しかし、従来のエリア別空調制御システムは、個人の要求通りに空調を行うことから、エネルギーを多量に消費する傾向があるという問題を有している。
一方、近年、地球環境保全の観点から、社会の省エネルギー化が促進されている。このような背景のもと、建物の用途別に適正なエネルギー消費量が公開され、建物のオーナーには、この値を目標として建物の省エネルギー化に努めることが社会的責務として課される傾向にある。上述したエリア別空調制御システムと省エネルギー化とは、エネルギー的にトレードオフの関係になることが多く、この関係を最適に保つシステムが今後求められる。このシステムを省エネルギー化する最も簡便な方法は、一律単純にそのシステムの運転を抑制制御することである。しかしながら、一律単純にこのシステムの運転を抑制制御して省エネルギー化を行うのが好ましくない場合も考えられる。例えば、このシステムを会社のオフィス等に導入する場合である。会社のオフィス等では、非常に忙しい時期もあれば暇な時期もあるのが通常である。このような場合、一律単純にそのシステムの運転を抑制制御して省エネルギー化を行うと、非常に忙しい時期において疲労が蓄積し生産性が低下するおそれがある。
本発明の課題は、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができるエリア別空調制御システム、エリア別空調制御方法及びエリア別空調制御プログラムを提供することにある。
請求項1に係るエリア別空調制御システムは、空気調和装置を制御するエリア別空調制御システムであって、要望期間入力部と、環境提供制御部とを備える。環境提供装置は、複数のエリアそれぞれに対して空調環境を提供する。要望期間入力部には、それぞれのエリアに属する個人及び団体の少なくとも一方(以下、個人等とする)から、要望期間が入力される。要望期間は、快適な空調環境が要望される期間である。環境提供制御部は、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において提供する空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。また、環境提供制御部は、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、複数のエリアに対する空調環境の提供に必要なエネルギー量が所定の目標上限値より大きい場合には、所定の目標値を変更して、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。
このエリア別空調制御システムでは、要望期間入力部に、それぞれのエリアに属する個人等から要望期間が入力される。環境提供制御部が、要望期間の情報を要望期間入力部から受け取ることができる。環境提供制御部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において提供する空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。
したがって、要望期間に快適な空調環境を提供しつつ所定期間における空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値とすることができる。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができる。
なお、「要望期間に基づいて」とは、要望期間そのものに基づくことのほか、要望期間に基づいた情報に基づくことも含む。
また、このエリア別空調制御システムでは、環境提供制御部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、複数のエリアに対する空調環境の提供に必要なエネルギー量が所定の目標上限値より大きい場合には、所定の目標値を変更して、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。
したがって、エネルギー量が所定の目標上限値を超える場合に、空調環境に関する値である体感指標についての所定の目標値を変更して空調制御を行うので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項2に係るエリア別空調制御システムは、請求項1に記載のエリア別空調制御システムであって、環境検知部をさらに備える。環境検知部は、複数のエリアに対する体感指標を検知する。
このエリア別空調制御システムでは、環境検知部が、複数のエリアに対する体感指標を検知する。環境提供制御部が、体感指標の情報を受け取ることができる。環境提供制御部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間における体感指標の平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して環境提供制御を行う。
したがって、体感指標を検知するので、体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。
請求項3に係るエリア別空調制御システムは、請求項1又は2に記載のエリア別空調制御システムであって、平均値は、エリア別平均値を含む。エリア別平均値は、エリアそれぞれにおける体感指標の平均値である。エリア別空調制御システムは、第1演算部をさらに備える。第1演算部は、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値を演算する。環境提供制御部は、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。
このエリア別空調制御システムでは、平均値が、エリア別平均値を含む。第1演算部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値を演算する。環境提供制御部が、エリア別平均値の情報を第1演算部から受け取ることができる。環境提供制御部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。
したがって、エリア別平均値を演算するので、所定期間における体感指標の平均値が所定の目標値になるようにエリア毎に制御することができる。
請求項4に係るエリア別空調制御システムは、請求項3に記載のエリア別空調制御システムであって、平均値は、全体平均値をさらに含む。全体平均値は、エリア別平均値を複数のエリアについて平均した値である。エリア別環境提供制御システムは、第2演算部をさらに備える。第2演算部は、全体平均値を演算する。環境提供制御部は、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において全体平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して環境提供制御を行う。
