JP4457658B2 - インクジェットプリンタ及び画像記録方法 - Google Patents
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前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定手段により決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整手段と、
を備えることを特徴としている。
前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
を備えることを特徴としている。
表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程にて前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定工程にて決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整工程と、
前記インク量調整工程により調整されたインク量で前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
を備えることを特徴としている。
表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像形成工程における前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
前記組合決定工程により組み合わせが決定されたインクで前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
を備えることを特徴としている。
図1は、本発明が適用された第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの主要部を示した断面図であり、図2−1は、図1のインクジェットプリンタに備わる制御装置の要部構成を示したブロック図であり、図2−2は、図2−1の制御装置に備わるROMの内部構成を示した図である。
給紙従動ローラ312bは、挟持機構313の一端部に配設されている。
挟持機構313は、給紙従動ローラ312bを旋回自在となるように回転自在に軸支されており、給紙従動ローラ312bを旋回させて記録媒体Pに当接させることで、給紙従動ローラ312bと給紙ローラ312aとにより記録媒体Pが挟持された状態となる。
なお、挟持機構313は、手動により操作可能となるように構成されているが、給紙ユニット(図示略)の蓋を閉じる等の動作に連動させ、記録媒体Pのセット後に、給紙従動ローラ312bと給紙ローラ312aとによる記録媒体Pの挟持が自動的に行われるような構成としても良い。
搬送ローラ部314〜316の各々は、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ314a〜316aと、搬送ローラ314a〜316aと記録媒体Pを挟むように配置され、搬送ローラ314a〜316aとの協働により記録媒体Pを供給する従動ローラ314b〜316bとを備えている。
これら搬送ローラ部314〜316は、画像記録時に、各駆動源が所定方向に回転することで搬送ローラ314a〜316aを回転させて、各搬送ローラ部314〜316によって挟持された状態の記録媒体Pを搬送経路の上流側から下流側に向けて搬送する。
従って、給紙ローラ部312側から送られてきた記録媒体Pを画像形成部2に対して給紙する際に、搬送ローラ317aと異物除去ローラ317bとの間に記録媒体Pを引き込んで挟持した状態となり、これにより、記録媒体Pの画像形成面に付着している異物が、異物除去ローラ317bの表面の異物粘着部によって粘着除去され、さらに異物粘着部に付着した異物が、清掃ローラ317cの異物粘着部によって粘着除去されることとなる。
なお、第1の異物除去機構317に備わる各種ローラは、記録媒体Pの給紙時おいては、給紙ローラ312a並びに第1の搬送ローラ314aと略等しい速度で回転するようになっている。
紙粉除去ブラシ318aは、記録媒体Pの上下両面を摺動可能となるように記録媒体Pを上下に挟んで2つ設けられており、各紙粉除去ブラシ318aは、例えば導電性を有する材料から構成され、記録媒体Pの静電気を除去して記録媒体P上の紙粉を取り除き易くなるようになっている。なお、紙粉除去ブラシ318aは、少なくとも記録媒体Pの画像形成面を摺動可能となるように画像形成面側に1つだけ設けられていても良い。また、紙粉除去ブラシ318aとしては、図示したようなブラシに替えて、回転するローラ状のブラシであっても良い。
吸引ファン318bは、例えば、インクジェットプリンタ100の外側に連通するように構成されており、吸引ファン318bのインクジェットプリンタ内部側には、吸引ファン318bにより吸引される紙粉を収集するためのフィルター318cが設けられている。また、吸引ファン318bから生じた送風を、記録媒体Pの画像を乾燥させるための乾燥部6からの送風に替えて使用可能となるような構成であっても良い。
搬送ローラ322は、弦に沿って切り欠いてなる断面半月状に形成されており、この搬送ローラ322が回転することで、搬送ローラ322の断面円弧状の外周面部が記録媒体載置部321のケース1内部側の端部とともに記録媒体Pを挟んだ状態となり、これにより記録媒体Pを引き込んで第1の異物除去機構317側に供給する。このとき、従動ローラ323は、搬送ローラ322の断面円弧状の外周面部とともに記録媒体Pを挟んだ状態となって従動回転するようになっている。
このとき、搬送経路の第1の異物除去機構317と給紙ローラ部312との間に配設された記録媒体検知センサ319によって、記録媒体Pの先端が検知されると、記録媒体Pの引き込みを停止して、給紙ローラ部312よりも収納部31a側に記録媒体Pが引き込まれないようになっている。
ここで、図3は、画像形成部2を記録媒体Pの搬送方向の下流側上方から斜め下向きに見て示した斜視図であり、図4−1は、記録ヘッドのノズル面に構成されたノズル列を模式的に示した図である。
さらに、各記録ヘッド22は、その内部にピエゾ素子(圧電素子)といった吐出手段(図示略)が設けられており、吐出手段の作動により各吐出口221からインクを滴として別個に吐出する。
また、リニアスケール26及びリニアエンコーダセンサ27については後述する。
また、本体部41は、その略中央部に設けられ、記録媒体Pの搬送時に記録媒体Pを通過させる通紙口の下側にてこの通紙口の長手方向に沿って設けられ、ロータリーカッター421に下側から接触可能な固定刃411を備えている。
なお、通紙口の高さは、第2及び第3の搬送ローラ部315、316における搬送経路の高さと略等しくなっている。
なお、カッター部42は、記録媒体Pの切断時以外は、本体部41のいずれか一方の端部に移動して記録媒体Pの通紙口の通過を妨げないようになっている。
これら紙粉除去ブラシは、例えば、記録媒体Pの切断時に移動するカッター部42に伴って移動し、このとき、記録媒体紙粉除去ブラシが記録媒体Pの画像形成面を摺動し、カッター紙粉除去ブラシがロータリーカッター421の表面を摺動するように構成されているのが望ましい。
切断片回収部43は、記録媒体Pの搬送経路を構成するとともに回収される切断片を回収容器433側に案内するための切換弁431と、切換弁431の下方に設けられ、上下に延在する案内通路432と、案内通路432の下端に接続し、切断片を回収するための回収容器433とを備えている。
切換弁431は、基端部が回転自在に軸支された略板状の部材であり、通常時には略水平状態となって搬送される記録媒体Pを下側から支持する一方で、切断片回収時には切換弁制御機構によって、先端が斜め下方を指すように回転して切断片を案内通路432側に案内する。
回収容器433は、インクジェットプリンタ100本体に対して着脱自在に構成されているのが切断片を回収する上で好ましい。
なお、切断片とは、例えば、周りに白フチがない画像を形成してプリンタから出力する場合には、記録媒体Pに形成される画像どうしの間の記録媒体Pの部分が切断され、この際に発生する短冊状の切断片等のことであるが、この切断片以外の切断片や紙粉等であっても良い。
これにより、乾燥部6から記録媒体Pに対して温風が送風されることとなり、記録媒体Pの画像を形成するインクに含まれている余分な溶媒を気化させて取り除くことでインクを乾燥する。乾燥部6の具体的な制御方法については後述する。
また、乾燥部6は、連続搬送部5を搬送される記録媒体Pに対して送風されるような向きで配設されている。
これら搬送ローラ部51〜53は、上記した間欠搬送部31に備わる搬送ローラ部314〜316の各々と略同様の構成、すなわち搬送ローラ51a〜53aと従動ローラ51b〜53bとを備える構成であり、画像記録時に、各搬送ローラ部51〜53によって挟持された状態の記録媒体Pを搬送経路の上流側から下流側に向けて定着処理部7まで搬送する。
搬送方向切換機構55は、搬送方向切換弁551と、切断された記録媒体Pをインクジェットプリンタ100本体の外側に案内する排紙案内路552とを備えている。
この搬送方向切換機構55により、定着処理を必要としない場合や、定着処理部7における記録媒体Pのジャム等により定着処理部7に記録媒体Pを搬送できない場合等に、搬送方向切換弁551によって記録媒体Pの搬送方向をインクジェットプリンタ100本体の外側に向かう方向に切り換えることで、排紙案内路552を介して記録媒体Pをインクジェットプリンタ100本体から排出する。
異物除去機構54は、上記した第1の異物除去機構317と略同様の構成となっており、搬送ローラ541と異物除去ローラ542との間を通過する記録媒体Pの画像形成面に付着している異物を粘着除去する。異物除去ローラ542に付着した異物は清掃ローラ543によって粘着除去される。
ここで、図5及び図6は、定着処理部7を示す側断面図であり、このうち図5は、定着処理部7に備わる加圧ユニット72を閉じた状態を示す図であり、図6は、加圧ユニット72を開いた状態を示す図である。また、図7は、定着処理部7に備わる加熱ユニット71の防塵ケース714、加熱機構712、異物除去機構713を示す側断面図である。
また、防塵ケース714は、図7に示すように、下側の面板の略中央部から搬送経路の上流側の面板の略中央部に亘る部分が、防塵ケース714本体部に対して旋回自在となるように、前記下側面板の略中央部が軸支されている。これにより、異物除去機構713や定着ベルト71dの交換等をスムーズに行うことが可能となっている。
なお、上記定着ベルト71dの交換においては、ベルト表面を傷つけないように当該表面は保護シート等の保護部材でカバーされた状態でセットして、組み立て後に保護部材を取り除くようにするのが好ましい。また、加熱機構712及び異物除去機構713を防塵ケース714ごと交換するようにしても良い。
