JP4457658B2 - インクジェットプリンタ及び画像記録方法 - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェットプリンタ及び画像記録方法に関する。
近年、例えばデジタルカメラ等で撮影された画像や例えばフラッシュメモリやCD等の記憶媒体に記憶されているデータ化された画像等の印刷は、従来の印画紙へ画像を焼き付ける方法に替えて、記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリンタを用いて行われている。
ところで、上記インクジェットプリンタの画像印刷においては、染料インクと顔料インクを用いることができるが、顔料インクは、染料インクに比べて画像保存性が優れている一方で、色素分子が粒子を形成しているため散乱光や反射光の影響を受けて印刷画像の光沢性が劣るといった問題がある。そのため、上記インクジェットプリンタで顔料インクを用いて画像印刷を行う場合には、例えば分散剤が含有された顔料インクを用い、熱可塑性樹脂粒子を含むインク受容層を有する記録媒体に画像形成した後、この記録媒体を加熱加圧する定着処理を行うことによって、熱可塑性樹脂粒子を溶融及び平滑化させインク受容層を透明化して印刷画像の光沢性を向上させている。また、定着処理を行うことによって、印刷画像の耐傷性も向上させることができる。
また、定着処理として、画像形成された記録媒体の裏面側から熱風を吹きつける処理を行うインクジェットプリンタも知られている(例えば、特許文献1参照。)。
特開平5−338126号公報
ところで、記録媒体に吐出された直後のインクは、このインクに含まれている溶媒によってインクが乾燥していない状態となっている。従って、上記特許文献1等の場合においては、記録媒体に対する定着処理によって印刷画像の光沢性の向上を十分に行えず、印刷画像の画質低下を招く虞があった。例えば、画像形成速度が遅いインクジェットプリンタの場合には、記録媒体にインク吐出されてから定着処理を行うまでの時間が十分にあるため吐出されたインクは順次自然に乾燥していくので問題はなかったが、近年の画像形成速度の速いインクジェットプリンタの場合には、画像形成されてから定着処理を行うまでにインクの乾燥時間が十分になく、印刷画像の光沢性をより向上させるためには、記録媒体に画像形成した後インクの乾燥時間を別に設ける必要があった。
本発明の課題は、画像の光沢性をより向上させることができるインクジェットプリンタ及び画像記録方法を提供することである。
請求項に記載の発明は、ケース内に、表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理部と、を備えるインクジェットプリンタであって、
前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定手段により決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整手段と、
を備えることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、検知された検知温度及び検知湿度に基づいて、画像形成部による画像の形成の際に記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを変更してインク量を調整するので、検知されたケース内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを変更して記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量の調整を行うことができ、その後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明は、ケース内に、表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理部と、を備えるインクジェットプリンタであって、
前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
を備えることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、検知されたケース内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成の際に記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定するので、決定された複数のインクの組み合わせで画像の形成を行った後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明は、インクジェットプリンタによる画像記録方法において、
表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
前記画像形成工程にて前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定工程にて決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整工程と、
前記インク量調整工程により調整されたインク量で前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
を備えることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、インクジェットプリンタ内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを変更して記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量の調整を行うことができ、その後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明は、インクジェットプリンタによる画像記録方法において、
表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像形成工程における前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
前記組合決定工程により組み合わせが決定されたインクで前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
を備えることを特徴としている。
請求項に記載の発明によれば、インクジェットプリンタ内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成の際に記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定するので、決定された複数のインクの組み合わせで画像の形成を行った後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明によれば、ケース内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを変更して記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量の調整を行うことができ、その後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明によれば、ケース内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成の際に記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定し、決定された複数のインクの組み合わせで画像の形成を行った後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明によれば、インクジェットプリンタ内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを変更して記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量の調整を行うことができ、その後、画像が形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
請求項に記載の発明によれば、インクジェットプリンタ内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成の際に記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定し、決定された複数のインクの組み合わせで画像の形成を行った後、画像形成された記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理を行うことにより、記録媒体表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
以下に、本発明について、図面を用いて具体的な態様を説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
[第一の実施の形態]
図1は、本発明が適用された第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの主要部を示した断面図であり、図2−1は、図1のインクジェットプリンタに備わる制御装置の要部構成を示したブロック図であり、図2−2は、図2−1の制御装置に備わるROMの内部構成を示した図である。
図1及び図2−1に示すように、インクジェットプリンタ100は、ケース1の内部に、記録媒体Pにインクを吐出、着弾させて画像形成を行う画像形成部2と、画像形成時に記録媒体Pを搬送経路に沿って画像形成部2等に供給する記録媒体供給部3と、画像形成された記録媒体Pを切断する切断部4と、切断部4により切断された記録媒体Pを後述の定着処理部7まで連続的に搬送する連続搬送部5と、記録媒体Pに形成された画像に送風して当該画像を乾燥させる乾燥部6と、記録媒体Pに対して光沢向上処理を行う定着処理部7と、ケース1内部に外気を導入する吸引ファン8と、ケース1内部の空気を外側に排気する排気ファン9と、これら各部を統括的に制御する制御装置200とを備えて概略構成されている。
記録媒体供給部3は、長尺の記録媒体Pを供給する長尺記録媒体供給部31と、カットシート状の記録媒体Pを供給する手差しユニット32とを備えており、長尺記録媒体供給部31若しくは手差しユニット32を介して画像形成部2、乾燥部6、切断部4、連続搬送部5へと順次供給する。
長尺記録媒体供給部31は、長尺の記録媒体Pをロール状に巻き取った形態で収納する収納部31aと、記録媒体Pを間欠的に搬送する間欠搬送部310とを備えている。
収納部31aは、インクジェットプリンタ100本体下方の所定位置に配設されており、記録媒体Pを巻き取る軸部31bと、中心が軸部31bの軸心と同軸上に位置するように当該軸部31bの両端に接続されたフランジ部31cとを備えている。
間欠搬送部310は、フランジ部31cに当接するように設けられ、収納部31aから記録媒体Pが引き出される際にフランジ部31cの回転に伴って従動回転するフランジ部従動ローラ311、…と、収納部31aに収納された記録媒体Pを引き出すために回転する給紙ローラ部312と、給紙ローラ部312により記録媒体Pを挟持させる挟持機構313と、給紙ローラ部312により引き出された記録媒体Pを間欠的に搬送するために回転する第1〜第3の搬送ローラ部314〜316と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体Pに付着した紙粉やゴミ等の異物を除去する第1及び第2の異物除去機構等317、318等を備えている。
給紙ローラ部312は、収納部31aよりも上側に設けられており、駆動源(図示略)からの駆動力により回転駆動する給紙ローラ312aと、給紙ローラ312aと記録媒体Pを挟むように配置され、給紙ローラ312aとの協働により記録媒体Pを供給する給紙従動ローラ312bとを備えている。
給紙従動ローラ312bは、挟持機構313の一端部に配設されている。
挟持機構313は、給紙従動ローラ312bを旋回自在となるように回転自在に軸支されており、給紙従動ローラ312bを旋回させて記録媒体Pに当接させることで、給紙従動ローラ312bと給紙ローラ312aとにより記録媒体Pが挟持された状態となる。
なお、挟持機構313は、手動により操作可能となるように構成されているが、給紙ユニット(図示略)の蓋を閉じる等の動作に連動させ、記録媒体Pのセット後に、給紙従動ローラ312bと給紙ローラ312aとによる記録媒体Pの挟持が自動的に行われるような構成としても良い。
第1の搬送ローラ部314は、搬送経路の画像形成部2よりも上流側に設けられ、また、第2の搬送ローラ部315は、搬送経路の画像形成部2よりも下流側で且つ切断部4よりも上流側に設けられ、さらに、第3の搬送ローラ部316は、搬送経路の切断部4よりも下流側で且つ連続搬送部5よりも上流側に設けられている。これら第1〜第3の搬送ローラ部314〜316は、略等しい高さで配設されている。
搬送ローラ部314〜316の各々は、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ314a〜316aと、搬送ローラ314a〜316aと記録媒体Pを挟むように配置され、搬送ローラ314a〜316aとの協働により記録媒体Pを供給する従動ローラ314b〜316bとを備えている。
これら搬送ローラ部314〜316は、画像記録時に、各駆動源が所定方向に回転することで搬送ローラ314a〜316aを回転させて、各搬送ローラ部314〜316によって挟持された状態の記録媒体Pを搬送経路の上流側から下流側に向けて搬送する。
第1の異物除去機構317は、搬送経路の給紙ローラ部312と第1の搬送ローラ部314との間にて第1〜第3の搬送ローラ部314〜316と略等しい高さで配設されており、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ317aと、搬送ローラ317aとともに記録媒体Pを挟むように配置されて搬送ローラ317aの回転に伴って従動回転し、搬送ローラ317aとの協働により記録媒体Pを搬送するとともに記録媒体Pの画像形成面に付着した異物を粘着除去する異物除去ローラ317bと、異物除去ローラ317bと当接した状態で異物除去ローラ317bの回転に伴って従動回転し、異物除去ローラ317bの表面に付着した異物を粘着除去するための清掃ローラ317cとを備えている。
異物除去ローラ317b及び清掃ローラ317cの表面には、異物を粘着する性質の高い素材から構成された異物粘着部が配設されている。また、異物除去ローラ317bに配設された異物粘着部は、搬送される記録媒体Pを巻き込んだり、ジャムを発生させない程度の粘着力を有するようになっている。さらに、異物除去ローラ317bに配設された異物粘着部よりも清掃ローラ317cに配設された粘着部の方が、異物を粘着する性質が高くなっている。
従って、給紙ローラ部312側から送られてきた記録媒体Pを画像形成部2に対して給紙する際に、搬送ローラ317aと異物除去ローラ317bとの間に記録媒体Pを引き込んで挟持した状態となり、これにより、記録媒体Pの画像形成面に付着している異物が、異物除去ローラ317bの表面の異物粘着部によって粘着除去され、さらに異物粘着部に付着した異物が、清掃ローラ317cの異物粘着部によって粘着除去されることとなる。
なお、第1の異物除去機構317に備わる各種ローラは、記録媒体Pの給紙時おいては、給紙ローラ312a並びに第1の搬送ローラ314aと略等しい速度で回転するようになっている。
また、第2の異物除去機構318は、搬送経路の第3の搬送ローラ部317と連続搬送部5との間に配設されており、切断部4による記録媒体Pの切断(詳細後述)により発生して記録媒体Pの表面に付着した紙粉を当該表面を摺動することで除去する紙粉除去ブラシ318aと、紙粉除去ブラシ318aに付着した紙粉を吸引する吸引ファン(図10参照)318bとを備えている。
紙粉除去ブラシ318aは、記録媒体Pの上下両面を摺動可能となるように記録媒体Pを上下に挟んで2つ設けられており、各紙粉除去ブラシ318aは、例えば導電性を有する材料から構成され、記録媒体Pの静電気を除去して記録媒体P上の紙粉を取り除き易くなるようになっている。なお、紙粉除去ブラシ318aは、少なくとも記録媒体Pの画像形成面を摺動可能となるように画像形成面側に1つだけ設けられていても良い。また、紙粉除去ブラシ318aとしては、図示したようなブラシに替えて、回転するローラ状のブラシであっても良い。
吸引ファン318bは、例えば、インクジェットプリンタ100の外側に連通するように構成されており、吸引ファン318bのインクジェットプリンタ内部側には、吸引ファン318bにより吸引される紙粉を収集するためのフィルター318cが設けられている。また、吸引ファン318bから生じた送風を、記録媒体Pの画像を乾燥させるための乾燥部6からの送風に替えて使用可能となるような構成であっても良い。
手差しユニット32は、搬送経路の第1の異物除去機構317よりも上流側に記録媒体Pを供給可能に構成されており、ケース1の内部から外側に延出するように斜め上向きに形成され、記録媒体Pが載置される記録媒体載置部321と、記録媒体載置部321に載置された記録媒体Pを検知する記録媒体検知センサ(図示略)と、記録媒体載置部321に載置された記録媒体Pの画像形成面に当接し、この記録媒体Pを第1の異物除去機構317側に供給するために回転駆動する搬送ローラ322と、搬送ローラ322の回転に伴って従動回転する従動ローラ323等を備えている。
搬送ローラ322は、弦に沿って切り欠いてなる断面半月状に形成されており、この搬送ローラ322が回転することで、搬送ローラ322の断面円弧状の外周面部が記録媒体載置部321のケース1内部側の端部とともに記録媒体Pを挟んだ状態となり、これにより記録媒体Pを引き込んで第1の異物除去機構317側に供給する。このとき、従動ローラ323は、搬送ローラ322の断面円弧状の外周面部とともに記録媒体Pを挟んだ状態となって従動回転するようになっている。
なお、手差しユニット32の記録媒体検知センサによって記録媒体Pが検知された際には、第1〜第3の搬送ローラ部314〜316に備わる搬送ローラ314a〜316a、異物除去ローラ317b、給紙ローラ312aは連動して記録媒体Pの給紙時に回転する方向と反対方向に回転して、記録媒体Pを給紙ローラ312a側に引き込むようになっている。
このとき、搬送経路の第1の異物除去機構317と給紙ローラ部312との間に配設された記録媒体検知センサ319によって、記録媒体Pの先端が検知されると、記録媒体Pの引き込みを停止して、給紙ローラ部312よりも収納部31a側に記録媒体Pが引き込まれないようになっている。
次に、画像形成部2について、図3及び図4−1を参照して説明する。
ここで、図3は、画像形成部2を記録媒体Pの搬送方向の下流側上方から斜め下向きに見て示した斜視図であり、図4−1は、記録ヘッドのノズル面に構成されたノズル列を模式的に示した図である。
図3に示すように、画像形成部2は、略水平に配設され、上面で所定範囲の記録媒体Pの裏面(画像形成面の側と反対側となる面)を吸引装置211の駆動により吸引して支持するプラテン21と、記録媒体Pに向けてインクをノズル(図示略)の吐出口221から吐出する8つの記録ヘッド22と、これら記録ヘッド22を搭載し、画像形成時に走査方向Xに移動するキャリッジ23と、キャリッジ23に搭載されるとともに当該キャリッジ23を駆動するための駆動回路基板24と、走査方向Xに沿って延在してキャリッジ23の移動を案内する案内部材25と、走査方向Xに沿って延在し、その長手方向に180dpi周期で光学パターンが配設されたリニアスケール26と、キャリッジ23に搭載されるとともにリニアスケール26に配設された光学パターンを読み取ってクロック信号として出力するリニアエンコーダセンサ27とを備えて構成されている。
キャリッジ23の移動方向は、駆動モータ231の回転方向に従って変更され、これによりキャリッジ23は走査方向Xに往復移動する。また、画像形成時において、キャリッジ23は、記録媒体Pが停止している際に走査方向Xに往動、復動又は往復移動する。このときの移動速度は、例えば、最速時において705mm/sとなっている。
記録ヘッド22は、画像記録時において、プラテン21上を搬送される記録媒体Pの画像形成面と、記録ヘッド22の吐出口221が形成されたノズル面222とが対向するように配設されている。ノズル面222には、例えば図4−1に示すように、255個の吐出口221、…が搬送方向に141μm(180dpi)のピッチで略一列に並んで形成されたノズル列が、1.4mmを空けて2列配設されている。これらノズル列は、列方向に70.5μm(半ピッチ)ずれて配設されている。このように、ノズル面222には、合計510個の吐出口221、…が形成されている。
さらに、各記録ヘッド22は、その内部にピエゾ素子(圧電素子)といった吐出手段(図示略)が設けられており、吐出手段の作動により各吐出口221からインクを滴として別個に吐出する。
ここで、例えば図4−2に示すように、吐出口221を、3ノズル周期で、すなわち配列順に3つの吐出口221、…を1単位として構成し、3つの吐出口221、…を走査方向Xに23.5μmずつずらすようにしてノズル面222に配設するように構成しても良い。
なお、インクは、分散剤を含有している顔料インクが用いられているが、その具体的な性質並びに調製方法等については後述する。
また、リニアスケール26及びリニアエンコーダセンサ27については後述する。
切断部4は、例えば記録媒体Pの幅方向に長尺な本体部41と、画像形成が完了した記録媒体Pを切断するためのカッター部42と、カッター部42を記録媒体Pの幅方向に往復移動させるための駆動源(図示略)と、駆動源の駆動力をカッター部42に伝達するための例えばワイヤ等の駆動力伝達手段(図示略)とを備えて概略構成されている。
カッター部42は、記録媒体Pをその幅方向(走査方向Xと略平行な方向)に沿って切断する略円盤状のロータリーカッター421を備えている。
また、本体部41は、その略中央部に設けられ、記録媒体Pの搬送時に記録媒体Pを通過させる通紙口の下側にてこの通紙口の長手方向に沿って設けられ、ロータリーカッター421に下側から接触可能な固定刃411を備えている。
なお、通紙口の高さは、第2及び第3の搬送ローラ部315、316における搬送経路の高さと略等しくなっている。
このような構成の切断部4は、画像形成された記録媒体Pの搬送が停止された状態で、駆動源の駆動によりカッター部42が案内部材(図示略)に沿って本体部41の長手方向に移動することで、固定刃411とともに記録媒体Pをロータリーカッター421が挟むように移動して、これにより記録媒体Pをその幅方向に切断する。
なお、カッター部42は、記録媒体Pの切断時以外は、本体部41のいずれか一方の端部に移動して記録媒体Pの通紙口の通過を妨げないようになっている。
