本発明は、結晶化された半導体膜を評価する方法、特にエネルギービームを照射することによって結晶化された半導体膜を評価する方法に関する。また、エネルギービームを照射することにより結晶化された半導体膜を評価する装置、並びにエネルギービームを照射することにより結晶化された半導体膜を評価する工程を含む半導体装置の作製方法に関する。
ガラス基板は従来の単結晶基板と比較して安価であり、大面積化が容易である。そのため、ガラス基板上に半導体膜を形成し、薄膜トランジスタ(以下TFT)を作製する技術は盛んに研究され、実用化が進められている。半導体膜は非結晶性の半導体膜より結晶性の半導体膜の方が作製されたTFTの特性が良いが、ガラス基板は高熱に弱いためガラス基板上に結晶性半導体膜を形成する技術においては、ガラス基板に与える熱的損傷が少ない結晶化方法としてレーザ結晶化法がよく用いられている。
レーザ結晶化法はエネルギービームであるレーザビームにより半導体膜にエネルギーを与え、結晶化を行う方法であるため、結晶化させる際に照射するレーザビームのエネルギー密度の大きさによっては結晶化が充分に進まなかったり、微結晶化してしまったりする。当然、結晶化させるための最適のエネルギー密度で結晶化を行うことが重要となるが、これまで、このレーザ結晶化における最適なエネルギー密度の条件出しは官能検査に頼ることが多かった。
しかしながら、官能検査による方法では作業者依存が大きく、商品の品質管理を行う上で問題があるため、ラマン分光分析法、原子間力顕微鏡観察(AFM)、全反射蛍光X線分析法(TXRF)など様々な角度から結晶化状態の数値化を行い、品質管理を行おうとする試みがなされている。
しかし、どの手法もデータの信頼性やばらつきを考慮し、正確な評価をしようとすると必要な情報量が多くなるため、測定に要する時間及び処理を行う時間が長くなってしまう、評価の為のデータの蓄積を行うにはサーバやコンピュータに負担がかかってしまうなどの問題点があった。
レーザ結晶化における最適な照射エネルギー密度は、半導体膜の膜厚ばらつき、照射雰囲気の変化によって変化する上、レーザの出力の変動や、光学系の透過率の経時変化も起こりうるため非常に不安定なものである。そのため、好ましい条件でレーザ結晶化を行うためには基板ごとに評価を行うこと、より好ましくはレーザ結晶化を行った直後にin-situで評価を行い、その評価結果を速やかにフィードバックすることが望まれる。しかし、前述の方法では評価に時間がかかりすぎるため、in-situでのすみやかな評価は望めない。それどころか、評価を行い、最適なエネルギー密度に設定することが律速となる可能性がある。このようなことになると、装置の稼働率が減少し、生産能力が大幅に落ちてしまう。
レーザ照射装置の稼働コスト、特にレーザ結晶化を行うために良く用いられるXeClエキシマレーザなどはその稼働コストが非常に高く、1年も稼働するともう一台レーザ照射装置が購入できてしまうほどである。それゆえ、生産能力が落ちると稼働コスト分がそのまま製品に跳ね返ってしまうことになるため、製品の低価格化という面からも非常に望ましくない。
これらの理由より、前述してきたような評価方法は量産体制において実用に耐えるものではなかった。
これらの問題を解決する手段として、結晶化後の半導体膜表面に照射したエネルギー光の散乱光の強度から微結晶化のしきい値を求める方法(特許文献1)、結晶化後に現れる半導体膜表面の凹凸の周期性を自己相関により数値化し、最適な結晶化エネルギーを求める方法(特許文献2、特許文献3)、結晶化後の半導体膜に照射した紫外光の反射光を屈折率や消衰係数から分析し最適な結晶化エネルギーを求める方法(特許文献4)などが提案されている。
特開2000−114174号公報
特開2001−196430号公報
特開2002−217107号公報
特開2000−31229号公報
しかし、それら提案された方法も、それぞれに微結晶化がおきるしきい値しか求められない、酸化膜を必要とする、結晶化によって明確な差が生じていないなどの不都合な点を有している。
シリコン膜を結晶化する際、与えられるエネルギーが高くなってゆくにしたがって結晶の粒径は大きくなって行くが、あるエネルギーを超えると結晶の粒径は一気に小さくなる。この一定のエネルギー以上のエネルギーを与えると結晶の粒径が小さくなる現象を微結晶化と呼び、微結晶化が起こる最低のエネルギーを微結晶化のしきい値と呼んでいる。
ここで、特許文献1のような微結晶化のしきい値のみしか求められない評価方法では、充分な結晶化が行える最低のエネルギーがわからないため、照射するレーザビームの出力のばらつきを考慮して、レーザの出力が多少ばらついたとしても微結晶化のしきい値を越えないように結晶化を行うためのエネルギーを選ぶこととなる。ところが、微結晶化のしきい値直前のエネルギー範囲では、エネルギーの変化に対する粒径の変動が非常に大きく、わずかなレーザビームの出力の差によって粒径が大きく変化してしまう。結晶粒径の変化はその後作製する事となるTFTの電気特性などに密接な関係があり、最終的にTFT特性のばらつきとして大きな影響が現れてきてしまう。TFT特性のばらつきは最終製品の信頼性や性能を左右する大きなファクターであるため、看過することはできない。
また、別な面からみてみると、必要以上に大きなエネルギーで常に結晶化を行っていることとなるため、量産化を想定した場合多大なエネルギーのロスとなることも考えられる。
一方、特許文献2、特許文献3のような方法では、結晶性の評価は、半導体膜表面に形成された酸化膜の形状をみることで行われている。ここで、結晶性を評価するための酸化膜は半導体膜の表面に自然に形成された酸化膜(自然酸化膜)では正確な評価ができず、正確な評価を行うためには一度自然酸化膜を除去した後、新たに酸化膜を形成するという工程が必要となる(特許文献3参照)。この方法を量産するためのラインに組み込むことを考えると、自然酸化膜を除去してから新たに酸化膜を形成するという工程は、本来、結晶化を行うためには必要としない工程であり、これらの工程を増やすことはスループット、歩留まり、コストの面から非常に不利であるため望ましくない。
また、特許文献4のように、結晶化前と結晶化後で明確な差異がみうけられない方法では信頼性と言う面で不安が残る。
これらの理由より、レーザ結晶化を施した半導体膜を用いた製品を市場に送り出す上で充分な迅速性、コストパフォーマンス、信頼性を兼ね備えた半導体膜の評価方法は存在していなかった。そこで、本発明では評価を行うために時間がかからず、充分な信頼性を有し、コストマネジメント性に優れ、量産体制に非常に適した半導体膜の評価方法、半導体膜の作製方法、レーザ結晶化方法、レーザ結晶化装置、レーザ結晶化システムを提供することを課題とする。
また、本発明では本明細書に記載の方法によって評価した結果をフィードバックすることで、常に最適の結晶化エネルギーで結晶化を行うことのできる半導体膜の作製方法、レーザ結晶化方法、レーザ結晶化装置、レーザ結晶化システムを提供することを課題とする。
そこで、本発明における構成の一つは、半導体膜にエネルギービームを照射することにより結晶性を改善させ、前記結晶性を改善させた半導体膜の表面に可視光を照射してその散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像の輝度を前記エネルギービームが前記半導体膜上において走査された方向と直角をなす方向にコンピュータにより演算することで評価を行うことを特徴とする。
また、本発明における他の構成はエネルギービームを照射することにより結晶性を改善させた半導体膜の表面に可視光を照射し、前記照射された可視光の散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像における前記エネルギービームが走査された方向をY方向、前記Y方向に直角をなす方向をX方向としたとき、前記デジタル映像をあらかじめ定めた解析範囲内において、前記X方向においてm分割、前記Y方向においてn分割してm×n個の基本単位を定め、前記X方向に並んだm個の基本単位の輝度値の総和を、Y方向に並んだn列全てについてそれぞれ求め、前記輝度値の総和と対応するY方向における位置との関係における近似直線を求め、前記近似直線からの前記輝度値の総和の分散により前記結晶性を改善させた半導体膜の結晶性の評価を行うことを特徴とする。
また、本発明における他の構成は、エネルギービームを照射することにより結晶性を改善させた半導体膜の表面に可視光を照射し、前記照射された可視光の散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像における前記エネルギービームが走査された方向をY方向、前記Y方向に直角をなす方向をX方向としたとき、前記デジタル映像をあらかじめ定めた解析範囲内において、前記X方向においてm分割、前記Y方向においてn分割してm×n個の基本単位を定め、前記X方向に並んだm個の基本単位の輝度値の平均を、Y方向に並んだn列全てについてそれぞれ求め、前記輝度値の平均と対応するY方向における位置との関係における近似直線を求め、前記近似直線からの前記輝度値の平均の分散により前記結晶性を改善させた半導体膜の結晶性の評価を行うことを特徴とする。
この方法によると、評価の為に行うステップは、
1、可視光を照射しながら、散乱光をデジタル撮影する。
(2、撮影した映像を基本単位に分割する(基本単位を画素とすればこのステップはなく
てもよい)。)
3、基本単位の輝度値をX方向に加算あるいは平均(複雑な計算を要しないので、非常に
短時間で終了する)。
4、直線性または分散から評価。
と、3乃至4ステップで終了する。また、途中に複雑な処理も必要としないため、非常に簡便に評価を行うことができる。さらに、データの量も少ないため、蓄積しても負担が少なく、管理しやすく扱いやすいという特徴がある。
また、本発明における他の構成は、エネルギービームを照射することにより結晶性を改善させた半導体膜の表面に可視光を照射し、前記照射された可視光の散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像における前記エネルギービームが走査された方向をY方向、前記Y方向に直角をなす方向をX方向としたとき、前記デジタル映像をあらかじめ定めた解析範囲内において、前記X方向においてm分割、前記Y方向においてn分割してm×n個の基本単位を定め、前記Y方向に隣り合った二つの基本単位の輝度より大きい輝度を持つ基本単位が前記X方向に規定個数連なっている場合に1カウントとし、
画面内のカウント数によって前記結晶性を改善させた半導体膜の結晶性の評価を行うことを特徴とする。
また、本発明における他の構成は、エネルギービームを照射することにより結晶性を改善させた半導体膜の表面に可視光を照射し、前記照射された可視光の散乱光をデジタル映像として撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像における前記エネルギービームが走査された方向をY方向、前記Y方向に直角をなす方向をX方向としたとき、前記デジタル映像をあらかじめ定めた解析範囲内において、前記X方向においてm分割、前記Y方向においてn分割してm×n個の基本単位を定め、前記Y方向に一定距離だけ離れた二つの基本単位の輝度より大きい輝度を持つ基本単位が前記X方向に規定個数連なっている場合に1カウントとし、画面内のカウント数によって前記結晶性を改善させた半導体膜の結晶性の評価を行うことを特徴とする。
