JP4457784B2 - 易開封容器 - Google Patents
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Description
このような剥離の際に、手の指に剥離させるための引き剥がす力を加えなくとも開封可能な容器が種々開発されてきている。例えば、指でつまんで折り曲げ操作をすることにより、内容物を抽出できるディスペンサーパッケージといわれる小型の分配包装体で、主にソース、ドレッシング等の粘度の低い液体の包装容器として提案され市場に供されている。この分配包装体は比較的堅固で平坦なシート状の蓋の裏面に可撓性を有する容器体の周縁部を固着してポケット部を形成し、このポケット部の中に内容物を封入すると共に、蓋の表面中央を通る軸線を、前記蓋を折り曲げ易いようにするために蓋材の厚さの半分程の切れ目(ハーフカット)等を施した折り曲げ線として形成し、さらには内容物の抽出を容易にするために前記軸線の中心にはピラミッド状或いは円錐台状等の突起を設けた構造としてある(特許文献1参照)。
さらに、錠剤等の包装体で、ポリ塩化ビニールシートから成形された底材とアルミニウム箔の蓋材からなり、深さ方向の切り込みに力を加えて押し切ることで開封するプレススルーパック(PTP)包装体も知られている(特許文献3参照)。
また、飴菓子等を柔軟材包装材料でシール包装する包装方法において、片手の指で前記飴菓子等をつまんで押すことにより開封できる程度に、包材の一部を弱い接着強度とした飴菓子等の密封包装方法が開示されている(特許文献4参照)。
特許文献2に開示された包装体は、電子レンジ加熱調理する際に、包装体内の温度と内圧との上昇による膨張、破裂を回避するガス抜きのために、弱接着領域のシール部分より蓋材が部分的に剥離するもので、前記包装体はその使用目的が電子レンジ加熱調理用に限定されると共に、内容物の取り出しを容易にするものではない。
特許文献3に開示されたプレススルーパックの開封においては、内容物を取り出すために深さ方向の切り込みに力を加えて押し切っても、その力加減で内容物が包装体内に引っ掛かったり、或いは勢いよく飛び出して落としてしまい、特に、高齢者、女性、幼児等には開封しづらいといった問題がある。
特許文献4に開示された飴菓子等の密封包装では、通常使用されている包装のシール強度1200g以上/15mm幅を1000g/15mm幅未満として、開封時に破裂音を生じる程度に接着しているが、片手の指でつまんで押して開封する際に、その力加減で確実に開封できなかったり、或いは勢いよく飛び出して落としてしまうという問題点がある。
本発明の他の目的は、片手でフランジ部をその相対する位置から容器内側方向に押圧して押圧変形することにより、容易に開封可能な易開封容器を提供することにある。
本発明においては更に下記の態様とすることができる。
(1)前記下向き勾配面の角度が10〜90度である、
(2)易開封部を開封するにあたって前記フランジ部を押圧する位置に押圧部材が設けられていること、
(3)前記押圧部材が、フランジ部から少なくとも部分的に垂下するスカート形状で形成されていること。
さらに、本発明の易開封容器によれば、輸送、保管等における落下時おいては、易開封が形成されていても全体のシール強度として落下時に剥離が防止できれば良く、容器本体とシール蓋とのシール強度の管理が容易である。
[易開封容器]
本発明の易開封容器は、容器本体と、前記容器本体のフランジ部にシールされたシール蓋とからなる易開封容器であって、前記フランジ部をその相対する位置(押圧位置)から容器内側方向に押圧してフランジ部を変形させることにより、押圧方向とその中心部の直交方向のフランジ部に形成した易開封部を開封することを特徴とする。変形後に易開封部が長径方向に存在するならば、どの位置からフランジ部を押圧しても構わないが、持ち易さ、開け易さという観点から、易開封部が存在する長径方向とその中心部の直交方向の押圧位置から容器内側方向に変形させるのが望ましい。
