JP4460253B2 - 親水性高分子ゲル粘着材 - Google Patents

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本発明は親水性高分子ゲル粘着材に関する。本発明の親水性高分子ゲル粘着材は、生体に貼付するサージカルテープ、カテーテルや点滴などのチューブ等、心電図電極その他センサー類の固定用テープ、湿布剤や、創傷被覆剤、人工肛門等の固定用テープや、電気治療器用導子、磁気治療器固定用粘着材、経皮吸収剤の担体兼粘着材など、生体に貼付して用いる粘着材として好適に使用される。その他、建材、電子材料など工業用粘着材としても使用可能である。
従来から使用されている天然ゴムラテックスやアクリル酸エステル系の樹脂をはじめとした粘着材は、いわゆる油性の粘着材で、水をはじく性質が強いため、生体に長時間貼付した際、特に発汗による水分を吸収することもなく、また、透過することもなく皮膚表面と粘着テープの間に蓄積し、蒸れ、カブレの原因となる。また、発汗が多い場合は粘着力が低下することもある。また、被着物の表面が湿っている場合、そのまま貼付すると粘着面に水分が付着し、完全に粘着力が失われる。従って、完全に拭き取るか、乾燥するまで貼付する事が不可能である。
ハイドロゲルの粘着材は水を吸収する性質がある。一度に大量の水と接触した場合は、ゲルが膨潤し、組成変化を起こすとともに物性低下を招くが、安静時の発汗程度の少量の水分であれば構成を工夫することにより物性低下を防止する事が可能である。例えば、皮膚貼付面の裏面の補強材に通気性を有する不織布やフィルムを組み合わせることにより、一旦皮膚から吸収した汗を素早く裏面から放出し、ゲル組成の変化を防ぐとともに、粘着力の低下を防止する事が可能である。
しかし、従来のハイドロゲルにはいくつかの問題点が存在する。
第1に、粘着力が低い点である。
例えば紙や綿等の親水性が高い材料に対しては、強力な粘着力を発揮するが、油性のもの、例えばオレフィン系のフィルム等に対しては粘着というよりはむしろ離型性を発現する。人皮膚表面においては、通常、皮脂が存在するため、親水性というよりは油性の性質を有している。アルコール等で皮脂を除去した後にはハイドロゲルでも良好な粘着力を発揮するが、皮脂が残ったままだと期待した粘着力が得られない。しかし、消毒など別の目的が無い限り、いちいち皮膚を拭き取ることは無駄な作業として好まれず、また、アルコールが完全に乾燥するまで待つ必要がある。なぜならば、従来のハイドロゲルはアルコール等の溶剤と接触すると凝集し接触面が硬化する性質を有しているため、皮膚表面にアルコールが付着したままでゲルを貼付すると、ゲルの貼付面が凝集し、粘着力が低下してしまう。
第2に、濡れた所に貼付できない点である。
一旦皮膚に貼付した後であれば、発汗が生じてもゲルの吸収−放出挙動により粘着力低下を防止出来るが、例えばゲル貼付前に皮膚表面を湿ったタオルやガーゼで拭き取った場合や、汗がにじみ出て皮膚表面が潤っている状態の場合などにゲルを貼付した場合、初期の吸水速度が遅いため、吸収−放出挙動が安定に達するまで一定の時間を要する。或いは、この様に皮膚表面が水で濡れている場合は、従来の粘着材も粘着力が低下してしまう。
濡れた所に貼付可能な粘着材は、少なくとも吸水能力を有する事が必要である。また、吸水速度はより速い方が、即座に余分な水分を吸収して、粘着対象物との粘着性が高くなる。また、飽和吸水量が多いと、生体に長時間貼付した時などに発汗が生じた場合、ゲルが水分を吸収するのは良いことであるが、ゲルが保持可能な水分量が多いため、ゲル自体が水タンクの機能を持つことになる。ゲルが過剰の水分を抱えると、体積が膨らみ、粘着力が低下し、凝集力や強度も極端に低下する。更に、ゲル体の平衡水分量が適宜設定され、通常製品を使用する環境下で乾燥し過ぎたり吸湿し過ぎたりしないように設定されるべきである。
従来の経皮吸収製剤用ゲル組成物として、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(別名:ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸)とアクリル酸又はその塩と架橋性単量体を共重合架橋したマトリックスに多価アルコールと水を含んだ標準的なゲル組成が提供されている(特許文献1)。このハイドロゲルはイオン性のマトリックスを有しているため、良好な吸水性を発揮し、湿った皮膚への貼付にも使用可能である。しかし、この様な吸水性に富むマトリックスを有するハイドロゲルは、皮膚などに長時間貼付し、発汗が生じた場合、汗を吸収し過ぎてゲルがタンクの働きをする。ゲル内に過剰の水分が蓄積されると粘着力が低下するだけでなく、強度が低下して崩れやすくなり、実際に使用している最中にゲルが粉々になり皮膚や衣服に付着することになる。これを防止するために乾燥速度を速めようとするならば、ゲル中の保湿剤の量を少なくする事が必要であるが、その場合、保管中に乾燥してゲルが硬くなり、粘着性が失われるなど新たな問題が生じる。
特開平9−124466
