JP3374763B2 - 光記録媒体 - Google Patents

光記録媒体

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JP3374763B2 JP26047698A JP26047698A JP3374763B2 JP 3374763 B2 JP3374763 B2 JP 3374763B2 JP 26047698 A JP26047698 A JP 26047698A JP 26047698 A JP26047698 A JP 26047698A JP 3374763 B2 JP3374763 B2 JP 3374763B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光記録媒体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、記録媒体に光学的に記録を行う方
法として、例えばレーザー光源からの記録光を集光して
記録媒体に照射し、記録媒体の光反射率等を変化させて
記録する方法等が知られている。
【0003】一方、これらの伝搬光を利用する光学系が
光の回折限界以下の領域では利用できない点から、近年
は、物質表面の光の波長よりも小さな領域に局在する近
接場光を利用した高密度情報記録や高分解能光学顕微鏡
も提案されている。
【0004】そして以上のような各種の光記録方法に用
いられる記録媒体に関しては、記録の耐久性(特に耐熱
性)が高く、及び/又は、実用上有利な情報を記録した
記録媒体が強く望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】例えば、Appl. Phys.
Lett., Vol.69, No.22 (1996) P. 3306 に掲載された、
S. Davy 及び M. Spajerの論文「 Near field optics:
Snapshot of the fieldemitted by a nanosourse using
a photosensitive polymer」には、プローブ先端から
生じている近接場光を、側鎖にアゾ色素を有するアクリ
ルポリマーからなる感光性高分子膜に当て、光情報記録
としてではないが、結果的に凹凸を生じさせる技術が紹
介されている。
【0006】しかし、上記従来技術は記録の熱的な安定
性に関して考慮されていない。
【0007】又、例えば「機械の研究 第49巻第5号
(1997)」に掲載された大津元一氏の論文「近接場
光学顕微鏡の開発の現状と将来」には、光照射によっ
て試料表面に生じたエバネッセント光(近接場光)を、
微細なプローブを走査させてピックアップすることによ
り、所定のデータ処理を通じて試料表面の三次元像を得
る(Cモードと呼ばれる)近接場光学顕微鏡や、微細
なプローブ自体に光を入射して、その先端の端子に近接
場光をしみ出させ、このプローブを試料表面に沿って走
査させることにより、近接場光を散乱光に変換して試料
表面の情報を得る(Iモードと呼ばれる)近接場光学顕
微鏡が、紹介されている。
【0008】しかし、このような方式では、プローブの
走査中は試料(情報物体)が固定され、かつその形状
や、屈折率等の情報記録形態に関わる性質が不変でなけ
れば、信頼性のある記録が得られない。換言すれば、本
質的に記録プロセス中に位置や形状あるいは情報記録形
態に関わる性質が変化する場合の、その経時的変化を記
録した記録媒体を作製することは不可能と考えられる。
ここで経時的変化とは、変化している状態の瞬間状態も
含めている。
【0009】一方、特開平61−287791号公報に
は、縮合系高分子染料を利用した光学記録媒体が開示さ
れているが、これは光作用による化学的崩壊又は光学的
性質に不活性であることを特徴としたものである 本発明は、光異性化反応を起こす光反応性成分を含むこ
とにより、照射光または近接場光による光情報を多様な
形態において記録でき、ホログラム用記録媒体としても
使用でき、光反応性成分を更に特定することで情報の記
録、再生及び消去も可能とした記録媒体であって記録の
耐久性や耐熱性の優れたもの、及び、情報物体の経時的
変化を有効に記録した記録媒体を提供することを、解決
すべき課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】(第1発明の構成)上記
課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の
発明)の構成は、照射光または近接場光による光情報を
記録するための記録領域面を備えた光記録媒体であっ
て、前記記録領域面が、光異性化反応を起こし得る光反
応性成分を含むと共に高分子の繰り返し単位の中にウレ
タン基、ウレア基、アミド基、カルボキシル基又は水酸
基から選択される少なくとも一の基を有する高分子材料
を含んで構成されている、光記録媒体である。
【0011】(第2発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、
光異性化反応を起こし得る光反応性成分を含むと共に高
分子の繰り返し単位の中にウレタン基、ウレア基、アミ
ド基、カルボキシル基又は水酸基から選択される少なく
とも一の基を有する高分子材料を記録層として含んで構
成され、ホログラム用の記録媒体として使用される、光
記録媒体である。
【0012】(第3発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、