定着ベルト71dは、離型性を有するとともに、表面が平滑で耐久性を有するように構成される必要がある。このような条件を満たす定着ベルト71dの構成素材について説明する。
定着ベルト71dの基材/外層の組み合わせとしては、
ニッケルベルト/硬化型シリコーン
ニッケルベルト/シリコーンゴム
ニッケルベルト/フッ素樹脂(PFA)
SUSベルト/硬化型シリコーン
SUSベルト/シリコーンゴム
SUSベルト/フッ素樹脂(PFA)
ポリイミドベルト/硬化型シリコーン
ポリイミドベルト/シリコーンゴム
ポリイミドベルト/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
また、基材と外層との間に中間層を設けて定着ベルト71dを構成する場合、
定着ベルト71dの基材/中間層/外層の組み合わせとしては、
ニッケルベルト/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
ニッケルベルト/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
SUSベルト/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
SUSベルト/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
ポリイミドベルト/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
ポリイミドベルト/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
ここで、定着ベルト71dの基材となるニッケルベルト及びSUSベルトの厚みは、10〜60μmであり、好ましくは40μm程度である。また、ポリイミドベルトの厚みは、20〜200μmであり、好ましくは100μm程度である。
さらに、定着温度センサ71eは、幅狭の複数列の記録媒体Pに対応するように、複数個設けられている。
異物除去機構713は、支持部材71hの一端に設けられた係合部が防塵ケース714の内面の被係合部に係合することにより防塵ケース714内にて位置決めされた状態となって配設されている。
異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gは、上記した異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gと略同様の構成となっており、定着処理部7を記録媒体Pが通過することで記録媒体Pの画像形成面から定着ベルト71dに付着した異物を粘着除去する。
なお、異物除去機構713は、必要に応じて加圧ユニット72側に配設されても良いし、また、異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gの個数は任意に変更可能である。さらに、異物除去機構713の構成を、異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gに替えて、クリーニングウェッブ、ブラシ、ブレード等を備える構成としても良い。
加圧ローラ722は、アーム部723の搬送経路の手前側の端部よりもわずかに搬送経路の下流側にて加熱ローラ71bに対向配置され、加圧バネ724によりアーム部723を介して下向きに付勢されることで加熱ローラ71bに巻き掛けられた定着ベルト71dとの協働により記録媒体Pを加圧するとともに、定着ベルト71dの回転に伴って従動回転して記録媒体Pを搬送方向に搬送する。
加圧ローラ722の基材/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/シリコーンゴム
アルミローラ/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
また、基材と外層との間に中間層を設けて加圧ローラ722を構成する場合、
加圧ローラ722の基材/中間層/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
ここで、シリコーンゴムは、硬度が10〜70度であり、厚みが0.5〜5mmであり、好ましくは硬度が30度であり、厚みが1mm程度である。
なお、加圧ローラ722の形状を、加圧した際のローラの撓みを相殺し、加圧力を一定範囲に保つために、端部の径に比べて中央部の径が大きくなったクラウン形状としても良い。
加圧解除機構725は、インクジェットプリンタ100の休止時、記録媒体Pのジャム解除時等に駆動モータ72bが駆動して伝達部材72cを介して圧着解除カム72aを回転させることで、アーム部723を上向きに旋回移動させて加圧ローラ722による加圧を解除する。
加圧力は、3kg/cm2以上であり、5〜10kg/cm2程度であることが好ましい。
冷却ファン731は、加圧ユニット72の圧着解除カム72aの下側に設けられ、冷却素子732は、加熱ユニット71の加熱ローラ71bと駆動ローラ71cとの間に設けられている。
これら冷却ファン731及び冷却素子732は、加熱加圧された記録媒体Pの温度を、定着処理温度よりも5℃以上、好ましくは20℃以上低下させるように構成されている。これにより、定着処理により軟化した記録媒体P表面の樹脂含有層の硬化が十分になされるように記録媒体Pの温度を低下させることができる。
なお、冷却ファン731及び冷却素子732が設けられる位置は、記録媒体Pの温度を低下させることが可能であれば如何なる場所であっても良い、また、冷却ファン731及び冷却素子732に替えて他の冷却手段を用いても良い。
排気ファン9は、定着処理部7にて発生した熱、インクに含まれる水分の蒸発により発生した水蒸気、インクジェットプリンタ100内部の他の熱源から発生した熱を、インクジェットプリンタ100外部に排出する。
フィルター81は、ゴミや塵等の侵入を防止する上で、フィルター81の目が50μm以上の寸法のゴミや塵を捕らえることができるように十分に細かいものが適用される。また、吸気ファン8の風量は、排気ファン8の風量よりも大きくされており、これによりゴミや塵等がインクジェットプリンタ100内部に侵入し難くされている。
記録媒体受部11は、略直線状に延在する部材であるが、設計上の都合等によりアール(R)を設ける場合には、記録媒体Pの基準Rよりも十分に大きくする必要があり、R250mm以上であることが好ましい。すなわち、定着処理部7を通過することで高温になった記録媒体Pの温度は、記録媒体受部11に搬出されて、徐々に低下することとなるが、この際に保持された形状が記録媒体Pに癖となって残ってしまうので、それを防止するためである。
インターフェース21dには、スキャナ21jが接続され、インターフェース21eには、インクジェットプリンタ100本体の制御部220が接続されている。
また、CPU22aは、温度判断手段として、ROM22cから読み出した温度判断プログラムc1(図2−2参照)に従って、温度センサ(温度検知手段)12により検知された検知温度が所定の値以上であるか否かを判断する。また、CPU22aは、湿度判断手段として、ROM22cから読み出した湿度判断プログラムc2(図2−2参照)に従って、湿度センサ(湿度検知手段)13により検知された検知湿度が所定の値以上であるか否かを判断する。
さらに、CPU22aは、インク量算出手段として、ROM22cから読み出したインク量算出プログラムc3(図2−2参照)に従って、ホストコンピュータ210から出力されて入力された画像データに基づいて画像形成部2による画像の形成の際に記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量を算出する。また、CPU22aは、インク量判断手段として、ROM22cから読み出されたインク量判断プログラムc4(図2−2参照)に従って、算出された記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値(例えば、15ml/m2)以上であるか否かを判断する。
なお、収納部31aに記録媒体Pがセットされることで、自動的に記録媒体Pをその先端が画像形成部2の記録開始位置となるように搬送するようにしても良い。
なお、画像データは、スキャナ21により読み込まれものであっても良いし、ネットワークNを介して転送され磁気ディスクやメモリカードに格納されたものであっても良い。
その後、CPU21aは、YMCKデータに変換された画像データに対して誤差拡散処理(図8参照)を施した後、この画像データをインターフェース21eを介してインクジェットプリンタ100本体の制御部220に転送する。
なお、図8は、入力データと濃インクデータと淡インクデータとの対応関係を示す図であり、このうち「0」はインク滴の吐出を行わないことを、「1」はインク滴を小液滴(4pl(ピコリットル))として吐出することを、「2」はインク滴を大液滴(7pl(ピコリットル))として吐出することを示している。
データ配列制御部22fは、クロック信号が入力されると、このクロック信号を6逓倍して1080dpi、約30kHzの画素クロック信号を生成し、この画素クロック信号に同期してノズル配置に対応した画像データを画像メモリ22bから読み出す。すなわち、図9に示すように、3画素クロック100μs間に各記録ヘッド22を各列ごとに255画素のデータを読み出し、ヘッドドライバ22gに転送する。ヘッドドライバ22gは、各ノズルに対応する3値のデータに応じたヘッド駆動パルス信号を各ノズルの相に対応したタイミングで生成する。つまり、データが「0」の場合にはパルス信号を生成せず、「1」の場合には1パルス生成し、「2」の場合には約10μs間隔で2パルス生成する。また、ABC各相のヘッド駆動パルスは、1画素クロック分33μsずつずれたタイミングで生成される。
従って、データが「0」の場合、すなわちパルス信号が印加されないノズル(吐出口221)からはインク吐出が行われず、データが「1」の場合、すなわち1パルス印加されたノズルからは約4plのインク滴が吐出されて記録媒体P上に直径約35μmのドットが形成され、データが「2」の場合、すなわち2パルス印加されたノズルからは、最初のパルスにより約4plのインク滴が吐出され、2つ目のパルスで約3plのインク滴が吐出されるが、2つ目のインク滴の飛翔速度の方が1つ目のインク滴の飛翔速度に比べて速いため、2つのインク滴は空中で合体し、約7plのインク滴として記録媒体Pに着弾し、この記録媒体P上に直径約44μmのドットが形成される。
ここで、8つの記録ヘッド22、…は走査方向Xに異なる位置に配設されているので、データ配列制御部22fは、各記録ヘッド22の位置に応じたタイミングで画像メモリ22bから画像データを読み出し、各記録ヘッド22のドット形成位置が結果として記録媒体P上で略一致するように制御するようになっている。
これにより、キャリッジ23の一回の走査で、走査方向Xに1080dpi・3画素間隔で画像データに応じたドットが形成される。
