JP4456475B2 - 電力供給制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、過熱保護機能を有する半導体スイッチを備えた電力供給制御装置に関する。
従来より、制御信号に基づきオンオフ動作する半導体スイッチ手段を備え、その半導体スイッチ手段に連なる電源から負荷へ供給される電力を制御する電力供給制御装置が提供されている。このような電力供給制御装置としては、例えば特許文献1のように、半導体スイッチ手段として、過熱保護機能付きFETを用いるような技術が知られている。この特許文献1に示される過熱保護機能付きFETは、当該FETの温度を検出する温度センサを備えており、例えば負荷の短絡等によってドレイン−ソース間に過電流が流れて温度が上昇し所定の温度に達した場合にゲートへの制御信号の入力を遮断するように構成される。そして、FETの温度が低下し、次に到来する制御信号の立ち上がり電圧でゲートの遮断を解除する構成となっている。
特開平7−221261号公報
ところで、上記のような電力供給制御装置では、オンオフレベルを交互に繰り返すパルス列状のオンオフ制御信号(例えばPWM(Pulse Width Modulation。パルス幅変調)制御信号)を過熱保護機能付きFETに与えて負荷への電力供給量を制御する方法が採られているが、このような過熱保護機能付きFETをパルス列状のオンオフ制御信号によって制御する場合には次のような問題が生じる。
即ち、上記過熱保護機能付きFETは、例えば負荷が短絡などした場合、オン動作させるオン信号(例えばハイレベル)を受けたときに過電流が流れて過熱状態となりゲートへの入力を遮断する遮断動作を行う。しかし、その後間もなく到来する次のオン信号の出力タイミングで遮断動作が解除され、再びドレイン−ソース間に過電流が流れFETの温度が上昇することとなる。この構成の場合、負荷に短絡等が生じた状態で、オンオフ制御信号の出力が依然として続くと、過熱保護機能付きFETはオン信号が出力される毎に遮断動作とその解除を繰り返すこととなる。しかしながら、このような過熱保護機能付きFETは、素子の構造上、遮断動作回数に限界があるため、上記のように負荷の短絡等が生じた状態でオンオフ制御信号が長時間続くと、遮断動作回数が許容回数を超え、FETが破壊されてしまうといった問題がある。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、パルス列状の制御信号に基づく半導体素子のオンオフ動作により電力供給の制御を行うことができ、かつ半導体スイッチ素子の破壊を効果的に防ぐことが可能な電力供給制御装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、パルス列状の制御信号に基づいて制御入力端子の電圧レベルを変化させることによりオンオフ動作される半導体素子と、温度検出手段による検出結果に基づいて強制的に前記制御入力端子の電圧レベルを変化させて前記半導体素子の遮断動作を行い、その後、遮断動作から復帰させる過熱保護手段とを有する半導体スイッチ手段を備えて、前記半導体素子をオンオフ動作させることで電源から負荷への電力供給を制御する電力供給制御装置において、前記制御入力端子の電圧レベルを検出する入力レベル検出手段を設け、この入力レベル検出手段によって検出されたレベルが、前記半導体素子の遮断動作が行われる遮断レベルに達したことが検出されたことを条件に、前記制御信号を停止または無効化する保護動作を行うスイッチ保護手段を設け、前記スイッチ保護手段は、前記制御信号を出力する制御手段からなり、前記制御手段は、前記制御信号において前記半導体素子を導通させるオン信号が出力されるオン期間毎に、当該オン期間において、前記オン信号の出力開始から一定期間が経過した後、前記制御入力端子の電圧レベルを複数回確認するよう構成され、前記制御入力端子の電圧レベルが前記複数回にわたり前記遮断レベルに達したことが検出されたオン期間が、所定回数連続することを条件として、前記保護動作を行うことを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1に記載の