以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、本発明は多くの異なる態様で実施することが可能であり、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
(実施の形態1)
以下にプラズマCVD法により基板温度80℃の条件下で緻密な窒化ケイ素膜を作製する方法について説明する。基板温度は低すぎるとプラズマの質が悪くなり良好な膜が形成できず、高すぎると下に形成された素子が劣化してしまうため、60℃〜85℃の間が良い。80℃は下層の素子へのダメージも小さく、プラズマの状態も良好であるので望ましい温度である。
図1(a)は本実施の形態において用いたプラズマCVD装置の概念図である。本実施の形態で用いた方法は13.56MHzの高周波プラズマCVD法であり、両電極のプラズマ側にはシースが形成され図1(b)のような自己バイアスが発生している。本実施の形態では電極A側に基板を設置して成膜を行った。
本発明における成膜ガスはシラン(SiH4)、窒素(N2)、希ガス類である。本実施の形態では希ガスとしてアルゴン(Ar)を使用した。ガスの流量はSH4:N2:Ar=2:300:500[SCCM]とした。希ガスを用いることが本発明のひとつのポイントである。表1に示すようにArやHeなど希ガスの多くは放電開始電圧が低く、低いエネルギーであっても安定なプラズマを生成することができる。
表1のヘリウム(He)を見てもわかるように、一般的に希ガス類の放電開始エネルギーは低く、安定したプラズマを立てることが可能である。希ガス類であるヘリウム(He)、ネオン(Ne)、クリプトン(Kr)又はキセノン(Xe)等を用いることが可能である。これらのガスは不活性ガスであるため、窒化ケイ素を形成する化学反応自体には直接関係はしない。
ところで、これらの希ガスのプラズマはプラスの電荷を帯びることから、シースにおいて加速され電極に衝突することが知られている。これをイオン衝撃というが、このイオン衝撃を積極的に利用したい場合は、基板をプラズマ領域と電位差の大きい電極K側に設置すると効率が良いとされている(図1(b)参照)。
逆に、イオン衝撃の効果を利用する場合、プラズマ領域と電位差の小さい電極A側に基板は設置しないのがふつうである。しかし、本発明ではプラズマ領域との電位差の小さい電極A側にあえて基板を設置する。これは、適度なイオン衝撃を与えることで、成膜を促進し、且つ膜質が改善された緻密な膜が形成されるようにするためである。
参考までに、上記と同じ構成でアルゴンガスを流さなかった場合の窒化ケイ素膜のエッチングレートは55nm/min前後であった。アルゴンを流した場合のエッチングレートが28nm/min程度であるから希ガスの効果によりエッチング速度が2倍近く遅い緻密な膜となることがわかる。
その他の条件については表2に示す。
上記条件にて成膜した窒化ケイ素膜は80℃という低温で成膜したにも関わらず、HFが4.7%、NH4Fが36.3%含まれたバッファードフッ酸(森田化学工業株式会社製、110−バッファードフッ酸)でのエッチングレート(室温)が29.59nm/min、LAL500(ステラケミファ社製)でのエッチングレート(室温)が30.19nm/minの値を示す、緻密で質の良い膜となった。なお、室温とは通常の半導体装置の作製に供するクリーンルームの室温であり、通常は20℃〜25℃である。
このように本発明の方法を使用すれば、上記のようなエッチングレートをもった、バリア性の高い窒化ケイ素膜を得ることが可能となる。
続いて、上記の条件で作製した本発明の窒化ケイ素膜の組成を表3に示す。比較例として、アルゴンを使用しない条件において通常の温度(基板温度325℃)において形成した窒化ケイ素膜の組成を表4に示す。なお、水素量について、SIMSデータにおいてはそれほどの違いが無いのにもかかわらず、RBSデータにおいて10%もの違いが出ているのは水素量がSIMS測定における検出飽和に近いためであると考えられる。
また、比較例の窒化ケイ素膜のエッチングレートはLAL500(ステラケミファ社製)において室温で35.0nm/minである。本発明の窒化ケイ素のLAL500におけるエッチングレートが室温で30.19nm/nimであることからも、本発明の窒化ケイ素膜は80℃という低い温度形成したものにも関わらず比較例の窒化ケイ素膜と同様、もしくはそれ以上の緻密で質の良い膜になっていることがわかる。
これら組成分析における結果(表3、表4)で特筆すべき点は、本発明の窒化ケイ素膜における希ガス(アルゴン)の存在と酸素、水素の量である。希ガス(アルゴン)は本発明の窒化ケイ素膜の作製方法においては必須のガスであり、流量比として非常に多くの割合を占めている。そのために、本発明の窒化ケイ素膜には希ガス(アルゴン)が含まれるようになる。希ガス(アルゴンガス)を使用していない従来の窒化ケイ素膜では希ガス(アルゴン)は検出下限以下となる。本実験結果においては本発明の窒化ケイ素膜中の希ガス(アルゴン)濃度は0.3atomic%であったが、希ガス(アルゴン)の濃度は0.2atomic%以上、好ましくは0.3atomic%以上0.7atomic%以内の値を取る。
次いで特徴的な組成としては酸素量が挙げられる。本発明の窒化ケイ素膜の酸素量は比較的多く、酸化ケイ素膜であることも考えられる。しかし、屈折率の測定の結果は窒化ケイ素膜の屈折率であるため、本発明の作製方法を用いて作製される膜は窒化ケイ素膜であると言る。本発明の窒化ケイ素膜は酸素がく含まれている窒化ケイ素膜という表現ができる。