なお、切断部4には、記録媒体Pの切断により発生した紙粉を除去する紙粉除去手段を備えるようにしても良い。すなわち、例えば、記録媒体Pの画像形成面に付着した紙粉を除去する記録媒体紙粉除去ブラシと、ロータリーカッター421の両表面に付着した紙粉を除去するカッター紙粉除去ブラシとが切断部4に設けられていても良い。
これら紙粉除去ブラシは、例えば、記録媒体Pの切断時に移動するカッター部42に伴って移動し、このとき、記録媒体紙粉除去ブラシが記録媒体Pの画像形成面を摺動し、カッター紙粉除去ブラシがロータリーカッター421の表面を摺動するように構成されているのが望ましい。
切断部4よりも搬送経路の下流側には、切断部4にて記録媒体Pが切断されることで発生した切断片等を回収するための切断片回収部43が設けられている。
切断片回収部43は、記録媒体Pの搬送経路を構成するとともに回収される切断片を回収容器433側に案内するための切換弁431と、切換弁431の下方に設けられ、上下に延在する案内通路432と、案内通路432の下端に接続し、切断片を回収するための回収容器433とを備えている。
切換弁431は、基端部が回転自在に軸支された略板状の部材であり、通常時には略水平状態となって搬送される記録媒体Pを下側から支持する一方で、切断片回収時には切換弁制御機構によって、先端が斜め下方を指すように回転して切断片を案内通路432側に案内する。
回収容器433は、インクジェットプリンタ100本体に対して着脱自在に構成されているのが切断片を回収する上で好ましい。
なお、切断片とは、例えば、周りに白フチがない画像を形成してプリンタから出力する場合には、記録媒体Pに形成される画像どうしの間の記録媒体Pの部分が切断され、この際に発生する短冊状の切断片等のことであるが、この切断片以外の切断片や紙粉等であっても良い。
乾燥部6は、第2の異物除去機構318の上方に設けられており、記録媒体Pに対して送風するために回転するファン(送風手段)61と、ファン61からの送風温度を上昇させるために発熱するヒータ(加熱手段)62とを備えている。
これにより、乾燥部6から記録媒体Pに対して温風が送風されることとなり、記録媒体Pの画像を形成するインクに含まれている余分な溶媒を気化させて取り除くことでインクを乾燥する。乾燥部6の具体的な制御方法については後述する。
また、乾燥部6は、連続搬送部5を搬送される記録媒体Pに対して送風されるような向きで配設されている。
なお、ヒータ62としては、例えば、コイルヒータ、ハロゲンヒータ等を用いても良いし、また、例えば記録媒体Pの画像形成面側に金属板を配置して、電磁誘導加熱により金属板を加熱することで発熱させるような構成としても良い。
連続搬送部5は、第2の紙粉除去機構318を通過した記録媒体Pを連続的に搬送するために回転する第1〜第3の搬送ローラ部51〜53と、搬送経路に沿って搬送される記録媒体Pに付着する紙粉やゴミ等の異物を除去する異物除去機構54とを備えている。
第1の搬送ローラ部51は、第2の異物除去機構318と略等しい高さに設けられ、第2の搬送ローラ部52は、搬送経路の第1の搬送ローラ部51よりも下流側にてこの第1の搬送ローラ部51よりも上方に設けられ、第3の搬送ローラ部53は、搬送経路の第2の搬送ローラ部52よりも下流側にてこの第2の搬送ローラ部52よりも上方に設けられている。
これら搬送ローラ部51〜53は、上記した間欠搬送部31に備わる搬送ローラ部314〜316の各々と略同様の構成、すなわち搬送ローラ51a〜53aと従動ローラ51b〜53bとを備える構成であり、画像記録時に、各搬送ローラ部51〜53によって挟持された状態の記録媒体Pを搬送経路の上流側から下流側に向けて定着処理部7まで搬送する。
第1の搬送ローラ部51と第2の搬送ローラ部52との間には、記録媒体Pの搬送方向を定着処理部7に向かう方向とインクジェットプリンタ100本体の外側に向かう方向とに切り換える搬送方向切換機構55が設けられている。
搬送方向切換機構55は、搬送方向切換弁551と、切断された記録媒体Pをインクジェットプリンタ100本体の外側に案内する排紙案内路552とを備えている。
この搬送方向切換機構55により、定着処理を必要としない場合や、定着処理部7における記録媒体Pのジャム等により定着処理部7に記録媒体Pを搬送できない場合等に、搬送方向切換弁551によって記録媒体Pの搬送方向をインクジェットプリンタ100本体の外側に向かう方向に切り換えることで、排紙案内路552を介して記録媒体Pをインクジェットプリンタ100本体から排出する。
第2の搬送ローラ部52と第3の搬送ローラ部53と間には、異物除去機構54が設けられている。
異物除去機構54は、上記した第1の異物除去機構317と略同様の構成となっており、搬送ローラ541と異物除去ローラ542との間を通過する記録媒体Pの画像形成面に付着している異物を粘着除去する。異物除去ローラ542に付着した異物は清掃ローラ543によって粘着除去される。
このような構成の連続搬送部5における搬送経路の長さは、画像形成部2における間欠搬送と定着処理部7における連続搬送とによる速度差をなくすために、画像形成される最大の記録媒体Pの長さよりも長くなるように設定されている。若しくは、速度差をなくす上で、連続搬送部5の搬送経路の途中に、記録媒体を撓ませるアキューム部が設けられるような構成としても良い。
第3の搬送ローラ部53よりも搬送経路の下流側には、定着処理部7が設けられている。
以下、定着処理部7について、図5〜図7を参照して説明する。
ここで、図5及び図6は、定着処理部7を示す側断面図であり、このうち図5は、定着処理部7に備わる加圧ユニット72を閉じた状態を示す図であり、図6は、加圧ユニット72を開いた状態を示す図である。また、図7は、定着処理部7に備わる加熱ユニット71の防塵ケース714、加熱機構712、異物除去機構713を示す側断面図である。
定着処理部7は、インクジェットプリンタ100本体の上方に設けられており、図5に示すように、記録媒体Pの画像形成面(下面)側に設けられる加熱ユニット71と、加熱ユニット71とともに記録媒体Pを挟むように記録媒体Pの裏面(上面)側に設けられる加圧ユニット72とを備えている。
加熱ユニット71は、外側ケース711の内部に、記録媒体Pを加熱するための加熱機構712と、加熱機構712に備わる定着ベルト(後述)71dに付着した異物を除去するための異物除去機構713と、異物除去機構713及び加熱機構712を内包し、これらの部材に対する塵等の異物の付着を防止する防塵ケース714とを備えている。
外側ケース711は、図6に示すように、上方に開口する容器状の部材であり、記録媒体Pの搬送経路の上流側の面板が開放するように当該上流側の面板の下端部が下側の面板に対して回転自在となるように軸支されている。これにより、記録媒体Pのジャム解除や異物除去機構713及び定着ベルト71dの交換等のメンテナンス時に、前記上流側の面板を開いて外側ケース711から防塵ケース714を容易に引き出すことができるようになっている(図7参照)。
防塵ケース714は、上端に開口部71aを有し、この開口部71aから加熱機構712に備わる定着ベルト71dの表面のみが露出するように加熱機構712及び異物除去機構713を覆っている。
また、防塵ケース714は、図7に示すように、下側の面板の略中央部から搬送経路の上流側の面板の略中央部に亘る部分が、防塵ケース714本体部に対して旋回自在となるように、前記下側面板の略中央部が軸支されている。これにより、異物除去機構713や定着ベルト71dの交換等をスムーズに行うことが可能となっている。
なお、上記定着ベルト71dの交換においては、ベルト表面を傷つけないように当該表面は保護シート等の保護部材でカバーされた状態でセットして、組み立て後に保護部材を取り除くようにするのが好ましい。また、加熱機構712及び異物除去機構713を防塵ケース714ごと交換するようにしても良い。
加熱機構712は、定着処理部7における搬送経路の上流側に設けられ、記録媒体Pに対して加熱を行うために発熱するハロゲンランプを有する加熱ローラ71b、加熱ローラ71bよりも搬送経路の下流側に設けられ、駆動源(図示略)に接続されて回転駆動する駆動ローラ71cと、駆動ローラ71cと加熱ローラ71bとに巻き掛けられた定着ベルト71dと、温度を検知するための定着温度センサ71eとを備えている。
定着ベルト71dは、その表面が搬送される記録媒体Pの画像形成面と略平行となるように配置されている。
定着ベルト71dは、離型性を有するとともに、表面が平滑で耐久性を有するように構成される必要がある。このような条件を満たす定着ベルト71dの構成素材について説明する。
定着ベルト71dの基材/外層の組み合わせとしては、
ニッケルベルト/硬化型シリコーン
ニッケルベルト/シリコーンゴム
ニッケルベルト/フッ素樹脂(PFA)
SUSベルト/硬化型シリコーン
SUSベルト/シリコーンゴム
SUSベルト/フッ素樹脂(PFA)
ポリイミドベルト/硬化型シリコーン
ポリイミドベルト/シリコーンゴム
ポリイミドベルト/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
また、基材と外層との間に中間層を設けて定着ベルト71dを構成する場合、
定着ベルト71dの基材/中間層/外層の組み合わせとしては、
ニッケルベルト/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
ニッケルベルト/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
SUSベルト/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
SUSベルト/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
ポリイミドベルト/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
ポリイミドベルト/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
ここで、定着ベルト71dの基材となるニッケルベルト及びSUSベルトの厚みは、10〜60μmであり、好ましくは40μm程度である。また、ポリイミドベルトの厚みは、20〜200μmであり、好ましくは100μm程度である。
ハロゲンランプは、インクジェットプリンタ100の電源投入直後の立ち上がり時等には、短時間で所定温度に達するように、ハロゲンランプが両方とも点灯されるようになっており、所定温度(例えば、100℃)まで上昇した場合には、温度を所定温度範囲(例えば、100〜110℃)に維持するように、ハロゲンランプの点灯本数が制御されるようになっている。また、定着処理時には、記録媒体Pの幅、処理量等に応じてハロゲンランプの点灯本数が制御されるようになっている。さらに、ハロゲンランプは、常時略均一な温度分布となるように、記録媒体Pの幅、記録媒体Pの列数等に応じてフィラメントの位置や長さの変更等で配光特性が調節されている。
定着温度センサ71eは、記録媒体Pの搬送経路の上流側にて定着ベルト71dに対向する位置に配設されている。なお、定着温度センサ71eは、定着ベルト71dの内側に配設されていても良いし、また、上記定着温度センサ71eは定着ベルト71dに接触しないものであるが、定着ベルト71dに接触するものであっても良いし、加熱ローラ712に接触するものであっても良い。
さらに、定着温度センサ71eは、幅狭の複数列の記録媒体Pに対応するように、複数個設けられている。
駆動ローラ71cは、定着ベルト71d表面に付着した記録媒体Pを前記表面から引き剥がす上で、R30mm以下の曲率を持たせることが好ましい。また、駆動ローラ71cの直径は、20〜50mmであることが好ましい。
異物除去機構713は、加熱ローラ71bに定着ベルト71dを挟んで対向するとともに定着ベルト71dと当接した状態で従動回転し、定着ベルト71dの表面に付着した異物を粘着除去する2つの異物除去ローラ71f、…と、これら異物除去ローラ71fと当接した状態で従動回転し、異物除去ローラ71fの表面に付着した異物を粘着除去するための清掃ローラ71gと、これらローラ71f、71gを支持する支持部材71hとを備えている。
異物除去機構713は、支持部材71hの一端に設けられた係合部が防塵ケース714の内面の被係合部に係合することにより防塵ケース714内にて位置決めされた状態となって配設されている。
異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gは、上記した異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gと略同様の構成となっており、定着処理部7を記録媒体Pが通過することで記録媒体Pの画像形成面から定着ベルト71dに付着した異物を粘着除去する。
このような構成の異物除去機構713は、処理した記録媒体Pの枚数、記録媒体Pを通過させた距離、記録媒体Pを通過させた時間等に基づいてメンテナンスが行われるようになっている。このメンテナンスにおいては、粘着力が低下した異物除去ローラ71fを洗浄したり、粘着シートを用いて異物除去ローラ71fに付着している異物を除去したりすることで、異物除去ローラ71fの粘着力を回復させるようになっている。
なお、異物除去機構713は、必要に応じて加圧ユニット72側に配設されても良いし、また、異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gの個数は任意に変更可能である。さらに、異物除去機構713の構成を、異物除去ローラ71f及び清掃ローラ71gに替えて、クリーニングウェッブ、ブラシ、ブレード等を備える構成としても良い。
加圧ユニット72は、外側ケース721の内部に、記録媒体Pに対して加圧を行う加圧ローラ722と、加圧ローラ722が回転自在に支持されるアーム部723と、アーム部723の搬送経路の下流側の端部を下向きに付勢する加圧バネ724と、加圧ローラ722による記録媒体Pの加圧状態を解除するための加圧解除機構725とを備えている。
外側ケース721は、加熱ユニット71の外側ケース711に対して旋回自在に軸支されており、図5及び図6に示すように、加圧側基準穴726が加熱ユニット71に設けられた加熱側基準ピン715と噛み合うことで、加熱ユニット71に対して加圧ユニット72が位置決めされている。これにより、加圧ローラ722と加熱ローラ71bの中心軸どうしが位置決めされ、定着ベルト71dの寄り、加圧条件等を一定の範囲内となるようになっている。なお、加圧ローラ722と加熱ローラ71bの中心軸どうしのねじれの許容範囲は、±1mm以内となっており、好ましくは±0.5mm以下である。
アーム部723の搬送経路の手前側の端部は、外側ケース721に対して回転自在に軸支されている。
加圧ローラ722は、アーム部723の搬送経路の手前側の端部よりもわずかに搬送経路の下流側にて加熱ローラ71bに対向配置され、加圧バネ724によりアーム部723を介して下向きに付勢されることで加熱ローラ71bに巻き掛けられた定着ベルト71dとの協働により記録媒体Pを加圧するとともに、定着ベルト71dの回転に伴って従動回転して記録媒体Pを搬送方向に搬送する。
加圧ローラ722は、離型性を有するとともに、表面が対向する定着ベルト71dの表面を劣化させない材質から構成される必要がある。このような条件を満たす加圧ローラ722の構成素材について説明する。
加圧ローラ722の基材/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/シリコーンゴム
アルミローラ/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
また、基材と外層との間に中間層を設けて加圧ローラ722を構成する場合、
加圧ローラ722の基材/中間層/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/シリコーンゴム/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
ここで、シリコーンゴムは、硬度が10〜70度であり、厚みが0.5〜5mmであり、好ましくは硬度が30度であり、厚みが1mm程度である。
なお、加圧ローラ722の形状を、加圧した際のローラの撓みを相殺し、加圧力を一定範囲に保つために、端部の径に比べて中央部の径が大きくなったクラウン形状としても良い。
加圧解除機構725は、加圧ローラ722による記録媒体Pの圧着状態を解除するための圧着解除カム72aと、圧着解除カム72aを回転させるために回転駆動する駆動モータ72bと、駆動モータ72bからの駆動力を圧着解除カム72aに伝達する伝達部材72cとを備えている。
加圧解除機構725は、インクジェットプリンタ100の休止時、記録媒体Pのジャム解除時等に駆動モータ72bが駆動して伝達部材72cを介して圧着解除カム72aを回転させることで、アーム部723を上向きに旋回移動させて加圧ローラ722による加圧を解除する。
このような構成の定着処理部7による画像定着時における定着条件は、周囲の環境条件に応じて適宜変更されるようになっているが、記録媒体Pの表面における定着温度がTg以上であることが望ましく、記録媒体Pの耐熱温度を越えないように設定される。また、定着時間は0.1秒以上であることが望ましい。
加圧力は、3kg/cm2以上であり、5〜10kg/cm2程度であることが好ましい。
また、定着処理部7における搬送経路は、加熱ユニット71が下側に配置されて定着ベルト71dが略水平状態となるように配設されるか、略垂直状態となるように配設されるか、両者の間の角度となるように配設されるかのいずれかとなるのが好ましい。すなわち、記録媒体Pの画像形成面と定着ベルト71dとの密着性を確保する上で、重力が補助的に作用することが好ましく、前述した以外の角度で定着ベルト71dが配設される場合には、記録媒体Pの裏面側にガイド部材等を配設して密着性を確保するのが好ましい。
また、定着処理部7には、図5に示すように、加熱加圧された記録媒体Pを冷却させるための冷却ファン731及び冷却素子732が設けられている。なお、図6における冷却ファン731及び冷却素子732の図示は省略している。
冷却ファン731は、加圧ユニット72の圧着解除カム72aの下側に設けられ、冷却素子732は、加熱ユニット71の加熱ローラ71bと駆動ローラ71cとの間に設けられている。
これら冷却ファン731及び冷却素子732は、加熱加圧された記録媒体Pの温度を、定着処理温度よりも5℃以上、好ましくは20℃以上低下させるように構成されている。これにより、定着処理により軟化した記録媒体P表面の樹脂含有層の硬化が十分になされるように記録媒体Pの温度を低下させることができる。
なお、冷却ファン731及び冷却素子732が設けられる位置は、記録媒体Pの温度を低下させることが可能であれば如何なる場所であっても良い、また、冷却ファン731及び冷却素子732に替えて他の冷却手段を用いても良い。
定着処理部7の近傍には、排気ファン9が設けられている。
排気ファン9は、定着処理部7にて発生した熱、インクに含まれる水分の蒸発により発生した水蒸気、インクジェットプリンタ100内部の他の熱源から発生した熱を、インクジェットプリンタ100外部に排出する。
吸気ファン8は、インクジェットプリンタ100本体の下部に設けられており、インクジェットプリンタ100外部のゴミや塵等がインクジェットプリンタ100内部に侵入することを防止するフィルター81が設けられている。
フィルター81は、ゴミや塵等の侵入を防止する上で、フィルター81の目が50μm以上の寸法のゴミや塵を捕らえることができるように十分に細かいものが適用される。また、吸気ファン8の風量は、排気ファン8の風量よりも大きくされており、これによりゴミや塵等がインクジェットプリンタ100内部に侵入し難くされている。
また、定着処理部7を通過した記録媒体Pは、ケース1上部に設けられた記録媒体受部11に搬出される。
記録媒体受部11は、略直線状に延在する部材であるが、設計上の都合等によりアール(R)を設ける場合には、記録媒体Pの基準Rよりも十分に大きくする必要があり、R250mm以上であることが好ましい。すなわち、定着処理部7を通過することで高温になった記録媒体Pの温度は、記録媒体受部11に搬出されて、徐々に低下することとなるが、この際に保持された形状が記録媒体Pに癖となって残ってしまうので、それを防止するためである。
このように構成されたインクジェットプリンタ100の搬送経路においては、搬送される記録媒体Pの表面のひび割れを防止するために、曲線路の部分のR(アール)が少なくとも30mm以上に設定されている。また、搬送経路は、搬送される記録媒体Pの画像形成面を傷つけないように、突起やエッジがなく、平滑な状態とされる必要がある。
制御装置200は、ホストコンピュータ210と、ホストコンピュータ210とインターフェース21e、22dを介して電気的に接続され、インクジェットプリンタ100本体に備わる制御部220とを備えて構成されている。
ホストコンピュータ210は、CPU21aと、メモリ21bと、ROM21cと、インターフェース21d、21eと、磁気ディスクドライブ21fと、光ディスクドライブ21gと、ネットワーク用インターフェース21hと、メモリカードリーダ21iとを備えている。
CPU21aは、メモリ21bを作業領域として、例えばROM21cに記憶された制御プログラムに従った演算を行う。
インターフェース21dには、スキャナ21jが接続され、インターフェース21eには、インクジェットプリンタ100本体の制御部220が接続されている。
制御部220は、CPU22aと、画像メモリ22bと、ROM22cと、インターフェース22dと、濃淡分離部22eと、データ配列制御部22fと、ヘッドドライバ22gと、主及び副モータドライバ22h、22iと、カッタードライバ22jと、定着制御部22kと、乾燥制御部22lとを備えている。
CPU22aは、ホストコンピュータ210から送られてくる各種画像データに基づき、制御部220に備わる各部を制御することで、インクジェットプリンタ100による画像記録を統括的に制御する。
また、CPU22aは、温度判断手段として、ROM22cから読み出した温度判断プログラムc1(図2−2参照)に従って、温度センサ(温度検知手段)12により検知された検知温度が所定の値以上であるか否かを判断する。また、CPU22aは、湿度判断手段として、ROM22cから読み出した湿度判断プログラムc2(図2−2参照)に従って、湿度センサ(湿度検知手段)13により検知された検知湿度が所定の値以上であるか否かを判断する。
さらに、CPU22aは、インク量算出手段として、ROM22cから読み出したインク量算出プログラムc3(図2−2参照)に従って、ホストコンピュータ210から出力されて入力された画像データに基づいて画像形成部2による画像の形成の際に記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量を算出する。また、CPU22aは、インク量判断手段として、ROM22cから読み出されたインク量判断プログラムc4(図2−2参照)に従って、算出された記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値(例えば、15ml/m2)以上であるか否かを判断する。