また従来のゲル粘着材として、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(メタ)アクリレートとアクリル酸共重合架橋した樹脂と液体成分と塩基性の官能基を有するポリマーを混合してポリマー同士をイオン架橋させてゲルを形成させたものが提供されている(特許文献2)。しかしこの特許文献2のゲル粘着材は、アルキレングリコールの末端をエーテル変成しているため、重合性単量体は親油性であり、ゲル中に水を保持させるのが著しく困難になるためハイドロゲルとは言えない。多価アルコールと水を含有するハイドロゲルでは、末端をエーテル変成したアルキレングリコールアルキレートは親和性が低く、ゲル形成が困難である。また、末端をエーテル変成せず、相溶性がある場合でも、アルキレングリコールアルキレートを大量に含んだ場合はゲルが硬くなり、粘着性は損なわれる。また特許文献2では、アクリル酸の含有量が多くなると粘着性が低下するとされているが、これはアクリル酸の比率を高くするとゲルの吸水性が高くなることにより、ゲルが水を保持する危険性が高くなり、通常の粘着材が濡れたときと同じく、粘着力が低下するためである。
特開平11−164878
また、同特許文献2には、液状成分として油性の可塑剤以外に、ポリエチレングリコール等のポリオールが好ましい例として記載されている。基本的には油性の可塑剤を使用した場合には最も良好な粘着性を発揮すると考えられるが、この様な構成では吸湿性が殆どないため、汗などに対する耐性という観点では従来の油性の粘着材と何ら変わらない結果となるため、ポリオールを使用する事も考慮している。これは、前記アクリルエステルの側鎖にポリオール部分が存在するため、相溶化が可能であると考えられる。この場合、親水性のポリオールを含有するため、若干の汗などに耐えるゲル体になると考えられるが、過度の水分を吸収すると粘着性が低下する危険性がある。従って、前記油性の粘着材に対して改良効果は期待出きるものの、ハイドロゲルの比になるものではない。又、同じ理由から、湿った皮膚への粘着は困難である。
更に、特許文献2は、ポリマー同士を混合し、架橋反応させる高分子反応のため、同公報の先行技術に関して記載のとおり、100%の反応率を達成することは困難である。更に、特許文献2の高分子反応は、高分子と高分子を反応させるため、反応率は更に低下すると同時に、バラツキも大きくなる。反応率が変わると言う事は、即ち、架橋密度が変わることであり、ゲルの硬さや粘着力などが安定しない事になる。例えば、最低限の凝集性を確保するために架橋剤としての塩基性ポリマーを多めに添加すると、粘着が低くなりすぎる傾向が生じる反面、粘着を確保しようと少なめにすると凝集力が低くなり、皮膚残り、カット面からのゲルはみ出し等が発生しやすくなる。
本発明の目的は、たとえオレフィン系樹脂等の油性材料の表面や皮脂が存在する皮膚表面、或いは水やアルコールで濡れ又は湿った皮膚表面にそのまま長時間貼付しても、ゲル強度と凝集力を維持しながら、粘着力の低下を抑えることができる親水性高分子ゲル粘着材を提供するところにある。
本発明は、架橋された親水性高分子のマトリックス中に、少なくとも水と多価アルコールを含有した粘着材において、
前記マトリックスを構成する樹脂が、
a)N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体 100重量部に対して、
b)アニオン性電解質アクリル誘導体 5〜60重量部、
c)(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート 3〜30重量部、
d)架橋性単量体 0.02〜1.0重量部
の範囲内でこの4種の重合性単量体を共重合した4元共重合体であり、
前記多価アルコールが、前記N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体、前記アニオン性電解質アクリル誘導体及び前記(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの重合性単量体総量100重量部に対して、100〜600重量部の範囲内で含まれ、
前記水が、前記粘着材全量に対して5〜50重量%含まれる
ことを特徴とする親水性高分子ゲル粘着材である。
本発明は、上記の様に、重合性単量体a)、b)、c)及びd)を共重合した4元共重合体で親水性高分子のマトリックスを構成しており、この架橋されたマトリックス中に少なくとも水と多価アルコールを含有しているため、オレフィン系樹脂などの油性の材料や皮脂が存在する皮膚に対しても、ゲル強度や凝集力を維持しながら良好な粘着力を発揮することができ、しかも長時間皮膚に貼付して使用することができる。例えば皮膚ならば発汗程度の水がゲルと接触する事が生じても粘着カに代表される物性の低下が極めて少なく、皮膚その他の粘着対象物の表面が水やアルコールで湿っていても粘着させる事が可能な親水性高分子ゲル粘着材が得られる。
a)N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体
本発明で使用できる前記N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体、すなわちN−アルキル変成アクリルアミド誘導体又はN−アルキル変成メタアクリルアミド誘導体の具体的な例としては、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−(イソ)プロピルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン,N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド等が挙げられるが、中でも、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンが好ましく、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミドが特に好ましい。