すなわち、注目する基本単位の輝度(B(Xn,Ym))と、Y方向に隣り合った(または一定距離だけ離れた)基本単位の輝度(B(Xn,Ym-p)、B(Xn,Ym+p))を比較し、注目する基本単位の輝度(B(Xn,Ym))が、Y方向に隣り合った(または一定距離だけ離れた)基本単位の輝度(B(Xn,Ym-p)、B(Xn,Ym+p))より大きい場合、すなわち条件A(B(Xn,Ym)>B(Xn,Ym-p)かつB(Xn,Ym)>B(Xn,Ym+p))を満たす基本単位がX方向に規定個数連なっている場合に1カウントとし、画面内のカウント数によって結晶性半導体膜の評価を行うことを特徴とする。
また、条件Aを満たす基本単位が規定個数以上X方向に連なっている場合については、規定個数連なった時点で1カウント、その後は連なる基本単位の数が1つ増えるごとに1カウントずつ増やしていっても良いし、連なりはいくつ連なっていても1とカウントしてもよい。前者の場合は、たとえば、規定個数が15個で合った場合は16個連なった場合は2カウント、17個連なった場合は3カウントとカウントする。
本法においてのカウント数は結晶性が良好なほど多いことが経験的にわかっており、この数を比較することによってレーザ結晶化のための最適なレーザエネルギー密度を簡単に見つけることができる。
また、本発明は、最終的に使用するデータが1つのエネルギー条件に対し数値1個(カウント数)だけであるので、データを蓄積してもサーバやコンピュータに負担がかからず、非常に管理がしやすい方法であるといえる。
さらに前述したX方向の輝度の和を求める方法と併用することでより正確な判定を、比較的簡便に行うことが可能となる。これは、どちらの処理も同じ画像を処理することにより評価を行え、処理操作事態も複雑なものではなく、さらにそれぞれのデータ量も非常に少ないという本願発明の特徴から実用に耐える評価方法となっているものである。
また、本発明の評価方法において評価を行うと、図23に示すように最適レーザ照射エネルギー密度のTFT特性とその前後エネルギー密度のTFT特性には大きな格差が無く、多少レーザのエネルギー密度が変化しても大きなバラツキにはなりにくい。これより、最適レーザ照射エネルギー密度周辺は良好な結晶性が安定して得られる領域であることがわかる。
このように、本発明の評価方法を用いると良好で安定した結晶性が得られる照射エネルギー密度がわかるため、必要以上に余分なエネルギーを使用することなく、製品コストの削減と言う面においても有利な特徴を有する。
さらに、非結晶性半導体膜が形成された基板にエリア毎もしくは基板毎に、結晶化させるためのエネルギービームの強度を変化させて照射し、それぞれの照射エネルギー毎に本発明の評価方法を適用し、結晶化に最適な照射エネルギーを決定することも可能である。
本発明の評価方法は前述のような有利な特徴を有するため、簡便、容易に信頼性の高い結果を得ることができ、装置の稼働率が大幅に向上することが期待できる。
また、本発明は半導体膜の表面を撮像する手段を、結晶化装置内に結晶化直後の半導体膜の表面を撮像することができるように設置することを特徴とする。
これにより、結晶化直後に評価を行うことが可能となり、出力や結晶化雰囲気の変化などによる照射エネルギーの変化を即座に捉え、素早く照射エネルギーにフィードバックをかけることで、常に適正な照射エネルギーに修正することが可能となる。
上記の方法は、構成が単純であるため素早く結果が出せ、データ量も少ないため簡単に比較が行え、なおかつ信頼性の高い本発明の評価方法を使用することではじめて有効に機能するものである。
その上、レーザ結晶化装置内に結晶化直後の半導体膜の表面を動画で捕らえ、常に解析を行うことも、上記特徴を有する本発明の方法及び装置なら容易に実現が可能であり、さらに迅速なフィードバックが可能となる。
また、本発明における他の構成は上記構成において前記デジタル映像面内の平均輝度と合わせて評価することを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において前記デジタル映像面内の平均修正彩度と合わせて評価することを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において記載の評価方法を2つ以上組み合わせて評価することを特徴とする。
本発明における構成の一つは、非晶質半導体膜が形成された基板に1パルスのエネルギービームを照射し、前記基板の表面に可視光を照射し、その散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像の輝度を前記エネルギービームが前記半導体膜上において走査された方向と直角をなす方向にコンピュータにより演算することで前記エネルギービームのプロファイル評価を行うことを特徴とする。
また、本発明における他の構成は、非晶質半導体膜が形成された基板に1パルスのエネルギービームを照射し、前記基板の表面に可視光を照射し、その散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像における前記エネルギービームの短軸方向をY方向、長軸方向をX方向としたとき、前記デジタル映像をあらかじめ定めた解析範囲内において、前記X方向においてm分割、前記Y方向においてn分割してm×n個の基本単位を定め、前記X方向に並んだm個の基本単位の輝度値の総和を、Y方向に並んだn列全てについてそれぞれ求め、前記輝度値の総和と、対応するY方向における位置の関係から前記エネルギービームのプロファイル評価を行うことを特徴とする。
また、本発明における他の構成は、非晶質半導体膜が形成された基板に1パルスのエネルギービームを照射し、前記基板の表面に可視光を照射し、その散乱光を撮像し、前記撮像された画像をデジタル化してデジタル映像とし、前記デジタル映像における前記エネルギービームの短軸方向をY方向、長軸方向をX方向としたとき、前記デジタル映像をあらかじめ定めた解析範囲内において、前記X方向においてm分割、前記Y方向においてn分割してm×n個の基本単位を定め、前記X方向に並んだm個の基本単位の輝度値の平均を、Y方向に並んだn列全てについてそれぞれ求め、前記輝度値の平均と対応するY方向における位置の関係から前記エネルギービームのプロファイル評価を行うことを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において、前記エネルギービームはレーザビームであることを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において、前記可視光はメタルハライドランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、発光ダイオード、蛍光灯を光源とすることを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において、前記可視光の前記半導体膜の表面における照度は1万ルクス以上であることを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において、前記照度は2万ルクス以上10万ルクス以下であることを特徴とする。
また、本発明における他の構成は上記構成において記載の評価方法により評価した半導体膜を使用したことを特徴とする半導体装置である。
また、本発明における他の構成は上記構成において記載の評価方法により異なるエネルギー密度のエネルギービームで結晶化された複数の半導体膜を各々評価し、前記評価結果から照射エネルギー密度を決定して結晶化を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法である。
また、撮像されたデータを特殊な方法で算出した彩度により評価し、輝度の代わりに用いても良い。彩度を使用する場合は、通常の彩度の算出法であると、黒も大きな彩度を持ってしまうため、本法においては、松橋らが提唱したHSV表色系を使用して評価を行う(テレビジョン学会誌、vol.49, No.6 pp.787〜797)。この方法による彩度は、白、黒とも彩度は0となるため本発明において使用するために非常に都合が良い。以降、この白、黒とも彩度が0となる算出方において算出した彩度を修正彩度と呼ぶことにする。
また、輝度での評価と前記修正彩度を輝度の代わりに適用した評価方法を併用しても良く、より確実な結果を得ることができるようになる。
これら、本発明を実施することで、時間がかからず、かつ充分な信頼性を有し、コストマネジメントに優れ、量産体制に非常に適した半導体膜の評価方法、半導体膜の作製方法、結晶化方法、結晶化装置、結晶化システムを提供することが可能となる。
また、本発明を実施することで、常に最適の結晶化エネルギーで結晶化を行うことのできる半導体膜の作製方法、結晶化方法、結晶化装置、結晶化システムを提供することが可能となる。
(実施の形態1)
[共通の画像処理] 本発明に共通する画像処理について、説明する。(図2)CCDカメラ等で撮像した画像(200)において、エネルギービームであるレーザビーム照射により結晶化を行った基板のレーザが走査された方向をY方向、Y方向に直角をなす方向をX方向と定義する。
2辺がX方向に平行であり、もう2辺がY方向に平行であるあらかじめ定められた大きさの矩形に画像を切りだし、解析範囲(201)とする。この際、解析範囲におけるX方向もしくはY方向が画像に対し水平でない場合には解析範囲(201)を画像処理ソフトなどを使用し、回転させて水平になるように加工すれば良い。また、初めから画像と解析範囲が水平になるようにカメラを設置しておいても良い。
解析範囲をX方向にn等分、Y方向にm等分必要に充分なだけ分割し、解析範囲をn×m個の基本単位(202)に分割する。本発明はこの基本単位を使用してデータ処理し、解析、評価を行う。基本単位の輝度、彩度の値は基本単位中の画素における各値の平均、もしくは和とする。基本単位を、撮影した画像の画素としてもよく、この場合は分割するという処理は必要無く、基本単位の輝度、彩度なども撮影された時点で決定されているため、余分な処理を必要とせず好ましい形態である。
[評価方法1] 図3は本発明の特徴的な評価方法の1つを表すフロー図である。まず、エネルギービームを照射することによって結晶化された半導体膜が形成されている基板(以後結晶化済み基板という)をCCDカメラで暗視野画像として撮影する(300)。暗視野画像は光源からの光が被照射物に当たって散乱した散乱光を撮影した画像のことである。
照射する照明は、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、キセノンランプ、発光ダイオード、蛍光灯などの可視光を使用する。本発明はこのようにあまり特殊な光源を用いずとも汎用されている光源で撮像できることも一つの特徴である。照明の当て方はCCDカメラで撮像した場合、暗視野画像として撮影できればどのように当てても構わないが、具体的には斜めから照射するか、リング照明などを用いて光軸をずらして撮影すると良い。照明の照度は1万ルクス以上、好ましくは2万ルクス以上10万ルクス以下の照度で使用する。倍率は使用者が適宜決定するものだが、レーザ結晶化における結晶性の評価を行う場合には75〜750倍で評価を行うと良い。
次に前述した共通の画像処理にしたがって画像処理し、解析範囲を抽出し基本単位に分割する(301)。当然、比較に使用する基準となる値を得た画像とは同倍率、同形、同照明、同撮像条件とする。