ヘッドドライバ22gには、記録ヘッド22が接続され、主モータドライバ22hには、駆動モータ231が接続され、副モータドライバ22iには搬送ローラ部、給紙ローラ部等に備わる駆動源である副走査モータ3aが接続され、カッタードライバ22jには切断部4が接続されている。
乾燥制御部(乾燥部制御手段)22lは、乾燥部6と電気的に接続され、CPU22aの制御下にて乾燥部6による画像の乾燥等を制御する。具体的には、乾燥制御部22lは、CPU22aの制御下においてROM22cから読み出された乾燥部制御プログラムc5(図2−2参照)の実行に従って、温度センサ12により検知された温度及び湿度センサ13により検知された湿度に基づいて、乾燥部6の動作を制御する。より具体的には、乾燥制御部22lは、CPU22aにより検知温度が所定の値(例えば、25℃)以上であると判断され、且つ、CPU22aにより検知湿度が所定の値(例えば、50%)以上であると判断された場合に、乾燥部6を動作させるようになっている。ここで、乾燥制御部22lは、ファン61からの送風及びヒータ62の加熱のうち、少なくとも何れか一方を制御するようになっている。即ち、乾燥制御部22lは、湿度が所定の値以上で特定の値(例えば、60%)以下の場合には、ファン61のみを作動させ、特定の値を超える場合には、ファン61に加えてヒータ62も作動させて記録媒体Pのインクに含まれている余分な溶媒を乾燥させるようになっている。
さらに、乾燥制御部22lは、CPU22aにより記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上であると判断された場合に、乾燥部6の動作を制御するようになっている。
上記のように乾燥制御部22lにより制御される乾燥部6は、定着処理部7により定着処理されることで画像のC値が80以上となる程度まで、記録媒体Pに形成された画像のインクに含まれている余分な溶媒を乾燥させるようになっている。
定着制御部22kは、定着処理部7と電気的に接続され、CPU22aの制御下にて定着処理部7による画像の記録媒体Pへの定着等を制御する。具体的には、定着制御部22kは、加熱制御手段として、CPU22aの制御下においてROM22cから読み出された加熱制御プログラムc6(図2−2参照)の実行に従って、例えば定着温度センサ71eによる検知温度に基づいてハロゲンランプの印加電圧やPWMデューティーを制御して加熱ローラ71bにより記録媒体Pを加熱させる。このとき、定着制御部22kは、乾燥制御部22lにより制御されるヒータ62による記録媒体Pの加熱状態に応じて、加熱ローラ71bによる記録媒体Pの加熱を制御するようになっている。
また、インターフェース22dには、インクジェットプリンタ100内部の温度を検知する温度センサ12、インクジェットプリンタ100内部の湿度を検知する湿度センサ13が接続されている。
次に、制御装置200の制御下におけるインクジェットプリンタ100による画像記録について説明する。
先ず、収納部31aに記録媒体Pがセットされた後、オペレーションパネル(図示略)が操作されて記録媒体Pに対する画像記録の実行が選択されると、CPU22aは、給紙ローラ部312、搬送ローラ部314〜316等を制御することで、収納部31aに収納された記録媒体Pをその先端が画像形成部2の記録開始位置となるように搬送する。
なお、収納部31aに記録媒体Pがセットされることで、自動的に記録媒体Pをその先端が画像形成部2の記録開始位置となるように搬送するようにしても良い。
次に、ホストコンピュータ210のCPU21aは、例えばインクジェットプリンタ100による画像記録時において、メモリカードや光ディスク等に記憶された画像データを読み出して、メモリ22bに展開する。具体的には、画像データは、画像を構成する各画素の赤、緑、青成分の輝度を示す所定ビット数のRGBデータが所定の規則で並ぶように展開される。
なお、画像データは、スキャナ21により読み込まれものであっても良いし、ネットワークNを介して転送され磁気ディスクやメモリカードに格納されたものであっても良い。
次に、CPU21aは、メモリ21bに展開された画像データを、例えば磁気ディスクに記憶されているYMCKデータに対応するLUT(ルックアップテーブル)に基づいて、YMCKデータに変換する。
その後、CPU21aは、YMCKデータに変換された画像データに対して誤差拡散処理(図8参照)を施した後、この画像データをインターフェース21eを介してインクジェットプリンタ100本体の制御部220に転送する。
制御部220のCPU22aは、誤差拡散処理が施された画像データを受け取ると、濃淡分離部22eを制御して、前記画像データを濃インクデータと淡インクデータに分解し画像メモリ22bに格納する。ここで、濃淡インクの分解方法としては、例えば図8に示すように、誤差拡散処理された0〜8の9値の各入力データを濃淡各3値に分解する。
なお、図8は、入力データと濃インクデータと淡インクデータとの対応関係を示す図であり、このうち「0」はインク滴の吐出を行わないことを、「1」はインク滴を小液滴(4pl(ピコリットル))として吐出することを、「2」はインク滴を大液滴(7pl(ピコリットル))として吐出することを示している。
画像形成部2では、例えばCPU22aの制御下で、画像データに基づいて記録媒体P上にインクを吐出していくことで、記録媒体Pに画像を形成する(画像形成工程)。具体的には、画像メモリ22b上に所定量の画像データが格納されると、CPU22aは、駆動モータ231を制御してキャリッジ23を走査方向Xに移動させる。このとき、キャリッジ23に搭載されたリニアエンコーダセンサ27によって、リニアスケール26上の180dpi周期の光学パターンが読み取られ、180dpi周期、約5kHzのクロック信号として、データ配列制御部に対して出力される。
データ配列制御部22fは、クロック信号が入力されると、このクロック信号を6逓倍して1080dpi、約30kHzの画素クロック信号を生成し、この画素クロック信号に同期してノズル配置に対応した画像データを画像メモリ22bから読み出す。すなわち、図9に示すように、3画素クロック100μs間に各記録ヘッド22を各列ごとに255画素のデータを読み出し、ヘッドドライバ22gに転送する。ヘッドドライバ22gは、各ノズルに対応する3値のデータに応じたヘッド駆動パルス信号を各ノズルの相に対応したタイミングで生成する。つまり、データが「0」の場合にはパルス信号を生成せず、「1」の場合には1パルス生成し、「2」の場合には約10μs間隔で2パルス生成する。また、ABC各相のヘッド駆動パルスは、1画素クロック分33μsずつずれたタイミングで生成される。
従って、データが「0」の場合、すなわちパルス信号が印加されないノズル(吐出口221)からはインク吐出が行われず、データが「1」の場合、すなわち1パルス印加されたノズルからは約4plのインク滴が吐出されて記録媒体P上に直径約35μmのドットが形成され、データが「2」の場合、すなわち2パルス印加されたノズルからは、最初のパルスにより約4plのインク滴が吐出され、2つ目のパルスで約3plのインク滴が吐出されるが、2つ目のインク滴の飛翔速度の方が1つ目のインク滴の飛翔速度に比べて速いため、2つのインク滴は空中で合体し、約7plのインク滴として記録媒体Pに着弾し、この記録媒体P上に直径約44μmのドットが形成される。
ここで、8つの記録ヘッド22、…は走査方向Xに異なる位置に配設されているので、データ配列制御部22fは、各記録ヘッド22の位置に応じたタイミングで画像メモリ22bから画像データを読み出し、各記録ヘッド22のドット形成位置が結果として記録媒体P上で略一致するように制御するようになっている。
これにより、キャリッジ23の一回の走査で、走査方向Xに1080dpi・3画素間隔で画像データに応じたドットが形成される。
キャリッジ23の一回の走査が終了すると、CPU22aは、副走査モータ3a等を制御して、記録媒体Pを搬送方向に1080dpi・170画素分、具体的には4mm搬送する。
続けて、CPU22aは、駆動モータ231を制御することで、キャリッジ23を上記と反対方向に移動させて往路と同様の手順で反対向きに画像データに応じたドットを形成する。具体的には、記録ヘッド22のノズル(吐出口221)配列は2列で360dpi、70.5μmずつ離れているので、記録媒体Pを4mm搬送すると、2回目の走査(復路の走査)で形成されるドットは1走査(往路)目で形成されたドットの1080dpi画素分、すなわち23.5μm搬送方向に離れた位置に形成されることとなる。
上記のような走査が繰り返されることで、ホストコンピュータ210から転送された画像データに対応した1枚の画像が形成される。
なお、前述したノズル(吐出口221)の配列が図4−2に示すものである場合には、1080×1080dpiで形成されていく。また、連続して複数の画像を形成する場合には、画像と画像の境界も切れ目なく連続して画像が形成される。
画像形成部2による画像形成に伴って、間欠搬送部310によって記録媒体Pが間欠的に搬送されることで、切断部4、連続搬送部5と順次搬送されていく。
そして、記録媒体Pが画像形成部2から搬出されて画像境界が切断部4のカッター切断位置に到達すると、CPU22aは、切断部4を制御することで、ロータリーカッター421を走査方向Xに移動させて記録媒体Pを切断する。ここで、縁なしプリントを作製する場合には、画像境界の両側を4mmの幅で切断する。また、記録媒体Pの切断により生じた切断片は、切断片回収部43により回収される。
なお、最後の画像の形成が終了すると、CPU22aは搬送ローラ部314〜316等を制御して、記録媒体Pに形成された前記最後の画像の後端がカッター切断位置に到達するまで記録媒体Pを搬送し、ロータリーカッター421で前記画像の後端を切断した後、搬送ローラ314a〜316a等を逆回転させて未記録の記録媒体Pの先端部が画像形成開始位置に来るように記録媒体Pを後退させる。
一方、記録媒体Pの切断が完了すると、CPU22aは連続搬送部5を制御して、記録媒体Pを定着処理部7へと連続的に搬送して、CPU22aの制御下にて乾燥制御部22lは、乾燥部6を制御してファン61を回転させたりヒータ62を発熱させることにより、記録媒体P上の形成画像を形成するインクの乾燥量を調整してインクを乾燥させる(乾燥工程)。
ここで、CPU22aによる乾燥部6の具体的な制御方法について説明する。
CPU22aは、温度センサ12及び湿度センサ13に基づき検知された温度及び湿度に応じて所定の制御信号を乾燥制御部22lに出力して、乾燥制御部22lにヒータ62の電圧またはPWMデューティーを変化させる。具体的には、例えば、CPU22aにより温度及び湿度が所定の値以上で特定の値以下であると判断された場合には、乾燥制御部22lはファン61の印加電圧を高くして風量を増加させることで、記録媒体Pの画像の乾燥を行い、CPU22aにより温度及び湿度が特定の値を越えていると判断された場合には、乾燥制御部22lはファン61に加えてヒータ62の印加電圧を高くすることで温風の温度を上昇させることで、記録媒体Pの画像の乾燥を効果的に行うようになっている。なお、所定の値よりも高温で低湿度の状況、低温で高湿度の状況、低温で低湿度の状況等においても、これら各々の状況に応じてヒータ62の印加電圧並びにファン61の印加電圧がCPU22aによって制御されるようになっていても良い。
さらに、乾燥制御部22lは、CPU22aにより記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上であると判断された場合には、乾燥部6、即ち、ファン61及びヒータ62の動作を制御するようになっている。
これにより、記録媒体Pに形成された画像のインクに含まれる余分な溶媒を蒸発させて乾燥を適正に行うことができる。つまり、乾燥制御部22lは、記録媒体Pに対してのファン61からの送風及びヒータ62の加熱のうちの少なくとも何れか一方の駆動を制御して、インクに含まれている余分な溶媒の乾燥を効率的に行うことができる。また、記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上である場合に、乾燥制御部22lは、乾燥部6を動作させてインクに含まれている余分な溶媒の乾燥を適正に行うことができる。
連続搬送部5により搬送される記録媒体Pが定着処理部7に到達すると、定着処理部7の搬入口7aから記録媒体Pが定着処理部7内に搬入される。
そして、CPU22aは、定着処理部7を制御することで定着ベルト71d及び加圧ローラ722を回転させて、記録媒体Pを連続的に搬送しながらこの記録媒体Pを加熱加圧して、記録媒体Pに対する光沢向上(定着)処理を行う(定着処理工程)。すなわち、定着処理を行う前に、乾燥部6からの送風によって、記録媒体P上の形成画像に含まれている余分な溶媒を取り除いて形成画像を乾燥させているので、定着処理部7にて光沢向上処理を効果的に行うことができ、記録画像の光沢性の向上を十分に図ることができる。このとき、乾燥部6は、定着処理部7により定着処理されることで画像のC値が80以上となる程度まで、記録媒体Pに形成された画像のインクに含まれている余分な溶媒を乾燥させるようになっているので、銀塩写真と略同等の光沢性を有する画像を得ることができる。
ここで、記録媒体Pの加熱温度は、CPU22aが定着温度センサ71eに基づき検知された温度に応じてハロゲンランプの印加電圧またはPWMデューティーを変化させることにより調節されるようになっている。即ち、定着制御部22kは、CPU22aの制御下にて乾燥制御部22lにより制御されるヒータ62による記録媒体Pの加熱状態に応じて、加熱ローラ71bによる記録媒体Pの加熱を制御するようになっているので、ヒータ62より記録媒体Pが予め加熱された状態とり、ヒータ62の加熱状態を考慮して定着処理部7の加熱ローラ71bによる記録媒体Pの加熱を効率良く行うことができる。また、周囲の環境条件に応じて、搬送速度を速めたり遅くしたりすることで、調節されるようにしても良い。
なお、定着処理部7で記録媒体Pのジャムが発生した場合には、定着処理部7の駆動停止、表示部(図示略)にジャム発生の表示、圧着の解除等を行うとともに、後続の記録媒体Pの画像形成を処理するようになっている。
具体的には、画像形成が途中で停止されると、画像形成を再開した場合に、停止の前後で記録媒体Pの位置ずれやインク吐出のずれが生じてしまい、画像にムラが生じてしまうため、画像形成中の記録媒体Pは、画像形成を継続させて完了させて、形成画像を排紙案内路552を介してインクジェットプリンタ100外部に搬出するとともに、その後の画像形成を待機状態とするか、または後続の画像形成を全て完了させて排紙案内路552を介してインクジェットプリンタ100外部に搬出するようにしても良い。その後、定着処理部7が復旧した際に、図示しない搬送経路を介して定着処理部7に対して形成画像を搬送して、この形成画像に対して定着処理を行うようになっている。
その後、光沢向上処理が行われた記録媒体Pは、定着処理部7から搬出されて記録媒体受部11に集積される。
次に、本発明に係るインクジェットプリンタ100の以下の所定条件下における画像記録動作について説明する。
(インク)
イエロー、マゼンダ、シアン、ブラックの各々の濃淡インク、即ち、計8色のインクを用いた。
(インクの作成方法)
先ず、イエローインク用の顔料としてC.I.ピグメントイエロー74、マゼンダインク用の顔料としてC.I.ピグメントレッド122、シアンインク用の顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3、ブラックインク用の顔料としてカーボンブラックを用いて、所定量のアクリル、スチレン系樹脂、グリセリン、イオン交換水と混合して、各々の顔料分散体を作成した。
濃イエローインク、濃マゼンダインク:それぞれの顔料分散体15%、溶媒(エチレングリコール等)30%、界面活性剤0.1%、イオン交換水54.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡シアンインク、ブラックインク:それぞれの顔料分散体10%、溶媒(エチレングリコール等)30%、界面活性剤0.1%、イオン交換水59.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡イエローインク、淡マゼンダインク:それぞれの顔料分散体3%、溶媒(エチレングリコール等)35%、界面活性剤0.1%、イオン交換水61.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡シアンインク:顔料分散体2%、溶媒(エチレングリコール等)35%、界面活性剤0.2%、イオン交換水62.8%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
淡ブラックインク:顔料分散体2%、溶媒(エチレングリコール等)35%、界面活性剤0.1%、イオン交換水62.9%の比率で混合・撹拌し、フィルター(東洋濾紙(株)製、1μmカートリッジフィルター)で濾過して作成した。
(記録媒体等)
下層用塗布液の調整:シリカ分散液(60%)にポリビニルアルコール水溶液(19%)と純水(21%)を用いて下層用塗布液を調整した。
上層用塗布液の調整:下層用塗布液に熱可塑性微粒子であるTg82℃のアクリル系ラテックスを、熱可塑性微粒子とフィラー(シリカ)との固形分比が55/45となるように添加して、上層用塗布液を調整した。
両面をポリエチレンで被覆した厚さ220μmの紙支持体上に、支持体側から、シリカの付き量が下層18g/m2、上層3g/m2となるように下層塗布液、その上に上層用塗布液を塗布した。その後、乾燥・調質して、インク吸収量が25ml/m2以上の記録媒体を作成した。
(画像記録動作)
上記の8色のインクを用いて、ロール状の記録媒体(幅297mm)に対して、記録媒体の送り量4mm、記録密度1080×1080dpi、液適量7plとなるようにインクを吐出して画像形成した。
キャリッジの加減速の際の加速度1[G]、移動速度:780mm/s
(乾燥条件)
ヒータ:78V、280W定格のハロゲンランプヒータを用い、その電圧を画像を形成するインクに含まれる余分な溶媒の乾燥減量に応じて調整した。
送風ファン:24V、1.0Aのクロスフローファンを用いて、その風量が記録媒体の表面にて2.2L/s以上となるように調整した。
(定着処理条件)
定着部の画像形成面側の構成:ハロゲンランプを内蔵したアルミ製加熱ローラ及び従動ローラに、硬化型シリコーンが塗布された厚さ40μmの無端ニッケルベルトを架け渡した。
定着部の裏面側の構成:アルミ製芯金に厚さ1mmのシリコーンゴムとPFAチューブが被覆された加圧ローラとした。
加圧力:記録媒体の全幅に亘って面厚7Kgf/cm2以上となるように調整した。
定着温度:ニッケルベルトの面温度で105℃±5℃に制御した。
搬送速度:約10mm/sに設定した。これにより、定着時間(加熱加圧時間)をニップ幅2mm以上で0.2秒以上とした。
(C値の測定方法)
JIS−K−7105に規定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反射法により測定し、その値をC値とした。
(環境条件の影響試験)
画像記録動作の際のインクジェットプリンタ内の温度を25℃、湿度を50%としたものを環境条件1とし、温度を25℃、湿度を60%としたものを環境条件2とし、温度を25℃、湿度を70%としたものを環境条件3とし、温度を30℃、湿度を60%としたものを環境条件4とし、温度を30℃、湿度を70%としたものを環境条件5として、それぞれの条件下で記録媒体に1m2当たりのインク量(ml/m2)が、12.5、15、17.5、20及び24mlとなるように吐出して画像を形成した。その後、定着処理を行って記録された画像のC値を測定した。その結果を図13に示す。
図13に示すように、温度25℃、湿度50%の環境条件1ではインク量が増加しても記録画像のC値の低下度合は小さかったが、湿度が高くなるに従って(環境条件2及び環境条件3)、記録画像のC値の低下度合が大きくなり、湿度が70%の環境ではインク量が20ml/m2で記録画像のC値が80よりも小さくなった。また、温度を30℃とした環境条件4(湿度60%)及び環境条件5(湿度70%)では、25℃の環境条件2(湿度60%)及び環境条件3(湿度70%)に比べてそれぞれ記録画像のC値が大幅に低下した。
(乾燥減量の影響試験)
温度30℃、湿度70%の環境条件下にて、記録媒体におけるインク量が20(ml/m2)の画像を形成した。そして、画像を形成するインクに含まれる余分な溶媒を、その乾燥減量が1、2、3、4及び5(g/m2)となるように、乾燥部のファンを動作させた状態で、ヒータの電圧を30、40、50、60及び70(V)に調整することで乾燥させて取り除いた。その後、定着処理を行って記録された画像のC値を測定した。その結果を図14に示す。
図14に示すように、乾燥減量が2(g/m2)であると、即ち、インク量を約10%程度減少させると、記録画像のC値が80を越える程度まで向上させることができた。また、乾燥減量が4(g/m2)であると、即ち、インク量を約20%程度減少させると、記録画像のC値を温度25℃、湿度50%の環境条件とほぼ等しいレベルの90前後まで向上させることができた。
このように、高温高湿(例えば、温度30℃、湿度70%)の環境条件下では、インク量が増加するに従って記録画像の光沢度(C値)の低下が顕著となるが。記録媒体における画像を形成するインクに含まれる余分な溶媒を所定量乾燥させて取り除くことにより、記録画像の光沢度を向上させることができる。
また、高温高湿の環境条件下では、インク量が増加した場合に、記録画像のC値の低下度合が大きくなることから、画像の形成に使用されるインク量の減少を図ることによっても記録画像のC値を向上させることもできると考えられる。
なお、上記実施の形態における、誤差拡散レベル数、インク色数、記録ヘッド22の個数、ヘッド走査速度、記録ヘッド22の構造、ノズルの個数、ノズル(吐出口221)のピッチ、記録解像度、リニアスケール周期、記録周波数、インク液適量、インク液滴量のステップ数等は、例示であり、適宜任意に変更可能となっている。
また、上記実施の形態では、乾燥制御部22lは、乾燥部6の制御を乾燥部制御プログラムc5の実行に基づいて行うような構成としたが、これに限られるものではなく、乾燥制御部22lを所定のロジック回路で構成したり、CPU等から構成してこのCPUの制御下にて所定のプログラムを実行して、乾燥部制御手段にかかる機能を実現するような構成であっても良い。さらに、乾燥制御部22lの制御を、ホストコンピュータ210にて行うような構成であっても良い。
<変形例>
以下に、インクジェットプリンタ100の構成要素の各種変形例を、図面を参照して説明する。
なお、以下の変形例においては、その変形例に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
<連続搬送部の変形例>