可逆的な光異性化反応を起こすことができ、かつ光によ
り分子配向を制御できる光反応性成分を含むと共に、高
分子の繰り返し単位の中にウレタン基、ウレア基、アミ
ド基、カルボキシル基又は水酸基から選択される少なく
とも一の基を有する高分子材料を記録層として含んで構
成され、情報の記録、再生及び消去を可能とした、光記
録媒体である。
【0013】(第4発明の構成)上記課題を解決するた
めの本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、
保存及び検出が可能な任意の光反応を起こし得る感光材
料を用いて記録領域面が構成された光記録媒体であっ
て、前記記録領域面には、光照射により情報物体に生じ
た近接場光の分布を記録する形態で、以下の1)〜4)
のうちの1種以上の情報が記録されている、光記録媒体
である。 1)情報物体が運動する物体である場合における、その
一瞬の状態記録。 2)情報物体が光の放射圧により移動し得る微小粒子で
ある場合における、その移動の記録。 3)情報物体が自律的に運動する生物である場合におけ
る、その運動の記録。 4)情報物体が光情報として記録可能な経時的変化を起
こす場合における、その経時的変化の記録。
【0014】
【発明の作用・効果】(第1発明の作用・効果)第1発
明において、ウレタン基、ウレア基、アミド基、カルボ
キシル基、水酸基はそれぞれ、同種の基同士でも、異種
の基間でも、互いに強い水素結合を形成することが知ら
れている。従って高分子の繰り返し単位の中にこれらの
基が一つ以上または一種以上含まれることにより、これ
らの基同士が分子内又は分子間の水素結合を行って、擬
似的な架橋構造を形成する。
【0015】上記擬似的な架橋構造により、高分子のガ
ラス転移点が高くなって高分子材料の耐熱性が向上する
結果、記録の熱的安定性が向上する。更に擬似的な架橋
構造は、ガラス転移点以上の温度においても、材料の変
形や材料中の分子運動に抵抗する。
【0016】第1発明の光記録媒体を構成する高分子材
料は、光異性化反応を起こし得る光反応性成分を含むの
で、記録領域面における照射光もしくは近接場光の当た
る部分と当たらない部分とで異性体の割合が異なり、そ
れに応じて、記録領域面における凹凸や光学特性(例え
ば屈折率変化や光吸収率変化)の相違として光記録が行
われる。
【0017】第1発明の光記録媒体において、「光反応
性成分を含む」とは、後述のように光反応性成分が高分
子と共有結合,イオン結合,配位結合のような化学結合
によって結合した状態で含まれることを意味する。従っ
て、単に光反応性成分を高分子中に分散させた系ではこ
れを凝集させることなく均一に分散させ得る割り合いは
20重量%程度が限界であるのに対して、第1発明では
より高濃度に(例えば、30〜70重量%程度まで)光
反応性成分を含ませることができ、記録の光応答感度等
を高めることができる。
【0018】(第2発明の作用・効果)前記第1発明の
光記録媒体は、第2発明のように、いわゆる物体光と参
照光とを照射して干渉縞を記録するホログラム用の光記
録媒体として使用することができる。
【0019】より具体的には、光異性化反応により記録
層表面に凹凸を生じさせることができる点を利用して表
面レリーフ型の位相ホログラムに使用でき、又、光異性
化反応により記録層内部に屈折率変化を生じさせること
ができる点を利用して体積型の位相ホログラムに使用で
き、更に、透過率の変化によって起こった光の振幅の変
化で回折が行われる振幅ホログラムに使用できる。
【0020】かかるホログラム用の光記録媒体は、従来
の一般的なホログラム用の光記録媒体、例えばニクロム
酸ゼラチン系をはじめとした無機系感光材料に比較して
は乾式で記録できると言う利点があり、フォトポリマー
と比較しては定着操作の不要な乾式で記録できると言う
利点がある。
【0021】前記第1発明について述べた高分子材料の
特性に基づく記録の熱的安定性と、光反応性成分の高濃
度化に基づく記録の光応答感度等の向上は、第2発明に
ついても同様に成り立つ。
【0022】(第3発明の作用・効果)第3発明におい
ては、可逆的な光異性化反応を起こすことができ、かつ
光により分子配向を制御できる光反応性成分を含むの
で、光記録媒体における情報の記録、再生及び消去(再
記録可能な状態での消去)を行うことができる。
【0023】例えば、吸収異方性が大きくトランス−シ
ス光異性化を起こすような光反応性成分(光応答性色
素)では、直線偏光を照射することにより、分子の配向
方向を制御するいわゆるオプティカルポーリングを生じ
るが、このことによって、かかる光反応性成分を含む高
分子材料に直線偏光で情報を記録できる。
【0024】次に、情報の記録に影響を与えない程度の
弱い直線偏光を読み出し光として用いて、透過率、屈折
率の変化による透過あるいは反射光強度の変化として記
録情報を検出、再生することができる。
【0025】更に、記録した情報は、円偏光あるいはラ
ンダム偏光を照射して上記のオプティカルポーリングを
生じた分子の配向状態を元のランダムな状態に戻すこと
により、あるいは上記読み出し光と同じ方向の比較的強
い直線偏光を消去光として用いて新たに直交する方向の
光学特性を変化させ、偏光と平行な方向の光学特性を元
に戻すことによって、消去することができる。
【0026】以上の点から、同一の光源で情報の記録、
再生及び消去を行うことができ、偏光板の回転や脱着等
の操作だけで記録システムを組上げることができるの
