JP4454197B2 - 高温のオイルを動力として用いた冷凍システムの蒸発器からのオイルの戻り - Google Patents

高温のオイルを動力として用いた冷凍システムの蒸発器からのオイルの戻り Download PDF

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Description

【0001】
発明の背景
本発明は、冷凍機システムに関し、特に、圧縮機駆動式冷凍チラーに関する。この冷凍チラーでは、この冷凍チラーが運転中に少なくとも一定量の潤滑油が、本装置の圧縮機から本装置の蒸発器に供給される。本発明はまた、オイルの戻りを達成するために駆動力として高温の圧縮機オイルを用いて、冷凍チラーの蒸発器から圧縮機にオイルを戻す装置及びその方法に関する。
【0002】
圧縮機駆動式冷凍チラーにおいて、圧縮機から蒸発器に潤滑油を輸送することが従来からの問題であった。冷凍チラーにおいて、オイルが液体冷媒の貯留部に導入される蒸発器から潤滑油が必要な圧縮機にオイルを戻すために、様々なシステムや装置、方法、機構が用いられ、かつ/または提案されてきた。このような装置/機構の多くはエダクタを用いる。このエダクタは、チラー装置内の他の部分から得られる加圧流体を動力として用い、装置の蒸発器からオイルを多く含んだ液体を引き込む。
【0003】
近年、冷凍チラーに流下式冷媒蒸発器という蒸発器が用いられるようになってきた。このような流下式冷媒蒸発器は、その内部で行われる気化プロセスの効率が良い。流下式冷媒蒸発器では、この蒸発器の底部に液体が溜まる前に、この蒸発器に流入する冷媒のほとんどが蒸発器のシェル内で蒸発する。従って、蒸発器シェルの底部に高濃度で均質な高オイル液体が溜まり、いわゆる浸漬型蒸発器(flooded evaporator)の液体溜めと比べ、このような液体溜めは比較的浅い。このような浸漬型蒸発器では、蒸発器のチューブ束のほとんどのチューブが液体冷媒に浸されており、その上部にはオイルを多く含んだ混合液(以降、高オイル混合液と呼ぶ)が存在する。
【0004】
流下式冷媒蒸発器を備えた冷凍チラーに用いられるオイルの戻し構造は、本発明の譲受人に譲渡された米国特許第5,761,914号に記載されており、言及することをもって本明細書の一部とする。この特許には、いわゆるフラッシュ型オイル戻し装置が開示されている。冷凍チラーシステムにおいて、蒸発器から圧縮機へのオイルの戻りを引き起こし、即ち達成するために、エダクタ/エジェクタ及びフラッシュ型の装置の他に、別の異なったタイプの機械構造が用いられてきた。このような装置の多くは、オイルの戻しを達成しているが、製造及び/または制御が比較的困難であり、かつ/または費用がかかる。また、このような装置は、費用及び操作、故障などの点で様々なマイナス面があり、オイルを戻すプロセスとしては魅力に欠ける。
【0005】
従って、信頼性があり、かつ操作が簡単で費用がかからず、潤滑油をシステムの蒸発器からシステムの圧縮機に効率的に戻すことができる冷凍チラーに用いられる改良した潤滑油戻し装置が待ち望まれている。
【0006】
発明の要約
本発明の目的は、冷凍チラーにおいて蒸発器から圧縮機にオイルを戻すことである。
【0007】
本発明の別の目的は、チラーシステムに存在する熱を利用して、冷凍チラーの蒸発器から圧縮機にシステムの潤滑油を戻すことである。
【0008】
本発明のさらなる目的は、冷凍チラーの運転時、この冷凍チラー内の第1の物質の熱をシステムの蒸発器内のオイルと液体冷媒の混合液に与えることによって、冷凍チラーの蒸発器から圧縮機にシステムの潤滑油を戻すことである。この時、熱源である第1の物質が、高オイル混合液に熱を与えることで、第1の物質が冷却されるという利点も得られる。
【0009】
本発明の別の目的は、冷凍チラーにおいて、パーコレーションを利用して蒸発器から圧縮機に潤滑油を戻すことである。
【0010】
本発明のさらなる目的は、冷凍チラーの蒸発器内に溜まっているオイルと液体冷媒の混合液の濃度が最も高いその蒸発器内の1或いは複数の位置からオイルを冷凍チラーの圧縮機に戻すことである。
【0011】
