JP4454359B2 - 無機多層基板 - Google Patents

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本発明は、LSI,IC等の半導体チップ部品の搭載に利用される無機多層基板に関する。
近年、LSI等の半導体チップ部品は小型化、軽量化が進んでおり、これらを実装する配線基板も小型化、軽量化が望まれている。このような要求に対して、基板内に内部電極等を配した多層セラミック基板は、要求される高密度配線が可能であり、かつ薄型化が可能なことから、今日のエレクトロニクス業界において重要視されている。
多層セラミック基板としては、アルミナ質焼結体から成り、表面または内部にタングステン,モリブデン等の高融点金属から成る配線導体が形成された絶縁基板が従来から広く用いられている。
一方、近年の高度情報化時代を迎え、使用される周波数帯域はますます高周波帯に移行しつつある。このような高周波信号の伝送を行なう高周波配線基板においては、高周波信号を高速で伝送する上で、配線導体を形成する導体の抵抗が小さいことが要求され、また絶縁基板にもより低い誘電率が要求される。
しかし、従来のタングステン,モリブデン等の高融点金属は導体抵抗が大きく、配線導体中を流れる高周波信号の損失(いわゆる導体損失)が大きいことから、高周波信号の伝播速度が遅く、また30GHz以上の高周波領域の高周波信号の伝播も困難であることから、タングステン,モリブデン等の金属に代えて、銅,銀,金等の低抵抗金属を使用することが必要である。
ところが、これらの低抵抗金属は融点が低いため、800〜1000℃程度の低温で焼成することが必要であることから、この低抵抗金属から成る配線導体は、高温焼成が必要なアルミナ質焼結体と同時焼成することができなかった。また、このようなアルミナ質焼結体から成る多層セラミック基板は誘電率が高いため、高周波回路基板として使用するには不適当である。
このため、最近では、ガラスとセラミックスから成る無機質フィラーとの混合物を焼成して得られるガラスセラミックスを絶縁基板として用いることが注目されている。すなわち、ガラスセラミックスは誘電率が低いため高周波用絶縁基板として好適であり、またガラスセラミックスは800〜1000℃程度の低温で焼成することができることから、銅,銀,金等の低抵抗金属を配線導体として使用できるという利点がある。
こうした無機多層基板の製造技術で重要なポイントは絶縁層間の配線導体を接続する技術であるが、一般に絶縁層間の配線導体を電気的に接続するには、未焼成の絶縁層上で配線導体の位置に対応した所定箇所に貫通導体用の貫通孔を形成し、この貫通孔に導体材料を充填した後に絶縁層を積層し、この積層体を一体に焼成する方法が採られている。積層体の焼成により、各絶縁層、絶縁層内の貫通導体、および絶縁層間の配線導体が焼結されて相互に固定される。
無機多層基板では、絶縁層と配線導体を積層一体化した後に同時焼成するが、図2に示すように、貫通孔2内部に充填した貫通導体用の材料は、焼成時に貫通孔を形成した絶縁層4の絶縁材料と焼結の進行を近いものとする必要がある。さもないと、図2のように、配線導体3と貫通導体1との接続が切れたり、貫通孔2の内面と貫通導体1との間に空隙6が生じたりして、無機多層基板5の接続信頼性が著しく低下するという問題があった。
このような問題点を解決するために、例えば、特許文献1に示されるような、貫通導体の収縮調整用の無機材料を添加する方法などが提案されている。この特許文献1の方法においては、導体材料中に、焼結温度が絶縁層の焼結温度と同程度の無機材料、および絶縁層の焼結温度よりも焼結温度が高い無機材料を添加することにより、貫通導体と絶縁層の収縮開始温度を近づけ、上記の問題点の解決を図っている。
特開平10−341067号公報
しかしながら、特許文献1の従来の方法においては、導体材料の中に無機材料が均一に分散する微細構造を有することになり、導体材料中を電子が移動する際の電子の平均自由行程が短くなるために貫通導体の抵抗値が高くなり、電気特性が低下するという不具合や、熱伝導率が低くなる事によって、半導体チップ等の動作に伴う発熱を貫通導体を通じて放熱する効果が低下するといった不具合が生じていた。
