JP4456714B2 - ワイヤソーを用いた切断方法 - Google Patents

ワイヤソーを用いた切断方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体インゴット等を切断するためのワイヤソー用いた切断方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、半導体インゴットからウェハを切り出す手段等として、ワイヤソーが知られている。このワイヤソーでは、ワイヤ繰出し部材から引き出された切断用のワイヤが複数のガイドローラの周囲に巻回されてからワイヤ巻取り部材に回収され、両ボビン及びガイドローラの回転によって切断用ワイヤがその長手方向に高速駆動された状態で、前記ガイドローラ間に複数本並んだワイヤに対してこれと略直交する方向に前記半導体インゴット等からなるワークが切断送りされることにより、このワークから多数枚の薄片が同時に切り出される。
【0003】
このようなワイヤソーでは、ワークの良好な切断を行うためにワイヤ張力を適正な値に調節する必要がある。そこで従来は、前記ワークの切断動作の間、ワイヤ張力を常に一定に保つような張力制御が行われている。例えば特開平4−152061号公報には、ワイヤ繰出し部材からガイドローラに至るまでの領域、及びガイドローラからワイヤ巻取り部材に至るまでの領域に、各領域におけるワイヤの張力を検出する張力検出手段を設け、この張力検出手段により検出される張力を適当な張力に保つようにボビンの回転速度を調節するものが開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記のようなワイヤ張力制御を行うにあたっては、その目標張力の設定が非常に難しいという欠点がある。すなわち、目標張力を低く設定すると、ワーク28の切断時におけるワイヤの撓み量が増え、その分だけ製品ウェハのWarp(反り成分)が増えて十分な形状精度が得られなくなる不都合が生じる。逆に、目標張力を高く設定すると、ワイヤが巻き付けられているワイヤ繰出しボビンやワイヤ巻取りボビンの変形が著しくなり、また、これらのボビンの振れによりワイヤ断線のおそれが高くなるという不都合が生じる。
【0005】
その対策として、特開昭61−100366号公報には、ガイドローラと繰出し部材(新線リール)及び巻取り部材(巻取りリール)との間にキャプスタンを設けることにより、ワイヤ切断に寄与するガイドローラ側のワイヤ張力と、ワイヤ切断に寄与しないリール側のワイヤ張力との間に差をもたせる方法が開示されているが、この方法では、前記キャプスタンを含む張力調節機構の構造及び制御が非常に複雑となるのに加え、設置に要するスペースが大幅に増えるという不都合がある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑み、簡単な構成で、ワイヤが巻き付けられる繰出し部材や巻取り部材の変形を抑えながら、ワークを切断する部分のワイヤ張力を高く保持して高い加工精度を確保できるワイヤソーによる切断方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段として、本発明は、ワイヤ繰出し部材から繰り出された切断用ワイヤが複数のガイドローラの周囲に巻回されてワイヤ巻取り部材に巻き取られるワイヤソーを用い、そのガイドローラ同士の間に複数本並んだワイヤを軸方向に駆動しながらこれらのワイヤに対してワークを切断送りすることによりこのワークを切断するワイヤソーによる切断方法において、前記複数のガイドローラのうちの少なくとも一つを回転駆動するとともに、当該ガイドローラ以外のいずれかのガイドローラに回転抵抗を与え、この回転抵抗により張力が上昇したワイヤ部分に対して前記ワークを切断送りすることにより当該ワークを切断するものである。
【0008】