ところで、通常、窒化ケイ素膜の膜応力は引っ張り応力である。しかし、酸素濃度60atomic%程度の酸化窒化ケイ素膜の膜応力は圧縮応力となり、膜中の酸素濃度が高くなるにつれ膜応力が圧縮の傾向を示すことがわかっている。一方、本発明の窒化ケイ素膜は明らな圧縮応力の傾向を示した。これは膜中に含まれている酸素の影響であると考えられ、応力が引っ張りから圧縮になることで、本発明の窒化ケイ素膜は密着性の良いピーリングしにくい膜となっている。
本発明の窒化ケイ素膜における酸素濃度は2atomic%以上であり、より良い特性を示すのは2〜10atomic%、もっとも好ましいのは2〜8atomic%である。
最後に、水素の量に関して、本発明の窒化ケイ素膜に含まれる水素量は、比較例として、通常どおり高温のプラズマCVD法で作製した窒化ケイ素膜の水素量より小さな値となっている。低い温度でのCVD成膜は水素の含有率が高くなるというのが定説である。しかし、本発明の窒化ケイ素膜は80℃という低い成膜温度においても水素の含有率を低くすることができる。これにより、本発明の窒化ケイ素膜を用いた電子機器は、本発明の窒化ケイ素膜成膜後のプロセスにおいて加熱処理を施したとしても脱ガスによる不良を起こしにくい。
なお、本発明における窒化ケイ素膜の水素濃度は1〜25atomic%であり、より良い特性を持つのは5〜20atomic%、もっとも好ましいのは10〜16atomic%である。
このような、いくつかの特徴的な特性は、本発明の窒化ケイ素膜の作製方法(温度、ガス種、流量比)で作製された窒化ケイ素膜特有のものであり、この特性を有することによって80℃の低温で形成された膜であっても非常に緻密で特性の良い膜となる。
(実施の形態2)
本実施の形態では、膜質に大きな影響を及ぼすと考えられる成膜時のパラメータについて検討した結果を示す。なお、本発明の窒化ケイ素膜を成膜する際のパラメータはこれらの結果に基づいて決定した。
表5に同条件で反応圧力のみ変更して成膜した窒化ケイ素膜のエッチングレートを比較した結果を示す。エッチングは室温で、HFが4.7%、NH4Fが36.3%含まれたバッファードフッ酸(森田化学工業株式会社製、110−バッファードフッ酸)において行った。
これより、成膜圧力が0.1Torrから0.2Torrになることで、エッチングレートが10倍近くも早くなってしまうことがわかる。この結果から成膜圧力は低い方が良好な膜が形成されると考えられるが、成膜圧力が低いと成膜速度が遅くなってしまうために、成膜圧力は0.01Torr〜0.1Torrが適当である。
続いて成膜ガスの流量比を変更して成膜した窒化ケイ素膜のエッチングレートを比較した結果を図2に示す。このエッチングレートも室温において、HFが4.7%、NH4Fが36.3%含まれたバッファードフッ酸(森田化学工業株式会社製、110−バッファードフッ酸)によってエッチングした結果である。
成膜ガスの流量比SiH4/(N2+Ar)が0.006〜0.008付近で極小値を示している。窒化ケイ素膜の緻密度はエッチングレートにして30.0nm/min未満のもの(好ましくは20.0nm/min)がバリア性の観点から実用に耐えうる値であるため、流量比が0.002以上の条件で成膜する。また、SiH4の流量比が大きいと膜の光の透過率が減少してしまうため、表示装置の光の射出側にパッシベーション膜として形成する場合、SiH4のN2+Arに対する流量比は0.002以上0.006以下であることが望ましい。
以上のような成膜条件でもって成膜された窒化ケイ素膜は、100℃以下、より好ましくは60℃以上85℃以下で成膜されたものであっても実施の形態1に示したような特性を示し、緻密でバリア性の高い窒化ケイ素膜となる。
(実施の形態3)
本実施の形態では本発明の窒化ケイ素膜を電界発光表示装置のパッシベーション膜として利用した例について図3を用いて説明する。
まず、基板300上に下地絶縁膜301a、301bを形成する。基板の材料としては、ガラス基板、石英基板、結晶性ガラスなどの絶縁性基板や、セラミック基板、ステンレス基板、金属基板(タンタル、タングステン、モリブデン等)、半導体基板、プラスチック基板(ポリイミド、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン等)等を用いることができるが、少なくともプロセス中に発生する熱に耐えうる材料を使用する。本実施の形態においてはガラス基板を使用する。
下地絶縁膜301a、301bとしては酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜などが使用でき、これら絶縁膜を単層又は2以上の複数層形成して形成する。これらはスパッタ法や減圧CVD法、プラズマCVD法等公知の方法を用いて形成する。本実施の形態では2層の積層構造としているが、もちろん単層でも3層以上の複数層でも構わない。本実施の形態においては1層目の絶縁膜301aとして窒化酸化シリコン膜を50nm、2層目の絶縁膜301bとして酸化窒化シリコン膜を100nmで形成した。なお、窒化酸化シリコン膜と酸化窒化シリコン膜はその窒素と酸素の割合が異なっていることを意味しており、前者の方がより窒素の含有量が高いことを示している。
次いで、非晶質半導体膜を形成する。非晶質半導体膜はシリコンまたはシリコンを主成分とする材料(例えばSixGe1-x等)で25〜80nm(好ましくは30〜60nm)の厚さに形成すればよい。作製方法としては、公知の方法、例えばスパッタ法、減圧CVD法、またはプラズマCVD法等が使用できる。本実施の形態では、アモルファスシリコンにより膜厚50nmに形成する。