本発明は、以上の問題点を解決するために完成されたものであり、その目的は、貫通導体の破断や貫通孔内部の空隙が発生せず、貫通孔内面にしっかりと密着固定した緻密構造の貫通導体を備え、また貫通導体の抵抗値や熱伝導率を損なうことのない無機多層基板を提供することを目的とす
本発明の無機多層基板は、SiO −Al −MgO−CaO系ガラスとAl とを含むガラスセラミックグリーンシートの焼結体から成る複数の絶縁層と該絶縁層を貫通する貫通導体とを有する無機多層基板であって、前記貫通導体は、60乃至89.5重量%の導体材料前記絶縁層の焼結開始温度よりも高く焼結終了温度よりも低いガラス軟化点を有する0.5乃至10重量%のSiO −B −ZrO 系ガラスと、前記絶縁層の焼結終了温度よりも高い焼結開始温度を有する10乃至30重量%のSiO −Al −CaO系ガラスとを含む貫通導体用ペーストの焼結体であることを特徴とする。
また、本発明の無機多層基板は好ましくは、前記導体材料が、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッケル、またはこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から成ることを特徴とする。
本発明の無機多層基板は、貫通導体が、60乃至89.5重量%の導体材料前記絶縁層の焼結開始温度よりも高く焼結終了温度よりも低いガラス軟化点を有する0.5乃至10重量%のSiO −B −ZrO 系ガラスと、前記絶縁層の焼結終了温度よりも高い焼結開始温度を有する10乃至30重量%のSiO −Al −CaO系ガラスとを含む貫通導体用ペーストの焼結体であることから、無機多層基板の焼成過程で、SiO −B −ZrO 系ガラスの軟化による収縮促進効果とSiO −Al −CaO系ガラスによる焼結阻害効とが組み合わされ、貫通孔に充填された貫通導体の焼結を絶縁層の焼結進行とほぼ同時に焼結させ、貫通導体の貫通孔への充足状態を良好にし、焼結した貫通導体の破断や貫通導体と絶縁層の界面での空隙の発生を防止できる。
さらに、SiO −B −ZrO 系ガラスの軟化による導体材料およびSiO −Al −CaO系ガラスの再配列は界面エネルギーが最小になるように生じるために、導体材料およびSiO −Al −CaO系ガラス同士で集まるように再配列がなされるので、貫通導体の組織は導体材料の中に均一にSiO −Al −CaO系ガラスが分散した組織ではなく導体材料およびSiO −Al −CaO系ガラスそれぞれがネットワーク構造を成す組織となる。このため、導体材料中を電子が移動する際の電子の平均自由行程が短くなるという問題を解決でき、貫通導体の抵抗値の上昇を抑えることができる。
また、本発明の無機多層基板は好ましくは、導体材料が、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッケル、またはこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から成る場合、貫通導体の比抵抗が純金属およびそれらの合金の中で相対的に小さいために、電気的特性に優れた無機多層基板とすることができる。
本発明の無機多層基板および無機多層基板の貫通導体用ペーストについて以下に詳細に説明する。図1は、本発明の無機多層基板の実施の形態の一例を示す部分断面図であり、1は貫通導体、2は貫通孔、3は配線導体、4は絶縁層、5は無機多層基板である。
本発明において、無機多層基板の絶縁基板となるセラミックグリーンシートには、ガラス粉末およびフィラー粉末(セラミック粉末)に、さらに有機バインダ,可塑剤,有機溶剤等を混合したものが用いられる。
このガラス粉末のガラスとしては、SiO−Al−MgO−CaO系ガラスが挙げられる。このガラスは焼成時に結晶化する結晶化ガラスであることが好ましい。このようなガラスを用いることによって、焼成後にガラスが結晶化することでガラスセラミックスの機械的強度を向上させることができる。また、フィラー粉末としてはAlが挙げられる。これらガラスとフィラーとの混合割合は質量比で40:60〜99:1であるのが好ましい。
ガラスセラミックグリーンシートに配合される有機バインダとしては、従来からセラミックグリーンシートに使用されているものが使用可能であり、例えばアクリル系(アクリル酸,メタクリル酸またはそれらのエステルの単独重合体または共重合体、具体的にはアクリル酸エステル共重合体,メタクリル酸エステル共重合体,アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体等),ポリビニルブチラ−ル系,ポリビニルアルコール系,アクリル−スチレン系,ポリプロピレンカーボネート系,セルロース系等の単独重合体または共重合体が挙げられる。