この切断方法によれば、ワイヤ繰出し部材やワイヤ巻取り部材に巻き付けられるワイヤ張力は比較的低く抑えて当該繰出し部材や巻取り部材の変形を抑えながら、区定のガイドローラに回転抵抗を与えてワーク切断に寄与するワイヤ部分の張力を局所的に高めることにより、高い加工精度を確保することができる。
【0009】
なお、本発明において特定のガイドローラに与える「回転抵抗」は、ローラ駆動手段により駆動されるガイドローラに従動するための回転に対する抵抗(すなわち相対的な回転抵抗)であればよく、例えば、回転抵抗付与手段は、ガイドローラを前記ローラ駆動手段による駆動方向と同じ方向にガイドローラを回転駆動するものであってもよい。
【0010】
例えば、前記複数のガイドローラのうちの少なくとも一つに第1駆動モータを連結し、この第1駆動モータが連結されたガイドローラ以外のいずれかのガイドローラに第2駆動モータを連結し、これら第1駆動モータ及び第2駆動モータにそれぞれ互いに異なるトルク指令値を与えるようにしても、そのトルク差分だけ前記ワークを切断するワイヤ部分の張力を上昇させることができる。この構成では、第1駆動モータ及び第2駆動モータのうち、高いトルクが設定されたモータが上述のローラ駆動手段となり、低いトルクが設定された側のモータが回転抵抗付与手段、すなわち、前記ローラ駆動手段により回転駆動されるガイドローラに他のガイドローラが従動するための回転に抵抗を与える手段となる。すなわち、両モータに指令されるトルクの差が、相対的な回転抵抗に相当することになる。
【0011】
しかも、この構成では、第1駆動モータ及び第2駆動モータへ入力するトルク指令値の設定だけで簡単にワイヤ張力の調節が可能であり、例えばワイヤ駆動方向を逆転させる(すなわちワイヤ繰出し部材とワイヤ巻取り部材とを交代させる)時の対応も難なくできる。
【0012】
その他、回転抵抗付与手段としては、前記ローラ駆動手段が連結されるガイドローラ以外のガイドローラを従動ローラとし、かつ、その従動ローラのうちの少なくとも一つに当該従動ローラを所定の力で制動する回転ブレーキを連結するようにしてもよい。
【0013】
また、前記ワイヤ繰出し部材からガイドローラに至る領域及びガイドローラから前記ワイヤ巻取り部材に至る領域でワイヤの張力を検出する張力検出手段と、前記各領域で検出された張力を目標張力に近づけるように当該領域でのワイヤ張力を操作する張力操作手段とを備えるなどして、前記ワイヤ繰出し部材からガイドローラに至る領域及びガイドローラから前記ワイヤ巻取り部材に至る領域でワイヤの張力を目標張力に近づける張力制御を行いながら、いずれかのガイドローラに回転抵抗を与えることにより前記ワークを切断するワイヤ部分の張力を前記目標張力よりも上昇させることにより、前記ワークを切断するワイヤ部分の張力を前記目標張力よりも上昇させるようにすれば、ワイヤ繰出し部材及び巻取り部材側のワイヤ張力と、ワークを切断するワイヤ部分の張力の双方を、同時にかつそれぞれ的確な値に制御することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態を図1〜図5を参照しながら説明する。
【0015】
図1に示すワイヤソーは、一対のワイヤ繰出し・巻取り装置10A,10Bと、その間に配された4つのガイドローラ24A,24B,26A,26Bを備えている。これらのガイドローラのうち、ガイドローラ24A,24Bは互いに同じ高さ位置に配され、ガイドローラ26A,26Bはそれぞれガイドローラ24A,24Bの下方の位置に配されている。
【0016】
前記ワイヤ繰出し・巻取り装置10Aとガイドローラ24A,24B,26A,26Bとの間には、ワイヤ繰出し装置10Aに近い側から順に、固定プーリ12A,14A,16A、ワイヤ長操作装置18A、可動プーリ20A、及び固定プーリ22Aが設けられている。同様に、前記ワイヤ繰出し・巻取り装置10Bとガイドローラ24A,24B,26A,26Bとの間には、ワイヤ巻取り装置10Bに近い側から順に、固定プーリ12B,14B,16B、ワイヤ長操作装置18B、可動プーリ20B、及び固定プーリ22Bが設けられている。