で、組み立て加工性、コスト等の点で有利である 前記第1発明について述べた高分子材料の特性に基づく
記録の熱的安定性と、光反応性成分の高濃度化に基づく
記録の光応答感度等の向上は、第3発明についても同様
に成り立つ。
【0027】(第4発明の作用・効果)第4発明にかか
る光記録媒体の情報記録方法は後述するが、この光記録
媒体によって、従来の近接場光を利用する技術では得る
ことが出来なかった、情報物体の変化や移動と言う実用
上有利な情報を記録した光記録媒体が提供される。この
ため情報記録手段としての光記録媒体の価値を更に向上
させることができる。
【0028】又、この光記録媒体は近接場光を利用する
光記録であるため、光の回折限界による制限を超える高
密度な光情報記録を行うことができ、光記録媒体として
の価値が更に向上する。
【0029】
【発明の実施の形態】次に、第1発明〜第4発明の実施
の形態について説明する。
【0030】〔第1発明の光記録媒体〕第1発明の光記
録媒体は、前記高分子材料の他に、基板,保護膜,光の
反射膜その他の膜体等の構成要素を任意に含むことがで
きる。
【0031】記録媒体は光情報の記録媒体としての公知
の各種用途、例えば、計算機用の記録媒体や音楽/映像
用の記録媒体、更には近接場光の強度分布を記録する記
録媒体等に任意に使用することができる。
【0032】例えば、近接場光学顕微鏡を用いて情報を
ビット毎に凹凸等の形態で書込めば、CD−Rのように
一度だけ書込み可能な記録媒体をして利用できる。記録
媒体にマスクを用いて光照射により一度に情報を記録す
ることも可能であり、読出し専用メモリ用(ROM)の
記録媒体として利用できる。記録媒体上に観察したい物
体を置き、光を照射して記録媒体の記録領域面に物体の
近接場光の強度分布を凹凸等の形態で記録することもで
きる。
【0033】記録した情報は、例えば凹凸で記録した場
合には原子間力顕微鏡や触針式表面荒さ計あるいはレー
ザー変位計等で、屈折率差で記録した場合は位相差顕微
鏡や近接場光学顕微鏡等で、光反応性成分の配向度の相
違により記録した場合は可視光や赤外線の偏光吸収スペ
クトル等により、それぞれ読出すことができる。
【0034】〔第1発明の光記録媒体における記録形態
と記録構造〕光記録媒体における情報の記録形態は、光
反応性成分の光異性化反応に基づく各種の記録形態、例
えば光記録媒体の表面における凹凸の形成や光屈折率や
屈折率異方性あるいは吸光度や吸光度異方性の変化又は
光反応性成分の配向度の相違、光記録媒体の材料内部の
記録層における上記各種の光学特性の変化又は相違、等
とすることができる。
【0035】又、空気中等を伝搬する照射光を情報記録
に用いて光記録媒体の表面あるいは材料内部に設定した
記録層に屈折率あるいは光吸収率の変化又は光反応性成
分の配向度の相違を記録しておくこともできる。
【0036】光記録媒体への情報の記録とその検出、即
ち情報の書込みと読出しに用いる光の波長には制限がな
いが、実用上は紫外光、可視光、近赤外光が好ましい。
【0037】本発明の光記録媒体は、情報が単層に記録
されているものと、2層以上に記録されているもの(1
00層以上に及ぶ場合もある)とを含む。
【0038】情報が単層に記録された光記録媒体には、
情報が光記録媒体の表面に記録されている場合と、記録
保護等の目的で情報が光記録媒体の内部に設定した単一
の記録層に記録されている場合とがある。同様の目的
で、情報が表面に記録された光記録媒体の該表面又は表
裏面に薄膜が接合される場合もある。
【0039】情報が2層以上に記録された光記録媒体に
は、単一の光記録媒体の表面及び材料内部に設定した1
又は2以上の記録層に情報が記録される場合と、材料内
部に設定した2以上の記録層にのみ情報が記録される場
合とがある。更に、上記のような単層の記録構造を有す
る薄い光記録媒体ユニットや2層以上の記録構造を有す
る薄い光記録媒体ユニットが任意に選択されて複数接合
されたものも含む。
【0040】光記録媒体が2層以上の記録層を備える場
合、その各記録層が必ずしも同一の記録形態で記録され
ていなくても良い。例えば、光記録媒体の表面には近接
場光を利用した凹凸の形態の情報が記録され、材料内部
に設定されたある記録層には屈折率の相違として情報が
記録され、更に材料内部に設定された他の記録層には光
吸収率の相違として情報が記録されていても、構わな
い。
【0041】光記録媒体が2層以上の記録層を備える場
合、その記録層間には、上下の記録層からのクロストー
クを低減するため、情報が記録されないバッファー層が
介在することがある。
【0042】〔第1発明の高分子材料〕第1発明の高分
子材料は、光異性化反応を起こし得る光反応性成分を含
むと共に、高分子の繰り返し単位の中にウレタン基、ウ
レア基、アミド基、カルボキシル基又は水酸基から選択
される少なくとも一の基を有するものであれば、限定な
く使用できる。ここに、ウレタン基とは−O−CO−N
H−基を、ウレア基とは−NH−CO−NH−基,−N
H−CO−N=基又は−NH−CO−N<基を、アミド
基とは−CO−NH−基を、それぞれ指す。
【0043】高分子の重合度は、例えば成膜等の成形が
可能な程度であれば足りる。重合形態は直鎖状,分岐
状,はしご状,星形等任意であり、かつ、ホモポリマー
でも共重合体であっても良い。共重合体における共重合
体の形態にも限定がなく、ブロック共重合体,ランダム
共重合体,グラフト共重合体その他任意である。高分子
材料により高い耐熱性を望む場合、その主鎖中にフェニ
レン基のような環構造を有するものが好ましい。