続いて、解析範囲中の同じY座標を有する基本単位の輝度の平均(BavYm)もしくは和(BtYm)を求める(302)。本法のように暗視野で結晶化処理後の基板を撮影した場合、エネルギービームのエネルギー密度が適切でないと暗い画像となったり、エネルギービームを走査した方向と垂直(X方向に平行)に線状の輝度ムラ(図4参照)が発生したりすることがわかっている。そこで本ステップは同じY座標を有する基本単位、すなわちX方向に平行に並んだ基本単位の輝度を平均又は加算することで、その行の輝度傾向を求める。
各Y座標における輝度の平均(BavYm)もしくは和(BtYm)を求めたら、当該Y座標と対応する輝度の平均(BavYm)もしくは和(BtYm)の関係から、その近似直線を求める(303)。この近似直線からのデータの分散を求めて(304)、予め求めておいた基準値と比較することで解析、評価を行う(305)。この基準値は、最終製品においてどの程度の半導体素子の性能を要求されるかによって異なり、使用者が適宜設定するものである。
本評価方法は測定範囲の平均輝度が比較的大きく、かつ求めた分散の値が小さい(直線に近い)ほど、すなわちY方向における輝度のばらつきが小さいほど、その後、TFTなどの素子を作製した場合の電気特性が良好となることがわかっている。
本評価方法では、途中にあまり複雑な処理も必要としないため、非常に簡便に評価を行うことができる。さらに、データの量も少ないため、蓄積しても負担が少なく、管理しやすく扱いやすいという特徴がある。
なお、本評価方法は修正彩度を輝度の代わりに用いても評価を行うことが可能である。また、本評価方法におけるエネルギービームにはレーザビームなどがある。
[評価方法2] 図5は本発明のもう1つの特徴的な評価方法を表すフロー図である。結晶化済み基板を撮像し、共通の画像処理を行うところまで評価方法1と同様の処理を行う。もしくは、評価方法1で画像処理まで行った画像を本評価方法に流用してもよい。
本評価方法は、結晶化後の結晶質半導体膜を暗視野画像として撮影したときに現れる特徴的なパターンを抽出することで、最適な照射のエネルギー密度を決定しようとするものである。暗視野画像の撮影方法は[評価方法1]と同様であるためここでは説明を省略する。
この特徴的なパターンとは、本発明者らが多くのサンプルを観察し分析してきたうえで見出したものであり、結晶化の状態が良いサンプルにはX方向に他の部分より比較的明るい、細い筋が多く現れるというものである。このパターンを抽出するための一例が、図5に示したフローシートで表されている。
本フローシートを使用するためにはまず、定数で示されている数値を決定しなければならない。そのうち、n、mは共通画像処理でX、Y方向に処理範囲を分割した数である。p、qは基本単位に対するパターンの大きさによって決定される数値であり、qは特徴的なパターンと認識されるための筋のX方向への最低の長さに対応し、pは当該パターンと認識される為筋の幅に対応する。例えば、倍率500倍、分割数X:Y=1200:1000(画素相当)であった場合q=15、p=2である。この定数は、倍率、測定範囲の大きさ、分割数により変化するものであるため、使用者が適宜設定する。
評価方法の処理について図5のフローシートに基づいて説明する。なお、この処理方法は一例であり、前述の思想に基づいて処理を行えるのであれば、この構造に限らず自由に構築して構わないものである。
定数を決定したら、x=1、y=p+1=3、v=0、w=0として処理を開始する(501)。ここで、x、yは処理を行う基本単位を表す座標となり、v、wはカウンタである。vは筋状のパターンをカウントし、wはY方向に±pだけ離れた基本単位より輝度や彩度の値が大きい基本単位が処理中の基本単位までにいくつ繋がっているかをカウントするものである。yがp+1より開始されているのは、処理中の基本単位の輝度を比較する対象がY方向に±pだけ離れている基本単位であるためである。また、最終的な評価に用いられるのはvの値となる。
次に、入力画像Aにおける(x,y)の座標を有する処理中の基本単位の輝度などの値(A(x,y))と、Y方向に±pだけ離れた基本単位の対応する値(A(x,y-p)及びA(x,y+p))を比較する(502)。
処理中の基本単位の値(A(x,y))の方がY方向に±pだけ離れた基本単位における対応する値(A(x,y-p)及びA(x,y+p))よりもいずれも大きい場合、wを1つカウントしてから(503)、wとqの大小関係を判定する(504)。wがq以上である場合は出力画像Bにおける(x−q+1,y)から(x、y)の座標を持つ基本単位は1として出力され、さらにカウンタvが1つカウントされる(505)。wがqより小さい場合はその処理は行わずその次の処理にうつる。
処理中の基本単位の値(A(x,y))の方が、Y方向に±pだけ離れた基本単位における対応する値(A(x,y-p)及びA(x,y+p))より、いずれか一方でも小さい場合、今度はすぐにwの値とqの値の大小関係をみることになる(506)。wの値がqの値より小さい場合は、出力画像Bにおける(x−w,y)〜(x、y)の座標を持つ基本単位は0として出力される(507)。また、wの値がqの値以上の値であれば、B(x,y)が0として出力される(508)。このどちらの場合もカウンタwは0にリセットされる(509)。
輝度などの比較を行った結果の処理が終了したら、現在処理中の基本単位のx座標を確認する(510)。xがnでなければxに1を加算して(511)最初の処理にwとvもそれぞれ処理された値となって戻る。この場合、yの値は前のままである。これを繰り返し、x=nとなった場合は、yの値を確認するステップに移る(512)。yの値がm−pで無い場合は、yに1を加算し、xを1、wを0とリセットし(513)、初めの操作に戻る。そして、これまでと同様に処理してゆき、y=m−pとなったら1つの測定範囲における処理は終了となる(514)。評価に実際用いられる結果はvの値で表されるが、必要に因っては出力画像Bを表示、もしくは印刷してもよい。
以上の処理によって求められたvの値を、予め定めておいた基準と比較することで解析、評価を行う。この基準は、評価方法1と同様、最終製品においてどの程度の半導体素子の性能を要求されるかによって異なり、使用者が適宜設定するものである。本発明者らの研究によると、vの値は大きいほど、すなわち、特徴的なパターンが現れる数が多いほど結晶性は良好であることがわかっている。
本評価方法は、値の比較と加減算のみの処理であるため、処理に要する時間は比較的少なくて済む。さらに、評価に用いられるのは最終的にはvの値のみであるため、情報量が少なくてすみ、他データとの比較及び蓄積しての品質管理を行う上でも有利である。また、処理結果を画像として表示、蓄積する場合を考えても、出力画像Bは0及び1の2値での表現となるため、比較的データ量が少なくてすむ。また、このデータ形態であればランレングス符号化することによってさらにデータを少なくすることが可能である。
なお、本評価方法は修正彩度を輝度の代わりに用いても評価を行うことが可能である。
[評価方法3] 評価方法1、評価方法2を併用して評価を行うとさらに信頼性の高い評価を行うことが可能となる。
評価方法1及び2は同一のCCD画像を使用することが可能であるうえ、そのどちらも解析方法が簡便でデータ量が少ないという特徴を持つ。そのため、併用して評価を行っても処理時間や、サーバの負荷などのデメリットは少なく、信頼性向上という面で大きな効果を奏するものであるといえる。
また、これらに、画像の平均輝度、彩度のデータを合わせて、または適宜組み合わせて評価を行っても良い。それによって、より多角度から信頼性の高い評価を得ることが可能となる。
ところで、本発明における評価方法は、結晶化済みの結晶性半導体膜表面を暗視野で撮像することが1つの特徴となっている。この際、撮像した面内にカメラの特性または撮影条件、照明条件から同一画像上に輝度分布が存在してしまうことがある。その際は、評価に使用する撮影を行う前に白色校正板などを用いて撮影しておき、その値にしたがって補正をおこなっておくと良い。
なお、本評価方法は修正彩度を輝度の代わりに用いても評価を行うことが可能である。
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の評価方法を用いてエネルギービーム照射装置の照射エネルギー密度を決定する方法に関して図6を用いて説明する。
まず、非晶質の半導体膜を形成した基板に、エネルギービームの照射エネルギー密度を変化させてエネルギービームの照射を行い、結晶化させる(600)(照射エネルギー密度:E=1〜t)。ビームのエネルギー密度を変化させるのは基板毎でも良いし、基板をエリアで区切ってそのエリア毎でも良い。
次に、各照射エネルギー密度で結晶化を行った結晶質半導体膜をそれぞれCCDカメラで撮像し(601)、評価方法1乃至3に記載された方法により評価を行う(602)。解析の結果、算出された数値を各エネルギー密度で比較し(603)、最適と推定される結晶化エネルギー密度を決定する(604)。最適と推定されるエネルギー密度の決定は、評価方法1によると分散の値が小さい条件、評価方法2によるとvの値が大きい条件、評価方法3の平均輝度、修正彩度はそれらの値が大きいものを選択すれば良い。
その後、決定された結晶化エネルギー密度で結晶化が行われるように、エネルギービーム照射装置を設定(605)し、製品となるべき基盤の結晶化を開始する(606)。
本実施の形態における方法を使用すれば、いままで官能検査で行っていた最適照射エネルギー密度の判定を、コンピュータによる画像処理及び演算で行うことが可能となり、作業者依存がなくなる上、状態が簡単な数値に変換され表されるため情報を蓄積していってもサーバやコンピュータの負担が少なく、製品の品質管理面でのメリットが大きい。
また、演算処理は複雑なものではないので非常に簡単に短時間で終了し、評価に要する時間の短縮になることが期待でき、さらに最適な照射エネルギー密度をある程度ピンポイントで決定できるため、必要以上に大きなエネルギーで結晶化してしまうこともなく、コスト的にも優秀な方法である。これらの理由より本法は量産体制に使用しても実用に耐える方法であるといえる。
本実施の形態におけるエネルギービームには例えばレーザビームなど公知のエネルギービームが該当する。
(実施の形態3)
図7〜図15に実際にレーザビームを用いて結晶化を行った基板を測定、評価した結果を示す。図7〜図9はCCDカメラにて、暗視野撮影した画像である。図7が100倍、図8が200倍、図9が500倍の画像をそれぞれ16%に縮小表示してある。実際の評価は16%に縮小する前の100倍、200倍、500倍の画像を解析して行った。No.1〜No.11それぞれの画像のレーザ照射エネルギー密度は以下の表1のようになっている。
まず、これらの画像を官能検査で評価したところ、照射されたエネルギー密度が最適と推定される画像は100倍でNo.6、200倍でNo.6、500倍でNo.5となった。表2に官能検査による評価を第3位まで倍率毎に示す。
このように、どの倍率でも1位から3位はNo.5、No.6、No.7になっており、実際図7〜図9を見てみても大きな差が見受けられなことがわかる。このような場合、官能検査をした人間によって最適レーザ照射エネルギー密度が変わってきてしまう恐れがある。これは、商品の品質を一定に保つ必要がある工場などの場合、望ましくない。また、結晶化が終わった基板を取り出し、顕微鏡で観察できる状態にし、観察し、判断を行うのは非常に手間も時間もかかってしまう。
次に、本発明における評価方法1によって評価を行った。評価方法1は各画像の輝度値を使用した評価方法であるが、参考までに図10に図8に対応する500倍画像の輝度成分のみを抽出した画像を示す。