続けて、CPU22aは、駆動モータ231を制御することで、キャリッジ23を上記と反対方向に移動させて往路と同様の手順で反対向きに画像データに応じたドットを形成する。具体的には、記録ヘッド22のノズル(吐出口221)配列は2列で360dpi、70.5μmずつ離れているので、記録媒体Pを4mm搬送すると、2回目の走査(復路の走査)で形成されるドットは1走査(往路)目で形成されたドットの1080dpi画素分、すなわち23.5μm搬送方向に離れた位置に形成されることとなる。
上記のような走査が繰り返されることで、ホストコンピュータ210から転送された画像データに対応した1枚の画像が形成される。
なお、前述したノズル(吐出口221)の配列が図4−2に示すものである場合には、1080×1080dpiで形成されていく。また、連続して複数の画像を形成する場合には、画像と画像の境界も切れ目なく連続して画像が形成される。
そして、記録媒体Pが画像形成部2から搬出されて画像境界が切断部4のカッター切断位置に到達すると、CPU22aは、切断部4を制御することで、ロータリーカッター421を走査方向Xに移動させて記録媒体Pを切断する。ここで、縁なしプリントを作製する場合には、画像境界の両側を4mmの幅で切断する。また、記録媒体Pの切断により生じた切断片は、切断片回収部43により回収される。
なお、最後の画像の形成が終了すると、CPU22aは搬送ローラ部314〜316等を制御して、記録媒体Pに形成された前記最後の画像の後端がカッター切断位置に到達するまで記録媒体Pを搬送し、ロータリーカッター421で前記画像の後端を切断した後、搬送ローラ314a〜316a等を逆回転させて未記録の記録媒体Pの先端部が画像形成開始位置に来るように記録媒体Pを後退させる。
ここで、CPU22aによる乾燥部6の具体的な制御方法について説明する。
CPU22aは、温度センサ12及び湿度センサ13に基づき検知された温度及び湿度に応じて所定の制御信号を乾燥制御部22lに出力して、乾燥制御部22lにヒータ62の電圧またはPWMデューティーを変化させる。具体的には、例えば、CPU22aにより温度及び湿度が所定の値以上で特定の値以下であると判断された場合には、乾燥制御部22lはファン61の印加電圧を高くして風量を増加させることで、記録媒体Pの画像の乾燥を行い、CPU22aにより温度及び湿度が特定の値を越えていると判断された場合には、乾燥制御部22lはファン61に加えてヒータ62の印加電圧を高くすることで温風の温度を上昇させることで、記録媒体Pの画像の乾燥を効果的に行うようになっている。なお、所定の値よりも高温で低湿度の状況、低温で高湿度の状況、低温で低湿度の状況等においても、これら各々の状況に応じてヒータ62の印加電圧並びにファン61の印加電圧がCPU22aによって制御されるようになっていても良い。
さらに、乾燥制御部22lは、CPU22aにより記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上であると判断された場合には、乾燥部6、即ち、ファン61及びヒータ62の動作を制御するようになっている。
これにより、記録媒体Pに形成された画像のインクに含まれる余分な溶媒を蒸発させて乾燥を適正に行うことができる。つまり、乾燥制御部22lは、記録媒体Pに対してのファン61からの送風及びヒータ62の加熱のうちの少なくとも何れか一方の駆動を制御して、インクに含まれている余分な溶媒の乾燥を効率的に行うことができる。また、記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上である場合に、乾燥制御部22lは、乾燥部6を動作させてインクに含まれている余分な溶媒の乾燥を適正に行うことができる。
そして、CPU22aは、定着処理部7を制御することで定着ベルト71d及び加圧ローラ722を回転させて、記録媒体Pを連続的に搬送しながらこの記録媒体Pを加熱加圧して、記録媒体Pに対する光沢向上(定着)処理を行う(定着処理工程)。すなわち、定着処理を行う前に、乾燥部6からの送風によって、記録媒体P上の形成画像に含まれている余分な溶媒を取り除いて形成画像を乾燥させているので、定着処理部7にて光沢向上処理を効果的に行うことができ、記録画像の光沢性の向上を十分に図ることができる。このとき、乾燥部6は、定着処理部7により定着処理されることで画像のC値が80以上となる程度まで、記録媒体Pに形成された画像のインクに含まれている余分な溶媒を乾燥させるようになっているので、銀塩写真と略同等の光沢性を有する画像を得ることができる。
ここで、記録媒体Pの加熱温度は、CPU22aが定着温度センサ71eに基づき検知された温度に応じてハロゲンランプの印加電圧またはPWMデューティーを変化させることにより調節されるようになっている。即ち、定着制御部22kは、CPU22aの制御下にて乾燥制御部22lにより制御されるヒータ62による記録媒体Pの加熱状態に応じて、加熱ローラ71bによる記録媒体Pの加熱を制御するようになっているので、ヒータ62より記録媒体Pが予め加熱された状態とり、ヒータ62の加熱状態を考慮して定着処理部7の加熱ローラ71bによる記録媒体Pの加熱を効率良く行うことができる。また、周囲の環境条件に応じて、搬送速度を速めたり遅くしたりすることで、調節されるようにしても良い。
具体的には、画像形成が途中で停止されると、画像形成を再開した場合に、停止の前後で記録媒体Pの位置ずれやインク吐出のずれが生じてしまい、画像にムラが生じてしまうため、画像形成中の記録媒体Pは、画像形成を継続させて完了させて、形成画像を排紙案内路552を介してインクジェットプリンタ100外部に搬出するとともに、その後の画像形成を待機状態とするか、または後続の画像形成を全て完了させて排紙案内路552を介してインクジェットプリンタ100外部に搬出するようにしても良い。その後、定着処理部7が復旧した際に、図示しない搬送経路を介して定着処理部7に対して形成画像を搬送して、この形成画像に対して定着処理を行うようになっている。
イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各々の濃淡インク、即ち、計8色のインクを用いた。
(インクの作成方法)
先ず、イエローインク用の顔料としてC.I.ピグメントイエロー74、マゼンダインク用の顔料としてC.I.ピグメントレッド122、シアンインク用の顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3、ブラックインク用の顔料としてカーボンブラックを用いて、所定量のアクリル、スチレン系樹脂、グリセリン、イオン交換水と混合して、各々の顔料分散体を作成した。
濃イエローインク、濃マゼンダインク:それぞれの顔料分散体15%、溶媒(エチレングリコール等)30%、界面活性剤0.1%、イオン交換水54.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡シアンインク、ブラックインク:それぞれの顔料分散体10%、溶媒(エチレングリコール等)30%、界面活性剤0.1%、イオン交換水59.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡イエローインク、淡マゼンダインク:それぞれの顔料分散体3%、溶媒(エチレングリコール等)35%、界面活性剤0.1%、イオン交換水61.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡シアンインク:顔料分散体2%、溶媒(エチレングリコール等)35%、界面活性剤0.2%、イオン交換水62.8%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡ブラックインク:顔料分散体2%、溶媒(エチレングリコール等)35%、界面活性剤0.1%、イオン交換水62.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
下層用塗布液の調整:シリカ分散液(60%)にポリビニルアルコール水溶液(19%)と純水(21%)を用いて下層用塗布液を調整した。
上層用塗布液の調整:下層用塗布液に熱可塑性微粒子であるTg82℃のアクリル系ラテックスを、熱可塑性微粒子とフィラー(シリカ)との固形分比が55/45となるように添加して、上層用塗布液を調整した。
両面をポリエチレンで被覆した厚さ220μmの紙支持体上に、支持体側から、シリカの付き量が下層18g/m2、上層3g/m2となるように下層塗布液、その上に上層用塗布液を塗布した。その後、乾燥・調質して、インク吸収量が25ml/m2以上の記録媒体を作成した。
上記の8色のインクを用いて、ロール状の記録媒体(幅297mm)に対して、記録媒体の送り量4mm、記録密度1080×1080dpi、液適量7plとなるようにインクを吐出して画像形成した。
キャリッジの加減速の際の加速度1[G]、移動速度:780mm/s
ヒータ:78V、280W定格のハロゲンランプヒータを用い、その電圧を画像を形成するインクに含まれる余分な溶媒の乾燥減量に応じて調整した。
送風ファン:24V、1.0Aのクロスフローファンを用いて、その風量が記録媒体の表面にて2.2L/s以上となるように調整した。
定着部の画像形成面側の構成:ハロゲンランプを内蔵したアルミ製加熱ローラ及び従動ローラに、硬化型シリコーンが塗布された厚さ40μmの無端ニッケルベルトを架け渡した。
定着部の裏面側の構成:アルミ製芯金に厚さ1mmのシリコーンゴムとPFAチューブが被覆された加圧ローラとした。
加圧力:記録媒体の全幅に亘って面厚7Kgf/cm2以上となるように調整した。
定着温度:ニッケルベルトの面温度で105℃±5℃に制御した。
搬送速度:約10mm/sに設定した。これにより、定着時間(加熱加圧時間)をニップ幅2mm以上で0.2秒以上とした。
JIS−K−7105に規定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反射法により測定し、その値をC値とした。
画像記録動作の際のインクジェットプリンタ内の温度を25℃、湿度を50%としたものを環境条件1とし、温度を25℃、湿度を60%としたものを環境条件2とし、温度を25℃、湿度を70%としたものを環境条件3とし、温度を30℃、湿度を60%としたものを環境条件4とし、温度を30℃、湿度を70%としたものを環境条件5として、それぞれの条件下で記録媒体に1m2当たりのインク量(ml/m2)が、12.5、15、17.5、20及び24mlとなるように吐出して画像を形成した。その後、定着処理を行って記録された画像のC値を測定した。その結果を図13に示す。
温度30℃、湿度70%の環境条件下にて、記録媒体におけるインク量が20(ml/m2)の画像を形成した。そして、画像を形成するインクに含まれる余分な溶媒を、その乾燥減量が1、2、3、4及び5(g/m2)となるように、乾燥部のファンを動作させた状態で、ヒータの電圧を30、40、50、60及び70(V)に調整することで乾燥させて取り除いた。その後、定着処理を行って記録された画像のC値を測定した。その結果を図14に示す。
