JP4455861B2 - 医薬品容器用ゴム栓およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、注射剤容器等に使用される医薬用ゴム栓およびその製造方法に関する。更に詳細には、成型機を用いて架橋剤を含むゴム組成物原料を攪拌・混合し同時にゴム分の加硫反応を起こさせる動的架橋をするのではなく、架橋剤を一切用いないで電子線により静的に架橋されたブチル系ゴム組成物から成形された、極めて化学的清浄度が高く、特に小容量の注射剤容器に用いられるブチルゴム製の医薬品容器用ゴム栓およびその製造方法に関する。
従来より注射剤容器のゴム栓等の医薬品容器用ゴム栓(以下、医薬用ゴム栓という)を製造するためのゴム組成物には各種合成ゴムが主材料として用いられ、その粘弾性の違いによってイソブチレン系共重合体であるブチル系ゴム類と、ポリイソプレン系ゴム(IR)やポリブタジエン系ゴム(BR)との2つに大別されるが、特にイソブチレン・イソプレン共重合ゴム(IIR)等に代表される前者のイソブチレン系共重合体であるブチルゴム類は、その優れた耐気体透過性や防湿性を生かし医薬用ゴム栓として推奨され、実用化されている。
ところでこれらブチルゴム類を用いてゴム栓を製造する場合、その素材として使用するゴム組成物の製造にあたって必ず使用しなければならないゴム用添加剤として架橋剤(または加硫剤、以下単に架橋剤ともいう)や架橋助剤があり、例えば架橋剤として有機過酸化物を用いた場合においてさえも架橋剤の分解物や二次反応物が架橋ゴム中に残留し、ゴム栓の各処理工程を経ても残留していて、これを医薬用として用いたゴム栓の内部にも残留している。特にブチルゴムの場合は製造工程中においてこれら架橋剤や架橋助剤が極めて拡散、溶出、揮散され難く、長時間を経て系外へ揮発、浸出してくるため、長期間にわたって高い化学清浄度が要求される医薬用ゴム栓用として好ましくないという問題点を有している。
これらブチル系ゴム中の架橋剤の溶出や揮散を防ぐ方法として、ブチル系ゴム製のゴム栓表面に、薬剤と接する面をブチル系ゴム以外の合成ゴムで積層した二層ゴム栓や吸着剤混合層を設けた二層ゴム栓とする方法(特許文献1等参照)、ゴム栓の表面にフッ素樹脂、ポリプロピレンなどの薄膜を積層する方法(特許文献2等参照)等、従来から多数の提案がある。また、医薬用ゴム栓に適したゴムの材質に関するもの(特許文献3、4、等参照)や、医薬用ゴム栓の製造条件に関するもの(特許文献5等参照)も多数提案されている。
しかしながら、これら従来から提案されている医薬用ゴム栓として使用されるゴム組成物は、ゴム配合剤として硫黄、有機過酸化物、フェノール樹脂、有機加硫促進剤や酸化亜鉛、酸化マグネシウムなどの各種架橋剤及び架橋助剤を併用したゴム架橋(加硫)物であったり、また、ゴム栓の表面を他の樹脂で被覆する構造であった。
これらの形態は、単にゴム栓外部へ、架橋((加硫)ゴム中の前述の各種ゴム配合剤やその分解物、さらには二次反応生成物の拡散、揮散を遅延させる効果だけに留まり、通常、常態保存下で3年以上とされている、注射剤の品質保証期間内の保存過程において、また、特に高力価の注射剤の薬剤安定性において、薬剤の変質や力価の低下、水不溶性異物生成等、内容薬剤にとって極めて重大な問題を引き起こす危険性が懸念されており、長期的な薬剤安定性維持の面でその対応が急務とされていた。
架橋(加硫)ゴムが持つ上記の本質的な問題点を解消するため、架橋剤や軟化剤を使用しないゴム弾性体として、熱可塑性ゴム(TPR、熱可塑性エラストマーTPEと同義語)を加硫ゴムの代替材料として用いることが考えられた。しかしながら、これらTPR(TPE)を医薬用ゴムに適用すると、その非架橋型ゆえに、長時間にわたる圧縮応力の負荷によって、非晶部分(ゴム部分)が応力緩和により変形し、注射針抜針時のゴム栓の液漏れや、ゴム栓と注射剤容器との圧接界面の密封性低下など、注射剤の容器/ゴム栓からなる密封システムの機能性の面で重大な不具合を生じることになった。
そこで、更にこの問題を解決すべく合成ゴムと熱可塑性樹脂の混合物に、その合成ゴムの種類に適した各種架橋(加硫)剤等を添加した組成物を調製し、架橋温度以上に昇温しながら連続的に混合、架橋(加硫)して合成ゴムの一部分および熱可塑性樹脂の一部を架橋した、動的架橋型TPE、TPR(以下TPVという)が開発されている(特許文献6、7等参照)。架橋(加硫)ゴムの代替材料としてはTPVを用いることにより、応力緩和によるゴム栓の変形に由来する諸問題は大きく軽減あるいは回避されることになった。しかし、何らかの架橋剤を用いる手法であることに変わることはなく、従ってゴム組成物中の化学清浄度は従来の加硫ゴムと大差はなく、未反応の架橋剤やその分解生成物、二次反応物等の注射剤容器内への揮散や薬液中への溶出について、完全な防止は出来ない事情がある。
