JP4456251B2 - 厨房家具の収納構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、システムキッチンや流し台などの厨房家具の収納構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近時のシステムキッチンや流し台の収納構造としては、特開2000−236964や意匠登録第1078135号公報等に示すようにシンク下やコンロ下のキャビネットに大型の引き出しを多段に配して収納する構造が普及している。
図13はキャビネットに物品を収納した状態を示すもので、通常上段には使用頻度の多い物品を収納し、下段には使用頻度の少ない物品を収納することが想定されている。しかし、下段の引き出しの高さでは深型の大鍋や買い置き保存するペットボトルなどは、使用頻度が低くても上段引き出しに収納せざるを得ないものとなり、この状態では深型の大鍋は取り出しにくく使い勝手が悪かった。
【0003】
また、図14のように大型引き出しの内部に別途トレイに近い内引き出しを設けて小物を収納する構造もある。しかし、この内引き出しははじめに大型引き出しを引き出し、その後内引き出しを引き出すいわゆる二段モーションとなり使い勝手が必ずしも良くなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、以上のような従来構造の問題点に鑑み、キャビネット内の収納量を高めること、物品の使用頻度と大きさによって合理的且つ使い勝手良く収納できること、更に、内引き出しをワンモーションで引き出して使用できる引き出し式の収納構造を提供しようとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため請求項1の発明の要旨とするのは、縦長の主引き出しを備えた厨房家具であって、主引き出しの上部内に別途設置高さを予め可変とした内引き出しを設け、主引き出しと内引き出しの前板間に可変とした夫々の高さに対応できる一の掛止手段を設けて同時或いは主引き出しのみを引き出すことを可能としたことを特徴とするものである。
請求項2の発明は、最下段を主引き出しとした複数段の引き出しを備え、主引き出しの上部内に別途内引き出しを設けた厨房家具の収納構造である。
請求項3の発明は、掛止手段の操作部を主引き出し前板の把手或いは主引き出しの上部に設けたことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、主引き出しの裏面或いは内引き出しの前面の少なくとも一方に掛止手段を避けた弾性体を設け、掛止手段にて主引き出しと内引き出しを一体としたときに弾性体を介して主引き出しと内引き出しの前板同士が密着するようにしたことを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明に係る収納構造を採用した複合厨房家具1の正面から見た斜視図である。この複合厨房家具1は、それぞれ単体としての厨房家具である左よりコンロキャビネット2、調理台キャビネット3、シンクキャビネット4及び調理台キャビネト5を並列させ、コンロ6及びシンク7を組み込んだテーブルトップ8を被せて構成したものである。
コンロキャビネット2では単に二段の引き出しを備えるようにしている。
調理台キャビネット3は全体として三段の引き出しを、シンクキャビネット4は前幕板9を備えるので二段の引き出しを備え、調理台キャビネット5では二段の引き出しを備えるようにしている。
各キャビネット2、3、4、5では収納スペースを広くすべく蹴込の奥を含んだ下段の引き出しを備えるようにしてあるが、この発明に係る収納構造は、調理台キャビネット3、5及びシンクキャビネット4に採用している。すなわち、夫々の下段に縦長の主引き出し10を設けるようにしてある。
【0007】
主引き出し10のスペースの上部内に別途内引き出し11を設け、主引き出し10と内引き出し11の夫々の前板12、13間に掛止手段14を設けて、主引き出し10と内引き出し11を同時(図2参照)或いは主引き出し10のみを引き出す(図3)ことを可能とするようにしてある。
内引き出し11は図4及び図5の鎖線で示すように三段階に設置高さが選択できるようにしてある。
【0008】
次に、掛止手段14及び内引き出し11の高さ調整の具体的な手段について図6乃至図9によって説明する。
主引き出し10の把手15は前板12上部で挟み込みかつ上部に断面ほぼJ形となる手掛けを形成したアルミニウムの押出成形品からなり、前板12と一体になるよう取り付けてある。