図1において、易開封容器は、カップ状の容器本体1とシール蓋2とから構成される。容器本体1は、側壁部4及び底部5を有し、側壁部4の開口端部にフランジ部3が形成されている。容器本体1のフランジ部3とシール蓋2とはシールされて密封構造になっている。そして、容器本体1の中心線、或いはその近傍上におけるフランジ部3の相対する位置を、前記フランジ部3を容器内側方向に押圧変形させる押圧位置6とし、図2の平面図に示すように、押圧位置6の押圧方向とその中心部(「その中心部」とは相対する押圧位置の中心部を意味する)で直交する一方のフランジ部に易開封部7が設けられている。そして、前記易開封部7のフランジ円周方向の開封長さは、特に制限はなく内容物の取り出し等を考慮して決定されるが、内容物が液体の場合には短くてよく、内容物が固形物の場合には内容物が容易に取り出せる程度の長さとする必要がある。フランジの押圧位置から押圧して容器本体とそのフランジ部の変形に伴う剥離力等を考慮するとフランジ部3の円周方向における開封部7長さは、容器本体の開口部の中心部を基準として、フランジ部3の円周方向に30〜160度程度とするのが好ましく、30〜120度とするのがより好ましく、30〜90度とするのが特に好ましい。
尚、本発明の易開封容器においては、その容器の使用目的により、前記した易開封部を一次開口部とし、この部分を指でつかんで他の部分(残りの部分)を剥離することもできる。
容器本体のフランジ部の剛性は、変形に必要な押圧力で示すことが可能である。容器本体のフランジ部の径方向への押圧変形を曲がりばりのたわみと考えると、以下の式で直径の変化量を表すことができる(図4参照)。
Dy=−(PR3/EI)((π2−8)/4π)
Dx=−(PR3/EI)((4−π)/2π)
前記式中、記号は下記の意味である。
Dy:鉛直方向直径の増加 Dx:水平方向直径の増加 P:押圧力、
R:容器口部半径 E:縦弾性率 I:2次慣性モーメント
容器口径、容器本体材料、フランジ部の厚みを決めれば、押圧力に対する直径変化量が決まる。本易開封容器の場合、押圧力は摘み力で表されるため、片手開封可能な摘み力を設定することにより、片手開封可能な範囲の直径変化量が定まる。
以下、本発明の易開封容器の好ましい態様について説明する。
本発明の易開封容器における容器本体は、カップ状で、側壁部の開口部が円形又は楕円形であることが望ましい。また、容器本体の大きさは、フランジ部を押圧位置から容器内側方向に押圧することにより変形させることが可能で、前述した作用を発生することが可能な材料、大きさ、形状であれば特に制限はない。
材料としては、樹脂単独から形成することができ、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリアミド6、ポリプロピレン、ポリスチレン等の熱可塑性樹脂を広く使用することができる。一方、容器本体の基材としてヒートシール性を有しない樹脂を使用し、かつフランジ部が蓋材とヒートシールでシールされる場合は、少なくともヒートシール性を有する樹脂を、その容器内面の全面乃至はフランジのヒートシール面に積層させる必要がある。
ヒートシール性を有する樹脂としては、例えば、低、中、高密度ポリエチレン(PE)、アイソタクテイックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸乃至その無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点又は低軟化点のポリアミド又は共重合ポリアミド、比較的低融点又は低軟化点のポリエステル又は共重合ポリエステル樹脂等が挙げられる。
容器本体の大きさとしては、内容量5ml乃至100ml程度、また、形状としては特に制限はないが、円形カップ状、多角形カップ状、円柱形状、多角形柱形状、半球状が挙げられるが、図1に示すような外観形状のものが特に望ましい。
シール蓋は、容器本体のフランジ部の変形にある程度追従して変形し、かつ易開封部に張力を発生させ、かつ前記張力の発生によるフランジを迫り上がりさせる程度の剛性、可撓性が必要である。
シール蓋材としては、フランジ部とのシール性、易開封部の形成、その他ガスバリア性等の機能付与といった目的に応じて任意に選択することができ、具体的にはある程度の引っ張り破断強度を有する金属箔層乃至はポリエチレンテレフタレート、ナイロン6等の未延伸または延伸フィルムを使用することができる。
また、例えば、容器本体の構成材料として例示した低、中、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、アイソタクテイックポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン系不飽和カルボン酸又はその無水物でグラフト変性されたオレフィン樹脂等のオレフィン系樹脂、比較的低融点又は低軟化点のポリアミド又は共重合ポリアミド、比較的低融点又は低軟化点のポリエステル又は共重合ポリエステル樹脂であって可撓性に富むものが使用できる。