【0044】高分子材料には、光異性化反応を起こし得
る光反応性成分が、高分子と共有結合,イオン結合,配
位結合のような化学結合によって結合した状態で、含ま
れている。かかる光反応性成分としては、トランス−シ
ス光異性化の可能なアゾ基,C=C基もしくはC=N基
の少なくとも一つを有するものが好ましい。
【0045】トランス−シス光異性化の可能な光反応性
成分に通常強度の光を照射すると、照射部と非照射部と
で、光学特性(光屈折率や光吸収度等)の異なるトラン
ス体とシス体との異性体割合が変わり、これにより情報
記録が可能となる。高強度の光を照射した場合、アゾ
基,C=C基もしくはC=N基の二重結合の切断が起こ
り、切断に伴う低分子量成分が材料外へ蒸発すると、高
分子材料の密度低下や形状変化(凹み等)が生じて、こ
れにより情報記録が可能となる。
【0046】更に、トランス−シス光異性化の可能な光
反応性成分について、いわゆるオプティカルポーリング
効果を利用することもできる。即ち、トランス−シス光
異性化の可能な光反応性成分は光の吸収に関して一般に
異方的であって、例えばトランス体の4−アミノ−4’
−ニトロアゾベンゼン構造を光反応性成分として有する
高分子に、その構造のアミノ基とニトロ基を結ぶ方向と
平行な偏光方向の488nmの光を照射すると、同波長
や同強度でもそれ以外の偏光方向の光を照射したときよ
りも高い確率で、前記構造部分がトランス体からシス体
への光異性化を起こす。その結果、アミノ基とニトロ基
を結ぶ方向がその偏光方向と平行になっている方位であ
るトランス体の光反応性成分の割合が減少し、配向分布
が変化する。よって光照射部と非照射部との配向分布の
相違により、情報を記録することができる。
【0047】以上の点から、光反応性成分を含む高分子
材料として特に好ましいものの2,3の具体例を挙げる
と、実施例で述べるものの他、次の「化1」〜「化4」
に示す高分子構造のものが挙げられる。これらの具体例
において、−Xはニトロ基,シアノ基,トリフルオロメ
チル基,アルデヒド基又はカルボキシル基を、−Y−は
−N=N−,−CH=N−又は−CH=CH−を、−R
−はフェニレン基,オリゴメチレン基,ポリメチレン基
又はシクロヘキサン基を、それぞれ示す。
【0048】
【化1】
【0049】
【化2】
【0050】
【化3】
【0051】
【化4】 又、以下に列挙する文献中の実施例や比較例に記載され
た高分子材料は、いずれも第1発明に係る光反応性成分
を含む高分子材料として、使用することができる。即
ち、特開平8−160477号公報の実施例と比較例に
記載された全てのウレタン共重合体とポリウレタン、特
開平8−220575号公報の実施例と比較例に記載さ
れた全てのウレタン−ウレア共重合体とポリウレタン、
特開平8−87040号公報の実施例1と比較例1に記
載されたポリウレタン、特願平8−246096号の願
書に添付した明細書の実施例1と実施例3に記載された
エステル−アミド共重合体、特願平7−140825号
の願書に添付した明細書の実施例3、実施例4及び実施
例5に記載されたポリアミド。
【0052】高分子材料に含まれる光反応性成分の含有
量はなるべく多い方が望ましく、又、光反応性成分が高
分子材料に化学結合されているため、光反応性成分を凝
集させることなく均一に分散させた状態で、このことが
可能である。光反応性成分の含有量は、特に30〜70
重量%が好ましい。70重量%を超えると、記録層材料
の高分子量化に支障を来し、安定な記録層の形成を損な
う恐れがある。
【0053】〔第2発明の光記録媒体〕第2発明の光記
録媒体は、表面レリーフ型あるいは体積型の位相ホログ
ラム用、又は振幅ホログラム用の記録媒体として使用さ
れる点を除けば、その実施形態において第1発明の光記
録媒体と基本的な差異はない。
【0054】表面レリーフ型の位相ホログラムとは、光
記録媒体の記録層表面に光異性化反応による凹凸を生じ
させることでホログラフ情報を記録したものであり、体
積型の位相ホログラムとは、光記録媒体の記録層内部に
屈折率変化を生じさせることでホログラフ情報を記録し
たものである。又、振幅ホログラムとは、光記録媒体の
記録層における透過率の変化によって起こった光の振幅
の変化でホログラフ情報を記録したものである。
【0055】これらのホログラム用記録媒体としての光
記録媒体の具体的な構造としては、薄膜構造等で用いら
れ、その単体で存在しても良いし、基板と共に存在して
も構わない。その厚さは特段に限定されないが、例えば
体積ホログラムにおいて回折効率を上げるためには、通
常は5μm程度の厚さで用いる。
【0056】又、上記各種のホログラム用記録媒体にホ
ログラフ情報を記録するための記録光としては、通常は
レーザー光を用いる。その波長は特段に限定されない
が、効率良くホログラフ情報を記録するためには、紫外
光,可視光,近赤外光を好ましく用いることができる。
これらの点は、記録情報の読み取り光においても同様で
ある。
【0057】第2発明の光記録媒体の記録層を構成する
高分子材料、及びこれに含まれる光反応性成分の種類や
好ましい実施形態、及び光反応性成分の好ましい含有量
については、第1発明の場合と同様である。
【0058】〔第3発明の光記録媒体〕第3発明の光記
録媒体においては、第1発明に比較して光反応性成分の
種類が限定される。即ち、可逆的な光異性化反応を起こ
すことができ、かつ光により分子配向を制御できる光反
応性成分が化学結合した状態で含まれるた高分子材料を
用いるこのような光反応性成分としては、前記第1発明