電力供給制御装置において、前記過熱保護手段が、前記半導体素子に対する前記遮断動作を行った後、前記半導体スイッチ手段に前記制御信号が到来することを条件として、前記半導体素子を前記遮断動作から復帰させるように構成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1または請求項2に記載の電力供給制御装置において、前記スイッチ保護手段が、当該電力供給制御装置の外部に設けられたリセット手段からリセット信号を入力可能に構成されており、かつ前記保護動作を行った後、前記リセット信号が入力されることを条件として前記保護動作の解除を行うように構成されていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力供給制御装置において、前記スイッチ保護手段、前記半導体スイッチ手段、及び前記入力レベル検出手段が、共に同一基板に取り付けられていることを特徴とする。
請求項の発明は、請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力供給制御装置において、前記電源は車両用電源であり、前記負荷は車両用電気部品であることを特徴とする。
<請求項1の発明>
請求項1の構成によれば、過熱保護機能が作動する状態に至ったことを、制御電圧端子の電圧レベルに基づいて確認でき、半導体素子の遮断動作と復帰動作が許容回数以上繰り返される前に、制御信号を停止又は無効化して半導体素子を保護することが可能となる。従って、オンオフ制御信号による電力供給制御を可能としつつ、その一方で、半導体スイッチの破壊を効果的に防ぐことのできる構成となる。
また、請求項1のように、半導体素子の遮断動作が行われたか否か(即ち、過熱保護機能が作動したか否か)を、制御入力端子の電圧レベルに基づいて判断する構成とすると、電源から負荷への電力供給ラインのレベルに基づいて当該遮断動作を判断するような構成と比較して、ノイズの影響がより少なくなるため判断を高精度に行うことができ、かつ、装置構成の小型化、簡素化を図りやすい構成となる。
また、請求項の構成のように、所定回数のオン期間において、連続して制御入力端子のレベルが遮断レベルに達することを条件として保護動作を行うようにすれば、ノイズの影響をより効果的に抑えることができる。
更に、請求項の構成のように、制御入力端子の電圧レベルが複数回にわたり遮断レベルに達したことが検出されたオン期間が、所定回数連続することを条件として保護動作を行うようにすれば、各オン期間毎にノイズによる影響を除くことができるため、より一層ノイズの影響を考慮した精度高い判断が可能となり、異常状態をより正確に判別できることとなる。
<請求項の発明>
請求項の構成のように、半導体素子に対する遮断動作が行った後、半導体スイッチ手段に制御信号が到来することを条件として、半導体素子を遮断動作から復帰させるように過熱保護手段を構成すると、オン信号に基づいて遮断動作を簡単に解除できることとなるが、このような構成の場合、過熱が解消されない状態(例えば、短絡等の起因する大電流状態)が続くと、制御信号に基づく信号が半導体スイッチ手段に供給され続けている間、過熱保護手段による遮断動作が行われても、オン信号が到来する度に解除されることとなり、短時間の間に遮断動作及び解除動作が繰り返されてしまう。しかしながら、請求項の構成では、このように短時間のうちに遮断と解除が繰り返されやすい構成のものに、制御信号を停止または無効化する保護動作を行うスイッチ保護手段を設けており、保護が極めて効果的に行われることとなる。
<請求項の発明>
請求項の構成によれば、スイッチ保護手段によって制御信号の停止或いは無効化がなされた場合であっても、当該電力供給制御装置の外部から独立してリセットを行うことができる。即ち、一旦、制御信号の停止或いは無効化がなされた場合には、当該電力供給制御装置の内部動作に起因して復帰せずに、外部からのリセット信号に基づいて復帰することとなるため、当該電力供給制御装置の内部動作に拘わらず制御信号の停止状態又は無効化状態を確実に維持することができ、その一方で、外部から独立して容易に復帰できることとなる。
<請求項の発明>