また、高温高湿の環境条件下では、インク量が増加した場合に、記録画像のC値の低下度合が大きくなることから、画像の形成に使用されるインク量の減少を図ることによっても記録画像のC値を向上させることもできると考えられる。
以下に、インクジェットプリンタ100の構成要素の各種変形例を、図面を参照して説明する。
なお、以下の変形例においては、その変形例に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
連続搬送部の変形例について図10を参照して説明する。
ここで、図10は、連続搬送部の変形例を備えたインクジェットプリンタ100の主要部を示した側断面図である。
また、連続搬送部500は、切断部4から搬出される記録媒体Pを搬入するための搬入口501と、この搬入口501から搬送経路切換部(後述)509までの記録媒体Pの下向きの搬送経路である第1搬送経路502と、搬送経路切換部509から定着処理部7までの記録媒体Pの上向きの搬送経路である第2搬送経路503と、記録媒体Pを各搬送経路沿いに連続的に搬送するために回転する第1〜第5の搬送ローラ部504〜508とを備えている。
この搬送経路切換部509は、記録媒体Pの第1搬送経路502沿いの下向きの搬送を第2搬送経路503沿いの上向きの搬送に切り換えるためのものである。また、搬送経路切換部509は、この搬送経路切換部509から定着処理部7への記録媒体Pの搬送時に、記録媒体Pの第1搬送経路502沿いの搬送を規制して記録媒体Pを第2搬送経路503に沿って案内する搬送経路規制弁510を備えている。なお、搬送経路規制弁510は、例えば第1搬送経路502と第2搬送経路503とが交わった部分に設けられている。
第1及び第2の搬送ローラ部504、505は、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ5aと、搬送ローラ5aとともに記録媒体Pを挟むように配置され、搬送ローラ5aとの協働により記録媒体Pを搬送する従動ローラ5bとを備えている。
第3〜第5の搬送ローラ部506〜508は、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ5cと、搬送ローラ5cとともに記録媒体Pを挟むように配置されて搬送ローラ5cの回転に伴って従動回転し、搬送ローラ5cとの協働により記録媒体Pを搬送するとともに記録媒体Pの画像形成面に付着した異物を粘着除去する異物除去ローラ5dと、異物除去ローラ5dと当接した状態で異物除去ローラ5dの回転に伴って従動回転し、異物除去ローラ5dの表面に付着した異物を粘着除去するための清掃ローラ5eとを備えている。
その後、記録媒体Pが搬送経路切換部509まで搬送されると、CPU22aは第3の搬送ローラ部506を制御して、搬送ローラ5cを所定方向に回転させることで記録媒体Pをその後端が搬送経路規制弁510を通過するまで下向きに搬送する。そして、記録媒体Pの後端が搬送経路規制弁510を通過すると、搬送ローラ5cを所定方向と逆に回転させることで記録媒体Pの搬送方向を上向きに切り換える。このとき、記録媒体Pの画像形成面に付着した異物は、第3の搬送ローラ部506の異物除去ローラ5dによって粘着除去されることとなる。
搬送方向が切り換えられた記録媒体Pは、搬送経路規制弁510によって第2搬送経路503沿いに案内され、CPU22aが第4及び第5の搬送ローラ部507、508を制御して、搬送ローラ5cを所定方向と逆に回転させることで第2搬送経路503沿いに上向きに搬送される。このとき、記録媒体Pの画像形成面に付着した異物は、第4及び第5の搬送ローラ部507、508の異物除去ローラ5dによって粘着除去されることとなる。
異物除去機構518は、上記実施の形態にて例示した第2の異物除去機構318と略同様の構成となっており、紙粉除去ブラシ318aと、吸引ファン318bとを備え、記録媒体Pの画像形成面に付着した紙粉を除去可能となっている。
定着処理部の変形例1について図11を参照して説明する。
ここで、図11は、定着処理部の変形例1を示す側断面図である。
また、搬送ベルト728は、定着ベルト71dと略同様の性質を有するものであり、搬送ベルト728の構成素材も定着ベルト71dの構成素材と略等しくなっている。
定着処理部の変形例2について図12を参照して説明する。
ここで、図12は、定着処理部800の変形例2を示す側断面図である。
加熱ローラ71bは、駆動モータ等の駆動源(図示略)に接続されており、加熱ローラ71bが回転駆動することで加圧ローラ722も回転し、これらローラの協働により記録媒体Pを搬送する。
また、加熱ローラ71bは、離型性並びに耐久性を有するとともに、表面が平滑となるように構成される必要がある。このような条件を満たす加熱ローラ71bの構成素材について説明する。
加熱ローラ71bの基材/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/硬化型シリコーン
アルミローラ/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
また、基材と外層との間に中間層を設けて加熱ローラ71bを構成する場合、
加熱ローラ71bの基材/中間層/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
アルミローラ/シリコーンゴム/フッ素樹脂
が適用される。
なお、シリコーンゴムの硬度並びに厚みは、加圧ローラ722の場合と略等しくなっているのが好ましい。
制御装置の変形例について図15−1及び図15−2を参照して説明する。
ここで、図15−1は、制御装置300の変形例の要部構成を示したブロック図であり、図15−2は、制御装置300に備わるROM322cの内部構成を示した図である。
そして、乾燥制御部322lは、CPU322aにより水蒸気量が所定の値以上であると判断された場合に、乾燥部6の動作、即ち、ファン61からの送風及びヒータ62の加熱のうちの少なくとも何れか一方を制御するようになっている。
以下に、本発明が適用された第二の実施の形態のインクジェットプリンタについて、図面を参照して説明する。
なお、第二の実施の形態においては、この第二の実施の形態に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図16−1は、第二の実施の形態のインクジェットプリンタに備わる制御装置400の要部構成を示したブロック図であり、図16−2は、制御装置400に備わるROM422cの内部構成を示した図である。
なお、下色除去とは、複数色のインクの配合により表現される色を所定のインクで代表させることであり、この下色除去としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクを用いる場合に、YMCの3色混合により表現される黒色をブラック(K)のインクで代表させることが挙げられる。
以下に、本発明が適用された第三の実施の形態のインクジェットプリンタについて、図面を参照して説明する。
なお、第三の実施の形態においては、この第三の実施の形態に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図17−1は、本発明が適用された第三の実施の形態として例示するインクジェットプリンタに備わる制御装置520の要部構成を示したブロック図であり、図17−2は、制御装置520に備わるROM522cの内部構成を示した図である。
記録媒体は、表層が熱可塑性樹脂を含んで構成されている。
熱可塑性樹脂として好ましく用いられるのは、例えば、ポリアクリルエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもポリアクリルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体の使用形態としては、記録後に、光沢発現、画像保存性向上、耐擦性向上などの目的のために、該熱可塑性樹脂を溶融、あるいは軟化、あるいは成膜させる後処理を行うのが好ましい画像形成方法の形態であり、特に好ましい後処理の形態は加熱工程を含むものである。この加熱工程を含む後処理で上記の目的を最大限に発揮するようTgを選択することができる。加えて、Tgは記録媒体の製造時、あるいは運搬、保管時に達する最高温度よりは高い必要がある。なぜなら、製造時にインクが透過するための熱可塑性微粒子による空隙が減少もしくは消失することを避けるためである。また、上記の加熱工程を含む後処理工程の温度は、支持体の熱による変形を防ぐために、支持体の熱による変性を起こす温度以下で行う必要がある。よって、Tgは、支持体の熱による変性を起こす温度以下が好ましい。以上の点を考慮すると熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃であり、より好ましくは70〜120℃である。また、最低造膜温度(MFT)としても、50〜150℃のものが好ましい。
また、熱可塑性樹脂の、THF不溶分が0.1〜20質量%であり、かつTHF可溶分の重量平均分子量が50,000〜2,000,000である場合も、後処理時の離型性に優れ、且つ、画像形成後の画像の耐擦過性が良好であり好ましい。ここで言うTHF不溶分は、熱可塑性樹脂5gをTHF100mlに加え、40℃で3時間攪拌溶解した後の不溶分を言う。THF可溶分の重量平均分子量の算出は上記不溶分を除いた後に、可溶分につき、ポリスチレンで校正されたゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定する。
熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。
熱可塑性樹脂量の固形分付き量は、インク吸収性や光沢発現、画像保存性、膜強度、生産性等を考慮して決められるが、0.5〜9g/m2が好ましく、2〜5g/m2がさらに好ましい。記録インクとして顔料インクを用いる場合は、光沢発現、インク吸収性、画質等の観点から吐出される顔料固形分重量に応じて記録媒体表層の熱可塑性樹脂量を決める必要がある。0.5〜1.8g/m2の範囲が好ましく、より好ましい範囲は0.7〜1.6g/m2である。また、単位面積当たりの最大顔料打ち込み固形分量がXg/m2であり、該記録媒体表層の熱可塑性微粒子量がYg/m2であるとき上記観点から下記の関係にあることが好ましい。
1≦Y/X≦16
本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−1048
3号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報、同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
硬膜剤は、水溶性樹脂及び、微粒子の種類に応じて適宜選択して用いられる。
