JP4463033B2 - 感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法 - Google Patents

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本発明は、光を用いた高分子材料のマイクロ・ナノ加工に関する技術分野に属し、感光性機能を有する高分子膜の表面に、パルスレーザー光を干渉露光させることにより、高分子膜表面上に釣鐘型凸状構造部を形成する方法に関する。
光を用いた高分子材料のマイクロ・ナノ加工技術(マイクロ・ナノメートルオーダーの加工技術)としては、例えば、高分子材料自身に感光性を付与し、紫外線・可視光線の波長領域の光を照射することによるリソグラフィーや、照射する光が高いエネルギーを有している超短パルスレーザーや放射光などを用いて、アブレーションや屈折率変調構造の形成により行うことなどが代表的に挙げられる。これらの高分子材料におけるマイクロ・ナノ加工技術の中で、アゾベンゼンなどの光異性化機能を発揮する材料を含んでいる感光性高分子膜表面に、光を干渉露光を起こす様に照射することにより、干渉縞による周期的な凹凸構造を形成する技術が1995年に報告され、それ以降、形成される周期的な凹凸構造が、周期的な波形形状の格子に類似していることから、表面レリーフグレーティング(Surface Relief Grating:「SRG」と略称する場合がある)と呼称され、多くの研究者の興味を引き起こし、照射条件と形成される構造との関係の把握、構造形成のメカニズムの解析、形成されるSRGの応用検討など多くの研究がなされてきている。
今までの研究は、主に、400〜500nmにπ−π*(パイスター)吸収の吸収ピークを有するアゾベンゼン誘導体を側鎖に含む高分子を材料とし、且つ通常、約1μm以上の厚みを有する高分子膜をガラスなどの基板上に形成し、488nmの波長のcw(連続的な)Arレーザーなどを、高分子膜表面に、数10mW/cm2程度の比較的弱いパワー密度で二光束照射して、干渉露光させることにより、SRGを有する誘起構造部(SRG構造部)を形成させることで行われている。
二光束干渉露光により形成されるSRG構造を有する構造体の格子間隔(Λ)は、照射波長(λ)、および高分子膜表面への入射角(法線からの角度)(θ)と、「Λ=λ/2sinθ」の関係を有しており、格子間隔(Λ)を狭くするためには、照射波長(λ)を短くし、入射角度(θ)を大きくする必要があるが、照射波長(λ)は、光異性化を起こすのに適した波長領域の波長を用いなければならいないという制約があるので、通常は、入射角度(θ)をできるだけ大きくとって、格子間隔(Λ)を小さくしている。また、得られたSRGを反射回折格子として用いる場合に、高い回折効率を有する反射回折格子にするためには、格子の高さ[山の頂部〜谷の底部の高さ(山〜谷の高さ)]を大きくする必要がある。そのためには、干渉露光する光の照射エネルギー(光強度×照射時間)を大きくしたり、高分子膜を厚くしたりする工夫がなされている。
今までの研究により明らかになったSRGに関する知見は、次の(1)〜(7)のように列挙することができる(非特許文献1参照)。
(1)干渉露光により形成される干渉縞の明暗は、SRGの谷山の部位と対応する(SRGは干渉縞とπシフトの位相関係にある)。すなわち、干渉により光強度が強められた明るい部分から暗い部分に物質移動が起こり、SRGが形成される。
(2)SRGは、膜を形成する高分子材料のガラス転移温度(Tg)よりも低い温度領域で形成可能である。すなわち、本来、可動性の乏しい温度領域下(高分子材料のTgよりも低く、マクロ的にはガラス状態の温度領域下)で、ミクロ的な流動を伴った物質移動が起こり、SRGが形成される。
(3)SRGの山〜谷の部位(山の頂部〜谷の底部)の高さは、照射光のエネルギー(光強度×照射時間)に比例して最初は増大するが、高分子膜の厚みにしたがって、ある照射エネルギー以上で飽和する。
(4)SRGの形成は、照射光の偏光状態に強く依存しており、直線偏光の照射光においては、s−偏光よりも、p−偏光の方が効率よく起こる。
(5)使用される高分子の分子量が大きいほど、SRGの形成の効率は低下する。これは、高分子の絡み合いの程度が物質移動に影響を及ぼしているためである。
(6)形成されたSRGは、重ね書きが可能であり、追記録時においても既存のSRGのパターンはそのまま保存される。
(7)形成されたSRGは、使用されている高分子材料のTg以上に加熱したり、適当な偏光条件の均一な光照射を行ったりすることによって消去可能である。
また、SRG構造の形成のメカニズムに関しては、光異性化に基づく局所的な自由体積変化が膜内部に圧力分布を形成し、その結果として物質移動が起こり、πシフトによりSRGが形成されるという自由体積モデルが提唱されたが(非特許文献2参照)、SRG形成における偏光依存性をうまく説明することができなかった。これに対して、光学的に誘起される電場からの力による光勾配力が高分子鎖のダイポール(双極子)に作用し、高分子材料中に移動力をもたらし、SRG構造が形成される光勾配力モデルが提唱され、偏光依存性の説明も可能にされた(非特許文献3参照)。また、Viscous Mass Flowモデルも提唱され、物質移動速度が表面から深さ方向に向かって減少することを仮定して、1μm以下の膜厚みでSRGの形成速度が膜厚の三乗に比例する実験結果を説明した(非特許文献4参照)。さらに、その他のモデルとして、液晶材料を含む系では、πシフトではなくシフトなし(ゼロシフト)で、SRGが形成されるが、それを説明できるMean Field Theoryモデル(非特許文献5参照)や、バルクの分子の拡散によって、表面効果が支配され、配向分布のタイムスケールが拡散のタイムスケールよりもはるかに短いことに注目した拡散モデル(非特許文献6参照)などが提唱されている。
SRG構造は、リソグラフィーのような複雑な現像工程や薬品処理などを必要とせず、光を照射する1段階のプロセスで加工や記録・消去が達成でき、且つ可逆的に繰り返し形成することが可能である特徴を有している。その応用としては、書き換え可能なホログラム材料として二次元・三次元情報の記録・演算媒体への応用が期待できる。5ナノ秒程度の短時間でSRGが形成でき、熱処理で消去が可能な動的ホログラフィなどの研究が行われている。また、SRG構造をフェーズマスクとして利用して光プリンティングとして複製構造を作製する用途も検討されている。また、回折格子として光フィルタや光カプラーなどの光の取り出しや導波用の光機能素子としての検討や、液晶の配向膜としての研究も盛んに行われている。さらにまた、SRG構造を利用して高分子膜の強度向上を図る用途や、SRG構造にコロナ放電を施すことにより、光−電気デバイスや第二次高調波発振器として活用する検討なども行われている。
以上の説明は、干渉露光により形成される周期的な凹凸構造が周期的な波形形状の格子に類似しているSRG構造に関するものであるが、この波形形状のSRG構造から発展して検討されている2つの干渉露光による光誘起表面構造物がある。1つは、適当な偏光特性を有する三光束のレーザービームを照射させることにより形成される六方晶に近いハニカム構造であり、もう1つは、二光束干渉露光において、先ず1段階目として所定時間二光束干渉露光によりSRG構造を形成し、その次に高分子膜試料を90度回転させるか、ないしは、高分子膜試料はそのままにして二光束干渉方向を90度回転させることにより、予め形成されたSRG(1段階目の二光束干渉露光により形成されたSRG)に直交するSRGを重ね書きさせて2段階で形成される釣鐘状構造(egg−crate−like structure;たまごパック状構造:「ECL構造」と略称する場合がある)である。これらの2つの構造体は、格子状のSRG構造と比較して、より高次な規則性を持った表面誘起構造体であるので、マクロレンズアレイ、拡散板やフォトニック結晶などのような幅広い光学機能材料としての利用が期待される。
特に、釣鐘状構造(ECL構造)は、いわゆるマイクロレンズアレイ状の構造であり、粒子径のそろったナノメートルオーダーやマイクロメートルオーダーの微粒子が分散している微粒子分散液中に基板を浸漬し、引き上げて均一な単層を基板上に形成して得られる構造や、グラファイト基板上に強誘電性高分子LB膜を形成し、高真空・電場印加条件下の走査トンネル顕微鏡操作により、強誘電性高分子の再配列を誘起させて得られる構造や、フォトマスクを介してフォトレジストを紫外線光(UV光)などで露光・硬化させて得られる構造や、シリコン基板の結晶面の選択的(異方的)エッチング等で得られる構造物などによく似た規則性構造を有している。これらの類似構造の作製方法に比べて、干渉露光による釣鐘型凸状構造(釣鐘状構造)を有する誘起構造部(釣鐘型凸状構造部)の製作方法は、プロセス的には厳密な製作条件の制御を必要とせず、簡便な製作方法による釣鐘状構造と言えるが、直交するSRGを2段階の二光束干渉露光により形成する必要があり、1段階目と2段階目との間で高分子膜試料ないしは二光束干渉方向を90度回転させる必要がある。そのため、微小な領域に形成されている1段階目の二光束干渉露光により形成されたSRGに対して、2段階目の二光束干渉露光により形成させるSRGを直交させる2段階の二光束干渉露光方法は、位置合わせに労力を使い、特に、大面積の表面に釣鐘状構造を作製するときには、小面積の表面に釣鐘状構造を作製して、それらを足し合わせることにより大面積化することになるので、さらに手間と時間がかかることになる。