に係る各種の光反応性成分の内、N〓N2重結合やC〓
C2重結合のようなシス−トランスの可逆的光異性化を
起こす成分を含み、かつ、2重結合を固定して考えた時
の2通りのトランス状態の分子軸がそれぞれ違う方向を
向いているような分子であることが必要な条件である。
その点、N〓N2重結合は両側にどのような分子構造が
結合していてもかかる条件を満足するが、C〓C2重結
合は対称的な分子構造となった場合に上記の条件を満足
しない。
【0059】上記の点を除き、第3発明の光記録媒体の
記録層を構成する高分子材料、及びこれに含まれる光反
応性成分の種類や好ましい実施形態、及び光反応性成分
の好ましい含有量については、第1発明の場合と同様で
ある。
【0060】第3発明の光記録媒体における情報の記録
には、直線偏光を用いることができる。この記録光の波
長は特段に限定されないが、オプティカルポーリングを
起こす色素(光反応性成分)の吸収極大波長周辺の波長
での光異性化による色素の再配向の効率が高い。
【0061】第3発明の光記録媒体における記録情報の
再生(読み出し)には、情報の記録に影響を与えない程
度の直線偏光を用いる。記録情報を検出、再生するに当
たっては、記録層のオプティカルポーリングに基づく透
過率変化として読み出すこともできるし、屈折率変化に
よる反射光強度の変化として読み出すこともできる。
【0062】読み出し光の偏光方向は、光学的特性の変
化を検出できる方向である限りにおいて限定されない
が、原理的には、記録光である直線偏光と直交する偏光
で読み出した場合が、光学特性の変化の度合いが大きい
し、感度やS/Nの観点から好ましい。
【0063】読み出し光の波長も特段に限定されず、記
録光と同一又は異なる波長であって良い。一般的に、吸
収極大波長周辺の波長での光学的特性の変化が大きいの
で、かかる波長で読み出しを行うと感度が高く取れる。
一方、読み出し光の波長を記録光と同一にすると、光学
システム全体として低コスト化できると言う利点があ
る。白色光によっても読み出しは可能である。
【0064】第3発明の光記録媒体における記録情報の
消去には、円偏光又はランダム偏光、あるいは記録光と
異なる方向の直線偏光を用いることができる。記録層に
これらの偏光を照射すると、前記した作用により記録情
報が消去される。再記録が可能な状態で消去されること
は言うまでもない。消去光の波長も特段に限定されない
が、上記記録光の場合と同様に、色素(光反応性成分)
の吸収極大波長周辺の波長での効率が高く、好ましい。
【0065】〔第4発明の光記録媒体〕第4発明の光記
録媒体も、第1発明の光記録媒体と同様に、基板,保護
膜,光の反射膜その他の膜体等の構成要素を任意に含む
ことができる。
【0066】第4発明の光記録媒体は記録情報の内容及
びその記録形態に特徴があり、その記録領域面には前記
の1)〜3)のうちの1種以上の情報が記録されてい
る。かかる情報記録は、次の新規な知見に基づいて可能
になった。
【0067】即ち、情報物体(観察用試料又は情報入力
用物体)を感光材料面に位置させてそのエリアを光照射
すると、感光材料面における情報物体が位置する部分で
の近接場光による光反応が、他部分での照射光による光
反応よりも強く起こることを見出したのである。
【0068】この知見に基づき、感光材料の記録領域面
に可動体である情報物体を接触状態で位置させたもと
で、当該記録領域面に光を照射して情報物体に生じた近
接場光の分布を感光材料の光反応量として記録する操作
により、前記1)の情報が記録される。前記1)の情報
の記録とは、運動する物体(例えば、生体)の一瞬の形
態を記録するものである。また、上記操作を、情報物体
の移動に対応して2回以上繰り返すと、前記の2)〜
4)の情報が記録されることになる。なお前記4)の経
時的変化の記録には、移動させ反応させた状態の記録を
含む。
【0069】具体的には、例えば、微小な情報物体が光
の放射圧を受けて近接場光の電場分布に沿って配列する
現象を光記録したり、この現象を利用して情報物体の移
動を制御しながら移動の軌跡を光記録したりできる。
又、情報物体が性質や形態の変化を伴う場合に、その経
時的変化像を得たりすることができる。更に、微生物の
運動状態や細胞分裂あるいは細胞の接合をトレースする
こともできる。
【0070】又、これらの際に短パルス光を照射するこ
とにより、高速現象を連続的に記録して、後にゆっくり
観察することもできる。そして連続記録を構成する個々
の単発の光記録は、光の1回照射で完了するため、情報
物体が微小物体あるいは生物(特に微生物)である場合
の、物体移動による記録不良も生じない。
【0071】記録媒体を構成する感光材料は、上記第1
発明の高分子材料がとりわけ好ましいが、これに限定さ
れず、近接場光を記録可能な公知の任意の感光性高分子
材料あるいは非高分子材料を使用できる。記録形態にも
限定がなく、前記第1発明と同様の凹凸形成,屈折率変
化,光吸収率変化、あるいはその他の任意の公知形態で
記録でき、かつその読出し手段も任意である。
【0072】しかも、第4発明の記録媒体は近接場光を
利用するので、高密度の光情報記録とすることができ
る。
【0073】
【実施例】次に、本願発明の実施例を説明する。
【0074】[第1発明の実施例] (光反応性成分の合成)2−メチル−4−ニトロアニリ
ン30.43gを水300mLと塩酸36%水溶液18
0mLとの混合液に溶解させて3°Cに冷却した。その
中に、水100mLに溶かした亜硝酸ナトリウム15.