b)アニオン性電解質アクリル誘導体
本発明で使用できる前記アニオン性電解質アクリル誘導体の具体的な例は、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等の1若しくは2官能カルボン酸およびその塩、スルホプロピル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸およびその塩などが挙げられるが、中でも(メタ)アクリル酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、ターシャルブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸、ターシャルブチル(メタ)アクリルアミドスルホン酸が特に好ましい。
c)(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート
本発明で使用できる(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート、すなわちアルキレングリコールアクリレート、アルキレングリコールメタアクリレート、ポリアルキレングリコールアクリレート、ポリアルキレングリコールメタアクリレートの具体的な例は、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート等の多価アルコールのアクリルモノエステル化合物が挙げられるが、中でも、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましい。
d)架橋性単量体
本発明で使用できる架橋性単量体の例としては、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、エチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリルアミド又は(メタ)アクリレート、テトラアリロキシエタン、ジアリルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
前記親水性高分子のマトリックスを、前記4種の重合性単量体の4元共重合体で構成することにより、a)のN−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体によってゲルの樹脂骨格の親水−疎水性を制御することができ、b)のアニオン性電解質アクリル誘導体によって初期吸水速度を制御することができ、c)の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートによってゲルの腰強度を制御することができる。
a)のN−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体は非イオン性である事が好ましい。ここに言う非イオン性とは、非イオン性の重合性単量体は、遊離の酸又は塩基の状態における単量体の1重量%水溶液が4〜9のpHを示すものを使用することが好ましく、6〜8のpHを示すものを使用することがより好ましい。また、b)のアニオン性電解質アクリル誘導体はイオン性の重合性単量体であり、遊離の酸の状態における単量体の1重量%水溶液が4未満のpHを示すものを使用することが好ましく、3未満のpHを示すものを使用することがより好ましい。更に、c)の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートは、a)のN−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体と同じ非イオン性の重合性単量体である。
前記a)のN−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体とb)のアニオン性電解質アクリル誘導体の共重合比率は任意に設定可能であるが、a)のN−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体100重量部に対して、b)のアニオン性電解質アクリル誘導体は5〜60重量部、好ましくは7〜54重量部の範囲に設定することで性能が最大限発揮される。ある程度の吸水速度の上昇効果をもたせる場合には、イオン性樹脂原料であるb)のアニオン性電解質アクリル誘導体が5重量部以上含まれることが重要であり、また、60重量部を超えて共重合されると、高分子マトリックス全体がイオン性の性質を帯びてくるため、高分子ハイドロゲル中で側鎖のイオン基が電離する比率が高くなり、高分子マトリックスの直鎖は常に反発する性質が強くなってくる。この状態で水と接触すると、短時間に高分子マトリックスの網目が開き、より大きな吸水カを発揮することとなる。これにより、ゲル内に水分を保持する絶対的能力が高まり、発汗時等に大量の水分を吸収し易くなり、安定した吸収−放出挙動をし難くなり、ゲル内に水分が蓄積し易い。これによって、粘着力低下などの物性低下を引き起こす傾向が増大する。
逆に、このような状況で安定した吸収−放出挙動をさせるためには、保湿成分の含有量を減らしておけば、ゲル体のトータルの保水力のコントロールが可能であり、水と接触した時のみの物性を安定化させることも可能であるが、水が無い場合には乾燥しすぎて粘着力が低下する等の問題が発生する。従って、通常環境で十分な性能を発揮すると共に、水と接触した場合に安定した吸収−放出挙動がなされるためには前記の範囲を設定するのが理想的である。