【0017】
各ワイヤ繰出し・巻取り装置10A,10Bは、切断用のワイヤWが巻かれるボビン9A,9Bと、これを回転駆動するボビン駆動モータ11A,11Bとを備えている。一方のワイヤ繰出し・巻取り装置10Aのボビン9Aから繰り出されたワイヤWは、固定プーリ12A,14A,16A、ワイヤ長操作装置18Aの可動プーリ20A、及び固定プーリ22Aの順に掛けられ、さらにガイドローラ24A,24B,26B,26Aの外側に多数回巻回された後、固定プーリ22B、ワイヤ長操作装置18Bの可動プーリ20B、固定プーリ16B,14B,12Bの順に掛けられ、他方のワイヤ繰出し・巻取り装置10Bのボビン9Bに巻き取られるとともに、両ワイヤ長操作装置18A,18BによってワイヤWに適当な張力が与えられるようになっている。
【0018】
ガイドローラ24A,24B,26B,26Aのうち、下側のガイドローラ26A,26Bの回転軸には、それぞれ、当該ガイドローラ26A,26Bを個別に回転駆動するメインモータ25A(第1駆動モータ)及びメインモータ25B(第2駆動モータ)が連結されている。そして、各ボビン駆動モータ11A,11Bによるボビン9A,9Bの回転駆動方向及びメインモータ25A,25Bによるガイドローラ26A,26Bの回転駆動方向が正逆に切換えられることにより、ワイヤWがボビン9Aから繰り出されてボビン9Bに巻き取られる状態と、ワイヤWがボビン9Bから繰り出されてボビン9Aに巻き取られる状態とに切換えられるようになっている。
【0019】
すなわち、このワイヤソーにおいては、ガイドローラ24A,24Bの間に多数本のワイヤWが互いに平行な状態で張られながらその長手方向に往復駆動されるようになっている。
【0020】
これらのガイドローラ24A,24B間に張られたワイヤWの上方には、円柱状のワーク(例えば半導体インゴット)28を移動させるワーク送り装置30が設けられている。このワーク送り装置30は、ワーク保持部32と、ワーク送りモータ34とを備えている。ワーク保持部32は、前記ワーク28をその結晶軸に基づいて目的の結晶方位が得られる向きに保持するものであり、ワーク送りモータ34は、図略のボールネジとの組み合わせにより、前記ワーク保持部32とワーク28とを一体に昇降させる(すなわち切断送りする)ものである。この実施の形態では、ワーク送りモータ34はサーボモータで構成され、ワーク28の切断送り位置を検出する送り位置検出手段を兼ねている。
【0021】
ガイドローラ24A,24B間に張られたワイヤWの上方において、ワーク28の左右両側の位置には、スラリー供給装置36A,36Bが設けられている。これらのスラリー供給装置36A,36Bは、高速駆動される各ワイヤWに対し、砥粒が混合された加工液(スラリー)を同時供給し、これをワイヤW表面に付着させるものである。
【0022】
従って、このワイヤソーでは、ガイドローラ24A,24B間に張られた多数本のワイヤWがその長手方向に同時高速駆動され、かつこれらのワイヤWにスラリー供給装置36A,36Bから加工液が供給されながら、これらのワイヤWに対してワークWが下方に切断送りされることにより、このワークWから一度に多数枚のウェハが同時に切り出される。
【0023】
次に、前記ワイヤ長操作装置18A,18Bの構造を図2及び図3に基づいて説明する。なお、両ワイヤ長操作装置18A,18Bの構成は同等であるので、ここではワイヤ長操作装置18Aを例にとって説明する。
【0024】
前記可動プーリ20Aは、固定プーリ16A,22Aの間に配され、この可動プーリ20Aの上下移動によってワイヤ長が変化する(具体的には、可動プーリ20Aが下降するとワイヤ長が増え、可動プーリ20Aが上昇するとワイヤ長が減る)ように各プーリ16A,20A,22Aが配されている。
【0025】