請求項の構成によれば、スイッチ保護手段、半導体スイッチ手段、及び入力レベル検出手段を、共に同一基板に取り付けており、装置構成の簡素化が図られる。特に、本構成では、制御入力端子の電圧レベルを検出するように入力レベル検出手段を構成しているため、入力レベル検出手段については、小型化、簡素化を図りやすく、基板に好適に取り付けることができるようになっており、ひいては、スイッチ保護手段、半導体スイッチ手段、入力レベル検出手段、及び基板全体の小型化、簡素化が図られることとなる。
<請求項の発明>
請求項の構成のように、車両用電源から車両用電気部品に電力を供給する構成の場合、負荷(即ち車両用電気部品)への電力供給ラインは車両用電源の影響から電圧変動が生じやすくなる。このため、仮に、電力供給ラインのレベル変化に基づいて半導体素子の遮断動作を判断する構成とすると、電圧変動の影響により正確な判断が阻害されることが懸念されるが、本構成では、負荷への電力供給ラインと比較して電源の影響を受けにくい入力ライン(即ち、制御入力端子への信号供給ライン)の電圧レベルを検出して半導体素子の遮断動作を判断しているため、構成を簡素化しつつ、遮断動作の判断を精度高く安定して行うことができる。
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4を参照しつつ説明する。
本実施形態の電力供給制御装置10は、パルス状の制御信号としてのPWM(Pulse Width Modulation。パルス幅変調)制御信号S1(以下、単に制御信号S1ともいう)を、半導体スイッチ手段に相当するサーマルFET11の入力に与えてオンオフ動作させることでこのサーマルFET11の出力側に連なる車両用電源30(以下、単に電源30とも称する)から負荷31への電力供給をPWM制御するように構成されている。なお、本実施形態では、電力供給制御装置10は図示しない車両に搭載され、負荷31として例えば車両用のランプ、パワーウインドウ用駆動モータやワイパー用駆動モータなどの駆動制御をするために使用される。
(1)全体構成
図1には、電力供給制御装置10のハードウエア構成が示されている。同図に示すように、電力供給制御装置10は、マイコン12と、FET駆動回路13と、上記サーマルFET11と、レベル変換回路40とを備えて構成されている。
マイコン12はCPUとして、或いはCPUを備えて構成されており、PWM制御信号S1を内部生成或いは図示しない外部信号源から取り込んでFET駆動回路13に与える。なお、マイコン12は、特許請求の範囲でいうスイッチ保護手段に相当しており、スイッチ保護手段としての具体的機能については後述する。
FET駆動回路13は、マイコン12からのPWM制御信号S1を昇圧(増幅)するための昇圧回路15を備えた構成をなし、ここで昇圧されたPWM制御信号S1’は、例えば抵抗R2を介してサーマルFET11に備えられたFET(電界効果トランジスタ。本実施形態ではnチャネル型FET。)20のゲート端子Gに与えられる。なお、このゲート端子Gは、特許請求の範囲でいう制御入力端子に相当する。
レベル変換回路40は入力レベル検出手段50の要部をなし、制御入力端子たるゲート端子Gの電圧レベルを間接的に検出し、レベル変換してマイコン12に与えるように構成されている。このレベル変換回路40は、入力側がFET20のゲート端子GとFET駆動回路13との接続点に接続され、FET20のゲート端子Gに印加されるゲート電圧に対応したレベルの測定信号S2をマイコン12に与える構成となっている。具体的には、抵抗R2,R3,R4の値に基づいてゲート端子Gの電圧レベルに対応した電圧レベルがレベル変換回路40に入力されるようになっており、さらに、このレベル変換回路40にてマイコン12で入力可能なレベルに変換されるようになっている。レベル変換回路40からは、ゲート端子Gの電圧レベルに対応した低電圧信号がマイコン12に入力されることとなる。なお、サーマルFET11においてゲート端子Gと入力端子Pの間には、保護用の抵抗R2が介在しており、レベル変換回路40は、抵抗R2とFET駆動回路13の間の接続点に接続されている。
(2)サーマルFETの内部構成
