号を生成して無線により送信するOFDM送信装置も有しているが、本例では詳しい説明は省略する。
ここで、本例のOFDM受信装置は、FFT窓の位置の適応制御により発生するFFT窓の位置のずれを補償してシンボル間の時間内挿を行うための構成や動作に特に特徴があり、他の構成や動作については例えば図19に示されるOFDM受信装置の場合と同様である。このため、本例では、このような本例のOFDM受信装置に特徴的な構成や動作について詳しく説明し、図19に示されるOFDM受信装置の場合と同様な構成や動作については説明を簡略化乃至省略する。
A/Dコンバータ1は、入力される受信信号をA/D変換して窓制御部2へ出力する。
窓制御部2は、入力される受信サンプリング系列からマルチパスなどの伝送路環境を観測してFFT窓の位置を制御する回路であり、FFT窓により抽出した有効シンボル長のサンプルを周波数シフト処理部3へ出力する。
このため、窓制御部2は、主波と反射波の時間的な位置やそれらのレベルをシンボル毎に或いは数十から数百シンボル毎に逐次検出し、その結果に基づいてFFT窓を設ける。遅延時間がガードインターバル内である反射波が存在する伝送路環境では、シンボル間干渉が発生しないようにFFT窓の位置を設定する必要があるため、窓制御部2は、適応制御により、シンボル間干渉が発生しないように、例えば図11に示されるようなFFT窓を設ける。
しかしながら、このとき、実際には、検出誤差やFFT窓位置の適応制御により、FFT窓の位置がシンボル毎にずれて、位相角の回転量が変化する。このため、時間内挿部9によりシンボル方向の時間内挿処理を行う前に、各シンボルの位相回転量を等しくすることが望まれ、本例では、これを実現する。
FFT部4は、周波数シフト処理部4から入力されるサンプルに対して高速フーリエ変換(FFT)の処理を行い、その処理結果をSP抽出部5へ出力する。
SP抽出部5は、FFT部4から入力されるFFTの処理結果の信号からSPを抽出し、抽出したSPを位相回転量補正部8へ出力し、また、FFT部4から入力されるFFTの処理結果の信号を等化処理部13へ出力する。
この例では、主波に対して反射波がBサンプル分だけ遅れており、主波の有効シンボルの先頭(開始位置)に対して基準タイミング信号の立ち上がり位置がα(単位は、例えば時間或いはサンプル数)だけ遅れており、FFT窓の先頭(開始位置)に対して基準タイミング信号の立ち上がり位置がds(単位は、例えば時間或いはサンプル数)だけ遅れている。
なお、本例では、主波の有効シンボルの先頭と基準タイミング信号との間の固定遅延量αは、時間内挿の対象となる期間においては変動量が無視できるほど少ないとみなす。つまり、この期間においては、この固定遅延量αは一定であるとみなす。
この補正処理について具体的に説明する。
図3には、時間内挿部9によりシンボル方向に時間内挿処理する対象となるSPの一例を示してある。
この例では、図の縦方向にシンボル番号Sの順にシンボルが並んでおり、図の横方向にキャリア番号Cの順にシンボルが並んでいる。また、シンボル番号S及びキャリア番号Cにより位置が特定されるSPをSP(S、C)と表す。また、時間内挿処理として、1次補間処理を用いる場合を示す。
図3の例では、データキャリア(白丸)や、パイロットキャリア(黒丸)や、時間内挿により伝送路特性が推定されたキャリア(縞模様の丸)が並んでいる。
この位相回転量θ(S、C)は、位相回転量検出部7により検出される時間差dsから一例として(式4)のように表すことが可能である。位相回転量検出部7は、このような位相回転量θ(S、C)に関する情報を位相回転量補正部8へ出力する。なお、有効シンボル長(単位は、例えば時間或いはサンプル数)は、位相回転量検出部7(或いは、位相回転量補正部8など)に予め設定されている。
この補正を行うことにより、時間内挿部9における演算は(式5)のように表される。(式5)の例では、位相回転量補正部8により、SP(0、4)にはe−jθ(0、4)という補正係数(逆の位相回転量)を与えており、SP(−2、4)にはe−jθ(−2、4)という補正係数(逆の位相回転量)を与えており、SP(1、4)にはe−jθ(1、4)という補正係数(逆の位相回転量)を与えている。
時間内挿部9は、位相回転量補正部8により位相回転量が補正されたSPを用いてシンボル方向に時間内挿を行うことで、SPが設けられた各キャリアについて、SPとSPとの間のシンボルの振幅や位相に関する伝送路特性を推定する。時間内挿部9は、入力されたSP及びこれに基づいて伝送路特性を推定した結果の情報を周波数外挿部10へ出力する。
本例のようなシンボル間の位相回転量の補正を行うと、例えば図7に示されるような位相回転の無い時間内挿補間信号が得られるため、周波数外挿補間処理が容易となり高精度に行われる利点がある。また、一例として、位相回転の無いパイロット信号を用いて時間内挿補間を行った後に、0次ホールドによる周波数外挿補間を行って帯域外の伝送路特性を推定する構成とすると、周波数外挿処理を簡易化することができる。
なお、本例では、好ましい構成例として、位相回転量制御部11の前段に周波数外挿部10を設けたが、他の構成例として、位相回転量制御部11の後段に周波数外挿部10を設けることも可能であり、この場合、周波数外挿部10では例えば図9に示されるような位相回転を考慮した周波数外挿処理を行う。