また、シール蓋材に、酸素バリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性、フレーバーバリア性、紫外線等の光線バリア性等のバリア性を付与することもできる。前記バリア性を付与する場合は、例えば、ガスバリア性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリアミド樹脂、ガスバリア性ポリエステル樹脂、環状オレフィン系共重合体などを用いることができる。ガスバリア性に酸素吸収性を付与することも可能で、酸素吸収性樹脂としては、遷移金属触媒と酸化性有機成分、或いはそれらをバリア性樹脂に含有する任意のものが挙げられる。
また、シール蓋材には、容器本体の形状に対応する絵柄、文字等をグラビア印刷等の公知の方法で印刷したものも用いることができる。
本発明の易開封容器は、そのフランジ部とシール蓋がヒートシール、或いは接着剤を用いてシールされるが、容器本体の内容物充填後のシール工程を考慮するとヒートシールが好ましい。容器本体とシール蓋をヒートシールする場合は、前述した材料を適宜組み合わせることにより、容易にヒートシールを形成することができる。
接着剤を用いる場合は、特に材料は限定されないが、酸変性オレフィン系樹脂、例えば、無水マレイン酸グラフトポリエチレン、エチレン・メタクリル酸共重合体、及び無水マレイン酸グラフトポリプロピレン、並びにウレタン系接着剤などが例示できる。
尚、以下の説明において、態様1〜3は、本発明の範囲外の参考例である。
1.易開封容器における易開封部の態様1
参考例である易開封容器の易開封部の態様1は、図1及び図2に示したフランジ部3の易開封部7を、シール強度が弱い弱シール部とする。そして、容器本体1のフランジ部3とシール蓋2で形成する易開封部の弱シール部、或いは弱シール部を除くシール部の好ましいシール強度は、容器の大きさ及び形状、容器本体に使用する材料、また押圧により生ずるシール蓋の張力、フランジの迫り上がり、及び容器内圧等により変わるのでこれらを考慮して決定することができる。
易開封部7をヒートシールにより弱シール部とする方法を以下に例示する。
(1)弱シール部を形成させるシールヘッド温度を他の強シール部を形成させるシールヘッド温度より低く及び/又はシール時間を短くしてシール密封を行う。この場合、用いるシーラントは次の2つのどちらかの特徴を有することが望ましい。
(i)温度又は時間を増加させるとシール強度が緩やかに上昇する。
(ii)温度又は時間を増加させた際、シール強度一定となる2カ所の平衡部を有する。
(2)容器成形時または成形後に、フランジ部の弱シール部を他の強シール部より結晶化を進行させることにより、同じシール条件で部分的な弱シールを可能とする。
(3)その他に公知の易開封シール方法を用いることも可能である。例えば、フランジ部の易開封部のシール幅を他の部分のシール幅よりも減少させる、などである。
前記弱シール部のシール強度は、一般的には15N/15mm幅以下程度にするのが好ましい。
また、易開封部以外の容器本体のフランジ部とシール蓋は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂は優れたヒートシール性樹脂であり、容器本体とシール蓋のシール材(シーラント層)を同種の樹脂を組み合わせてヒートシールすれば良く、一般的にはシール強度を20N/15mm幅以上、押圧の際の開封を確実に防止するには25N/15mm幅以上が好ましい。
参考例である易開封容器の易開封部の態様2は、図1及び図2に示したフランジ部3の易開封部7を、剛性の低いフランジ部(低剛性フランジ部)、即ち、他のフランジ部よりも剛性の低いフランジ部とする。
易開封部の態様2においては、容器本体1のフランジ部3とシール蓋2間のシールが、全体的に均一のシール強度であっても、前述した段落[0011]の原理によってフランジ部3の易開封部7が、相対するフランジ部分より変形量が大きいため、前記易開封部7を容易に開封することができる。
この場合、薄肉化の割合は容器本体形状、容器本体1及びフランジ部3を形成する材料の剛性により一概にはいえないが、フランジ部3の薄肉化部分は、他のフランジ部の肉厚の30〜90%程度にするのが望ましい。