図2に示すように、本実施形態のサーマルFET11は、過熱保護手段に相当する過熱保護回路42を有しており、上記、FET20と、過熱保護回路42の要部を構成する、温度センサ21、制御回路22、スイッチ23、リセット回路24とを備えて構成されている。このうちFET20は、ゲート端子Gに入力されるPWM制御信号S1’に応じてオンオフ動作し、電源30から負荷31に対する電力供給量を制御するように構成される。過熱保護回路42は、温度検出センサ21による検出結果に基づいて強制的にゲート端子Gの電圧レベルVGを変化させてFET20の遮断動作を行い、その後、所定条件の成立に応じてFET20を遮断動作から復帰させるように構成されている。
温度センサ21は、FET20のチャネル温度を検出し、この検出温度に対応する温度検出信号S3を出力する。
制御回路22は、温度センサ21が出力する温度検出信号S3を受けて、検出温度が所定の温度以上である場合に、スイッチ23に駆動信号S4を与えて閉動作させる。なお、制御回路22はラッチ回路を備え、この遮断状態を保持する機能を有しており、温度センサ21での検出温度が所定の温度よりも低下しても、引き続きスイッチ23をオン状態に保持するような駆動信号S4を出力する。
スイッチ23は、FET20のゲート端子Gとソース端子Sとの間に接続されており、上記制御回路22からの駆動信号S4が入力端子に入力されるように構成されている。そして、スイッチ23は、制御回路22から駆動信号S4を受けていないときは開状態となりPWM制御信号S1’をFET20のゲート端子Gに供給可能とする一方で、駆動信号S4を受けたときには閉動作してPWM制御信号S1’のゲートへの入力を遮断する。以下、この動作・状態を遮断動作・状態という。
過熱保護回路では42では、FET20に対する遮断動作(即ちスイッチ23のオン動作)が行われた後、PWM制御信号S1’(即ち、PWM制御信号S1の増幅信号)におけるFET20を導通させるオン信号(Hレベル信号)が当該サーマルFET11に到来することを条件として、FET20を遮断動作から復帰させるように構成されている。具体的には、リセット回路24が、PWM制御信号S1’のオン信号(具体的には立ち上がり電圧)を検知する毎に、解除信号S5を制御回路22に与えて上記遮断状態を解除するように構成されている。
より詳しくは、制御回路22はラッチ回路を有しており、温度センサ21での検出温度が所定の温度よりも低下した場合には、ラッチ回路に保持信号が入力され、ラッチ回路はその入力を保持する。制御回路22では、ラッチ回路の保持状態が続いている間は、駆動信号S4を出力し続ける。このラッチ回路での保持(即ち、遮断状態の維持)は、その後、リセット回路24から解除信号S5が入力されるまで続き、解除信号S5が入力されると、ラッチ回路での保持が解除され、駆動信号S4の出力が停止する。これに伴い、スイッチ23の駆動動作が解除されることとなる(即ち、過熱保護回路42によるFET20の遮断動作が解除されることとなる)。
以上のような構成により、電力供給制御装置10は、マイコン12からの出力S1に基づくPWM制御信号S1’をサーマルFET11に与えてオンオフ動作させ、電源30から負荷31への電力供給をPWM制御を実行する。その一方で、サーマルFET11は、例えば負荷31の短絡等によって電源30、負荷31に連なる電力供給ラインに過電流が流れ所定の温度以上になったときにゲート端子GへのPWM制御信号S1’の入力を遮断する過熱保護機能を動作させる。
(3)スイッチ保護動作
次に、スイッチ保護動作について、図3及び図4を用いて説明する。
図3を参照して説明する。なお、図3において、符号VMはマイコン12から出力されるPWM制御信号S1の電圧レベルを示しており、VPは入力端子Pの電圧レベルを示すものである。また、VGはFET20のゲート端子Gのゲート電圧レベルを示し、VSはFET20のソース電圧レベルを示している。
(a)制御概要