このエリア別空調制御システムでは、平均値が、全体平均値をさらに含む。第2演算部が、全体平均値を演算する。環境提供制御部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において全体平均値が所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して空調制御を行う。
したがって、全体平均値を演算するので、エリア別平均値の目標値を決めなくても、所定期間における体感指標の平均値がエリア全体として所定の目標値になるように制御することができる。
請求項5に係るエリア別空調制御システムは、請求項1から4のいずれかに記載のエリア別空調制御システムであって、第3演算部と、第4演算部とをさらに備える。第3演算部は、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、エリアそれぞれにおける空調環境の提供に要するエリア別エネルギー量を演算する。第4演算部は、エリアのエリア別エネルギー量の和を求める。環境提供制御部は、第4演算部で求めた和が目標上限値より小さい場合には、体感指標についての所定の目標値に基づく空調制御を行う。環境提供制御部は、第4演算部で求めた和が目標上限値より大きい場合には、体感指標についての所定の目標値を変更してそれぞれのエリアに対して空調制御を行う。
このエリア別空調制御システムでは、第3演算部が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、エリアそれぞれにおける空調環境の提供に要するエリア別エネルギー量を演算する。第4演算部が、エリアのエリア別エネルギー量の和を求める。環境提供制御部が、エリア別エネルギー量の和の情報を第4演算部から受け取ることができる。環境提供制御部が、第4演算部で求めた和が目標上限値より小さい場合には、体感指標についての所定の目標値に基づく空調制御を行う。環境提供制御部が、第4演算部で求めた和が目標上限値より大きい場合には、体感指標についての所定の目標値を変更してそれぞれのエリアに対して空調制御を行う。
したがって、消費エネルギーが上限値を超える場合に、体感指標についての所定の目標値を変更して、消費エネルギーが上限値を超えないように制御することができる。このため、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項6に係るエリア別空調制御システムは、請求項5に記載のエリア別空調制御システムであって、第3演算部は、要望期間と複数のエリアに関する実環境情報とに基づき、エリア別エネルギー量を演算する。
このエリア別空調制御システムでは、第3演算部が、複数のエリアに関する実環境情報を受け取ることができる。第3演算部が、要望期間と複数のエリアに関する実環境情報とに基づき、エリア別エネルギー量を演算する。
したがって、複数のエリアの空調環境が変動する場合等に、複数のエリアそれぞれにおける空調環境の提供に要するエリア別エネルギー量を正確に推測することができる。
請求項7に係るエリア別空調制御システムは、請求項6に記載のエリア別空調制御システムであって、第3演算部は、複数のエリアに関する過去および現在の実環境情報から近い未来のエリアに関する空調環境を予測し、その予測を基にエリア別エネルギー量を演算する。
このエリア別空調制御システムでは、第3演算部が、複数のエリアに関する実環境情報を受け取ることができる。第3演算部が、複数のエリアに関する過去および現在の実環境情報から近い未来のエリアに関する空調環境を予測し、その予測を基にエリア別エネルギー量を演算する。
したがって、複数のエリアの空調環境変動を前もって推測できる。このため、複数のエリアそれぞれにおける空調環境の提供に要するエリア別エネルギーを前もって推測できる。
請求項8に係るエリア別空調制御システムは、請求項1から7のいずれかに記載のエリア別空調制御システムであって、個人等情報記憶部をさらに備える。個人等情報記憶部は、それぞれのエリアに属する個人等に関する情報を記憶する。環境提供制御部は、個人等情報記憶部の情報から、それぞれのエリアに対して重みづけを行い、その重みづけに応じて空調制御を行う。
このエリア別空調制御システムでは、個人等情報記憶部が、それぞれのエリアに属する個人等に関する情報を記憶する。環境提供制御部が、個人等情報記憶部の情報から、それぞれのエリアに対して重みづけを行い、その重みづけに応じて空調制御を行う。
したがって、個人等に関する情報をもとにエリアに重み付けを行うので、複数のエリア全体として必要なときに生産性を向上することができる。
なお、個人等に関する情報とは、例えば、個人及び/又は団体の査定に関する情報、個人及び/又は団体の業務内容に関する情報、個人の快適感受性に関する情報、個人及び/又は団体が利用する空間のグレード(レンタルオフィス等の場合に適用される。)に関する情報、個人及び/又は団体の不在に関する情報、個人及び/又は団体について撮影した画像に関する情報、個人の生理量に関する情報、個人の健康状態に関する情報、個人及び/又は団体における執務状況に関する情報、個人及び/又は団体における作業誤り状況に関する情報、並びに個人の年齢・性別に関する情報等である。
請求項9に係るエリア別空調制御方法は、空気調和装置が制御されるエリア別空調制御方法であって、要望期間入力ステップと、環境提供制御ステップとを備える。空気調和装置は、複数のエリアそれぞれに対して空調環境を提供する。要望期間入力ステップでは、それぞれのエリアに属する個人等から、要望期間が入力される。要望期間は、快適な空調環境が要望される期間である。環境提供制御ステップでは、要望期間入力ステップで入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境が提供されるとともに、要望期間が含まれる所定期間において提供される空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値にされるように、それぞれのエリアに対して空調制御が行われる。
このエリア別空調制御方法では、要望期間入力ステップにおいて、それぞれのエリアに属する個人等から要望期間が入力される。環境提供制御ステップにおいて、要望期間の情報が受け取られ得る。環境提供制御ステップにおいて、要望期間入力ステップで入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境が提供されるとともに、要望期間が含まれる所定期間において提供される空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値にされるように、それぞれのエリアに対して空調制御が行われる。
したがって、要望期間に快適な空調環境を提供しつつ所定期間における空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値とすることができる。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができる。