本発明の別の目的は、オイル戻しプロセス専用或いはそれに関連するバルブや制御装置などの機械装置や電気機械装置を用いない、一般にフェイルセーフでありシステムの運転時の副産物であるプロセス/方法論を用いて、冷凍チラーにおいて蒸発器から圧縮機に潤滑油を戻すことである。
【0012】
本発明の最後の目的は、冷凍チラーのオイル溜めからのオイルの熱を、システムの蒸発器に溜まっている高オイル混合液と熱交換させ、その混合液のパーコレーションを起こして、それによって冷凍チラーの凝縮器に溜まってしる高オイル混合液を冷却器の圧縮機及び/またはそのオイル溜めに戻すことである。この時、冷凍チラーの圧縮機の軸受表面を潤滑するためにそこに送られる高温のオイルの熱が、そこに送られる前にオイルを多く含んだ蒸発器の混合液に熱を与え、それによって冷却されるという利点がある。
【0013】
本発明の上記した目的及びその他の目的は、後述する好適な実施例及び添付の図面を用いた説明から明らかになるであろう。これらの目的は、通常のプロセスである圧縮機の軸受表面への潤滑油の供給において、冷凍チラーの圧縮機のオイル溜めから送出されたシステムの潤滑油を、(1)浸漬型蒸発器(flooded evaporator)に溜まっている液体の表面に通常は存在する高オイル混合液、或いは(2)流下式冷媒蒸発器の底部に存在する高オイル混合液と互いに熱交換して達成できる。冷凍チラーのオイル溜めから送出された圧縮機の潤滑油の熱が、その蒸発器の外側の位置で高オイル混合液に与えられる。その位置で蒸発器からの混合液が過熱されると、高オイル混合液における冷媒部分の少なくとも一部が気化/沸騰し、それによって混合液のパーコレーションが起こる。混合液のパーコレーションによって、蒸発器の高オイル混合液のスラグが熱交換位置から圧縮機のオイル溜めに送られる。従って、潤滑油が蒸発器から冷凍チラーのオイル溜めに送られ、冷凍チラーの潤滑油として再び利用される。オイル溜めから送出されたオイルの熱が、蒸発器の高オイル混合液に与えられるだけではなく、システムの圧縮機に送られるオイルが冷却される。このようにオイルが冷却されることによって、圧縮機の軸受の潤滑機能を確実に果たせるという利点が生まれる。
【0014】
好適な実施例の説明
まず、図1を参照すると、冷凍チラー10は、圧縮機12と、凝縮器14と、膨張装置16と、蒸発器18とを備えており、冷媒が循環できるようにこれら全てが直列に連結されている。好適な実施例では、圧縮機12は遠心型の圧縮機である。運転中は、圧縮機12が冷媒ガスを圧縮(その際に冷媒ガスが加熱されて圧力が上昇する)し、圧縮した冷媒を高温高圧のガスとして凝縮器14に送出する。
【0015】
凝縮器14に送られる気体冷媒は、チューブ束20を流れる水などの冷却液体と互いに熱交換して液体に凝縮する。ある種のチラーでは、冷却用流体として水の代わりに外気を用いる。凝縮されてもなお比較的高温高圧の冷媒は、凝縮器14から膨張装置16に流れる。膨張装置16を通過する際に、凝縮された冷媒は圧力が低下し、その冷媒の少なくとも一部が気化し、それによって冷媒が冷却される。
【0016】
冷却された二相冷媒は、膨張装置から蒸発器18の内部に送られ、そこで、チューブ束24の個々のチューブ22内を流れる熱交換媒体(通常は水である)と互いに熱交換する。チラーを冷却する目的で熱負荷によって加熱されたチューブ束24の内部を流れる熱交換媒体は、冷媒より温かく、冷媒と接触して冷媒に熱を与える。従って、冷媒は温められ、その液体部分のほとんどが気化する。
【0017】
一方、チューブ束の内部を流れる媒体は、冷却されて熱負荷に戻される。この熱負荷は、ビルの空気であったり、製造プロセスに関連する熱負荷であったり、冷却を必要とするその他の熱負荷である。熱負荷を冷却した後、熱交換媒体は蒸発器に戻され、再び熱負荷から熱を受取り、次のプロセスで冷媒によって再び冷却される。蒸発器18で気化した冷媒は、圧縮機12に引き込まれ、再圧縮されてから凝縮器14に送られる。このプロセスが繰り返される。
【0018】
実質的に全ての冷凍チラーにおける圧縮機は、圧縮用の回転部品が用いられている。全ての回転機構と同様に、このような回転部品は、例えば軸受26などの潤滑油が必要な軸受に支持されている。好適な実施例では、軸受26は、ポンプ32によってオイル溜め28から供給ライン30を介して送られるオイルによって潤滑される。また、典型的な冷凍チラーのほとんどは、冷凍チラーの軸受の潤滑として少なくともある程度のオイルを用いていることから、システムの圧縮機から吐出される気体冷媒に潤滑油が連行されて冷媒と共に循環する。