図1に示すように、本実施形態の電力供給制御装置10では、過電流状態となった後で、ハイローレベル(オンオフレベル)を交互に繰り返すPWM制御信号S1’をサーマルFET11にそのまま継続的に与えると、サーマルFET11は、図2に示す温度センサ21、制御回路22及びスイッチ23による遮断動作と、その後のオン信号の立ち上がりに基づくリセット回路24、制御回路22による解除動作とをPWM制御信号S1のパルス毎(即ちオン信号毎)に繰り返し実行し、最終的に破壊されてしまうおそれがある。そこで、本実施形態では、上述したようにゲート端子Gの電圧レベルを間接的に検出する入力レベル検出手段50を設け、この入力レベル検出手段50によって検出されたレベルが、FET20の遮断動作が行われる遮断レベルに達したことが検出されたことを条件に、マイコン12からの制御信号S1を停止する保護動作を行うようにしている。
具体的には、図3に示すように、マイコン12から出力されるPWM制御信号S1においてFET20を導通させるオン信号(ハイレベル信号)が出力されるオン期間T1毎に、ゲート端子Gのレベルの確認を行い、所定回数のオン期間T1において、連続してゲート端子Gのレベルが遮断レベルに達することを条件として、マイコン12にてPWM制御信号S1の出力を停止する保護動作を行うように構成されている。具体的には、入力端子PのレベルVPがゲート端子GのレベルVGに対応しているため(即ち、図1に示すように、ゲート端子GのレベルVGに対し、抵抗R2を加味したレベルが入力端子PのレベルVPに相当しているため)、入力レベル検出手段50は、入力端子PのレベルVPを確認をすることによりゲート端子GのレベルVGを間接的に検出している。マイコン12は、この入力端子PのレベルVPが、遮断レベルVX(ゲート端子Gの遮断動作に対応したレベル)に達した場合(即ちVXを下回った場合)に、ゲート端子GのレベルVGが遮断レベルに達したものとみなし、PWM制御信号S1の出力を停止するようにしている。
また、図3において、「検出」の部分の矢印にて説明されるように、マイコン12では、各オン期間T1において、オン信号(ハイレベル信号)の出力開始から一定期間T2が経過した後、ゲート電圧Gの電圧レベルVGを複数回確認(詳しくは、入力端子Pの電圧レベルVPを複数回(図3では3回)確認)している。そして、ゲート端子Gの電圧レベルVGが複数回にわたり遮断レベルに達したことが検出されたオン期間T1(即ち、入力端子VPの電圧レベルVGが複数回にわたり遮断レベルVXを下回ったことが検出されたオン期間)が、所定回数(本実施形態では5回)連続することを条件として、保護動作(即ちPWM制御信号S1の出力をローレベルにする停止動作)を行うようにしている。図3の例では、第2番目のオン信号から第6番目のオン信号まで、連続してレベルVPが遮断レベルVXを下回っており、第6番目のオン信号でのレベルVPの検出後にPWM制御信号S1を停止させることとなる。
(b)制御の流れ
次に、負荷31の短絡等によってサーマルFET11に過電流が流れた場合の動作について図4に示すフローチャートを参照しつつ説明する。マイコン12は、ステップS1でPWM制御信号S1の出力を開始し、その後、パルスカウントPを初期化し(S2)、上記検出タイミングが来るのを待つ。本実施形態での検出タイミングは、図3に示すように、例えばPWM制御信号S1の電圧レベルVMの立ち上がりタイミングを基準として一定時間T2経ったときとしている。
そして、検出タイミングが到来したとき(S3で「Y」)に、S4で、PWM制御信号S1の1つのパルスに対し、ゲート電圧GのレベルVGと遮断レベルとの比較動作(具体的には、入力端子Pの電圧レベルVPと遮断レベルVXとの比較動作)を時間T3内において所定時間間隔で複数回(本実施形態では3回)繰り返し実行する。そして、入力端子Pの電圧レベルVPが遮断レベルVXを下回る比較結果が所定回数(ここでは3回)あった場合(S5で「Y」)には、S6において、マイコン12は、パルスカウントPが5回未満か否かを確認する。パルスカウントPが5回に到達していない場合には、S6においてNに進み、パルスカウントPに1加算して(S7)再び上記S3〜S5の処理を繰り返し実行する。なお、S5において、入力端子Pの電圧レベルVPが3回のうち1回でも遮断レベルVX以上となった場合には、遮断動作が働いていないものとみなし、S5においてNに進む。