前記a)のN−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体と前記c)の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの共重合比率も任意の範囲で設定可能であるが、N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体100重量部に対して(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート3〜30重量部の範囲に設定することで性能が最大限発揮される。腰強度アップの十分な効果を得るには、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートが3重量部以上であることが好ましく、30重量部より多いと、ゲルが硬くなり、粘着力が低下すると同時に、脆くなり、カット面がこすられるとボロボロと崩れ落ちる現象が発現する。
前記d)の架橋性単量体の使用量は、a)N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体、b)アニオン性電解質アクリル誘導体及びc)(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの重合性単量体総量100重量部に対して、0.02〜1.0重量部の範囲であるのが好ましく、0.09〜0.30重量部の範囲であるのがより好ましい。0.02重量部未満の場合、架橋密度が低く、形状安定性が乏しくなり、凝集力が低下し、粘着材自体の保持力が退化し、粘着力が低くなると同時に、剥離時、被着物質に粘着材の一部が残留するなど取扱が悪くなる。更に、吸水能力の点でも、絶対的保水力が増加するため好ましくない。また、1.0重量部を超えて架橋性単量体を使用した場合は、粘着力が弱くなるとともに、硬く脆いゲルになる。
本発明の親水性高分子ゲル粘着材は、保湿性、可塑性を向上させるために多価アルコールを含有させることが好ましい。多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオールなどのジオールの他、グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリグリセリン等の多価アルコール縮合体、ポリオキシエチレングリセリン等の多価アルコール変成体等が使用可能であるが、常温(好ましくは氷点下10℃以上で)で液状、詳細には、ゲル体を実際に使用する温度領域(例えば室内で使用する場合は20℃前後)で液状の多価アルコールを使用することが好ましい。
通常の粘着材は、少なくとも常温より低く、通常は氷点下のガラス転移点(TG)を有し、常温域では流動性を有する高分子を用いるが、親水性の高分子の場合、結晶性が高かったり、水素結合性を有するなど、TGが高くなる傾向が強く、分子の流動性が期待できない。そこで、流動性を付与するために水を溶媒として用いる。しかし、親水性の高分子を水に溶解しただけでは高粘度の水溶液になるだけである。ここで、高分子に架橋構造を導入することで見かけ上固体であるが、高分子自体は溶媒に完全に溶解した状態であるという、いわゆる「ゲル」が生成する。しかし、高分子内部の水は時間と共に蒸発し、やがてゲルは乾燥し、単なるプラスチックの塊と化してしまう。そこで用いるのが湿潤剤である。例えば、湿潤性が非常に高い物質、例えば潮解性を有し、常に水溶液の状態で安定である物質の場合は、常温で固体であっても保湿剤として使用可能である。この場合、常に水を保持することにより、ゲル体を安定化させる。例えば、多価アルコールや一部の糖類の他、無機物である塩化カルシウムや5酸化2リンなどもこの様な物質に該当する。逆に、常温で液体の物質は、湿潤性が極めて低い場合でも、高分子を溶解させる能力を有している物質であれば可塑剤として使用可能である。例えば、溶媒である水が完全に蒸発し、ゲル内部に存在しなくなっても、残された可塑剤が液体であるため、水の代わりに溶媒としての機能を有することになる。この様なことを考慮すると、親水性高分子ゲル粘着材の湿潤剤としては、適度な湿潤性と可塑剤としての効果が期待できる、液状の多価アルコールを使用するのが最適である。
湿潤性については、例えば、大量の水を安定的にゲル内部に保持しようとする場合は、湿潤性が高い、即ち、平衡水分量が高い物質を湿潤剤として使用するが、湿潤性が高い物質を使用したゲル体は、環境の変化、特に湿度に敏感であるという欠点がある。親水性のゲル体を粘着材として使用する場合は、エアコンなどの効いた乾燥気味の室内で乾く事がなく、また、空調が効いていない一般家庭において、梅雨時などに吸湿し過ぎることが無いといった環境に対する鈍感さが求められる。
例えば、粘着材として使用する親水性高分子ゲルに使用する湿潤剤の相対湿度60%における平衡水分率(吸湿性)は、5〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがより好ましい。これにより、必要最低限の水分を保持すると共に、湿度80%付近の高湿度環境下でも極端な物性低下を起こさない親水性高分子ゲル粘着材が得られる。