なお、「要望期間に基づいて」とは、要望期間そのものに基づくことのほか、要望期間に基づいた情報に基づくことも含む。
また、このエリア別空調制御方法では、環境提供制御ステップにおいて、要望期間入力ステップで入力された要望期間に基づいて、複数のエリアに対する空調環境の提供に必要なエネルギー量が所定の目標上限値より大きい場合には、所定の目標値が変更されて、それぞれのエリアに対して空調制御が行われる。
したがって、エネルギー量が所定の目標上限値を超える場合に、空調環境に関する値である体感指標についての所定の目標値が変更されて空調制御が行われるので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項10に係るエリア別空調制御プログラムは、空気調和装置を管理装置に制御させるエリア別空調制御プログラムであって、要望期間入力ステップと、環境提供制御ステップとを備える。空気調和装置は、複数のエリアそれぞれに対して空調環境を提供する。要望期間入力ステップでは、それぞれのエリアに属する個人等から、要望期間が入力される。要望期間は、快適な空調環境が要望される期間である。環境提供制御ステップでは、要望期間入力ステップで入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境が提供されるとともに、要望期間が含まれる所定期間において提供される空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値にされるように、それぞれのエリアに対して空調制御が行われる。
このエリア別空調制御プログラムでは、要望期間入力ステップにおいて、それぞれのエリアに属する個人等から要望期間が入力される。環境提供制御ステップにおいて、要望期間の情報が受け取られ得る。環境提供制御ステップにおいて、要望期間入力ステップで入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な空調環境が提供されるとともに、要望期間が含まれる所定期間において提供される空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値にされるように、それぞれのエリアに対して空調制御が行われる。
したがって、要望期間に快適な空調環境を提供しつつ所定期間における空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値とすることができる。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができる。
なお、「要望期間に基づいて」とは、要望期間そのものに基づくことのほか、要望期間に基づいた情報に基づくことも含む。
また、このエリア別空調制御プログラムでは、環境提供制御ステップにおいて、要望期間入力ステップで入力された要望期間に基づいて、複数のエリアに対する空調環境の提供に必要なエネルギー量が所定の目標上限値より大きい場合には、所定の目標値が変更されて、それぞれのエリアに対して空調制御が行われる。
したがって、エネルギー量が所定の目標上限値を超える場合に、空調環境に関する値である体感指標についての所定の目標値が変更されて空調制御が行われるので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項1に係るエリア別空調制御システムでは、要望期間に快適な空調環境を提供しつつ所定期間における空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値とすることができる。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができる。
また、請求項1に係るエリア別空調制御システムでは、エネルギー量が所定の目標上限値を超える場合に、空調環境に関する値である体感指標についての所定の目標値を変更して空調制御を行うので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項2に係るエリア別空調制御システムでは、体感指標を検知するので、体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。
請求項3に係るエリア別空調制御システムでは、エリア別平均値を演算するので、所定期間における体感指標の平均値が所定の目標値になるようにエリア毎に制御することができる。
請求項4に係るエリア別空調制御システムでは、全体平均値を演算するので、エリア別平均値の目標値を決めなくても、所定期間における体感指標の平均値がエリア全体として所定の目標値になるように制御することができる。
請求項5に係るエリア別空調制御システムでは、消費エネルギーが上限値を超える場合に、体感指標についての所定の目標値を変更して、消費エネルギーが上限値を超えないように制御することができる。このため、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項6に係るエリア別空調制御システムでは、複数のエリアの空調環境が変動する場合等に、複数のエリアそれぞれにおける空調環境の提供に要するエリア別エネルギー量を正確に推測することができる。
請求項7に係るエリア別空調制御システムでは、複数のエリアの空調環境変動を前もって推測できる。このため、複数のエリアそれぞれにおける空調環境の提供に要するエリア別エネルギーを前もって推測できる。
請求項8に係るエリア別空調制御システムでは、個人等に関する情報をもとにエリアに重み付けを行うので、複数のエリア全体として必要なときに生産性を向上することができる。
請求項9に係るエリア別空調制御方法では、要望期間に快適な空調環境を提供しつつ所定期間における空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値とすることができる。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができる。
また、請求項9に係るエリア別空調制御方法では、エネルギー量が所定の目標上限値を超える場合に、空調環境に関する値である体感指標についての所定の目標値が変更されて空調制御が行われるので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
請求項10に係るエリア別空調制御プログラムでは、要望期間に快適な空調環境を提供しつつ所定期間における空調環境に関する値である体感指標の平均値が所定の目標値になるように制御することができる。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値とすることができる。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性を向上することができる。
また、請求項10に係るエリア別空調制御プログラムでは、エネルギー量が所定の目標上限値を超える場合に、空調環境に関する値である体感指標についての所定の目標値が変更されて空調制御が行われるので、さらに省エネルギー化を図ることができる。
