JP4456942B2 - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Description
このような電磁誘導加熱方式を用いた定着装置は、少ないエネルギー消費で短い昇温時間(立ち上げ時間)にて、定着ベルトの表面温度(定着温度)を所望の温度まで昇温できるものとして知られている。
電磁誘導加熱方式の定着装置では、誘導加熱部と加熱ローラ(発熱体としての定着ベルトが巻装されている。)とのギャップ(クリアランス)が変動すると、定着ベルトの昇温時間も変動する。これは、ギャップが変動することで、加熱ローラ近傍の磁束密度が変動することによる。すなわち、加熱ローラにおいて発生する単位時間当たりのジュール熱が変動するために、定着ベルトの昇温時間が変動する。
請求項12記載の発明は、請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置を備えた画像形成装置にある。
図1〜図5にて、この発明の実施の形態1について詳細に説明する。
まず、図1にて、画像形成装置全体の構成・動作について説明する。
図1において、1は画像形成装置としてのレーザープリンタの装置本体、3は画像情報に基いた露光光Lを感光体ドラム18上に照射する露光部、4は装置本体1に着脱自在に設置される作像部としてのプロセスカートリッジ、7は感光体ドラム18上に形成されたトナー像を記録媒体Pに転写する転写部、10は出力画像が載置される排紙トレイ、11、12は転写紙等の記録媒体Pが収納された給紙部、13は記録媒体Pを転写部7に搬送するレジストローラ、15は手差し給紙部、19は記録媒体P上の未定着画像を定着する定着装置を示す。
まず、露光部3から、画像情報に基づいたレーザ光等の露光光Lが、プロセスカートリッジ4の感光体ドラム18上に向けて発せられる。感光体ドラム18は図中の反時計方向に回転しており、所定の電子写真プロセス(帯電工程、露光工程、現像工程)を経て、感光体ドラム18上に画像情報に対応したトナー像が形成される。
その後、感光体ドラム18上に形成されたトナー像は、転写部7で、レジストローラ13により搬送された記録媒体P上に転写される。
まず、画像形成装置本体1の複数の給紙部11、12、15のうち、1つの給紙部が自動又は手動で選択される(例えば、最上段の給紙部11が選択されたものとする。)。
こうして、一連の画像形成プロセスが完了する。
図2に示すように、定着装置19は、定着装置主部20と誘導加熱部24とで構成される。定着装置主部20は、定着補助ローラ21、定着ベルト22(発熱体)、加熱ローラ23、加圧ローラ30、可変部51、テンションローラ33、サーミスタ37等で構成される。誘導加熱部24は、コイル部25(励磁コイル)、コア26(励磁コイルコア)、コイルガイド27等で構成される。
定着ベルト22は、ニッケル、銀、鉄等の金属からなる発熱層(ベース層)、シリコーンゴム等からなる弾性層(膜厚が100〜1000μmの中間層である。)、フッ素化合物等からなる離型層(膜厚が10〜50μmの表面層である。)等からなる多層構造のエンドレスベルトである。定着ベルト22の離型層によって、トナーTに対する離型性が担保されている。
なお、定着ベルト22の発熱層として、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、PEEK樹脂、PES樹脂、PPS樹脂等の樹脂層とニッケル等の金属層との複数層構造体を用いることもできる。
ここで、本実施の形態1では、誘導加熱部24と定着ベルト22(又は加熱ローラ23)とのギャップGが、可変手段によって可変できるように構成されている。これについては、後で詳しく説明する。
また、図示は省略するが、加熱ローラ23の外周面には、サーモスタットが当接されている。そして、加熱ローラ23上の表面温度が所定の温度を超えた場合には、サーモスタット37によって誘導加熱部24への通電が切断される。これにより、誘導加熱部24による加熱ローラ23の過熱が制限される。
定着補助ローラ21の回転駆動によって、定着ベルト22は図2中の矢印方向に周回するとともに、加熱ローラ23も反時計方向に回転して、加圧ローラ30も矢印方向に回転する。定着ベルト22は、誘導加熱部24との対向位置で、誘導加熱部24から発生される磁束によって加熱される。
詳しくは、先に説明した作像プロセスを経てトナー像Tを担持した記録媒体Pが、ガイド板に案内されながら定着ベルト22と加圧ローラ30との間に送入される(矢印Y1の搬送方向の移動である。)。そして、定着ベルト22から受ける熱と加圧ローラ30から受ける圧力とによってトナー像Tが記録媒体Pに定着されて、記録媒体Pは定着ベルト22と加圧ローラ30との間から送出される。
このような一連の動作が連続的に繰り返されて、画像形成プロセスにおける定着工程が完了する。
図2に示すように、本実施の形態1における定着装置19は、定着装置主部20と誘導加熱部24とに分離可能に構成されている。
誘導加熱部24は、画像形成装置本体1に固設された基準ピン29を中心にして、矢印Y24方向に揺動自在に支持される。