なお、固定プーリ22Aの支持部材38には、ロードセル等からなる張力検出器(張力検出手段)40が取付けられ、この張力検出器40により前記支持部材38に加えられる荷重が検出され、ひいてはワイヤWの張力が検出されるようになっている。
【0026】
前記可動プーリ20Aは、回転軸42を中心として回転可能にレバー44の先端に取付けられている。このレバー44の基端には回動中心軸46が固定され、この回動中心軸46は、固定側板48に固定された揺動シリンダ(プーリ位置操作手段)50に連結されており、この揺動シリンダ50の作動によって前記回動中心軸46回りにレバー44及び可動プーリ20Aが回動駆動されるようになっている。さらに、前記回動中心軸46にはエンコーダ52が連結され、このエンコーダ52によって回動中心軸46の回動角度位置、換言すれば可動プーリ20Aの位置が検出可能となっている。
【0027】
このワイヤソーには、図4に示すようなコントローラ60が備えられている。このコントローラ60は、ワイヤ長調節手段62、速度調節手段64、及びメインモータ制御手段66を備えている。
【0028】
ワイヤ長調節手段62は、ワイヤ繰出し側及びワイヤ巻取り側のそれぞれにおける張力検出器40で検出されたワイヤ張力を予め設定された目標張力Teに保つように、揺動シリンダ50を駆動する空気圧サーボ回路54に電気信号を出力して各可動プーリ20A,20Bの位置をそれぞれ調節するものである。具体的に、例えばワイヤ繰出し・巻取り装置10A側の検出張力が前記目標張力Teよりも高い場合には、揺動シリンダ50に連結されたレバー44を図2の時計回り方向に回動させて可動プーリ20Aを固定プーリ16A,22Aに近づけることによりワイヤ長を減らし、逆に検出張力が前記目標張力Teよりも低い場合には、揺動シリンダ50に連結されたレバー44を図2の反時計回り方向に回動させて可動プーリ20Aを固定プーリ16A,22Aから遠ざけることによりワイヤ長を増やすといった制御を行う。
【0029】
速度調節手段64は、エンコーダ52で検出された可動プーリ20A,20Bの位置を予め設定された基準位置(ここでは、図2の実線に示すようにレバー44が水平となる位置)に近づけるように、ボビン駆動モータ11A,11Bにそれぞれ制御信号を出力して両ボビン9A,9Bの回転速度を調節するものである。例えば、ボビン9AからワイヤWが繰り出されてボビン9Bに巻取られる状態で、繰出し側の可動プーリ20Aが基準位置よりも下方の位置にあることが検出された場合には、可動プーリ20Aを上昇させるべく、ワイヤ繰出し部材となっている側のボビン9Aの回転速度を減少させ、逆に、可動プーリ20Aが基準位置よりも上方の位置にあることが検出された場合には、可動プーリ20Aを下降させるべく、ワイヤ繰出し部材となっている側のボビン9Aの回転速度を増加させるように構成されている。一方、ワイヤ巻取り側の可動プーリ20Bが基準位置よりも下方の位置にあることが検出された場合には、可動プーリ20Bを上昇させるべく、ワイヤ巻取り部材となっている側のボビン9Bの回転速度を増加させ、逆に可動プーリ20Bが基準位置よりも上方の位置にあることが検出された場合には、可動プーリ20Bを下降させるべく、ワイヤ巻取り部材となっている側のボビン9Bの回転速度を減少させるように構成されている。
【0030】
前記例では、ボビン9Aからワイヤが繰り出されてボビン9Bに巻取られる状態の説明をしたが、逆に、ボビン9Bからワイヤが繰り出されてボビン9Aに巻取られる状態でも速度調節手段64は同様の制御を行う。
【0031】
メインモータ制御手段(トルク差付与手段)66は、メインモータ25A,25Bにそれぞれ指令信号を出力してその作動を制御するものである。そして、この装置の特徴として、メインモータ制御手段66は、メインモータ25A,25Bに互いに異なるトルク指令信号を出力して両メインモータ25A,25Bの出力トルク間にトルク差を発生させるように構成されている。このトルク差は、前記ワイヤ長調節手段62で用いられている目標張力Teにさらに上乗せすべき追加張力分ΔTeに相当するトルク差であり、その具体的な演算内容については後に詳述する。