また、SRGに関しては、アゾベンゼン骨格を有するポリマー層に、レーザーを2度照射して回折格子を作製する方法(特許文献1参照)、アゾベンゼン骨格を有する高分子物質と、液晶物質とを含有する感光性組成物による薄膜に、パターン露光することにより、薄膜上にパターン形成する方法(特許文献2参照)、アゾベンゼンポリマーフィルムの表面に、物体光と参照光とを照射し、両者の干渉による強度分布をSRGとして書き込み、ホログラムを作製する方法(特許文献3参照)、アゾポリマー担体の表面に、レンチキュラーレンズとして機能する凹凸を形成し、該凹凸の表面に微細な凹凸を形成する方法(特許文献4参照)、特定のアゾベンゼン誘導体から構成された感光性薄膜に、所定のパターンを有するマスクを介して干渉露光を行うことにより、レリーフを形成する方法(特許文献5参照)なども提案されている。
しかしながら、これらの方法でも、高分子膜の位置の回転や、干渉露光の方向の回転が行われたり、マスクが用いられたりしており、マスクを用いることなく、また高分子膜の位置の回転や干渉露光の方向の回転を行うことなく簡便な方法により、しかも、高分子膜の表面積が大きくても容易に、高分子膜上に釣鐘状構造部(釣鐘型凸状構造部)を形成することができる方法が求められている。
国際公開第98/36298号パンフレット 特開2002−105339号公報 特開2002−182547号公報 特開2002−174731号公報 特開2003−82033号公報
「O plus E」(株)新技術コミュニケーションズ出版,2003年3月号,第24巻,p.287 「J.Phys.Chem.」1996年,第100巻,p.8836 「Appl.Phys.Lett.」1998年,第72巻,p.2096 「Mol.Crys.Liq.Crys.」2000年,第345巻,p.263 「Phys.Rev.Lett.」1998年,第80巻,p.89 「Opt.Mater.」1998年,第9巻,p.323
従って、本発明の目的は、マスクを介さずに干渉露光させ、且つ高分子膜の位置の回転や干渉露光の方向の回転を行うことなく簡便な方法により、しかも、高分子膜の表面積が大きくても容易に、高分子膜上に釣鐘状構造部(釣鐘型凸状構造部)を形成することができる感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法を提供することにある。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、感光性高分子膜の表面に、特定のパルスレーザー光を、マスクを介さずに干渉露光させると、前記感光性高分子膜の位置の回転や干渉露光の方向の回転を行わなくても、容易に、感光性高分子膜の表面に、釣鐘型凸状構造部を表面レリーフグレーティング構造を経由して形成することができることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。
すなわち、本発明は、感光性機能を有する高分子膜の表面に、釣鐘型凸状構造部を形成させる方法であって、感光性機能を有する高分子膜の表面に、該高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域の、p−偏光性の偏光特性を有しているパルスレーザー光を、マスクを介さずに干渉露光させることにより、表面レリーフグレーティング構造を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部を、前記高分子膜の位置の回転や干渉露光の方向の回転を行うことなく形成させることを特徴とする感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法を提供する。
前記感光性機能を有する高分子膜としては、光異性化、フォトリフラクティブ性、光架橋性または光分解性により感光性機能を発揮させることができる高分子膜を好適に用いることができ、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子により形成されていることが好ましい。前記アゾベンゼン誘導体部を含む側鎖を有するポリマー成分としては、ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するアゾベンゼン系色素と、前記アゾベンゼン系色素中のヒドロキシル基に対する反応性官能基を少なくとも2つ有するモノマー成分との重合体であってもよい。
また、前記高分子膜の厚さとしては、100ナノメートル(nm)以上であることが好ましい。前記釣鐘型凸状構造部の高さとしては、80ナノメートル(nm)以上であってもよい。
さらに、前記パルスレーザー光としては、パルス幅が500μ秒以下のパルスレーザー光が好適である。パルスレーザー光としては、光強度が10mW/cm2〜1W/cm2であってもよい。
本発明では、前記感光性機能を有する高分子膜の表面に形成された釣鐘型凸状構造部は、高分子膜の背面から入射された光に対して集光機能を発揮することができることが好適である。
本発明の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法によれば、マスクを介さずに干渉露光させ、且つ高分子膜の位置の回転や干渉露光の方向の回転を行うことなく簡便な方法により、しかも、高分子膜の表面積が大きくても容易に、高分子膜上に釣鐘型凸状構造部を形成することができる。
(感光性高分子膜)
本発明において、釣鐘型凸状構造部を形成する際に用いられている感光性高分子膜は、感光性機能を有する高分子(「感光性高分子」と称する場合がある)により形成された膜である。このような感光性高分子としては、感光性機能を発揮する基又は部位を有する高分子であれば特に制限されないが、例えば、分子内にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有する高分子(「アゾベンゼン骨格含有高分子」と称する場合がある)を好適に用いることができる。すなわち、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位は、感光性機能を発揮する基又は部位として利用されている。感光性高分子は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
アゾベンゼン骨格含有高分子としては、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位を、分子内に少なくとも1つ有していればよく、例えば、主鎖や側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子が挙げられる。アゾベンゼン骨格含有高分子としては、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子(アゾベンゼン誘導体部を含む側鎖を有するポリマー成分)が好適である。
側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子(「アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子」と称する場合がある)において、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位は、すべての側鎖に含まれていてもよく、一部の側鎖のみに含まれていてもよい。さらにまた、アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子は、1つの側鎖に、1つのアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有していてもよく、2つ以上のアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有していてもよい。
アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子において、アゾベンゼン骨格としては、「フェニレン−アゾ−フェニレン(−C64−N=N−C64−)」基を有する基又は部位であれば特に制限されず、各種アゾベンゼン誘導体より構成される基又は部位を用いることができる。アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子としては、例えば、主鎖又は側鎖に結合している官能基に、該官能基に対して反応性を有する基とともに、アゾベンゼン骨格を有している化合物を反応させることにより、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位が導入された形態の高分子や、モノマー成分としてアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有するモノマー成分(「アゾベンゼン骨格含有モノマー成分」と称する場合がある)を用いることにより、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位が導入された形態の高分子などが挙げられる。本発明では、アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子としては、アゾベンゼン骨格含有モノマー成分を用いて調製された形態の高分子を好適に用いることができる。なお、アゾベンゼン骨格含有モノマー成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。このようなアゾベンゼン骨格含有モノマー成分としては、主鎖の重合形態[例えば、重縮合(縮合重合)、付加重合、重付加、付加縮合、開環重合、酸化重合等の重合形態]の種類により適宜選択することができる。例えば、主鎖の重合形態が、ヒドロキシル基が関係する縮合重合である場合、アゾベンゼン骨格含有モノマー成分としては、下記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分を好適に用いることができる。