連続搬送部の変形例について図10を参照して説明する。
ここで、図10は、連続搬送部の変形例を備えたインクジェットプリンタ100の主要部を示した側断面図である。
この変形例の連続搬送部500は、スイッチバック方式にて記録媒体Pを搬送するためのものであり、切断片回収部43よりも搬送経路の下流側に設けられている。
また、連続搬送部500は、切断部4から搬出される記録媒体Pを搬入するための搬入口501と、この搬入口501から搬送経路切換部(後述)509までの記録媒体Pの下向きの搬送経路である第1搬送経路502と、搬送経路切換部509から定着処理部7までの記録媒体Pの上向きの搬送経路である第2搬送経路503と、記録媒体Pを各搬送経路沿いに連続的に搬送するために回転する第1〜第5の搬送ローラ部504〜508とを備えている。
このうち、第1搬送経路502の終点部と第2搬送経路503の始点部とが互いの搬送経路を共有するように例えば断面略Y字状の経路を構成しており、この断面略Y字状の経路部分が搬送経路切換部509となっている。
この搬送経路切換部509は、記録媒体Pの第1搬送経路502沿いの下向きの搬送を第2搬送経路503沿いの上向きの搬送に切り換えるためのものである。また、搬送経路切換部509は、この搬送経路切換部509から定着処理部7への記録媒体Pの搬送時に、記録媒体Pの第1搬送経路502沿いの搬送を規制して記録媒体Pを第2搬送経路503に沿って案内する搬送経路規制弁510を備えている。なお、搬送経路規制弁510は、例えば第1搬送経路502と第2搬送経路503とが交わった部分に設けられている。
第1及び第2の搬送ローラ部504、505は、記録媒体Pを第1搬送経路502沿いに下向きに搬送するために回転するものであり、第3の搬送ローラ部506は、搬送経路切換部509にて記録媒体Pの搬送経路を第1搬送経路502から第2搬送経路503に切り換えて搬送するために回転するものであり、第4及び第5の搬送ローラ部507、508は、記録媒体Pを第2搬送経路503沿いに上向きに搬送するために回転するものである。
第1の搬送ローラ部504は、第1搬送経路502の搬入口501よりの位置に配設され、第2の搬送ローラ部505は、第1搬送経路502の第1の搬送ローラ部504と第3の搬送ローラ部506との間の位置に配設され、第4の搬送ローラ部507は第2搬送経路503の略真ん中付近に配設され、第5の搬送ローラ部508は、第2搬送経路503の定着処理部7よりの位置に配設されている。
第1及び第2の搬送ローラ部504、505は、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ5aと、搬送ローラ5aとともに記録媒体Pを挟むように配置され、搬送ローラ5aとの協働により記録媒体Pを搬送する従動ローラ5bとを備えている。
第3〜第5の搬送ローラ部506〜508は、駆動源(図示略)に接続され、この駆動源からの駆動力により回転駆動する搬送ローラ5cと、搬送ローラ5cとともに記録媒体Pを挟むように配置されて搬送ローラ5cの回転に伴って従動回転し、搬送ローラ5cとの協働により記録媒体Pを搬送するとともに記録媒体Pの画像形成面に付着した異物を粘着除去する異物除去ローラ5dと、異物除去ローラ5dと当接した状態で異物除去ローラ5dの回転に伴って従動回転し、異物除去ローラ5dの表面に付着した異物を粘着除去するための清掃ローラ5eとを備えている。
そして、この連続搬送部5では、CPU22aが第1及び第2の搬送ローラ部504、505を制御して、搬送ローラ5aを所定方向に回転させることで記録媒体Pを第1搬送経路502沿いに下向きに搬送する。
その後、記録媒体Pが搬送経路切換部509まで搬送されると、CPU22aは第3の搬送ローラ部506を制御して、搬送ローラ5cを所定方向に回転させることで記録媒体Pをその後端が搬送経路規制弁510を通過するまで下向きに搬送する。そして、記録媒体Pの後端が搬送経路規制弁510を通過すると、搬送ローラ5cを所定方向と逆に回転させることで記録媒体Pの搬送方向を上向きに切り換える。このとき、記録媒体Pの画像形成面に付着した異物は、第3の搬送ローラ部506の異物除去ローラ5dによって粘着除去されることとなる。
搬送方向が切り換えられた記録媒体Pは、搬送経路規制弁510によって第2搬送経路503沿いに案内され、CPU22aが第4及び第5の搬送ローラ部507、508を制御して、搬送ローラ5cを所定方向と逆に回転させることで第2搬送経路503沿いに上向きに搬送される。このとき、記録媒体Pの画像形成面に付着した異物は、第4及び第5の搬送ローラ部507、508の異物除去ローラ5dによって粘着除去されることとなる。
このように、連続搬送部500は、記録媒体Pを間欠搬送部310による間欠的な搬送から連続的な定速の搬送に切り換えて搬送することができるとともに、記録媒体Pを、その搬送方向を切り換え上向きに搬送して連続搬送部500より上側に設けられた定着処理部7に搬送することができる。
また、第4の搬送ローラ部507と第5の搬送ローラ部508との間の第2搬送経路503には、異物除去機構518が設けられている。
異物除去機構518は、上記実施の形態にて例示した第2の異物除去機構318と略同様の構成となっており、紙粉除去ブラシ318aと、吸引ファン318bとを備え、記録媒体Pの画像形成面に付着した紙粉を除去可能となっている。
<定着処理部の変形例1>
定着処理部の変形例1について図11を参照して説明する。
ここで、図11は、定着処理部の変形例1を示す側断面図である。
この変形例1の定着処理部700は、加圧ローラ722よりも搬送経路の下流側に設けられ、駆動源(図示略)に接続されて回転駆動する駆動ローラ727と、駆動ローラ727と加圧ローラ722とに巻き掛けられた搬送ベルト728とを有する加圧ユニット72を備えている。
搬送ベルト728は、その表面が搬送される記録媒体Pの裏面と略平行となるように対向配置されている。
また、搬送ベルト728は、定着ベルト71dと略同様の性質を有するものであり、搬送ベルト728の構成素材も定着ベルト71dの構成素材と略等しくなっている。
駆動ローラ727は、加熱ユニット71の駆動ローラ71cと略対向する位置に配設されている。なお、駆動ローラ727の配設位置は、搬送ベルト728の長さ、ローラ径等により適宜変更されても良い。
このような構成の定着処理部700によれば、定着ベルト71dと記録媒体Pとの密着性を保ち易いといった利点があり、定着処理部700の配置における自由度を高めることができる。
<定着処理部の変形例2>
定着処理部の変形例2について図12を参照して説明する。
ここで、図12は、定着処理部800の変形例2を示す側断面図である。
この変形例2の定着処理部800は、加圧ローラ722に対向配置されるとともにこの加圧ローラ722と当接した状態で回転駆動する加熱ローラ71bを有する加熱ユニット71を備えている。
加熱ローラ71bは、駆動モータ等の駆動源(図示略)に接続されており、加熱ローラ71bが回転駆動することで加圧ローラ722も回転し、これらローラの協働により記録媒体Pを搬送する。
また、加熱ローラ71bは、離型性並びに耐久性を有するとともに、表面が平滑となるように構成される必要がある。このような条件を満たす加熱ローラ71bの構成素材について説明する。
加熱ローラ71bの基材/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/硬化型シリコーン
アルミローラ/フッ素樹脂(PFA)
が適用される。
また、基材と外層との間に中間層を設けて加熱ローラ71bを構成する場合、
加熱ローラ71bの基材/中間層/外層の組み合わせとしては、
アルミローラ/シリコーンゴム/硬化型シリコーン
アルミローラ/シリコーンゴム/フッ素樹脂
が適用される。
なお、シリコーンゴムの硬度並びに厚みは、加圧ローラ722の場合と略等しくなっているのが好ましい。
このような構成の定着処理部800によれば、構成要素が少なく、コストが安く、組み立て、取り回しが容易であるという利点がある。
<制御装置の変形例>
制御装置の変形例について図15−1及び図15−2を参照して説明する。
ここで、図15−1は、制御装置300の変形例の要部構成を示したブロック図であり、図15−2は、制御装置300に備わるROM322cの内部構成を示した図である。
図15−1及び図15−2に示すように、この変形例の制御部320に備わるCPU322aは、水蒸気量算出手段として、ROM322cから水蒸気量算出プログラムc7を読み出して、この水蒸気量算出プログラムc7に従って、温度センサ12により検知された温度及び湿度センサ13により検知された湿度に基づいて、ケース1内における空気の所定の単位体積当たりの水分量である水蒸気量を算出するとともに、水蒸気量判断手段として、ROM322cから水蒸気量判断プログラムc8を読み出して、この水蒸気量判断プログラムc8に従って、算出された水蒸気量が所定の値(例えば、12g/m3)以上であるか否かを判断する。
そして、乾燥制御部322lは、CPU322aにより水蒸気量が所定の値以上であると判断された場合に、乾燥部6の動作、即ち、ファン61からの送風及びヒータ62の加熱のうちの少なくとも何れか一方を制御するようになっている。
このように、乾燥制御部322lは、ケース1内の温度及び湿度に基づいて算出された水蒸気量が所定の値以上である場合に、乾燥部6を動作させてインクに含まれている余分な溶媒の乾燥を適正に行うことができる。
[第二の実施の形態]
以下に、本発明が適用された第二の実施の形態のインクジェットプリンタについて、図面を参照して説明する。
なお、第二の実施の形態においては、この第二の実施の形態に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図16−1は、第二の実施の形態のインクジェットプリンタに備わる制御装置400の要部構成を示したブロック図であり、図16−2は、制御装置400に備わるROM422cの内部構成を示した図である。
第二の実施の形態のインクジェットプリンタは、図示は省略するが乾燥部及び乾燥制御部を備えない構成であり、図16−1及び図16−2に示すように、制御部420のCPU422aは、当該インクジェットプリンタによる画像形成の際の組合決定工程において、組合決定手段として、ROM422cから組合決定プログラムc9を読み出して、この組合決定プログラムc9に従って、入力された画像データに基づいた画像形成部2による画像の形成において記録ヘッド22から吐出される複数のインクの色、吐出量等の組み合わせを決定する。また、CPU422aは、インク量調整工程において、インク量調整手段として、ROM422cからインク量調整プログラムc10を読み出して、このインク量調整プログラムc10に従って、温度センサ12により検知された温度及び湿度センサ13により検知された湿度に基づいて、画像形成部2による画像の形成の際に記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、決定された複数のインクの組み合わせを変更してインク量を調整する。具体的には、CPU422aは、ROM422cから読み出した温度判断プログラムc1に従って、温度センサ12により検知された温度が所定の値(例えば、25℃)以上であると判断し、且つ、ROM422cから読み出した湿度判断プログラムc2に従って、湿度センサ13により検知された湿度が所定の値(例えば、50%)以上であると判断した場合に、インク量を調整するようになっている。
ここで、CPU422aは、画像形成部2によるカラー画像の形成の際に、決定された複数のインクの組み合わせを下色除去により変更したり、画像の形成に使用されるインクのうち、例えばイエロー濃インク、マゼンダ濃インク、シアン濃インク、ブラック濃インク等の濃インクの比率が、例えばイエロー淡インク、マゼンダ淡インク、シアン淡インク、ブラック淡インク等の淡インクに対して大きくなるように変更してインク量を調整するようになっている。これにより、画像形成部2による画像の形成の際に使用されるインク量を減少させることができる。
なお、下色除去とは、複数色のインクの配合により表現される色を所定のインクで代表させることであり、この下色除去としては、例えば、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクを用いる場合に、YMCの3色混合により表現される黒色をブラック(K)のインクで代表させることが挙げられる。
従って、上記構成のインクジェットプリンタによれば、当該インクジェットプリンタ内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成に使用される複数のインクの組み合わせを変更して記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量の調整を行うことができる。即ち、上記明らかなように(図13参照)、画像の形成に使用されるインク量を減少させて画像形成を行って、その後、画像の記録媒体Pに対する定着処理を行うことにより、記録媒体Pの表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
[第三の実施の形態]
以下に、本発明が適用された第三の実施の形態のインクジェットプリンタについて、図面を参照して説明する。
なお、第三の実施の形態においては、この第三の実施の形態に特有の部分以外は上記実施の形態と同様であるので、上記実施の形態と同一部分には同一符号を付し、その説明を省略する。
ここで、図17−1は、本発明が適用された第三の実施の形態として例示するインクジェットプリンタに備わる制御装置520の要部構成を示したブロック図であり、図17−2は、制御装置520に備わるROM522cの内部構成を示した図である。
第三の実施の形態のインクジェットプリンタは、上記第二の実施の形態と同様に乾燥部及び乾燥制御部を備えない構成であり、図17−1及び図17−2に示すように、制御部520のCPU522aは、当該インクジェットプリンタによる画像形成の際の組合決定工程において、組合決定手段として、ROM522cから組合決定プログラムc11を読み出して、この組合決定プログラムc11に従って、温度センサ12により検知された温度及び湿度センサ13により検知された湿度に基づいて、画像形成部2による画像の形成の際に記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、画像形成部2による画像の形成に使用される複数のインクの色、吐出量等の組み合わせを決定する。即ち、CPU522aは、ROM522cに記憶されている組合決定テーブルT1(図18−1参照)に基づいて、定着後の画像が所定の光沢値を発揮できるインク量を越えない条件で複数のインクの組み合わせを決定する。
ここで、組合決定テーブルT1中における各数値は、例えば図18−2に示すように、3色のインク(Y、M、C)の共通部分をインク(K)に置き換える割合(下色除去の割合)と対応付けられたり、例えば図18−3に示すように、濃インクを使い始める色濃度と対応付けられている。なお、色濃度は、各色のDmaxを100%としたときの値であるが、各色の明るさを示す尺度である明度の値を使っても良い。
そして、CPU522aは、組合決定テーブルT1を用い、温度センサ12により検知された温度及び湿度センサ13により検知された湿度に応じて、画像形成部2によりカラー画像を下色除去によって形成するための複数のインクの組み合わせを決定したり、濃インクを使い始める色濃度を変更することで画像の形成に使用されるインクのうち、所定の濃インクの比率が所定の淡インクに対して大きくなるように複数のインクの組み合わせを決定する。
従って、上記構成のインクジェットプリンタによれば、当該インクジェットプリンタ内の温度及び湿度を考慮して、画像の形成の際に記録媒体Pの所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、画像の形成に使用される複数のインクの組み合わせを決定する。これにより、画像形成部2による画像の形成の際に使用されるインク量を減少させることができる。そして、決定された複数のインクの組み合わせで画像の形成を行った後、画像の定着処理を行うことにより、記録媒体Pの表面に写真のような光沢を付与することができる。従って、画像の光沢性をより向上させることができる。
以下に、上記各実施の形態で使用される記録媒体について詳細に説明する。
記録媒体は、表層が熱可塑性樹脂を含んで構成されている。
熱可塑性樹脂として好ましく用いられるのは、例えば、ポリアクリルエステル、ポリカーボネート、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリブタジエン、ポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、これらの共重合体及びこれらの塩が挙げられ、中でもポリアクリルエステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、SBRラテックスが好ましい。
熱可塑性樹脂の選択の基準としてはガラス転移点(Tg)が挙げられる。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体の使用形態としては、記録後に、光沢発現、画像保存性向上、耐擦性向上などの目的のために、該熱可塑性樹脂を溶融、あるいは軟化、あるいは成膜させる後処理を行うのが好ましい画像形成方法の形態であり、特に好ましい後処理の形態は加熱工程を含むものである。この加熱工程を含む後処理で上記の目的を最大限に発揮するようTgを選択することができる。加えて、Tgは記録媒体の製造時、あるいは運搬、保管時に達する最高温度よりは高い必要がある。なぜなら、製造時にインクが透過するための熱可塑性微粒子による空隙が減少もしくは消失することを避けるためである。また、上記の加熱工程を含む後処理工程の温度は、支持体の熱による変形を防ぐために、支持体の熱による変性を起こす温度以下で行う必要がある。よって、Tgは、支持体の熱による変性を起こす温度以下が好ましい。以上の点を考慮すると熱可塑性微粒子の好ましいTgは50〜150℃であり、より好ましくは70〜120℃である。また、最低造膜温度(MFT)としても、50〜150℃のものが好ましい。
熱可塑性樹脂の分子量および分子量分布としては、重量平均分子量の値が50,000〜2,000,000であり、且つ、重量平均分子量/数平均分子量の値が4〜15であること、後処理時の離型性に優れ、且つ、画像形成後の画像の耐擦過性が良好であり好ましい。熱可塑性樹脂の分子量、分子量分布は、後述するゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定され、ポリスチレン換算の分子量として測定される。
また、熱可塑性樹脂の、THF不溶分が0.1〜20質量%であり、かつTHF可溶分の重量平均分子量が50,000〜2,000,000である場合も、後処理時の離型性に優れ、且つ、画像形成後の画像の耐擦過性が良好であり好ましい。ここで言うTHF不溶分は、熱可塑性樹脂5gをTHF100mlに加え、40℃で3時間攪拌溶解した後の不溶分を言う。THF可溶分の重量平均分子量の算出は上記不溶分を除いた後に、可溶分につき、ポリスチレンで校正されたゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定する。
熱可塑性樹脂として好ましく用いられるのは、インク吸収性の観点から熱可塑性微粒子である。このときの粒径としては、好ましくは0.05〜10μm、より好ましくは0.1〜5μmである。さらに好ましくは、0.1〜1μmである。熱可塑性微粒子の粒径が0.05μm未満の場合は、顔料インク中の顔料粒子とインク溶媒の分離が遅くなり、インク吸収速度の低下を招くことになる。また10μmを越えると、支持体上に塗設する際にインク受容層に隣接する溶媒吸収層との接着性や、塗設乾燥後のインクジェット記録媒体の被膜強度の点から好ましくない。また、熱可塑性微粒子中の2μm以上の粒子の割合を5%以下とすることは、インク吸収速度及び光沢発現の観点から好ましい。
熱可塑性微粒子の電荷としては、ノニオン性もしくはカチオン性が好ましく、より好ましくはノニオン性であり、特にポリビニルアルコールを保護コロイドとして用いた熱可塑性微粒子が特に好ましい。これらは、重合時に乳化力を制御するため、ノニオン、カチオン系の界面活性剤を添加して製造しても良い。そのさい、ポリビニルアルコールの重合度が300−1500であることが記録媒体の製造時のひび割れ故障発生抑制、後処理後の画像膜強度強化等の観点から好ましく、更に好ましくは500−1500であり、最も好ましいのは800−1500である。また、ポリビニルアルコールのケン化度は90モル%以下のものが好ましく、その下限は限定しないが20モル%以上が好ましい。
熱可塑性微粒子は、環境適性の観点から、水系に分散されたものが好ましく、特に、乳化重合により得られた水系ラテックスが好ましい。
用いる熱可塑性微粒子は臭気および安全性の観点から残存するモノマー成分が少ない方が好ましく、重合体の固形分質量に対して3%以下が好ましく、更に1%以下が好ましく、特には0.1%以下が好ましい。
熱可塑性樹脂量の固形分付き量は、インク吸収性や光沢発現、画像保存性、膜強度、生産性等を考慮して決められるが、0.5〜9g/m2が好ましく、2〜5g/m2がさらに好ましい。記録インクとして顔料インクを用いる場合は、光沢発現、インク吸収性、画質等の観点から吐出される顔料固形分重量に応じて記録媒体表層の熱可塑性樹脂量を決める必要がある。0.5〜1.8g/m2の範囲が好ましく、より好ましい範囲は0.7〜1.6g/m2である。また、単位面積当たりの最大顔料打ち込み固形分量がXg/m2であり、該記録媒体表層の熱可塑性微粒子量がYg/m2であるとき上記観点から下記の関係にあることが好ましい。
1≦Y/X≦16
熱可塑性樹脂を含有する表層としては、バインダーを含有することが好ましい。水溶性バインダーとしては、熱可塑性樹脂の1〜10%の範囲で用いることが好ましく、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリウレタン、デキストラン、デキストリン、カラーギーナン(κ、ι、λ等)、寒天、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等が挙げられる。これらの水溶性樹脂は二種以上併用することも可能である。
本発明で好ましく用いられる水溶性樹脂は、ポリビニルアルコールである。本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールには、ポリ酢酸ビニルを加水分解して得られる通常のポリビニルアルコールの他に、末端をカチオン変性したポリビニルアルコールやアニオン性基を有するアニオン変性ポリビニルアルコール等の変性ポリビニルアルコールも含まれる。
酢酸ビニルを加水分解して得られるポリビニルアルコールは、平均重合度が1,000以上のものが好ましく用いられ、特に、平均重合度が1,500〜5,000のものが好ましく用いられる。ケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜99.5%のものが特に好ましい。
カチオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開昭61−1048
3号公報に記載されているような、第一〜三級アミノ基や第四級アンモニウム基を上記ポリビニルアルコールの主鎖または側鎖中に有するポリビニルアルコールであり、カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体と酢酸ビニルとの共重合体をケン化することにより得られる。
カチオン性基を有するエチレン性不飽和単量体としては、例えば、トリメチル−(2−アクリルアミド−2,2−ジメチルエチル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、ヒドロキシルエチルトリメチルアンモニウムクロライド、トリメチル−(2−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド等が挙げられる。
カチオン変性ポリビニルアルコールのカチオン変性基含有単量体の比率は、酢酸ビニルに対して0.1〜10モル%、好ましくは0.2〜5モル%である。
アニオン変性ポリビニルアルコールは、例えば、特開平1−206088号公報に記載されているようなアニオン性基を有するポリビニルアルコール、特開昭61−237681号公報、同63−307979号公報に記載されているようなビニルアルコールと水溶性基を有するビニル化合物との共重合体及び特開平7−285265号公報に記載されているような水溶性基を有する変性ポリビニルアルコールが挙げられる。
また、ノニオン変性ポリビニルアルコールとしては、例えば、特開平7−9758号公報に記載されているようなポリアルキレンオキサイド基をビニルアルコールの一部に付加したポリビニルアルコール誘導体、特開平8−25795号公報に記載された疎水性基を有するビニル化合物とビニルアルコールとのブロック共重合体等が挙げられる。
ポリビニルアルコールは、重合度や変性の種類違いなど二種類以上を併用することもできる。
熱可塑性樹脂を含有する表層としては、バインダーの硬膜剤を含有することが好ましい。硬膜剤はインク吸収層中の水溶性樹脂間、もしくは水溶性樹脂とインク吸収層中の微粒子と反応し、架橋することを目的に添加することができる。
硬膜剤は、水溶性樹脂及び、微粒子の種類に応じて適宜選択して用いられる。
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ほう酸およびその塩、ほう砂、アルミ明礬等が挙げられる。特に好ましい水溶性樹脂としてポリビニルアルコールおよびまたはカチオン変性ポリビニルアルコールを使用する場合には、ほう酸およびその塩又はエポキシ系硬膜剤から選ばれる硬膜剤を使用するのが好ましい。最も好ましいのは、ほう酸およびその塩から選ばれる硬膜剤である。ほう酸またはその塩としては、ほう素原子を中心原子とする酸素酸およびその塩のことを示し、具体的にはオルトほう酸、二ほう酸、メタほう酸、四ほう酸、五ほう酸、八ほう酸およびそれらの塩が含まれる。上記硬膜剤の使用量は水溶性樹脂の種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や水溶性樹脂に対する比率等により変化するが、通常水溶性樹脂1g当たり5〜500mg、好ましくは10〜300mgである。上記硬膜剤は、本発明の水インク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布する際に、該塗布液中に添加してもよく、あるいは予め硬膜剤を含有する塗布液を塗布してある支持体上に、本発明のインク吸収層形成用水溶性塗布液を塗布しても良い。
熱可塑性樹脂を含有する表層としては、画質向上の観点からカチオン性の水溶性ポリマーを含有することが好ましい。特に分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
熱可塑性樹脂を含有する表層としては、以下の観点から無機微粒子を混合することが特に好ましい。
1)インク吸収速度が大きく、ビーディング、カラーブリード等の画質劣化が起こりにくく、高速印字適性を有している。
2)高い光沢画像が得られる。
3)加熱工程を有する後処理工程で膜はがれ、膨れ等の故障が発生しない。
4)画像表面強度が強い(プリンター内での搬送で傷がつきにくく、また最終画像の表面強度も強い)。
5)画像保存時の重ねでの融着がおこりにくい。
6)記録媒体の塗布生産性に優れている、特に多層構成の場合、表層を含めた全層を同時に塗布できる。
7)筆記性を有している。
混合する無機微粒子としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料等を挙げることができる。
無機微粒子の平均粒径は、粒子そのものあるいは表層の断面や表面に現れた粒子を電子顕微鏡で観察し、1,000個の任意の粒子の粒径を求めてその単純平均値(個数平均)として求められる。ここで個々の粒子の粒径は、その投影面積に等しい円を仮定したときの直径で表したものである。
無機微粒子としては、シリカ及びアルミナまたはアルミナ水和物から選ばれた固体微粒子を用いることが好ましく、シリカがより好ましい。
シリカとしては、通常の湿式法で合成されたシリカ、コロイダルシリカ或いは気相法で合成されたシリカ等が好ましく用いられ、本発明において特に好ましく用いられる微粒子シリカとしては、コロイダルシリカまたは気相法で合成された微粒子シリカであり、中でも気相法により合成された微粒子シリカは高い空隙率が得られる。また、アルミナまたはアルミナ水和物は、結晶性であっても非晶質であってもよく、また不定形粒子、球状粒子、針状粒子など任意の形状のものを使用することができる。
無機微粒子は、その粒径が100nm以下であることが好ましい。例えば、上記気相法微粒子シリカの場合、一次粒子の状態で分散された無機微粒子の一次粒子の平均粒径(塗設前の分散液状態での粒径)は、100nm以下のものが好ましく、より好ましくは4〜50nm、最も好ましくは4〜20nmである。
最も好ましく用いられる、一次粒子の平均粒径が4〜20nmである気相法により合成されたシリカとしては、例えば、日本アエロジル社のアエロジルが市販されている。この気相法微粒子シリカは、水中に、例えば、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーなどにより吸引分散することで、比較的容易に一次粒子まで分散することができる。
このとき、表層の熱可塑性樹脂と無機微粒子の固形分質量比としては、上記1)から7)の観点から適宜選択することができる。2/8〜8/2であることが好ましく、より好ましくは3/7〜7/3であり、更に好ましくは4/6〜6/4である。
また、このとき表層中の全固形分に対する無機微粒子の比率が30%から70%であることが特インク吸収性の観点から好ましい。
表層に熱可塑性微粒子に加えて無機微粒子を混合する場合は、両微粒子の電荷を制御することが上記1)から7)の観点から重要であり、カチオン性或いはノニオン性の熱可塑性樹脂粒子とカチオン性の無機顔料微粒子に制御することが好ましい。カチオン性の無機顔料微粒子としては、表面が正に帯電しているアルミナ水和物、及びカチオン性ポリマーと同時に分散することで、表面が正に帯電したシリカが好ましい。
このとき、熱可塑性微粒子粒径は形成される空隙径より大きいことが特にインク吸収性の観点で好ましい。これら複合多孔質層の平均細孔直径は、水銀ポロシメーター(島津ポアライザー9220型)を用いて初期圧10.34kPaの条件で測定できる。
また、記録媒体表面を電子顕微鏡にて観察される微粒子の個数換算粒径分布において、熱可塑性樹脂粒子に対応するピークと、無機微粒子に対応するピークが各々存在し、両ピーク頂点粒径の差が40nm以上離れていることが、画質、光沢発現の点で好ましい。またこのとき両ピークの重なりは5%以下であることが上記観点で好ましく、重なり部がないことがより好ましい。
また、記録媒体の表面粗さ、Raは20−200nmになるように調整すること、或いはRzが1μm以下に調整することは、光沢発現の観点で好ましい形態である。
また、表面物性を制御し、耐擦性向上等の目的のために銀塩写真プリントでいうところのマット剤を添加することができる。マット剤としては、粒子径5−50μmの粒子を用いることができ、粒子径5−30μmのものが特に好ましい。
マット剤粒径は、熱可塑性樹脂粒子径の5−100倍のものを用いると効果発現が大きく、その添加量としては熱可塑性樹脂の1/5から1/100の量を添加することが、上記目的と、光沢発現を両立する上で好ましい。マット剤はその使用目的から、加熱を含む後処理工程の加熱温度で、変型しないものを用いることができる。このマット剤の添加により、記録媒体の裏面に対する動摩擦係数を0.2−0.4の範囲に調整することが特に好ましい。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体は支持体を有することが好ましく、従来からインクジェット記録媒体に用いられている支持体、例えば、普通紙、アート紙、コート紙およびキャストコート紙などの紙支持体、プラスティック支持体、両面をポリオレフィンで被覆した紙支持体、これらを張り合わせた複合支持体を用いることができるが、本発明の効果をより発揮させる観点から、非透水性支持体を用いることが好ましい。
本発明において用いられる非透水性支持体としては、プラスチック樹脂フィルム支持体、あるいは紙の両面をプラスチック樹脂フィルムで被覆した支持体が挙げられる。プラスチック樹脂フィルム支持体としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルムあるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。これらのプラスチック樹脂フィルムは、透明又は半透明なものも使用できる。
本発明において、特に好ましい支持体は、紙の両面をプラスチック樹脂で被覆した支持体であり、最も好ましいのは紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体である。
以下、本発明で特に好ましい支持体である紙の両面をポリオレフィン樹脂で被覆した支持体について説明する。
本発明の支持体に用いられる紙は、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレン等の合成パルプあるいはナイロンやポリエステル等の合成繊維を用いて抄紙される。木材パルプとしてはLBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。ただし、LBSP及び/またはLDPの比率は10〜70%が好ましい。上記パルプは、不純物の少ない化学パルプ(硫酸塩パルプや亜硫酸塩パルプ)が好ましく用いられ、また漂白処理を行って白色度を向上させたパルプも有用である。
紙中には、例えば、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤等を適宜添加することができる。
抄紙に使用するパルプの濾水度は、CSFの規定で200〜500mlが好ましく、また、叩解後の繊維長がJIS P 8207に規定される24メッシュ残分と42メッシュ残分の和が30〜70%が好ましい。なお、4メッシュ残分は20%以下であることが好ましい。
紙の坪量は50〜250gが好ましく、特に、70〜200gが好ましい。紙の厚さは50〜210μmが好ましい。
紙は、抄紙段階または抄紙後にカレンダー処理して高平滑性を与えることもできる。紙密度は0.7〜1.2g/cm3(JIS P 8118)が一般的である。更に原紙剛度はJIS P 8143に規定される条件で20〜200gが好ましい。
紙表面には表面サイズ剤を塗布してもよく、表面サイズ剤としては前記原紙中に添加できるのと同様のサイズ剤を使用できる。
紙のpHは、JIS P 8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、pH5〜9であることが好ましい。
次に、この紙の両面を被覆するポリオレフィン樹脂について説明する。
この目的で用いられるポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリエチレンが挙げられるが、プロピレンを主体とする共重合体等のポリオレフィン類が好ましく、ポリエチレンが特に好ましい。
以下、特に好ましいポリエチレンについて説明する。
紙表面及び裏面を被覆するポリエチレンは、主として低密度のポリエチレン(LDPE)及び/または高密度のポリエチレン(HDPE)であるが、他のLLDPEやポリプロピレン等も一部使用することができる。
特に、塗布層側のポリオレフィン層は、ルチルまたはアナターゼ型の酸化チタンをその中に添加し、不透明度及び白色度を改良したものが好ましい。酸化チタン含有量はポリオレフィンに対して概ね1〜20%、好ましくは2〜15%である。
ポリオレフィン層中には白地の調整を行うための耐熱性の高い着色顔料や蛍光増白剤を添加することができる。
着色顔料としては、例えば、群青、紺青、コバルトブルー、フタロシアニンブルー、マンガンブルー、セルリアン、タングステンブルー、モリブデンブルー、アンスラキノンブルー等が挙げられる。また、蛍光増白剤としては、前記インク吸収層で用いる蛍光増白剤と同様の化合物を挙げることができる。
紙の表裏のポリエチレンの使用量は、インク吸収層の膜厚やバック層を設けた後で低湿及び高湿化でのカールを最適化するように選択されるが、一般にはポリエチレン層の厚さはインク吸収層側で15〜50μm、バック層側で10〜40μmの範囲である。表裏のポリエチレンの比率は、インク吸収層の種類や厚さ、中紙の厚み等により変化するカールを調整する様に設定されるのが好ましく、通常は表/裏のポリエチレンの比率は、厚みで概ね3/1〜1/3である。
更に、上記ポリエチレンで被覆紙支持体は、以下(1)〜(8)の特性を有していることが好ましい。
(1)引っ張り強さは、JIS P 8113で規定される強度で縦方向が19.6〜294N、横方向が9.8〜196Nであることが好ましい。
(2)引き裂き強度は、JIS P 8116で規定される強度で縦方向が0.20〜2.94N、横方向が0.098〜2.45Nが好ましい。
(3)圧縮弾性率は、9.8kN/cm2が好ましい。
(4)不透明度は、JIS P 8138に規定された方法で測定したときに80%以上、特に85〜98%が好ましい。
(5)白さは、JIS Z 8727で規定されるL*、a*、b*が、L*=80〜96、a*=−3〜+5、b*=−7〜+2であることが好ましい。
(6)クラーク剛直度は、記録媒体の搬送方向のクラーク剛直度が50〜300cm3/100である支持体が好ましい。
(7)原紙中の水分は、中紙に対して4〜10%が好ましい。
(8)インク吸収層を設ける面側の光沢度(75度鏡面光沢度)は、10〜90%が好ましい。
また、プリント面質は好みによるところも有り、例えば微粗面状の支持体を用いることによりいわゆる絹目調のプリントを得ることもできる。この場合、特に支持体として、インク吸収層を有する側の表面のJIS−B−0601に規定される測定長さを2.5mm、カットオフ値0.8mmで測定した時の中心線平均粗さ(Ra)が1.0〜5.0μmであるものを用いることが特に好ましい。
また、支持体上の表層を含む全インク吸収層の負荷を低減したり、加熱工程を含む後処理工程での温度制約を緩和する目的で吸水性支持体を用いることも好ましい。吸水性支持体としては、具体的には、多孔質基材が好ましく用いられる。ここで、多孔質基材とは、インク吸収性を有する支持体が好ましく、主に木材パルプと填料からなる紙基材、コート紙、アート紙等を用いることが出来るが、木材パルプと填料からなる紙基材が好ましく用いられる。
以下に、本発明に好ましく用いられる紙基材について説明する。
紙基材としては、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、CGP、RMP、TMP、CTMP、CMP、PGW等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ、等の木材パルプを主原料としたものが使用可能である。また、必要に応じて合成パルプ、合成繊維、無機繊維等の各種繊維状物質も原料として適宜使用することが出来る。
紙基材中には必要に応じて、サイズ剤、顔料、紙力増強剤、定着剤等、蛍光増白剤、湿潤紙力剤、カチオン化剤等の従来公知の各種添加剤を添加することができる。サイズ剤としては高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等が、顔料としては炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等が、紙力増強剤としてはスターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等が、定着剤としては硫酸バンド、カチオン性高分子電解質等が挙げられるがこれらに限定されない。
本発明に用いられる紙基材としては、前記の木材パルプなどの繊維状物質と各種添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機等の各種抄紙機で製造することができる。また、必要に応じて抄紙段階または抄紙後にスターチ、ポリビニルアルコール等でサイズプレス処理をしたり、各種コート処理をしたり、カレンダー処理したりすることも出来る。
本発明に係る吸水性支持体の厚さとしては、フォトプリントにおける写真の風合いを好ましく得るという観点から、200μm以上が好ましく、更に好ましくは200〜300μmであり、特に好ましくは200〜250μmである。また、取り扱いの点からも、厚さは、300μm以下が好ましい。
また、透過光及び反射光のいずれの観賞方式でも使用でき、透過光鑑賞用として、透明感、光沢感、耐光性、保存滲み耐性に優れ、かつ反射光鑑賞用として鮮鋭性、インク吸収性、皮膜強度に優れたインクジェット記録媒体用に、透明支持体を用いることも好ましい。透明支持体としては、インク吸収性のない透明支持体、あるいはインク吸収性の低い透明支持体であり、光線透過率が60%以上、好ましくは80%以上である。光線透過率が60%未満の場合、プリント物を透過では見づらくなり、OHPシート等に用いるのが不適となる。
透明支持体としては、各種のプラスチック樹脂フィルム支持体、例えば、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セルローストリアセテートフィルム、ポリスチレンフィルム、あるいはこれらの積層したフィルム支持体等が挙げられる。プラスチック樹脂フィルムとして好ましい透明支持体は、ポリエステル樹脂フィルムであり、特には、ポリエステル樹脂の主成分が芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸およびグリコールとしてエチレングリコールを用いて得られるポリエチレンテレフタレートであることが好ましい。前記ポリエステル樹脂フィルムの製造においては、芳香族ジカルボン酸としてはテレフタル酸のほか、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などと、これらの低級アルキルエステル(無水物、低級アルキルエステル等のエステル形成可能な誘導体)を使用することができる。グリコールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、p−キシリレングリコールなどがある。なかでもテレフタル酸とエチレングリコールの反応により得られたポリエチレンテレフタレートを主成分とすることが好ましい。
主成分がポリエチレンテレフタレートであるとは、ポリエチレンテレフタレートの繰返し単位が80モル%以上の共重合体、あるいはブレンドされている場合は、ポリエチレンテレフタレートを80質量%以上含有していることをいう。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体は該表層と支持体の間にインク吸収層を設けることが好ましい。
インク吸収層としては、大きく別けて、膨潤型と空隙型とがある。
膨潤型としては、親水性バインダーとして、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用して塗布しこれをインク吸収層としたものを用いることができる。
空隙型としては、微粒子及び親水性バインダーを混合して塗布したもので、特に光沢性のあるものが好ましい。微粒子としては、アルミナもしくはシリカが好ましく、特に、粒径0.1μm以下のシリカを用いたものが好ましい。親水性バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンオキサイド等を単独もしくは併用したものが好ましい。
連続、あるいは高速プリントに適性を持たせるには、記録媒体のインク吸収速度が速い方が適しており、この点から、空隙型を特に好ましく用いることができる。
以下、空隙型インク吸収層(空隙層ともいう)について更に詳細に説明する。
空隙層は、主に親水性バインダーと無機微粒子の軟凝集により形成されるものである。従来より、皮膜中に空隙を形成する方法は種々知られており、例えば、2種以上のポリマーを含有する均一な塗布液を支持体上に塗布し、乾燥過程でこれらのポリマーを互いに相分離させて空隙を形成する方法、固体微粒子および親水性または疎水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、乾燥後に、インクジェット記録媒体を水或いは適当な有機溶媒を含有する液に浸漬して固体微粒子を溶解させて空隙を作製する方法、皮膜形成時に発泡する性質を有する化合物を含有する塗布液を塗布後、乾燥過程でこの化合物を発泡させて皮膜中に空隙を形成する方法、多孔質固体微粒子と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、多孔質微粒子中や微粒子間に空隙を形成する方法、親水性バインダーに対して概ね等量以上の容積を有する固体微粒子及びまたは微粒子油滴と親水性バインダーを含有する塗布液を支持体上に塗布し、固体微粒子の間に空隙を作製する方法等が知られている。本発明においては、空隙層に、平均粒径が100nm以下の各種無機固体微粒子を含有させることによって形成されることが特に好ましい。
上記の目的で使用される無機微粒子としては、前述の表層で用いられる無機微粒子と同様のものを用いることができる。
また、親水性バインダーとしては、前述の表層で記載した水溶性バインダーと同様の化合物を挙げることができる。
インク吸収層に用いられる無機微粒子の添加量は、要求されるインク吸収容量、空隙層の空隙率、無機微粒子の種類、水溶性樹脂の種類に大きく依存するが、一般にはインクジェット記録媒体1m2当たり、通常、5〜30g、好ましくは10〜25gである。
また、インク吸収層に用いられる無機微粒子と水溶性樹脂の比率は、質量比で通常2:1〜20:1であり、特に3:1〜10:1であることが好ましい。