特公昭63−43104号公報 米国特許第3552591号明細書 特開昭51−50343号公報 特開2002−301133号公報外 特開2001−87351号公報 特開平6−57052号公報 米国特許第6147160号明細書
本発明は、上記の問題点を解消し、加硫ゴムのもつ特性を保持しながら、架橋剤を一切使用しないイソブチレン系共重合体からなる架橋熱可塑性組成物を基材とした極めて高い化学的清浄度を有する医薬用ゴム栓およびその製造方法を提供しようとするものである。
本発明者は、下記の構成を採用することにより前記の課題の解決を可能にした。
(1)イソブチレン系共重合体と、該イソブチレン系共重合体100重量部に対して25〜50重量部の熱可塑性樹脂とを混合し、架橋剤を用いることなく電子線を照射して電子線架橋された熱可塑性ゴム組成物からなる医薬品容器用ゴム栓。
(2)前記イソブチレン系共重合体100重量部に対する前記熱可塑性樹脂の混合割合が25〜33重量部であることを特徴とする前記(1)に記載の医薬品容器用ゴム栓。
(3)前記イソブチレン系共重合体が塩素化ブチルゴムまたは部分架橋ブチルゴムであり、かつ、前記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂であることを特徴とする前記(1)または(2)に記載の医薬品容器用ゴム栓。
(4)前記熱可塑性ゴム組成物の密度が0.95以下である前記(1)〜(3)に記載の医薬品容器用ゴム栓。
(5)前記電子線架橋を施す際の電子線照射線量が吸収線量に換算して100〜200kGyであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の医薬品容器用ゴム栓。
(6)前記電子線照射は前記熱可塑性ゴム組成物の造粒後または該熱可塑性ゴム組成物からなる成形品に対してなされることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の医薬品容器用ゴム栓。
(7)前記ゴム栓がISO8362−2および/またはISO8362−5に規定されるISO規格を満たす、小容量の注射剤容器用のゴム栓または凍結乾燥容器用のゴム栓であることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の医薬品容器用ゴム栓。
(8)少なくともイソブチレン系共重合体と熱可塑性樹脂とを含み、架橋剤を含まない熱可塑性ゴム組成物の原料を混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合物をペレット化する造粒工程と、該造粒工程で得られた前記ペレットをゴム栓に成形する成形工程と、該成形工程で得られた前記ゴム栓に電子線を照射して該ゴム栓を電子線架橋する工程からなることを特徴とする医薬品容器用ゴム栓の製造方法。
(9)少なくともイソブチレン系共重合体と熱可塑性樹脂とを含み、架橋剤を含まない熱可塑性ゴム組成物の原料を混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合物をペレット化する造粒工程と、該造粒工程で得られた前記ペレットに電子線を照射してこれを電子線架橋する工程と、該電子線架橋された前記ペレットをゴム栓に成形する成形工程からなることを特徴とする医薬品容器用ゴム栓の製造方法。
(10)前記熱可塑性ゴム組成物の原料中には軟化剤を含まないことを特徴とする前記(8)または(9)に記載の医薬品容器用ゴム栓の製造方法。
本発明の製造方法により製造された医薬用ゴム栓は、従来のゴム製品や動的架橋タイプのTPEのように架橋剤や架橋助剤を用いていないので、特に、その化学的清浄度が高い。
本発明の医薬用ゴム栓(以下、単にゴム栓ともいう)は、該ゴム栓の素材である架橋剤を含まない熱可塑性ゴム組成物の原材料を混合、加熱して造粒することによって熱可塑性ゴム組成物からなるペレットを製造し、このペレットを溶融して所望の形状に成形したゴム栓に電子線を照射して電子線架橋するか、またはペレット化した架橋剤を含まない熱可塑性ゴム組成物に電子線を照射して電子線架橋した後のペレットを所定の形状に成形することによって製造され、その原材料中に架橋剤を用いることなく、電子線照射によって電子線架橋される点と、主成分として特定割合のイソブチレン共重合体と熱可塑性樹脂とからなる熱可塑性ゴム組成物をその素材としている点に最大の特徴を有する。
