JP4458593B2 - 光量検出部材およびこれを備える画像読取装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はファクシミリ、パーソナルコンピュータ用のスキャナまたはデジタルPPC等の原稿読取用に使用される画像読取装置である。
【0002】
【従来の技術】
露出した状態のCCD(ベアチップCCD)を用いた光量検出部材およびこの光量検出部材からなる画像読取装置が提案されている(特開平9−61239号と特開平9−83736号とを参照)。
【0003】
図9と図10とは、それぞれ従来の画像読取装置の断面概略図である。図9の画像読取装置1に示す光量検出部材2においては、回路基板3上にレンズ固定用の筐体4を搭載し、その内部に光学レンズ群である3組の光学レンズ5(L1、L2、L3)を固定している。光学レンズL1は色収差補正レンズであり、光学レンズL2は結像レンズであり、光学レンズL3はディストーション補正レンズである。そして、光学レンズL3と、筐体4と、回路基板3とにより密閉空間6を形成し、さらに、回路基板3上にベアチップ状のCCD7を固定し、各電極をボンディングワイヤーなどで回路基板3と接続させている。
【0004】
上記構成の光量検出部材2を画像読取装置1に搭載するに当たって、光源が原稿8を光照射し、その反射光が光学レンズ5を介してCCD7に精度よく結像されるように位置合わせをおこなう。
【0005】
このような画像読取装置1においては、光学レンズ5が筐体4に固定されているが、これに代えて、図10の画像読取装置9に示す光量検出部材10においては、同様の光学レンズ5aが光軸方向に沿って可動できる構成にして、その位置調整でもって原稿8からの反射光が光学レンズ5を介してCCD7に精度よく結像させる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記各画像読取装置1、9においては、筐体4を画像読取装置1の所定部位に固定すること、CCD7が搭載された回路基板3および光学レンズ5をそれぞれ筐体4に固定するという各作業があるが、これらの作業と同時に光学的に精度の高い位置合わせが必要である。図中、X軸方向は主走査方向(CCD7の一次元方向)であり、Y軸方向は副走査方向であって、これら双方の軸方向を調整することで、2次元エリアにおいて歪みのない真っ平らの結像平面となり、さらに、Z軸は光軸方向であって、光学レンズ5の位置調整することで、光学的解像度(MTF)および光学系の倍率を設計値に近づける。また、Z軸回転を調整することで光学レンズ5のMTFを最大にする。
【0007】
しかしながら、このような微調整をおこなうことで、密閉空間6内に非常に微小な塵等が封入されるという課題がある。
【0008】
すなわち、回路基板3を筐体4に固定するに際し、2個のネジを締め込んで固定すると(以下、このようなネジ止め部を螺着部p1と呼ぶ)X軸方向およびY軸方向が調整され、同時に光学レンズ5とCCD7との各光学的な位置も定められるが、もし、調整が所要とおりにできない場合には螺着部p1でのネジをゆるめて再調整しなければならず、これに起因する摩擦により発生する微小な塵やゴミが密閉空間6内に入り、CCD7の受光面に付着して、読取り画像に白すじ、黒すじが発生するなど、画質が低下するという課題があった。
【0009】
図11は、上記各画像読取装置1、9による画像信号のタイムチャートであり、矢印Nにてノイズの発生を示すが、これは塵埃等が受光面の一部に付き、これによって光路が遮られて発生したものである。
【0010】
したがって、本発明は上記事情に鑑みて完成されたものであり、その目的はベアチップCCDの受光面に塵埃、ゴミが付着される度合いを小さくしたり、あるいは皆無となしたりして、これにより、読取り画像の画質を高めた光量検出部材およびこれを備える画像読取装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、簡単な作業でもって容易に作製することで、精度調整に要する時間を短縮し、これによって製造歩留りを高めて、生産コストを低減した光量検出部材およびこれを備える画像読取装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の光量検出部材は、ベアチップCCDを搭載している回路基板を有し、前記ベアチップCCDが内部に配されている筐体と、前記ベアチップCCDに光学的位置合わせがされている