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態に係るエリア別環境提供制御システム1の概念図を図1,図2に示す。また、本発明の第1実施形態に係るエリア別環境提供制御システム1の各構成要素の構成図を図3から図5に示す。図1,図2に示すエリア別環境提供制御システム1は、主として空間群20(20a,20b,・・・)それぞれに空調環境を提供するパーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)を制御するシステムであり、空間20a,20b,・・・(以下、空間20a等とする)毎に異なる空調環境を提供することが可能となっている。なお、空間群20(20a,20b,・・・)は、パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)の近傍空間である。
<エリア別環境提供制御システム1の全体構成>
図1,図2に示すように、このエリア別環境提供制御システム1は、主としてパーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)、情報入力端末群40(40a,40b,・・・)、空調管理装置10、通信線80及び通信線90を備える。空調管理装置10とパーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)とは、通信線80により接続されている。空調管理装置10と情報入力端末群40(40a,40b,・・・)とは、通信線90により接続されている。情報入力端末群40(40a,40b,・・・)は、パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)の作業台上に設置される。
<空調管理装置10の構成>
図3に示すように、空調管理装置10は、主として、第1送受信部11,第2送受信部12,要望期間入力部21,環境提供制御部13,第1演算部14及び記憶部18を備える。
要望期間入力部21に、情報入力端末40a,40b,・・・と通信線90とを経由して、空間20a等に属する個人5a,5b,・・・(以下、個人5a等とする)から要望期間が入力される。ここで、要望期間とは、快適な環境が要望される期間である。例えば、図7に示す期間T2が要望期間として入力される。環境提供制御部13が、要望期間の情報を要望期間入力部21から受け取る。環境提供制御部13が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間におけるPMV(Predicted Mean Vote;体感指標)を決める。例えば、図7に示す所定期間T1〜T3において、期間T1のPMV=0、要望期間T2のPMV=−0.1、期間T3のPMV=0.1と決められる。ここで、パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)が冷房運転を行う場合、PMV=−0.1がもっとも快適な状態を示す体感指標であるとする。PMVは、−0.5〜0.5が快適範囲であるので、この範囲で決められるものとする。
図3に示す記憶部18が、PMVの情報を環境提供制御部13から受け取り記憶する。環境提供制御部13が、PMVの情報を第1演算部14へ渡す。第1演算部14が、要望期間に基づいた情報すなわちPMVの情報に基づいて、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値を演算する。例えば、図7に示す所定期間T1〜T3において、
エリア別平均値={0×5時間+(−0.1)×2時間+0.1×2時間}
÷(5時間+2時間+2時間)
=0
とエリア別平均値が演算される。
図3に示す環境提供制御部13が、エリア別平均値の情報を第1演算部14から受け取る。環境提供制御部13が、記憶部18に記憶された所定の目標値(例えば、PMV=0)を参照し、エリア別平均値が所定の目標値と一致しているか判断する。例えば、上記の場合、エリア別平均値は所定の目標値と一致していると判断される。この場合の目標値PMV=0は、省エネルギー化を図ることが可能な値である。環境提供制御部13が、要望期間に基づいた情報すなわちPMVの情報に基づいて、空間20a等に対して空調環境を提供させるための制御信号を生成する。環境提供制御部13は、制御信号を第2送受信部12へ渡す。第2送受信部12は、制御信号を通信線80経由でパーソナル空調機70a,70b,・・・へ送信する。
第2送受信部12が、パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)から、図4に示す環境検知部78a,78b,・・・が検知したPMVの情報を通信線80経由で受信する。図3に示す第2送受信部12が、PMVの情報を環境提供制御部13へ渡す。環境提供制御部13が、空間20a等に対して空調環境を提供させるための制御信号を変更する。環境提供制御部13は、制御信号を第2送受信部12へ渡す。第2送受信部12は、制御信号を通信線80経由でパーソナル空調機70a,70b,・・・へ送信する。
<パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)の構成>
図4に示すように、パーソナル空調機70aは、主として送受信部76a,環境提供部77a及び環境検知部78aを備える。
送受信部76aは、通信線80経由で制御信号を空調管理装置10から受信する。環境提供部77aは、制御信号を送受信部76aから受け取る。環境提供部77aは、空間20aに対して空調環境を提供する。環境検知部78aが、空間20aに対して提供する環境に関する値すなわちPMVを検知する。例えば、着衣の保温性と空調温度と空調湿度とを測定し、それらからPMVを計算する。
環境検知部78aが、PMVの情報を送受信部76aに渡す。送受信部76aが、PMVの情報を通信線80経由で環境管理装置10へ送信する。
他のパーソナル空調機70b,・・・も、パーソナル空調機70aと同様である。
<情報入力端末群40(40a,40b,・・・)の構成>
図1に示す情報入力端末40aは、空調管理装置10と通信線90で接続されている。情報入力端末40aは、空間20aに属する個人5a等の要望期間を通信線90経由で要望期間入力部21に入力させるための情報入力端末として利用される。
情報入力端末40aには、空間20aに属する個人5a等の要望期間が入力される。空間20aに属する個人5a等の要望期間の情報は、情報入力端末40aから空調管理装置10へ、通信線90を経由して送信される。
他の情報入力端末40b,・・・も、情報入力端末40aと同様である。
<環境提供部群77(77a,77b,・・・)の構成>