本発明のゴム栓の主原材料であるイソブチレン共重合体とは、一般にイソブチレン基97〜99モル%と、イソプレン基1〜3モル%とからなる共重合体を意味し、通常IIRと略されている。IIRの特徴はそのイソブチレン基に由来するところが大きく、不飽和度はおよそ1〜3モル%であり、気体透過性が極めて少なく、濃硫酸、濃塩酸等の強酸、濃NaOH等の強アルカリ、H22等の過酸化物等により侵されることがなく化学的に安定であり、耐熱性や耐酸化性を有する優れたゴムである。本発明のゴム栓の主原材料として使用されるイソブチレン共重合体において、イソブチレン基は下記化1の一般式で示される繰り返し単位で表される。
Figure 0004455861
上記一般式において、nの数は500〜10,000である。IIRは架橋が極めて困難であるため、易架橋性とするために、IIRを溶媒に溶解した後に塩素ガス、又は臭素ガスを通すことにより塩素置換又は臭素置換したイソブチレン・イソプレン共重合体の塩素化物(CIIR)又はイソブチレン・イソプレン共重合体の臭素化物(BIIR)とするか、あるいはイソブチレン・パラメチルスチレン共重合体の臭素化物(BIMS)とするか、そのほかにも、IIRをジビニルベンゼンにより部分架橋したイソブチレン・イソプレン・ジビニルベンゼン三元共重合体(XL−IIR)とすることが知られている。従って、本発明にいうイソブチレン・イソプレン共重合ゴム類としては具体的には上記IIR、BIIR、CIIR及びXL−IIRが挙げられ、以下これらを総称して「IIR類」と言う。
以下にそれぞれIIR類の1つである、IIR、BIIR若しくはCIIR、XL−IIR及び New type BIIRの構造式を示す。
Figure 0004455861
Figure 0004455861
またイソブチレン共重合体としては、イソブチレン−イソプレン共重合体(IIR)やそれらの塩素化物(C−IIR)及び臭素化物(B−IIR)又は臭素化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体(BIMS)を用いることが出来るが、なかんずく耐放射線性に優れたイソブチレン・イソプレン・ジビニルベンゼン三元共重合体(XL−IIR)の使用が最も好ましい。
一方、本発明のゴム栓の他の原材料である熱可塑性樹脂としては、リニアー低密度ポリエチレンや低密度エチレン−αオレフィン共重合体等のポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等をはじめとするオレフィン系熱可塑性樹脂の使用が可能であり、
特に、低密度ポリエチレン(LDPE)、超低密度ポリエチレン(LLDPE)、水素添加型スチレンブロック(SBR)、1.2−シンジオタクチック型ポリブタジエン(熱可塑性ブタジエンゴム)等、電子線の照射によって分解し難く、それ自体の化学的清浄度が高く、耐酸化性、耐熱性に優れていて、軟質、低剛性で低硬度である樹脂がより好ましい。
本発明のゴム栓を製造するには、原材料として上記イソブチレン共重合体と熱可塑性樹脂とを所定量配合して架橋剤を含まない原材料混合物を調製する。原材料として配合されるイソブチレン共重合体と熱可塑性樹脂との混合割合によって得られるゴム栓の化学的、物理的特性を大きく左右するため、本発明のゴム栓を製造する場合原材料の配合割合は特に重要な要素である。
本発明のゴム栓の素材である熱可塑性ゴム組成物は、イソブチレン共重合体100重量部に対して熱可塑性樹脂が25〜50重量部、好ましくは25〜35重量部、さらより好ましくは25〜33重量部となるように配合した混合物が原材料として用いられる。上記原材料混合物中における熱可塑性樹脂の含有割合がイソブチレン共重合体100重量部に対して25重量部より少ないとゴム栓に成形するときの形状安定性が劣り、ゴム栓の変形、圧縮歪量などが大きくなるため医薬品用ゴム栓として好ましくなく、逆に50重量部より多いとポリイソブチレンの気体不透過性、耐熱性、高粘調性、化学的安定性などの特徴がなくなり、ゴム本来の弾性が弱まって、硬度が向上し、耐コアリング性の低下を来すので共に好ましくない。
なお、この原材料混合物、更に必要に応じてその他の配合剤としてシリカ、クレー等の無機系補強剤および/または例えば、調色用として用いられる酸化チタンやカーボンブラックなどを、イソブチレン系共重合体100重量部に対し合計量で0.5〜5重量部添加してもよい。これら無機系補強剤や充填剤、調色剤は多量に使用すると得られるTPVの無意味な硬度上昇を招く結果、これをゴム栓として用いた場合、耐コアリング性(フラグメント発生抑制効果)の低下や、各種の無機イオンの溶出による薬剤汚染をひきおこすことになり好ましくない。また、得られる医薬用ゴム栓の内因性化学的清浄度をより高度に保つためには熱可塑性ゴム組成物を製造する際の原材料として軟化剤を全く用いないようにすることがより好ましい。