評価方法1にしたがって、図7(100倍)、図8(200倍)、図9(500倍)の画像に対し評価を行った。画像はX方向が画面に対して斜めになっているため、画像処理ソフトを用いて画素が並んでいる方向とX方向をそろえる処理をしてから基本単位は画素とし、処理を行った。
図11は近似直線と分散を求める前、評価方法1を使用し、Y方向に2次元化された輝度のグラフである。官能検査において最適と判断された画像はNo.6,またはNo.5であった。それを踏まえてこの結果を見てみると、最適レーザ照射エネルギー密度からエネルギー密度が小さい方向に離れて行くと画像の輝度が下がってゆき、反対に大きい方向に離れて行くと分散が大きくなって行く傾向が見て取れる。
図12(A)には図11に示した各々のデータの近似直線から分散を求め、各画像に対応したレーザ照射エネルギー密度に対してプロットしたグラフを示した。官能検査による最適条件付近で分散はほぼ最低の値を示しているため、最適レーザ照射エネルギー密度を決定することが可能となる。
表3に評価方法1における判定結果を示す。
どの結果も官能検査と同様にNo.5、もしくはNo.6が最適条件と判断され、官能検査と同様の精度で判定できることがわかる。
このように本発明を使用すると今まで官能検査で行っていた最適レーザ照射エネルギー密度の判定を、コンピュータによる画像処理及び演算で行うことが可能となり、作業者依存がなくなる上、状態が簡単な数値に変換されるため情報を蓄積していってもサーバやコンピュータの負担も少なく、製品の品質管理面でのメリットが大きい。
また、演算処理は複雑なものではないので非常に簡単に終了し、評価に要する時間の短縮になることが期待できる。
図12(B)は各々の画像に対応したレーザ照射エネルギー密度に対して各々の画像の輝度平均値をプロットしたグラフである。これから平均輝度値とレーザ照射エネルギー密度の関係を表すグラフは、最適レーザ照射エネルギー密度付近がほぼ最高の輝度値を示す頂上がフラットな上に凸の形状を示すことがわかる。
このグラフは最適条件付近の値の変化が小さい形状となる。そのため、これだけでは何処が最適な条件であるか判断をすることが難しい。そのため、輝度平均値は前述した分散を求める方法や特徴的なパターンを抽出する方法などと併用するとよい。
例として、評価方法1における分散を求める方法との組み合わせを見てみる。評価方法1での結果を表す図12(A)を見ると、確かに官能検査による最適条件付近で最小の分散を取っているが、照射エネルギー密度が小さい領域でも分散が比較的小さくなってしまっている。そこで、輝度平均値も併用し輝度平均値が大きく、かつ評価方法1における分散の値が小さい条件を最適レーザ照射エネルギー密度とすればより正確な評価を行うことが可能となる。
また、図14(A)には輝度平均値の代わりに、修正彩度の平均値を用いて作製したグラフを示した。図15に参考までに図9から修正彩度の値のみを抽出した画像を示す。図15からわかるように官能検査で最適と判断されたNo.6付近が最大の修正彩度を示していることがわかる。そのため、この修正彩度の平均値を用いても前述の輝度平均値を使用した評価と同様に評価方法1と組み合わせて使用することでより正確な評価を行うことが可能である
図13は、評価方法2を使用して画像処理を行った結果、出力された抽出画像である。倍率500倍で撮像された画像を20%に縮小して表示している。測定及び処理条件は、倍率500倍、分割数X:Y=1200:1000(画素相当)、q=15、p=2である。なお、今回の処理では、パターンとして抽出された場所を白、その他の場所を黒として表示した。
官能検査で最適と判断された条件付近のレーザ照射エネルギー密度において、抽出されたパターン(白の筋として表示)が非常に多く現れていることがわかる。この筋の数をカウントし、各画像に対応するレーザ照射エネルギー密度に対してプロットしたグラフを図14(B)に示した。このグラフからも明らかに官能検査で最適値と判断されたレーザ照射エネルギー付近で特異的にパターンの数が増えていることが見て取れる。
レーザ結晶化後に現れる特徴的なパターンを抽出し、その数をカウントすることで、最適レーザ照射エネルギー密度を推定できることがこれよりわかり、今まで官能検査で行っていた最適レーザ照射エネルギー密度の判定を、コンピュータによる画像処理及び演算で行うことが可能となり、作業者依存がなくなる上、結晶化状態が簡単な数値に変換されるため、情報を蓄積していってもサーバやコンピュータの負担も少なくなり製品の品質管理面でのメリットが大きい。
また、演算処理は複雑なものではないので非常に簡単に終了し、評価に要する時間の短縮になることが期待できる。
また、評価方法1と同様に画像の輝度平均値や修正彩度の平均値と組み合わせて使用することで、より正確な評価を行うことが可能となる。評価方法1と組み合わせても、同様に信頼性が向上し、好ましい形態である。その上、これらの方法から2つ以上組み合わせることでさらに正確性、信頼性が向上することは言うまでも無い。本発明における評価方法はその全てがコンピュータを用いて簡便に行えるものであるため、これらの評価方法を併用しても大幅な時間のロスにはならないという特徴も有する。
(実施の形態4)
本実施の形態では、レーザ結晶化直後に評価を行った結果を速やかにフィードバックし、常に良好なレーザ結晶化を行うための方法について説明する。
レーザ、特にレーザ結晶化に良く用いられるエキシマレーザは出力の変動が起こりやすく、また、光学系の透過率も経時変化を起こしうるため、初めに最適レーザ照射エネルギー密度を設定しても稼働しているうちに基板に照射されるエネルギー密度が変化してしまうことがある。そのため、より安定な製品の供給を目指すためには、結晶化した基板全て、もしくは規定枚数毎に評価し評価結果を逐次照射エネルギー密度の調整にフィードバックすることが望ましい。
図1にレーザ結晶化システムの概要図の一例を示す。図中(i)の破線で囲まれている部分が評価に用いる装置、その他が通常のレーザ結晶化に用いられる装置である。レーザ発振器1601から照射されたレーザビームはレーザ照射密度の調節を行う減衰器(アッティネーター:ATT)1602を通過することでエネルギー密度を調節し、光学系1603を通ることで所望の形状に加工される。
光学系は例えば特開平8-195357号公報などに記載の構成を使用し、線状にレーザビームを加工すると処理効率が良い。所望の形状になるように加工されたレーザビームは非晶質半導体膜が形成された基板1604上に照射され、レーザ結晶化が行われる。基板1604が設置されているステージ1605はX方向、Y方向に移動可能な構造を有しており、ステージが移動することでレーザが走査される。レーザを走査する方法はこれに限らず、レーザが照射される角度を変化させることのできるミラーを設置することでレーザビームの走査を行うなどの機構を用いても良いし、基板上に適切にレーザビームが照射できればこれに限らない。
基板1604はレーザビームが照射された場所から結晶化して行くが、図1のように結晶化した基板を撮影するCCDカメラ1606を基板にレーザを照射する照射室1607内に設置し、結晶化を行い次第評価を行うことができるようにすれば、条件の変化による結晶化状態の変化に対し非常にレスポンスの早い対応が可能となる。また、究極として、点線で描かれたCCDカメラの図のように斜めに設置すれば、結晶化工程に限りなく近い時点での評価が可能となる。
CCDカメラ1606によって撮影された画像は、演算及びデータ保存用コンピュータ1608に送られ、評価方法1〜3にしたがって評価が行われる。予め、用途などを考慮し求められる性能が得られるように基準を定めておき、その基準から行った評価結果が外れた場合、制御用コンピュータ1609はレーザ発振器1601及び/又はATTコントローラ1610を適切な出力となるように調節を行う。
本実施の形態における発明の構成によると、結晶化が行われた直後に撮像し、評価を行ってフィードバックしているため、結果が反映されるまでの時間を短く抑えることが可能であり、基準を余裕を持って定めておけばレーザ出力や光学系の経時変化に寄る不良が発生するのを抑えることが可能となる。
本実施の形態では、図16(B)で示したようなCCDカメラでの撮像をレーザ照射の直後、照射室内に設置して行う例を示したが、もちろん、撮像は図16(A)のように照射室外で行っても良い。但し、フィードバックを行う場合、結晶化後撮像し、評価を行うまでの時間はなるべく短い方が望ましく、本実施の形態は非常に望ましい形態である。
また、1600はCCDカメラ1606と照明付近の拡大斜視図である。暗視野画像を撮影する一例としてリング照明1611を使用した模式図を示した。暗視野画像を撮影する方法としてはこれに限らず公知の方法を用いれば良いが、リング照明を使用すると撮影を行うための装置をコンパクトに構成することが可能となり、かつ、均一に照明を当てることができるため本実施の形態のようにレーザ照射室に設置する場合非常に都合が良い。なお、CCDカメラ1606はCCD素子、ズームレンズ、対物レンズから構成されており、これにリング照明を取りつけて撮影を行う。
本実施の形態における発明の構成を使用することによって、光学系の経時変化などによる結晶化状態の変化を素早く捉え、フィードバックを行うことが可能となるため、商品の歩留まり向上が期待できる。このような素早いフィードバックは、本発明の評価方法に複雑な計算を必要としないため結果が出るのが早く、かつ正確であるという特徴があって初めて実現するものである。
また、動画で撮影し、逐次評価を行うことにより、さらに的確な管理を行うことも可能となる。動画とは、静止画像の集まりであるため、本発明はそのまま適用することが可能である。
本実施例では、実際に最適レーザ照射エネルギー密度を決定するところから、製品として結晶性半導体膜を作製し、評価を行い半導体装置とするところまでを図17を参照しながら述べる。
まず、実際製品として使用するものと同じ基板100上に下地絶縁膜101a、101bを形成する。基板の材料としては、ガラス基板、石英基板、結晶性ガラスなどの絶縁性基板や、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板(タンタル、タングステン、モリブデン等)、半導体基板、プラスチック基板(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等)等を用いることができるが、少なくともプロセス中に発生する熱に絶えうる材料を使用する。本実施例においてはガラス基板を使用する。
下地絶縁膜100a、100bとしては酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などが使用でき、これら絶縁膜を単層又は2以上の複数層形成して形成する。これらはスパッタ法や減圧CVD法、プラズマCVD法等公知の方法を用いて形成する。本実施例では2層の積層構造としているが、もちろん単層でも3層以上の複数層でも構わない。本実施例においては1層目の絶縁膜100aとして窒化酸化シリコン膜を50nm、2層目の絶縁膜100bとして酸化窒化シリコン膜を100nmで形成した。なお、窒化酸化シリコン膜と酸化窒化シリコン膜はその窒素と酸素の割合が異なっていることを意味しており、前者の方がより窒素の含有量が高いことを示している。
次いで、非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜はシリコンまたはシリコンを主成分とする材料(例えばSixGe1-x等)で25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さに形成すればよい。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。本実施例では、アモルファスシリコンにより膜厚50nmに形成する。