インク吸収層は、分子内に第四級アンモニウム塩基を有するカチオン性の水溶性ポリマーを含有しても良く、インクジェット記録媒体1m2当たり通常0.1〜10g、好ましくは0.2〜5gの範囲で用いられる。
空隙層において、空隙の総量(空隙容量)は記録媒体1m2当り20ml以上であることが好ましい。空隙容量が20ml/m2未満の場合、印字時のインク量が少ない場合には、インク吸収性は良好であるものの、インク量が多くなるとインクが完全に吸収されず、画質を低下させたり、乾燥性の遅れを生じるなどの問題が生じやすい。
空隙型の他のタイプとして、無機微粒子を用いてインク溶媒吸収層を形成させる以外に、ポリウレタン樹脂エマルジョンと水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ポリビニルアルコールとを併用し、更にエピクロルヒドリンポリアミド樹脂を併用させた塗工液を用いてインク溶媒吸収層を形成させてもよい。この場合のポリウレタン樹脂エマルジョンは、ポリカーボネート鎖、ポリカーボネート鎖及びポリエステル鎖を有する粒子径が3.0μmであるポリウレタン樹脂エマルジョンが好ましく、ポリウレタン樹脂エマルジョンのポリウレタン樹脂がポリカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール及びポリエステルポリオールを有するポリオールと脂肪族系イソシアネート化合物とを反応させて得られたポリウレタン樹脂が、分子内にスルホン酸基を有し、さらにエピクロルヒドリンポリアミド樹脂及び水溶性エポキシ化合物及び/又はアセトアセチル化ビニルアルコールを有することが更に好ましい。
上記ポリウレタン樹脂を用いたインク溶媒吸収層は、カチオンとアニオンの弱い凝集が形成され、これに伴い、インク溶媒吸収能を有する空隙が形成されて、画像形成できると推定される。
本発明においては、インクジェット記録媒体のインク吸収層全体の平均空隙率が40〜70%であること、あるいは前述の表層の空隙率が30〜70%であることが好ましい。
インク吸収能を有するインク吸収層全体、あるいは表層において、固形分容量に対する空隙容量を空隙率といい、一つの方法としては、以下の式に従って求めることができる。
空隙率=100×〔(全乾燥膜厚−塗布固形分膜厚)/(全乾燥膜厚)〕
また、下記の方法によっても、インク吸収層全体、あるいは表層の空隙率を測定することができる。例えば、100μmポリエチレンテレフタレート上に、全インク吸収層あるいは表層のみを塗布し、ブリストー測定による飽和転移量、あるいは吸水量測定などによっても簡易に求めることができる。
インク吸収層のうち特に、熱可塑性樹脂を含有する表層に隣接するインク吸収層の不透明度を適度に調整し高めることは、濃度向上、特に最大濃度を上げること、及び鮮明性を増すために好ましい形態である。より具体的には、不透明支持体の片側に少なくとも3層以上のインク吸収層を有するインクジェット記録材料において、最上層のインク吸収層に熱可塑性樹脂微粒子を含有し、最上層のインク吸収層に隣接するインク吸収層が、支持体に最も近いインク吸収層に比べ不透明度が高い構成が特に好ましい。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体の製造方法としては、各構成層を、各々単独にあるいは同時に、公知の塗布方式から適宜選択して、支持体上に塗布、乾燥して製造することができる。塗布方式としては、例えば、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、エアナイフコーティング法、スプレーコーティング法、カーテン塗布方法、あるいは米国特許第2,761,419号、同第2,761,791号公報に記載のホッパーを使用するスライドビード塗布方法、エクストルージョンコート法等が好ましく用いられる。
同時重層塗布を行う際の各塗布液の粘度としては、スライドビード塗布方式を用いる場合には、5〜100mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは10〜50mPa・sの範囲である。また、カーテン塗布方式を用いる場合には、5〜1200mPa・sの範囲が好ましく、さらに好ましくは25〜500mPa・sの範囲である。
また、塗布液の15℃における粘度としては、100mPa・s以上が好ましく、100〜30,000mPa・sがより好ましく、さらに好ましくは3,000〜30,000mPa・sであり、最も好ましいのは10,000〜30,000mPa・sである。
塗布および乾燥方法としては、塗布液を30℃以上に加温して、同時重層塗布を行った後、形成した塗膜の温度を1〜15℃に一旦冷却し、10℃以上で乾燥することが好ましい。塗布液調製時、塗布時及び乾燥時おいて、外層に含まれる熱可塑性樹脂が製膜しないように、該熱可塑性樹脂のTg以下の温度で塗布液の調製、塗布、乾燥することが好ましい。より好ましくは、乾燥条件として、湿球温度5〜50℃、膜面温度10〜50℃の範囲の条件で行うことである。また、塗布直後の冷却方式としては、形成された塗膜均一性の観点から、水平セット方式で行うことが好ましい。
本発明では、記録媒体の製造工程において、インク吸収層形成後に、水溶性バインダーの硬化剤を供給する工程を有していることが好ましい。硬化剤の供給方法として、特に制限はないが、例えば、インク吸収層形成後に、硬化剤を含む溶液を塗布する方法、硬化剤を含む溶液をインク吸収層形成済み記録媒体表面にスプレー等で吹き付ける方法等、適宜選択して用いることができる。
また、本発明では、その製造過程で35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を有することが好ましい。35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程における湿度は、特に制御する必要はないが、各温度において相対湿度として80%以下に制御することが好ましく、更に50%以下に制御することが好ましい。
加温条件は、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する条件が好ましいが、更に好ましい例としては、例えば、36℃で3日〜4週間、40℃で2日〜2週間、あるいは55℃で1〜7日間である。この熱処理を施すことにより、水溶性バインダーの硬化反応の促進、あるいは水溶性バインダーの結晶化を促進することができ、その結果、好ましいインク吸収性を達成することができる。加温温度は、先に熱可塑性樹脂のTgについて説明したように、記録媒体の空隙を減少させたり、インク吸収速度を低下させることのないように、用いる熱可塑性樹脂のTgを考慮して決める必要がある。
特に、上記の水溶性バインダーの硬化剤を供給する工程を行うことと、35℃以上、70℃以下の条件で24時間以上、60日以下保存する工程を併用することは、安定して高いインク吸収速度を得るために特に好ましい。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体として以下の特性を持つように調整することは好ましい。
吸水量は、適用するプリンタの最大と出インク量を上回ることは最低現必要であり、この観点から最低15ml/m2は必要であるが、好ましくは20ml/m2以上あるのがよい。また、印字環境変動や、高速印字に安定した高画質画像をえるためには、好ましくは22ml/m2以上必要であり、さらに26ml/m2以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、製造コスト、膜強度の観点から40ml/m2未満が好ましい。吸水量は、次のようにして求めることができる。一定面積の記録媒体を、25℃、50%RHの雰囲気下で24時間以上調湿した後、この記録媒体を純水中に10秒間浸漬する。この際、水の吸収に伴い、記録媒体の空隙中の空気が、表面に気泡として付着して吸水を妨げるので、記録媒体を適度に振動させて、気泡の除去を行う。10秒後に水中から記録媒体を引き上げ、速やかにろ紙等の吸水性材料でその表面の水分を取り除いた後、浸漬前後における質量変化より、吸水量を求めることができる。
インク吸収速度は、高速印字に対応し、高画質画像を安定にプリントするために特に重要である。インク吸収速度は、種々の評価方法があるが、例えば、J.TAPPI紙パルプ試験方法No.51−87紙又は板紙の液体吸収性試験方法(ブリストウ法)に準じて測定した値が各種性能評価とよく合致し好ましい。ブリストウ法から求められる評価結果の吸収係数も有効なパラメータであるが、接触時間の短い測定におけるインク転位量も有効であり、接触時間20m秒の転位量としては5ml/m2以上が好ましく、8ml/m2以上がさらに好ましい。接触時間40m秒の転位量としては、10ml/m2以上が好ましく、12ml/m2以上が好ましい、接触時間80m秒の転位量としては、14ml/m2以上が好ましく、16ml/m2以上が特に好ましい。そして接触時間200m秒の転位量は上記の吸水量の80%以上であることが好ましい。
ブリストウ法の測定においては、インクジェットプリンタ用インクを用いる方が各種性能評価とよく合致し好ましく、マゼンタ水系染料インクを用いるのが適している。
記録媒体のpHは画質、色再現性上重要であり、特に用いるインクのpHや色剤の特性を考慮して決めることが必要である。特に、顔料インクを用いる場合は重要で、ブロンジング、光沢、色再現性、画像濃度を考慮して決める必要がある。特に、該記録媒体の表面pHが5.0〜7.0の範囲にあり、該インクのpHが7.0〜9.0の範囲にあることが好ましく、記録媒体の表面pHが5.0〜6.0の範囲にある場合がさらに好ましい。
また、特に顔料インクを用いる場合に、画質、特にベタ画像の均質性を向上させるためにドット径の大きさ、形状を制御することが必要であり、そのため、記録媒体への、表面張力が30〜45mN/mである顔料インクの接触角が30〜50度であるように調整することが好ましい。接触角を上記範囲に調整するには種々の方法があるが、記録媒体にシリコン系化合物を添加したり、記録媒体表層の活性剤種、添加量、および、用いる熱可塑性樹脂の種類等を用いて調整することができる。
また、高速プリンタで搬送する際に、十分な折れ曲げ耐性を得るために、亀裂限界径が10〜45mmの範囲内に調整することが好ましい。
亀裂限界径は以下のように求めることができる。インクジェット記録媒体を23℃、相対湿度20%で24時間調湿した後、直径が5、10、15、20、25、30、35、40、45、50mmの円筒状のアルミ製ローラーに巻きつけ、表層に亀裂が生じ始めるローラー径の直径を亀裂限界直径とする。折れない場合は0mmとする。
また、記録媒体白地の色度はCIE色空間における明度指数L*を80以上、好ましくは90以上に、a*を−2から2の範囲に、b*を−10から+2の範囲に調整することが好ましく、特にb*については、−10から−1の範囲に調整することは高品位画像を得るために特に好ましく、特に記録媒体表層に熱可塑性樹脂粒子と無機微粒子を混合する場合に好ましい形態である。
また、記録媒体は熱可塑性樹脂を含有するが、熱可塑性樹脂および他の添加剤由来のモノマー臭や、重合の際に用いることが多い、添加剤起因の臭いがすることは好ましくない。特に、記録媒体から使用雰囲気に対して揮発するモノマー成分は0.5ppm以下であることが好ましい。
また、後処理特に、加熱工程と加圧工程を併用する場合の光沢発現を効果的に行うために、記録媒体のヤング率を特定の範囲にすることが好ましく、特に表層中の熱可塑性樹脂のTg−20℃におけるヤング率をE1、Tg+20℃におけるヤング率をE2としたとき、0.6<E1/E2<0.9となるように調整することが好ましい。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録の形状としては、シート状、ロール状どちらでもよいが、高速連続印字が可能なロール状が好ましい。ロール状の記録媒体は、通常巻き芯に長尺状の記録媒体を巻いたものである。巻き芯の径は制限は特に無いが、直径(外径)50〜100mmが好ましい。記録媒体のロール幅の制限は特に無いが、100〜400mmの範囲で選択できる。記録媒体の全長に制限は無いが、20〜200mが好ましい。
ロール状の記録媒体を用いてインクジェット方式により記録し、必要なサイズに切断する方式が好ましいが、このとき切断の際の切り屑を減らし、切り屑によるヘッド目詰まりを減少させ、吐出安定性の高いインクジェット記録方法を提供するために、ロール状記録媒体は、硬膜剤にて硬膜されている形態が好ましい。また、記録媒体は両面に印字可能にするため、両面にインク吸収層を有する形態も好ましい。このとき、熱可塑性樹脂を含有する表層は、片面のみにあっても良いし、両面にあっても良い。特に、表裏で印字条件が変わった場合でも高品質でカールのないプリントが得られる方法として、熱可塑性樹脂を含有する表層が、両面にあることは好ましい形態のひとつであり、このとき表裏の熱可塑性樹脂の最低成膜温度(MFT)は異なるように設定し、熱可塑性微粒子層がより低いMFT(MFT1)を有する熱可塑性微粒子を含有する方の面に染料インク又は顔料インクを用いて記録した後、該記録用紙をMFT1以上で該MFT1より高いMFT(MFT2)以下の温度で加熱処理し、次に熱可塑性微粒子層がより高いMFT(MFT2)を有する熱可塑性微粒子を含有する方の面に顔料インクを用いて記録した後、該記録用紙をMFT2以上の温度で加熱処理をする処理方法が好ましい。
《記録媒体の作製》
(シリカ分散液の調製)
一次粒子の平均粒径が約0.012μmの気相法シリカ(株式会社トクヤマ製:QS−20)125kgを、三田村理研工業株式会社製のジェットストリーム・インダクターミキサーTDSを用いて、硝酸でpHを2.5に調整した620Lの純水中に室温で吸引分散した後、全量を694Lに純水で仕上げた。
次に、カチオンポリマーP−1を1.14kg、エタノール2.2L、n−プロパノール1.5Lを含有する水溶液(pH=2.3)18Lに、上記シリカ分散液の69.4Lを攪拌しながら添加し、ついで、ホウ酸260gとホウ砂230gを含有する水溶液7.0Lを添加し、消泡剤SN381(サンノプコ株式会社製)を1g添加した。この混合液を、三和工業株式会社製高圧ホモジナイザーで分散し、全量を純水で97Lに仕上げてシリカ分散液を調製した。
Figure 0004457658
(下層用塗布液1の調製)
上記シリカ分散液600mlを40℃で攪拌しながら、以下の各添加剤を順次混合して下層用塗布液1を調製した。
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA203)の10%水溶液6ml
ポリビニルアルコール(クラレ工業株式会社製:PVA235)の7%水溶液
185ml
サポニン(50%水溶液) 適量
純水 全量を1000mlに仕上げた
(表層用塗布液1の調製)
上記下層用塗布液1を調製した後、43℃で30分撹拌した後、熱可塑性微粒子(アクリル系ラテックス、Tg82℃、個数平均粒子径160nm、固形分25%)を、熱可塑性微粒子/フィラー(シリカ)の固形分比が55/45になるように15分かけて添加して、表層塗布液1を調製し、10μmのフィルターで濾過を行った後、塗布に使用した。
(記録媒体1の作製)
両面をポリエチレンで被覆した紙支持体(厚みが220μmでインク吸収層面のポリエチレン中にはポリエチレンに対して13質量%のアナターゼ型酸化チタン含有)に、支持体側から第1層とし上記下層塗布液1、その上に第2層目として上記表層用塗布液1をスライドホッパーで同時塗布した後、乾燥して記録媒体1を作製した。なお、塗布液は40℃に加温して塗布し、塗布直後に0℃に保たれた冷却ゾーンで20秒冷却した後、25℃の風(相対湿度15%)で60秒間、45℃の風(相対湿度が25%)で60秒間、50℃の風(相対湿度が25%)で60秒間順次乾燥し、20〜25℃、相対湿度が40〜60%の雰囲気下で2分間調湿して試料を巻き取った。なお、塗布は、下層はシリカの付き量が18g/m2となるように、また表層はシリカの付き量が3g/m2となるように行った。
なお、上記下層塗布液には、水溶性蛍光増白剤であるUVITE NFW LIQUID(チバ・スペシャリティケミカル社製)を100mg/m2になるように添加した。また、上記上層塗布液には同じ蛍光増白剤を20mg/m2になるように添加した。
以下に、上記実施の形態で使用されるインクについて詳細に説明する。
インクとして、好ましくは染料インク、顔料インク、分散インク等、公知の各種インクを用いることができるが、特に、顔料インクを用いることが好ましい。
画像形成に用いるインクとしては、水系インク組成物、油系インク組成物、固体(相変化)インク組成物等を用いることができるが、水系インク組成物(例えば、インク総質量あたり10質量%以上の水を含有する水系インクジェット記録液等)を、特に好ましく用いることができる。
着色剤としては、本発明においては、画像保存性の観点から顔料用いることが好ましいが、顔料インク中の顔料としては、不溶性顔料、レーキ顔料等の有機顔料および、カーボンブラックを好ましく用いることができる。
不溶性顔料としては、特に限定するものではないが、例えば、アゾ、アゾメチン、メチン、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、キナクリドン、アントラキノン、ペリレン、インジゴ、キノフタロン、イソインドリノン、イソインドリン、アジン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、チアゾール、フタロシアニン、ジケトピロロピロール等が好ましい。
好ましく用いることのできる具体的顔料としては、以下の顔料が挙げられる。
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー138等が挙げられる。
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
これらの顔料は、必要に応じて顔料分散剤を使用してもよく、使用できる顔料分散剤としては、例えば、高級脂肪酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエステル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、グリセリンエステル、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレン脂肪酸アミド、アミンオキシド等の活性剤、あるいはスチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩をあげることができる。
顔料の分散方法としては、その方法に特に制限はないが、例えば、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテータ、ヘンシェルミキサ、コロイドミル、超音波ホモジナイザー、パールミル、湿式ジェットミル、ペイントシェーカー等各種を用いることができる。
本発明に係る顔料分散体の粗粒分を除去する目的で、遠心分離装置を使用すること、フィルターを使用することも好ましい方法である。
顔料インク中の顔料の平均粒径は、インク中での安定性、画像濃度、光沢感、耐光性などを考慮して選択するが、加えて本発明のインクジェット顔料画像の記録方法では、光沢向上、質感向上の観点からも粒径を選択するのが好ましい。本発明において、光沢向上、質感向上する理由は定かでは無いが、画像において顔料は熱可塑性微粒子が溶融した皮膜中に分散された状態にあることと関連していると推測している。高速処理を目的とすると、短時間で熱可塑性微粒子を溶融皮膜化し、更に顔料を充分に皮膜中に分散しなければならない。このとき顔料の表面積は大きく影響し、それゆえ平均粒径に最適領域が存在すると推測している。
本発明に用いる顔料インクに含まれる顔料粒子の平均粒径は、300nm以下が好ましく、更に好ましくは30〜200nmであり、特に好ましくは30〜150nmである。
顔料インクとして好ましい形態である水系インク組成物は、水溶性有機溶媒を併用することが好ましい。
水溶性有機溶媒としては、例えば、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャリーブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール等)、多価アルコールエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル等)、アミン類(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ポリエチレンイミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルプロピレンジアミン等)、アミド類(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等)、複素環類(例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、シクロヘキシルピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等)、スルホキシド類(例えば、ジメチルスルホキシド等)、スルホン類(例えば、スルホラン等)、尿素、アセトニトリル、アセトン等が挙げられる。好ましい水溶性有機溶媒としては、多価アルコール類が挙げられる。さらに、多価アルコールと多価アルコールエーテルを併用することが特に好ましい。
水溶性有機溶媒は、単独もしくは複数を併用しても良い。水溶性有機溶媒のインク中の添加量としては、総量で5〜60質量%であり、好ましくは10〜35質量%である。
本発明に用いる顔料インクは、アセチレン系界面活性剤を含有することが好ましい。該アセチレン系界面活性剤としては、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物が好ましい。
また、アセチレンジオール及びそのエチレンオキサイド付加物としては、Air Products社製サーフィノール82、サーフィノール104、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485等を好ましく用いられる。
インク組成物は、吐出安定性、プリントヘッドやインクカートリッジ適合性、保存安定性、画像保存性、その他の諸性能向上の目的に応じて、熱可塑性微粒子、粘度調整剤、表面張力調整剤、比抵抗調整剤、皮膜形成剤、分散剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、退色防止剤、防ばい剤、防錆剤等を適宜添加することもできる。
インク組成物は、その飛翔時の粘度として40mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以下であることがより好ましい。