所定量の各原材料を配合した原材料配合物はミキシングロール、インテンシブミキサー、ニーダー、二軸押出機などを用いて混合および押出加工を行い、ペレタイザー機で造粒してペレット状の熱可塑性ゴム組成物を得る(造粒工程)。造粒工程により得られた熱可塑性ゴム組成物のペレットは、次いで射出成形機等により所望の形状のゴム栓に成形する(成形工程)。ここで成形されたゴム栓は未だ架橋されていないので、次にこれに電子線を照射して電子線により静的に架橋することによって(架橋工程)、本発明の医薬用ゴム栓を得ることが出来る。
上記成形工程により得られたゴム栓を電子線架橋するために該ゴム栓に照射される電子線は、吸収線量にしておよそ100kGy〜200kGyの照射を行うのが好ましい。
なお、上記のように成形された後のゴム栓に対して電子線照射して電子線架橋を行う製造方法以外に、造粒工程で得られた熱可塑性ゴム組成物からなるペレットに対して予め電子線を照射して、電子線架橋された熱可塑性ゴム組成物からなるペレットを調製した後、これを所望の形状のゴム栓に成形する製造方法を採用してもよい。ただし、造粒工程により得られた架橋されていない熱可塑性ゴム組成物のペレットを用いて所定形状の成形しておいてから、その後に成形品(ゴム栓)に電子線を照射してこれを架橋した方が、非架橋の粘弾性の低い高流動性の組成物を成形することになるので、得られる成形品(ゴム栓)の変形やフロー・マークの発生等が回避され、従って寸法精度をより高め得る点でより好ましい。また、電子線の照射線量の下限値をより高く設定できることにもなり、架橋密度調整の自由度が得られる。架橋のために電子線照射するに際しては、照射線量が多い場合には被照射物(成型品)周辺の雰囲気ガスを窒素ガス等の不活性な気体で充分置換しておくことが望ましい。
このようにして得られた本発明の医療用ゴム栓は、その後表面に付着した異物の除去や脱パイロジェン処理も兼ねて無塵水や蒸留水等を用いて洗浄し、必要に応じて医薬用ゴムとしての公知の洗浄、滅菌処理を行う。
一般に注射剤の製剤に用いられる各種容器(ゴム栓も含む)の脱パイロジェン処理法には、パイロジェンの主たる構成成分であるリポサッカライドを、リンス洗浄で除去する方法や、250℃以上で30分間以上加熱する乾熱除去法、エチレンオキサイドによる滅菌法等が実施されている。また、60Coのγ線の照射により、リポサッカロイドを失活する方法も現在検討されている。
放射線処理により滅菌を行う場合、ゴム栓の耐放射線性は構成樹脂成分の物性、化学構造、二重結合やビニリデン型構造の有無、架橋方法、四級炭素の有無等によって異なる。ここで放射線としては、α線(ヘリウムの原子核)、β線(電子線)及びγ線があるが、滅菌には加速器で作られたβ線(電子線)や、60Coや137Csから発生するγ線が好ましい。透過力の大きいγ線でゴム製品を滅菌する場合、ダンボール箱で外包した見掛けの容量の大きな物品も容易に照射滅菌が可能であるが、γ線は線量率が低いので、所定の線量を照射するに要する処理時間も数時間に及ぶ。一方、電子線照射による滅菌処理の場合においては、わずか数秒間の照射で所定の滅菌保証水準に達する。ゴム栓を滅菌するために放射線を照射する時、照射線量(吸収線量)が大きい程、ゴム栓に与える影響が大きく、特にブチルゴム(IIR類)の場合は、前述したようにポリマー分子構造に起因してこの傾向が顕著なため、被滅菌品の微生物汚染度が高い(付着菌数が多い)時は必然的にその照射線量の下限値が高く設定されなければならない。但し、医療用具や医薬製品の放射線滅菌に関する国際規格、ISO11137には、その滅菌保証のための滅菌線量が定められ、また、バイオバーデンの数は、製品当り平均100個以下であることが義務付けられているので、現実には容器やゴム栓の付着総生菌数を100個以下に管理し、その滅菌線量の下限値はおよそ15kGyに設定されている。
本発明の医薬用ゴム栓の素材である熱可塑性ゴム組成物は、その密度が0.95となるように組成をコントロールすることによって、電子線による架橋反応をより低線量で行うことができ、また、放射線の透過が容易となるため滅菌のための放射線処理も効果的に進み、樹脂の劣化が少ないのでより好ましい。