続いて、アモルファスシリコンの結晶化を行う。本実施例においては、結晶化を促進する元素を添加し、熱処理により結晶化した後、レーザ結晶化を行う工程を説明する。
まず、重量換算で5〜10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液もしくは硝酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布し、半導体膜表面にニッケル溶液の薄い膜を形成する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。触媒元素としては、ニッケル(Ni)以外に、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素などから選んだ一種または複数種を使用することもできる。
次いで、加熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化させる。触媒元素を用いているため、500℃〜650℃で4〜24時間程度行えばよい。この結晶化処理により、半導体膜は結晶質の半導体膜となる。
続いて、レーザによる結晶化を行い、結晶性を向上させる。レーザ結晶化法は、レーザ発振装置として、パルス発振型、または連続発振型の気体または固体及び金属レーザ発振装置を用いれば良い。気体レーザとしては、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ等があり、固体レーザとしては、YAGレーザ、YVO4レーザ、GdVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、サファイアレーザ、金属レーザとしては、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられるなどがある。固体レーザのレーザ媒質である結晶には、Cr3+、Cr4+、Nd3+、Er3+、Ce3+、Co2+、Ti3+、Yb3+又は、V3+から選択される一種又は複数種が不純物としてドープされている。
レーザ発振装置により発振されたレーザは光学系を用いて線状にして照射を行うとよい。線状レーザは通常用いられるシリンドリカルレンズや凹型を有するミラーなどを用いることで得ることができる。照射条件としては、パワー密度が0.01〜100MW/cm2程度、照射雰囲気としては大気、または酸素濃度を制御した雰囲気、N2雰囲気または真空中が挙げられる。また、パルス発振のレーザを用いる場合には、周波数30〜300Hzとし、レーザエネルギー密度を100〜1500mJ/cm2(代表的には200〜500mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザビームをFWHMで計算して50〜98%オーバーラップさせて照射しても良い。なお、本実施例において結晶化雰囲気は大気中とする。
このような条件において、同一基板上をストライプ状に区切り、各々のエリアに照射されるレーザのエネルギー密度を変化させて結晶化を行う。本実施例では同一基板内で結晶化のエネルギー密度を変化させたが、基板毎にエネルギー密度を変化させて行ってもかまわない。
結晶化が終了したものから順次CCDカメラにより撮影し、撮像されたデータを演算及びデータ保存用コンピュータに入力する。当該コンピュータは入力されたデータを実施の形態1〜5で述べたような方法により評価し、結晶化のための最適レーザ照射エネルギー密度を決定する。例として、実施の形態1における評価方法1の結果として図12(A)の結果が、評価方法2の結果として図14(B)の結果が、評価方法3の複合的な評価として平均輝度の結果が図12(B)、修正彩度の結果が図14(A)として出た場合、総合的に判断して、No.6の画像、すなわち照射エネルギー密度432.7mJ/cm2を本条件における最適エネルギー密度であるということができる。
本条件における最適照射エネルギー密度が決定したら、演算及びデータ保存用コンピュータから制御用コンピュータに情報が入力される。制御用コンピュータはこの情報を受けてレーザ発振装置、ATTコントローラに指示をおくり、最適レーザ照射エネルギー密度でレーザが照射されるように制御を行う。
最適レーザ照射エネルギー密度が決定したら、製品として出荷されるべき基板の結晶化が行われる。最適レーザ照射エネルギー密度を決定するために使用した基板と同様に基板に絶縁膜を形成するところから、レーザによる結晶化までを行った後、実施の形態4のように、結晶化直後に撮影、評価を行い常にモニタリングを行い、結晶性半導体膜の評価とレーザ照射エネルギー条件変化の監視及びフィードバックを行うと良い。
上述の評価で「良品」と判断された基板のみが次の工程に写る。
本実施例のように結晶化を助長する金属を使用して結晶化された半導体膜は、膜中に結晶化に使用した金属元素が含まれており、これが残ったままであると様々な不都合が発生する恐れがあるため、ゲッタリングを行いその濃度を下げる工程が必要となる。
まず、表面をオゾン水で処理し、1〜5nm程度のバリア膜を形成してから、該バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトを形成する。ゲッタリングサイトはアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚50nm堆積することで形成する。成膜条件は、成膜圧力:0.3Pa、ガス(Ar)流量:50(sccm)、成膜パワー:3kW、基板温度:150℃とした。なお、上記条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3程度である。その後、ランプアニール装置を用いて750℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。
ゲッタリングを行ったら、結晶性半導体膜をエッチングにより所望の形状を有する半導体層102〜105とする。続いて、ゲート絶縁膜106を形成する。膜厚は115nm程度とし、減圧CVD法またはプラズマCVD法、スパッタ法などでシリコンを含む絶縁膜を形成すれば良い。本実施例では酸化シリコン膜を形成する。この場合、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho Silicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃の条件下で、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させることで形成する。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の加熱処理によりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
次いで、ゲート絶縁膜上に第1の導電層として膜厚30nmの窒化タンタル(TaN)とその上に第2の導電層として膜厚370nmのタングステン(W)を形成する。TaN膜、W膜共スパッタ法で形成すればよく、TaN膜はTaのターゲットを用いて窒素雰囲気中で、W膜はWのターゲットを用いて成膜すれば良い。ゲート電極として使用するには抵抗が低いことが要求され、特にW膜の抵抗率は20μΩcm以下であることが望ましいため、Wのターゲットは高純度(99.9999%)のターゲットを用いることが望ましく、成膜時の不純物混入にも注意をはらわなければならない。こうして形成されたW膜の抵抗率は9〜20μΩcmとすることが可能である。
なお、本実例では第1の導電層を膜厚30nmのTaN、第2の導電層を膜厚370nmのWとしたが、これに限定されず、第1の導電層と第2の導電層は共にTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶珪素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。膜厚は第1の導電層が20〜100nm、第2の導電層が100〜400nmの範囲で形成すれば良い。また、本実施例では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、前記導電層をエッチングして電極及び配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経てレジストからなるマスクを形成する。第1のエッチング処理では第1のエッチング条件と第2のエッチング条件でエッチングを行う。レジストによるマスクを用い、エッチングし、ゲート電極及び配線を形成する。エッチング条件は適宜選択すれば良い。
本法では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチング法を使用した。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1.0Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのW膜に対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/min、でありTaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、W膜のテーパー角度は約26°となる。
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストからなるマスクを除去せず、のこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)、圧力1.0Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約15秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。
第2のエッチング条件でのWに対するエッチング速度は58.97nm/min、TaNに対するエッチング速度は66.43nm/minである。なお、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。この第1のエッチング処理において、電極に覆われていないゲート絶縁膜は20nm〜50nm程度エッチングされる
上記の第1のエッチング処理においては、基板側に印加されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状となる。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加した。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第2形状の導電層を形成した。このとき第1の導電層はほとんどエッチングされない。第1、第2のエッチング処理によって第1の導電層107a〜110a、第2の導電層107b〜110bよりなるゲート電極が形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これにより、結晶性半導体層にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良い。イオンドープ法の条件はドーズ量が1×1013〜5×1014atoms/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい。本実施例では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては15族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用いられる。本実施例ではリン(P)を使用した。その際、第1の導電層をマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(N--領域)を形成した。