多価アルコールの使用量は、前記N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体、前記アニオン性電解質アクリル誘導体及び前記(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの重合性単量体総量100重量部に対して、100〜600重量部の範囲であることが好ましく、200〜400重量部の範囲がより好ましい。多価アルコールの使用量が100重量部未満の場合は、得られたゲル体の保湿性が低く、乾燥による物性変化が大きく、また、乾燥後のゲル体は可塑性が低下し、ゲル体本来の柔軟性や弾力性が低くなる。多価アルコールの使用量が600重量部を超える場合は、一見、柔軟で可塑性に富む良好なゲル体が得られるように思われるが、多価アルコールは湿潤剤としての機能も有するため、多量に添加しすぎるとゲルの吸湿性、保水性が高くなりすぎ、安定した吸収−放出挙動を発揮するのが困難となる。また、長時間皮膚に貼付して用いる場合で、かつ、発汗が多い場合などは、多価アルコールの50重量%以上に、3価以上の多価アルコール単量体を含む多価アルコール単量体を重合させた重合体からなり、該重合体が、平均分子量150〜4000、水溶性、かつ{(重合体中に存在するエーテル基の数+重合体中に存在するヒドロキシル基の数)/重合体に存在する炭素原子の数}≧1/3の性質を有する多価アルコール重合体を使用する事により、長時間高粘着を維持させる事が可能となる。前記多価アルコール重合体は、高分子マトリックスや溶媒、特に、前記(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの重合体単量体の末端のヒドロキシル基との親和性が高く、ゲル内部からの湿潤剤の溶出をより低減することができる。又、前記の様な重合体は、結晶性を低下させることができるので、重合体の分子量が高くても液状とすることが可能である。なお、3価以上の多価アルコール単量体ユニットには、重合していないヒドロキシル基が残留していてもよい。3価以上の多価アルコール単量体由来の単位が存在する場合、重合体に未反応のヒドロキシル基が残留しうるため、湿潤性能を向上させることができる。
本発明の含水ゲルに電解質を添加する事により導電性のゲル体が得られる。例えば、心電図電極や低周波治療器、各種アース電極などの生体電極として使用する場合は比抵抗が50kΩ・cm以下であることが好ましい。
電解質としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属やマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属のハロゲン化物、炭酸、硫酸、リン酸等の鉱酸の塩の他、有機酸から誘導される塩やアンモニウム塩などが使用可能で、中性〜弱酸性であるものが好ましい。
この場合、ゲル中の水100重量部に対して、5〜25重量部の電解質を含むことが好ましい。5重量部未満の場合は、ゲル体を低インピーダンス化する事が出来ず、実質、電解質を添加しない場合との差が出ない。逆に、電解質濃度が25重量部を超える場合はゲル中に均一に溶解できず、塩が析出したり、溶け残りが生じたりすることになる。
また、ハイドロゲルに含まれる水は5〜50重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜40重量%である。5重量%未満ではゲルの平衡水分量に対する含水量が少ないため、吸湿性が強くなり、生体に貼付して使用し、発汗などにより水と接触した場合には吸水する傾向が強くなり、吸水した水分を放出せず、ゲル内部に保持し、ゲルが膨潤する可能性がある。更に、外部環境が変化し、湿度が高くなった場合にも吸湿する傾向が高くなる。また、50重量%を超えると親水性高分子ゲル粘着材の平衡水分量との差が大きくなるため、乾燥によるゲルの収縮や、物性の変化が大きくなる可能性がある。
本発明の親水性高分子ゲル粘着材は、厚さが0.01mm〜2.0mmのシート状に成型されていることが好ましい。厚さが0.01mm未満の場合、スリット面や裁断面からゲルのはみ出しが発生しにくく、取り扱い性が良好な粘着材を得られる反面、厚みが薄すぎるため、十分な粘着力を得ることができない。また、厚みが2.0mmを越える場合は、ゲルの厚み方向に圧力が加わった場合、スリット面や裁断面からゲルはみ出しが多く、取り扱い時に余計なところに付着したり、粘着材の加工時に、カット刃や金型等にゲルの破片が付着するためきれいに加工できなかったり、加工速度の低下や、設備のトラブルを発生させる原因となる。また、これら親水性高分子ゲル粘着材は、ゲル表面を保護することが可能な樹脂フィルムを有することが好ましい。
樹脂フィルムの材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリウレタン、ナイロン、スチレン、セロハン、アクリルその他フィルム化が可能な樹脂なら何れも使用可能である。また、これらフィルムは延伸、無延伸を問わない。一部の限られた用途においては、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の塩素系、または、フッ素樹脂を使用することも可能である。樹脂フィルムは、ゲルとの接触面にシリコーンやワックス等による離型処理を行うことが好ましい。これら離型処理は、焼き付け、反応により硬化する硬化型の離型剤を用いることがより好ましい。離型処理は、少なくともフィルムと粘着材が直接接触する面に施される必要がある。また、一枚のフィルムの両面に親水性高分子ゲル粘着材が接する場合は、両面に離型処理を行い、更に、表裏の離型処理の剥離強度を変更することにより、いずれか片方の面をより離型しやすく調節することも可能である。