続いて、アモルファスシリコンの結晶化を行う。本実施の形態においては、結晶化を促進する元素を添加し、熱処理により結晶化する。熱処理による結晶化の後、レーザ結晶化を行っても良い。
まず、重量換算で5〜10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液もしくは硝酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布し、半導体膜表面にニッケル溶液の薄い膜を形成する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。触媒元素としては、ニッケル(Ni)以外に、鉄(Fe)、パラジウム(Pd)、スズ(Sn)、鉛(Pb)、コバルト(Co)、白金(Pt)、銅(Cu)、金(Au)、といった元素などから選んだ一種または複数種を使用することもできる。
次いで、加熱処理を行い、非晶質半導体膜を結晶化させる。触媒元素を用いているため、500℃〜650℃で4〜24時間程度行えばよい。この結晶化処理により、半導体膜は結晶質の半導体膜となる。
結晶質半導体膜までを作製したら、結晶質半導体膜をエッチングにより所望の形状の結晶質半導体層302〜305とする。なお、半導体層を所望の形状にエッチングして非晶質半導体層としてから、前記結晶化処理を行っても構わない。
続いて、レーザによる結晶化を行い、結晶性を向上させる。レーザ結晶化法は、レーザ発振装置として、パルス発振型、または連続発振型の気体または固体及び金属レーザ発振装置を用いれば良い。気体レーザとしては、エキシマレーザ、Arレーザ、Krレーザ等があり、固体レーザとしては、YAGレーザ、YVO4レーザ、YLFレーザ、YAlO3レーザ、ガラスレーザ、ルビーレーザ、アレキサンドライドレーザ、サファイアレーザ、金属レーザとしては、ヘリウムカドミウムレーザ、銅蒸気レーザ、金蒸気レーザが挙げられるなどがある。固体レーザのレーザ媒質である結晶には、Cr3+、Cr4+、Nd3+、Er3+、Ce3+、Co2+、Ti3+、Yb3+又は、V3+から選択される一種又は複数種が不純物としてドープされている。
レーザ発振装置により発振されたレーザは光学系を用いて線状にして照射を行うとよい。線状レーザは通常用いられるシリンドリカルレンズや凹型を有するミラーなどを用いることで得ることができる。照射条件としては、パワー密度が0.01〜100MW/cm2程度、照射雰囲気としては大気、または酸素濃度を制御した雰囲気、N2雰囲気または真空中が挙げられる。また、パルス発振のレーザを用いる場合には、周波数30〜300Hzとし、レーザエネルギー密度を100〜1500mJ/cm2(代表的には200〜500mJ/cm2)とするのが望ましい。このとき、レーザ光をレーザビームのFWHMで計算して50〜98%オーバーラップさせると好適である。
また、結晶化のために使用したニッケルのゲッタリングを行っても良い。ゲッタリングを行う場合は、例えば次のような方法がある。表面をオゾン水で処理し、1〜5nm程度のバリア膜を形成してから、該バリア層上にスパッタリング法にてゲッタリングサイトを形成する。ゲッタリングサイトはアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚150nm堆積することで形成する。成膜条件は、成膜圧力:0.3Pa、ガス(Ar)流量:50(sccm)、成膜パワー:3kW、基板温度:150℃とした。なお、上記条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3程度である。その後、ランプアニール装置を用いて650℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。ゲッタリング領域はエッチングなどで除去すれば良い。
続いて、ゲート絶縁膜306を形成する。膜厚は115nm程度とし、減圧CVD法またはプラズマCVD法、スパッタ法などでシリコンを含む絶縁膜を形成すれば良い。本実施の形態では酸化シリコン膜を10nmの厚さで用いる。この場合、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho Silicate)とO2とを混合し、反応圧力40Pa、基板温度300〜400℃の条件下で、高周波(13.56MHz)電力密度0.5〜0.8W/cm2で放電させて形成することができる。このようにして作製される酸化シリコン膜は、その後400〜500℃の加熱処理によりゲート絶縁膜として良好な特性を得ることができる。
次いで、ゲート絶縁膜上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜と第1の導電膜上に膜厚100〜400nmの第2の導電膜を形成する。本実施の形態では第1の導電膜としてTaNを30nm、第2の導電層としてWを370nmで形成した。TaN膜、W膜共スパッタ法で形成すればよく、TaN膜はTaのターゲットを用いて窒素雰囲気中で、W膜はWのターゲットを用いて成膜すれば良い。ゲート電極として使用するには抵抗が低いことが要求され、特にW膜の抵抗率は20μΩcm以下であることが望ましいため、Wのターゲットは高純度(99.9999%)のターゲットを用いることが望ましく、成膜時の不純物混入にも注意をはらわなければならない。こうして形成されたW膜の低効率は9〜20μΩcmとすることが可能である。
