JP4453461B2 - ピアノ型鍵盤楽器へのスピーカの取り付け構造 - Google Patents
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Description
上記特許文献2は、回転可能に支持されたスピーカボックスを演奏者側(前方)に向けること又は聴衆側(後方)に向けることで、2方向にスピーカの向きを変更しうることを開示しているが、これは、スピーカボックスが両側板を貫通する回転用ビスによって回転自在に支持される構成であるため、その取り付け位置を自由に変更することはできなかった。また、上記特許文献1にあっては、スピーカは支柱や側板等のピアノの構造部材上に固定されるものとして記述されているものの、その具体的な取り付け方法については示されておらず、取り付け位置やスピーカの向きを可変とする構成についての示唆はない。
スピーカを支柱等のピアノ本体の構造部材上に固定する方法として、例えば、L字金具等の連結具を介してネジ止めすることが考えられるが、その場合、該構造部材に対してネジ穴を穿つ必要がある。すなわち、このような方法では、ピアノ本体に対してスピーカを取り付けるための何らかの機械加工を施さねばならなかったので、ピアノ本体の部材を傷つけることになってしまう。また、この場合に位置変更を可能に構成したとしても、その位置変更作業は簡易に行えるものではなかった。
また、係止部を介してスピーカを取り付ける構成であるため、着脱容易な構成により、ピアノ型鍵盤楽器に対してスピーカの取り付け及び取り外しを行うことが可能となる。例えば、第1又は第2の取り付け部材側に設けられたL字金具と、スピーカ側に設けられた該L字金具に係合する貫通穴により係止部を構成することで、ピアノ型鍵盤楽器に対するスピーカの着脱作業が容易なスピーカ取り付け構造を提供することができる。
更に、スピーカの配置位置は、スピーカ指向方向を調整可能な第1の配置位置、又はスピーカ本体が楽器側面から見えない位置に収容される第2の配置位置のいずれかを選択できる。第1の配置位置では、スピーカ指向方向を任意に調整できる。第2の配置位置を選択した場合には、楽器側面からは目に付かない位置にスピーカが隠されるので、楽器外観にスピーカが露出することを可及的抑制できる。第2の配置位置は、ピアノの外観、全体的な雰囲気、或いは、趣等を損なわずにスピーカを取り付けることができるので、特に、アコースティックのピアノにスピーカを装着するときに、好ましい。
また、符号2は当該ピアノに組み付けるべきスピーカである。スピーカ2としては、適宜の汎用のボックスタイプのスピーカを適用して差し支えない。この例では、スピーカ2は、その本体を成すスピーカボックスの前面に設けられた放音口がピアノ下面側を指向する向きで設置される(図1においてはスピーカ2の裏面2a側が図の前面に顕れている)。また、スピーカ2の底面部2bには、詳しくは後述するスピーカ保持金具20が取り付けられている。なお、スピーカ2の裏面2aには、オーディオ入力プラグや当該スピーカ2の電源スイッチ等が設けられていてよい。
スピーカ保持金具20の他方の端部(図2(b)において下側)には、円弧状のネジ穴26が穿設されており、該ネジ穴26を介してネジ27をスピーカに螺着する。ネジ穴26とネジ27は、前記「第1の配置位置」におけるスピーカ保持金具20のスピーカ2への取り付けに利用されると共に、スピーカ2をスピーカ取り付け部材20に対して相対的に回動させる際の回動ガイド部材として機能する。スピーカ保持金具20に対するスピーカ2の回転位置を可変することで、スピーカ2の支柱1に対する取り付け向き、すなわち、「第1の配置位置」では、スピーカ2の指向方向が調整可能となっている。
これにより、作業者は、スピーカ2を支柱1上の任意の箇所で簡単に取り付けることができる。また、L字状金具10での係止を解くだけで間単にスピーカ2を取り外すことができる。また、ピアノ本体の部材(支柱1等)に直接スピーカ2を取り付けるためのネジ穴等を穿つ等の機械加工を行う必要がないので、ピアノ本体の部材を傷めることがない。
