JP4462200B2 - 冷延鋼板の製造方法および連続焼鈍方法 - Google Patents

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Description

本発明は、冷延鋼板の製造法に関し、更に詳述すれば、それを利用した冷延鋼板の製造方法に関する。以下において、めっき鋼板を例にとり本発明を説明する。
溶融亜鉛めっきや電気亜鉛めっきなどのめっき鋼板は、耐食性に優れているため、自動車や家庭電気製品あるいは建材等に広く使用されている。特に外観品質が重要視される自動車外装用にも溶融亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛めっき鋼板の使用が拡大し、鋼板の外観品質の向上が要求されている
外観品質の問題に、合金化溶融亜鉛めっき鋼板の表面凹凸や電気亜鉛めっき鋼板のめっき付着むらがある。この表面凹凸やめっき付着むらは、塗装によっても解消されず製品の外観品質を劣化させる。表面凹凸欠陥の発生の原因は、連続焼鈍後の鋼板表面の活性度の不均一により、鋼板と亜鉛の反応が不均一となり、めっき厚が不均一となるためと考えられており、合金化処理後に目視可能な程度の欠陥として現れる。一方、めっき付着むらの原因は、連続焼鈍後の鋼板表面の活性度の不均一により、めっきの配向性が異なるためと考えられている。
このような表面欠陥を防止するための技術としては、例えば特開平4−191354号公報には、溶融亜鉛めっき前の連続焼鈍工程の均熱帯および/または加熱帯における鋼板温度が500℃以上の領域で、外径50mm以上500mm以下の2本以上のロールに接触角30°以上で接しながら通板する合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提示されている。この方法は、小径ロールで歪みを加えることにより均一な表層組織として、その後の合金化反応を均一化させ、表面の凹凸の発生を防止するものである。
また、特開平9−176814号公報には、再結晶温度以上で焼鈍し、次いで、0.8〜2.0%の圧下率で圧下した後、再度焼鈍して溶融亜鉛めっきと合金化処理を施す合金化溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が提示されている。
しかしながら、特開平4−191354号公報に提示された方法は、自動車製造工程等におけるプレス成形加工時において肌荒れが生じやすいという問題がある。
また、特開平9−176814号公報に提示された方法は、焼鈍の工程が2回必要で製造コストが上昇するという問題がある。
本発明の課題は、均一で大きな歪みが鋼板表面に形成された冷延鋼板を提供することである。
本発明者らは、鋼板表面の活性度の向上の観点からめっき処理に先だって連続焼鈍工程でおこなう曲げ加工や圧延に注目し、曲げ加工では、鋼板表面に大きな歪みが形成されるが歪みが不均一となり不均一な加工硬化部分が形成され、また、圧延では、鋼板表面に均一な歪みが形成されるが、一方で歪みが鋼板内部に及ぶところに問題があることに着目した。
そこで、連続焼鈍の冷却帯以降において、圧延により鋼板に適度な歪みを形成させ、次いで曲げ加工により鋼板表面に歪みを形成することにより、鋼板表面に均一で大きな歪みを形成する方法を想到し、本発明を完成した。
本発明の要旨は、以下の(1)、(2)のとおりである。
(1) 冷延鋼板の加熱帯、均熱帯、冷却帯から成る連続焼鈍工程において冷却帯以降の領域で、圧下率0.2%以上2.0%以下で圧延をし、次いで外径50mm以上500mm以下の2本以上の曲げ加工用ロールに接触角がそれぞれ30°以上で接しながら通板することを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
(2) 冷延鋼板の加熱帯、均熱帯、冷却帯から成る連続焼鈍工程において冷却帯以降の領域で、圧下率0.2%以上2.0%以下で圧延をし、次いで外径50mm以上500mm以下の2本以上の曲げ加工用ロールに接触角がそれぞれ30°以上で接しながら通板することを特徴とする冷延鋼板の連続焼鈍方法。
本発明によって、外観品質に優れた溶融亜鉛めっき鋼板や電気亜鉛めっき鋼板の製造ができる。
図1は、本発明を実施する溶融亜鉛めっき装置を有する連続焼鈍装置の概略説明図である。