また、誘導加熱部24の幅方向両端には、それぞれ、スプリング46が設置されている。このスプリング46の付勢力によって、誘導加熱部24は、基準ピン29を中心にした回転方向(矢印Y24方向である。)に沿って、定着装置主部20側に付勢される。
具体的に、可変部51には、当接部45に当接する当接面51a、幅方向を長手方向とする長穴53、長穴53に挿設される固定ねじ56、可変量の目安となる目盛54等が形成されている。
なお、装置主部20のケース上には、シルク印刷等によって指針55が形成されている。この指針55と、可変部51に等間隔に形成された複数の目盛54と、の位置を確認しながら可変部51をスライド移動させることで、ギャップGの可変作業が効率化される。
まず、定着装置20における昇温時間T1の測定がおこなわれる(ステップS1)。具体的には、定着装置20を起動して、定着ベルト22の温度が40℃(第1の温度)から140℃(第2の温度)まで上昇する時間T1が、検知手段として機能するサーミスタ37及びCPUによって検知される。ここで、サーミスタ37で検知する第1の温度を40℃としたのは、室温変化による測定値(昇温時間T1)への影響を排除するためである。
そして、ステップS2で求めた昇温時間差ΔTを、図5に示すテーブルのデータと照合して、ギャップGの可変量を決定する(ステップS3)。ここで、図5に示すテーブルは、昇温時間差ΔTと可変部51の目盛54との関係を示すもので、予め画像形成装置本体1内のメモリに記憶されている。
作業者は、この表示に従い、上述した可変部51の調整をおこなう。例えば、図5を参照して、昇温度差ΔTが12℃であると検知された場合には、表示部に目盛54の位置を「2」にする旨の表示がされる。そして、「2」の目盛54の位置を指針55に合わせるように、可変部54を移動させる。すなわち、インダクタンス特性のばらつきによって昇温時間が長くなっているために、ギャップGが小さくなるように調整して、所望の昇温時間T0となるようにする。
また、本実施の形態1では、上述のギャップ可変調整を手動でおこなったが、自動でおこなう場合には、定着装置20に自動調整機構を設けるとともに、図4のステップS4にてギャップ可変量に基いて自動調整機構を駆動制御することになる。
図6にて、この発明の実施の形態2について詳細に説明する。
図6は、実施の形態2の定着装置19における可変手段近傍を示す部分拡大図であって、前記実施の形態1における図3に示すスプリング46近傍に相当する図である。本実施の形態2の定着装置19は、可変手段が自動調整に対応した構成になっている点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
モータ65が駆動されると、モータ軸に設置されたギア64に噛合する2段ギアの第1ギア63Bに駆動力が伝達される。そして、その駆動力は、2段ギアの第2ギア63Aに噛合するギア62に伝達される。このギア62に一体的に固設された軸部には、おねじ部61が形成されている。このおねじ部61は、装置主部20のケース20aに設けられためねじ部に螺合する。
具体的には、前記実施の形態1と同様に、サーミスタ37及びCPUにて昇温時間差ΔTを求めてギャップ可変量を決定する。そして、決定したギャップ可変量に基いて、モータ65の回転方向と回転時間(回転角度)とを駆動制御する。こうして、誘導加熱部24と定着ベルト22とのギャップGは、自動調整される。
図7及び図8にて、この発明の実施の形態3について詳細に説明する。
図7は、実施の形態3の定着装置19における誘導加熱部24を示す概略斜視図である(コイル部25等の図示は省略されている。)。図8は、実施の形態3の定着装置を上方からみた上面図であって、前記実施の形態1における図3に相当する図である。本実施の形態3の定着装置19は、幅方向のギャップGの偏差をも可変できる点が、前記実施の形態1のものとは相違する。
一方、定着装置主部20のケース上には、誘導加熱部24の2つの当接部45に当接する可変部51A、51Bが設けられている。2つの可変部51A、51Bは一体的に形成されていて、それぞれ当接部45に当接する傾斜のある当接面が設けられている。また、一体化された2つの可変部51A、51Bには、前記実施の形態1と同様に、長穴53、固定ねじ56、目盛54等が形成されている。
このようにして、可変部51A、51Bの幅方向の位置が決定されたら、固定ねじ56を本締めする。これにより、装置主部20に対する誘導加熱部24の位置(又は、ギャップG)が定められる。
具体的には、サーミスタ37及びCPUにて昇温時間差ΔTを求めてギャップ可変量を決定する。そして、決定したギャップ可変量に基いて、手動で可変部51A、51Bの位置を調整する。こうして、誘導加熱部24と定着ベルト22とのギャップGが調整される。
図9にて、この発明の実施の形態4について詳細に説明する。
図9は実施の形態4の定着装置19を示す断面図である。本実施の形態4の定着装置19は、発熱体として定着ローラ31を用いている点が、発熱体として定着ベルト22を用いている前記実施の形態1のものとは相違する。