そして、パルスカウントPが所定の回数(例えば5回)になったときに(S7で「Y」)、PWM制御信号S1の電圧レベルVMをオフレベルに保持してPWM制御を停止させる(S8)。例えば、図3の例では、過電流状態となって、PWM制御信号S1の2パルス目からサーマルFET11の過熱保護機能による遮断動作が実行され、それ以降の検出タイミングでゲート電圧VGが遮断レベルを下回り、対応して入力端子PのレベルVPが遮断レベルVXを下回っている。この下回る回数が5パルス連続した後の6パルス目で初めて上記PWM制御の停止動作が実行されることとなる。
このように、制御信号S1の連続する複数のパルスにおいて所定回数遮断動作が確認された場合に、PWM制御信号S1の出力停止を行うようにしているため、単発的なノイズなどによる一時的な過電流状態による影響を排除できるようにしている。
更に、本実施形態に係る電力供給制御装置10では、スイッチ保護手段たるマイコン12に、電力供給制御装置10の外部に設けられた図示しないリセット手段からリセット信号が入力されるように構成されており、PWM制御信号S1を停止する保護動作を行った後、リセット信号が入力されることを条件として保護動作の解除が行われるようになっている。具体的には、IGのON信号及びDRLの切替信号(オンからオフへの切替信号、或いはオフからオンへの切替信号)のいずれか又は両方をリセット信号としている。
このように構成されているため、マイコン12によって制御信号S1の停止或いは無効化がなされた場合であっても、電力供給制御装置10の外部から独立してリセットを行うことができる。即ち、一旦、制御信号S1の停止或いは無効化がなされた場合には、電力供給制御装置10の内部動作に起因して復帰せずに、外部からのリセット信号に基づいて復帰することとなるため、電力供給制御装置10の内部動作に拘わらず制御信号S1の停止状態又は無効化状態を確実に維持することができ、その一方で、外部から独立して容易に復帰できることとなる。
また、本実施形態に係る電力供給制御装置10では、スイッチ保護手段たるマイコン12と、半導体スイッチ手段たるサーマルFET11と、入力レベル検出手段50とが、共に同一基板に取り付けられている。このように、スイッチ保護手段、半導体スイッチ手段、及び入力レベル検出手段を、共に同一基板に取り付けるようにすれば、装置全体構成の小型化、簡素化が図られる。特に、本構成では、ゲート端子Gの電圧レベルVGを検出するように入力レベル検出手段50を構成しているため、入力レベル検出手段50については、小型化、簡素化を図りやすく、基板に好適に取り付けることができるようになっており、ひいては、マイコン12、サーマルFET11、入力レベル検出手段50、及び基板全体の小型化、簡素化を図りやすい構成となっている。
なお、本実施形態のように、車両用電源30から車両用電気部品たる負荷31に電力を供給する構成の場合、負荷31への電力供給ラインは車両用電源30の影響から電圧変動が生じやすくなる。このため、仮に、電力供給ラインのレベル変化に基づいてFET20の遮断動作を判断する構成とすると、電圧変動の影響により正確な判断が阻害されることが懸念されるが、本構成では、負荷31への電力供給ラインと比較して電源30の影響を受けにくい入力ライン(即ち、ゲート端子Gへの信号供給ライン)の電圧レベルを検出してFET20の遮断動作を判断しているため、構成を簡素化しつつ、遮断動作の判断を精度高く安定して行うことができるようになっている。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)本実施形態では、制御信号としてPWM制御信号S1としたが、これに限らず、ハイローレベルを交互に繰り返す信号であれば、パルス幅変調されない他のパルス信号や三角波信号などであってもよい。
(2)上記実施形態では、半導体スイッチとしてnチャネル型FETを備えたものとしたが、これに限らず、pチャネル型FETであってもよい。また、電界効果トランジスタに限らず、バイポーラトランジスタであってもよい。