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸およびその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。特に好ましい水溶性樹脂としてポリビニルアルコールおよびまたはカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸およびその塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。最も好ましいのは、ほう酸およびその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸またはその塩としては、ほう素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸およびそれらの塩が含まれる。上記硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や水溶性樹脂に対する比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。上記硬膜剤は、本発明の水インク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、本発明のインク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布しても良い。
1)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化が起こりにくく、高速印字適性を有している。
2)高い光沢画像が得られる。
3)加熱工程を有する後処理工程で膜はがれ、膨れ等の故障が発生しない。
4)画像表面強度が強い(プリンター内での搬送で傷がつきにくく、また最終画像の表面強度も強い)。
5)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい。
6)記録媒体の塗布生産性に優れている、特に多層構成の場合、表層を含めた全層を同時に塗布できる。
7)筆記性を有している。
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは表層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られる。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーなどにより吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
このとき、表層の熱可塑性樹脂と無機微粒子の固形分質量比としては、上記1)から7)の観点から適宜選択することができる。2/8〜8/2であることが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3であり、更に好ましくは4/6〜6/4である。
また、このとき表層中の全固形分に対する無機微粒子の比率が30%から70%であることが特インク吸収性の観点から好ましい。
このとき、熱可塑性微粒子粒径は形成される空隙径より大きいことが特にインク吸収性の観点で好ましい。これら複合多孔質層の平均細孔直径は、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)を用いて初期圧10.34kPaの条件で測定できる。
また、記録媒体表面を電子顕微鏡にて観察される微粒子の個数換算粒径分布において、熱可塑性樹脂粒子に対応するピークと、無機微粒子に対応するピークが各々存在し、両ピーク頂点粒径の差が40nm以上離れていることが、画質、光沢発現の点で好ましい。またこのとき両ピークの重なりは5%以下であることが上記観点で好ましく、重なり部がないことがより好ましい。
また、表面物性を制御し、耐擦性向上等の目的のために銀塩写真プリントでいうところのマット剤を添加することができる。マット剤としては、粒子径5−50μmの粒子を用いることができ、粒子径5−30μmのものが特に好ましい。
マット剤粒径は、熱可塑性樹脂粒子径の5−100倍のものを用いると効果発現が大きく、その添加量としては熱可塑性樹脂の1/5から1/100の量を添加することが、上記目的と、光沢発現を両立する上で好ましい。マット剤はその使用目的から、加熱を含む後処理工程の加熱温度で、変型しないものを用いることができる。このマット剤の添加により、記録媒体の裏面に対する動摩擦係数を0.2−0.4の範囲に調整することが特に好ましい。
本発明において用いられる非透水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。プラスチック樹脂フィルム支持体としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは、透明又は半透明なものも使用できる。
本発明において、特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9であることが好ましい。
この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。また、蛍光増白剤としては、前記インク吸収層で用いる蛍光増白剤と同様の化合物を挙げることができる。
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下(1)〜(8)の特性を有していることが好ましい。
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい。
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい。
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい。
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい。
(5)白さは、JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい。
(6)クラーク剛直度は、記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
(8)インク吸収層を設ける面側の光沢度(75度鏡面光沢度)は、10〜90%が好ましい。
また、支持体上の表層を含む全インク吸収層の負荷を低減したり、加熱工程を含む後処理工程での温度制約を緩和する目的で吸水性支持体を用いることも好ましい。吸水性支持体としては、具体的には、多孔質基材が好ましく用いられる。ここで、多孔質基材とは、インク吸収性を有する支持体が好ましく、主に木材パルプと填料からなる紙基材、コート紙、アート紙等を用いることが出来るが、木材パルプと填料からなる紙基材が好ましく用いられる。
紙基材としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することが出来る。
紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、透過光及び反射光のいずれの観賞方式でも使用でき、透過光鑑賞用として、透明感、光沢感、耐光性、保存滲み耐性に優れ、かつ反射光鑑賞用として鮮鋭性、インク吸収性、皮膜強度に優れたインクジェット記録媒体用に、透明支持体を用いることも好ましい。透明支持体としては、インク吸収性のない透明支持体、あるいはインク吸収性の低い透明支持体であり、光線透過率が60%以上、好ましくは80%以上である。光線透過率が60%未満の場合、プリント物を透過では見づらくなり、OHPシート等に用いるのが不適となる。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体は該表層と支持体の間にインク吸収層を設けることが好ましい。
膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
また、親水性バインダーとしては、前述の表層で記載した水溶性バインダーと同様の化合物を挙げることができる。
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性樹脂の比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
インク吸収層は、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/(全乾燥膜厚)〕
また、下記の方法によっても、インク吸収層全体、あるいは表層の空隙率を測定することができる。例えば、100μmポリエチレンテレフタレート上に、全インク吸収層あるいは表層のみを塗布し、ブリストー測定による飽和転移量、あるいは吸水量測定などによっても簡易に求めることができる。
インク吸収層のうち特に、熱可塑性樹脂を含有する表層に隣接するインク吸収層の不透明度を適度に調整し高めることは、濃度向上、特に最大濃度を上げること、及び鮮明性を増すために好ましい形態である。より具体的には、不透明支持体の片側に少なくとも3層以上のインク吸収層を有するインクジェット記録材料において、最上層のインク吸収層に熱可塑性樹脂微粒子を含有し、最上層のインク吸収層に隣接するインク吸収層が、支持体に最も近いインク吸収層に比べ不透明度が高い構成が特に好ましい。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件が好ましいが、更に好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、あるいは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、あるいは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。加温温度は、先に熱可塑性樹脂のTgについて説明したように、記録媒体の空隙を減少させたり、インク吸収速度を低下させることのないように、用いる熱可塑性樹脂のTgを考慮して決める必要がある。
特に、上記の水溶性バインダーの硬化剤を供給する工程を行うことと、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を併用することは、安定して高いインク吸収速度を得るために特に好ましい。
吸水量は、適用するプリンタの最大と出インク量を上回ることは最低現必要であり、この観点から最低15ml/m2は必要であるが、好ましくは20ml/m2以上あるのがよい。また、印字環境変動や、高速印字に安定した高画質画像をえるためには、好ましくは22ml/m2以上必要であり、さらに26ml/m2以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、製造コスト、膜強度の観点から40ml/m2未満が好ましい。吸水量は、次のようにして求めることができる。一定面積の記録媒体を、25℃、50%RHの雰囲気下で24時間以上調湿した後、この記録媒体を純水中に10秒間浸漬する。この際、水の吸収に伴い、記録媒体の空隙中の空気が、表面に気泡として付着して吸水を妨げるので、記録媒体を適度に振動させて、気泡の除去を行う。10秒後に水中から記録媒体を引き上げ、速やかにろ紙等の吸水性材料でその表面の水分を取り除いた後、浸漬前後における質量変化より、吸水量を求めることができる。