また、スピーカ2の取り付け位置の変更するには、取り付けネジ5a〜5cを緩めることで、第1及び第2の取り付け部材3,4の位置をずらすだけで実施可能であるため、ネジ取り外しの手間等をかけることなく、簡便に行うことができる。
また、図3(c)は、第2の配置位置でスピーカ2を支柱1に取り付けた状態を示す斜視図である。第2の配置位置では、スピーカ2の指向方向は下向きで固定されており、スピーカ2の取り付け位置が全体としてピアノ本体下面の奥に引っ込むので、楽器側面からは目に付かない位置にスピーカ2が収容され、支柱1の下側へのスピーカ2の突出部分が可及的少なくなる。第2の配置位置を採用することで、殊にアコースティックのピアノにおいて、ピアノの外観や全体的な雰囲気や趣が損なわれることがないよう、スピーカ2の露見を可及的抑制できるので好ましい。
また、上記実施例では、取り付け部材4にスピーカ保持金具20を引っ掛けるL字状金具10を設け、スピーカ保持金具20に該L字状金具10と係合する「貫通穴」が設けた構成を示したが、スピーカ2側にL字状金具を設け、取り付け部材側にL字状金具と係合する「貫通穴」を設ける構成であっても良いし、また、スピーカ係止機構の形態はL字状金具と穴との係合による形態に限らず、対向するL字状金具を、スピーカ、取り付け部材側にそれぞれ設ける構造であってもよいし、L字(鉤手)状に曲がった部材に限らず、棒状に部材を穴に引っ掛ける構造など、スピーカを取り付け部材に係止できるのであれば、どのような構造であっても良い。また、スピーカ保持金具20のスピーカ2への取り付け位置を、スピーカ指向方向を調整可能な第1の配設位置と、スピーカ指向方向を固定したままスピーカ本体が楽器側面から見えない位置に収容される第2の配設位置の2箇所から選択可能な構成を示したが、これに限らず、上記2箇所の双方にてスピーカ指向方向を調整可能な構成であってもよいし、或いは、位置選択のないシンプルな構成であってもよいし、更には、上記2箇所からの選択に限らず、よりフレキシブルな位置設定ができるような構成であっても差し支えない。
以下の説明において、既述のものと同様な構成要素については、図示及び説明の便宜上同じ符号を付与し、その詳細な説明は適宜省略するものとする。
図4に示すスピーカの取り付け構造は、スピーカ2が直接的に装着される第1の取り付け部材3と、前記第1の取り付け部材3と協働して支柱1を両側から挟持するための第2の取り付け部材4を含む。第1の取り付け部材3と第2の取り付け部材4は、各々、全体として平板な板状部材によって構成され、両取り付け部材3,4は、支柱1上の任意のスピーカ取り付け位置において支柱1を挟み込むよう互いに対向して配置され、取り付けネジ5a〜5dによって第1及び第2取り付け部材3,4間が相互に締結されることで、支柱1を挟持した状態で固定される。
スピーカ支持部31には、スピーカ2を装着するために、一対の第1通孔34a、34b及び一対の第2通孔35a、35bが設けられている。これらの通孔34a、34b、35a、35bは、同一円周P上に配置されており、通孔の各対34aと34b、並びに、35aと35bは、円周Pの中心点Oについて対称に位置する。スピーカ2の装着に使用する通孔の対を変更することで、スピーカの指向方向を選択的に変更できる。例えば、図4に示すようにスピーカ2の放音口を下向きに設置するときは、第1通孔34a、34bにネジ36a、36bを装着してスピーカ2を取り付けるものとし、放音口の指向方向を90°変える、つまりスピーカを略水平向きに指向させるときは、第2通孔35aと35bを用いて、スピーカ2の取り付けを行うことができる。