(3)上記実施形態では、入力レベル検出手段50によって検出されたレベルが、FET20の遮断動作が行われる遮断レベルに達したことが検出されたことを条件に、マイコン12にて制御信号S1を停止する保護動作を行っていたが、このようにせずに、制御信号S1を無効化するようにスイッチ保護手段を構成してもよい。例えば、入力レベル検出手段50によって検出されたレベルが、FET20の遮断動作が行われる遮断レベルに達したことが検出された場合に、マイコン12から出力される制御信号がサーマルFET11に到達しないように構成してもよい。例えば、サーマルFET11とマイコン12の間のいずれかの部分に、スイッチ23と同様のスイッチを設け、遮断レベルに達した場合に、サーマルFET11とマイコン12の間のいずれかの部分を接地レベルに維持して、制御信号S1或いはS1'無効化する構成などとしてもよい。
本発明の実施形態1に係る電力供給制御装置のハードウエア構成を概念的に示す概念図 サーマルFETの内部構成を概念的に示す概念図 制御信号S1、入力端子電圧VP、ゲート電圧VG、ソース電圧VSの電圧レベル変化等を示すタイムチャート マイコン12の制御内容を示すフローチャート
符号の説明
10…電力供給制御装置
11…サーマルFET(半導体スイッチ手段)
12…マイコン(スイッチ保護手段、制御手段)
20…FET(半導体素子)
21…温度センサ(温度検出手段)
30…車両用電源
31…負荷
42…過熱保護回路(過熱保護手段)
50…入力レベル検出手段
G…ゲート端子(制御入力端子)
S1…PWM制御信号(制御信号)
T1…オン期間
T2…オン信号の出力開始からの一定期間

Claims (5)

  1. パルス列状の制御信号に基づいて制御入力端子の電圧レベルを変化させることによりオンオフ動作される半導体素子と、温度検出手段による検出結果に基づいて強制的に前記制御入力端子の電圧レベルを変化させて前記半導体素子の遮断動作を行い、その後、遮断動作から復帰させる過熱保護手段とを有する半導体スイッチ手段を備えて、前記半導体素子をオンオフ動作させることで電源から負荷への電力供給を制御する電力供給制御装置において、
    前記制御入力端子の電圧レベルを検出する入力レベル検出手段を設け、この入力レベル検出手段によって検出されたレベルが、前記半導体素子の遮断動作が行われる遮断レベルに達したことが検出されたことを条件に、前記制御信号を停止または無効化する保護動作を行うスイッチ保護手段を設け
    前記スイッチ保護手段は、前記制御信号を出力する制御手段からなり、
    前記制御手段は、前記制御信号において前記半導体素子を導通させるオン信号が出力されるオン期間毎に、当該オン期間において、前記オン信号の出力開始から一定期間が経過した後、前記制御入力端子の電圧レベルを複数回確認するよう構成され、前記制御入力端子の電圧レベルが前記複数回にわたり前記遮断レベルに達したことが検出されたオン期間が、所定回数連続することを条件として、前記保護動作を行うことを特徴とする電力供給制御装置。
  2. 前記過熱保護手段は、前記半導体素子に対する前記遮断動作が行われた後、前記制御信号における前記半導体素子を導通させるオン信号が前記半導体スイッチ手段に到来することを条件として、前記半導体素子を前記遮断動作から復帰させるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電力供給制御装置。
  3. 前記スイッチ保護手段は、当該電力供給制御装置の外部に設けられたリセット手段からリセット信号を入力可能に構成されており、前記保護動作を行った後、前記リセット信号が入力されることを条件として前記保護動作の解除を行うことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電力供給制御装置。
  4. 前記スイッチ保護手段、前記半導体スイッチ手段、及び前記入力レベル検出手段が、共に同一基板に取り付けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力供給制御装置。
  5. 前記電源は車両用電源であり、前記負荷は車両用電気部品であることを特徴とする請求項1ないし請求項のいずれかに記載の電力供給制御装置。
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