本発明の親水性高分子ゲル粘着材を短冊状で取り扱う場合は、両面に保護フィルムを有することが好ましい。また、本発明の親水性高分子ゲル粘着材をロール状として取り扱う場合は、両面もしくは片面のみに保護フィルムを設けることが好ましい。
フィルムの厚さは10〜200μmであることが好ましい。厚さが10μm未満のフィルムでは、本発明の粘着材を使用するためにフィルムを剥離する際、人の指にかかりにくく、取り扱いにくい粘着材となる。また、樹脂の材質によっては、ゲル表面を保護するに十分な強度が得られず、実質的にフィルムを用いる意味をなさないこととなる。また、200μmを越えるフィルムは、人の指にかかりやすく、剥離の作業は容易となるが、フィルムが硬くなりすぎるため、指を切ったり、また、裁断時、フィルムに鋭角が生じる加工を施した場合、とがった部分で怪我をするか、或いは、病院などでゴム手袋をしていても、フィルムの鋭角で突き刺すことにより手袋が破損する危険性がある。
本発明の親水性高分子ゲル粘着材は、粘着材の両面を保護する樹脂フィルムのうち、片面のフィルムが、断面積1mmあたりに300gの荷重をかけた時の伸長率が1.0%以下で、もう一方の面のフィルムが1mmあたりに300gの荷重をかけた時の伸長率が5.0%以上であることにより、粘着材の両面に保護フィルムを設けたままロール状に巻き取ることが可能になる。
本発明の親水性高分子ゲル粘着材の片面に水蒸気透過性を有する不織布、織布、フィルムまたは、多孔性樹脂フィルムを補強材として設けることにより、サージカルテープなどの皮膚用粘着テープとして使用することが可能であるが、水蒸気透過性を有する反面、水は透過しない材料を使用することが好ましい。
この様な材料としては、ポリウレタンや、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系フィルム、テフロン(登録商標)等のフッソ系樹脂フィルム等が挙げられる。また、商品名「タイベック」デュポン株式会社製)の名で知られる、水蒸気は透過して水を透過しない特殊な不織布等も使用可能である。中でも、ポリウレタンは柔軟で、伸縮性があり、透明〜半透明の外観を有し、水蒸気を透過し水を透過しないという優れた特性を有しているので最適な材料である。
これら水蒸気透過性の補強材を使用した粘着テープは、補強材が水蒸気透過性を有すると同時に、ハイドロゲルも水分呼吸性を有するため、長時間生体に貼付して用いたとしても、蒸れやカブレが発生しにくくなると同時に、発汗が生じて、ハイドロゲルと水が接触した時も、ハイドロゲルに吸収された水分が、補強材を介して蒸散するために、ゲル内に水分が蓄積しない。従って、ゲルが膨潤状態に陥るリスクを低減できる。同時に、水を透過しないので、手洗い程度の少量の水と接触してもゲルが直接水と接触するのは裁断面のみに抑えられるため、同様にゲルが膨潤状態に陥るリスクを低減できる。
逆に、一般的な不織布を使用しても、通気性がありカブレにくい良好な粘着テープが得られるが、日常生活の中で一瞬でも水と接触する機会があれば、不織布側から即座に水が浸透し、ゲルと水が接する危険性が高くなる。
本発明のゲル粘着材は、シート状に成形される際、必要に応じて中間基材として不織布又は織布を埋設することも可能である。これら中間基材は、ゲルの補強、裁断時の保形性を改善するために用いられる。例えば、ゲル粘着材を加工用の中間素材として流通した場合、末端の加工業者での取り扱いを容易にするために必要である。不織布および織布の材質は、セルロース、絹、麻等の天然繊維やポリエステル、ナイロン、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン等の合成繊維、または、それらの混紡が使用可能であり、必要に応じて、バインダーが用いられ、更に、着色される場合がある。
本発明における高分子ゲル粘着材を得る方法としては、重合性単量体、架橋性単量体、湿潤剤を、溶媒等に、重合開始剤とともに溶解し又は均一分散し、加熱又は紫外線照射等を行うことにより重合架橋して得ることができる。また、あらかじめ重合反応によって形成された高分子マトリックスに、湿潤剤や溶媒等を含潰させることも可能である。
本発明における高分子ゲル粘着材は、必要に応じて防腐剤、殺菌剤、防黴剤、防錆剤、酸化防止剤、安定剤、香料、界面活性剤、着色剤等や、抗炎症剤、ビタミン剤、美白剤その他の薬効成分を適宜添加してもよい。薬効成分を添加する方法としては、あらかじめ配合液に溶解又は分散させ、高分子マトリックスを形成する方法と、一旦生成した高分子ゲル粘着材に後から添加する方法が挙げられる。これら方法の内、ラジカル重合反応を伴うゲル生成時に、薬効成分がラジカルに攻撃され、薬効を失う場合があるため、後者の方法による薬効成分添加の方がより好ましい。
[実施例・比較例]
(実施例1〜8)
表1に示す様に、重合性単量体a)としてのN,N−ジメチルアクリルアミド〔DMAA〕100重量部に対して重合性単量体b)としてのアクリル酸〔AA〕を(A)重量部、重合性単量体c)としてのヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕を(B)重量部、a)〜c)の合計100重量部に対して架橋性単量体d)としてのN,N−メチレンビスアクリルアミド〔MBAA〕を(C)重量部、多価アルコールとしてポリグリセリンを(D)重量部とグリセリンを(E)重量部、イオン交換水を(F)重量部混合、完全溶解した混合液を100重量部とし、これに対して重合開始剤としての1−ヒドロキシ−シクロヘキシルフェニルケトンを(G)重量部完全溶解してモノマー配合液を作成した。次に、シリコーンコーティングされた100μmポリエステルフィルムのシリコーン面を上にして水平に固定し、その上に前記モノマー配合液を滴下し、更にその上面からシリコーンコーティングされた38μmポリエステルフィルムをシリコーン面が下になる様に被せた後、2枚のポリエステルフィルムの間に挟まれた配合液が均一に300μmになる様に固定して、上面から50mW/cmの紫外線を60秒間照射して重合反応させ、親水性高分子ゲル粘着材を得た。詳細を表1に示す。