【0032】
次に、この装置の作用を説明する。
【0033】
まず、ボビン9AからワイヤWを繰り出してボビン9Bに巻取る場合には、速度調節手段64からボビン9Aを繰出し方向に、ボビン9Bを巻取り方向にそれぞれ回転させるように各ボビン駆動モータ11A,11Bに指令信号が入力されるとともに、コントローラ60のメインモータ制御手段66からメインモータ25A,25Bにそれぞれ正方向の駆動指令信号が入力され、これにより両ガイドローラ26A,26Bは図1の反時計回り方向に回転駆動される。
【0034】
この状態で、固定プーリ22Aに取付けられている側の張力検出器40の検出値(すなわちワーク加工位置よりも上流側におけるワイヤ張力検出値)がワイヤ長調節手段62に取り込まれる。このワイヤ長調節手段62は、前記張力検出値と、予め設定された目標張力Teとを比較し、前者が後者よりも高い場合には、その差に応じた分だけ可動プーリ20Aを上昇させることによりワイヤ長を減らしてワイヤ張力を下げ、逆に後者が前者よりも高い場合には、その差に応じた分だけ可動プーリ20Aを下降させることによりワイヤ長を増やしてワイヤ張力を高める。従って、ワーク28の切断抵抗等に起因してワイヤ張力が瞬間的に上昇した場合でも、これに応じて可動プーリ20Aが素早く上昇駆動されることにより、ワイヤ張力の過度の上昇が避けられ、これに起因するワイヤWの断線が防止される。
【0035】
一方、ワイヤ長操作装置18Aに設けられたエンコーダ52の検出信号(すなわち可動プーリ20Aの位置検出信号)は速度調節手段64に取り込まれる。この速度調節手段64は、前記可動プーリ20Aの検出位置と予め設定された基準位置とを比較し、前者が後者よりも高い場合には、可動プーリ20Aを下降させるべく、ワイヤ繰出しボビンであるボビン9Aの回転速度を増加させる。逆に、前者が後者よりも低い場合には、可動プーリ20Aを上昇させるべく、ワイヤ繰出しボビンであるボビン9Aの回転速度を減少させる。このような制御により、定常状態では可動プーリ20Aがほぼ基準位置に保持され、その移動しろが確保される。
【0036】
すなわち、このワイヤソーでは、可動プーリ20A,20Bの上下動によってワイヤ張力の瞬間的な増減に対処可能とされながら、ボビン9A,9Bの回転速度調節によって各可動プーリ20A,20Bの位置が基準位置に合わされることとなる。
【0037】
一方、メインモータ制御手段66は、予め設定されたワイヤ駆動速度に基づき、このワイヤ駆動速度に見合ったガイドローラ25A,25Bの回転速度を得るための回転速度指令信号を演算するのに加え、このワイヤソーの特徴として、ワーク28の切断に寄与するワイヤ部分、すなわち、ガイドローラ24A,24B間に張られた部分のワイヤWの張力を前記目標張力TeよりもΔTeだけ高めるべく、メインモータ25A,25Bの出力トルクに差を付与する制御を行う。
【0038】
具体的に、メインモータ制御手段66は、ガイドローラ24A,24Bの間に張られたワイヤ部分(ワーク切断に寄与する部分)よりもワイヤ駆動方向下流側に位置するガイドローラ26Bに連結されたメインモータ25Bについては、通常のトルク設定(ワイヤを駆動するのに必要なトルク設定)を行う一方、前記ワイヤ部分よりもワイヤ駆動方向上流側に位置するガイドローラ26Aに連結されたメインモータ25Aについては、前記メインモータ25Bよりも前記張力付加分ΔTeに相当するトルク差ΔTrだけ低いトルクを設定する。このトルク差ΔTrは例えば次式により演算される。
【0039】
ΔTr[Nm]=ΔTe[N]×M×Dg
ここで、Mはガイドローラ24A,24B,26A,26Bへのワイヤ巻数(本)、Dgはガイドローラ直径[m]である。
【0040】