【0019】
チラーシステムの圧縮機から凝縮器に送られる冷媒ガスの流れに連行される潤滑油は、凝縮器の底部に落下し、凝縮したシステムの冷媒と共にシステムの膨張装置に送られ、そこを通過する。次に、この潤滑油は、システムの蒸発器に送られ、通常はそのほとんどが蒸発器の底部に溜まる。この時、蒸発器での熱交換プロセス中に気化されなかった液体冷媒も一緒に溜まる。浸漬型蒸発器の場合、潤滑油は蒸発器の液体溜めの上部に溜まるであろう。流下式冷媒蒸発器の場合は、液体は蒸発器の底部に比較的浅く溜まっており、そこに溜まっている潤滑油は、濃度が比較的高くかなり均質でありうる。貯留したこのような潤滑油と液体冷媒の混合液は、図1の参照符号36で示されている。
【0020】
好適な実施例では、蒸発器18は、冷媒分散器34を用いる流下式冷媒蒸発器型の蒸発器である。本発明の好適な実施例では、蒸発器18は流下式冷媒蒸発器であるが、本発明はこのような流下式冷媒蒸発器を用いなくてもよく、その他のタイプの蒸発器も用いることができる。同様に、本発明は、遠心式ではないタイプの圧縮機を用いるチラーシステムにも利用することもできる。また、このチラーシステムは、オイル溜めからオイルを圧縮機の軸受表面に供給するためにポンプ32などのポンプを用いても用いなくても良い。このような他のシステムは、例えば、スクロールタイプ、スクリュータイプ、または他のタイプの圧縮機を用いることが可能である。
【0021】
冷凍チラーが運転中、蒸発器はチラーにおいて最も圧力が低い場所であり、そして気化された冷媒が通常は、チラーの蒸発器の上部から引き込まれるため、潤滑油が冷凍チラーの蒸発器の中に送られて蒸発器の底部に溜まり、そこに留まり蓄積される。潤滑油がチラーの圧縮機及び/またはそのオイル溜めに戻されないと、圧縮機は潤滑油が不足し、致命的な故障が起こり得る。
【0022】
引き続き図1を参照すると、前述のように、圧縮機の軸受26は、ポンプ32によってオイル供給ライン30を介してオイル溜め28からその軸受26に送られるオイルで潤滑され、蒸発器18が流下式冷媒蒸発器のタイプである。蒸発器18が流下式冷媒蒸発器のタイプであるため、蒸発器の底部に液体で溜まる混合液36は比較的浅い。また、そのほとんどは液体冷媒であるが、オイルを比較的多く含んでいる。
【0023】
蒸発器の混合液36は、オイルを多く含んでいるが温度及び圧力が比較的低い液体冷媒を含んでいるため、加熱されると、混合液の冷媒部分が沸騰/気化し、それによって、混合液が加熱される部分で比較的激しい泡立ち及びパーコレーションが起こる。このようなパーコレーションが続いた場合、その力はかなり高エネルギーかつ激しいため、熱が加えられる部分から蒸発器のオイルを多く含んだ混合物のスラグが鉛直上方に跳ね上げられる。
【0024】
好適な実施例では、混合液36は、重力によって蒸発器18から所定の位置38に送られ、そこでオイルの戻しプロセスとして加熱される。しかしながら、重力によってではなくエダクタやポンプなどによって、このような混合液を熱交換位置に送ることもできる。そのためにエダクタやポンプを用いると、構造が複雑になりかつ費用がかかる。更に、重力を利用する場合には起こり得ない故障が起こり得る。
【0025】
好適な実施例では、オイルの戻しプロセスの熱交換は、ポンプ32によってオイル溜め28から供給ライン30を介して送出される比較的高温のオイルと、重力によって蒸発器18から熱交換部38に流れる高オイル混合液36の一部との間で起こる。好適な本実施例では、位置38における熱交換は、混合液36が蒸発器18から圧縮機のオイル溜め28に戻される供給ライン40と、圧縮機の高温の潤滑油がオイル溜め28から送られる供給ライン30との物理的な接触によって行われる。このような熱交換は、二つのラインが接触してそれぞれのラインの壁部を介して熱交換するための構造を除けば、比較的安価且つ単純な構造で達成できることを理解されたい。
【0026】