イソブチレン系ゴムはそのポリマーの構造上、医薬用ゴム栓として多用されている他のジエン系ゴム、例えばポリイソプレンゴムやポリブタジエンゴムに比べて反発弾性に乏しく、これをゴム栓として使用した薬液容器から導入針や注射針を介して薬液吸入後抜針するとき容器内の残液がゴム栓の穿孔部を通じて容器外に漏れ出し易く(ゴム栓が自己密閉性に劣る)、また、ゴム栓に注射針を刺通する際、ゴム栓上面の一部を針管中に切取る現象(コアリング)等が発生し易い。そして、このような液漏れ性やコアリング現象は特に輸液剤等に代表される大容量の容器に用いる形状の大きなゴム栓、つまり、ゴム栓のフランジ部の径が大きく、かつ注射針を刺通する部位が厚い場合に起こり易い。本発明の医薬用ゴム栓はこれら大容量の容器に用いる形状の大きなゴム栓として用いた場合、耐液漏れ性やコアリングの発生の防止効果は小さいが、ISO8362−2やISO8362−5に規定されるような小口径の医薬用ゴム栓として適用する場合、特に耐液漏れ性が大きく、また、コアリングの発生も少なく極めて優れた医薬用ゴム栓の機能を備えている。
次に本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
(実施例1)
塩素化ブチルゴム(C−IIR、エッソ化学社製、商品名:エッソブチルHT1066)100重量部と、リニアー低密度ポリエチレン(LLDPE、住友化学工業社製、商品名:スミカセンLGA807)25重量部からなる熱可塑性ゴム組成物をスチームで115℃に予備加熱した容量40Lニーダー(森山製作所社製)で20分間混練した後、ペレタイザーに移して直径3.5mmのストランドを押出し、さらにチョッパーにて長さ5mmの大きさのペレットを製造する。この時、ストランドの表面状態も平滑度が良好で、かつ、ストランド切れも見られない。
次いで、射出形機(松田製作所社製、形式35M−25SS)を用いてISO8362−5に規定のフランジ径13mmのゴム栓を成形した後、このゴム栓に吸収線量にして100kGyに相当する、加速電圧5.0MVの電子線を照射してこれを電子線架橋し、実施例1のゴム栓を製造する。
(実施例2〜6)
表1に示す各原材料およびその配合比で配合された熱可塑性ゴム組成物を用い、表2に示すゴム栓形状に成形された各ゴム栓に対して、表1に示した吸収線量に相当する電子線を照射してこれを架橋する以外は実施例1のゴム栓と同様にして実施例2〜6のゴム栓を製造する。
(比較例1〜5、8、9)
表1に示す各原材料およびその配合比で配合された熱可塑性ゴム組成物を用い、表2に示すゴム栓形状に成形された各ゴム栓に対して、表1に示す各吸収線量に相当する電子線を照射してこれを架橋する以外は実施例1のゴム栓と同様にして比較例1〜5、8および9のゴム栓をそれぞれ製造する。
(比較例6、7)
表1に示す各原材料およびその配合比で配合された熱可塑性ゴム組成物をそれぞれ配合して190℃で5分間加熱することによって加硫し、これをベント式2軸押出に接続したペレタイザーで、組成物温度210℃で直径35mmのストランドを押出した後、チョッパーにて長さ5mmのペレットを製造する。次いでこのペレットを表2に示すゴム栓形状に成形し、これには電子線を照射しない以外は実施例1のゴム栓と同様にして比較例6および7のゴム栓を製造する。
表1に上記実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓を製造するために使用される原材料とその配合比、架橋条件(実施例1〜6および比較例1〜4、8および9の場合は電子線架橋のための電子線照射量、比較例6、7の場合は加硫のための加熱温度と加熱時間)および架橋密度をそれぞれ示す。
次に、上述のようにして得られた実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓について、下記の各評価項目の評価方法で測定した、日本薬局方に基づく主な化学的試験と物理的試験の評価結果、化学的内因性清浄度およびゴム栓の機能性に関する総合的評価を各ゴム栓の形状と共に表2に示す。
すなわち、表1および表2に示す各評価項目の評価方法は下記の通りである。
架橋のための電子線照射量の測定:
〔試料の調製〕
実施例1〜6、比較例1〜9の各ゴム栓の成形に用いたそれぞれの熱可塑性ゴム組成物からなるペレットを用いて、実施例1〜6、比較例1〜9の各ゴム栓とは別に厚さ10mm、タテ×ヨコが100mm×100mmの架橋(又は加硫)ゴム板(試料a)を製造し、これを電子線照射量測定用の試料に供する。
〔電子線照射条件〕
照射用カート台車(1,500mm×950mmSUS製カート)のカート支持材(厚さ40mmのダンボール板)上に、実施例1〜6、比較例1〜5、8および9の各ゴム栓および試料aを乗せる。試料の照射表面の一部及び、その裏面にCAT線量計FTR−125(富士写真フィルム社製)を設置し、各照射パラメータを、加速電圧5.0MV、電流25mA、カート外周速度15m/分に設定した5MeVダイナミトロン型電子加速器(米国・RDI社製)で、それぞれ表面予定線量100kGyまたは200kGyの電子線を照射する。
〔表面吸収線量(=照射線量)および透過線量の測定〕