インク組成物は、その飛翔時の表面張力として20mN/m以上が好ましく、インク吸収速度が大きく、従って画質の劣化がなく、加熱処理後に光沢の高い画像が得られ、且つ加熱操作迄の或いはそのものによって膜はがれ等の不具合の起こらないために、少なくとも1種のインクの表面張力が25〜50mN/mであることが好ましく、特に30〜45mN/mであることが、より好ましい。
インク中の顔料固形分濃度は、0.1〜10%の範囲で選択でき、写真画像を得るには、顔料固形分濃度を各々変化した、いわゆる濃淡インクを用いることが好ましく、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの濃淡インクを各々用いることは特に好ましい。また、必要に応じて、赤、緑、青等の特色インクを用いることも、色再現性上好ましい。
また、粒状感の向上させ階調性豊かで、高光沢な画像を得るために、記録インクセットのうち、少なくとも1色のインクは色材濃度の異なる2種以上のインクを用いて記録することも好ましい。特に、Y,M,C,Bkのうち好ましくは2色以上、より好ましくは3色以上について、色材濃度の異なる2種以上のインクを用いることが好ましく、このとき両者の色材濃度比(淡インク/濃インク)は0.5〜0.1が好ましい。更に、インク中に熱可塑性樹脂微粒子を含有してもよく、その際、濃インクと淡インクを用いて、滑らかな階調性を表現するとき、濃インクと淡インクが混在して印字され、広い濃度域で光沢性や耐擦過性を保持するには、濃インク中の顔料の含有量をP質量%、熱可塑性樹脂微粒子の含有量B質量%とし、淡インク中の顔料の含有量をp質量%、熱可塑性樹脂微粒子の含有量b質量%であるとき、P/B≧p/bであることが好ましい。
また、インクセットの色剤濃度の異なるインク組成物において、濃インクの表面張力(γa)と淡インクの表面張力(γb)の比が、1.2≦γa/γb≦0.8であることが好ましく、更に好ましくは、1.1≦γa/γb≦0.9である。広い濃度範囲にわたって滑らかな階調性を表現し、かつ広い濃度域で光沢性や耐擦過性を保持するには、濃度の異なるインクの表面張力がなるべく同じであるのが好ましい。グリーンインク中に含まれる顔料の具体例としてはが、C.I.ピグメントグリーン7またはC.I.ピグメントグリーン36が上げられる。
また、さらに光沢性の高い画像、ざらつき感のない画像および耐擦過性に優れた画像を得るため、記録インクには熱可塑性樹脂を含有させても良い。インクに添加する熱可塑性微粒子については、上記の記録媒体表層に添加することのできる熱可塑性樹脂あるいは微粒子の説明で記載した種類を利用できる。特に、インクに添加しても増粘、沈澱等の起こらないものを適用するのが好ましい。このとき、インク保存安定性や、上記添加のための目的を十分に発揮するように、熱可塑性樹脂微粒子の平均粒径が10〜200nmに調整することが好ましく、インク中の顔料の平均粒径の0.2〜2倍の範囲で選択すると安定性の観点で更に好ましい。また、添加する熱可塑性微粒子は、50〜200℃の範囲で溶融、軟化するものが好ましい。
特に、黒インクに熱可塑性樹脂粒子を添加すると、指紋付着性、最大濃度高上の観点から特に好ましい。
また、画像の全面もしくは特定の部位に色剤を実質的に含まないインクをと出することも好ましい。特に、未印字領域にのみ、色剤を実質的に含まないインクをと出することは、光沢の一様性を向上させる上で特に好ましい。光沢の一様性とは、白地を含む画像の全領域で高光沢が得られ、光沢感に差がない高品位な画像を得るのに重要な特性である。また、未印字領域にのみ、色剤を実質的に含まないインクをと出することは、総インク量を軽減する観点でも好ましい。特に高いインク吸収速度を有する、表層に熱可塑性樹脂および無機微粒子を混合して用いる記録媒体において、色剤を実質的に含まないインクを併用することは最も好ましい形態である。
色剤を実質的に含まないインクは、上記のように画像の全面もしくは特定の部位にと出可能であり、特に画像濃度が0.5以下の部位を選択し、と出することは好ましく、このとき、該領域内の未印字部をさらに選択してと出することは特に好ましい。
色剤を実質的に含まないインクは熱可塑性樹脂を含有することが好ましく、先に説明したインクに添加する場合に用いることのできる熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。
色剤を実質的に含まないインクは水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。
色剤を実質的に含まないインクは、インクジェットノズル、好ましくは専用のノズルを用いてと出することが好ましい。
また、色剤を実質的に含まないインクと他の記録インクとは相互作用が少ない方が好ましく、混合しても増粘や、析出が起こらないものを選択する方が高品位画像を安定に得られる点で好ましい。
《インクの調製》
〔顔料インクセットの調製〕
(顔料分散液の調製)
〈イエロー顔料分散体1の調製〉
C.I.ピグメントイエロー74 20質量%
スチレン−アクリル酸共重合体(分子量10,000、酸価120)
12質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 53質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、イエロー顔料分散体1を得た。得られたイエロー顔料の平均粒径は112nmであった。
〈マゼンタ顔料分散体1の調製〉
C.I.ピグメントレッド122 25質量%
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分で18質量%
ジエチレングリコール 15質量%
イオン交換水 42質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、マゼンタ顔料分散体1を得た。得られたマゼンタ顔料の平均粒径は105nmであった。
〈シアン顔料分散体1の調製〉
C.I.ピグメントブルー15:3 25質量%
ジョンクリル61(アクリル−スチレン系樹脂、ジョンソン社製)
固形分として15質量%
グリセリン 10質量%
イオン交換水 50質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、シアン顔料分散体1を得た。得られたシアン顔料の平均粒径は87nmであった。
〈ブラック顔料分散体1の調製〉
カーボンブラック 20質量%
スチレン−アクリル酸共重合体(分子量7,000、酸価150)
10質量%
グリセリン 10質量%
イオン交換水 60質量%
上記各添加剤を混合し、0.3mmのジルコニアビーズを体積率で60%充填した横型ビーズミル(アシザワ社製 システムゼータミニ)を用いて分散し、ブラック顔料分散体1を得た。得られたブラック顔料の平均粒径は75nmであった。
(顔料インクセットの調製)
〈イエロー濃インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は120nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
〈イエロー淡インク1の調製〉
イエロー顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるイエロー淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は118nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
〈マゼンタ濃インク1の調製〉
マゼンタ顔料分散体1 15質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 54.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は113nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
〈マゼンタ淡インク1の調製〉
マゼンタ顔料分散体1 3質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 61.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるマゼンタ淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は110nmであり、表面張力γは37mN/mであった。
〈シアン濃インク1の調製〉
シアン顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は95nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
〈シアン淡インク1の調製〉
シアン顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.2質量%
イオン交換水 62.8質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるシアン淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は92nmであり、表面張力γは33mN/mであった。
〈ブラック濃インク1の調製〉
ブラック顔料分散体1 10質量%
エチレングリコール 20質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 59.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック濃インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は85nmであり、表面張力γは35mN/mであった。
〈ブラック淡インク1の調製〉
ブラック顔料分散体1 2質量%
エチレングリコール 25質量%
ジエチレングリコール 10質量%
界面活性剤(サーフィノール465 日信化学工業社製) 0.1質量%
イオン交換水 62.9質量%
以上の各組成物を混合、攪拌し、1μmフィルターでろ過し、本発明の水性顔料インクであるブラック淡インク1を調製した。該インク中の顔料の平均粒径は89nmであり、表面張力γは36mN/mであった。
熱可塑性樹脂を含有する表層を有するインクジェット記録媒体から作成する最終画像について説明する。
用いる記録媒体および記録インク、プリンタ、記録条件、後処理工程に用いる装置、条件を調整し以下の特性に調整することが好ましい。
最終画像の表面粗さを調整することは、高光沢、高品位画像を作成する上で好ましい。表面粗さとしては、中心線平均粗さRaが、0.5μm以下であることが好ましく、更に好ましくは0.01〜0.5μmである。
本発明でいう中心線平均粗さRaは、JIS表面粗さのJIS−B−0601により定義される。すなわち、中心線平均粗さ(Ra)とは、粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さL(本発明では2.5mmであることが好ましい)の部分を抜き取り、カットオフ値0.8mmとして、この抜き取り部分の中心線をX軸、縦倍率の方向をY軸、粗さ曲線をY=f(X)で表したとき、下式によって求められる値をマイクロメートル(μm)で表したものをいう。
Figure 0004457658
中心線平均粗さ(Ra)の測定方法としては、25℃、65%RH環境下で測定試料同士が重なり合わない条件で24時間調湿したのち、上記環境下で測定して求めることができる。ここでいう重なり合わない条件とは、例えば、支持体のエッジ部分を高くした状態で巻き取る方法や支持体と支持体の間に紙をはさんで重ねる方法、厚紙等で枠を作製しその四隅を固定する方法のいずれかである。用いることのできる測定装置としては、例えば、WYKO社製 RSTPLUS非接触三次元微小表面形状測定システム等を挙げることができる。
最終画像のC値(像鮮明度)を60以上に調整することが好ましい。特に顔料インクを用いた場合には、銀塩写真同等の光沢性を得ること、ブロンジングのないインクジェット顔料画像を得ること、耐水性の高いインクジェット顔料画像を得ること、酸化ガス耐性の高いインクジェット顔料画像を得るために必要である。C値とは、JIS−K−7105に規定されている像鮮明度のうち、光学くし2mmを用い反射法により測定した値をC値とした。なお、本発明においては、通常45度の角度にて試料に光を当てる方法を、60度の角度に変更して用いた。
上記の好ましい特性をより向上させるためには、C値は、好ましくは70以上、より好ましくは75以上、さらに好ましくは80以上であるのがよい。
最終画像の光沢度を調整することも上記目的のために重要である。
更に、本発明では、インクジェット顔料画像が、C値が60以上で、かつ60度光沢が70%以上であること、あるいは、C値が60以上、Raが0.5μm以下で、かつ60度光沢が70%以上であることが好ましく、この時に本発明の効果が有効に発揮される。なお、本発明において、60度光沢は、JIS−K−8741にしたがって測定され、測定装置としては、日本電色工業社製の変角光沢度計(VGS−1001DP)を用いる。
最も好ましいのは、C値が80以上、Raが0.01〜0.2μmで、かつ60度光沢が90%以上の時であり、この条件により、本発明の効果は最も有効に得られる。
また、上記のC値や、60度光沢は、各色(例えば、Y、M、C、B、G、R、Bk等)、あるいは各濃度域において例外なく発揮されるように調整することが好ましい。
また、上記のC値や、60度光沢は、画像形成環境によって大きく変動しないように各材料、装置、条件を設定する必要が有り、例えば、10℃20%RH〜30℃80%RHの環境で、高い光沢、例えばC値でいえば70以上、60度光沢が90%以上を維持できるように調整することが好ましい。
中でも、プリンタの最大インクと出量と記録媒体の前記吸水量の関係は、上記の温室度環境下でも高いC値や、60度光沢を得られるように調整することは効果的である。より具体的には、記録媒体の前記吸水量をプリンタの最大インクと出量より2ml/m2以上多く設定することは好ましく4ml/m2以上多く設定することは高温高湿条件で安定して高い光沢特性を発揮する上で特に好ましい。
最終画像の膜面は強固なものが好ましく、特に引っ掻き強度が、25g以上に調整することが好ましい。
引っ掻き強度は、JIS規格 K6717に従い測定することができる。引っ掻き強度の測定装置として、連続加重引掻強度試験機(例えば、新東科学製スクラッチメーターHEIDON−18型)を用い、引掻距離100mmで、加重100g、引掻き針φ0.5mm(サファイア針)の条件にて測定する。本発明における引っ掻き強度は、引っ掻き開始点(荷重0g)から荷重を変化させ、表面に傷がつき始めた点における荷重を測定し、その荷重値(g)を引っ掻き強度の尺度と定義した。
また、最終画像の色域は広いほうが好ましいのは言うまでもないが、他の性能、たとえば画像保存性との観点から自在に設計できない部分もあり、加熱を含む後処理工程にて、その色域を拡大したものは好ましい形態である。すなわち、加熱を含む後処理工程の前後で明度および彩度の一方あるいは双方の絶対値が増大することが好ましい。より具体的には、黄、マゼンタ、シアン、青、緑、赤各色のΔEの総計が10以上であることが好ましく、黄、マゼンタ、シアン、青、緑、赤各色のΔEの総計が15〜50であることが更に好ましい。
以下に、定着ベルトについてさらに詳細に説明する。
《基材》
本発明に係る定着ベルトに用いられるベルト部材用の基材や本発明に係る定着ローラの加熱ローラ、加圧ローラに用いられる各々の基材について説明する。
本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、ベルト部材に用いられる基材としては、シームレスのニッケル電鍮が好ましく、加熱ローラ、加圧ローラの基材としては、ニッケルが好ましい。また、基材の厚さは、10〜100μmであることが好ましい。
また、基材の材料としては、ニッケル以外にもアルミニウム、鉄、ポリエチレン等を用いることができる。
本発明に係る定着ベルトの基材の表面粗さは、0.1μm以下が好ましく、更に好ましくは、0.08μm以下である。更に、ヤング率は、50kN/mm2以上であることが好ましく、更に好ましくは、50〜300kN/mm2である。
《表面処理層》
本発明に係る表面処理層について説明する。
本発明に記載の効果、即ち、画像形成時の光沢度の変動を低減し、且つ、定着時の離型性層の膜剥がれの防止を効果的に得るためには、表面処理層のJIS K 5401に規定される鉛筆硬度がHB以上であることが必須要件であるが、好ましくは鉛筆硬度は、H〜5Hの範囲であり、特に好ましくは、2H〜5Hの範囲である。
また、光沢ムラの更に効果的に防止する為には、表面処理層のJIS K 6911に規定される膨潤率が5%未満であることが好ましく、更に好ましくは、3%以下であり、特に好ましくは、1%以下の範囲である。
上記記載のような鉛筆硬度や膨潤率を示す表面処理層は、定着ベルトや定着ローラの基材と離型性層との間の接着性を向上させ、且つ、定着時の光沢ムラの防止を適切に行う観点から表面改質剤を含有することが好ましく、前記表面改質剤としては、アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤が好ましく、更に好ましく用いられるのは、アルミニウムカップリング剤である。
上記記載のアルミニウムカップリング剤やジルコニウムカップリング剤は、そのものは接着性を有しないが、接着したいものの表面(定着ベルトや定着ローラの基材)をカップリング剤溶液で処理すると、カップリング剤が加水分解−縮合反応を起こして基材表面の接着性を向上させる作用を有している。
以下にアルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
《アルミニウムカップリング剤の具体例》
アセトメトキシアルミニウムジイソプロピレート、
アセトエトキシアルミニウムジイソプロピレート、
アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、
アルミニウムジ−n−ブトキシドモノメチルアセテート
アルミニウムジ−n−ブトキシドモノエチルアセテート
アルミニウムイソプロピレート
モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロピレート
アルミニウムsec−ブチレート
アルミニウムエチレート
エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)
アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート
アルミニウムモノアセチルアセトアセテートビス(エチルアセトアセテート)
アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)
アルミニウム=モノイソプロポキシモノオレオキシエチルアセトアセテート
環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート
《ジルコニウムカップリング剤の具体例》
ジルコニウムテトラアセチルアセテート、
ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、
ジルコウムトリブトキシアセチルアセネート、
ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、
ジルコニウブトキシトリスエチルアセトアセテート、
ジリコニウムブトキシビスエチルアセトアセテート、
ジリコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、
ジリコニウムテトラキスエチルラクテート、
ジリコニウムジブトキシビスエチルラクテート、
ビスアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテートジルコニウム、
モノアセチルアセトネートトリスエチルアセトアセテートジルコニウム、
ビスアセチルアセトネートビスエチルラクテートジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物、
ジルコニウムn−ブチレート、
ジルコニウムn−プロピレート等のジルコニウムアルコキシド
《表面処理層の膜厚》
表面処理層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、0.2〜3μmの範囲である。
《アルミニウムカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤の含有量》
表面処理層中でのアルミニウムカップリング剤やジルコニウムカップリング剤の好ましい含有量の範囲は、1〜100質量%であり、更に好ましくは、50〜100質量%である。
また、本発明に係る表面処理層には、下記に記載のチタンカップリング剤を併用することが出来る。前記チタンカップリング剤の具体例としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、ジイソプロピルビス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、ジブトキシチタン−ビス(オクチレングリコレート)、ジプロポキシチタン−ビス(エチルアセチルアセテート)、ジプロポキシチタン−ビス(トリエタノールアミナート)、テトラプロポキシチタン、テトラブトキシチタン等が挙げられる。
《離型性層》
本発明に係る離型性層について説明する。
本発明に係る離型性層は、シリコーン樹脂を含有する。本発明に係るシリコーン樹脂は、従来公知のシリコーン樹脂を用いることができるが、本発明に記載の効果を好ましく得る観点から、離型性層の剥離力が30g/5cm以上を満たすようなものが好ましく用いられる。
本発明に係るシリコーン樹脂としては、例えば、下記に示すような溶剤付加型シリコーンまたは縮合硬化型のシリコーン等のような硬化型シリコーンを用いて作製されたシリコーン樹脂が好ましく、中でも溶媒付加型シリコーンを用いて作製されたシリコーン樹脂が好ましい。
上記記載の溶剤付加型シリコーンは、両末端、あるいは、両末端及び鎖中に、ビニル基を有する直鎖状メチルビニルポリシロキサンとメチルハイドロジェンポリシロキサンとを白金系触媒の存在下で反応させて得られる。
溶剤付加型シリコーンの具体例としては、例えば、信越シリコーン社製のKS−887、KS−779H、KS−778、KS−835、X−62−2456、X−62−2494、X−62−2461、KS−3650、KS−3655、KS−3600、KS−847、KS−770、KS−770L、KS−776A、KS−856、KS−775、KS−830、KS−830E、KS−839、X−62−2404、X−62−2405、KS−3702、X−62−2232、KS−3503、KS−3502、KS−3703、KS−5508等が挙げられる。
縮合硬化型シリコーンの具体例としては、例えば、信越シリコーン社製のKS−881、KS−882、KS−883、X−62−9490、X−62−9028等のシリコーンが好ましく用いられる。