掛止手段14は、主引き出し10の前板12と内引き出し11の前板13に跨がるもので、この実施の形態では把手15の中央に先端を下向きの傾斜面とした操作部としての押しボタン141、押しボタン141の先端を受け入れる箱形金具142、箱形金具142に下から挿入して押しボタン141の傾斜面を受け入れる窓穴143を備えた上下動するベース金具144、ベース金具144を下方に付勢する一端を主引き出し10の前板12裏面に固定する引っ張りバネ145及びベース金具144に取り付け内引き出し11の前板13の内側に掛け止める爪片146を備えた掛止金具147からなるものである。
爪片146は常態では下向きとなる直角の当接面を備え、反対には傾斜面となるようにし、図示しないバネにより当接面が直角となるように付勢しかつ当接面が手前側にのみ倒伏自在としてある(図7矢印参照)。
掛止金具147の取り付け位置を変えられるように三箇所のビス穴144aをベース金具144に設けるようにしてある。
【0009】
主引き出し10裏面の掛止手段14のベース金具144を覆う断面ハット型の金属ケース16を設けて内引き出し11がベース金具144に衝突しないように構成し、この金属ケース16或いは内引き出し11の前板13前面の金属ケース16に対応する箇所にゴムや合成樹脂製などの緩衝体17を介して当接させるようにして衝突音を減衰させるとともに内引き出し11が反発して離反しないようにしてある(図5乃至図7参照)。
なお、緩衝体17は図8に示すように、掛止手段14のベース金具144から離れた箇所で主引き出し10の前板12裏面の左右に取り付け配置するようにしても良い。さらには、緩衝体17を内引き出し11の前板13の前面に設けたり、主引き出し10と内引き出し11のそれぞれの前板12、13に対向するように配置することもできる。
【0010】
常態では図5、図6に示すように、ベース金具144が下降して、押しボタン141の傾斜面の先端部が窓穴143の上縁部に掛かっており、掛止金具147の爪片146が内引き出し11の前板13内縁に掛かっているので、主引き出し10を引くと同時に内引き出し11が引き出されることになる。
使用者が、主引き出し10に納められた物品を取り出したい場合には、押しボタン141を押して把手15を引くようにする。押しボタン141を押すとその先端の傾斜面がベース金具144の窓穴143内に入り込みベース金具144を上昇させることになり、掛止金具147も上昇して内引き出し11の前板13内縁に掛かっている爪片146が離れることになる。そこで、主引き出し10のみ引き出され、内引き出し11は残ることになる。
【0011】
内引き出し11の高さを使用者の選択に応じて簡単に変更することができるようにするため、調理台キャビネット3、5及びシンクキャビネット4の側板に予めビス穴18を穿っておき掛止金具147のビス穴144aに対応させるようにする。ビス穴18に代えて鬼目ナットを埋め込むようにしても良い。
図10はビスにて取り付ける引き出し用のスライドレール19を示す断面図である。
【0012】
図11は、主引き出し10と内引き出し11への掛止手段14の別の実施の形態を示す概略平面図である。
主引き出し10の前板12の前面上部に押しボタン20を設け、前板12の裏面に押しボタン20の先端が入るケース21を設け、押しボタン20の先端を傾斜面とし、ケース21内に同じく斜面にて接触する従動体(図示せず)を内装し、この従動体に鉤片22を設け、一方、内引き出し11の前板13の上端には鉤片22を受け入れる突起を備えた被掛止金具23を設けるようにしている。ケース21内には直角方向への変向機構を設けるようにするものといえる。
そして、常態では鉤片22が被掛止金具23を抱持することで主引き出し10を引き出すと同時に内引き出し11も引き出され、主引き出し10のみを引き出すときは、押しボタン20を押すことで鉤片22が被掛止金具23から離れ内引き出し11はキャビネット内にとどまった儘主引き出し10のみが引き出されることになる。なおバネなどの弾性手段により常態へ付勢するようにしておくことが望ましい。
【0013】
図12は、主引き出し10と内引き出し11への掛止手段14のさらに別の実施の形態を示す概略平面図である。
図11の実施の形態との違いは押しボタン20の押圧を鉤片22の揺動とするもので、鉤片22を支点をもって取り付けるようにし、押圧することで被掛止金具23より外すようにすれば足りるので詳細な説明は省略する。
掛止手段14については、主引き出し10と内引き出し11を常態では繋げ、主引き出し10の前面より操作することで主引き出し10と内引き出し11を外すようにすることができれば良いものである。