光学レンズが設けられているレンズ取着用筐体とを備えており、前記筐体は、開口を有しており、該開口を除いて密閉されており、かつ当該開口を含む部位が前記レンズ取着用筐体に挿入されて、前記筐体と前記レンズ取着用筐体とが入れ子状に接合されるとともに、前記筺体と前記レンズ取着用筐体との接合部が面接触しており、前記ベアチップCCDと前記光学レンズとの前記光学的位置合わせは、前記筐体を前記レンズ取着用筐体に入れ子にした状態で前記筺体と前記レンズ取着用筐体との固定位置が調整されることにより、調節可能に構成されていることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明を600DPIの解像性をもつ画像読取装置(読取り幅310mmのベアチップCCD)を例にとって図1〜図8により詳述する。
【0014】
図1は光量検出部材11の断面概略図であり、図2は光量検出部材11を搭載した画像読取装置12の断面概略図である。図3は図2に示す画像読取装置12に対し矢印Aから見た断面概略図である。図4は光量検出部材13のスリット側から見た概略図であり、図5は光量検出部材13を搭載した画像読取装置14の断面概略図であり、図6は画像読取装置14の具体的な構造を示す画像読取装置14aの斜視図であり、図7は画像読取装置14aの要部分解斜視図である。図8はXY軸方向の調整方法を示す概略図である。
【0015】
図1の光量検出部材11において、ポリカーボネート製の筐体16の内部にガラスエポキシからなるプリント基板の回路基板17を設け、この回路基板17上にベアチップCCD18を搭載し、各電極をボンディングワイヤーなどで回路基板17と接続させている。回路基板17の外側面には、IC、オペアンプ、抵抗、コンデンサ等の各種電子部品チップを設ける。また、ベアチップCCD18に対向して図4に示すようにシェーディング補正機能を有するスリット26を有し開口部を具備する板状体19が筐体16に設けられている。そして、スリット26に封止部材を着脱自在に配設することで、筐体16は、この画像読取装置12の製造工程においては、一時的に気密封止され、他のレンズ筐体と接合する直前まで密閉空間20が形成される。
【0016】
図2と図3とは、光量検出部材11を画像読取装置12に搭載した際の取着構造を示し、21は光学レンズであり、22は光学レンズ21が設けられたレンズ取着用筐体であり、たとえばポリカーボネートで作製する。光学レンズ21には、たとえば前記光量検出部材2に用いた3組の光学レンズ5(光学レンズL1:色収差補正レンズ、光学レンズL2:結像レンズ、光学レンズL3:ディストーション補正レンズ)を用いる。23は画像読取装置12の画像読取本体の一部であるベースプレートであり、ベースプレート23にレンズ取着用筐体22が固定される。また、24は画像読取装置12にて読み取るべき原稿である。さらに画像読取本体にはLED、キセノン管、冷陰極管などの光源を設ける。
【0017】
上記構成の画像読取装置12を作製するには、下記(1)〜(3)の各実装工程を順次経る。なお、工程(1)と工程(2)との順序を変えてもよい。
【0018】
工程(1)...回路基板17上にベアチップCCD18を搭載し、その回路基板17を筐体16の内部に固定する。さらに、板状体19を筐体16に固定する。この板状体19は、スリット26に封止部材が着脱自在に貼付された構造である。そして、この工程により封止部材でもって密閉空間20を形成する。この封止部材は、粘着性のテープでよく、その他にプラスチックキャップ等をスリットに嵌合させてもよい。
【0019】
回路基板17の上にベアチップCCD18を搭載するには、ダイマウンターを用いておこなう。その後に絶縁性接着剤(ダイアタッチペースト)でもって固定する。そして、ワイヤーボンディングによってベアチップCCD18の端子と、回路基板17上の配線とを電気的に接続する。
【0020】
工程(2)...光学レンズ21をレンズ取着用筐体22に設置する。そして、このレンズ取着用筐体22をベースプレート23に固定する。
【0021】
光学レンズ21をレンズ取着用筐体22に固定するには、樹脂系、シリコン系の接着材を用いる。光学レンズ21を合成樹脂で構成した場合には超音波溶着法によって接合させてもよい。
【0022】
また、レンズ取着用筐体22は、たとえばプレス板金であるベースプレート23に対し2個程度のネジでもって固定する。さらに、ベースプレート23とレンズ取着用筐体22とを一体化させたものであってもよい。あるいは、レンズ取着用筐体22とベースプレート23とを接着剤を使って固定してもよい。