なお、本実施の形態では第1の導電層をTaN、第2の導電層をWとしたが、これに限定されず、第1の導電層と第2の導電層は共にTa、W、Ti、Mo、Al、Cu、Cr、Ndから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料で形成してもよい。また、リン等の不純物元素をドーピングした多結晶ケイ素膜に代表される半導体膜を用いてもよい。また、AgPdCu合金を用いてもよい。さらに、その組み合わせも適宜選択すればよい。また、本実施の形態では、2層の積層構造としたが、1層としてもよいし、もしくは3層以上の積層構造としてもよい。
次に、前記導電層をエッチングして電極及び配線を形成するため、フォトリソグラフィーにより露光工程を経てレジストからなるマスクを形成し、エッチングを行う。
第1のエッチング処理では第1のエッチング条件と第2のエッチング条件でエッチングを行う。レジストによるマスクを用い、エッチングし、ゲート電極及び配線を形成する。エッチング条件は適宜選択すれば良い
本法では、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合プラズマ)エッチング法を使用する。第1のエッチング条件として、エッチング用ガスにCF4、Cl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を25/25/10(sccm)とし、1.0Paの圧力でコイル型電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成してエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも150WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。この第1のエッチング条件によりW膜をエッチングして第1の導電層の端部をテーパー形状とする。第1のエッチング条件でのW膜に対するエッチング速度は200.39nm/min、TaNに対するエッチング速度は80.32nm/min、でありTaNに対するWの選択比は約2.5である。また、この第1のエッチング条件によって、W膜のテーパー角度は約26°となる。
続いて、第2のエッチング条件に移ってエッチングを行う。レジストからなるマスクを除去せず、のこしたまま、エッチング用ガスにCF4とCl2を用い、それぞれのガス流量比を30/30(sccm)、圧力1.0Paでコイル型の電極に500WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを生成して約15秒程度のエッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも20WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。CF4とCl2を混合した第2のエッチング条件ではW膜及びTaN膜とも同程度にエッチングされる。この第1のエッチング処理において、電極に覆われていないゲート絶縁膜は20nm〜50nm程度エッチングされる。
上記の第1のエッチング処理においては、基板側に印加されたバイアス電圧の効果により第1の導電層及び第2の導電層の端部はテーパー状となる。このように第1のエッチング処理においては、第1の導電層と第2の導電層からなる第1形状の導電層が形成される。
次いで、レジストからなるマスクを除去せずに第2のエッチング処理を行う。第2のエッチング処理では、エッチング用のガスにSF6とCl2とO2を用い、それぞれのガス流量比を24/12/24(sccm)とし、1.3Paの圧力でコイル側の電力に700WのRF(13.56MHz)電力を投入してプラズマを発生して25秒程度エッチングを行う。基板側(試料ステージ)にも10WのRF(13.56MHz)電力を投入し、実質的に負の自己バイアス電圧を印加する。このエッチング条件ではW膜が選択的にエッチングされ、第2形状の導電層307a〜310a、307b〜310bが形成される。
そして、レジストからなるマスクを除去せず、第1のドーピング処理を行う。これにより、結晶質半導体層302〜305にN型を付与する不純物が低濃度に添加される。第1のドーピング処理はイオンドープ法又はイオン注入法で行えば良2オンドープ法の条件はドーズ量が1×1013〜5×1014atoms/cm2、加速電圧が40〜80kVで行えばよい。本実施の形態では加速電圧を50kVとして行った。N型を付与する不純物元素としては15族に属する元素を用いることができ、代表的にはリン(P)または砒素(As)が用いられる。本実施の形態ではリン(P)を使用した。その際、第1の導電層307a〜310aをマスクとして、自己整合的に低濃度の不純物が添加されている第1の不純物領域(N--領域)を形成した。
続き、レジストからなるマスクを除去する。そして新たにレジストからなるマスクを、半導体層304の低濃度不純物領域を形成する場所と、及びPチャネルTFTを作製する半導体層303、305を覆って形成し、第1のドーピング処理よりも高い加速電圧で、第2のドーピング処理を行う。第2のドーピング処理もN型を付与する不純物を添加する。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜3×1015atoms/cm2、加速電圧を60〜120kVとすれば良い。本実施の形態ではドーズ量を3.0×1015atoms/cm2とし、加速電圧を65kVとして行った。第2のドーピング処理は第2の導電層を不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電層の下方に位置する半導体層にも不純物元素が添加されるようにドーピングを行う。