等化処理部13は、周波数内挿部12から入力される伝送路特性の推定結果に基づいて、SP抽出部5から入力される受信データキャリア信号に対して伝送路特性の補正を行い、その結果を復調部14へ出力する。
復調部14は、等化処理部13から入力される信号を復調して、受信信号の復調結果を取得する。この復調結果は、例えば、メモリから成る記憶部に記憶される、或いは、制御部により処理されるなど、必要な処理が為される。
また、本例のOFDM受信装置では、位相回転量の変化が、伝送路特性に基づいて時間的なFFT窓を設ける際にFFT窓の開始位置を制御することによってのみ生じるとみなして、FFT窓の開始位置に基づいて(本例では、図2に示されるdsに基づいて)位相角回転の補正量を算出する。
また、本例のOFDM受信装置では、等化処理前に、推定伝送路特性に対してデータキャリアが有する位相回転を再度与えることで、データキャリアと推定伝送路特性との位相回転を一致させる。
図4には、本発明の一実施例に係るOFDM受信装置の構成例を示してある。
本例のOFDM受信装置の構成や動作は、例えば、位相回転量補正部8による位相回転量の補正処理が異なる点や、図1に示されるような位相回転量制御部11を備えずに、周波数外挿部10からの出力信号が周波数内挿部12に入力される点を除いては、図1に示されるOFDM受信装置の構成や動作と同様である。
本例では、図1に示されるOFDM受信装置の構成や動作とは異なる点について詳しく説明する。
(式6)の例では、位相回転量ejθ(0、4)を有するSP(0、4)の伝送路特性を推定するに際して、位相回転量補正部8により、SP(−2、4)にはe−j(θ(−2、4)−θ(0、4))という補正係数を与えており、SP(1、4)にはe−j(θ(1、4)−θ(0、4))という補正係数を与えている。
また、本発明の適用分野としては、必ずしも以上に示したものに限られず、本発明は、種々な分野に適用することが可能なものである。
また、本発明に係るOFDM受信装置などにおいて行われる各種の処理としては、例えばプロセッサやメモリ等を備えたハードウエア資源においてプロセッサがROM(Read Only Memory)に格納された制御プログラムを実行することにより制御される構成が用いられてもよく、また、例えば当該処理を実行するための各機能手段が独立したハードウエア回路として構成されてもよい。
また、本発明は上記の制御プログラムを格納したフロッピー(登録商標)ディスクやCD(Compact Disc)−ROM等のコンピュータにより読み取り可能な記録媒体や当該プログラム(自体)として把握することもでき、当該制御プログラムを当該記録媒体からコンピュータに入力してプロセッサに実行させることにより、本発明に係る処理を遂行させることができる。
Claims (2)
- OFDM方式により生成され且つシンボル毎に異なるキャリアにパイロット信号が設定された受信信号を復調するOFDM受信装置において、
前記受信信号に対してFFT窓の位置を制御してFFT窓を設定する窓設定手段と、
前記窓設定手段により設定されたFFT窓に基づいて前記受信信号に対してFFTを実行するFFT手段と、
前記FFT手段によるFFT結果に基づいて前記パイロット信号を検出するパイロット信号検出手段と、
前記窓設定手段により設定されたFFT窓の位置に基づいてシンボル毎の位相回転量に関する情報を検出する位相回転量情報検出手段と、
前記位相回転量情報検出手段により検出された情報に基づいて前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号を用いて行われるシンボル方向の内挿補間に関して位相回転量を補正する位相回転量補正手段と、
前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号に基づいて、前記位相回転量補正手段により位相回転量が補正された状態で、シンボル方向の内挿補間を行う時間内挿補間手段と、
前記時間内挿補間手段による内挿補間結果に基づいてキャリア方向の内挿補間を行う周波数内挿補間手段と、
前記周波数内挿補間手段による内挿補間結果に基づいて前記FFT手段によるFFT結果について伝送路特性を補正する等化手段と、
前記等化手段による補正結果を復調する復調手段と、
を備え、
前記位相回転量補正手段は、前記位相回転量情報検出手段により検出された情報に基づいて、前記パイロット信号検出手段により検出されたパイロット信号の位相回転量及びシンボル方向の内挿補間が行われる対象となるシンボルの位相回転量を打ち消すようにシンボル毎に補正し、
当該OFDM受信装置は、前記時間内挿補間手段による内挿補間結果に対して前記打ち消した位相回転量をシンボル毎に付与する位相回転量付与手段を備え、
前記周波数内挿補間手段は、前記位相回転量付与手段による位相回転量付与結果に基づいてキャリア方向の内挿補間を行う、
ことを特徴とするOFDM受信装置。 - 請求項1に記載のOFDM受信装置において、
前記窓設定手段は、FFT窓の位置を制御する周期を設定することで、FFT窓の位置が変化する回数を制限する、
ことを特徴とするOFDM受信装置。
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