記録媒体のpHは画質、色再現性上重要であり、特に用いるインクのpHや色剤の特性を考慮して決めることが必要である。特に、顔料インクを用いる場合は重要で、ブロンジング、光沢、色再現性、画像濃度を考慮して決める必要がある。特に、該記録媒体の表面pHが5.0〜7.0の範囲にあり、該インクのpHが7.0〜9.0の範囲にあることが好ましく、記録媒体の表面pHが5.0〜6.0の範囲にある場合がさらに好ましい。
また、高速プリンタで搬送する際に、十分な折れ曲げ耐性を得るために、亀裂限界径が10〜45mmの範囲内に調整することが好ましい。
(シリカ分散液の調製)
一次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げた。
次に、カチオンポリマーP−1を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、上記シリカ分散液の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液を調製した。
上記シリカ分散液600mlを40℃で攪拌しながら、以下の各添加剤を順次混合して下層用塗布液1を調製した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液6ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の7%水溶液
185ml
サポニン(50%水溶液) 適量
純水 全量を1000mlに仕上げた
上記下層用塗布液1を調製した後、43℃で30分撹拌した後、熱可塑性微粒子(アクリル系ラテックス、Tg82℃、個数平均粒子径160nm、固形分25%)を、熱可塑性微粒子/フィラー(シリカ)の固形分比が55/45になるように15分かけて添加して、表層塗布液1を調製し、10μmのフィルターで濾過を行った後、塗布に使用した。
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタン含有)に、支持体側から第1層とし上記下層塗布液1、その上に第2層目として上記表層用塗布液1をスライドホッパーで同時塗布した後、乾燥して記録媒体1を作製した。なお、塗布液は40℃に加温して塗布し、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒冷却した後、25℃の風(相対湿度15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で2分間調湿して試料を巻き取った。なお、塗布は、下層はシリカの付き量が18g/m2となるように、また表層はシリカの付き量が3g/m2となるように行った。
なお、上記下層塗布液には、水溶性蛍光増白剤であるUVITE NFW LIQUID(チバ・スペシャリティケミカル社製)を100mg/m2になるように添加した。また、上記上層塗布液には同じ蛍光増白剤を20mg/m2になるように添加した。
インクとして、好ましくは染料インク、顔料インク、分散インク等、公知の各種インクを用いることができるが、特に、顔料インクを用いることが好ましい。
画像形成に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を、特に好ましく用いることができる。
着色剤としては、本発明においては、画像保存性の観点から顔料用いることが好ましいが、顔料インク中の顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラックを好ましく用いることができる。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
また、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物としては、Air Products社製サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等を好ましく用いられる。
インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、インク吸収速度が大きく、従って画質の劣化がなく、加熱処理後に光沢の高い画像が得られ、且つ加熱操作迄の或いはそのものによって膜はがれ等の不具合の起こらないために、少なくとも1種のインクの表面張力が25〜50mN/mであることが好ましく、特に30〜45mN/mであることが、より好ましい。
インク中の顔料固形分濃度は、0.1〜10%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
特に、黒インクに熱可塑性樹脂粒子を添加すると、指紋付着性、最大濃度高上の観点から特に好ましい。
色剤を実質的に含まないインクは熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、先に説明したインクに添加する場合に用いることのできる熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。
色剤を実質的に含まないインクは水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
色剤を実質的に含まないインクは、インクジェットノズル、好ましくは専用のノズルを用いてと出することが好ましい。
また、色剤を実質的に含まないインクと他の記録インクとは相互作用が少ない方が好ましく、混合しても増粘や、析出が起こらないものを選択する方が高品位画像を安定に得られる点で好ましい。
〔顔料インクセットの調製〕
(顔料分散液の調製)
〈イエロー顔料分散体1の調製〉
C.I.ピグメントイエロー74 20質量%
スチレン−アクリル酸共重合体(分子量10,000、酸価120)
12質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 53質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
C.I.ピグメントレッド122 25質量%
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分で18質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 42質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
C.I.ピグメントブルー15:3 25質量%
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分として15質量%
グリセリン 10質量%
イオン交換水 50質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
カーボンブラック 20質量%
スチレン−アクリル酸共重合体(分子量7,000、酸価150)
10質量%
グリセリン 10質量%
イオン交換水 60質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散体1を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
〈イエロー濃インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
イエロー顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は118nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
マゼンタ顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
マゼンタ顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は110nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
シアン顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
シアン顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.2質量%
イオン交換水 62.8質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmであり、表面張力γは33mN/mであった。
ブラック顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
ブラック顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 62.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
最終画像の表面粗さを調整することは、高光沢、高品位画像を作成する上で好ましい。表面粗さとしては、中心線平均粗さRaが、0.5μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。
上記の好ましい特性をより向上させるためには、C値は、好ましくは70以上、より好ましくは75以上、さらに好ましくは80以上であるのがよい。
最終画像の光沢度を調整することも上記目的のために重要である。
また、上記のC値や、60度光沢は、各色(例えば、Y、M、C、B、G、R、Bk等)、あるいは各濃度域において例外なく発揮されるように調整することが好ましい。
また、上記のC値や、60度光沢は、画像形成環境によって大きく変動しないように各材料、装置、条件を設定する必要が有り、例えば、10℃20%RH〜30℃80%RHの環境で、高い光沢、例えばC値でいえば70以上、60度光沢が90%以上を維持できるように調整することが好ましい。
中でも、プリンタの最大インクと出量と記録媒体の前記吸水量の関係は、上記の温室度環境下でも高いC値や、60度光沢を得られるように調整することは効果的である。より具体的には、記録媒体の前記吸水量をプリンタの最大インクと出量より2ml/m2以上多く設定することは好ましく4ml/m2以上多く設定することは高温高湿条件で安定して高い光沢特性を発揮する上で特に好ましい。