熱交換位置38は、実際には独立した熱交換装置ではないが、ある種の熱交換器であることを理解されたい。しかしながら、図1に破線で示されている熱交換器38Aなどの独立した熱交換器を、上述した熱交換を行うために供給ライン30及び供給ライン40の間に配設することもできる。しかしながら、独立した熱交換器は必要ではないことが分かり、仮に独立した熱交換器を用いたとすると、その材料及び製造にかかるコストがチラーのコストに加わることを理解されたい。
【0027】
このような物理的な接触が行われると、軸受を潤滑するためにオイル溜め28からその軸受に供給されるオイルの熱が、位置38において、オイルの戻りライン40に存在する高オイル混合液に十分に与えられ、それによって供給ライン40の内部の位置38において高オイル混合液のパーコレーションが引き起こされる。
【0028】
先述したように、この熱交換による副次的な利点は、潤滑油がコンプレッサの軸受に供給される前にオイルが冷却されることである。このようなオイルの冷却は有益であるが、ほとんどの場合、図1に波線で示されたオイルクーラー42などの独立したオイル冷却装置を使用することによって補われる。
【0029】
オイル溜め28からの比較的高温のオイルと熱交換させるために混合液36を供給する様々な他の装置/方法は、本発明の範囲内であることを理解されたい。このような装置の一例には、図2に図示したチューブの中にチューブが入る熱交換構造のタイプも含まれる。具体的には、図2に示されているように、連続する供給ラインとして図示した供給ライン40の周囲に閉じたチューブ部材100が配設されている。比較的高温の潤滑油が、ポンプ32によって、オイル溜め28から供給ライン30の部分30aを介して、高温のオイルで満たされたチューブ状部材100の内部に送られる。この高温のオイルは、蒸発器からの高オイル混合液が流れているオイルの戻りライン40の外面と直接熱交換する。チラーの運転中は、チューブ状部材100の内部にオイルが連続的に流入しているため、供給ライン40における混合液36のパーコレーションが起こり、混合液36のスラグがオイル溜め28に送られる。次に、このオイルは、チューブ状部材100から供給ライン30の部分30bを介して圧縮機の軸受部に送られる。高温の圧縮機のオイルを蒸発器からの混合液36と熱交換させるその他の装置も本発明の範囲に含まれることを理解されたい。
【0030】
冷凍チラーにおいて、蒸発器からオイルをオイル溜めに戻すためのパーコレーションを引き起こすために、圧縮機のオイル以外の熱を利用することも本発明に含まれる。理論的にはこのような熱は、可能性としては凝縮器からのシステムの冷媒を利用して、或いは供給ライン38の周りに巻く電気的な熱テープなどの装置によって供給することが可能である。本発明の最も広い範囲では、冷凍チラーのオイル溜めにオイルを戻すべく、蒸発器からの高オイル混合液36に熱を加えてパーコレーションを引き起こすことも本発明に含まれる。しかしながら、好適な実施例では、このようなパーコレーションを引き起こすための熱源は、チラーが運転中にチラーのオイル溜めに存在する比較的高温のオイルである。
【0031】
図3を参照すると、蒸発器18の側面図が示されている。膨張装置16から蒸発器18内に送られた二相冷媒混合液は、分散器34によって液滴の形態でチューブ束24の上に撒かれる。図1及び図3から分かるように、分配器34は、チューブ束24の長さ方向及び幅方向のほぼ全域に渡って延在する。
【0032】
蒸発器、特に流下式冷媒蒸発器のタイプの底部に見られる液体冷媒オイルの貯留部に関連して、ある現象が発生することに注意されたい。蒸発器18に配設されたチューブ束24における個々のチューブ22の中には、混合液36の中に入っているものがあり、それらのチューブ内を流れる媒体の熱がシステムの冷媒に与えられるために、これらのチューブ内を通過する際に温度が変化する。加えて、分散器34は、蒸発器のチューブ束の長さ方向及び幅方向全体に渡って冷媒を完全に均一には分散できないという特性から、蒸発器の底部に溜まる高オイル混合液36には、その長さ方向、幅方向、及び深さ方向における温度勾配が存在する。その結果、蒸発器シェル内の混合液36中において、ある程度のオイルの流れ及び移動が起こることが分かっている。蒸発器シェル内の混合液36中におけるオイルの移動によって、蒸発器シェル内のある部分で、混合液36中のオイルの濃度がさらに上昇し、それによっていくらか温度が上昇する。