続き、レジストからなるマスクを除去する。そして新たにレジストからなるマスクを形成して第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015atoms/cm2、加速電圧を60〜120kVとすれば良い。本実施例ではドーズ量を3.0×1015atoms/cm2とし、加速電圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層を不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。
第2のドーピングを行うと、結晶性半導体層の第1の導電層と重なっている部分のうち、第2の導電層に重なっていない部分もしくはマスクに覆われていない部分に、第2の不純物領域(N-領域、Lov領域)が形成される。第2の不純物領域には1×1018〜5×1019atoms/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物が添加される。また、結晶性半導体膜のうち、第1形状の導電層にもマスクにも覆われておらず、露出している部分(第3の不純物領域:N+領域)には1×1019〜5×1021atoms/cm3の濃度範囲で高濃度にN型を付与する不純物が添加される。また、半導体層にはN+領域が存在するが、一部マスクのみに覆われている部分がある。この部分のN型を付与する不純物の濃度は、第1のドーピング処理で添加された不純物濃度のままであるので、引き続き第1の不純物領域(N--領域)と呼ぶことにする。
なお、本実施例では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これに限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによって所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、新たにレジストからなるマスクを形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TFTとなる半導体層に前記第1及び前記第2のドーピング処理によって添加した不純物の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)が形成される。
第3のドーピング処理では、レジストからなるマスクに覆われておらず、更に第1の導電層とも重なっていない部分に、第4の不純物領域(P+領域)が形成され、レジストからなるマスクに覆われておらず、且つ第1の導電層と重なっており、第2の導電層と重なっていない部分に第5の不純物領域(P-領域)が形成される。P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
本実施例では、第4の不純物領域及び第5の不純物領域を形成するP型の不純物元素としてはホウ素(B)を選択し、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成した。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016atoms/cm2とし、加速電圧を80kVとした。
なお、第3のドーピング処理の際には、Nチャネル型TFTを形成する半導体層A,Cはレジストからなるマスクに覆われている。
ここで、第1及び第2のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)のいずれの領域においても、第3のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021atoms/cm2となるようにドーピング処理される。そのため、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題無く機能する。
なお、本実施例では、第3のドーピング一回で、第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成したが、これに限定はされない。ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドーピング処理により第4の不純物領域(P+領域)及び第5の不純物領域(P-領域)を形成してもよい。
これらのドーピング処理によって、第1の不純物領域(N--領域)114、第2の不純物領域(N-領域、Lov領域)111、第3の不純物領域(N+領域)112、113、第4の不純物領域(P+領域)115、116、及び第5の不純物領域(P-領域)117、118が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去して第1のパッシベーション膜119を形成する。この第1のパッシベーション膜としてはシリコンを含む絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。成膜法としてはプラズマCVD法や、スパッタ法を用いればよい。本実施例では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化珪素膜を形成した。酸化窒化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2である。また、第1のパッシベーション膜としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜119は、本実施例のような酸化窒化シリコン膜の単層構造に限定されるものではなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
その後、加熱処理(熱処理)を行って、半導体層の結晶性の回復、半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。熱処理法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中において400〜700℃で行えば良く、本実施例では410℃、1時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱処理法の他に、レーザーアニール法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
また、第1のパッシベーション膜119を形成した後で熱処理を行うことで、活性化処理と同時に半導体層の水素化も行うことができる。水素化は、第1のパッシベーション膜に含まれる水素によって、半導体層のダングリングボンドを終端するものである。
また、第1のパッシベーション膜119を形成する前に加熱処理を行ってもよい。但し、第1の導電層307a〜310a及び第2の導電層307b〜310bを構成する材料が熱に弱い場合には、本実施例のように配線などを保護するため、第1のパッシベーション膜119を形成した後で熱処理を行うことが望ましい。さらに、この場合、第1のパッシベーション膜がないため、当然パッシベーション膜に含まれる水素を利用しての水素化は行うことができない。
この場合は、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)を用いての水素化や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理による水素化を用いれば良い。
次いで、第1のパッシベーション膜119上に、第1の層間絶縁膜120を形成する。第1の層間絶縁膜としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化シリコン膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化シリコン膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂等の膜を用いることができる。また、アクリル膜と酸化窒化シリコン膜の積層構造を用いても良い。
本実施例では、膜厚1.6μmの非感光性アクリル膜を形成した。第1の層間絶縁膜によって、基板上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化することができる。とくに、第1の層間絶縁膜は平坦化の意味合いが強いので、平坦化されやすい材質の絶縁膜を用いることが好ましい。
その後、第1の層間絶縁膜上に窒化酸化シリコン膜等からなる第2のパッシベーション膜(図示せず)を形成する。膜厚は10〜200nm程度で形成すれば良く、第2のパッシベーション膜によって第1の層間絶縁膜へ水分が出入りすることを抑制することができる。第2のパッシベーション膜には、他にも窒化シリコン膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜やカーボンナイトライド(CN)膜も同様に使用できる。
またRFスパッタ法を用いて成膜された膜は緻密性が高く、バリア性に優れている。RFスパッタの条件は、例えば酸化窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、N2、Ar、N2Oをガスの流量比が31:5:4となるように流し、圧力0.4Pa、電力3000Wとして成膜する。また、例えば窒化珪素膜を成膜する場合、Siターゲットで、チャンバー内のN2、Arをガスの流量比が20:20となるように流し、圧力0.8Pa、電力3000W、成膜温度を215℃として成膜する。本実施例では、RFスパッタ法を用いて、酸化窒化シリコン膜を70nmの膜厚で形成した。
次いで、エッチングにより第2のパッシベーション膜、第1の層間絶縁膜及び第1のパッシベーション膜をエッチングし、第3の不純物領域及び第4の不純物領域に達するコンタクトホールを形成する。
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線及び電極122〜129を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と膜厚500nmの合金膜(AlとTi)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、に2層構造に限らず、単層構造でも良いし、3層以上の積層構造にしても良い。また、配線材料としては、AlとTiに限らない。例えばTaN膜上にAl膜やCu膜を形成し、更にTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成しても良い。
このように本発明の評価方法を経て作製されたTFTは不良が少なく、かつ良好で均一な特性をしめすため、様々な電子機器や特に表示装置に好適に利用することができる。また、製品の信頼性も高くなる。