第2のドーピングを行うと、結晶質半導体層302〜305の第1の導電層307a〜310aと重なっている部分のうち、第2の導電層307b〜310bに重なっていない部分、もしくはマスクに覆われていない部分に、第2の不純物領域(N-領域、Lov領域)311が形成される。第2の不純物領域311には1×1018〜5×1019atoms/cm3の濃度範囲でN型を付与する不純物が添加される。また、結晶質半導体層302〜305のうち、第1形状の導電層307a〜310aにもマスクにも覆われておらず、露出している部分(第3の不純物領域:N+領域)312、313には、1×1019〜5×1021atoms/cm3の範囲で高濃度にN型を付与する不純物が添加される。また、半導体層304にはN+領域が存在するが、一部マスクのみに覆われている部分314がある。この部分のN型を付与する不純物の濃度は、第1のドーピング処理で添加された不純物濃度のままである。
なお、本実施の形態では2回のドーピング処理により各不純物領域を形成したが、これに限定されることは無く、適宜条件を設定して、一回もしくは複数回のドーピングによって所望の不純物濃度を有する不純物領域を形成すれば良い。
次いで、レジストからなるマスクを除去した後、Nチャネル型TFTを形成する半導体層302、304上に、新たにレジストからなるマスクを形成し、第3のドーピング処理を行う。第3のドーピング処理により、Pチャネル型TFTとなる半導体層に前記第1の導電型及び前記第2の導電型とは逆の導電型を付与する不純物元素が添加された、第4の不純物領域(P+領域)315、316及び第5の不純物領域(P-領域)317、318が形成される。
第3のドーピング処理では、レジストからなるマスクに覆われておらず、更に第1の導電層とも重なっていない部分315、316に、第4の不純物領域(P+領域)が形成され、レジストからなるマスクに覆われておらず、且つ第1の導電層と重なっており、第2の導電層と重なっていない部分317、318に第5の不純物領域(P-領域)が形成される。P型を付与する不純物元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)など周期律表第13族の元素が知られている。
本実施の形態では、第4の不純物領域及び第5の不純物領域を形成するP型の不純物元素としてはホウ素(B)を選択し、ジボラン(B2H6)を用いたイオンドープ法で形成した。イオンドープ法の条件としては、ドーズ量を1×1016atoms/cm2とし、加速電圧を80kVとした。
ここで、第1及び第2のドーピング処理によって、第4の不純物領域(P+領域)315、316及び第5の不純物領域(P-領域)317、318にはそれぞれ異なる濃度でリンが添加されている。しかし、第4の不純物領域(P+領域)315、316及び第5の不純物領域(P-領域317、318のいずれの領域においても、第3のドーピング処理によって、P型を付与する不純物元素の濃度が1×1019〜5×1021atoms/cm2となるようにドーピング処理される。そのため、第4の不純物領域(P+領域)315、316及び第5の不純物領域(P-領域)317、318は、Pチャネル型TFTのソース領域及びドレイン領域として問題無く機能する。
なお、本実施の形態では、第3のドーピング一回で、第4の不純物領域(P+領域)315、316及び第5の不純物領域(P-領域)317、318を形成したが、これに限定はされない。ドーピング処理の条件によって適宜複数回のドーピング処理により第4の不純物領域(P+領域)315、316及び第5の不純物領域(P-領域)317、318を形成してもよい。
次いで、レジストからなるマスクを除去して第1のパッシベーション膜319を形成する。この第1のパッシベーション膜としてはシリコンを含む絶縁膜を100〜200nmの厚さに形成する。成膜法としてはプラズマCVD法や、スパッタ法を用いればよい。本実施の形態では、プラズマCVD法により膜厚100nmの酸化窒化ケイ素膜を形成した。酸化窒化シリコン膜を用いる場合には、プラズマCVD法でSiH4、N2O、NH3から作製される酸化窒化シリコン膜、またはSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜を形成すれば良い。この場合の作製条件は反応圧力20〜200Pa、基板温度300〜400℃とし、高周波(60MHz)電力密度0.1〜1.0W/cm2である。また、第1のパッシベーション膜319としてSiH4、N2O、H2から作製される酸化窒化水素化シリコン膜を適用しても良い。もちろん、第1のパッシベーション膜319は、本実施の形態のような酸化窒化シリコン膜の単層構造に限定されるものではなく、他のシリコンを含む絶縁膜を単層構造、もしくは積層構造として用いても良い。
その後、加熱処理(熱処理)を行って、半導体層の結晶性の回復、半導体層に添加された不純物元素の活性化を行う。熱処理法としては、酸素濃度が1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下の窒素雰囲気中で400〜700℃で行えば良く、本実施の形態では410℃、1時間の熱処理で活性化処理を行った。なお、熱処理法の他に、レーザーアニール法、又はラピッドサーマルアニール法(RTA法)を適用することができる。
また、第1のパッシベーション膜319を形成した後で熱処理を行うことで、活性化処理と同時に半導体層の水素化も行うことができる。水素化は、第1のパッシベーション膜319に含まれる水素によって、半導体層のダングリングボンドを終端するものである。