【0033】
好適な実施例の蒸発器では、混合液36中のオイルの濃度は概ね一定であるが、蒸発器シェルの端部で最大である。従って、この好適な実施例では、オイルの戻りを最適化するべく、蒸発器18からオイル溜め28に戻される混合液は、混合液36中のオイルの濃度が最も高い蒸発器の両端部から導かれる。従って、蒸発器18内の高オイル混合液は、好適な実施例では2箇所から導かれるが、供給ライン40a及び供給ライン40bを通ってからT字部分44で合流して1つの供給ライン40となる。混合液中のオイルの濃度が最も高い蒸発器18の1或いは複数の位置から高オイル混合液36を導くことによって、オイルを戻す効率を向上させ、それによってチラー10の全体の信頼性も向上できる。供給ライン30及び供給ライン40の大きさ/直径は、チラーシステムの特性によって左右されることを理解されたい。蒸発器内に輸送されるオイルが比較的少量で、その輸送速度が遅いシステムの場合、供給ラインを比較的小さい1.27cm(1/2インチ)或いはそれ以下の大きさにすることができる。
【0034】
好適な発明を、好適な実施例及び代替の実施例を用いて説明してきたが、当業者には上記した開示から明らかであるように様々な他の実施例も本発明の範囲内であることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の冷凍チラーの模式図であり、オイルの戻りプロセス及びそれに関連する装置を示す。
【図2】 図1の好適な実施例に代替するオイル冷却熱交換装置を示す図である。
【図3】 本発明の好適な実施例の蒸発器の側面図であり、高オイル混合液が導かれる液体混合液におけるオイルの濃度が比較的高い位置を示す。

Claims (30)

  1. 冷凍チラーであって、
    圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、潤滑油溜めと、第1の供給ラインと、潤滑油供給装置と、第2の供給ラインとを備え、
    前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張装置、及び前記蒸発器が冷媒循環経路を形成するべく連結されており、
    前記第1の供給ラインを介して前記潤滑油溜めから前記圧縮機内のある部分に潤滑油が供給されるようになっており、
    前記潤滑油供給装置によって、前記潤滑油溜めから前記第1の供給ラインに潤滑油が供給されるようになっており、
    前記第2の供給ラインの端部の一方が、前記冷凍チラーが運転中に潤滑油が輸送される前記蒸発器内の所定の位置に連結されており、前記第2の供給ラインの端部の他方は、前記潤滑油溜めに連結されており、前記輸送された潤滑油が、前記蒸発器内で液体冷媒と混合されて潤滑油液体冷媒混合液となり、前記蒸発器内の前記所定の位置における前記潤滑油液体冷媒混合液の潤滑油濃度が、前記蒸発器内の他の位置の潤滑油濃度より高く、
    前記第2の供給ラインと前記第1の供給ラインとが互いに熱交換するように配設され、前記第1の供給ラインを流れる潤滑油が、前記第2の供給ラインを流れる前記潤滑油液体冷媒混合液に十分な熱を与え、それによって前記蒸発器と前記潤滑油溜めとの間の圧力差がない状態で、前記第2の供給ラインを流れて前記潤滑油溜めに流入する前記潤滑油液体冷媒混合液の少なくとも一部の流れが引き起こされ、前記冷凍チラーの動作中に前記第2の供給ラインによる前記蒸発器と前記潤滑油溜めとの間の連通状態が維持されるようになっていることを特徴とする冷凍チラー。
  2. 前記第2の供給ライン内を流れるようにされた潤滑油冷媒混合液が、前記潤滑油溜めに導かれるようになっていることを特徴とする請求項1に記載の冷凍チラー。
  3. 前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインとの相互の熱交換が、前記蒸発器の外部における前記両供給ラインの物理的接触によって達成されることを特徴とする請求項2に記載の冷凍チラー。
  4. 前記物理的接触の位置が、前記潤滑油冷媒混合液が重力によって前記蒸発器から送られる位置であることを特徴とする請求項3に記載の冷凍チラー。