線量測定装置U−2000分光光度計(日立製作所製)を用いて、電子線照射して電子線架橋を行う際に用いた全ての線量計について吸光度を測定し、予め作成した検量線に基づき吸収線量を算出する。
架橋物の密度の測定:
実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓の原材料の密度とその組成日(重量比)から、それぞれのゴム栓の密度を計算する。なお、この計算値はJIS K6268の規定により実測したゴム栓とほとんど差がないことが確認されている。
架橋密度の測定:
実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓片からおよそ厚さ1mm×幅2mm×長さ10mmの試料片を切出して試験管に入れ、この試料片の約10〜20倍の容量のシクロヘキサンを注いで、各試料ゴム片が試験管内壁に接触しないように絹糸で吊るした状態で浸積し、密栓する。試験管全体を20〜30℃に保ちながら時々(8時間おき位の間隔で)試料片を取出して、濾紙でその表面を素早く拭き取り、秤量瓶に入れて重量を精秤し、記録する。以上の操作を繰り返して平衡膨潤に達した試料片の重量増加が止まった時点で、溶媒浸積を終了する。平衡膨潤に達した時の試料片の重量より、下記のフローリー・レナーの式1)を用いて、架橋密度を算出する。架橋密度とは、単位体積中に存在する架橋点の数をいう。
Figure 0004455861
v:網目鎖濃度(mol/cm3
f:架橋の官能数(4とした)
R :膨潤ゲル中のゴムの容積分率(膨潤前の試料のゴムゲルの容量/膨潤したゴム
ゲルの容量
V:溶媒(シクロヘキサン)の分子容(cm3/mol)
μ:溶媒−ゴム相互作用係数
〔架橋密度の算出〕
以下のFlory-Rehner(フローリー・レナー)の基本式である式1)に、各測定値を代入して、各試料の架橋密度を算出する。
形状保持性:
実施例1〜6および比較例1〜9の規格ゴム栓各50個について、おのおののゴム栓形状の所定の部位の寸法を、投影式寸法測定器(商品名:クイックビジョン)を用いて測定し、各所定箇所における最頻値をA、偏りをσとした時、50個の中、所定の箇所の寸法測定値がA±σに入るものを最適(◎)、A±2σ〜A±3σの範囲に入るものを適(○)、50個全てがA±2σの範囲に入らないものを不適(×)と判定した。
日本薬局方による公的法試験:
〔化学的適合試験〕
実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓を純水で洗った後、室温で乾燥する。これを硬質ガラス製容器に入れ、試料質量の10倍量の純水を正確に加え、適当な栓を施した後、高圧蒸気滅菌器を用いて121℃で1時間加熱した後、硬質ガラス製容器を取り出して室温になるまで放置し、速やかに試料のゴム栓を除き、この液を試験液とする。これとは別に純水につき、同様の方法で空試験液を調製する。試験液および空試験液につき、次の試験を行う。
(1)過マンガン酸カリ消費量
試験液100mlを共栓三角フラスコに採取し、これに0.002mol/lの過マンガン酸カリウム溶液10.0ml及び希硫酸5mlを加えて3分間煮沸する。冷却後これにヨウ化カリウム0.10gを加えて密栓し、振り混ぜて10分間放置した後、指示薬としてデンプン試薬5滴を添加し、0.01mol/lのチオ硫酸ナトリウム液で滴定する。これとは別に空試験液100mlを用い、試験液と同様に操作して指示薬としてデンプン試薬5滴を添加し、0.01mol/lのチオ硫酸ナトリウム液で滴定し、試験液と空試験液における滴定の終点までに消費した過マンガン酸カリウム液消費量の差を各試験液について測定する。この過マンガン酸カリ消費量の差が多い程、ゴム栓から溶出する還元性物質が多いことを示す。
(2)pH値差
試験液および空試験液をそれぞれ20mlを採取し、これに塩化ナトリウム1.0gを1000mlの水に溶解した液1.0mlずつを加え、両液のpHを測定するとき、その差は1.0以下であった。この差が小さいことはゴム栓からの溶出物が少ないことを示す。
(3)紫外部吸収
液層の長さが10mmの透明容器に試験液を投入してこの試験液に220nm〜350nmの紫外光を照射し、そのときの紫外線の入射光に対する試験液を透過した透過光強度の比から各試験液の紫外部吸収の程度を求め、それぞれのゴム栓を施栓した場合の影響を評価する。紫外部吸収が小さい程、ゴム栓から溶出する不純物の量が少ないことを示す。
(4)可視部透過率
上記紫外部吸収の試験において各試験液に照射する光として、紫外光の代わりに430nmと650nmの両単色可視光をそれぞれ照射してそれぞれの波長での可視光の透過率を求め、それぞれのゴム栓を施栓した場合の影響を評価する。この測定において可視部透過率が大きい程、各ゴム栓から溶出する不純物の量が少ないことを示す。