これら通孔34a、34b及び35a、35bは、スピーカ2の指向方向を調整するための角度調整機構としても機能する。図に示すとおり、各通孔34a、34b及び35a、35bは、円周Pの周方向に沿って所定の角度範囲にわたって延びた長手孔状に形成されている。図2では、一例として、第1通孔34a、34bは、中心点Oを中心にして略90°の角度範囲にわたって延びる長手孔である。また、第2通孔35a、35bは、中心点Oを中心にして略40°の角度範囲にわたって延びる長手孔である。作業者は、スピーカ2の取り付け角度を、現在使用している通孔の対が許容する角度範囲内において自在に調整することができる。
図7(a)は、当該別の構成例に係るスピーカの取り付け構造をピアノ下面側から見た示す平面図であり、(b)は(a)の矢印Fから見た側面図である。また、図8(a)は図7の第1の取り付け部材3を矢印Gから見た正面図、(b)は該取り付け部材3の平面図、(c)は該取り付け部材3の側面図、を夫々示す。図7及び図8に示すように、第1の取り付け部材3のスピーカ支持部31は、当接面30の一縁部から略垂直に立ち上がるよう形成される。スピーカ2は、その底面部において、スピーカ支持部31に具わる通孔の対(34a、34b又は35a、35b)にネジ12a、12bによって角度調整可能に取り付けされる。なお、第2の取り付け部材4は図4〜図6に示したものと同様に構成される。図7(a),(b)に示すように、第1の取り付け部材3が支柱1に取り付けされた状態では、スピーカ支持部31は支柱1の側面から略垂直に延び、スピーカ2は、該スピーカ支持部31において、スピーカの長手方向が支柱1の長手方向に沿って平行に延びるよう片持状に支持される。なお、図7(b)において、符号2cはオーディオ入力プラグである。
図7及び図8の第1の取り付け部材3によれば、スピーカ支持部31が支柱1に対して略垂直になることにより、第1の取り付け部材3と第2の取り付け部材4を支柱1に固定した後にも、スピーカ支持部31の裏面(ネジ12a、12bの頭が出る面)が作業者に対して露呈しうる。従って、両取り付け部材3,4を支柱1に取り付けたままの状態で、スピーカ2の着脱や、スピーカ2の指向方向の調整を自在に行うことができるという利点がある。また、第1の取り付け部材3にスピーカ2を装着してから両取り付け部材3,4をピアノ側に固定する手順、あるいは、両取り付け部材3,4をピアノ側に固定してからスピーカ2を装着する手順の何れの手順でもスピーカの取り付け作業が実施できるので、作業手順を自由にできるという利点がある。
また、上記図4〜図8の例では、4本の取り付けネジ5a〜5dを用いて第1及び第2の取り付け部材3,4を締結する例について説明したが、ネジ締め箇所及び数は上記に限定されない。例えば各取り付け部材3,4の4つのネジ穴(33a〜33d/40a〜40d)のうち、各々対角線上に位置する2つのネジ穴箇所のみ使用してもよい。
Claims (1)
- ピアノ型鍵盤楽器にスピーカを取り付けるためのスピーカ取り付け構造であって、
前記ピアノ型鍵盤楽器においてスピーカを取り付けるべき箇所の楽器構造部材に当接可能な第1の取り付け部材と、
前記構造部材において前記第1の取り付け部材の当接位置と反対側の位置に当接可能な第2の取り付け部材と、
前記第1の取り付け部材と前記第2の取り付け部材によって前記構造部材を両側から締め付ける締め付け手段と、
前記スピーカを直接又は間接的に係止する係止部であって、該スピーカを該係止部に係止した状態で、前記第1又は第2の取り付け部材に対して該スピーカを固定するものと、
前記係止部に係止されたスピーカの指向方向を調整可能にする調整手段と、
前記第1又は第2の取り付け部材に対するスピーカの配置位置として、前記調整手段によりスピーカ指向方向を調整可能な第1の配置位置と、スピーカ指向方向を固定したままスピーカ本体が楽器側面から見えない位置に収容される第2の配置位置のいずれかを選択可能にする選択手段と
を具備することを特徴とするスピーカの取り付け構造。
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