このようなトルク差の付与により、ガイドローラ26Bからみてガイドローラ26Aには相対的な回転抵抗(すなわちガイドローラ26Aがガイドローラ26Bに従動するための回転に対する抵抗)が与えられることになり、その回転抵抗分だけガイドローラ26B−24B−24A−26Aの領域におけるワイヤWの張力が局所的に上昇する。従って、この制御により、ボビン9A,9B側の目標張力Teは低く抑えて当該ボビンの変形や振れを抑止する一方、ガイドローラ24A,24B間においてワーク28の切断に寄与するワイヤ部分の張力を高めることにより、当該ワイヤ部分のワーク切断時における撓み量を減らして加工精度を向上させることが可能になる。
【0041】
なお、ワイヤ駆動方向を逆転させる場合、すなわち、ボビン9Bをワイヤ繰出し側、ボビン9Aをワイヤ巻取り側にそれぞれ切換える場合には、ボビン駆動モータ11A,11B及びメインモータ25A,25Bの回転方向を逆転させるのに加え、前記と同じ要領で演算されるトルク差ΔTrだけメインモータ25Bの出力トルクをメインモータ25Aの出力トルクよりも下げるようにすればよい。
【0042】
以上説明した実施の形態の他、本発明は例えば次のような形態をとることが可能である。
【0043】
(1)前記実施の形態では4つのガイドローラ24A,24B,26A,26Bを具備したワイヤソーを開示したが、本発明は少なくとも2つのガイドローラを備えたワイヤソーに広く適用が可能である。また、図1に示す各ガイドローラにおいて、どのガイドローラにメインモータを連結するかは自由であり、例えばガイドローラ24A,24Bにそれぞれメインモータを連結してこれにトルク差を与えるようにしてもよい。
【0044】
(2)前記実施形態では、コントローラ60からメインモータ25A,25Bの双方にトルク指令信号を出力するようにしているが、本発明はこれに限らず、例えばメインモータ25Aに基本指令信号(トルク差を加味しない指令信号)を出力し、これを受けたメインモータ25A内の回路からメインモータ25Bにトルク差を加味した指令信号(すなわち基本トルク指令信号から張力付加分ΔTeに相当するトルクを差し引いたトルク指令信号)を出力するようにしてもよい。すなわち、本発明にかかるトルク差付与手段の一部をメインモータそのものに内蔵するようにしてもよい。
【0045】
(3)前記実施形態では、2つのメインモータ25A,25Bを具備するものを示したが、例えば図1に示すワイヤソーでボビン9Aをワイヤ繰出し側、ボビン9Bをワイヤ巻取り側にしてワイヤ送りを行う場合に、ガイドローラ26Bにメインモータを連結して他のガイドローラを従動ローラとし、かつ、そのうちの例えばガイドローラ26Aに回転ブレーキを連結して当該ガイドローラ26Aに回転抵抗を与えるようにしても、その回転抵抗分だけワイヤ張力を高めることができる。逆に、ボビン9Bをワイヤ繰出し側、ボビン9Aをワイヤ巻取り側にする場合には、例えばガイドローラ26Aにメインモータを連結し、ガイドローラ26Bに回転ブレーキを連結するようにすればよい。
【0046】
ただし、前記実施形態のように2つのメインモータ25A,25Bを併用するようにすれば、各モータへのトルク指令を変更するだけでワイヤ駆動方向の逆転にも難なく対応できる利点がある。
【0047】
また、トルク差を与える手段として、図1に示すメインローラ26A,26Bとメインモータ25A,25Bとの間にパウダークラッチなどのクラッチを介在させるとともに、両クラッチの結合力を相互異ならせるようにしてもよい。
【0048】
(4)本発明において、ガイドローラの外側領域でワイヤ張力を調節するための具体的手段は特に問わない。例えば、前記図1に示した可動プーリ20A,20Bの可動範囲を十分確保できるのであれば、速度調節手段64の省略が可能であるし、逆に、可動プーリ20A,20Bを操作するワイヤ長操作装置18A,18Bを省略して前記速度調節手段64の速度調節のみでワイヤ張力を調節するようにしてもよい。
【0049】