(実施例9〜10)
実施例1〜8の組成以外に、電解質としての塩化ナトリウムを水に対して(H)重量部を完全溶解したモノマー配合液を作成し、実施例1〜8と同様に重合反応させて親水性高分子ゲル粘着材を得た。詳細を表1に示す。
(実施例11)
N,N−ジメチルアクリルアミド〔DMAA〕のかわりに、N,N−ジエチルアクリルアミド〔DEAA〕を使用した以外は実施例1〜8と同様にして親水性高分子ゲル粘着材を得た。詳細を表1に示す。
(実施例12)
アクリル酸〔AA〕のかわりに、ターシャルブチルアクリルアミドスルホン酸〔TBAS〕を使用した以外は実施例1〜8と同様にして親水性高分子ゲル粘着材を得た。詳細を表1に示す。
(比較例1)
重合性単量体a)としてN,N−ジメチルアクリルアミド〔DMAA〕を使用し、重合性単量体b)及びc)を使用しなかった以外は実施例1〜8と同様にしてサンプルを得た。詳細を表1に示す。
(比較例2)
重合性単量体a)としてN,N−ジメチルアクリルアミド〔DMAA〕、重合性単量体c)としてヒドロキシエチルアクリレート〔HEA〕を使用し、重合性単量体b)を使用しなかった以外は実施例1〜8と同様にしてサンプルを得た。詳細を表1に示す。
(比較例3)
重合性単量体a)としてN,N−ジメチルアクリルアミド〔DMAA〕、重合性単量体b)としてアクリル酸〔AA〕を使用し、c)を使用しなかった以外は実施例1〜8と同様にしてサンプルを得た。詳細を表1に示す。
(比較例4)
重合性単量体a)のかわりにアクリルアミドを使用し、その他の本願に該当する重合性単量体b)及びc)を使用しなかった以外は同様にしてサンプルを得た。詳細を表1に示す。
(比較例5)
重合性単量体としてa)を用いなかった以外は実施例1〜8同様にしてサンプルを得た。尚、比較例15はアクリル酸の使用比率が高くなり、生成するサンプルのpHが低くなりすぎ、実用的ではないため、あらかじめアクリル酸に対して50モル%の水酸化ナトリウムを用いて中和してから使用した。配合量は中和前のアクリル酸の重量を基準に算出した。詳細を表1に示す。
次に、上記実施例及び比較例について、以下のとおり、諸特性を評価した。
[対SUS粘着力]
実施例1〜10および比較例1〜4の粘着力を測定した。結果を表2に示す。
粘着材としての特性を評価するために、実施例1〜10および比較例1〜4の片面にポリエステル製の不織布をラミネートし、20mm幅×150mm長さの短冊状の試験片1を得た。試験片1の粘着面をSUS板に貼付し、温度23±5℃、湿度55±15%環境下で24時間静置後、JIS−Z0237の測定条件に準じて90度剥離粘着力(Y1)を測定した。
[対皮膚粘着力]
実施例1〜10および比較例1〜4の人皮膚に対する粘着力を測定した。結果を表2に示す。
実施例2および3の試験片1の粘着面を人皮膚に貼付し、5時間静置後、JIS−Z0237の測定条件に準じて90度剥離粘着力(Y2)を測定した。
[湿った皮膚への粘着力(WET粘着力)]
実施例1〜10および比較例1〜4の、湿った皮膚に対する粘着力を測定した。結果を表2に示す。
セルローススポンジにイオン交換水を含浸させ、余分な水分を搾り取った。その際、セルロールスポンジの絶乾状態における重量の約2倍の重量の水を含んだ状態に調節した。
湿ったセルロールスポンジで、人間の腕を5回擦る様にして皮膚表面を湿らした。
その直後に試験片を貼付し、15秒経過後、前記対皮膚粘着力試験と同様にして90度剥離粘着力を測定した。
[耐水性の測定]
実施例1、2、10と、比較例1〜4について耐水性の測定を行った。結果を表2に示す。
ポリエステル不織布のかわりに、厚さが50μmのポリウレタンフィルムを粘着材の片面に貼付し、40mm角に切り取った試験片を人の腕に貼付した。貼付する部分は、事前に水洗し、清潔なタオルで十分に拭き取った後、自然乾燥してから試験片を貼付した。
試験片を貼付した直後、貼付面を上にして、腕を約45度に傾け、試験片貼付部分のすぐ上の部分に水道水を垂らした。その時、水の吐出量は10秒間で250mlとした。水道水をかけ始めてから、試験片が腕から完全に脱落するまでの時間を測定し、耐水性の比較を行った。
[吸水測定]
実施例1、比較例4、5について吸水挙動を測定した。結果を表3及び図1、図2に示す。
ポリエステルのメッシュ(織布:品名=ボニーメッシュ)で内寸100mm×50mmの袋を作成し、重量測定した後、20mm×40mmに切り取った粘着材を入れ、重量測定した後、ヒートシールにより封をした。
上記の試験片を袋ごとイオン交換水に浸漬し、1時間、2時間、3時間経過後に袋ごと重量測定し、最終的には袋の重量を差し引いて、ゲルの重量とし、浸漬前のゲル重量を100%とした場合の各時間の重量%をもって吸水倍率とした。
[アルコール接触後の粘着力測定]
アルコールと接触した時に、ゲルの表面が凝集し、粘着力が低下する現象を確認するために、実施例1、比較例4、5についてアルコール接触後の粘着力を測定した。結果を表4に示す。