Figure 0004463033
(式(1)において、R1、R2は、同一又は異なって、2価の炭化水素基を示す。R3は有機基を示す。また、R4は2価の有機基であり、nは0又は1である)
前記式(1)において、R1およびR2は、2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基(メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等)、シクロアルキレン基(シクロヘキシレン基等)、アリレン基(フェニレン基、ナフチレン基等)、又はこれらの基を組み合わせた基などが挙げられる。R1、R2は、同一であってもよく、異なっていてもよい。R1、R2としては、ともに同一のアルキレン基(特に、エチレン基)であることが好ましい。
3は有機基である。該有機基としては、1価の有機基であれば特に制限されないが、例えば、ニトロ基、シアノ基、イソシアネート基、アミノ基、複素環含有基、ヒドロキシル基、エポキシ基、置換オキシ基(アルコキシ基、シクロアルキルオキシ基、アリールオキシ基など)、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)、カルボキシル基、アシル基、アシルオキシ基、炭化水素基(アルキル基、シクロアルキル基、アリール基など)、メルカプト基、スルホ基などが挙げられる。R3としては、窒素原子を含有している基(ニトロ基、シアノ基、イソシアネート基など)が好ましく、なかでもニトロ基が好適である。
なお、R3は、アゾベンゼン骨格における末端側のベンゼン環の何れかの部位[2位(o−位、3位(m−位)、4位(p−位)のうちの何れかの部位]に結合していればよく、4位(p−位)の部位に結合していることが好ましい。
4は2価の有機基である。該2価の有機基としては、例えば、アルキレン基、シクロアルキレン基、アリレン基等の2価の炭化水素基や、2価の炭化水素基と、他の基(例えば、酸素原子含有基、窒素原子含有基、イオウ原子含有基など)とを組み合わせた基などが挙げられる。また、nは0又は1であり、nが0の場合、R4は存在せず、アゾベンゼン骨格が窒素原子に直接結合していることを意味する。nとしては、0であることが好ましい。
従って、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分としては、4−(N,N−ジヒドロキシエチルアミノ)−4´−ニトロアゾベンゼンを好適に用いることができる。
なお、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分は、ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するアゾベンゼン系色素として分類することができる。
モノマー成分として、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分を用いる場合、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分とともに、該アゾベンゼン骨格含有モノマー成分に対して反応性を有するモノマー成分(「反応性モノマー成分」と称する場合がある)を用いることが重要である。なお、反応性モノマー成分は単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。反応性モノマー成分としては、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分が、分子内にヒドロキシル基(水酸基)を2つ有しているので、ヒドロキシル基に対する反応性官能基(ヒドロキシル基反応性官能基)を少なくとも2つ有している反応性モノマー成分を用いることができる。このような反応性モノマー成分としては、下記式(2)で表される反応性モノマー成分を好適に用いることができる。
Figure 0004463033
(式(2)において、Xは2価の有機基である。R5、R6は、同一又は異なって、ヒドロキシル基に対して反応性を有する基を示す)
前記式(2)において、Xは、2価の有機基であり、前記式(2)で表される反応性モノマー成分の骨格となっている。また、R5、R6は、ヒドロキシル基に対して反応性を有する基(ヒドロキシル基反応性官能基)であり、前記式(2)で表される反応性モノマー成分は、2つのヒドロキシル基反応性官能基を有している。一方、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分は、前記式(1)で示されるように、2つのヒドロキシル基を有している。従って、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分と、前記式(2)で表される反応性モノマー成分とは、縮合重合を行うことができる。
Xにおける2価の有機基としては、2価の有機基であれば特に制限されないが、例えば、2価の炭化水素基、2価の複素環基、これらの2価の炭化水素基や2価の複素環基と、他の基(例えば、酸素原子含有基、窒素原子含有基、イオウ原子含有基など)とを組み合わせた基などが挙げられる。2価の炭化水素基としては、例えば、アルキレン基等の2価の脂肪族炭化水素基、シクロアルキレン基等の2価の脂環式炭化水素基、アリレン基等の2価の芳香族炭化水素基などが挙げられる。2価の脂肪族炭化水素基において、アルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の直鎖状のアルキレン基の他、分岐鎖のアルキレン基(例えば、プロピレン基など)などが挙げられる。2価の脂環式炭化水素基において、シクロアルキレン基としては、例えば、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン基などが挙げられる。2価の芳香族炭化水素基において、アリレン基としては、フェニレン基(例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基など)や、ナフチレン基などが挙げられる。
また、2価の複素環基において、複素環としては、例えば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環(例えば、ピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾールなどの5員環、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンなどの6員環、インドール、キノリン、アクリジン、ナフチリジン、キナゾリン、プリンなどの縮合環など)、ヘテロ原子として酸素原子を含む複素環(例えば、フラン、オキサゾール、イソオキサゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−ピランなどの6員環、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、4−オキソ−4H−クロメンなどの縮合環など)、ヘテロ原子としてイオウ原子を含む複素環(例えば、チオフェン、チアゾール、イソチアゾール、チアジアゾールなどの5員環、4−オキソ−4H−チオピランなどの6員環、ベンゾチオフェンなどの縮合環など)などが挙げられる。なお、これらの複素環において、2つの結合位置は、特に制限されない。
Xは、前記式(1)中のヒドロキシル基と、前記式(2)中のヒドロキシル基反応性官能基との反応性を損なわない範囲で、各種置換基を有していてもよい。このような置換基としては、例えば、炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;フェニル基等のアリール基など)、置換オキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基の他、シクロアルキルオキシ基やアリールオキシ基など)、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基など)などが挙げられる。
Xの2価の有機基としては、2価の炭化水素基が好ましく、なかでも2価の芳香族炭化水素基(特にトリレン基)が好適である。
5およびR6は、ヒドロキシル基反応性官能基である。該ヒドロキシル基反応性官能基としては、ヒドロキシル基に対して反応性を有する基であれば特に制限されないが、例えば、イソシアネート基、カルボキシル基、エポキシ基、アミノ基、メルカプト基などが挙げられる。R5、R6としては、イソシアネート基であることが好ましい。R5、R6は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
従って、前記式(2)で表される反応性モノマー成分としては、ジイソシアネート系モノマー成分、ジカルボン酸系モノマー成分、ジエポキシ系モノマー成分、ジアミン系モノマー成分、ジチオール系モノマー成分などが挙げられる。前記式(2)で表される反応性モノマー成分としては、ジイソシアネート系モノマー成分が好ましい。