また、第1のパッシベーション膜319を形成する前に加熱処理を行ってもよい。但し、第1の導電層及び第2の導電層を構成する材料が熱に弱い場合には、本実施の形態のように配線などを保護するため、第1のパッシベーション膜319を形成した後で熱処理を行うことが望ましい。さらに、この場合、第1のパッシベーション膜319がないため、当然パッシベーション膜に含まれる水素を利用しての水素化は行うことができない。
この場合は、プラズマにより励起された水素を用いる手段(プラズマ水素化)を用いての水素化や、3〜100%の水素を含む雰囲気中において、300〜450℃で1〜12時間の加熱処理による水素化を用いれば良い。
次いで、第1のパッシベーション膜319上に、第1の層間絶縁膜320を形成する。第1の層間絶縁膜320としては、無機絶縁膜や有機絶縁膜を用いることができる。無機絶縁膜としては、CVD法により形成された酸化シリコン膜や、SOG(Spin On Glass)法により塗布された酸化シリコン膜などを用いることができ、有機絶縁膜としてはポリシロキサン、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)、アクリルまたはポジ型感光性有機樹脂、ネガ型感光性有機樹脂等の膜を用いることができる。また、アクリル膜と酸化窒化シリコン膜の積層構造を用いても良い。
本実施の形態では、膜厚1.6μmのアクリル膜を形成した。第1の層間絶縁膜320によって、TFTによる凹凸を緩和し、平坦化することができる。とくに、第1の層間絶縁膜320は平坦化の意味合いが強いので、平坦化されやすい材質の絶縁膜を用いることが好ましい。
その後、第1の層間絶縁膜320上に本発明の窒化ケイ素膜からなる第2のパッシベーション膜321を形成してもよい。膜厚は10〜200nm程度で形成すれば良く、第2のパッシベーション膜によって第1の層間絶縁膜320へ水分が出入りすることを抑制することができる。第2のパッシベーション膜321の作製方法は実施の形態1を参照すればよい。
次いで、エッチングにより第2のパッシベーション膜321、第1の層間絶縁膜320及び第1のパッシベーション膜319をエッチングし、第3の不純物領域312、313及び第4の不純物領域315、316に達するコンタクトホールを形成する。
続いて、各不純物領域とそれぞれ電気的に接続する配線322〜328及び電極329を形成する。なお、これらの配線は、膜厚50nmのTi膜と膜厚500nmの合金膜(AlとTi)との積層膜をパターニングして形成する。もちろん、に2層構造に限らず、単層構造でも良いし、3層以上の積層構造にしても良い。また、配線材料としては、AlとTiに限らない。例えばTaN膜上にAl膜やCu膜を形成し、更にTi膜を形成した積層膜をパターニングして配線を形成しても良い。
このようにして、図3(A)に示したような本発明の半導体装置を得ることができる。
図3(A)に示した本発明のTFTを作製後、TFTの配線327と一部重なるように、透明導電膜からなる第1の電極400を形成する。透明導電膜としては仕事関数の大きい材質を用いて作製することが望ましく、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどを用いることができる。また、前記透明導電膜にガリウムを添加して作製した膜やITO膜をスパッタ法で作製する際、ターゲットにSiO2を混ぜて作製した膜を用いても良い。この第1の電極400が発光素子の陽極となる。本実施の形態では第1の電極400にはITOを使用した。ITOは0.1μmの厚みにスパッタ法により形成した。
次いで、電極の端面を覆うように絶縁物401を形成する。絶縁物401は無機または有機の材料で形成することができるが、感光性の有機物を使用して形成すると、開口部の形状が発光層を蒸着する際に段切れなどが起こりにくいものとなり好適である。
その後、PVA(ポリビニルアルコール)系の多孔質体を用いて拭い、ゴミ等の除去を行う。なお本実施の形態では、PVAの多孔質体を用いた拭浄により、ITOや絶縁膜をエッチングしたときに発生する微粉(ゴミ)の除去を行う。
次いで発光層の蒸着前処理に、全体にPEDOTを塗布し、ベークを行ってもよい。このとき、PEDOTはITOとの濡れ性が良くないため、一旦PEDOTを塗布後、水洗し、再度PEDOTを塗布することが好ましい。その後、常圧で加熱を行って水分を飛ばしてから、減圧雰囲気で加熱を行う。なお、本実施の形態では、PEDOTを塗布後、170℃の減圧雰囲気で4時間加熱し、その後30分かけて自然冷却を行う。
そして、蒸着装置を用いて、蒸着源を移動させながら蒸着を行う。例えば、真空度が5×10-3Torr(0.665Pa)以下、好ましくは10-4〜10-6Torrまで真空排気された成膜室で蒸着を行う。蒸着の際、抵抗加熱により、予め有機化合物は気化されており、蒸着時にシャッターが開くことにより基板の方向へ飛散する。気化された有機化合物は、上方に飛散し、メタルマスクに設けられた開口部を通って基板に蒸着され、発光層402(正孔輸送層、正孔注入層、電子輸送層、電子注入層を含む)が形成される。
ここでは蒸着法により発光層402を形成した例を示したが、特に限定されず、塗布法(スピンコート法、液滴吐出法など)により高分子からなる発光層を形成してもよい。また、本実施の形態では、有機化合物層として低分子材料からなる層を積層した例を示したが、高分子材料からなる層と、低分子材料からなる層とを積層してもよい。また、RGBの発光層を形成してフルカラー表示を行っても、単色の発光層を形成し、色変換層やカラーフィルターを用いて、フルカラー表示を行ってもよい。また、無機の材料を用いても良い。