サンプルの片面に補強用のポリエステルフィルムを貼付し、20mm×120mmに裁断し、試験片を得た。この試験片をエチルアルコールに5分間浸漬し、その後、30分間放置して自然乾燥させ、余分なアルコールを蒸発させた。次に、SUS316の平板に試験片のゲル面を貼付し、粘着力測定と同じ方法でアルコール接触後の粘着力を測定した。結果を表4に示す。

Figure 0004460253

Figure 0004460253
実施例はいずれも、SUS粘着力、皮膚粘着力、WET粘着力ともに良好な結果を示した。比較例1は、両親媒性もDMAAを骨格樹脂に用いると共に、多価アルコールとしてポリグリセリンを使用していることで比較的高粘着であるが、イオン性樹脂を共重合していないため、WET粘着力が低く出ていると考えられる。また、比較例3は、皮膚粘着に対してWET粘着力が比較的高い。イオン性のアクリル酸を共重合しているため、初期の吸水挙動が優れているためと考えられる。更に、比較例2は、(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートを共重合しているため吸水挙動が劣り、WET粘着力が低下していると考えられる。耐水性の測定では、比較例3は吸水挙動が優れるため、脱落するのが早い結果となったと考えられる。逆に、比較例2は吸水挙動が劣る事で、ゲルに水が浸透するのが遅く、長持ちしたと考えられる。尚、比較例1の多価アルコールはポリグリセリンであり、比較例2および3はグリセリンのみを使用している。SUS粘着力と皮膚粘着力において比較例1が良好であるのは多価アルコールの影響である。
実施例9及び10の比抵抗はそれぞれ21kΩ・cm、47kΩ・cmであった。比較のため、実施例1の比抵抗を測定すると4185kΩであり、塩を添加した場合と明らかな差が見られた。即ち、塩を添加する事により導電性を必要とする分野に使用することも可能である。
Figure 0004460253
比較例5は吸水倍率が高すぎるため、長時間貼付の粘着材として使用した場合、汗などの水分を吸収し、ゲルがタンクの役割を果たすため、安定した吸収−放出挙動をせず粘着物性の低下などを引き起こすことになる。図1により、実施例1は約1時間で吸水挙動が安定状態になっていることが認められる。
図2は図1を拡大したグラフである。図2より、比較例4は、実施例1と類似した吸水挙動を取るが、詳細に見ると実施例1は比較例4と比較して吸水速度が速く、飽和に達するまでの時間も短い事が確認できる。逆に、比較例4は3時間時点で飽和に達しておらず、更に吸水するであろう事が予測される。
即ち、短時間で吸水し、平衡に到達する事が、安定した吸収−放出挙動を実現する条件となる。実施例1は安定した吸収−放出挙動を実現している。
Figure 0004460253
実施例1がアルコール接触後30分乾燥させた時の粘着力が初期粘着の77%まで回復しているのに対して、比較例4では29%、比較例5では42%までしか回復しなかった。実施例1においては、アルコールを吸収し、膨潤したために粘着が初期より低下する傾向はあるものの、ゲル表面が凝集することは無く、アルコールが蒸発すれば、ほぼ、もとの状態に回復する。これに対して比較例は粘着の回復が遅い。これは、アルコールを吸収して膨潤するのではなく、ゲル表面が凝集し、多価アルコール等の可塑性分が溶出する事によりゲル表面が硬化し粘着力が損なわれたためと考えられる。
本発明の親水性高分子ゲル粘着材は、生体用電極、医療用粘着材、化粧品、医薬部外品、工業計測用電極、工業用粘着材等の原料として特に好適に用いることができる。この内、生体用電極及び医療用粘着材として使用することが最も好ましい。
図1は水没時間と吸水倍率の関係を示すグラフである。 図2は図1のスケールを拡大したグラフである。

Claims (4)

  1. 架橋された親水性高分子のマトリックス中に、少なくとも水と多価アルコールを含有した粘着材において、
    前記マトリックスを構成する樹脂が、
    a)N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体 100重量部に対して、
    b)アニオン性電解質アクリル誘導体 5〜60重量部、
    c)(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート 3〜30重量部、
    d)架橋性単量体 0.02〜1.0重量部
    の範囲内でこの4種の重合性単量体を共重合した4元共重合体であり、
    前記多価アルコールが、前記N−アルキル変成(メタ)アクリルアミド誘導体、前記アニオン性電解質アクリル誘導体及び前記(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレートの重合性単量体総量100重量部に対して、100〜600重量部の範囲内で含まれ、
    前記水が、前記粘着材全量に対して5〜50重量%含まれる
    ことを特徴とする親水性高分子ゲル粘着材。
  2. 前記粘着材中に、当該粘着材中に含まれる水100重量部に対して、5〜25重量部の電解質を含む請求項1記載の親水性高分子ゲル粘着材。
  3. 前記粘着材の片面に、水蒸気透過性を有すると共に水を透過しないフィルムをラミネートしたことを特徴とする請求項1または2のいずれかの項に記載の親水性高分子ゲル粘着材。
  4. シート状に成型されており、前記粘着材内に不織布又は織布が埋設されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の親水性高分子ゲル粘着材。
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