  5. 前記蒸発器が流下式冷媒蒸発器(falling film type)であることを特徴とする請求項4に記載の冷凍チラー。
  6. 前記第1の供給ラインを流れる流体が前記第2の供給ラインの潤滑油液体冷媒混合液に熱を与えて初めに冷却される位置の下流に、前記第1の供給ラインを流れる潤滑油を冷却するための装置を更に含むことを特徴とする請求項5に記載の冷凍チラー。
  7. 前記第2の供給ラインが、前記各位置が前記潤滑油液体冷媒混合液の潤滑油の濃度が前記蒸発器の他の位置より一般に相対的に高い2つ以上の位置で、前記蒸発器に連結されていることを特徴とする請求項4に記載の冷凍チラー。
  8. 前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインの一方の少なくとも一部が、前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインの他方の少なくとも一部の内部を通り、そこで、前記第1の供給ラインを流れる潤滑油から前記第2の供給ラインを流れる潤滑油液体冷媒混合液に熱が与えられ、前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインの一方を流れる流体中を、前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインの他方が通り、前記流体が内側の供給ラインの外面と直接接触して互いに熱交換されることを特徴とする請求項2に記載の冷凍チラー。
  9. 前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインが前記蒸発器の外部で互いに熱交換し、その熱交換する位置が、前記潤滑油液体冷媒混合液が重力によって前記蒸発器から送られうる位置であることを特徴とする請求項2に記載の冷凍チラー。
  10. 前記第1の供給ラインを流れる潤滑油と前記第2の供給ラインの潤滑油液体冷媒混合液とが互いに熱交換される位置において、前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインが互いに物理的に接触することを特徴とする請求項8に記載の冷凍チラー。
  11. 前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインの間であって、かつ前記第1の供給ラインを流れる潤滑油と前記第2の供給ラインの潤滑油液体冷媒混合液とが互いに熱交換される位置に配設された熱交換器を更に含むことを特徴とする請求項2に記載の冷凍チラー。
  12. 冷凍チラーであって、
    圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、オイル溜めと、熱交換器とを含み、
    前記圧縮機が、チラーの運転中にそれ自体にオイルを供給するようになっており、
    前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張装置、及び前記蒸発器が冷媒循環経路を形成するべく連結されており、前記チラーの運転中に前記圧縮機に供給されるオイルの一部が前記蒸発器に送られ、前記オイルが前記蒸発器の液体冷媒と混合して、オイル液体冷媒混合液となり、
    オイルが前記圧縮機に供給される位置に前記オイル溜めが配置されており、
    前記熱交換器に、前記オイル溜めからのオイル及び前記蒸発器からのオイル液体冷媒混合液が流れ、前記冷凍チラーの運転中に、前記蒸発器と前記オイル溜めとの間の圧力差がない状態で、前記オイル液体冷媒混合液のスラグ(ピストン流体)が前記熱交換器から前記オイル溜めに送られ、従って、前記蒸発器と前記オイル溜めとの間の連通状態が維持されるのに十分な前記オイルの熱が、前記熱交換器において前記オイル液体冷媒混合液に与えられ
    前記オイル液体冷媒混合液は、前記蒸発器内における前記オイル液体冷媒混合液のオイルの濃度が他の位置より実質的に高い位置から導かれることを特徴とする冷凍チラー。
  13. 前記オイル溜めの位置が、前記蒸発器の前記オイル液体冷媒混合液の液面の垂直上方であることを特徴とする請求項12に記載の冷凍チラー。