発光素子の発光機構は、一対の電極間に有機化合物層を挟んで電圧を印加することにより、陰極から注入された電子および陽極から注入された正孔が有機化合物層中の発光中心で再結合して分子励起子を形成し、その分子励起子が基底状態に戻る際にエネルギーを放出して発光するといわれている。励起状態には一重項励起と三重項励起が知られ、発光はどちらの励起状態を経ても可能であると考えられている。
発光層は通常、積層構造となっており、この積層構造は「正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層」という構成が代表的である。この構造は非常に発光効率が高いため、現在研究開発が進められている発光装置はほとんどこの構造が採用されている。また、他にも陽極上に正孔注入層/正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層、または正孔注入層/正孔輸送層/電界発光層/電子輸送層/電子注入層の順に積層する構造も良い。電界発光層に対して蛍光性色素等をドーピングしても良い。
なお、本明細書において、陰極と陽極との間に設けられる全ての層を総称して発光層という。したがって、上述した正孔注入層、正孔輸送層、電界発光層、電子輸送層及び電子注入層は、全て発光層に含まれるものとする。これらは、低分子系有機化合物材料、中分子系有機化合物材料、又は高分子系有機化合物材料のいずれか、或いは、両者を適宣組み合わせて形成することが可能である。また、電子輸送性材料と正孔輸送性材料を適宜混合させた混合層、又はそれぞれの接合界面に混合領域を形成した混合接合を形成しても良い。又、有機系の材料のほかに無機系の発光材料を使用しても良い。
次いで、上記発光層402上に、第2の電極403を陰極として形成する。第2の電極403は、仕事関数の小さい金属(Li、Mg、Cs)を含む薄膜を用いて形成すればよい。また更に、Li、Mg、Cs等を含む薄膜上に積層した透明導電膜(ITO(酸化インジウム酸化スズ合金)、酸化インジウム酸化亜鉛合金(In2O3―ZnO)、酸化亜鉛(ZnO)等)との積層膜で形成すると好ましい。膜厚は陰極として作用するように適宜設定すればよいが、0.01〜1μm程度の厚さに電子ビーム蒸着法で形成すればよい。
ここで、電子ビーム蒸着法を用いると、加速電圧が高すぎた場合放射線を発生し、TFTにダメージを与えてしまう。しかし、加速電圧が低すぎても成膜速度が下がり、生産性が低下するため対策として、第2の電極403を陰極として作用しうる膜厚より過剰には成膜しないようにする。陰極が薄ければ成膜速度が遅くても生産性にさほどの影響は現れない。この場合陰極の膜厚が薄いことで高抵抗化してしまう問題も発生するが、陰極上に低抵抗金属であるAlなどを抵抗加熱蒸着やスパッタ法などで形成し、積層構造とすることで解決できる。
次に、絶縁物401及び第2の電極403上に、第3のパッシベーション膜404として本発明の窒化ケイ素膜を成膜した。第2のパッシベーション膜321と第3のパッシベーション膜404は、共に水分や酸素などの発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を透過させにくい膜を用いる。本発明の窒化ケイ素膜は緻密な膜であるため、それら発光素子の劣化を促進させる原因となる物質を通しにくくパッシベーション膜として好適に使用できる。また、成膜温度が100℃以下(好ましくは60℃〜85℃)であるため熱による発光素子へのダメージも少なく、非常に都合が良い膜である。第3のパッシベーション膜の成膜方法については実施の形態1を参照すると良い。
成膜ガスの流量比については、図3(B−1)は基板側(底面)から光を取り出す例であるため、膜の光の透過率に特に制限がない。そのため、成膜ガス流量の比、SiH4/(N2+Ar)は0.002〜0.012の範囲で選択すればよい。
こうして図3(B−1)に示すような発光素子を得ることができる。図示しないが、その上にシーリング材としてプラスチックフィルムを設け、間の空間に不活性気体を充填する。そして異方性導電膜を用いてFPC(フレキシブルプリントサーキット)により外部端子と接続することで本発明の表示装置(発光表示装置もしくは表示モジュールとも言う)が完成する。
図3(B−1)は基板側(底面)から光を取り出す例を示したが、上面から光を取り出すようにするには、積層構造を図3(B−2)に示すようにする。その際は、第2の電極は透光性を有する材料で形成すれば良い。さらに、第3のパッシベーション膜は透光性が良いことが望ましく、本発明の窒化ケイ素膜を用いる場合は、その成膜ガスの流量比、SiH4/(N2+Ar)を0.002〜0.006の範囲で選択すればよい。
本発明の窒化ケイ素膜を発光層のパッシベーション膜として使用することで、層間絶縁膜や発光素子に熱によるダメージを与えることなく、発光素子上に酸素や水分を透過させにくい緻密な窒化ケイ素膜を作製することができ、半導体装置や発光素子の劣化を抑えることができ、信頼性を大幅に向上させることが可能な本発明の半導体装置及び発光表示装置を得ることができる。
また、当該窒化ケイ素膜はこのような発光装置の下部に薄膜トランジスタを有するアクティブマトリクス型の発光表示装置だけではなく、発光素子を用いた照明などの発光装置にも同様に適用することができる。このような本発明の発光装置は発光素子に水などの不純物の侵入を低減することができるので信頼性が大幅に向上する。
(実施の形態4)
本実施の形態では、液滴吐出法により形成した補助配線のパッシベーション膜として本発明の窒化ケイ素膜を形成する例について図4を用いて説明する。図4(A)は図3にて作製した発光表示装置の上面概念図である。