図4に示す環境提供部77aは、図2に示すように、主として圧縮機771a、凝縮器772a、蒸発器773a、クロスフローファン774a、プロペラファン775a、吹き出し口776a及び吸い込み口778aを備える。このうち、圧縮機771a、凝縮器772a、蒸発器773a、クロスフローファン774a及びプロペラファン775aは、パーソナル空調機70aの背面にある箱体777aの中に内蔵される。吹き出し口776aは、パーソナル空調機70aの前面パネルに設けられる。吸い込み口778aは、パーソナル空調機70aの背面パネルに設けられる。吸い込み口778a、圧縮機771a、凝縮器772a及び蒸発器773aを利用して生成された調和空気は、クロスフローファン774aによって吹き出し口776aを介して、空間20aに供給される。
他の環境提供部77b,・・・も、環境提供部77aと同様である。
<エリア別環境提供制御システム1がパーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)を制御する処理の流れ>
エリア別環境提供制御システム1がパーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)を制御する処理の流れを、図5に示すフローチャートを用いて説明する。なお、パーソナル空調機70aが冷房運転を行う場合について説明する。エリア別環境提供制御システム1がパーソナル空調機70aを制御する場合について説明するが、エリア別環境提供制御システム1が他のパーソナル空調機70b,・・・を制御する場合についても同様である。
図5に示すステップS1では、要望期間が入力される。すなわち、図3に示す要望期間入力部21に、図1に示す情報入力端末40a,40b,・・・と通信線90とを経由して、空間20a等に属する個人5a等から要望期間が入力される。ここで、要望期間とは、快適な環境が要望される期間である。例えば、図7に示す期間T2が要望期間として入力される。
図5に示すステップS2では、環境に関する値であるPMVが決定される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、要望期間の情報が要望期間入力部21から受け取られる。環境提供制御部13により、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間におけるPMVが決められる。例えば、図7に示す所定期間T1〜T3において、期間T1のPMV=0、要望期間T2のPMV=−0.1、期間T3のPMV=0.1と決められる。ここで、PMV=−0.1がもっとも快適な状態を示す体感指標であるとされる。PMVは、−0.5〜0.5が快適範囲であるので、この範囲で決められるものとされる。記憶部18により、PMVの情報が環境提供制御部13から受け取られ記憶される。
図5に示すステップS3では、エリア別平均値が演算される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、PMVの情報が第1演算部14へ渡される。第1演算部14により、要望期間に基づいた情報すなわちPMVの情報に基づいて、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値が演算される。例えば、図7に示す所定期間T1〜T3において、
エリア別平均値={0×5時間+(−0.1)×2時間+0.1×2時間}
÷(5時間+2時間+2時間)
=0
とエリア別平均値が演算される。図3に示す環境提供制御部13により、エリア別平均値の情報が第1演算部14から受け取られる。
図5に示すステップS4では、エリア別平均値が目標値と一致しているか否かが判断される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、記憶部18に記憶された所定の目標値(例えば、PMV=0)を参照し、エリア別平均値が所定の目標値と一致しているか判断される。エリア別平均値が目標値と一致していると判断された場合、ステップ6へ進められ(図5で示す(1))、エリア別平均値が目標値と一致していないと判断された場合、ステップS5へ進められる。
図5に示すステップS5では、環境に関する値が変更される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間におけるPMVが変更され、記憶部18に記憶されたPMVの情報が上書きされる。
図5に示すステップS6では、環境が決定される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、要望期間に基づいた情報すなわちPMVの情報に基づいて、空間20a等に対して空調環境を提供させるための制御信号が生成される。環境提供制御部13により、制御信号が第2送受信部12へ渡される。第2送受信部12により、制御信号が通信線80経由でパーソナル空調機70a,70b,・・・へ送信される(図5,図6で示す(2))。
図6に示すステップS7では、環境が提供される。すなわち、図4に示す送受信部76aにより、通信線80経由で制御信号が空調管理装置10から受信される。環境提供部77aにより、制御信号が送受信部76aから受け取られる。環境提供部77aにより、空間20aに対して空調環境が提供される。
図6に示すステップS8では、環境に対する値が検知される。すなわち、図4に示す環境検知部78aにより、空間20aに対して提供する環境に関するPMVが検知される。例えば、着衣の保温性と空調温度と空調湿度とが測定され、それらからPMVが計算される。図4に示す環境検知部78aにより、PMVの情報が送受信部76aに渡される。送受信部76aにより、PMVの情報が通信線80経由で環境管理装置10へ送信される。図3に示す第2送受信部12により、パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)からPMVの情報が通信線80経由で受信される。第2送受信部12により、PMVの情報が環境提供制御部13へ渡される。
図6に示すステップS9では、環境に関する値すなわち検知されたPMVが設定値と一致しているか否かが図3に示す環境提供制御部13により判断される。例えば、図7に示す場合、PMVが設定されていて現在時刻が10:00であれば、PMVの設定値は0である。検知されたPMVの値が所定の目標値(例えば、PMV=0)に対して一定の範囲内であれば、環境に関する値が設定値と一致していると判断され、検知されたPMVの値が所定の目標値(例えば、PMV=0)に対して一定の範囲外であれば、環境に関する値が設定値と一致していないと判断される。環境に関する値が設定値と一致していると判断された場合、ステップS11へ進められ、環境に関する値が設定値と一致していないと判断された場合、ステップS10へ進められる。
図6に示すステップS10では、環境が変更される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、空間20a等に対して空調環境を提供させるための制御信号が変更される。環境提供制御部13により、制御信号が第2送受信部12へ渡される。第2送受信部12により、制御信号が通信線80経由でパーソナル空調機70a,70b,・・・へ送信される。