具体的には、前記式(2)で表される反応性モノマー成分において、ジイソシアネート系モノマー成分としては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネ−ト、1,4−テトラメチレンジイソシアネ−ト、2−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、3−メチル−1,5−ペンタンジイソシアネート、リジンジイソシアネ−ト等の脂肪族ジイソシアネ−ト;イソホロンジイソシアネ−ト、シクロヘキシルジイソシアネート、水素添加トリレンジイソシアネ−ト、水素添加キシレンジイソシアネ−ト、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、水素添加テトラメチルキシレンジイソシアネ−ト等の脂環族ジイソシアネ−ト;2,4−トリレンジイソシアネ−ト(トリレン−2,4−ジイソシアネート)、2,6−トリレンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、2,4´−ジフェニルメタンジイソシアネ−ト、4,4´−ジフェニルエ−テルジイソシアネ−ト、2−ニトロジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト、2,2´−ジフェニルプロパン−4,4´−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメチルジフェニルメタン−4,4´−ジイソシネ−ト、4,4´−ジフェニルプロパンジイソシアネ−ト、m−フェニレンジイソシアネ−ト、p−フェニレンジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,4−ジイソシアネ−ト、ナフチレン−1,5−ジイソシアネ−ト、3,3´−ジメトキシジフェニル−4,4´−ジイソシアネ−ト等の芳香族ジイソシアネ−ト;キシリレン−1,4−ジイソシアネ−ト、キシリレン−1,3−ジイソシアネ−ト等の芳香脂肪族ジイソシアネ−トなどが挙げられる。ジイソシアネート系モノマー成分としては、2,4−トリレンジイソシアネートを好適に用いることができる。
また、前記式(2)で表される反応性モノマー成分において、ジカルボン酸系モノマー成分としては、例えば、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸;フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、4,4´−ビフェニルジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸などが挙げられる。また、ジカルボン酸系モノマー成分としては、前記例示のジカルボン酸の反応性誘導体(酸無水物、低級アルキルエステル等)も用いることができる。なお、ジエポキシ系モノマー成分、ジアミン系モノマー成分や、ジチオール系モノマー成分は、それぞれ、公知のジエポキシ系モノマー成分(例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂など)、公知のジアミン系モノマー成分(例えば、エチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、イソホロンジアミン、2,4−トリレンジアミン等のジアミン系化合物など)、公知のジチオール系モノマー成分の中から適宜選択して用いることができる。
本発明では、モノマー成分として、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分を用いる場合、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分と、アゾベンゼン骨格含有モノマー成分に対して反応性を有するモノマー成分(反応性モノマー成分)とともに、必要に応じて、前記反応性モノマー成分に対して反応性を有し、且つ前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分以外のモノマー成分(「反応官能性モノマー成分」と称する場合がある)を用いることができる。なお、反応官能性モノマー成分としては単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。このような反応官能性モノマー成分としては、反応性モノマー成分の種類に応じて適宜選択することができる。反応官能性モノマー成分としては、例えば、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有しておらず、ヒドロキシル基を少なくとも2つ含有しているモノマー成分(「ヒドロキシル基含有反応官能性モノマー成分」と称する場合がある)を好適に用いることができる。反応官能性モノマー成分としてのヒドロキシル基含有反応官能性モノマー成分としては、特に制限されず、各種ジオール成分を適宜選択して用いることができ、例えば、エチレングリコール、1,3−トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、1,3,5−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−メチル−1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、2−メチル−1,9−ノナンジオール、ダイマージオール等の脂肪族ジオール成分;1,4−シクロヘキサンジオール等の脂環式ジオール成分などが挙げられる。
また、ヒドロキシル基含有反応官能性モノマー成分としてのジオール成分としては、ポリエステルジオール成分、ポリエーテルジオール成分、ポリカプロラクトンジオール成分等のポリマー形態のジオール成分(特に、脂肪族系ポリマー形態のジオール成分)などを用いることも可能である。具体的には、ポリエステルジオール成分としては、例えば、前記脂肪族ジオール成分等のジオール成分と、ジカルボン酸成分又はその誘導体とを、単独若しくは混合物状態で脱水反応して得られるポリエステルジオールなどが挙げられる。ポリエーテルジオール成分としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等を開環重合させたポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、およびこれらを共重合させたコポリエーテル等が挙げられる。ポリカプロラクトンジオール成分としては、例えば、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンなどの環状エステルモノマーの開環重合により得られるカプロラクトン系ポリエステルジオール等が挙げられる。
アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子としては、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分を用いた縮合重合により得られるアゾベンゼン骨格側鎖含有高分子を好適に用いることができ、特に、前記式(1)で表されるアゾベンゼン骨格含有モノマー成分と、前記式(2)で表される反応性モノマー成分との縮合重合により得られるアゾベンゼン骨格側鎖含有高分子が好適である。すなわち、アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子としては、ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するアゾベンゼン系色素と、ヒドロキシル基に対する反応性官能基を少なくとも2つ有するモノマー成分との重合体(ポリマー)を好適に用いることができる。
もちろん、アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子としては、主鎖が、縮合重合以外の他の重合形態(付加重合、重付加、付加縮合、開環重合、酸化重合など)による重合により形成されたものであっても用いることができる。例えば、主鎖が付加重合により形成されている場合、アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子を調製するためのモノマー成分としては、例えば、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有しているとともに、エチレン性不飽和結合を有しているモノマー成分を用いることができる。この際、必要に応じて、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有しておらず、エチレン性不飽和結合を有しているモノマー成分を用いることができる。
感光性高分子膜は、感光性高分子により形成されており、その形成方法(成膜方法)は特に制限されず、公知乃至慣用の高分子材料の成膜方法やラミネート法を用いることができる。より具体的には、感光性高分子の成膜方法としては、例えば、感光性高分子を溶媒やマトリックスに溶解又は分散させて、キャスティング、スピンコート等を行う方法などが挙げられる。感光性高分子を溶解又は分散させる溶媒やマトリックスとしては、特に制限されず、感光性高分子の種類に応じて適宜選択することができる。溶媒としては、例えば、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAc)などのアミド類;アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化炭素、クロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素などの各種の溶媒を適宜選択して用いることができる。
なお、感光性高分子を溶媒に溶解させた溶液は、成膜する前に、濾紙や濾過用フィルター等を用いて濾過を行い、含まれる不純物やゴミなどを除去することが好ましい。