ガラスセラミックグリーンシートは、上記ガラス粉末,フィラー粉末,有機バインダに溶剤(有機溶剤,水等)、さらに必要に応じて所定量の可塑剤を加えてスラリーを得て、これをドクターブレード,圧延,カレンダーロール,金型プレス等により厚さ約50〜500μmに成形することによって得られる。
ガラスセラミックグリーンシートの表面に導体パターンを形成するには、例えば導体材料粉末をペースト化したものをスクリーン印刷法やグラビア印刷法等により印刷する等の方法が挙げられる。導体パターンの好ましい導体材料としては銀が挙げられる。銀には微量の鉄、コバルト、銅、白金、パラジウム等の元素が含まれていてもよい。
また、導体パターンには、上下の絶縁層4間の導体パターン同士を接続するためのビア導体やスルーホール導体等の貫通導体1が表面に露出した部分も含まれる。この貫通導体1は、パンチング加工等によりガラスセラミックグリーンシートに形成した貫通孔2に、導体材料粉末をペースト化したもの(貫通導体用ペースト)を印刷により埋め込む等の手段によって形成される。
貫通導体1は、導体材料と、絶縁層4の焼結開始温度よりも高く焼結終了温度より低いガラス軟化点を有するSiO −B −ZrO 系ガラスと、絶縁層4の焼結終了温度より高い焼結開始温度を有するSiO −Al −CaO系ガラスを含んで成る。
貫通導体1に用いられる導体材料としては、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッケル、またはこれらの金属の少なくとも1種から成る合金がよい。特に、銅、銀、金、およびこれらの合金は、金属の中でも電気および熱を極めて伝えやすい性質を有しており、優れた電気的性質および熱的性質の発現を期待できる。また、パラジウム、白金、およびこれらの合金は、融点が1400℃以上と高く、また、電気および熱を比較的伝えやすい性質を有しているので、絶縁層4に焼結温度の高い材料を用いた場合の導体材料として用いることができる。
本発明においては、貫通導体1に添加したSiO −B −ZrO 系ガラスの軟化による導体材料粒子の再配列の効果と、貫通導体1に添加したSiO −Al −CaO系ガラスによる導体材料粒子の焼結阻害の効果の組み合わせにより、貫通孔2に充填された貫通導体1の焼結をコントロールし、貫通導体1を絶縁層4の焼結進行とほぼ同時に焼結させ、貫通導体1の貫通孔2への充足状態を良好にし、貫通導体1と絶縁層4との界面での空隙の発生を防止することができる。
また、貫通導体1における導体材料の含有量が60乃至89.5重量%であり、貫通導体1に添加されるSiO −B −ZrO 系ガラスの含有量が0.5乃至10重量%であり、SiO −Al −CaO系ガラスの含有量が10乃至30重量%であることで、貫通導体1の貫通孔2への充足を完全にし、焼結した貫通導体1の破断や貫通導体1と絶縁層4との界面での空隙の発生をより適切に防止することができる。
貫通導体1に添加されるSiO −B −ZrO 系ガラスのガラス軟化温度が絶縁層4の焼結開始温度よりも低い場合、絶縁層4を形成するSiO −Al −MgO−CaO系ガラスとAl がネットワーク構造を形成する前にSiO −B −ZrO ガラスが軟化してしまう。このため、貫通導体1に添加されたSiO −B −ZrO ガラスは空隙の多い絶縁層4へと拡散し、導体材料粒子の再配列の効果が生じず、貫通導体1と絶縁層4の焼結の進行にずれが生じ、焼結した貫通導体1の破断の発生を抑えることが難しくなる。
また、貫通導体1に添加されるSiO −B −ZrO 系ガラスのガラス軟化温度が絶縁層4の焼結終了温度よりも高い場合、無機多層基板5の焼成の際にSiO −B −ZrO ガラスの軟化が生じないので導体材料粒子の再配列の効果が生じず、貫通導体1と絶縁層4の焼結の進行にずれが生じ、焼結した貫通導体1の破断の発生を抑えることが難しくなる。
また、貫通導体1に添加されるSiO −B −ZrO 系ガラスの含有量が0.5重量%より少ない場合、貫通導体1に対するSiO −B −ZrO ガラスの量が少ないため導体材料粒子の再配列の効果が生じず、貫通導体1と絶縁層4の焼結の進行にずれが生じ、焼結した貫通導体1の破断の発生を抑えることが難しくなる。