  14. 前記オイル溜めから前記熱交換器に至るオイルの流れは、前記オイルが前記圧縮機の使用される位置に送られる時の経路であることを特徴とする請求項13に記載の冷凍チラー。
  15. 前記オイル溜めから前記圧縮機の使用される位置にオイルを送る第1の供給ラインと、前記オイル液体冷媒混合液が存在する前記蒸発器のある位置と前記オイル溜めとを連通する第2の供給ラインとをさらに含み、前記熱交換器で前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインと物理的に接触することを特徴とする請求項14に記載の冷凍チラー。
  16. 前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインとが物理的に接触する位置が、前記第2の供給ラインを介して前記熱交換器に至る前記オイル液体冷媒混合液が前記蒸発器から流れ出る位置と概ね同じ或いはそれより低い位置であるため、前記オイル液体冷媒混合液の前記位置への流れが重力によって助けられることを特徴とする請求項15に記載の冷凍チラー。
  17. 冷凍チラーの蒸発器から潤滑油液体冷媒混合液を前記冷凍チラーの潤滑油溜めに供給して、潤滑油が前記チラーの圧縮機で利用できるようにする前記冷凍チラー内の装置であって、
    第1の供給ラインと第2の供給ラインとを含み、
    前記第1の供給ラインによって前記オイル溜めと前記圧縮機とが連通し、前記チラーの運転時、前記第1の供給ラインを介して前記オイル溜めから前記圧縮機に潤滑油が流れるようになっており、
    前記第2の供給ラインによって前記蒸発器と前記オイル溜めとが連通し、前記チラーの運転時、前記潤滑油液体冷媒混合液が前記第2の供給ラインの中を流れ、前記蒸発器において前記第2の供給ラインが連結している位置は、前記潤滑油液体冷媒混合液の潤滑油濃度が前記蒸発器内の他の位置より実質的に高い位置であり、
    前記第2の供給ラインを流れる潤滑油液体冷媒混合液の温度が前記第1の供給ラインを流れる潤滑油の温度より低く、前記第1の供給ラインを流れる潤滑油が前記第2の供給ラインの潤滑油液体冷媒混合液に十分に熱を与えるように、前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインとが互いに熱交換する関係になっており、前記冷凍チラーの運転中に、前記蒸発器と前記オイル溜めとの間の圧力差がない状態で、前記潤滑油液体冷媒混合液のスラグが前記熱交換器の位置から前記オイル溜めに送られ、従って前記第2の供給ラインによる前記蒸発器と前記潤滑油溜めとの間の連通状態が維持されるのに十分なエネルギーで、前記潤滑油液体冷媒混合液の液体冷媒の少なくとも一部が蒸発させられるようになっていることを特徴とする装置。
  18. 熱交換を促進するべく、前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインが互いに物理的に接触するようになっていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
  19. 前記第1の供給ラインと前記第2の供給ラインとの前記物理的な接触位置が、前記潤滑油液体冷媒混合液が前記蒸発器から前記第2の供給ラインに入る位置と同じ或いはそれより低い位置であることを特徴とする請求項18に記載の装置。
  20. 前記第2の供給ラインが、前記蒸発器の潤滑油と液体冷媒の混合液のオイルの濃度が前記蒸発器内の他の位置より一般に高い1或いは複数の位置で、前記蒸発器と連結されていることを特徴とする請求項19に記載の装置。
  21. 熱交換器を更に含み、前記熱交換器が、前記第1の供給ライン及び前記第2の供給ラインの両方の間に配置されており、前記熱交換器内において、前記第1の供給ラインを流れる潤滑油が前記第2の供給ラインを通って前記熱交換器内に送られる潤滑油液体冷媒混合液と熱交換するようになっていることを特徴とする請求項17に記載の装置。
  22. 冷凍チラーであって、
    圧縮機と、凝縮器と、膨張装置と、蒸発器と、オイル溜めと、高温の流体と、オイルの戻りラインと、熱交換器とを含み、