【0023】
工程(3)...工程(1)にて得られた筐体16をレンズ取着用筐体22に固定する。その際には直前に封止部材を板状体19より剥がし、そして、2個のネジを締め込んで固定される(螺着部p2)。そして、同時に光学的に調整する。
【0024】
この光学調整を図10を用いて説明する。画像読取装置12に対し規定の調整用の特殊なテストチャート32を用意し、外部照明(光源)によりテストチャート32を光放射し、縮小光学系レンズ36を通して、ベアチップCCD18に結像させ、画像を光電変換させる。そして、ベアチップCCD18から取り込んだアナログ信号データをオシロスコープ33によりモニタしながら、画像処理コントローラ34に接続されたパソコン35で処理する。具体的には、白地のチャート上の主走査方向の細い黒色のラインを読むように画像読取装置12を固定し、焦点を合わせながら、ベアチップCCD18の信号出力が、そのラインに対応して均一になるように、X軸方向およびY軸方向にて2次元的に調整する。そして、同時に、そのチャート上のラインに焦点を合わせるべく、画像倍率、画像解像度(MTF)が最適になるように、レンズ群の位置も調整され、Z軸方向とともに、θ調整される。チャート上には、倍率用、MTF用のパターンが形成され、それぞれの調整に際しては、画像読取装置12のためのステージが動き、チャートと画像読取装置12との位置関係が決められる。
【0025】
このような固定方法でもって、X軸方向およびY軸方向でもって2次元的に調整することができ、さらにZ軸方向に隙間等によるゆがみが生じなくなる。本例では螺着部p2を2か所にしたが、さらに3か所、4か所にまで増やすことで、確実に固定できる。
【0026】
以上のとおり、画像読取装置12については、工程(2)にてレンズ取着用筐体22をベースプレート23(画像読取本体)に固定することで、光学レンズ21の位置合わせがおこなわれ、Z軸方向に対する位置が規定され、その後、工程(3)にて筐体16をレンズ取着用筐体22に固定するに当たって、螺着部p2でもってX軸方向およびY軸方向を調整することで光学的位置合わせがおこなわれる。
【0027】
しかる後に性能検査をおこなうが、この性能検査には、a)ゴミによる信号低下の有無、b)光学特性、c)出力の調整、という各項目の電気検査をおこなう。
【0028】
かくして、上記構成の画像読取装置12においては、一時的に直前まで気密封止された筐体16をレンズ取着用筐体22に固定すると同時に、螺着部p2で位置合わせをおこなうが、もし、調整ができない場合には螺着部p2でのネジをゆるめて再調整した場合でも、筐体16のスリット(開口)が狭いことで、それにより生じた微小な塵、ゴミが筐体16に入りにくくなった。
【0029】
つぎに図5〜図7に示す他の光量検出部材13(画像読取装置14、14a)を述べる。
【0030】
上記光量検出部材11では、電子部品チップを設けた回路基板17を使用したが、これに代えて光量検出部材13においては、セラミック回路基板25を用いて、その上にベアチップCCD18を搭載している。なお、光量検出部材11と同一箇所には同一符号を付す。
【0031】
そして、光量検出部材13を画像読取装置14、14aに搭載するに当たって、光量検出部材13の筐体16の外側面にIC、オペアンプ、抵抗、コンデンサ等の各種電子部品チップ(インターフェース回路)を設けたガラスエポキシからなるプリント基板の回路基板27を設置している。図6に一例としてコネクタ28を設けた場合を示す。
【0032】
上記構成の画像読取装置14、14aにおいても、一時的に直前まで気密封止された筐体16をレンズ取着用筐体22に固定すると同時に、螺着部p2で位置合わせをおこなうことで、微小な塵、ゴミが筐体16に入りにくくなった。
【0033】
具体的には、図7に示すようにタップネジ37を筐体16に設けた大きな貫通孔39にゆるやかな状態でもって挿入し、レンズ取着用筐体22に設けた穴40にねじ込むことで、X軸方向およびY軸方向に対し自在に動かすことでき、調整でき、そして、位置が定まることで、さらに締める。また、筐体16とレンズ取着用筐体22との外枠接合部は面接触でもって当たる構成になっているが、レンズ取着用筐体22の接触面には溝41が形成されているので、ゴミ等が面上に存在しても、それが溝41の内部に入る構造で、かつ筐体16の開口(スリット)が接触面よりはるかに遠くに位置するので、ゴミ不良等を著しく低減できる。