20gを加えた。得られた溶液を3°Cに保ち、1時間
攪拌した。
【0075】更にその中に、m−トリルジエタノールア
ミン39.05gを水300mLと塩酸36%水溶液3
0mLとの混合液に溶解させた溶液を60分間で徐々に
加えた後、3°Cで150分間攪拌して反応させた。
【0076】反応混合液を水700mLに溶かした水酸
化カリウム141.6gにより中和し、粗組成物を濾別
後水洗して乾燥させた。再結晶生成を3回繰り返して、
「化5」で示される4−N,N−ビス(2−ヒドロキシ
エチル)アミノ−2,2’−ジメチル−4’−ニトロア
ゾベンゼンを得た(収率;62%、融点;169°
C)。
【0077】
【化5】 光反応性成分を含む高分子の合成 I)上記「化5」
の化合物2.000gと4,4’−ジフェニルメタンジ
イソシアナート2.095gとを50mLのN−メチル
−2−ピロリドンに溶解させて、室温で15分間攪拌し
て反応させ、更に100°Cで60分間攪拌して反応さ
せた。その溶液を50°Cまで冷却した後、20mLの
N−メチル−2−ピロリドンに溶解させたトランス−
2,5−ジメチルピペラジン0.319gを加え、5時
間攪拌して反応させた。更に減圧下で、115°Cに加
熱し、52mLのN−メチル−2−ピロリドンを150
分間かけて徐々に留去した。
【0078】得られた反応混合液を180mLのピリジ
ンで希釈して、0.1μmのフィルターで濾過した後、
エタノールに投入して沈澱したポリマーを濾別した。得
られたポリマーを再沈法により2回精製し、「化6」で
示されるポリマーを得た(収率;92%、ガラス転移温
度;141°C、N−メチル−2−ピロリドン中の30
°Cにおける固有粘度;0.69dL/g、吸収極大波
長;475nm)。
【0079】
【化6】 光反応性成分を含む高分子の合成 II)上記「化5」
の化合物0.700gとテレフタル酸クロライド0.6
06gとを5mLのピリジンと5mLの1,1,2,2
−テトラクロロエタンとの混合液に溶解させ、130°
Cで2時間攪拌して反応させた。反応液を30°Cに冷
却した後、1,3−ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン
0.285gを加え、3時間攪拌して反応させた。
【0080】反応混合物を500mLのエタノール中に
投入して、析出した沈澱ポリマーを濾別した。更に、得
られたポリマーのN−メチル−2−ピロリドン溶液を水
に投入して、沈澱したポリマーを濾別した。このポリマ
ーを減圧乾燥して、「化7」で示す構造のポリマーを得
た(収率;31%、ガラス転移温度;102°C、N−
メチル−2−ピロリドン中での固有粘度;0.18dL
/g、吸収極大波長;480nm)。
【0081】
【化7】 記録媒体の作製)ピリジンに上記「化6」のポリマー
を溶解し、6.5wt%溶液を調製した。これを0.2
μmのフィルターで濾過した後、回転数1,000rp
mの条件でスライドガラス上にスピンコートして、80
°Cで20時間真空乾燥させて厚さ約1μmの薄膜を作
製した。
【0082】(凹みによるビットデータ記録)上記薄膜
(記録媒体の記録膜)に、波長488nmのアルゴンレ
ーザー光の集光スポットを照射し、ビットデータを記録
し、それを原子間力顕微鏡(セイコー電子工業製 SP
I−3700)で観察した。集光に用いたレンズは Mit
sutoyo超長作動距離対物レンズで、NAは0.55、倍
率は100倍であった。照射光のパワーは約200μ
W、ビーム径は約1μm、露光時間は約10msecで
あった。
【0083】原子間力顕微鏡で観察したビットデータの
像を図1及び図2に示す。光を照射した部分に凹み1が
できており、凹みによるビットデータが記録されてい
た。凹みによるビットデータを記録した記録媒体2を1
時間150°Cに加熱した後、再びビットデータの像を
原子間力顕微鏡で観察した。加熱以前の記録状態との相
違は認められなかった。記録膜は優れた耐熱製を有する
ことが確認できた。
【0084】(凹みによる近接場光強度の記録)直径5
mmの孔の空いた円板を、超音波洗浄で清浄にした後に
上記記録媒体の記録膜上に乗せた。直径100nmのポ
リスチレン微小球を分散させた水を上記の孔の中に数滴
垂らした。自然乾燥により水が蒸発するまで放置した。
これにより、記録媒体の記録膜上に直径100nmのポ
リスチレン製微小球を乗せた。
【0085】空冷式アルゴンレーザー(出力20mW)
を用いて、波長488nmの出射光をそのまま、ポリス
チレン微小球の上から記録膜に照射した。レーザー光の
ビーム径は約3mmであった。
【0086】照射後の記録媒体からその微小球を取除い
た後、原子間力顕微鏡(セイコー電子製SPI−370
0)を用いて記録膜の表面を観察した。その観察像を図
3及び図4に示す。
【0087】図3と図4は同一像の異なるアングルから
の観察像であって、いずれの図からも、微小球の大きさ
に対応する直径約100nmの凹み3が確認された。こ
の凹みは、レーザー光の照射により微小球表面近傍に生
じた近接場光の記録膜4表面における強度分布に対応し
ている。即ち、該記録媒体は、近接場光の強度分布を記
録する記録媒体として使用できることが確認された。
【0088】(凹みによる記録の凹み深さと照射光強度
の関係)前記薄膜(記録媒体の記録膜)に、波長488
nmのアルゴンレーザー光を照射し、照射光強度(W/
cm2)と記録の凹み深さ(nm)との関係を測定し
た。測定結果を図5に示す(図5において、凹み深さは
「削り深さ」と表記している)が、記録の凹み深さは、
少なくとも測定した照射光強度の範囲で、照射光強度に
比例して深くなることが分かった。
【0089】(吸光度の変化による記録)前記薄膜(記