    前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張装置、及び前記蒸発器が冷媒循環経路を形成するべく連結されており、
    前記冷凍チラーの運転時、前記圧縮機から前記蒸発器にオイルが供給され、そこでオイルと液体冷媒とが混合され、
    前記オイル液体冷媒混合液より温度が高い前記高温の流体が、前記冷凍チラー内に存在しており、
    前記オイルの戻りラインが、前記チラーの運転時に前記オイル液体冷媒混合液が前記蒸発器から前記オイル溜めに流れるように設けられ、それによって前記蒸発器と前記オイル溜めとが連通しており、前記蒸発器において前記オイルの戻りラインが連結している位置は、前記オイル液体冷媒混合液のオイル濃度が前記蒸発器内の他の位置より実質的に高い位置であり、
    前記熱交換器によって前記高温流体前記オイル戻りラインを流れる前記オイル冷媒混合液とが互いに熱交換し、前記冷凍チラーの運転中に、前記蒸発器と前記オイル溜めとの間の圧力差がない状態で、前記オイル冷媒混合液のスラグ前記オイル戻りラインから前記オイル溜めに送られ、従って前記オイル戻りラインによる前記蒸発器と前記潤滑油溜めとの間の連通状態が維持されるのに十分な作用をもつ前記オイル冷媒混合液のパーコレーションが引き起こされることを特徴とする冷凍チラー。
  23. 前記高温流体が、前記冷媒循環経路内を流れる冷媒或いは前記オイル溜めから送られるオイルの一方であることを特徴とする請求項22に記載の冷凍チラー。
  24. 前記高温流体が前記オイル溜めから送られるオイルであることを特徴とする請求項23に記載の冷凍チラー。
  25. オイル供給ラインを更に含み、前記熱交換器が前記オイル供給ラインの一部及び前記オイル戻りラインの一部を含み、前記オイル供給ラインの一部と前記オイル戻りラインの一部とが物理的に接触して、その物理的に接触する位置で、前記オイル供給ラインを流れるオイルが前記オイル戻りラインのオイル液体冷媒混合液に熱を与えることを特徴とする請求項24に記載の冷凍チラー。
  26. 冷凍チラーにおいて、オイルを蒸発器から圧縮機のオイル溜めに戻す方法であって、
    オイルと液体冷媒の混合液を前記蒸発器に溜めるステップと、
    前記蒸発器と前記オイル溜めとを連通するラインを介して前記混合液を供給することによって前記混合液を前記蒸発器の外側の位置に送るステップであって、前記蒸発器において前記ラインが連結している位置は、前記混合液のオイル濃度が前記蒸発器内の他の位置より実質的に高い位置である、該ステップと、
    前記蒸発器の前記外側の位置で前記混合液を加熱して、前記蒸発器と前記オイル溜めとの間の圧力差がない状態で、前記混合液の少なくとも一部を前記オイル溜めに送り、従って前記オイル戻りラインによる前記蒸発器と前記潤滑油溜めとの間の連通状態を維持させるのに十分なエネルギー作用をもつ前記混合液のパーコレーションを起こすステップとを含むことを特徴とする方法。
  27. 前記オイル溜めから前記圧縮機にオイルを供給するステップを更に含み、前記加熱ステップが、前記供給ステップにおいて前記圧縮機に供給されたオイルを前記混合液と互いに熱交換させるステップを含み、前記熱交換ステップにおいて、前記オイルが前記混合液のパーコレーションを起こすべく前記混合液に熱を与えるとともに、前記圧縮機に供給される前に冷却されることを特徴とする請求項26に記載の方法。
  28. 前記供給ステップが、重力を利用して前記蒸発器から前記混合液を熱交換接触位置に送るステップを含むことを特徴とする請求項27に記載の方法。
  29. 前記オイルを前記混合液と熱交換させるステップの後に前記オイルを冷却するステップを更に含むことを特徴とする請求項28に記載の方法。
  30. 前記混合液を前記蒸発器の外側の位置に送る前記ステップが、前記オイル液体冷媒混合液を、前記蒸発器における前記混合液のオイルの濃度が前記蒸発器の別の位置より一般に高い位置から導くステップを更に含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。
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