【0034】
なお、本発明は上記実施形態例に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更、改良等は何ら差し支えない。
【0035】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明の光量検出部材によれば、ベアチップCCDを搭載している回路基板を有する筐体と、前記ベアチップCCDに光学的位置合わせがされている光学レンズが設けられているレンズ取着用筐体とを備えており、前記筐体は、開口を有しており、当該開口を含む部位が前記レンズ取着用筐体に入れ子状に挿入されて、前記筐体と前記レンズ取着用筐体とが接合されていることで、ベアチップCCDの受光面に塵埃、ゴミが付着される度合いを小さくしたり、あるいは皆無となしたりして、これにより、読取り画像の画質を高めることができる画像読取装置を提供することができる。
【0036】
また、本発明の光量検出部材においては、前記筐体と前記レンズ取着用筐体との光学的位置合わせが、前記筐体を前記レンズ取着用筐体に入れ子にした状態で調節可能に構成されていることで、X軸方向およびY軸方向の2次元的な調整をし、さらにZ軸方向の調整もしながら、同時に光量検出部材を画像読取本体に固定でき、このような簡単な作業でもって容易に作製することで、精度調整に要する時間が短縮でき、これによって製造歩留りが高くなり、その結果、生産コストを低減した画像読取装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像読取装置に使用する光量検出部材の断面概略図である。
【図2】 本発明の画像読取装置の断面概略図である。
【図3】 本発明の画像読取装置の断面概略図である。
【図4】 本発明の画像読取装置に係る光量検出部材のスリット側から見た概略図である。
【図5】 本発明の他の画像読取装置の断面概略図である。
【図6】 本発明の画像読取装置の要部具体的構成を示す斜視図である。
【図7】 本発明の画像読取装置の要部分解斜視図である。
【図8】 X軸/Y軸方向の調整方法を示す説明図である。
【図9】 従来の他の画像読取装置の断面概略図である。
【図10】 従来の他の画像読取装置の断面概略図である。
【図11】 従来の画像読取装置による画像信号のタイムチャートである。
【符号の説明】
1、9、12、14、14a、14b・・・画像読取装置
2、10、11・・・光量検出部材
3、17、27・・・回路基板
4、16・・・筐体
5、5a・・・光学レンズ
6、20・・・密閉空間
7・・・CCD
8、24・・・原稿
18・・・ベアチップCCD
19・・・板状体
21・・・光学レンズ
22・・・レンズ取着用筐体
23・・・ベースプレート
25・・・セラミック回路基板
26・・・スリット
Claims (4)
- ベアチップCCDを搭載している回路基板を有し、前記ベアチップCCDが内部に配されている筐体と、前記ベアチップCCDに光学的位置合わせがされている光学レンズが設けられているレンズ取着用筐体とを備えており、
前記筐体は、開口を有しており、該開口を除いて密閉されており、かつ当該開口を含む部位が前記レンズ取着用筐体に挿入されて、前記筐体と前記レンズ取着用筐体とが入れ子状に接合されるとともに、前記筺体と前記レンズ取着用筐体との接合部が面接触しており、前記ベアチップCCDと前記光学レンズとの前記光学的位置合わせは、前記筐体を前記レンズ取着用筐体に入れ子にした状態で前記筺体と前記レンズ取着用筐体との固定位置が調整されることにより、調節可能に構成されていることを特徴とする光量検出部材。 - 前記筐体は、前記開口部にシェーディング補正機能を有するスリットが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の光量検出部材。
- 前記レンズ取着用筐体は、前記筐体と面接触をしている接触面に、当該接触面の外周に沿って溝が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光量検出部材。
- 請求項1から請求項3のいずれかに記載の光量検出部材を備えており、
前記光学レンズを通してベアチップCCDに結像させる画像を読み取ることを特徴とする画像読取装置。
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