録媒体の記録膜)に、波長514.5nmの、偏光方向
を薄膜と平行にした直線偏光のアルゴンレーザー光を1
W/cm2 の強度で10分間照射した後に、薄膜の波長
500nmにおける吸光度を測定した処、アルゴンレー
ザー光の照射前と比べて約22%減少していた。同様の
アルゴンレーザー光を2W/cm2 の強度で10分間照
射した後に、薄膜の波長500nmにおける吸光度を測
定した処、アルゴンレーザー光の照射前と比べて約58
%減少していた。又、前記の波長488nmのアルゴン
レーザー光を照射した場合とは異なり、光照射部分に凹
みを生じていなかった。
【0090】これらのことから、光の照射部と未照射部
とでは吸光度が異なり、吸光度の違いにより情報を記録
できることが分かった。かかる吸光度の変化は、上記薄
膜の光反応性成分であるアゾベンゼン部分がトランス体
からシス体に光異性化したことによるものであると考え
られる。
【0091】(吸光度の異方性による記録)前記薄膜
(記録媒体の記録膜)に、波長514.5nmの、偏光
方向を薄膜と平行にした直線偏光のアルゴンレーザー光
を1W/cm2 の強度で10分間照射した後に、薄膜の
偏光吸収スペクトルを測定した。
【0092】光照射前の記録層の偏光吸収スペクトルは
薄膜と平行な偏光方向において等方的であった。
【0093】光照射後の記録層の偏光吸収スペクトルは
異方性を示した。光照射後には、記録光の偏光方向と平
行な偏光方向の吸光度(A 1)より、記録光の偏光方向
と垂直で記録層と平行な偏光方向の吸光度(A 2)の方
が大きかった。
【0094】これらのことから、光の照射部と未照射部
とでは吸光度の異方性が異なり、吸光度の異方性の違い
により情報を記録できることが分かった。かかる吸光度
の異方性の変化は、上記薄膜の光反応性成分であるアゾ
ベンゼン部分の光異性化とオプティカルポーリング効果
によるものであると考えられる。
【0095】(屈折率の変化による記録)成膜後の乾燥
条件として、100°Cで20時間真空乾燥させた後、
更に150°Cで10時間真空乾燥させた点以外は前記
と同様に作製した薄膜(記録媒体の記録膜)を、110
°Cに加熱しながら、これに水銀ランプ(ウシオ電気製
USH−250BY)の紫外光を0.08W/cm2
強度で4時間照射した。紫外光照射部の波長830nm
における屈折率は、未照射部と比べて0.003減少し
た。
【0096】このことから、紫外光の照射部と未照射部
とで屈折率が異なっており、屈折率の違いにより情報を
記録できることが分かった。このように屈折率変化を記
録した記録媒体を、110°Cで30分間加熱した後に
再び屈折率を測定した処、加熱前と同じ値であった。即
ち、該記録媒体は優れた熱安定性を有することが分かっ
た。
【0097】(屈折率異方性の変化による記録)成膜後
の乾燥条件として、100°Cで20時間真空乾燥させ
た点以外は前記と同様に作製した薄膜(記録媒体の記録
膜)を、110°Cに4時間加熱して、加熱前後の屈折
率異方性の変化を測定した。記録面と平行な偏光方向の
波長830nmの光の屈折率をn 1とし、記録面に垂直
な偏光方向の波長830nmの光の屈折率をn 2とする
と、n 1−n 2で定義される屈折率異方性は、加熱前が
0.022であったのに対し、加熱後は0.016に減
少していた。
【0098】光の照射により材料を局所的に加熱するこ
とは公知の技術によって十分に可能であり、その技術を
利用すれば、光の照射部と未照射部とに屈折率異方性の
違いを導入でき、従って屈折率異方性の違いにより情報
を記録することが可能であると考えられる。
【0099】[第2発明の実施例] (ホログラムの記録)第1発明の実施例で作製した前記
薄膜(記録媒体の記録膜)を用い、図6に示した2光束
干渉露光光学系を用いて干渉光の記録を行った。図6に
おいて、光源5から発した波長488nmのアルゴンレ
ーザー光は、ミラー6で反射され、レーザービームの空
間ノイズを除去して一様な干渉パターンを得るためのピ
ンホール7(ホール径2nm)を通過した後、ビームス
プリッター8で2分割されて、適位置に配置した複数の
ミラー9により、ビームの光路長、強度比を等しくし
て、記録膜10に入射した。グレーティングの間隔は入
射角によって調整した。露光は連続で10分間行った。
【0100】露光後の記録膜10の表面形状を原子間力
顕微鏡により観察した処、図7に示すように、正弦波の
干渉パターンを記録することができた。この観察結果を
もとに照射エネルギーと削り深さの関係を調べた結果、
照射エネルギーと削り深さは比例関係にあることが分か
った。
【0101】上記の光強度に比例した削り深さは、干渉
光の強度をそのまま記録できることを意味し、記録膜1
0がホログラム記録媒体として優れた性能を有すること
が示された。又、露光後の記録膜10を130°Cで1
時間熱処理したが、像に変化はなく、熱安定性に優れる
ことが示された。
【0102】(グレーティングカップラーとしての使用
の可能性)第1発明の実施例で作製した前記薄膜(記録
媒体の記録膜)を用い、前記図6と同様の2光束干渉露
光光学系によって、Nd:YAGレーザーの第3高調波
(波長355nm)の干渉パターンを記録した。その結
果を図8に示すが、きれいな正弦波パターン(周期8μ
m)で記録されており、ホログラム記録媒体として優れ
た性能を有することが示された。
【0103】ここで作製されたグレーティングパターン
は、導波路等のグレーティングカップラーとしても使用
可能である。本例における光入力特性の実験を行い、1
0%以上の入力効率を確認した。
【0104】[第3発明の実施例] (情報の記録、再生、消去及び再記録)第1発明の実施