具体的には、感光性高分子を、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)等の溶媒に溶解させて、0.16重量%の溶液を調製し、該溶液を、所定の基板上に70℃でキャスティングすることにより、感光性高分子膜を作製することができる。なお、感光性高分子膜は、前述のように、基板上に成膜されていてもよく、このような基板としては、各種基板(ガラス基板、プラスチック基板など)を適宜選択して利用することができる。なお、感光性高分子膜を基板上に成膜する際には、成膜する前に、各種基板表面は、超音波や流体などを用いて、表面に付着している不純物粒子やゴミなどを除去し、洗浄することが望ましい。
本発明では、感光性高分子を溶媒に溶解させた溶液の濾過や、基板の洗浄等の前処理は、基板上に設置された高分子膜にパルスレーザー光を干渉露光させ、釣鐘型凸状構造部を形成する際に、不純物やゴミを起点とした不均一な誘起構造の形成を回避するために、有効である。
感光性高分子膜の厚みとしては、特に制限されず、例えば、0.1μm(100nm)以上(例えば、0.1〜50μm程度の範囲から選択することができる。感光性高分子膜の厚みとしては、0.3μm(300nm)以上(例えば、0.3〜30μm)であることが好ましく、さらには0.5μm(500nm)以上(例えば、0.5〜20μm)であることが好ましい。また、感光性高分子膜としては、特に0.5〜1μmの厚みのものが好適である。なお、感光性高分子膜の厚みが薄すぎると、パルスレーザー光による釣鐘型凸状構造部の形成に影響がでる場合があるので、注意が必要である。
また、感光性高分子膜は、単層および多層のいずれの構造を有していてもよい。感光性高分子膜には、必要に応じて他の材料や添加剤などが適宜含まれていてもよい。
なお、感光性高分子膜は、その上面は平面であることが好ましいが、凹凸形状であってもよい。また、上面の大きさ(面積)も特に制限されない。
感光性高分子膜を形成する感光性高分子として、例えば、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子を用いた場合、パルスレーザー光の干渉露光によって、アゾベンゼン骨格を含む基又は部位がトランス体からシス体に光異性化を起こすことにより、感光性機能を発揮することができる。もちろん、本発明では、感光性高分子膜としては、光異性化以外の感光性機能を発揮することができる感光性高分子膜を用いてもよく、例えば、フォトリフラクティブ性、光架橋性や光分解性により感光性機能を発揮させることができる感光性高分子膜を用いることができる。すなわち、感光性高分子膜を形成する感光性高分子としては、感光性機能を発揮するための特性として、光異性化、フォトリフラクティブ性、光架橋性、光分解性などを有していることが好ましい。なお、これらの特性は、1種のみを有していてもよく、2種以上有していてもよい。
(パルスレーザー光による干渉露光)
本発明では、前記感光性高分子膜の表面に、パルスレーザー光を、マスクを介さずに干渉露光させている。前記パルスレーザー光としては、前記感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域のパルスレーザー光であることが重要である。従って、パルスレーザー光としては、感光性高分子の種類、または、感光性高分子における感光性機能を発揮する基又は部位の種類などに応じて、その波長領域を適宜選択することができる。特に、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、パルスレーザー光の照射に際して、多光子吸収過程を利用することにより、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させることが可能となる。具体的には、光源から発光されるパルスレーザー光を集光して、集光されたパルスレーザー光を照射すると、多光子の吸収(例えば、2光子の吸収、3光子の吸収、4光子の吸収、5光子の吸収など)が生じ、これにより、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域でなくても、感光性高分子膜には、実質的に、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域のパルスレーザー光が照射されたことになる。このように、干渉露光するパルスレーザー光は、実質的に、感光性高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域となるパルスレーザー光であればよく、照射条件などにより、その波長を適宜選択することができる。すなわち、パルスレーザー光としては、例えば、多光子吸収過程を利用しない場合、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域であるパルスレーザー光を用いることができ、多光子吸収過程を利用する場合、光源から発光されるパルスレーザー光の波長が高分子膜に感光性機能を発揮させる波長の整数倍の波長を有するパルスレーザー光を用いることができる。
なお、多光子吸収過程とは、高密度の光子が存在する場合に、複数の光子が物質に同時に吸収される過程又はその状態を意味しており、本来、その1光子のエネルギーでは生じ得なかった現象を生じさせることができる。また、非線形現象を利用しているので、光を用いているにもかかわらず、照射波長の回折限界を超える加工も可能となる。
このように、パルスレーザー光の照射に際して、多光子吸収過程を利用する場合、集光されたパルスレーザー光を用いることができる。パルスレーザー光の強度やその集光の程度を適宜調整することにより、多光子吸収過程を制御することができる。なお、多光子吸収の起こる確率は、光の強度に比例して増加し、強度が強くなる程、多光子の吸収が起こりやすくなる。また、パルスレーザー光を集光させる方法としては、特に制限されず、例えば、集光レンズを用いる方法を好適に採用することができる。このような集光レンズとしては、特に制限されず、感光性高分子膜の材質、目的とする釣鐘型凸状構造部の大きさなどに応じて適宜選択することができる。
パルスレーザー光としては、パルス幅が5×10-4秒(500μ秒)以下のパルスレーザーを好適に用いることができる。なお、パルスレーザー光のパルス幅が5×10-4秒を超えていると、感光性高分子膜の表面に釣鐘型凸状構造部を形成することができない場合がある。パルスレーザー光のパルス幅としては、10-6秒以下(特に、10-8秒以下)であることが好ましい。なお、パルスレーザー光のパルス幅の下限は特に制限されず、例えば、10-15秒以上であってもよい。
具体的には、パルスレーザー光としては、例えば、チタン・サファイア結晶を媒質とするレーザーや色素レーザーを再生・増幅して得られたパルス幅が5×10-4秒以下のパルスレーザー、エキシマレーザーやYAGレーザー(Nd:YAGレーザーなど)の倍波[例えば、第2次高調波(2倍波)など]によるパルス幅が5×10-4秒以下のパルスレーザーなどを用いることができる。
パルスレーザー光の波長としては、前述のように、多光子吸収過程を利用する場合、感光性高分子膜の感光性高分子の吸収波長(吸収のピーク波長)の整数倍(2倍、3倍など)となる波長であることが好ましく、一方、多光子吸収過程を利用しない場合、感光性高分子膜の感光性高分子の吸収波長(吸収のピーク波長)となる波長であることが好ましい。
また、パルスレーザー光としては、いずれの偏光特性を有していてもよいが、直線偏光特性または円偏光特性を有していることが好ましい。さらに、パルスレーザー光における直線偏光特性としては、p−偏光性の偏光特性、s−偏光性の偏光特性のいずれの偏光特性であってもよいが、p−偏光性の偏光特性が好ましい。従って、パルスレーザー光としては、p−偏光性の偏光特性を有する直線偏光特性のパルスレーザー光、または円偏光特性のパルスレーザー光が好適である。
パルスレーザー光としては、例えば、感光性高分子膜を形成する感光性高分子が、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子(アゾベンゼン誘導体部を含む側鎖を有するポリマー成分)である場合、Nd:YAGレーザーの第2次高調波(波長:532nm)のp−偏光パルス(パルス幅:10ns、繰り返し:10Hz)によるパルスレーザー光や、Nd:YAGレーザーの第2次高調波(波長:532nm)の円偏光パルス(パルス幅:10ns、繰り返し:10Hz)によるパルスレーザー光を好適に用いることができる。円偏光特性のパルスレーザー光では、直線偏光特性のパルスレーザー光に比べて、同じ照射光強度のパルスレーザー光を照射した場合において、釣鐘型凸状構造部の形成に際して、より多くのショット数が必要となる。
なお、パルスレーザー光の繰り返しとしては、1Hzから100MHzの範囲で、通常は10Hzから500kHz程度である。
また、パルスレーザー光の光強度(照射強度)としては、特に制限されないが、例えば、10〜1000mW/cm2(10mW/cm2〜1W/cm2)程度の範囲から適宜選択することができる。パルスレーザー光の光強度が10mW/cm2未満であると、光強度が弱すぎて釣鐘型凸状構造部を形成することができない場合があり、10〜1000mW/cm2を超えると、光強度が強すぎてアブレーション等の損傷が感光性高分子膜に発生するおそれがある。