定着ローラ31は、円筒形状であって、鉄等からなる発熱層(基体)、シリコーンゴム等からなる弾性層、フッ素化合物等からなる離型層、等で構成される。定着ローラ31内には、前記実施の形態1の加熱ローラ23と同様に、内部コア28が設置されている。
すなわち、定着ローラ31表面に当接するサーミスタ37と、CPUと、によって昇温時間差ΔTが求められて、ギャップ可変量が決定される。そして、決定したギャップ可変量に基いて、可変部51の位置が調整される。こうして、誘導加熱部24と定着ローラ31とのギャップが調整される。
19 定着装置、 20 定着装置主部(装置主部)、
20a ケース、 21 定着補助ローラ、
22 定着ベルト(発熱体)、 23 加熱ローラ、
24 誘導加熱部、 25 コイル部、 26 コア、 26a センターコア、
26b サイドコア、 27 コイルガイド、 28 内部コア、
29 基準ピン、 30 加圧ローラ、 31 定着ローラ(発熱体)、
34、35 位置決めピン、 37 サーミスタ(検知手段)、
41、42 係止部、 45 当接部、 46 スプリング、
51、51A、51B 可変部、 53 長穴、 54 目盛、 55 指針、
56 固定ねじ、 61 おねじ部、 62〜64 ギア、 65 モータ、
70 側面、 71 軸部、 75 ブラケット、 76 段ねじ。
Claims (12)
- トナー像を加熱して当該トナー像を記録媒体に定着する定着装置であって、
磁束を発生させる誘導加熱部と、
前記誘導加熱部に対向するとともに当該誘導加熱部から発生される磁束によって加熱される発熱体と、
前記誘導加熱部と前記発熱体とのギャップを可変する可変手段と、
を備えた定着装置において、
前記可変手段は、前記誘導加熱部と一体的に前記発熱体側に付勢される当接部と、前記発熱体を保持するケースに保持されるとともに前記当接部に当接する位置を可変する可変部と、を備え、
前記当接部は、前記誘導加熱部の幅方向両端部にそれぞれ設けられた2つの当接部であって、前記可変部は、前記2つの当接部に当接するそれぞれの位置を一体的に可変し、
前記誘導加熱部は、前記2つの当接部が前記可変部に当接するように当該2つの当接部とともに揺動自在に構成されたことを特徴とする定着装置。 - 前記発熱体の温度を検知する検知手段を備え、
前記検知手段の検知結果に基いて前記ギャップの可変量を求めることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。 - 前記発熱体の温度変動を検知する検知手段を備え、
前記検知手段の検知結果に基いて前記可変手段を駆動制御することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の定着装置。 - 前記検知手段は、第1の温度から第2の温度まで上昇する時間を検知することを特徴とする請求項2 又は請求項3に記載の定着装置。
- 前記検知手段は、所定の温度から所定時間経過したときの上昇温度を検知することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の定着装置。
- 前記発熱体は、加熱ローラと定着補助ローラとに張架された定着ベルトであって、
前記加熱ローラは、前記定着ベルトの外周面に対向する前記誘導加熱部に対して当該定着ベルトを介して対向するように配設され、
前記定着ベルトは、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接するように配設されたことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の定着装置。 - 前記定着補助ローラは、前記加圧ローラに対して前記定着ベルトを介して当接するように配設されたことを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
- 前記発熱体は、搬送される記録媒体を加圧する加圧ローラに当接する定着ローラであって、
前記誘導加熱部は、前記定着ローラの外周面に対向することを特徴とする請求項1〜請
求項5のいずれかに記載の定着装置。 - 前記誘導加熱部はブラケットを介して画像形成装置に設置され、前記ブラケットは前記2つの当接部が前記可変部に当接する方向に画像形成装置に対して揺動自在に構成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の定着装置。
- 前記可変部のうち前記当接部が当接する当接面は幅方向に対して所定の傾斜が設けられ、前記可変部は幅方向に移動することにより前記当接部と当接する位置を可変して、前記ギャップを可変することを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の定着装置。
- 前記発熱体を備えた、前記誘導加熱部に対して分離可能な定着装置主部を有し、該定着装置主部は、前記誘導加熱部に対し接離方向に着脱可能に像形成装置本体に装着されることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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