また、前記のようにワイヤ長操作装置18A,18Bを用いる場合、図示のようにレバー44の回動によって可動プーリ20A,20Bを変位させるものに限らず、例えばレールによる案内等で可動プーリ20A,20Bを直線移動させるようにしてもよい。この場合、位置を変化させる手段としては、送りねじ機構やラック・ピニオン機構等を用いればよい。また、可動プーリを揺動させる場合もその駆動源は揺動シリンダ50に限らず、例えばサーボモータを用いるようにしてもよい。張力検出器40の具体的な構成も特に問わず、前記ロードセルの他、差動トランスとばねを組み合わせたもの等でもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上のように本発明は、ワイヤが巻回される複数のガイドローラを備えたワイヤソーにおいて、特定のガイドローラを回転駆動するとともに、一部のガイドローラに回転抵抗を与え、その抵抗分だけワーク切断に寄与するワイヤ部分の張力を高めるようにしたものであるので、ワイヤ繰出し部材やワイヤ巻取り部材に巻かれているワイヤの張力は低く抑えて当該繰出し部材や巻取り部材の変形を抑えながら、張力を高めたワイヤ部分を用いて精度の高い切断加工を実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態にかかるワイヤソーの全体構成図である。
【図2】 前記ワイヤソーに設けられた張力調節手段の正面図である。
【図3】 前記張力調節手段の平面図である。
【図4】 前記ワイヤソーに装備されるコントローラの機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
9A,9B ボビン(ワイヤ繰出し部材及びワイヤ巻取り部材)
11A,11B ボビン駆動モータ
16A,16B,22A,22B 固定プーリ
18A,18B ワイヤ長操作装置
20A,20B 可動プーリ
24A,24B,26A,26B ガイドローラ
25A メインモータ(第1駆動モータ)
25B メインモータ(第2駆動モータ)
28 ワーク
40 張力検出器
60 コントローラ
62 ワイヤ長調節手段
64 速度調節手段
66 メインモータ制御手段(トルク差付与手段)
W ワイヤ

Claims (3)

  1. ワイヤ繰出し部材から繰り出された切断用ワイヤが複数のガイドローラの周囲に巻回されてワイヤ巻取り部材に巻き取られるワイヤソーを用い、そのガイドローラ同士の間に複数本並んだワイヤを軸方向に駆動しながらこれらのワイヤに対してワークを切断送りすることによりこのワークを切断するワイヤソーによる切断方法において、前記複数のガイドローラのうちの少なくとも一つを回転駆動するとともに、当該ガイドローラ以外のいずれかのガイドローラに回転抵抗を与え、この回転抵抗により張力が上昇したワイヤ部分に対して前記ワークを切断送りすることにより当該ワークを切断することを特徴とするワイヤソーによる切断方法。
  2. 請求項記載のワイヤソーによる切断方法において、前記複数のガイドローラのうちの少なくとも一つに第1駆動モータを連結し、この第1駆動モータが連結されたガイドローラ以外のいずれかのガイドローラに第2駆動モータを連結し、これら第1駆動モータ及び第2駆動モータにそれぞれ互いに異なるトルク指令値を与えてそのトルク差分だけ前記ワークを切断するワイヤ部分の張力を上昇させることを特徴とするワイヤソーによる切断方法。
  3. 請求項1または2記載のワイヤソーによる切断方法において、前記ワイヤ繰出し部材からガイドローラに至る領域及びガイドローラから前記ワイヤ巻取り部材に至る領域でワイヤの張力を目標張力に近づける張力制御を行いながら、いずれかのガイドローラに回転抵抗を与えることにより前記ワークを切断するワイヤ部分の張力を前記目標張力よりも上昇させることを特徴とするワイヤソーによる切断方法。
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