図中、鋼板1は、加熱帯2、均熱帯3および冷却帯4からなる連続焼鈍装置5に送られ、焼鈍処理をおこなってからスナウト6を経て溶融亜鉛めっき浴7を収容する亜鉛ポット8に送られ、溶融亜鉛めっきがおこなわれ、次いで、加熱装置9に送られ、合金化処理がおこなわれる。
本発明は、必ずしもそれに制限されるものではないが、1つの製造条件を示せば、極低炭素鋼は、連続焼鈍工程においては、700〜900℃に10〜60秒間非酸化雰囲気下で加熱された後、冷却帯で450〜500℃に冷却され、次いで、450〜465℃に保持された溶融亜鉛めっき浴でめっき処理がおこなわれ、450〜600℃で5〜20秒間加熱され合金化処理がおこなわれる。
本発明によれば、連続焼鈍工程の冷却帯以降において鋼板の圧延および曲げ加工がおこなわれる。図示例においては、冷却帯の出側近傍に、1対の圧延用ロール10a、10bを設けて圧延をし、さらに、その下流側で冷却帯の出側近傍に、対になった曲げ加工用ロール11a、11bを設けてその間を通板させる。
このときの具体的処理条件は、圧下率0.2%以上2.0%以下で圧延をし、次いで外径50mm以上500mm以下の相対する1対以上、つまり2本以上の曲げ加工用ロールを使用し、それに接触角がそれぞれ30°以上で接しながら通板するのである。
圧延の圧下率が0.2%未満だと、鋼板表面への歪み付与が不充分となり、曲げ加工後の鋼板表面に形成される歪みが不均一となり、めっき反応の均一性や電気亜鉛めっきではめっき配向の均一性が低下する。また2.0%を越えると、鋼板内部に大きな歪みが残るため、伸びが低下し材料特性が劣化する。よって、圧下率0.2%以上2.0%以下で圧延をおこなうとした。
曲げ加工用ロールの外径が50mm未満だと、ロール強度が不足し設備トラブルが生じたり、バックアップロール等の設備が必要となり設備費が高くなるといった問題がある。さらに、鋼板内部に歪みが残るため、材料特性が劣化する。また500mmを越えると、鋼板表面への歪み付与効果が低下する。よって、ロールの外径を50mm以上500mm以下とした。
接触角が30°未満だと、鋼板表面への歪み付与効果が小さい。接触角の上限は特に限定しないが、設備制約の観点から180°以下が望ましい。また、曲げ加工用ロールを2本以上としたのは、1本のロールで通板した場合は、鋼板の表面と裏面でめっき反応性が異なるためである。なお、ロール本数が多くなると材料特性が劣化するので、3対(6本)以下が望ましい。
図2は、本発明における圧延ならびに曲げ加工の際の鋼板の通板形態を例示するもので、図2(a)は、1対の圧延用ロールの下流に対になった2本の曲げ加工用ロールを設けたものであり、図2(b)は、2対の曲げ加工用ロールを設けた場合である。なお、同図で、図1と同じ要素は同一の符号で示す。符号αは接触角である。
このような圧延用ロールならびに曲げ加工用ロールは、加熱帯あるいは均熱帯に設けても、圧延や曲げ加工により鋼板に導入した歪みエネルギが解放され、めっき反応の均一性改善効果や電気亜鉛めっきではめっき配向性の改善効果が低下する。したがって、本発明における圧延や曲げ加工は、冷却帯以降においておこなうが、ここに、「冷却帯以降」は、連続焼鈍装置と直結している溶融亜鉛めっきラインの場合には、冷却帯出側近傍からめっき浴直前まで、また、電気亜鉛めっき鋼板用の連続焼鈍装置の場合には、1次冷却帯の出側から常温に冷却するために設けられている最終冷却帯の直前までであれば特に制限ないが、前者の場合は冷却帯出側近傍が、また後者の場合は1次冷却帯の出側が好ましい。
一方、冷却帯以降に圧延、曲げ加工機構を設けても鋼板温度が100℃未満だと、鋼板内部に大きな歪みが残るため、特に伸びの低下が大きくプレス成形性などの材料特性が劣化する。よって、冷却帯以降で鋼板温度が100℃以上の領域に設けるとした。温度上限は特に制限ないが、冷却帯以降ということから一般には600℃程度以下である。
なお、図1において、符号12は鋼板の進行方向を変更するターンロールであり、通常、直径が800mm程度のロールが用いられるが、このロールを所定の寸法に変更するとともに所定の接触角となるように配置して本発明の曲げ加工用ロールとして用いても良い。