引っ掻き強度は、JIS規格 K6717に従い測定することができる。引っ掻き強度の測定装置として、連続加重引掻強度試験機(例えば、新東科学製スクラッチメーターHEIDON−18型)を用い、引掻距離100mmで、加重100g、引掻き針φ0.5mm(サファイア針)の条件にて測定する。本発明における引っ掻き強度は、引っ掻き開始点(荷重0g)から荷重を変化させ、表面に傷がつき始めた点における荷重を測定し、その荷重値(g)を引っ掻き強度の尺度と定義した。
《基材》
本発明に係る定着ベルトに用いられるベルト部材用の基材や本発明に係る定着ローラの加熱ローラ、加圧ローラに用いられる各々の基材について説明する。
本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、ベルト部材に用いられる基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、加熱ローラ、加圧ローラの基材としては、ニッケルが好ましい。また、基材の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。
また、基材の材料としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。
本発明に係る定着ベルトの基材の表面粗さは、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.08μm以下である。更に、ヤング率は、50kN/mm2以上であることが好ましく、更に好ましくは、50〜300kN/mm2である。
本発明に係る表面処理層について説明する。
本発明に記載の効果、即ち、画像形成時の光沢度の変動を低減し、且つ、定着時の離型性層の膜剥がれの防止を効果的に得るためには、表面処理層のJIS K 5401に規定される鉛筆硬度がHB以上であることが必須要件であるが、好ましくは鉛筆硬度は、H〜5Hの範囲であり、特に好ましくは、2H〜5Hの範囲である。
上記記載のアルミニウムカップリング剤やジルコニウムカップリング剤は、そのものは接着性を有しないが、接着したいものの表面(定着ベルトや定着ローラの基材)をカップリング剤溶液で処理すると、カップリング剤が加水分解−縮合反応を起こして基材表面の接着性を向上させる作用を有している。
《アルミニウムカップリング剤の具体例》
アセトメトキシアルミニウムジイソプロピレート、
アセトエトキシアルミニウムジイソプロピレート、
アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、
アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセテート
アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセテート
アルミニウムイソプロピレート
モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート
アルミニウムsec−ブチレート
アルミニウムエチレート
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
アルミニウムモノアセチルアセトアセテートビス(エチルアセトアセテート)
アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)
アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート
環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート
《ジルコニウムカップリング剤の具体例》
ジルコニウムテトラアセチルアセテート、
ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、
ジルコウムトリブトキシアセチルアセネート、
ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、
ジルコニウブトキシトリスエチルアセトアセテート、
ジリコニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、
ジリコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、
ジリコニウムテトラキスエチルラクテート、
ジリコニウムジブトキシビスエチルラクテート、
ビスアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテートジルコニウム、
モノアセチルアセトネートトリスエチルアセトアセテートジルコニウム、
ビスアセチルアセトネートビスエチルラクテートジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物、
ジルコニウムn−ブチレート、
ジルコニウムn−プロピレート等のジルコニウムアルコキシド
表面処理層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、0.2〜3μmの範囲である。
表面処理層中でのアルミニウムカップリング剤やジルコニウムカップリング剤の好ましい含有量の範囲は、1〜100質量%であり、更に好ましくは、50〜100質量%である。
本発明に係る離型性層について説明する。
本発明に係る離型性層は、シリコーン樹脂を含有する。本発明に係るシリコーン樹脂は、従来公知のシリコーン樹脂を用いることができるが、本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、離型性層の剥離力が30g/5cm以上を満たすようなものが好ましく用いられる。
上記記載の溶剤付加型シリコーンは、両末端、あるいは、両末端及び鎖中に、ビニル基を有する直鎖状メチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させて得られる。
本発明に係る離型性層の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、更に好ましくは、10〜30μmである。
(離型性層の剥離力測定方法)
例えば図5に示すような定着ベルトの場合には、定着ベルトの離型性層に、また、図12に示すような定着ローラの場合には、加熱ローラまたは加圧ローラの離型性層に、粘着テープ(ニットーポリエステルテープNo.31B(日東電工(株)製))を貼合し、加圧ローラの圧力値を2kgに設定した状態で、加圧ローラ1回転分の圧着操作を行い、その後、室温下、定着ベルトまたは定着ローラを20時間放置後、上記粘着テープを角度180度、0.3m/分の速度条件下、市販の引っ張り試験機を用い、剥離力を測定した。
但し、定着ローラの加熱ローラと加圧ローラのどちらにも離型性層が設けられている場合には、記録材料と接する側の離型性層の剥離力を測定した。
本発明に用いられる接着性改良層について説明する。
本発明に用いられる接着性改良層は、基材と離型性層との接着性向上の観点から、水酸基、カルボキシル基、前記一般式(a)で表される基及び前記一般式(b)で表される基からなる群から選択される少なくとも一つの反応性基を有する化合物を含有することが好ましい。
反応性基を有する化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、本発明においては、ポリビニルアルコール樹脂(例えば、PVA−124、224,424(いずれも、クラレ製))、ブチラール樹脂(例えば、3000K(電気化学工業社製))、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンおよびポリブタジエン系などのオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、ブチラール樹脂が好ましく用いられる。
本発明に用いられる接着性改良層は、接着性効果を更に好ましく発揮する観点から、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネート化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することが好ましいが、更に好ましくは、チタンカップリング剤またはイソシアネート化合物を含有することであり、特に好ましく用いられるのは、チタンカップリング剤である。
チタンカップリング剤としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
また、イソプロポキシ基を有するモノアルコキシ型、オキシ酢酸残基あるいはエチレングリコール残基を有するキレート型、テトラアルキルチタネートに亜リン酸エステルを付加させたコーディネート型が挙げられる。
また、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート(TOG:日本曹達(株)製)、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラステアロキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジヒドロキシチタン・トリ−i−ステアレート等が挙げられる。
キレート型としては、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
コーディネート型としては、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等がある。
O=C=N−L−(N=C=O)v
式中、vは0、1または2であり、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはアラルキル基を部分構造として有する2価の連結基を表す。
これらの基は、更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例は、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基等が挙げられる。
IC−1 デスモデュ(Desmodur)N100、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−2 デスモデュN3300、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−3 モンデュー(Mondur)TD−80、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−4 モンデューM、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−5 モンデューMRS、モーベイ社、ポリマーイソシアネート
IC−6 デスモデュW、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−7 パピ(Papi)27、ダウ社、ポリマーイソシアネート