〔物理的適合試験〕
(1)ゴム栓の硬さの測定
実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓のJISAタイプの硬さの測定を行う。
(2)気体透過率の測定
試料片によって隔絶した気圧の異なるチャンバー内における高圧側隔室Aの圧力をP、低圧側(大気圧)隔室Bの圧力をQとした時、その差圧ΔP(P−Q)を気体の溶解度と拡散速度の駆動力として、経時(X軸)の差圧ΔPの変化量(Y軸)の比率を一次関数Y=aX+bとして得て、その傾きaから透過演算式で気体透過率を算出する。この気体透過率の次元はcm3/m2・day・atmである。
(3)液漏れ試験
規定容量が10mlのバイアル(市販品)に水10mlを入れ、実施例1〜6および比較例1〜9の各ゴム栓を施栓し、アルミ製キャップ(市販品、プラスチック製でも可)を被せ、ハンド・クリンパー(手動型巻締め器)で巻締め、密封する。アルミキャップの上蓋部を取り除き、ディスポーザブル注射器に18Gの注射針を装着し、空気2mLを吸引した後、施栓された各ゴム栓に垂直に貫通(刺針)した後、バイアル内に前述の空気2mLを注入する。空気注入後、速やかにバイアルを倒立状態として、水2mlを吸引し、静かに注射針を引き抜き、その後に洩れた液の重量を測定する。一般的な許容値としては、その総洩れ量は0.1ml(0.1g)以下である。
(4)フラグメンテーション試験
ISO8362−2に規定の5.2.3フラグメント(コアリング)の試験法に従って、実施例1〜6および比較例1〜9の各50個のゴム栓に注射針をそれぞれ100回刺した時のフラグメンと(ゴム屑の小片)の個数を測定する。100回の刺通に対してフラグメントの数が少ない程、耐フラグメント性が良好であることを示し、医薬用ゴム栓の規格は5個/100回以下である。
化学的適合内因性清浄度:
(試験液の調製)
上記日本薬局方による公的試験法の化学的適合試験に供した試料と同様にして試験液および空試験液を調製する。
(試験方法)
各試験液について、紫外線検出器を装着した液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて所定の測定条件で展開、溶離し、紫外線吸収スペクトルの三次元クロマトグラフ(UV−HPLC)を得た後、この三次元クロマトグラフにより、紫外線(UV)ピークの本数(N)と該クロマトグラフのUV吸収強度を求める。このUV−HPLCによるUVピークの数(N)が少なく、UVピークの強度が弱い(対応するUVピークの高さが低い)ほど、ゴム栓からの溶出物である試験液中の水溶性化合物の種類が少なく、またその濃度が低くてそのゴム栓からの溶出物が少なく、ゴム栓の内因性化学的清浄度が高いことを示す。
ゴム栓の機能性評価試験:
上記の各試験の結果、医薬用ゴム栓としての機能を総合的に評価して、規格値より大いに優れるものを◎、規格値に適合するものを○、規格値に適合さないものを△とし、規格値より非常に悪いものを×とする4段階に評価分けをしてその結果を表2に示す。
Figure 0004455861
Figure 0004455861
〔注〕
1)エッソブチルHT1066(エッソ化学社製商品名)、塩素化ブチルゴム、密
度0.92。
2)バイエルブチルXL−10000(バイエル社製商品名)、イソプレン−イソブ
チレン−ジビニルベンゼン、三元共重合型架橋ブチルゴム、密度0.92。
3)イソブチレン系TPE#065(日本ゼオン社製商品名)、イソブチレン−スチ
レンブロック共重合体、密度0.91。
4)ノーブレンX101A(住友化学社製商品名)、ホモポリマー型ポリプロピレン
樹脂、MFR45、密度0.90、硬度シェアーD105°。
5)エクセレンVL100(住友化学社製商品名)、超低密度エチレン−αオレフィ
ン共重合対、密度0.900、融解温度115℃、MFR0.8、硬度シェアー
A90°
6)ミペロン220、(三井化学社製商品名)、超高分子量ポリエチレン樹脂の微粉末
密度0.940、MFR0.0、平均粒子径10μm。
7)スミカセン−L、GA807(住友化学社製商品名)、リニア−低密度ポリエチ
レン樹脂、密度0.912、MFR25.0、硬度ヂュロメータD42°、融解
温度117℃。
8)クレイトンG1657(シェル化学社製商品名)、スチレン−エチレン−ブチレ
ン−スチレン熱可塑性樹脂、密度0.90、硬度ShoreA65°。
9)JSR RB810(ジェイエスアール社製商品名)、シンジオタクチック1,2
−ポリブタジエン樹脂、密度0.901、MI 3、硬度JIS−A79°。
10)タイペークA100(石原産業社製商品名)、アナタース型二酸化チタン、密度