また、貫通導体1に添加されるSiO −B −ZrO 系ガラスの含有量が10重量%よりも多い場合、貫通導体1に対するSiO −B −ZrO ガラスの量が多いため貫通導体1が軟化したSiO −B −ZrO ガラスの全てを保持できず、軟化したSiO −B −ZrO ガラスの一部が絶縁層4へと拡散する。
一方、貫通導体1に添加されるSiO −Al −CaO系ガラスの焼結開始温度が絶縁層4の焼結終了温度よりも低い場合、無機多層基板5の焼成の際に貫通導体1に添加したSiO −Al −CaO系ガラスも焼結を開始する。このため、SiO −Al −CaO系ガラスによる導体材料粒子の焼結阻害の効果が小さくなり貫通導体1と絶縁層4の焼結の開始温度や焼結収縮量にずれが生じ、焼結した貫通導体1の破断の発生を抑えることが難しくなる。
貫通導体1に添加されるSiO −Al −CaO系ガラスの含有量が10重量%よりも小さい場合、貫通導体1に対するSiO −Al −CaO系ガラスの量が少ないため導体材料粒子の焼結阻害の効果が小さくなり、貫通導体1と絶縁層4の焼結の進行にずれが生じ、焼結した貫通導体1の破断の発生を抑えることが難しくなる。
また、貫通導体1に添加されるSiO −Al −CaO系ガラスの含有量が30重量%よりも大きい場合、貫通導体1に対するSiO −Al −CaO系ガラスの量が多いために導体材料が連続したネットワーク構造を取ることが難しくなり、貫通導体1の導通をとることが難しくなる。
上記の導体材料、SiO −B −ZrO 系ガラスおよびSiO −Al −CaO系ガラスから成る混合物は、有機バインダおよび溶剤からなる有機ビヒクル成分と混練することにより、ペースト化され用いられる。有機ビヒクル成分を混合物に添加して混練し、その混練物を比較的流動性の低いペースト状にし、貫通孔2への充填を容易にし且つ加熱硬化させる。有機バインダとしては、従来の樹脂系バインダが広く使用できるが、例えば、エチルセルロース系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリアクリル系樹脂などが使用できる。溶剤は、ペーストの粘度を調整するものであり、これには、テルピネオールなどのアルコール類やケトン類などが使用できる。また、適宜可塑剤や界面活性剤を添加してもよい。
有機ビヒクル成分の配合は、無機成分100重量%に対して外添加で有機バインダ3〜15重量%が好ましく、3重量%未満では、ペースト状にすることが困難となり、15重量%を超えると、ペースト中の有機成分が多すぎて、焼結後の導体が多孔性となるか過剰に収縮し、貫通導体1内部や貫通導体1と貫通孔2内壁との間に空隙が生じやすくなる。ペーストの混練方法としては特に限定はなく、例えば、3軸ロールミルやボールミルなどが使用できる。
貫通導体1の導体材料が、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッケル、またはこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から成るものとすると、これらの金属または合金は、通常貫通導体ペーストが用いられる室温、大気雰囲気において水和物となりにくいため、有機ビヒクルと水和物の化学反応による貫通導体ペーストのゲル化が生じにくくペースト状への調整が容易にできる。
次に、ガラスセラミックグリーンシートを積層するには、積み重ねたガラスセラミックグリーンシートに熱と圧力を加えて熱圧着する方法や、有機バインダ,可塑剤,溶剤等から成る接着剤をシート間に塗布して熱圧着する方法等が採用可能である。
ガラスセラミックグリーンシートを積層後、有機成分の除去と焼成を行なう。有機成分の除去は100〜800℃の温度範囲でガラスセラミックグリーンシートの積層体を加熱することによって行ない、有機成分を分解、揮散させる。また、焼成温度はガラスセラミック組成により異なるが、通常は約800〜900℃の範囲内である。一般のガラスセラミック材料は、900℃以上で焼成されるものもあるが、本発明では抵抗体を同時に焼成するため、通常の抵抗体の焼成温度に準じて800〜900℃の範囲が良い。900℃以上で焼成した場合、抵抗値の増加や絶縁性の低下等の電気的特性が著しく変化する。焼成は通常、大気中で行なう。