ここでは、本発明を溶融亜鉛めっき鋼板の製造における連続焼鈍工程を例に説明したが、電気亜鉛めっき鋼板の素材を製造する連続焼鈍工程においても同様である。電気亜鉛めっき鋼板の製造においては、一般的にめっき工程と連続焼鈍工程とが非直結であり、本発明は、必ずしもそれに限定するものでないが、1つの製造条件を示せば、極低炭素鋼は、連続焼鈍工程においては、700〜900℃に10〜60秒間非酸化雰囲気下で加熱された後、1次冷却帯で350〜550℃に冷却され、次いで350〜450℃に数分間保持された後、2次冷却帯で150〜250℃に冷却され、次いで最終冷却帯で常温まで冷却される。その後、冷却されたコイルは電気亜鉛めっき製造ラインに搬送され、めっき処理がおこなわれる。本発明は、この連続焼鈍工程に適用することができる。
(実施例1)
図1に示す構造の溶融亜鉛めっき製造設備を使用し、厚0.8mm、幅1200mmの極低炭素鋼板を用い、連続焼鈍工程では、870℃で30秒間の加熱後50〜500℃まで冷却し、次いで外径450mmの圧延用ロールを用いて圧下率0.0(圧下無し)〜3.4%で圧延し、引き続き外径30mmまたは600mmの一対のロールを用いて接触角60°で曲げ加工を実施し、次いで、460℃の溶融亜鉛めっき浴に送り、めっき終了後500℃で合金化処理を行った。
得られた合金化溶融亜鉛めっき鋼板について、走査型電子顕微鏡を用いて表面観察を行いめっき厚の均一性を調査した。めっき厚の均一性は、めっき厚の変動率(めっき厚変動量/平均めっき厚)が10%未満を合格とし、以下のように区分し評価した。表1にその結果を示す。
・めっき厚の均一性(めっき厚の変動率):
○:10%未満;
△:10%以上20%未満;
×:20%以上。
Figure 0004462200
表1の比較例に示すように、圧延の圧下率が0.2%未満や曲げ加工用ロールの直径が500mm超では、めっき厚の不均一性が大きく表面外観品質が不良であった。
一方、本発明例では、めっき厚が均一で表面外観が良好であった。なお、本発明例1および2の鋼板を用いたプレス成形の試験においても、表面肌荒れなどの表面欠陥は発生せず良好であった。
(実施例2)
連続焼鈍の実機設備を使用し、厚0.8mm、幅1200mmの極低炭素鋼板を用い、850℃で40秒間の加熱後50〜400℃まで冷却し、次いで外径450mmの圧延用ロールを用いて圧下率0.0(圧下無し)〜3.4%で圧延し、引き続き外径30mmまたは600mmの一対の曲げ加工用ロールを用いて接触角60°で曲げ加工をおこない電気亜鉛めっき用の素材を製造した。次いで、電気亜鉛めっき設備に送り、めっき処理をおこなった。
得られた電気亜鉛めっき鋼板について、めっき付着むらを調査した。めっき付着むらは、鋼板表面を目視で観察し、○:付着むら無し;△:付着むら小;×:付着むら大、の3段階で評価し、○を合格判定とした。表2にその結果を示す。
Figure 0004462200
表2の比較例に示すように、圧延の圧下率が0.2%未満や曲げ加工用ロールの直径が500mm超では、めっきの付着むらが生じ、鋼板外観品質が不良であった。
本発明例1ないし3は、めっき付着むらが無かった
本発明を実施する連続焼鈍装置の概略説明図である。 本発明における圧延ならびに曲げ加工の際の鋼板の通板形態を例示するもので、図2(a)は、1対の圧延用ロールの下流に対になった2本の曲げ加工用ロールを設けたものであり、図2(b)は、2対の曲げ加工用ロールを設けた場合である。
符号の説明
1 鋼板
2 加熱帯
3 均熱帯
4 冷却帯
5 連続焼鈍装置
6 スナウト
7 溶融亜鉛めっき浴
8 亜鉛ポット
9 加熱装置
10a、10b 圧延用ロール
11a、11b、11c、11d 曲げ加工用ロール
12 ターンロール
α 接触角

Claims (2)

  1. 冷延鋼板の加熱帯、均熱帯、冷却帯から成る連続焼鈍工程において冷却帯以降の領域で、圧下率0.2%以上2.0%以下で圧延をし、次いで外径50mm以上500mm以下の2本以上の曲げ加工用ロールに接触角がそれぞれ30°以上で接しながら通板することを特徴とする冷延鋼板の製造方法。
  2. 冷延鋼板の加熱帯、均熱帯、冷却帯から成る連続焼鈍工程において冷却帯以降の領域で、圧下率0.2%以上2.0%以下で圧延をし、次いで外径50mm以上500mm以下の2本以上の曲げ加工用ロールに接触角がそれぞれ30°以上で接しながら通板することを特徴とする冷延鋼板の連続焼鈍方法。
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