本実例では、本発明を使用して作製したTFTを用いて表示装置を作製する例について説明する。
TFTの配線127と一部重なるように、透明導電膜からなる第1の電極150を形成する。透明導電膜としては仕事関数の大きい材質を用いて作製することが望ましく、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加したものを用いても良い。この第1の電極150が発光素子の陽極となる。本実施例では第1の電極150にはITOを使用した。ITOは0.1μmの厚みにスパッタ法により形成した。
また、この透明導電膜を形成する方法は、本実施例で示したようにTFTの配線127を形成した後に形成する方法の他、図18(i)に示したように配線127を形成する前に形成する方法(図18(i)B)、配線127形成後、絶縁物を形成してからコンタクトホールを開口して形成する方法(図18(i)C)などの方法で形成してもよい。図18(i)Aは本法の形態である。
次いで、電極の端面を覆うように絶縁物151を形成する。絶縁物151は無機または有機の材料で形成することができるが、感光性の有機物を使用して形成すると、開口部の形状が発光層を蒸着する際に段切れなどが起こりにくいものとなり好適である。例えば、絶縁物151の材料としてネガ型の感光性アクリルを用いた場合、図18(ii)Aのように、絶縁物151の上端部に第1の曲率半径を有する曲面を有し、前記絶縁物の下端部に第2の曲率半径を有する曲面を有するように形成することができる。前記第1の曲率半径及び前記第2の曲率半径は、0.2μm〜3μm、また前記開口部の壁面のITOに対する角度は35°以上とすることが好ましい。また、感光性はネガ型に限らずポジ型を用いることができる。その際、ポジ型を用いた場合の開口部の形状は図18(ii)Bのように絶縁物151の上端部は曲率半径を有する曲面となる。感光性の有機物を用いず、絶縁物151の開口部をドライエッチングで作製した場合は図18(ii)Cのような形状となる。
その後、PVA(ポリビニルアルコール)系の多孔質体を用いて拭い、ゴミ等の除去を行う。なお本実施例では、PVAの多孔質体を用いた拭浄により、ITOや絶縁膜をエッチングしたときに発生する微粉(ゴミ)の除去を行った。
次いで発光層の蒸着前処理に、全体にPEDOTを塗布し、ベークを行ってもよい。このとき、PEDOTはITOとの濡れ性が良くないため、一旦PEDOTを塗布後、水洗し、再度PEDOTを塗布することが好ましい。その後、常圧で加熱を行って水分を飛ばしてから、減圧雰囲気で加熱を行う。なお、本実施例では、PEDOTを塗布後、170℃の減圧雰囲気で4時間加熱し、その後30分かけて自然冷却を行う。
そして、蒸着装置を用いて、蒸着源を移動させながら蒸着を行う。例えば、真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Torrまで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着の際、抵抗加熱により、予め有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッターが開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着され、発光層152(正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層を含む)が形成される。
ここでは蒸着法により発光層152を形成した例を示したが、特に限定されず、塗布法(スピンコート法、インクジェット法など)により高分子からなる発光層を形成してもよい。また、本実施例では、有機化合物層として低分子材料からなる層を積層した例を示したが、高分子材料からなる層と、低分子材料からなる層とを積層してもよい。また、RGBの発光層を形成してフルカラー表示を行っても、単色の発光層を形成し、色変換層やカラーフィルターを用いて、フルカラー表示を行ってもよい。また、無機の材料を用いても良い。
発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
発光層は通常、積層構造となっており、この積層構造は「正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層」という構成が代表的である。この構造は非常に発光効率が高いため、現在研究開発が進められている発光装置はほとんどこの構造が採用されている。また、他にも陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層する構造も良い。電界発光層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。
なお、本明細書において、陰極と陽極との間に設けられる全ての層を総称して発光層という。したがって、上述した正孔注入層、正孔輸送層、電界発光層、電子輸送層及び電子注入層は、全て発光層に含まれるものとする。これらは、低分子系有機化合物材料、中分子系有機化合物材料、又は高分子系有機化合物材料のいずれか、或いは、両者を適宣組み合わせて形成することが可能である。また、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を適宜混合させた混合層、又はそれぞれの接合界面に混合領域を形成した混合接合を形成しても良い。又、有機系の材料のほかに無機系の発光材料を使用しても良い。
次いで、上記発光層上に、第2の電極153を陰極として形成する。第2の電極153は、仕事関数の小さい金属(Li、Mg、Cs)を含む薄膜を用いて形成すればよい。また更に、Li、Mg、Cs等を含む薄膜上に積層した透明導電膜(ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層膜で形成すると好ましい。膜厚は陰極として作用するように適宜設定すればよいが、0.01〜1μm程度の厚さに電子ビーム蒸着法で形成すればよい。
ここで、電子ビーム蒸着法を用いると、加速電圧が高すぎた場合放射線を発生し、TFTにダメージを与えてしまう。しかし、加速電圧が低すぎても成膜速度が下がり、生産性が低下するため対策として、第2の電極153を陰極として作用しうる膜厚より過剰には成膜しないようにする。陰極が薄ければ成膜速度が遅くても生産性にさほどの影響は現れない。この場合陰極の膜厚が薄いことで高抵抗化してしまう問題も発生するが、陰極上に低抵抗金属であるAlなどを抵抗加熱蒸着やスパッタ法などで形成し、積層構造とすることで解決できる。
次に、絶縁物151及び第2の電極153上に、第3のパッシベーション膜154を成膜した。第2のパッシベーション膜と第3のパッシベーション膜154は、共に水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を、他の絶縁膜と比較して透過させにくい膜を用いる。代表的には、例えばDLC膜、窒化炭素膜、RFスパッタ法で形成された窒化珪素膜等を用いるのが望ましい。またその膜厚は、10〜200nm程度とするのが望ましい。
こうして図17(B−1)に示すような発光素子を得ることができる。図20で詳しく説明するが、その上にシーリング材としてプラスチックフィルムを設け、間の空間に不活性気体を充填する。そして異方性導電膜を用いてFPC(フレキシブルプリントサーキット)により外部端子と接続することで発光表示装置(表示モジュール)が完成する。
また、図19に発光表示装置の画素部の上面図を示した。A−A’、B−Bは図17中のA−A’、B−B’に対応している。
画素部は、ソース信号線1501、ゲート信号線1502、電流供給線1503、スイッチング用TFT1504、駆動用TFT1505、画素電極1506、発光素子1507 、保持容量1508を有している。
本実施例は基板側(底面)から光を取り出す例を示したが、上面から光を取り出すようにするには、積層構造を図17(B−2)に示すようにする。その際は、第2の電極は透光性を有する材料で形成すれば良い。
本発明を使用すると、TFTのゲート絶縁膜が薄いために高速動作が可能となり、より表示能力に優れた表示装置を提供することが可能となる。また、歩留まりも向上し、生産性も良くなる。
半導体装置の全体の構成について、図20を用いて説明する。図20は、TFTが形成された素子基板をシーリング材によって封止することによって形成された半導体装置の上面図であり、図20(B)は図20(A)のB-B’における断面図、図20(C)は図20(A)のA-A’における断面図である。
図20(A)〜図20(C)において、基板1401上には、画素部(表示部)1402、該画素部1402を囲むように設けられた信号線駆動回路1403、走査線駆動回路1404a、1404b及び保護手段1405が配置され、これらを囲むようにしてシール材1406が設けられている。画素部1402の構造については、上述の実施例及びその説明を参照すれば良い。シール材1406としては、ガラス材、金属材(代表的にはステンレス材)、セラミックス材、プラスチック材(プラスチックフィルムも含む)が用いられる。
このシール材1406は、信号線駆動回路1403、走査線駆動回路1404a、1404b及び保護手段1405の一部に重畳させて設けても良い。そして、該シール材1406を用いてシーリング材1407が設けられ、基板1401、シール材1406及びシーリング材1407によって密閉空間1408が形成される。シーリング材1407には予め凹部の中に吸湿剤(酸化バリウムもしくは酸化カルシウム等)1409が設けられ、上記密閉空間1408の内部において、水分や酸素等を吸着して清浄な雰囲気に保ち、発光素子の劣化を抑制する役割を果たす。この凹部は目の細かいメッシュ状のカバー材1410で覆われており、該カバー材1410は、空気や水分は通し、吸湿剤1409は通さない。なお、密閉空間1408は、窒素もしくはアルゴン等の希ガスで充填しておけばよく、不活性であれば樹脂もしくは液体で充填することも可能である。
また、基板1401上には、信号線駆動回路1403及び走査線駆動回路1404a、104bに信号を伝達するための入力端子部1411が設けられ、該入力端子部1411へはFPC1412を介してビデオ信号等のデータ信号が伝達される。入力端子部1411の断面は、図20(B)の通りであり、走査線もしくは信号線と同時に形成された配線からなる入力配線1413とFPC1412側に設けられた配線1415とを、導電体1416を分散させた樹脂1417を用いて電気的に接続してある。なお、導電体1416としては、球状の高分子化合物に金もしくは銀といったメッキ処理を施したものを用いれば良い。
本実施例において、保護手段1405は、画素部1402及び信号線駆動回路1403と入力端子部1411との間に設けられている。入力端子部1411と信号線駆動回路1403との間に設けられた保護手段1405は、両者の間に突発的なパルス信号等の静電気が入った際に、該パルス信号を外部へ逃がす役割を果たす。勿論、保護手段1405は、他の場所、例えば画素部1402と信号線駆動回路1403との間や画素部1402と走査線駆動回路1404a、1404bの間などに設けても構わない。
本発明が適用される電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、オーディオコンポ等)、ノート型パーソナルコンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図21に示す。