IC−8 イソシアネートT1890、ヒュルス(Huels)、脂肪族イソシアネート
IC−9 オクタデシルイソシアネート、アルドリッヒ社、脂肪族イソシアネート
更に、コロネート2030、コロネート2255、コロネート2513、コロネート2507、コロネートL、コロネートHL、コロネートHK、コロネートHX、コロネート341、コロネートMX、コロネート2067、以上日本ポリウレタン社製、タケネートD103H、タケネートD204EA、タケネートD−172N、タケネートD−170N、以上武田薬品製、スミジュール3200、スミジュール44V−20、スミジュールIL、以上住友バイエルウレタン社製等が挙げられる。
上記記載のカップリング剤、イソシアネート化合物等の接着性改良層中の含有量としては、1〜99質量%が好ましく、更に好ましくは、1〜50質量%である。
本発明に用いられる接着性改良層の膜厚は、1〜300μmに調整することが好ましく、更に好ましくは、1〜100μmであり、特に好ましくは、1〜50μmである。
本発明に用いられる接着性改良層に含有される少なくとも1種の樹脂が、フロー軟化点が130℃以上であることが好ましく、更に好ましくは、130〜400℃の範囲であり、特の好ましくは、130〜300℃の範囲である。前記の樹脂としては、上記記載の反応性基を有する化合物として用いられている樹脂、上記記載の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
ここで、本発明に係るフロー軟化点は、高架式フローテスタCFT−500(島津製作所製)を用いて測定した。
ここで、上記の離型性層の表面粗さや、定着ベルトや定着ローラの基材の表面粗さの測定について説明する。
本発明においては、以下の方法に従い平均面粗さRaを測定した。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)として、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえた。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用した。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。測定領域2μm角を、1(or2)視野、走査周波数1Hzで測定した。また、得られた三次元データを最小二乗近似することにより、試料のわずかの傾きを補正し、基準面を求めた。
測定により表された測定面はZ=F(X,Y)で表す。(X,Y)の範囲は(0,0)〜(Xmax,Ymax)となる。それを粗さ解析の対象となる指定面*とすると、表面積S0は次式で求められる。
S0=Xmax・Ymax
指定面内のZデータの平均値をZ0とするとき、Z=Z0となる平面を基準面とするときZ0は次式で求められる。
本発明の定着ベルト、定着ローラの製造方法について説明する。
本発明の定着ベルト、定着ローラの製造においては、記録材料と接触する側の定着ベルトや定着ローラの面に、ディップ塗布方式、バーコート方式、ブレード塗布方式、エアナイフ方式、スライド塗布装置やカーテン塗布等により接着性改良層を塗布し乾燥の後、前記接着性改良層の上に、溶媒付加型シリコーンや溶剤縮合型シリコーンなどの硬化型シリコーンをディップ塗布後、加熱硬化する工程を経て離型性層が形成されることが好ましい。
中でも好ましいのは、接着性改良層、離型性層の各々をディップ塗布方式で塗布することである。ディップ塗布を行う場合の塗布液の粘度としては、0.01〜0.5Pa/sの範囲に調整することが好ましい。
ここで、エージング処理Aは、例えば、離型性層塗布後の定着ベルトまたは定着ローラを水中に浸積する、蒸気を噴霧する、加温高湿下に経時保存することを表す。加温高湿下とは、温度範囲が25〜100℃、高湿とは、相対湿度が50%RH以上、好ましくは、50〜95%RHの範囲を表す。
また、エージング処理Bは、前記エージング処理Aの後に定着ベルトまたは定着ローラを高温低湿下に処理することを表すが、高温とは、40〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは、40〜150℃の範囲であり、低湿とは、相対湿度が50%RH未満を表す。
(定着ベルト試料1の製造)
ベルト基材(シームレスニッケル電鋳ベルト)上に、下記の表面処理層用塗布液を用いて表面処理層を塗設、下記の接着性改良層用塗布液を用いて接着性改良層を塗設、次いで離型性層を塗設して、定着ベルト試料1を作製した。
(表面処理層用塗布液の調製:1920ml分)
アルミニウムカップリング剤 プレンアクトAL−M
(川研ファインケミカル(株)製) 120g
トルエン 1800ml
上記の素材を混合、攪拌し、表面処理層用塗布液を調製した。
上記の表面処理層用塗布液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに入れ、市販のディップ型塗布機にシームレスニッケル電鋳ベルト(直径65mm、長さ240mm、肉厚40μm:日東工業(株)製)をセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸した。次に引き上げ速度を毎秒4mmに設定して塗布を行ない、室温で3分おいたあと、140℃のオーブンで1時間加熱し、表面処理層を塗設した。
(接着性改良層用塗布液の調製:2リットル分)
デンカブチラール6000C(電気化学工業(株)製) 10g
酢酸エチル 1790ml
n−ブタノール 200ml
シランカップリング剤KBM503(信越化学工業社製)
1.6ml
上記の素材を混合、3時間撹拌し、デンカブチラールを完全溶解させ、接着性改良層用塗布液を調製した。
得られた接着性改良層用塗布液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに接着層塗布液2リットル分を入れ、市販のディップ型塗布機に前記表面処理層を有するシームレスニッケル電鋳ベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸した。
次に、引き上げ速度を毎秒4mmに設定して塗布を行った。室温で3分おいたあと、100℃オーブン内で30分加熱し、接着性改良層を塗設した。
剥離紙用離型剤KS830E(信越化学工業(株)製) 500g
硬化用触媒CAT−PL−50T(信越化学工業(株)製) 5ml
トルエン 1500ml
上記の素材を混合、撹拌し、離型性層用塗布液を調製した。
得られた離型性層用塗布液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに2リットル分を入れ、市販のディップ型塗布機に前記接着性改良層を有するシームレスニッケル電鋳ベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸し、次に、引き上げ速度を毎秒15mmに設定して塗布を行った。室温で5分おいたあと、100℃オーブン内で1時間加熱し、離型性層を塗設した。
離型性層を塗設したベルトを、40℃、80%の雰囲気下で12時間経時した後、更に、140℃で15時間加熱させ、定着ベルト試料1を製造した。
例えば、画像形成方法は、上記実施の形態のようにシリアル方式にて行うものに限られず、記録媒体Pの幅方向(記録媒体の搬送方向Zと直交する方向)にわたるラインヘッドを備え、記録媒体Pの搬送に基づき画像を形成するライン方式にて行っても良い。
また、上記実施の形態では、一つの定着処理部7を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、複数の定着処理部を設けるとともに搬送経路の途中に振り分け機構を設けて、定着処理の速度を向上させるようにしても良い。また、一つの定着処理部7であっても、定着処理部7における搬送経路の幅に対して記録媒体Pの幅が複数枚の記録媒体Pを定着処理部7に搬入可能な程度に狭い場合には、定着処理部7の手前側に振り分け機構を設けることで定着処理の速度を向上させるようにしても良い。
1 ケース
12 温度センサ(温度検知手段)
13 湿度センサ(湿度検知手段)
2 画像形成部
22 記録ヘッド
22a、322a、422a、522a CPU(温度判断手段、湿度判断手段、インク量算出手段、インク量判断手段、水蒸気量算出手段、水蒸気量判断手段、組合決定手段、インク量調整手段)
22k 定着制御部(加熱制御手段)
22l、322l 乾燥制御部(乾燥部制御手段)
6 乾燥部
61 ファン(送風手段)
62 ヒータ(加熱手段)
7 定着処理部
P 記録媒体
Claims (4)
- ケース内に、表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理部と、を備えるインクジェットプリンタであって、
前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定手段により決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整手段と、
を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - ケース内に、表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理部と、を備えるインクジェットプリンタであって、
前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - インクジェットプリンタによる画像記録方法において、
表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程にて前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定工程にて決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整工程と、
前記インク量調整工程により調整されたインク量で前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
を備えることを特徴とする画像記録方法。 - インクジェットプリンタによる画像記録方法において、
表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像形成工程における前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
前記組合決定工程により組み合わせが決定されたインクで前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
を備えることを特徴とする画像記録方法。
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