易開封部が態様2である易開封容器は、例えば容器本体を成形する際、フランジ形成部の金型クリアランスに段差を設けて部分的に薄肉化することにより製造することができる。
参考例である易開封容器の易開封部の態様3は、図1及び図2に示したフランジ部3の易開封部7以外のフランジ部3の剛性を高める手段(剛性補強手段)9を形成する。
このような剛性補強手段9としては、(i)図6に示すフランジ部3の外周端部から垂下するスカート部9a、(ii)図7に示すフランジ部に形成した突起9b、(iii)図8に示すフランジ部3の下面の胴部に嵌合した補強部材9c等が例示できる。
前記(i)におけるスカート部の好ましい形状は、易開封容器の大きさ、容器本体材料の剛性等により変動するが、スカート部の垂下する長さは1〜15mm程度が望ましい。前記(ii)における突起の好ましい断面形状は特に限定されるものではなく図7に示すような半円状の他に、多角形状等の剛性を高める手段を形成するものであればよい。また、前記(iii)における補強部材の形状として、C又はU字形状が例示できる。
(iii)は、容器成形後、又は内容物充填後、フランジ部の下面の胴部に嵌合可能な補強部材をはめ込むことにより製造することができる。
この態様は、本発明の態様である。この易開封容器の易開封部の態様4は、図1及び図2に示したフランジ部3の易開封部7を、図9及び図10に示すように、フランジ部3の易開封部7と相対するフランジ部をフランジ水平面を基準として、フランジ外方先端部に向かって下向き勾配面11とし、さらに、前記下向き勾配面11の相対するフランジ部3(易開封部7)を、フランジ部水平面を基準として外方先端部に向かって水平ないし上向き勾配面10とする。
一方、上向き勾配面10の角度βは材料やフランジ厚みにもよるが50〜60度付近で剥離に必要な力が最小になる。そのため変形によりフランジが迫り上がった結果として、その角度になることが望ましい。角度βは材料やフランジ厚み、容器形状にもよるが、0度〜45度、好ましくは0度〜30度である。
また、フランジ部3の円周方向における下向き勾配面11(開封部7)長さは、容器本体の開口部の中心部を基準として、フランジ部3の円周方向に30〜100度とするのが好ましく、40〜90度とするのが特に好ましい。
一方、上向き勾配面10は、容器開口面の中心部を基準としてフランジ円周方向に30〜120度程度とするのが好ましく、30〜90度とするのがより好ましい。易開封部が態様4である易開封容器は、例えば充填シール後、フランジ部を加熱し軟化させて後加工することができる。
また、押圧部材12は、フランジ部3から少なくとも部分的に垂下したスカート形状とするのが好ましく、その垂下する長さ、幅等の形状は容器全体の大きさにもよるので特に限定されるものでないが、垂下する長さは3〜15mm程度、幅は10〜25mm程度の範囲で、フランジ部3を指で押して変形させる際に、指、手に負担、痛みを感じないような形状とするのが望ましい。
2 シール蓋
3 フランジ部
4 側壁部
5 底部
6 押圧位置
7 易開封部
8 剛性低下部
9 剛性補強手段
10 水平ないし上向き勾配面
11 下向き勾配面
12 押圧部材
Claims (4)
- 容器本体と、前記容器本体のフランジ部にシールされたシール蓋とからなる易開封容器であって、前記フランジ部には、フランジ部水平面を基準として、外方先端部に向かって下向き勾配面となっている下向き領域と、容器本体中心部を間に挟んで該下向き領域に相対する部分に位置し且つフランジ部水平面を基準として外方先端部に向かって水平ないし上向き勾配面となっている易開封部とを有しており、前記フランジ部について、前記下向き領域と易開封部とを結ぶ方向に対して直交する方向で互いに相対する位置を、容器内側方向に押圧してフランジ部を変形させることにより、該フランジ部に形成した易開封部が開封可能となっていることを特徴とする易開封容器。
- 前記下向き勾配面の角度が10〜90度である請求項1に記載の易開封容器。
- 易開封部を開封するにあたって前記フランジ部を押圧する位置に押圧部材が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の易開封容器。
- 前記押圧部材が、フランジ部から少なくとも部分的に垂下するスカート形状で形成されていることを特徴とする請求項3に記載の易開封容器。
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