図4(B)に示すように液滴吐出装置のノズルを用いて液滴吐出法により補助配線を描画する。図4(B)は、図4(A)に示した画素部における1画素の断面図を示しており、補助配線は、発光素子の陰極となっている透明電極73の上に形成して電極全体として低抵抗化を図るためのものである。また、補助配線は遮光膜としても機能し、コントラストの向上につながる。
この補助配線を液滴吐出法を用いて作製する場合、金属のナノ粒子が分散された分散液を吐出する。しかし、特に銀など、マイグレーションが起こりやすい金属を使用した場合に周りを配線材料で汚染してしまう恐れがある。その際、図4(C)のように本発明の窒化ケイ素膜のような緻密でバリア性の高い膜で覆ってしまうことで金属のマイグレーションを防ぎ、汚染を防止することが可能となる。また、この補助配線は電界発光素子の上側に作製されるが、本発明の窒化ケイ素膜の作製方法は100℃以下(好ましくは60℃〜85℃)の温度で成膜することが可能であるため、電界発光素子に成膜時の熱によるダメージを与えずにパッシベーション膜を作製することができ、より信頼性の高い発光表示装置を作成することが可能となる。
(実施の形態5)
本実施の形態では、本発明の一形態に相当する発光装置のパネルモジュールの外観について図5を用いて説明する。図5は基板上に形成されたトランジスタおよび発光素子を対向基板4006との間に形成したシール材によって封止したパネルの上面図である。
基板4001上に設けられた画素部4002と信号処理回路4003と走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また、画素部4002と信号処理回路4003と信号線駆動回路4020と、走査線駆動回路4004の上に対向基板4006が設けられている。よって画素部4002と信号処理回路4003と信号線駆動回路4020と、走査線駆動回路4004とは基板4001とシール材4005と対向基板4006とによって充填材と共に密封されている。
また、基板4001上に設けられた画素部4002と信号処理回路4003と信号線駆動回路4020と走査線駆動回路4004とは薄膜トランジスタを複数有している。
また、引き回し配線は画素部4002と信号処理回路4003と信号線駆動回路4020と、走査線駆動回路4004とに、信号、または電源電圧を層供給すると目の配線に相当する。引き回し配線は接続端子4016と接続されており、接続端子はフレキシブルプリントサーキット(FPC)4018が有する端子と異方性導電膜を介して電気的に接続されている。
なお、充填材としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、ポリビニルクロライド、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルブチラル、またはエチレンビニレンアセテートを用いる事ができる。
(実施の形態6)
実施の形態5にその一例を示したようなモジュールを搭載した本発明の電子機器として、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオコンポ等)、コンピュータ、ゲーム機器、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話、携帯型ゲーム機または電子書籍等)、記録媒体を備えた画像再生装置(具体的にはDigital Versatile Disc(DVD)等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを備えた装置)などが挙げられる。それらの電子機器の具体例を図6に示す。
図6(A)は発光表示装置でありテレビ受像器やコンピュータのモニターなどがこれに当たる。筐体2001、表示部2003、スピーカー部2004等を含む。本発明の発光表示装置は表示部2003や搭載された他の半導体装置の信頼性が向上する。画素部にはコントラストを高めるため、偏光板、又は円偏光板を備えるとよい。例えば、封止基板へ1/4λ板、1/2λ板、偏光板の順にフィルムを設けるとよい。さらに偏光板上に反射防止膜を設けてもよい。
図6(B)は携帯電話であり、本体2101、筐体2102、表示部2103、音声入力部2104、音声出力部2105、操作キー2106、アンテナ2108等を含む。本発明の携帯電話は表示部2103や搭載された他の半導体装置の信頼性が向上する。
図6(C)はコンピュータであり、本体2201、筐体2202、表示部2203、キーボード2204、外部接続ポート2205、ポインティングマウス2206等を含む。本発明のコンピュータは表示部2203や搭載された他の半導体装置の信頼性が向上する。図6(C)ではノート型のコンピュータを例示したが、ハードディスクと表示部が一体化したデスクトップ型のコンピュータなどにも適用することが可能である。
図6(D)はモバイルコンピュータであり、本体2301、表示部2302、スイッチ2303、操作キー2304、赤外線ポート2305等を含む。本発明のモバイルコンピュータは表示部2203や搭載された他の半導体装置の信頼性が向上する。
図6(E)は携帯型のゲーム機であり、筐体2401、表示部2402、スピーカー部2403、操作キー2404、記録媒体挿入部2405等を含む。本発明の携帯型のゲーム機は表示部2203や搭載された他の半導体装置の信頼性が向上する。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。