本発明では、パルスレーザー光により干渉露光を行う際には、前記感光性高分子膜の位置の回転や、干渉露光の方向の回転を行っていないことが重要である。すなわち、パルスレーザー光の干渉露光により、特定のピッチ間隔の干渉縞が形成されるので、感光性高分子膜の位置の回転や、干渉露光の方向の回転を行わなくても、感光性高分子膜に対して特定の周期で強度が連続的に変化しているパルスレーザー光を照射することができ、これにより、特定の周期構造を有する釣鐘型凸状構造部を形成することができる。
このような干渉露光に際しては、多光束干渉(例えば、2光束干渉や、3以上の光束による干渉など)によるコヒーレント光を利用することができる。2光束干渉等の多光束干渉により、特定の周期構造(特に、パルスレーザー光の波長オーダーの周期構造)を有する釣鐘型凸状構造部を、目的とする周期構造に容易にコントロールして形成することができる。例えば、2光束干渉による干渉露光の場合、その光束間の角度を制御することにより、形成される釣鐘型凸状構造部の周期構造の間隔を制御することができる。
パルスレーザー光の干渉露光に際しては、公知の干渉露光装置を用いることができる。具体的には、パルスレーザー光の干渉露光としては、2光束干渉露光を行う場合、例えば、図1で示されるような構成の装置を用いて行うことができる。図1は、パルスレーザー光を2光束干渉露光により照射する際に用いられる装置の構成の概要を示す図である。また、図2は、図1で示される干渉露光装置を用いて感光性高分子膜にパルスレーザー光を2光束干渉露光させる状況と、形成される誘起構造を示す概略図である。図1および図2において、1はパルスレーザー光干渉露光装置の本体部、2aは光源、2bはND(ニュートラルデンシティ)フィルター、2cはλ/2板(1/2波長板)、2dはKTP結晶、2eはBBO結晶、2fは355nm波長ミラー、2gは532nm波長ミラー、2hはλ/2板(1/2波長板)、2iはプレートポーラライザー、2jは532nm波長ミラー、2kはミラー、2lはハーフミラー、2mはミラー、2nはミラー、3は感光性高分子膜、4aはミラー2mにより反射されたパルスレーザー光、4bはミラー2nにより反射されたパルスレーザー光、5は誘起構造部である。また、θはパルスレーザー光(4a,4b)の入射角度、Λは感光性高分子膜3に形成された誘起構造部の間隔を示す。図1で示される構成を有するパルスレーザー光干渉露光装置の本体部1において、光源2aから発光されたパルスレーザー光は、NDフィルター2bでレーザー強度が調整され、λ/2板2cでp−偏光成分とs−偏光成分との比率が変化され、KTP結晶2dで第2次高調波(532nm)が取り出され、BBO結晶2eで第3次高調波(355nm)が取り出され、355nm波長ミラー2fで355nmの波長の光が選択反射され、532nm波長ミラー2gで532nmの波長の光が選択反射され、λ/2板2hでp−偏光成分とs−偏光成分との比率が変化され、プレートポーラライザー2iでp−偏光の光が透過され且つs−偏光の光が選択的に反射され、532nm波長ミラー2jで532nmの波長の光が選択反射され、さらにミラー2kで反射された後、ハーフミラー2lで同じ強度を有する2光束のパルスレーザー光に分け、一方のパルスレーザー光はミラー2mにより反射させ、他方のパルスレーザー光はミラー2nにより反射させた後、図2で示されるように、ミラー2mにより反射されたパルスレーザー光4a、およびミラー2nにより反射されたパルスレーザー光4bを、所定の入射角度θで感光性高分子膜3の表面上にて、所定の時間(干渉露光時間)、干渉露光させている。干渉露光の初期(又は干渉露光時間が短い場合)では、図2で示されるような誘起構造部5が、感光性高分子膜3に、間隔Λで形成されている。
図2において、感光性高分子膜3に形成されている誘起構造部5は、表面レリーフグレーティング(SRG)構造を有しており、具体的には、間隔Λの格子形状の構造を有している。
さらに、干渉露光を続けると(または、干渉露光時間を長くして干渉露光させると)、図3で示されるように、感光性高分子膜3の表面に、釣鐘型凸状構造部が形成される。図3は、図1で示される干渉露光装置を用いて感光性高分子膜にパルスレーザー光を2光束干渉露光させて形成される釣鐘型凸状構造部を示す概略図である。図3において、6は釣鐘型凸状構造部である。
このように、本発明の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法では、感光性高分子膜の表面に、パルスレーザー光を、マスクを介さずに干渉露光させることにより、表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部を、感光性高分子膜の位置の回転や、干渉露光の方向の回転を行うことなく形成することができる。
なお、パルスレーザー光の干渉露光における初期には、SRG構造を有する誘起構造部が形成されており、さらに干渉露光を続けることにより、釣鐘状構造(ECL構造)を有する誘起構造部である釣鐘型凸状構造部が形成されるので、パルスレーザー光の干渉露光は、感光性高分子膜の表面に、SRG構造を経由して釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部が形成されるまで行うことが重要である。このように、釣鐘型凸状構造部の形成に際しては、パルスレーザー光の干渉露光時間を調整することが重要である。パルスレーザー光の干渉露光時間としては、特に制限されず、感光性高分子の種類、感光性高分子膜の厚みなどに応じて適宜調整することができる。
釣鐘型凸状構造部の形状としては、釣鐘状構造(ECL構造)を有する凸状形状であれば特に制限されない。具体的には、1つの釣鐘型凸状構造部としては、例えば、高さが80nm(ナノメートル)以上(例えば、80nm〜50μm)である形状を有していてもよく、好ましくは0.1μm(100nm)以上(例えば、0.1〜50μm、さらに好ましくは0.1〜10μm、特に0.5〜8μm)程度である形状を有していてもよい。また、1つの釣鐘型凸状構造部における底面としては、直径が0.3μm(300nm)以上(例えば、0.3〜100μm、好ましくは0.3〜30μm、さらに好ましくは1〜20μm)程度である形状を有していてもよい。
なお、パルスレーザー光の干渉露光により、SRG構造を経由して形成される誘起構造は、釣鐘状構造(ECL構造)であることが望ましいが、例えば、円錐状、カルデラ状、テラス状、半球状などの各種の凸状構造を有していてもよい。誘起構造が、釣鐘状構造(ECL構造)である場合、集光機能を効果的に発揮することができる。
また、釣鐘型凸状構造部は、パルスレーザー光の干渉露光により、感光性高分子膜の表面に、所定の規則性を有する形態で(例えば、一定の間隔で)、通常、連続的に複数形成されている。感光性高分子膜の表面に形成される釣鐘型凸状構造部において、釣鐘型凸状構造部の間隔(底面の円の中心間距離)は、特に制限されないが、底面の直径と同じかそれ以上(例えば、直径〜直径の10倍程度、好ましくは、直径〜直径の5倍程度)であることが望ましい。
このような釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜は、各種光学機能材料として利用することができ、具体的には、マクロレンズアレイ、拡散板やフォトニック結晶などのような幅広い光学機能材料として利用することができる。
特に、釣鐘型凸状構造部としては、感光性高分子膜の背面から入射された光に対して集光機能を発揮することができることが好ましい。このように、釣鐘型凸状構造部が集光機能を有していると、釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜は、マイクロレンズアレイとして好適に利用することができる。
なお、感光性高分子膜の表面上に形成された釣鐘型凸状構造部は、例えば、装置名「Nano Scope III(デジタルインスツルメント社製)」などのAFM(原子間力顕微鏡)を用いることにより、その形状の観察や高さ等の測定を行うことができる。
また、釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜の回折効率は、半導体レーザー(波長:635nm)を、図4で示されるように、感光性高分子膜に入射させて、回折光の強度と、透過光の強度とを測定することにより求めることができる。図4は、釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜の回折効率を測定する装置の構成の概要を示す図である。図4において、7はレーザーダイオード(入射光源)、7aはレンズ、8は感光性高分子膜(釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜)、9aはフォトダイオード(光強度検出器)、9bはフォトダイオード(光強度検出器)である。図4で示される回折効率を測定する装置において、レーザーダイオード7は光源であり、半導体レーザー(波長:635nm)を発光する。レーザーダイオード7から発光された半導体レーザーは、レンズ7aにより焦点を合わせられ、装置内にセットされた感光性高分子膜8に所定の入射角度(入射角度:27°)で入射し、該感光性高分子膜8を透過した透過光は、フォトダイオード9aにより感知され、前記感光性高分子膜8により回折された回折光は、フォトダイオード9bにより感知される構成となっている。