図21(A)は発光表示装置でありテレビ受像器などがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明は、表示部2003に適用される。画素部にはコントラストを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、封止基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
図21(B)はデジタルスチルカメラであり、本体2101、表示部2102、受像部2103、操作キー2104、外部接続ポート2105、シャッター2106等を含む。本発明は、表示部2102に適用することができる。
図21(C)はノート型パーソナルコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明は、表示部2203に適用することができる。
図21(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明は、表示部2302に適用することができる。
図21(E)は記録媒体を備えた携帯型の画像再生装置(具体的にはDVD再生装置)であり、本体2401、筐体2402、表示部A2403、表示部B2404、記録媒体(DVD等)記録媒体読込部2405、操作キー2406、スピーカー部2407等を含む。表示部A2403は主として画像情報を表示し、表示部B2404は主として文字情報を表示するが、本発明は表示部A、B2403、2404に適用することができる。なお、記録媒体を備えた画像再生装置には家庭用ゲーム機器なども含まれる。
図21(F)はゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)であり、本体2501、表示部2502、アーム部2503を含む。本発明は、表示部2502に適用することができる。
図21(G)はビデオカメラであり、本体2601、表示部2602、筐体2603、外部接続ポート2604、リモコン受信部2605、受像部2606、バッテリー2607、音声入力部2608、操作キー2609、接眼部2610等を含む。本発明は、表示部2602に適用することができる。
図21(H)は携帯電話であり、本体2701、筐体2702、表示部2703、音声入力部2704、音声出力部2705、操作キー2706、外部接続ポート2707、アンテナ2708等を含む。本発明は、表示部2703に適用することができる。なお、表示部2703は黒色の背景に白色の文字を表示することで携帯電話の消費電流を抑えることができる。
なお、将来的に発光材料の発光輝度が高くなれば、出力した画像情報を含む光をレンズ等で拡大投影してフロント型若しくはリア型のプロジェクターに用いることも可能となる。
また、上記電子機器はインターネットやCATV(ケーブルテレビ)などの電子通信回線を通じて配信された情報を表示することが多くなり、特に動画情報を表示する機会が増してきている。発光材料の応答速度は非常に高いため、発光装置は動画表示に好ましい。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。また、稼働コストの高いレーザ照射装置を使用した結晶化工程の効率が上がり、さらに不良も少なくなるため低価格化の実現にも貢献する。また、製品の信頼性も向上するためメーカーとしての信頼度も高めることができる。
実施例4において示した電子機器には、発光素子又は液晶素子が封止された状態にあるパネルに、コントローラ、電源回路等を含むICが実装された状態にあるモジュールが搭載されている。モジュールとパネルは、共に表示装置の一形態に相当する。本実施例では、モジュールの具体的な構成について説明する。
図22(A)に、コントローラ801及び電源回路802がパネル800に実装されたモジュールの外観図を示す。パネル800には、発光素子が各画素に設けられた画素部803と、前記画素部803が有する画素を選択する走査線駆動回路804と、選択された画素に信号を供給する信号線駆動回路805とが設けられている。
またプリント基板806にはコントローラ801、電源回路802が設けられており、コントローラ801または電源回路802から出力された各種信号及び電源電圧は、FPC807を介してパネル800の画素部803、走査線駆動回路804、信号線駆動回路805に供給される。
プリント基板806への電源電圧及び各種信号は、複数の入力端子が配置されたインターフェース(I/F)部808を介して供給される。
なお、本実施例ではパネル800にプリント基板806がFPCを用いて実装されているが、必ずしもこの構成に限定されない。COG(Chip on Glass)方式を用い、コントローラ801、電源回路802をパネル800に直接実装させるようにしても良い。
また、プリント基板806において、引きまわしの配線間に形成される容量や配線自体が有する抵抗等によって、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりすることがある。そこで、プリント基板806にコンデンサ、バッファ等の各種素子を設けて、電源電圧や信号にノイズがのったり、信号の立ち上がりが鈍ったりするのを防ぐようにしても良い。
図22(B)に、プリント基板806の構成をブロック図で示す。インターフェース808に供給された各種信号と電源電圧は、コントローラ801と、電源回路802に供給される。
コントローラ801は、位相ロックドループ(PLL:Phase Locked Loop)810と、制御信号生成部811と、必要に応じてA/Dコンバータ809及びSRAM(Static Random Access Memory)812、813とを備えている。なお、必要に応じて備えるとは、入力される信号がアナログ信号又はデジタル信号の場合や、パネルの画素構成がアナログ信号又はデジタル信号のいずれかにより制御させる場合によって適宜設けるためである。なお、SRAMの代わりに、SDRAMや、高速でデータの書き込みや読み出しが可能であるならばDRAM(Dynamic Random Access Memory)も用いることが可能である。
インターフェース808を介して供給されたビデオ信号は、A/Dコンバータ809においてパラレル−シリアル変換され、R、G、Bの各色に対応するビデオ信号として制御信号生成部811に入力される。また、インターフェース808を介して供給された各種信号をもとに、A/Dコンバータ809においてHsync信号、Vsync信号、クロック信号CLK、交流電圧(AC Cont)が生成され、制御信号生成部811に入力される
位相ロックドループ810では、インターフェース808を介して供給される各種信号の周波数と、制御信号生成部811の動作周波数の位相とを合わせる機能を有している。制御信号生成部811の動作周波数は、インターフェース808を介して供給された各種信号の周波数と必ずしも同じではないが、互いに同期するように制御信号生成部811の動作周波数を位相ロックドループ810において調整する。
制御信号生成部811に入力された信号がビデオ信号の場合、一旦SRAM812、813に書き込まれ、保持される。制御信号生成部811では、SRAM812に保持されている全ビットのビデオ信号のうち、全画素に対応するビデオ信号を1ビット分ずつ読み出し、パネル800の信号線駆動回路805に供給する。
また制御信号生成部811では、各ビットの、発光素子が発光する期間に関する情報を、パネル800の走査線駆動回路804に供給する。
また電源回路802は所定の電源電圧を、パネル800の信号線駆動回路805、走査線駆動回路804及び画素部803に供給する。
本実施例では、本発明を利用してエネルギービームのビームプロファイル評価を行う例を図24を用いて説明する。
均一な照射を行う為には照射されるエネルギービームの照射面におけるビームスポットのエネルギー分布(ビームプロファイル)も重要なファクターになる。ビームプロファイルはカード式UVセンサやビームプロファイラ(CCDによりレーザビームを直接測定)を用いることによって検出し、調整が行われる。
しかし、ビームプロファイラを用いたプロファイル測定では、実際に結晶化を行った場合の結晶化状態とビームプロファイラにより測定されたエネルギー分布とが一致しない。これは結晶化の閾値とCCDで感知する閾値が異なるうえ、実際に被照射物にエネルギービームを照射して結晶化を行う場合にはビームスポット端部における温度勾配が結晶化に影響を及ぼすためであると考えられる。
一方、カード式UVセンサはあまり精度が高く無いため正確なビームプロファイルを得ることが困難である。
そこで、本実施例では、実際に基板上の被照射物にエネルギービームを1パルス照射することで1パルス分結晶化し、その基板を暗視野撮影して実施の形態1の[共通の画像処理]のように前記撮影された画像を処理することでビームプロファイルの評価を行う。この場合、実施の形態1と同様に基本単位に分割するのだが、本実施例のようにビームプロファイルを見る場合にはビームスポットの長軸方向をX軸方向、短軸方向をY方向と定義する。
図24(A)は本実施例に従って抽出された解析範囲である。この画像において黒い部分がレーザ照射が行われていない部分、明るく、青い部分がレーザを1パルスだけ照射した部分となる。
このように解析範囲を切り出したら、解析範囲中の同じY座標を有する基本単位の輝度の平均(BavYm)もしくは和(BtYm)を求める。求められたBavYmもしくはBtYmを対応するY座標に対してプロットすると結晶化に最も良く適合したビームプロファイルが得られる。これを参照しながら光学調整を行うことで所望のビームプロファイルを得ることが可能となる。
なお、本実施例において使用される輝度の平均もしくは和は修正彩度の平均もしくは和に代えることが可能であり、同様の評価を行うことができる。
図24(B)は縦軸に同じY座標を有する基本単位の輝度及び修正彩度の和、横軸に対応するY座標を取ったグラフに、解析範囲の画像をY方向の位置を一致させて重ねたものである。このように、ビームスポットのプロファイルを得ることができる。
このような方法で得られたビームプロファイルは結晶化が起こる際のビームスポット端部における温度勾配も反映されたプロファイルであるため、結晶化の条件設定において良く適合し、非常に都合の良いビームプロファイルを得ることができる。
本発明における装置構成の一例。
本発明における基本の画像処理。
評価方法1を示すフロー図。
輝度ムラ。
評価方法2を示す図。
結晶化のために照射するレーザのエネルギー密度を決定する方法を示す図。
CCDカメラにより撮影した画像(×100倍)。
CCDカメラにより撮影した画像(×200倍)。
CCDカメラにより撮影した画像(×500倍)。
CCDカメラにより撮影した画像(×500倍、輝度のみ抽出)。
Y方向に2次元化された輝度のグラフ。
Y方向に2次元化された輝度のグラフにおける近似直線からの分散及び画像全体の輝度平均値。
特徴的なパターンとその出現状況を示すデータ。
特徴的なパターンの数と照射エネルギー密度の関係及び画像全体の修正彩度。
CCDカメラにより撮影した画像(×500倍、修正彩度のみ抽出)。
レーザ結晶化システムのブロック図。
本発明の1実施例を示す図。
本発明の1実施例を示す図。
本発明の1実施例を示す図。
本発明の1実施例を示す図。
本発明の1実施例を示す図。
本発明の1実施例を示す図。
結晶化のエネルギーとTFT特性。
ビームプロファイル評価。