図6に示すステップS11では、所定期間が終了したか否かが判断される。所定期間が終了したと判断された場合、処理が終了され、所定期間が終了していないと判断された場合、ステップS6(図6,図5で示す(1))へ進められる。
<エリア別環境提供制御システム1に関する特徴>
(1)
ここでは、図3に示す要望期間入力部21に、それぞれの空間20a等に属する個人5a等から要望期間が入力される。環境提供制御部13が、要望期間の情報を要望期間入力部21から受け取る。環境提供制御部13が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において提供する環境に関する値すなわちPMVの平均値が所定の目標値になるように、それぞれの空間20a等に対して環境提供制御を行う。
したがって、要望期間に快適な環境を提供しつつ所定期間における環境に関する値の平均値が所定の目標値になるように制御する。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値(例えば、PMV=0)とすることが可能である。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性が向上される。
(2)
ここでは、図4に示す環境検知部78a,78b,・・・が、空間20a等に対して提供する環境に関する値すなわちPMVを検知する。図3に示す環境提供制御部13が、環境に関する値の情報すなわちPMVの情報を受け取る。環境提供制御部13が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において提供する環境に関する値の平均値すなわちPMVが所定の目標値になるように、それぞれのエリアに対して環境提供制御を行う。
したがって、環境に関する値すなわちPMVを検知するので、環境に関する値すなわちPMVの平均値が所定の目標値になるように制御することが可能である。
(3)
ここでは、平均値が、エリア別平均値である。図3に示す第1演算部14が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値を演算する。環境提供制御部13が、エリア別平均値の情報を第1演算部14から受け取ることができる。環境提供制御部13が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値が所定の目標値になるように、それぞれの空間20a等に対して環境提供制御を行う。
したがって、エリア別平均値を演算するので、所定期間における環境に関する値すなわちPMVの平均値が所定の目標値になるように空間20a等毎に制御される。
(4)
ここでは、環境に関する値が、PMV(体感指標)である。図3に示す環境提供制御部13が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間においてPMV(体感指標)の平均値が所定の目標値になるように、それぞれの空間20a等に対して環境提供制御を行う。
したがって、要望期間に快適な環境を提供しつつ所定期間におけるPMV(体感指標)の平均値が所定の目標値になるように制御される。ここで、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値(例えば、PMV=0)とすることが可能である。このため、省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性が向上される。
<第1実施形態の変形例>
(A)図3に示す第1演算部14が平均値を演算する対象となる期間である所定期間は、1時間でもよいし、1日でもよいし、1週間でもよいし、1ヶ月でもいいし、1年でもよいし、どのような期間でもよい。例えば、図7に示すように、1日の期間でもよい。あるいは、図8に示すように、1ヶ月の期間でもよい。図8の場合、図3に示す要望期間入力部21に期間T12が要望期間として入力される。環境提供制御部13が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間を含む所定期間におけるPMVを決める。例えば、図8に示す所定期間T11〜T12において、期間T11のPMV=0.055、要望期間T12のPMV=−0.1と決められる。図3に示す第1演算部14が、要望期間に基づいた情報すなわちPMVの情報に基づいて、要望期間を含む所定期間においてエリア別平均値を演算する。例えば、図8に示す所定期間T11〜T13において、
エリア別平均値={0.055×20日間+(−0.1)×11日間}
÷(20日間+11日間)
=0
とエリア別平均値が演算される。したがって、要望期間に快適な環境を提供しつつ所定期間における環境に関する値の平均値が所定の目標値になるように制御することが可能である。
また、所定期間や要望期間は複数あってもよいし、1時間、1日、1週間、1ヶ月及び1年などの期間を複数組み合わせてもよい。例えば、図8のように、PMVが決められ、それぞれの1日においては、図7に示すように要望期間が決められてもよい。この場合、図8の期間T11におけるそれぞれの1日において、図7に示す期間T1〜T3におけるPMVの平均が0.055となるように決められる。図8の期間T12におけるそれぞれの1日において、図7に示す期間T1〜T3におけるPMVの平均が−0.1となるように決められる。
(B)図3に示す空調管理装置10は、第2演算部15をさらに備えてもよい。この場合、第2演算部15が、エリア別平均値の情報を第1演算部14から受け取る。第2演算部15が、エリア別平均値を複数の空間20a等について平均して、全体平均値を演算する。環境提供制御部13が、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、要望期間において快適な環境を提供するとともに、要望期間を含む所定期間において全体平均値が所定の目標値になるように、それぞれの空間20a等に対して環境提供制御を行う。したがって、全体平均値を演算するので、エリア別平均値の目標値を決めなくても、所定期間における環境の平均値が空間20a等全体として所定の目標値になるように制御することができる。
(C)図3に示す空調管理装置10は、第3演算部16と、第4演算部17とをさらに備えてもよい。この場合、第3演算部16が、要望期間の情報を環境提供制御部13から受け取る。第3演算部16が、要望期間入力部に入力された要望期間に基づいて、空間20a等それぞれにおける環境の提供に要するエリア別エネルギー量を演算する。第4演算部17が、空間群20(20a,20b,・・・)のエリア別エネルギー量の和を求める。環境提供制御部13が、エリア別エネルギー量の和の情報を第4演算部17から受け取る。環境提供制御部13が、第4演算部17で求めた和が目標上限値より小さい場合には所定の目標値に基づく環境提供制御を行う。環境提供制御部13が、第4演算部17で求めた和が目標上限値より大きい場合には所定の目標値を変更してそれぞれのエリアに対して環境提供制御を行う。