感光性高分子膜として、例えば、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子により形成されている感光性高分子膜を用いた場合、Nd:YAGレーザーの第2次高調波(波長:532nm)は、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子におけるアゾベンゼン骨格を含む基又は部位が、トランス体からシス体に光異性化を起こすπ−π*の吸収波長領域の光であるので、パルスレーザー光として、Nd:YAGレーザーの第2次高調波(波長:532nm)を利用した干渉露光を行うと、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子におけるアゾベンゼン骨格を含む基又は部位が、トランス体からシス体に光異性化を生じさせることができ、これにより、SRG構造部が形成され、さらに干渉露光を継続することにより、前記SRG構造部が変化(変調)して、より高次に制御された釣鐘状構造(ECL構造)の釣鐘型凸状構造部が形成されている。
なお、アゾベンゼン誘導体(高分子を含む)に、SRG構造を形成させる検討が、主にcw(連続的な)レーザーとしてのcw(連続的な)Arレーザー等の非パルスレーザーを用いて行われており、SRG構造が形成されるまで照射を続け、誘起構造(SRG構造からなる誘起構造)が形成されるのに必要な最低照射エネルギーの見積もりの評価がなされていた。したがって、SRG構造が形成された後に、継続して照射を行い、誘起構造がどのように変化するかについての観察は、あまり行われていなかった。一方、パルスレーザー光は、cwレーザー(非パルスレーザーである)とは異なり、ピークパワーが高く、2光束干渉露光において、光−電場勾配効果、高分子材料のダイポール誘起効果や熱的効果が強く、短時間の干渉露光でSRG構造を形成することができる。そのため、パルスレーザー光を利用すると、長時間の干渉露光により、どのような誘起構造変化が起こるかが観察されやすいと思われる。
また、直線偏光特性のパルスレーザー光を、干渉露光させず、1光束で、且つ入射角度0℃で(表面に垂直に)、感光性高分子膜表面に照射すると、図5で示されるように、偏光の方向に平行に配列した格子状の誘起構造部が形成されることが確認(又は観測)された。これは、SRG構造の形成メカニズムの検討で論じられている照射光の光−電場の効果と、高分子材料中に誘起されるダイポールにより感光性高分子が配列を伴いながら異性化することにより形成された誘起構造部と考えられ、平行に配列して形成されている格子状の誘起構造は、光の波長よりも少し短い間隔で配列しており、レイリー回折の式である「Λ=λ/(1±sinθ);Λは格子間隔、λは照射波長、θは入射角(法線からの角度)」に近似した格子間隔と波長との関係を有しているようである。
図5は、1光束露光で用いられる光の直線偏光方向と、露光により形成される誘起構造との関係を示す概略図であり、図5(a)はp−偏光性の光を露光した場合に形成された誘起構造を示し、図5(b)はs−偏光性の光を露光した場合に形成された誘起構造を示している。
一方、円偏光特性のパルスレーザー光を、干渉露光させず、1光束で、且つ入射角度0℃で(表面に垂直に)、感光性高分子膜表面に照射すると、図6で示されるように、照射の中心部では、粒状の構造と、円偏光の回転方向に沿った棒状の誘起構造との混合物のような誘起構造が確認(又は観測)され(図6(a))、照射の中心から離れた輪郭部(周辺部)においては、粒状の誘起構造のみが見られ、直線偏光のような平行配列した誘起構造は、観察されなかった(図6(b))。
図6は、1光束露光で用いられる光の円偏光方向と、露光により形成される誘起構造との関係を示す概略図であり、図6(a)は円偏光特性の光を露光した場合の露光中心部(照射中心部)で形成された誘起構造を示し、図6(b)は円偏光特性の光を露光した場合の露光輪郭部(露光周辺部)で形成された誘起構造を示している。
このように、2光束干渉露光を行わなくても、直線偏光や円偏光の1光束露光によって並列に配列した規則的な誘起構造などを形成することができる。従って、2光束干渉露光と、1光束露光とを組み合わせることにより、より高次に制御された釣鐘状構造(ECL構造)又は該構造に類似した構造の釣鐘型凸状構造部を形成することができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
アゾベンゼン誘導体(アゾベンゼン骨格含有モノマー成分)として、4−(N,N−ジヒドロキシエチルアミノ)−4´−ニトロアゾベンゼン(Disperse Red 19;DR19)を用い、該DR19と、トリレン−2,4−ジイソシアネートとを共重合させ、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子(アゾベンゼン骨格側鎖含有高分子)を調製し、感光性高分子を得た。この感光性高分子を、N,N−ジメチルアセトアミドに溶解させ、濃度が0.16重量%の溶液を調製した。この溶液を、清浄な表面を有するガラス基板上に、70℃でキャストして、厚さが約800nm(0.8μm)の感光性高分子膜を形成した。
次に、図1で示される構成を有する2光束干渉露光装置を用いて、感光性高分子膜の表面上に、2光束干渉露光を行った。具体的には、レーザー光源としては、Nd:YAGレーザーの第2次高調波(波長:532nm)のp−偏光性のパルス(p−偏光パルス;パルス幅:10ns、繰り返し:10Hz)を使用した。また、このp−偏光パルスを、同じ光強度を有する2光束に分け、2mmのビーム直径を有する2つのビームを、照射光強度:500μJ/パルス(パワー密度としては、約160mW/cm2)、入射角度θ:27°で、感光性高分子膜の試料の表面上で2光束干渉露光させた。2光束干渉の露光時間は、20秒(照射ショット数では、200ショット)にセットして、2光束干渉露光を行ったところ、感光性高分子膜の表面に、誘起構造部として、表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部(SRG構造経由釣鐘型凸状構造部)が形成された。
なお、この光源の波長、入射角度より予測される格子の間隔は、約586nmである。
(実施例2)
実施例1と同様の感光性高分子膜、2光束干渉露光装置を用いて、2光束干渉露光時間を40秒(照射ショット数:400ショット)としたこと以外は、実施例1と同様にして2光束干渉露光を行ったところ、感光性高分子膜の表面に、誘起構造部として、SRG構造を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部(SRG構造経由釣鐘型凸状構造部)が形成された。
(実施例3)
実施例1と同様の感光性高分子膜、2光束干渉露光装置を用いて、2光束干渉露光時間を60秒(照射ショット数:600ショット)としたこと以外は、実施例1と同様にして2光束干渉露光を行ったところ、感光性高分子膜の表面に、誘起構造部として、SRG構造を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部(SRG構造経由釣鐘型凸状構造部)が形成された。
(実施例4)
実施例1と同様の感光性高分子膜、2光束干渉露光装置を用いて、2光束干渉露光時間を100秒(照射ショット数:1000ショット)としたこと以外は、実施例1と同様にして2光束干渉露光を行ったところ、感光性高分子膜の表面に、誘起構造部として、SRG構造を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部(SRG構造経由釣鐘型凸状構造部)が形成された。
(比較例1)
実施例1と同様の感光性高分子膜、2光束干渉露光装置を用いて、2光束干渉露光時間を5秒(照射ショット数:50ショット)としたこと以外は、実施例1と同様にして2光束干渉露光を行ったところ、感光性高分子膜の表面に、誘起構造部として、SRG構造部が形成された。
(比較例2)
実施例1と同様の感光性高分子膜、2光束干渉露光装置を用いて、2光束干渉露光時間を10秒(照射ショット数:100ショット)としたこと以外は、実施例1と同様にして2光束干渉露光を行ったところ、感光性高分子膜の表面に、誘起構造部として、SRG構造部が形成された。
(評価)
実施例1〜4および比較例1〜2において、干渉露光された感光性高分子膜について、その表面に形成された誘起構造の形状を、装置名「Nano Scope III」[デジタルインスツルメント社製;AFM(原子間力顕微鏡)]を用いて観察し、また、その誘起構造の高さの評価を行った。さらに、干渉露光された感光性高分子膜の回折効率(%)を、図4で示されるように、半導体レーザー(波長:635nm)を光源として測定した。これらの評価又は測定の結果は表1に示した。
なお、図7〜12に、それぞれ、実施例1〜4および比較例1〜2において、干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す。
Figure 0004463033
表1より明らかなように、実施例1〜4による干渉露光方法により得られた感光性高分子膜には、SRG構造を経由して、より高次の規則的な釣鐘型凸状構造を有する釣鐘型凸状構造部が形成されていることが確認された。
(実施例5)
実施例1と同様の感光性高分子膜、レーザー光源を用いて、1光束垂直入射(θ=0)の露光条件で、500μJの照射の照射光強度(単位面積当たりの照射光強度は15.9mJ/cm2)を有する直線偏光性のp−偏光を、露光時間:20秒(照射ショット数は200ショット)で照射したところ、感光性高分子膜の表面に誘起構造部として、図13で示されるような表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)が形成された。
(実施例6)