3.90。
11)ダイアナプロセスオイルMM−45(出光石油社製品名)、オイゴム用軟化剤、
パラフィン系オイル、比重0.8620、流動点−17.5℃、アニリン点10
9.0℃、粘度5.365CSt、パラフィン成分含有量(Cp)74.7%。
12)サームブラックMT(キャンカーブ社製商品名)、メディアムサーマルカーボン
ブラック、密度1.80。
13)パーブチルP(日本油脂社製商品名)100%品、ジーターシャリーブチルパー
オキサイド、密度0.85。
Figure 0004455861
Figure 0004455861
表1および表2からわかるように、イソブチレン系共重合体と熱可塑性樹脂との含有比率がイソブチレン系共重合体100重量部に対して25〜50重量部の範囲、特にイソブチレン系共重合体100重量部に対して熱可塑性樹脂成分がおよそ25および30重量部である組成を有する熱可塑性ゴム組成物からなる実施例1〜6(特に実施例1〜5)のゴム栓は、イソブチレン系共重合体100重量部に対して熱可塑性樹脂の含有量が25重量部より少ないか、50重量部より大である組成の熱可塑性ゴム組成物からなる比較例1〜4、8および9のゴム栓や、イソプレン系ゴムのみからなる比較例5のゴム栓と比べて、化学試験の結果は変わらないものの、内因性清浄度や、ゴム栓に成形した際の寸法保持性やフラグメンテーション数が少なくてゴム栓の機能性も極めて良好である。
また、実施例1〜6のゴム栓と比較例6および7のゴム栓との比較からわかるように、
原材料とし架橋剤を使用しないで電子線を照射して電子線架橋されたゴム栓(実施例1〜6のゴム栓)は、これと主原料は同じくイソブチレン系共重合体と熱可塑性樹脂からなりその配合比も本願発明のゴム組成物と類似であっても、これに架橋剤の有機過酸化物を加えた原材料混合物を、加熱・架橋して得たゴム組成物からなるゴム栓(比較例6および7のゴム栓)に比べて特に化学的内因性清浄度の点で優れ、また、フラグメンテーション数が少なくて液漏れも少なく、ゴム栓の機能性も極めて良好であって、医薬用ゴム栓として優れている。

Claims (8)

  1. イソブチレン系共重合体と、該イソブチレン系共重合体100重量部に対して25〜50重量部の熱可塑性樹脂とを混合し、架橋剤を用いることなく電子線を照射して電子線架橋された熱可塑性ゴム組成物からなる医薬品容器用ゴム栓。
  2. 前記イソブチレン系共重合体100重量部に対する前記熱可塑性樹脂の混合割合が25〜33重量部であることを特徴とする請求項1に記載の医薬品容器用ゴム栓。
  3. 前記イソブチレン系共重合体が塩素化ブチルゴムまたは部分架橋ブチルゴムであり、かつ、前記熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂であることを特徴とする請求項1または2に記載の医薬品容器用ゴム栓。
  4. 前記電子線照射は前記熱可塑性ゴム組成物の造粒後または該熱可塑性ゴム組成物からなる成形品に対してなされることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の医薬品容器用ゴム栓。
  5. 前記ゴム栓がISO8362−2および/またはISO8362−5に規定されるISO規格を満たす、小容量の注射剤容器または凍結乾燥容器用の栓であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の医薬品容器用ゴム栓。
  6. 少なくともイソブチレン系共重合体と熱可塑性樹脂とを含み、架橋剤を含まない熱可塑性ゴム組成物の原料を混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合物をペレット化する造粒工程と、該造粒工程で得られた前記ペレットをゴム栓に成形する成形工程と、該成形工程で得られた前記ゴム栓に電子線を照射して該ゴム栓を電子線架橋する工程からなることを特徴とする医薬品容器用ゴム栓の製造方法。
  7. 少なくともイソブチレン系共重合体と熱可塑性樹脂とを含み、架橋剤を含まない熱可塑性ゴム組成物の原料を混合する混合工程と、該混合工程で得られた混合物をペレット化する造粒工程と、該造粒工程で得られた前記ペレットに電子線を照射してこれを電子線架橋する工程と、該電子線架橋された前記ペレットをゴム栓に成形する成形工程からなることを特徴とする医薬品容器用ゴム栓の製造方法。
  8. 前記熱可塑性ゴム組成物の原料中には軟化剤を含まないことを特徴とする請求項6または7に記載の医薬品容器用ゴム栓の製造方法。
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