JP4462920B2 - 紙シート成形体の製造方法 - Google Patents

Description

この発明は、段ボール等の紙シートをプレス成形した成形体の製造方法に関するものである。

例えば、天井に取り付ける照明器具をトレーに載せて外箱に収納する際には、トレーに対する照明器具の移動を阻止するため、カップ状の固定材を伏せてトレーの底面上に据え付け、この固定材を照明器具の取付面中央部の穴に係合させる。この固定材には、自由に成型でき、保形性に優れたプラスチック製のものが使用されている。

しかしながら、近年、梱包材の廃棄後のリサイクル性等を考慮して、固定材も外箱やトレーと同様に段ボール製とすることが求められている。

そこで、この発明は、段ボール等の紙シートを材料として、保形性に優れたカップ状の成形体を製造しようとするものである。

上記のような課題を解決するため、この発明は、底壁の周囲に３枚以上の側板を放射状に連設し、これらの側板を一部が重なるように底壁から起立させ、プレス成形により保形した紙シート成形体を提供することとしたのである。

そして、上記紙シート成形体を製造方法する際には、紙シートをプレスする雄型と雌型の間に邪魔板を設け、この邪魔板を雌型から浮き上がるように弾性体で保持し、邪魔板の凸部に側板を当接させて、側板の起立順序を制御すればよい。

上記のように製造した成形体は、底壁から放射状に広がる側板を交互に重ねながら起立させてプレスすることとしたので、紙シートの破断を生じることなく、カップ状に成形することができ、また、成形後には、側板同士の重なり合いにより、各側板の揺動が抑制されて、保形性に優れたものとなる。

以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。

図１に示すように、この成形体１は、段ボールシートをプレスしてカップ状に成形したものであり、正六角形の底壁２の各辺から側板３の側壁部４を起立させ、側壁部４の端縁からフランジ部５を外向きに折り曲げて、隣り合う側板３のフランジ部５を交互に重ね合わせた形状とされている。

この成形体１を使用して、図２に示すように、照明器具５０をトレー５１の所定位置に保持するには、成形体１を上下反転させてトレー５１の底面上に伏せ、敷板５２の中央部の貫穴５３から上方へ突出させる。この状態では、フランジ部５が敷板５２に押さえられて、成形体１がトレー５１に固定される。

ところで、上記成形体１の段ボール製ブランクは、図３に示すように、底壁２から側板３の側壁部４が放射状に広がり、各側壁部４の先端に設けられたフランジ部５が両側方へ張り出した構成となっている。

このブランクのプレスに使用する金型は、図４に示すように、下方の雌型６と上方の雄型７の間に六角環状の邪魔板８を設けたものとされ、邪魔板８は、内側の各辺のうち、一辺おきの三辺に凸部９を有し、雌型６から浮き上がるようにばね１０で保持されている。

いま、上記のような金型によりカップ状の成形体１を製造する際には、図５に示すように、雌型６と雄型７とが離反した状態で、雄型７と邪魔板８の間に成形体１のブランクを送り込む。

次に、図６及び図７に示すように、雄型７を下降させ、底壁２の部分を押し下げると、邪魔板８の凸部９に三枚の側板３が当接し、まず、これらの側板３が起き上がり始め、その後、他の三枚の側板３が邪魔板８の内縁に当接して、起き上がり始める。

そして、図８に示すように、さらに雄型７を下降させると、ばね１０が圧縮され、成形体１のブランクが雌型６と雄型７の間に挟まれてカップ状に成形され、隣り合う側板３のフランジ部５が外向きに折れ曲がって重なり合った状態となり、これらの各折曲部が塑性変形して形状が保持される。フランジ部５同士は、糊で貼り合わせてもよい。

上記のように製造した成形体は、底壁２から放射状に広がる側板３を交互に重ねながら起立させてプレスしているので、段ボールシートの破断を生じることなく、カップ状に成形することができ、また、成形後には、フランジ部５同士の重なり合いにより、各側板３の揺動が抑制されて、保形性に優れたものとなる。

また、この実施形態に係る成形体１では、側板３のフランジ部５を重ね合わせる構成としたが、フランジ部５を省略し、側壁部４を重ね合わせるようにしても、保形性を確保することができる。

また、３層以上の重なり順序を制御する場合には、図９に示すように、邪魔板８に突出の長さが異なる複数段の凸部９を設けておき、各段の凸部９に側板３が段階的に当接するようにしておくとよい。

そのほか、図１０に示すように、成形体１に隣接する側板３の上部を繋いで三角状の抜止片１３を設けておくと、図２に示すように、トレー５１に成形体１と敷板５２をセットする際、成形体１を先に貫穴５３に挿通して敷板５２を持ち上げても、貫穴５３から成形体１が抜け出すことがないので、作業性が向上すると共に、照明器具５０が抜止片１３に係合して抜けにくくなり、しっかりと固定される。

さらに、上記実施形態では、偶数枚の側板３を交互に重ねるものを示したが、邪魔板８の凸部９の長さが周方向に順次長くなるようにしておくと、３枚以上の任意枚数の側板３を順次積み重ねることもできる。

ところで、上記実施形態では、成形体を照明器具の梱包時に固定材として使用する例を示したが、この製造方法に係る成形体は、カップ容器や紙管キャップ、ボビンの固定材などに使用することもできる。

この発明に係る紙シート成形体を示す斜視図 同上の使用状態を示す斜視図 同上の成形体のブランクを示す図 同上の成形体を製造する金型及び邪魔板を示す斜視図 同上のプレス前の状態を示す断面図 同上のプレス過程を示す断面図 同上の一部省略斜視図 同上のプレス状態を示す断面図 複数段の凸部を有する邪魔板を示す平面図 抜止片を有する成形体を示す斜視図

１ 成形体
２ 底壁
３ 側板
４ 側壁部
５ フランジ部
６ 雌型
７ 雄型
８ 邪魔板
９ 凸部
１０ ばね
１３ 抜止片
５０ 照明器具
５１ トレー
５２ 敷板
５３ 貫穴

Claims (1)

1. 底壁の周囲に３枚以上の側板を放射状に連設し、これらの側板を一部が重なるように底壁から起立させ、プレス成形により保形した紙シート成形体の製造方法において、紙シートをプレスする雄型と雌型の間に邪魔板を設け、この邪魔板を雌型から浮き上がるように弾性体で保持し、邪魔板の凸部に側板を当接させて、側板の起立順序を制御することを特徴とする紙シート成形体の製造方法。

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