例で作製した前記薄膜(記録媒体の記録膜)を用い、図
9に示した光学系を用いて情報の記録、再生、消去及び
再記録を行った。図9に示した光学系は、アルゴンレー
ザー光源11、シャッター12、NDフィルター13、
ビームエクスパンダー14、λ/4波長板15、グラン
−トムソンプリズム16及び22、ビームスプリッター
17、レンズ18、CCD19、対物レンズ20、X−
Y−Zステージ21、白色光源23、及びコンピュータ
24から構成されており、記録媒体25は図示のようX
−Y−Zステージ20に取り付けられる。
【0105】アルゴンレーザー光源11からの波長51
4.5nmのレーザー光を対物レンズ20で約1μmに
絞り込んで直線偏光で1/32秒照射した。そしてX−
Y−Zステージ21で位置を変えながら記録媒体25の
全面に記録を行った。
【0106】記録後、白色光源23からの白色光を記録
媒体25の背部から照射してその記録を再生し、CCD
19で観察した。その結果を図7(a)に示す。図7
(a)中、白い点状の部分が記録された領域である。こ
れによって情報の良好な記録と再生を確認した。
【0107】次に、上記記録に使用した直線偏光直線偏
光の偏光方向を90°回転させて、図7(a)の白い点
状の部分の内、中央の9点に照射した後、上記と同様に
観察した。その結果を図7(b)に示す。図7(b)
中、中央の9点が消去されており、これによって情報の
良好な消去を確認した。
【0108】更に、もう一度最初の直線偏光を用いて、
上記のように記録を消去した中央のエリアの内、所定の
5点に再度記録を行い、これを再生した処、図7(c)
に示す像が観察された。これによって記録媒体の記録消
去部に対する良好な再記録を確認した。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例における原子間力顕微鏡の観察像を示す
図である。
【図2】実施例における原子間力顕微鏡の観察像を示す
図である。
【図3】実施例における原子間力顕微鏡の観察像を示す
図である。
【図4】実施例における原子間力顕微鏡の観察像を示す
図である。
【図5】照射光強度と記録の凹み深さの関係を示すグラ
フ線図である。
【図6】実施例で用いた光学システムを示す図である。
【図7】実施例に係る原子間力顕微鏡像である。
【図8】実施例に係るグレーティングの写真である。
【図9】実施例で用いた光学システムを示す図である。
【図10】図10(a)〜図10(c)は、それぞれ実
施例における情報の記録、消去、再記録の状態を示す図
である。
【符号の説明】
1,3 凹み 2,4,10,25 記録媒体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 江上 力 静岡県浜松市和合町154−100 (72)発明者 杉原 興浩 静岡県浜松市上島5丁目15番地 (72)発明者 岡本 尚道 静岡県浜松市増楽町2578番地 (56)参考文献 特開 平9−80681(JP,A) 特開 平8−109226(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G11B 7/24

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 照射光または近接場光による光情報を記
    録するための記録領域面を備えた光記録媒体であって、
    前記記録領域面が、光異性化反応を起こし得る光反応性
    成分を結合すると共に高分子の繰り返し単位の中にウレ
    タン基、ウレア基、又はアミド基から選択される少なく
    とも一の基を有する高分子材料を含んで構成されている
    ことを特徴とする光記録媒体。
  2. 【請求項2】 光異性化反応を起こし得る光反応性成分
    結合すると共に高分子の繰り返し単位の中にウレタン
    基、ウレア基又はアミド基から選択される少なくとも一
    の基を有する高分子材料を記録層として含んで構成さ
    れ、ホログラム用の記録媒体として使用されることを特
    徴とする光記録媒体。
  3. 【請求項3】 可逆的な光異性化反応を起こすことがで
    き、かつ光により分子配向を制御できる光反応性成分を
    結合すると共に、高分子の繰り返し単位の中にウレタン
    基、ウレア基又はアミド基から選択される少なくとも一
    の基を有する高分子材料を記録層として含んで構成さ
    れ、情報の記録、再生及び消去を可能としたことを特徴
    とする光記録媒体。
  4. 【請求項4】 照射光または近接場光による光情報を記
    録するための記録領域面を備えた光記録媒体であって、
    前記記録領域面が、光異性化反応を起こし得る光反応性
    成分を結合すると共に高分子の繰り返し単位の中にウレ
    タン基、ウレア基、又はアミド基から選択される少なく
    とも一の基を有する高分子材料を含んで構成され、か
    つ、前記記録領域面には、光照射により情報物体に生じ
    た近接場光の分布を記録する形態で、以下の1)〜4)
    のうちの1種以上の情報が記録されていることを特徴と
    する光記録媒体。 1)情報物体が運動する物体である場合における、その
    一瞬の状態の記録。 2)情報物体が光の放射圧により移動し得る微小粒子で
    ある場合における、その移動の記録。 3)情報物体が自律的に運動する生物である場合におけ
    る、その運動の記録。 4)情報物体が光情報として記録可能な経時的変化を起
    こす場合における、その経時的変化の記録。
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