本発明に係る離型性層の表面接触角は、100〜120度であることが好ましく、更に好ましくは、105〜115度である。ここで、表面接触角は、純水に対する接触角の測定であり、例えば、自動接触角計DAC−VZ(協和界面科学社製)を用い、液適法(純水約15μlを測定面に静かに垂らし、接触してから0.5秒後の接触角を測定する)にて測定した。
本発明に係る離型性層の表面粗さ(定義については後述する)は、0.2μm以下であることが好ましく、更に好ましくは、0.1μm以下である。
本発明に係る離型性層の厚さは、1〜50μmであることが好ましく、更に好ましくは、10〜30μmである。
また、本発明の定着ベルト、本発明の定着ローラに係る離型性層は、その剥離力が30g/5cm以上になるように調整することが好ましく、更に好ましくは、30〜1000g/5cmの範囲に調製することであり、特に好ましくは、50〜600g/5cmである。
ここで、離型性層の剥離力は下記に記載の方法により測定される。
(離型性層の剥離力測定方法)
例えば図5に示すような定着ベルトの場合には、定着ベルトの離型性層に、また、図12に示すような定着ローラの場合には、加熱ローラまたは加圧ローラの離型性層に、粘着テープ(ニットーポリエステルテープNo.31B(日東電工(株)製))を貼合し、加圧ローラの圧力値を2kgに設定した状態で、加圧ローラ1回転分の圧着操作を行い、その後、室温下、定着ベルトまたは定着ローラを20時間放置後、上記粘着テープを角度180度、0.3m/分の速度条件下、市販の引っ張り試験機を用い、剥離力を測定した。
但し、定着ローラの加熱ローラと加圧ローラのどちらにも離型性層が設けられている場合には、記録材料と接する側の離型性層の剥離力を測定した。
本発明の定着ベルト、定着ローラは、基材上に表面処理層、離型性層を有するが、離型性層の膜剥がれを更に効果的に防止する観点からは、下記に記載の接着性改良層を設けることが好ましい。
《接着性改良層》
本発明に用いられる接着性改良層について説明する。
本発明に用いられる接着性改良層は、基材と離型性層との接着性向上の観点から、水酸基、カルボキシル基、前記一般式(a)で表される基及び前記一般式(b)で表される基からなる群から選択される少なくとも一つの反応性基を有する化合物を含有することが好ましい。
(反応性基を有する化合物)
反応性基を有する化合物としては、低分子化合物でも高分子化合物でもよいが、本発明においては、ポリビニルアルコール樹脂(例えば、PVA−124、224,424(いずれも、クラレ製))、ブチラール樹脂(例えば、3000K(電気化学工業社製))、エチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデンおよびポリブタジエン系などのオレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂などが好ましい化合物として挙げられる。中でも、ブチラール樹脂が好ましく用いられる。
上記の反応性基を有する化合物の接着性改良層中での含有量は、1〜100質量%が好ましく、更に好ましくは、50〜100質量%である。また、本発明に用いられる接着性改良層が、反応性基を有する樹脂(1種類の樹脂でもよく、複数の樹脂の混合物でもよい)から構成されている場合、樹脂を構成する全繰り返し単位中、前記反応性基を有する繰り返し単位の含有比率が20%以下であることが好ましいが、更に好ましくは、1〜20%である。
(カップリング剤、イソシアネート化合物)
本発明に用いられる接着性改良層は、接着性効果を更に好ましく発揮する観点から、シランカップリング剤、チタンカップリング剤及びイソシアネート化合物からなる群から選択される少なくとも一つの化合物を含有することが好ましいが、更に好ましくは、チタンカップリング剤またはイソシアネート化合物を含有することであり、特に好ましく用いられるのは、チタンカップリング剤である。
チタンカップリング剤としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネート等が挙げられる。
また、イソプロポキシ基を有するモノアルコキシ型、オキシ酢酸残基あるいはエチレングリコール残基を有するキレート型、テトラアルキルチタネートに亜リン酸エステルを付加させたコーディネート型が挙げられる。
モノアルコキシ型としては、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチルアミノエチル)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデジルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート等がある。
また、チタニウム−i−プロポキシオクチレングリコレート(TOG:日本曹達(株)製)、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、テトラステアロキシチタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナト)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(トリエタノールアミナト)チタン、ジヒドロキシチタン・トリ−i−ステアレート等が挙げられる。
キレート型としては、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
コーディネート型としては、テトライソプロピルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート等がある。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、KBM503(信越化学工業(株)製)、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、などが挙げられる。
イソシアネート化合物としては、例えば、以下の一般式で表される化合物が挙げられる。
O=C=N−L−(N=C=O)v
式中、vは0、1または2であり、Lはアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基またはアラルキル基を部分構造として有する2価の連結基を表す。
これらの基は、更に置換基を有していても良く、好ましい置換基の例は、ハロゲン(例えば、BrおよびCl)、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、アルキル基、アルコキシル基等が挙げられる。
製造元から入手できる特定のイソシアネート化合物の例を以下に示すが、本発明は、これらに限定されない。
IC−1 デスモデュ(Desmodur)N100、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−2 デスモデュN3300、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−3 モンデュー(Mondur)TD−80、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−4 モンデューM、モーベイ社、芳香族イソシアネート
IC−5 モンデューMRS、モーベイ社、ポリマーイソシアネート
IC−6 デスモデュW、モーベイ社、脂肪族イソシアネート
IC−7 パピ(Papi)27、ダウ社、ポリマーイソシアネート
IC−8 イソシアネートT1890、ヒュルス(Huels)、脂肪族イソシアネート
IC−9 オクタデシルイソシアネート、アルドリッヒ社、脂肪族イソシアネート
更に、コロネート2030、コロネート2255、コロネート2513、コロネート2507、コロネートL、コロネートHL、コロネートHK、コロネートHX、コロネート341、コロネートMX、コロネート2067、以上日本ポリウレタン社製、タケネートD103H、タケネートD204EA、タケネートD−172N、タケネートD−170N、以上武田薬品製、スミジュール3200、スミジュール44V−20、スミジュールIL、以上住友バイエルウレタン社製等が挙げられる。
また、本発明においては、アルミニウムカップリング剤、例えば、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等も用いることが出来る。
上記記載のカップリング剤、イソシアネート化合物等の接着性改良層中の含有量としては、1〜99質量%が好ましく、更に好ましくは、1〜50質量%である。
(接着性改良層の膜厚)
本発明に用いられる接着性改良層の膜厚は、1〜300μmに調整することが好ましく、更に好ましくは、1〜100μmであり、特に好ましくは、1〜50μmである。
(樹脂のフロー軟化点)
本発明に用いられる接着性改良層に含有される少なくとも1種の樹脂が、フロー軟化点が130℃以上であることが好ましく、更に好ましくは、130〜400℃の範囲であり、特の好ましくは、130〜300℃の範囲である。前記の樹脂としては、上記記載の反応性基を有する化合物として用いられている樹脂、上記記載の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
ここで、本発明に係るフロー軟化点は、高架式フローテスタCFT−500(島津製作所製)を用いて測定した。
《表面粗さ》
ここで、上記の離型性層の表面粗さや、定着ベルトや定着ローラの基材の表面粗さの測定について説明する。
本発明においては、以下の方法に従い平均面粗さRaを測定した。
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)として、セイコーインスツルメンツ社製SPI3800NプローブステーションおよびSPA400多機能型ユニットを使用し、約1cm角の大きさに切り取った試料を、ピエゾスキャナー上の水平な試料台上にセットし、カンチレバーを試料表面にアプローチし、原子間が働く領域に達したところで、XY方向にスキャンし、その際の試料の凹凸をZ方向のピエゾの変位でとらえた。ピエゾスキャナーは、XY20μm、Z2μmが走査可能なものを使用した。カンチレバーは、セイコーインスツルメンツ社製シリコンカンチレバーSI−DF20で、共振周波数120〜150kHz、バネ定数12〜20N/mのものを用い、DFMモード(Dynamic Force Mode)で測定した。測定領域2μm角を、1(or2)視野、走査周波数1Hzで測定した。また、得られた三次元データを最小二乗近似することにより、試料のわずかの傾きを補正し、基準面を求めた。
表面粗さの解析は、解析ソフトSPIwin(ver.2.05D2、セイコーインスツルメント社製)の「解析」メニューより表面粗さ解析を呼び出し、得られた三次元データより平均面粗さを求めた。
測定により表された測定面はZ=F(X,Y)で表す。(X,Y)の範囲は(0,0)〜(Xmax,Ymax)となる。それを粗さ解析の対象となる指定面*とすると、表面積S0は次式で求められる。
S0=Xmax・Ymax
指定面内のZデータの平均値をZ0とするとき、Z=Z0となる平面を基準面とするときZ0は次式で求められる。
Figure 0004457658
別途JIS B601で中心線平均粗さ(Ra)は粗さ曲線からその中心線の方向に測定長さLの部分を抜き取り、この抜き取り部分の中心線の方向をX軸、縦倍率の方向(X軸に垂直)をY軸とし、粗さ曲線をY=F(X)とした時、
Figure 0004457658
で与えられる値と定義される。
本発明においては、この中心線平均粗さRaを、測定面に対して適応できるように三次元に拡張したものを本発明に係る表面粗さ(平均粗さRaともいう)と定義し、基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値として表現し、次式を適用して得られた値を用いた。
Figure 0004457658
《定着ベルト、定着ローラの製造方法》
本発明の定着ベルト、定着ローラの製造方法について説明する。
本発明の定着ベルト、定着ローラの製造においては、記録材料と接触する側の定着ベルトや定着ローラの面に、ディップ塗布方式、バーコート方式、ブレード塗布方式、エアナイフ方式、スライド塗布装置やカーテン塗布等により接着性改良層を塗布し乾燥の後、前記接着性改良層の上に、溶媒付加型シリコーンや溶剤縮合型シリコーンなどの硬化型シリコーンをディップ塗布後、加熱硬化する工程を経て離型性層が形成されることが好ましい。
中でも好ましいのは、接着性改良層、離型性層の各々をディップ塗布方式で塗布することである。ディップ塗布を行う場合の塗布液の粘度としては、0.01〜0.5Pa/sの範囲に調整することが好ましい。
また、本発明においては、前記離型性層の塗設後、エージング処理Aを行う工程、次いで、エージング処理Bを行う工程を有することを特徴とすることが好ましい。
ここで、エージング処理Aは、例えば、離型性層塗布後の定着ベルトまたは定着ローラを水中に浸積する、蒸気を噴霧する、加温高湿下に経時保存することを表す。加温高湿下とは、温度範囲が25〜100℃、高湿とは、相対湿度が50%RH以上、好ましくは、50〜95%RHの範囲を表す。
また、エージング処理Bは、前記エージング処理Aの後に定着ベルトまたは定着ローラを高温低湿下に処理することを表すが、高温とは、40〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは、40〜150℃の範囲であり、低湿とは、相対湿度が50%RH未満を表す。
《定着ベルトの製造》
(定着ベルト試料1の製造)
ベルト基材(シームレスニッケル電鋳ベルト)上に、下記の表面処理層用塗布液を用いて表面処理層を塗設、下記の接着性改良層用塗布液を用いて接着性改良層を塗設、次いで離型性層を塗設して、定着ベルト試料1を作製した。
(表面処理層用塗布液の調製:1920ml分)
アルミニウムカップリング剤 プレンアクトAL−M
(川研ファインケミカル(株)製) 120g
トルエン 1800ml
上記の素材を混合、攪拌し、表面処理層用塗布液を調製した。
(表面処理層の塗設)
上記の表面処理層用塗布液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに入れ、市販のディップ型塗布機にシームレスニッケル電鋳ベルト(直径65mm、長さ240mm、肉厚40μm:日東工業(株)製)をセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸した。次に引き上げ速度を毎秒4mmに設定して塗布を行ない、室温で3分おいたあと、140℃のオーブンで1時間加熱し、表面処理層を塗設した。
(接着性改良層用塗布液の調製:2リットル分)
デンカブチラール6000C(電気化学工業(株)製) 10g
酢酸エチル 1790ml
n−ブタノール 200ml
シランカップリング剤KBM503(信越化学工業社製)
1.6ml
上記の素材を混合、3時間撹拌し、デンカブチラールを完全溶解させ、接着性改良層用塗布液を調製した。
(表面処理層上への接着性改良層の塗設)
得られた接着性改良層用塗布液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに接着層塗布液2リットル分を入れ、市販のディップ型塗布機に前記表面処理層を有するシームレスニッケル電鋳ベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸した。
次に、引き上げ速度を毎秒4mmに設定して塗布を行った。室温で3分おいたあと、100℃オーブン内で30分加熱し、接着性改良層を塗設した。
(離型性層用塗布液の調製:2リットル分)
剥離紙用離型剤KS830E(信越化学工業(株)製) 500g
硬化用触媒CAT−PL−50T(信越化学工業(株)製) 5ml
トルエン 1500ml
上記の素材を混合、撹拌し、離型性層用塗布液を調製した。
(接着性改良層上への離型性層の塗設)
得られた離型性層用塗布液を内径15cm×高さ50cmの円筒形ビーカーに2リットル分を入れ、市販のディップ型塗布機に前記接着性改良層を有するシームレスニッケル電鋳ベルトをセットし、ベルトを降下させてビーカー中に浸し、次に、引き上げ速度を毎秒15mmに設定して塗布を行った。室温で5分おいたあと、100℃オーブン内で1時間加熱し、離型性層を塗設した。
(加水分解・縮合工程)
離型性層を塗設したベルトを、40℃、80%の雰囲気下で12時間経時した後、更に、140℃で15時間加熱させ、定着ベルト試料1を製造した。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
例えば、画像形成方法は、上記実施の形態のようにシリアル方式にて行うものに限られず、記録媒体Pの幅方向(記録媒体の搬送方向Zと直交する方向)にわたるラインヘッドを備え、記録媒体Pの搬送に基づき画像を形成するライン方式にて行っても良い。
また、上記実施の形態では、一つの定着処理部7を設けるようにしたが、これに限られるものではなく、複数の定着処理部を設けるとともに搬送経路の途中に振り分け機構を設けて、定着処理の速度を向上させるようにしても良い。また、一つの定着処理部7であっても、定着処理部7における搬送経路の幅に対して記録媒体Pの幅が複数枚の記録媒体Pを定着処理部7に搬入可能な程度に狭い場合には、定着処理部7の手前側に振り分け機構を設けることで定着処理の速度を向上させるようにしても良い。
本発明が適用された第一の実施の形態として例示するインクジェットプリンタの主要部を示した断面図である。 図1のインクジェットプリンタに備わる制御装置の要部構成を示したブロック図である。 図1のインクジェットプリンタに備わる画像形成部を示した斜視図である。 図3の画像形成部に備わる記録ヘッドのノズル面を示した図である。 図1のインクジェットプリンタに備わる定着処理部を示す側断面図である。 図1のインクジェットプリンタに備わる定着処理部を示す側断面図である。 図5の定着処理部に備わる加熱ユニットの防塵ケース、加熱機構、異物除去機構を示す側断面図である。 入力データと濃インクデータと淡インクデータとの対応関係を示す図である。 画素クロックとABC各相との対応関係を示す図である。 連続搬送部の変形例を備えたインクジェットプリンタの主要部を示した側断面図である。 定着処理部の変形例1を示す側断面図である。 定着処理部の変形例2を示す側断面図である。 記録媒体に吐出されたインク量と環境条件と記録画像のC値との関係を示す図である。 インクの乾燥減量と記録画像のC値との関係を示す図である。 制御装置の変形例の要部構成を示したブロック図である。 本発明が適用された第二の実施の形態として例示するインクジェットプリンタに備わる制御装置の要部構成を示したブロック図である。 本発明が適用された第三の実施の形態として例示するインクジェットプリンタに備わる制御装置の要部構成を示したブロック図である。 組合決定テーブルを模式的に示した図である。
符号の説明
100 インクジェットプリンタ
1 ケース
12 温度センサ(温度検知手段)
13 湿度センサ(湿度検知手段)
2 画像形成部
22 記録ヘッド
22a、322a、422a、522a CPU(温度判断手段、湿度判断手段、インク量算出手段、インク量判断手段、水蒸気量算出手段、水蒸気量判断手段、組合決定手段、インク量調整手段)
22k 定着制御部(加熱制御手段)
22l、322l 乾燥制御部(乾燥部制御手段)
6 乾燥部
61 ファン(送風手段)
62 ヒータ(加熱手段)
7 定着処理部
P 記録媒体

Claims (4)

  1. ケース内に、表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理部と、を備えるインクジェットプリンタであって、
    前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
    前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
    前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
    前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定手段により決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  2. ケース内に、表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成部と、前記画像形成部により前記画像が形成された前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理部と、を備えるインクジェットプリンタであって、
    前記ケース内の温度を検知する温度検知手段と、
    前記ケース内の湿度を検知する湿度検知手段と、
    前記温度検知手段により検知された検知温度及び前記湿度検知手段により検知された検知湿度に基づいて、前記画像形成部による前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像形成部による前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェットプリンタ。
  3. インクジェットプリンタによる画像記録方法において、
    表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
    前記画像形成工程にて前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
    前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記組合決定工程にて決定された前記複数のインクの組み合わせを変更して前記インク量を調整するインク量調整工程と、
    前記インク量調整工程により調整されたインク量で前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
    を備えることを特徴とする画像記録方法。
  4. インクジェットプリンタによる画像記録方法において、
    表層が熱可塑性微粒子を含んで構成された記録媒体に向けて顔料インクを吐出することで画像を形成する画像形成工程と、
    前記インクジェットプリンタ内の温度及び湿度に基づいて、前記画像形成工程における前記画像の形成の際に前記記録媒体の所定の単位面積に吐出されるインク量が所定の値以上とならないように、前記画像の形成に使用される濃淡が異なる複数のインクの組み合わせを決定する組合決定工程と、
    前記組合決定工程により組み合わせが決定されたインクで前記画像形成工程が行われた前記記録媒体を加熱加圧することで表層の熱可塑性微粒子を溶融皮膜化させ当該記録媒体の表面に光沢を付与する定着処理工程と、
    を備えることを特徴とする画像記録方法。
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