実施例1と同様の感光性高分子膜、レーザー光源を用いて、1光束垂直入射(θ=0)の露光条件で、500μJの照射の照射光強度(単位面積当たりの照射光強度は15.9mJ/cm2)を有する直線偏光性のp−偏光を、露光時間:30秒(照射ショット数は300ショット)で照射したところ、感光性高分子膜の表面に誘起構造部として、図14で示されるような表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)が形成された。
(実施例7)
実施例1と同様の感光性高分子膜、レーザー光源を用いて、1光束垂直入射(θ=0)の露光条件で、500μJの照射の照射光強度(単位面積当たりの照射光強度は15.9mJ/cm2)を有する直線偏光性のp−偏光を、露光時間:50秒(照射ショット数は500ショット)で照射したところ、感光性高分子膜の表面に誘起構造部として、図15で示されるような表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)が形成された。
(実施例8)
実施例1と同様の感光性高分子膜、レーザー光源を用いて、1光束垂直入射(θ=0)の露光条件で、500μJの照射の照射光強度(単位面積当たりの照射光強度は15.9mJ/cm2)を有する円偏光を、露光時間:30秒(照射ショット数は300ショット)で照射したところ、感光性高分子膜の表面に誘起構造部として、図16で示されるような表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)が形成された。なお、該SRG構造は、部分的な渦巻き状構造を含んでいる。
(実施例9)
実施例1と同様の感光性高分子膜、レーザー光源を用いて、1光束垂直入射(θ=0)の露光条件で、500μJの照射の照射光強度(単位面積当たりの照射光強度は15.9mJ/cm2)を有する円偏光を、露光時間:50秒(照射ショット数は500ショット)で照射したところ、感光性高分子膜の表面に誘起構造部として、図17で示されるような表面レリーフグレーティング構造(SRG構造)が形成された。なお、該SRG構造は、部分的な渦巻き状構造を含んでいる。
なお、図13〜17は、それぞれ、実施例5〜9において、1光束露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。具体的には、図13〜17は、それぞれ、各実施例5〜9において、1光束露光された感光性高分子膜(すなわち、1光束垂直入射(θ=0)の露光条件で、直線偏光性のp−偏光又は円偏光を、所定の露光時間で露光された感光性高分子膜)について、その表面に形成された誘起構造の形状を、装置名「Nano Scope III」[デジタルインスツルメント社製;AFM(原子間力顕微鏡)]を用いて観察した際の写真を示す図である。図13〜17で示されるように、p−偏光または円偏光の1光束露光によるSRG構造の形成は、2光束干渉露光によるより高次に制御された釣鐘型凸状構造の形成における素過程の1つとなることが確認された。
図1は、パルスレーザー光を2光束干渉露光により照射する際に用いられる装置の構成の概要を示す図である。 図2は、図1で示される干渉露光装置を用いて感光性高分子膜にパルスレーザー光を2光束干渉露光させる状況と、形成される誘起構造を示す概略図である。 図3は、図1で示される干渉露光装置を用いて感光性高分子膜にパルスレーザー光を2光束干渉露光させて形成される釣鐘型凸状構造部を示す概略図である。 図4は、釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜の回折効率を測定する装置の構成の概要を示す図である。 図5は、1光束露光で用いられる光の直線偏光方向と、露光により形成される誘起構造との関係を示す概略図であり、図5(a)はp−偏光性の光を露光した場合に形成された誘起構造を示し、図5(b)はs−偏光性の光を露光した場合に形成された誘起構造を示している。 図6は、1光束露光で用いられる光の円偏光方向と、露光により形成される誘起構造との関係を示す概略図であり、図6(a)は円偏光特性の光を露光した場合の露光中心部(照射中心部)で形成された誘起構造を示し、図6(b)は円偏光特性の光を露光した場合の露光輪郭部(露光周辺部)で形成された誘起構造を示している。 図7は、実施例1における干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図8は、実施例2における干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図9は、実施例3における干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図10は、実施例4における干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図11は、比較例1における干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図12は、比較例1における干渉露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図13は、実施例5における1光束露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図14は、実施例6における1光束露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図15は、実施例7における1光束露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図16は、実施例8における1光束露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。 図17は、実施例9における1光束露光された感光性高分子膜をAFMにより観察した際の写真を示す図である。
符号の説明
1 パルスレーザー光干渉露光装置の本体部
2a は光源
2b ND(ニュートラルデンシティ)フィルター
2c λ/2板(1/2波長板)
2d KTP結晶
2e BBO結晶
2f 355nm波長ミラー
2g 532nm波長ミラー
2h λ/2板(1/2波長板)
2i プレートポーラライザー
2j 532nm波長ミラー
2k ミラー
2l ハーフミラー
2m ミラー
2n ミラー
3 感光性高分子膜
4a ミラー2mにより反射されたパルスレーザー光
4b ミラー2nにより反射されたパルスレーザー光
5 誘起構造部
θ パルスレーザー光(4a,4b)の入射角度
Λ 感光性高分子膜3に形成された誘起構造部の間隔
6 釣鐘型凸状構造部
7 レーザーダイオード
7a レンズ
8 感光性高分子膜(釣鐘型凸状構造部を有する感光性高分子膜)
9a フォトダイオード
9b フォトダイオード

Claims (9)

  1. 感光性機能を有する高分子膜の表面に、釣鐘型凸状構造部を形成させる方法であって、感光性機能を有する高分子膜の表面に、該高分子膜に感光性機能を発揮させる波長領域の、p−偏光性の偏光特性を有しているパルスレーザー光を、マスクを介さずに干渉露光させることにより、表面レリーフグレーティング構造を経由して形成された釣鐘型凸状構造を有している釣鐘型凸状構造部を、前記高分子膜の位置の回転や干渉露光の方向の回転を行うことなく形成させることを特徴とする感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  2. 感光性機能を有する高分子膜が、光異性化、フォトリフラクティブ性、光架橋性または光分解性により感光性機能を発揮させることができる高分子膜である請求項1記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  3. 感光性機能を有する高分子膜が、側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子により形成されている請求項1又は2記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  4. 側鎖にアゾベンゼン骨格を含む基又は部位を有している高分子が、ヒドロキシル基を少なくとも2つ有するアゾベンゼン系色素と、ヒドロキシル基に対する反応性官能基を少なくとも2つ有するモノマー成分との重合体である請求項3記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  5. 高分子膜の厚さが、100ナノメートル以上である請求項1〜4の何れかの項に記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  6. 釣鐘型凸状構造部の高さが、80ナノメートル以上である請求項1〜5の何れかの項に記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  7. パルスレーザー光が、パルス幅が500μ秒以下のパルスレーザー光である請求項1〜6の何れかの項に記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  8. パルスレーザー光が、光強度が10mW/cm2〜1W/cm2である請求項1〜7の何れかの項に記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
  9. 感光性機能を有する高分子膜の表面に形成された釣鐘型凸状構造部が、高分子膜の背面から入射された光に対して集光機能を発揮することができる請求項1〜の何れかの項に記載の感光性高分子膜表面上への釣鐘型凸状構造部の形成方法。
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