さらに、図1,図2に示すエリア別環境提供制御システム1がパーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)を制御する処理の流れが第1実施形態と異なる。なお、パーソナル空調機70aが冷房運転を行う場合について説明する。エリア別環境提供制御システム1がパーソナル空調機70aを制御する場合について説明するが、エリア別環境提供制御システム1が他のパーソナル空調機70b,・・・を制御する場合についても同様である。図9,図10において、図5,図6に示す第1実施形態と同様の処理は、同じ番号で示してある。
図9に示すステップS11では、図1に示す空間群20(20a,20b,・・・)に対する環境の提供に必要なエネルギー量が演算される。すなわち、図3に示す第3演算部16により、要望期間の情報が環境提供制御部13から受け取られる。第3演算部16により、要望期間入力部21に入力された要望期間に基づいて、空間20a等それぞれにおける環境の提供に要するエリア別エネルギー量が演算される。第4演算部17により、空間群20(20a,20b,・・・)のエリア別エネルギー量の和が求められる。環境提供制御部13により、エリア別エネルギー量の和の情報が第4演算部17から受け取られる。
図9に示すステップS12では、図1に示す空間群20(20a,20b,・・・)に対する環境の提供に必要なエネルギー量が目標上限値を超えたか否かが判断される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、記憶部18に記憶された目標上限値が参照され、空間群20(20a,20b,・・・)のエリア別エネルギー量の和と目標上限値とが比較される。その結果、目標上限値を超えていると判断された場合、ステップS13へ進められ、目標上限値を超えていないと判断された場合、ステップS7(図9,図10で示す(2))へ進められる。
図9に示すステップS13では、PMVの目標値が変更される。すなわち、図3に示す環境提供制御部13により、記憶部18に記憶された所定の目標値(例えば、PMV=0)が変更される。例えば、空間群20(20a,20b,・・・)に対する環境の提供に必要なエネルギー量がPMV=0よりも小さい目標値(例えば、PMV=1)へ変更される。
したがって、消費エネルギーが上限値を超える場合に所定の目標値を変更して、消費エネルギーが上限値を超えないように制御することができる。このため、さらに省エネルギー化を図ることができる。
なお、エネルギー量は、電力量だけでなく、ガス量、石油量などであってもよい。
(D)図3に示す空調管理装置10は、相関関係記憶部19bを有するデータベース19をさらに備えてもよい。相関関係記憶部19bは、消費エネルギーとPMVとの相関関係を空調温度毎に記憶している。例えば、空調温度22℃のときの相関関係,空調温度24℃のときの相関関係,空調温度26℃のときの相関関係及び空調温度28℃のときの相関関係などを記憶している。この場合、第3演算部16が、図4に示す環境検知部78a,78b,・・・が検知した空間20a等に関する実環境情報、すなわち空間20a等に対して提供する環境に関するPMVの情報及び空調温度の情報を、受け取る。図3に示す第3演算部16が、要望期間と、複数のエリアに関する実環境情報すなわちPMVの情報及び空調温度の情報と、に基づき、エリア別エネルギー量を演算する。すなわち、空調負荷が一定であるとして演算する。したがって、複数の空間20a等の環境が変動する場合等に、空間20a等それぞれにおける環境の提供に要するエリア別エネルギー量を正確に推測することができる。
(E)上記変形例(D)において、図3に示す第3演算部16が、空間20a等に関する過去および現在の実環境情報から近い未来のエリアに関する環境を予測し、その予測を基にエリア別エネルギー量を演算してもよい。この場合、記憶部18が、過去におけるPMVの情報及び過去における空調温度の情報を記憶している。第3演算部16が、記憶部18を参照し、過去におけるPMVの情報及び過去における空調温度の情報を記憶部18から受け取り、現在におけるPMVの情報及び現在における空調温度の情報を環境提供制御部13から受け取る。そして、第3演算部16が、PMVや空調温度の傾向を分析して、将来におけるPMVや空調温度を予測する。第3演算部16が、その予測に基づいて、エリア別エネルギー量を演算する。すなわち、空調負荷が変動するものとして演算する。したがって、空間20aの環境変動を前もって推測できる。このため、空間20a等それぞれにおける環境の提供に要するエリア別エネルギーを前もって推測できる。
(F)上記変形例(D),(E)において、図3に示す第3演算部16は、図4に示す環境検知部78a,78b,・・・が検知した空調温度の情報を受け取る代わりに、外気温度の情報を受け取ってもよい。外気温度の情報は、例えば、気象予測情報などを利用することができる。この場合、図3に示すデータベース19の相関関係記憶部19bは、図11に示すように、消費エネルギーとPMVとの相関関係を外気温度毎に記憶している。例えば、外気温度34℃のときの相関関係911,外気温度32℃のときの相関関係912,外気温度30℃のときの相関関係913及び外気温度28℃のときの相関関係914などを記憶している。図3に示す第3演算部16は、PMVの情報を環境提供制御部13から受け取り、気象予測情報を記憶部18から受け取り、データベース19の相関関係記憶部19bを参照して、エリア別エネルギー量を演算する。例えば、図12の場合、期間T21におけるPMV=0と外気温度28℃とから、消費エネルギー量がW1kWhであると演算される。期間T22におけるPMV=−0.1と外気温度34℃とから、消費エネルギー量がW2kWhであると演算される。期間T23におけるPMV=0と外気温度30℃とから、消費エネルギー量がW3kWhであると演算される。したがって、空間20aの環境変動を前もって推測できる。このため、空間20a等それぞれにおける環境の提供に要するエリア別エネルギーを前もって推測できる。
(G)図3に示す空調管理装置10は、個人等情報記憶部19aを有するデータベース19をさらに備えてもよい。この場合、個人等情報記憶部19aが、それぞれの空間20a等に属する個人5a等に関する情報を記憶する。環境提供制御部13が、個人等情報記憶部19aの情報から、それぞれの空間20a等に対して重みづけを行い、その重みづけに応じて環境提供制御を行う。例えば、個人等情報記憶部19aの情報が査定情報である場合を考える。以下の査定値が個人情報記憶部19aに記憶されていたとする。
個人5a:10
個人5b: 5
個人5c: 1
ここで、数字が大きいほど査定がよいことを示しているものとする。部屋はこの3人だけが使用し、部屋全体でPMVの平均値の目標がPMV=0であるとする。この場合、それぞれのPMVの平均値は、以下のように配分される。
個人5a:PMV=−0.1
個人5b:PMV= 0
個人5c:PMV= 0.1