また、焼成時には、積層体の反りを防止するために、積層体上面に重しを載せる等して荷重をかけてもよい。荷重は50Pa〜1MPa程度が適当である。荷重が50Pa未満である場合、積層体の反り抑制作用が充分でないおそれがある。また、荷重が1MPaを超える場合、使用する重しが大きくなるため焼成炉に入らなかったり、また焼成炉に入っても熱容量不足になり焼成できない等の問題をひき起こすおそれがある。重しとしては、分解した有機成分の揮散を妨げないように、例えば多孔質のセラミックスや金属等を使用するのが好ましい。積層体の上面に多孔質の重しを置き、その上に非多孔質の重しを置いてもよい。
本発明の実施例について以下に説明する。
貫通導体用ペーストの原料の導体材料として、平均粒径3μmの銀粉末を82重量%、同じくガラス材料として、絶縁層の焼結開始温度よりも高く焼結終了温度よりも低いガラス軟化点(750℃)を有するSiO−B−ZrO系ガラスを3重量%、同じく無機材料として、絶縁層の焼結終了温度よりも高い焼結開始温度(900℃)を有するSiO−Al−CaO系ガラスを15重量%混合した。これらの無機成分100重量%に対して、外添加で、有機バインダとしてのエチルセルロース系樹脂を10重量%、溶剤としてのテルピネオールを2重量%を加え、3軸ロールミルで十分に混合し混練して貫通導体用ペーストを調製した。
この貫通導体用ペーストを絶縁層用のガラスセラミックシートの所定箇所に穿孔したφ0.15mmの貫通孔に充填し、配線形成用の銀導体ペーストを用いてスクリーン印刷により配線パターンを形成した後、積層し、焼成することにより無機多層基板を得た。
得られた無機多層配線基板の貫通導体は、貫通導体と配線導体との接触部分での断線や貫通孔内部の空隙が存在せず、貫通孔内壁にしっかりと密着した緻密な構造となった。貫通導体の抵抗率は0.05mΩ・cmであった。また、銀とSiO −B −ZrO 系ガラスおよびSiO −Al −CaO系ガラスの比率を変化させた貫通導体用ペーストを作製して、同様に無機多層基板を作製し、貫通導体部の電気抵抗測定と基板断面の顕微鏡観察により貫通導体の導電性と構造とを確認した。その結果を表1に示す。なお、表1において、SiO −B −ZrO 系ガラスをA材料と表し、SiO −Al −CaO系ガラスをB材料と表した。
Figure 0004454359
表1より、SiO −Al −CaO系ガラスの割合が5重量%以下、かつSiO −B −ZrO 系ガラスの割合が0.3重量%以下のときに貫通導体と絶縁層との界面に空隙が発生した。
SiO −Al −CaO系ガラスの割合が10〜30重量%、かつSiO −B −ZrO 系ガラスの割合が0.5〜10重量%のときに貫通導体と絶縁層との接合が良好なものとなり、優れた電気的性質も示した。
SiO −Al −CaO系ガラスの割合が30重量%を超え、かつSiO −B −ZrO 系ガラスの割合が10重量%を超えた場合、貫通導体に絶縁が生じた。
なお、本発明は上述の実施の形態および実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更は可能である。
本発明の無機多層基板の実施の形態の一例を示す部分断面図である。 従来の無機多層基板において貫通導体に欠陥が生じた場合を示す部分断面図である。
符号の説明
1:貫通導体
2:貫通孔
3:配線導体
4:絶縁層
5:無機多層基板
6:空隙

Claims (2)

  1. SiO −Al −MgO−CaO系ガラスとAl とを含むガラスセラミックグリーンシートの焼結体から成る複数の絶縁層と該絶縁層を貫通する貫通導体とを有する無機多層基板であって、前記貫通導体は、60乃至89.5重量%の導体材料前記絶縁層の焼結開始温度よりも高く焼結終了温度よりも低いガラス軟化点を有する0.5乃至10重量%のSiO −B −ZrO 系ガラスと、前記絶縁層の焼結終了温度よりも高い焼結開始温度を有する10乃至30重量%のSiO −Al −CaO系ガラスとを含む貫通導体用ペーストの焼結体であることを特徴とする無機多層基板。
  2. 前記導体材料が、銅、銀、金、パラジウム、白金、ニッケル、またはこれらの金属の少なくとも1種を含む合金から成ることを特徴とする請求項1記載の無機多層基板。
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