実施の形態においては、押しボタンによるものを示したが、例えばコ字状の把手そのものをボタンとしたり、スライド自在として繋げたり外したりする構造とすることもできる。
これまでの実施の形態では複数段の引き出しとして下段に主引き出し10を設けるようにしたものが、キャビネットに一の引き出しのみを設けて主引き出し10としても良い。
この発明に係る収納構造は、台所に設置される厨房家具に限らず、一般的な収納家具についても採用することが可能である。
【0014】
【発明の効果】
請求項1の発明では、縦長の主引き出しを備えた厨房家具で、主引き出しの上部内に別途内引き出しを設け、主引き出しと内引き出しの前板間に掛止手段を設けて同時或いは主引き出しのみを引き出すことを可能としたので、使用頻度の高いものは内引き出しに入れてもワンモーションで簡単に引き出すことができるので、使い勝手のよい内引き出しを有効に活用できるのである。また外観上は一の引き出しとしても複数段の引き出しとなるものである。
加えて、内引き出しの設置高さを予め可変とし、その可変とした夫々の高さに対応できる一の掛止手段を主引き出し及び内引き出しの前板に設けるようにしたので、使用者の生活習慣に合わせた収納プランを予め選択できると共に、設置後に内引き出しの高さを簡単に変更することも可能となるのである。
請求項2の発明では、最下段を主引き出しとした複数段の引き出しを備え、主引き出しの上部内に別途内引き出しを設けたので、上部の引き出しの使い勝手を生かしながら、中段の引き出しを備えることになるのである。
【0015】
請求項3の発明は、掛止手段の操作部を主引き出し前板の把手或いは主引き出しの上部に設けるようにしたので、操作が簡単となるのである。
請求項4の発明は、主引き出しの裏面或いは内引き出しの前面に掛止手段を避けた弾性体を設け、掛止手段にて主引き出しと内引き出しを一体としたときに弾性体を介して主引き出しと内引き出しの前板同士が密着するようにしたので、主引き出しと内引き出しを同時に引き出すときの動きがスムースで、衝突音も発生しないことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る収納構造を採用した複合厨房家具の正面から見た斜視図である。
【図2】 主引き出しと内引き出しと同時引き出す状態の概略図である。
【図3】 主引き出しのみを引き出している状態の概略図である。
【図4】 この発明に係る収納構造での収納状態の概略図である。
【図5】 この発明に係る収納構造の概略断面図である。
【図6】 常態での掛止手段を示す側面図である。
【図7】 主引き出しのみを引き出す場合の側面図である。
【図8】 緩衝体の取り付け配置の別の実施形態を示す要部断面図である。
【図9】 押しボタンとベース金具を示す斜視図である。
【図10】 引き出しのスライドレールを示す要部断面図である。
【図11】 掛止手段の別の実施形態を示す要部平面図である。
【図12】 さらに別の掛止手段の実施形態を示す要部平面図である。
【図13】 従来の収納構造を示す概略断面図である。
【図14】 従来の内引き出しを設けた収納構造の斜視図である。
【符号の説明】
1 複合厨房家具
2 コンロキャビネット
3、5 調理台キャビネット
4 シンクキャビネット
6 コンロ
7 シンク
8 テーブルトップ
9 前幕板
10 主引き出し
11 内引き出し
12、13 前板
14 掛止手段
16 金属ケース
17 緩衝体
18 ビス穴
19 スライドレール
Claims (4)
- 縦長の主引き出しを備えた厨房家具であって、主引き出しの上部内に別途設置高さを予め可変とした内引き出しを設け、主引き出しと内引き出しの前板間に可変とした夫々の高さに対応できる一の掛止手段を設けて同時或いは主引き出しのみを引き出すことを可能としたことを特徴とする厨房家具の収納構造。
- 最下段を主引き出しとした複数段の引き出しを備え、主引き出しの上部内に別途内引き出しを設けたことを特徴とする請求項1記載の厨房家具の収納構造。
- 掛止手段の操作部を主引き出し前板の把手或いは主引き出しの上部に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載の厨房家具の収納構造。
- 主引き出しの裏面或いは内引き出しの前面の少なくとも一方に掛止手段を避けた弾性体を設け、掛止手段にて主引き出しと内引き出しを一体としたときに弾性体を介して主引き出しと内引き出しの前板同士が密着するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の厨房家具の収納構造。
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