これにより、部屋全体では、PMVの平均値が目標値であるPMV=0と等しくなる。所定期間における要望期間以外の期間と要望期間との配分は、第1実施形態と同様である。
したがって、個人等に関する情報をもとにエリアに重み付けを行うので、例えば、査定情報がよい人に優先的に快適な環境が提供されるため、複数のエリア全体として必要なときに生産性を向上することができる。
なお、個人等に関する情報とは、例えば、個人及び/又は団体の査定に関する情報、個人及び/又は団体の業務内容に関する情報、個人の快適感受性に関する情報、個人及び/又は団体が利用する空間のグレード(レンタルオフィス等の場合に適用される。)に関する情報、個人及び/又は団体の不在に関する情報、個人及び/又は団体について撮影した画像に関する情報、個人の生理量に関する情報、個人の健康状態に関する情報、個人及び/又は団体における執務状況に関する情報、個人及び/又は団体における作業誤り状況に関する情報、並びに個人の年齢・性別に関する情報等である。
(H)図1に示すパーソナル空調機70a,70b,・・・は、冷房運転だけでなく、暖房運転、加湿運転、除湿運転、空気清浄運転、換気運転などを行ってもよい。環境は、温熱環境の代わりに、気流環境、照明環境、音響環境、臭いの環境などであってもよい。環境に関する値は、PMVでなくてもよい。温度、湿度、風力、風向、換気量、空気清浄度、明るさ、音の大きさ、音の周波数、音の波長、音の快適度、臭いの強さ、臭いの快適さなどであってもよい。パーソナル空調機70a,70b,・・・を使用するのは、個人5a等の代わりに、団体であってもよい。環境提供制御部13は、PMVの代わりに要望期間そのものに基づいて、空間20a等に対して空調環境を提供させるための制御信号を生成してもよい。図4に示す環境検知部78a,78b,・・・が環境を検知する際に測定される着衣の保温性は、あらかじめ記憶されていて、検知される際に参照されてもよい。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係るエリア別空調制御システム100を図13に示す。また、エリア別空調制御システム100の各構成要素の構成図を図14,図15に示す。図14,図15において、図1,図2のエリア別空調制御システム1の構成要素と同様の構成要素は同じ番号で示してある。図14,図15に示すエリア別空調制御システム100は、主としてオフィスビルに設置される空調室外機群160(161,162,・・・)および空調室内機群170(171,172,・・・)から成る空気調和装置を制御するシステムであり、エリア別に異なる空調環境を提供することが可能となっている。
このエリア別空調制御システム100は、図13から図15に示すように、基本的な構造は第1実施形態と同様であるが、図13に示す発光器群130(130a,130b,・・・)及び受光器群150(151,152,・・・)がさらに備えられている点と、パーソナル空調機群70(70a,70b,・・・)の代わりに空調室外機群160(161,162,・・・)および空調室内機群170(171,172,・・・)が備えられている点と、で構成が異なる。すなわち、図13に示す受光器群150(151,152,・・・)は、空調室内機171,172,・・・に内蔵あるいは外付けされており、発光器群130(130a,130b,・・・)から送られた光を受ける。これにより、図16に示すようなRMにおける位置の情報が3角法により検出され、通信線80経由で空調管理装置110に送信される。図14に示す空調管理装置110の第2送受信部12は、位置の情報を、通信線80経由で受信し、環境提供制御部113を経由して、データベース119へ渡す。データベース119は、エリア位置情報119eとして部屋RMにおけるエリアそれぞれの位置を記憶する。
<制御対象となる空気調和装置の構成>
図13に示すように、空気調和装置は、主として、空調室外機群160(161,162,・・・)と空調室内機群170(171,172,・・・)とを備える。空気調和装置は、空調管理装置110と通信線80で接続されている。
空調室外機群160(161,162,・・・)と空調室内機群170(171,172,・・・)とは、通信線80経由で空調管理装置110から制御信号を受信する。これにより、空気調和装置が制御される。
本実施形態においてオフィスビルに設置されている空気調和装置は、複数のマルチ型の空気調和装置であって、それぞれが空調管理装置110によって監視・制御される。それぞれの空気調和装置では、1つの空調室外機と複数の空調室内機とが1つの冷媒系統を形成している。
空調室内機群170(171,172,・・・)は、全て天井埋設型である。どの空調室内機も同様の構成であるので、ここでは空調室内機171を例にとって構造を説明する。
空調室内機171は、図22に示すように、天井に埋設されるケーシング192と、ケーシング192の下面に固定される化粧パネルとを備えている。
ケーシング192は、その内部に各構成部品を格納するための部材であり、略矩形形状の外形を有している。化粧パネルには、下面中央に設けられた吸い込み口191と、その外周側に設けられた4つの吹き出し口171a,171b,171c,171dとが形成されている(図17参照)。また、ケーシング192内には、遠心送風機193、熱交換器194、吸い込み空気温度測定センサ195、吹き出し空気温度測定センサ196などが収容されている。さらに、各吹き出し口171a,171b,171c,171d(図17参照)には、吹き出し空気の方向を変えるための垂直フラップ197および水平フラップ(図示せず)が配置されている。吸い込み空気温度測定センサ195、吹き出し空気温度測定センサ196などが、図15に示す環境検知部171cに相当し、図22に示す吸い込み口191、遠心送風機193、熱交換器194、垂直フラップ197および水平フラップ(図示せず)などが、図15に示す環境提供部171bに相当する。
図22に示す遠心送風機193を回転させると、吸い込み口191から室内の空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、遠心送風機193の外周側に吹き出される。遠心送風機193の外周側に吹き出された空気は、その外周側に配置された熱交換器194によって熱交換され、4つの吹き出し口171a,171b,171c,171d(図17参照)から室内に吹き出される。
<室内に配備される受光器、発光器、および情報入力端末について>
部屋RMの中に配置されているエリア別空調制御システム100の構成部品が以下の点で第1実施形態と異なる。ここでは、オフィスビル内の1つの部屋RMを例に挙げて、その部屋RMの中に配置されているエリア別空調制御システム100の構成部品について説明する。
図18に示すように、部屋RMは、1つのオフィスを構成しており、複数の個人5a〜5fが自分専用のスペースとして持っているエリアと、それ以外の共通のスペースであるエリアとに分かれている。共通のスペースの角には、発熱の多いOA機器が集中して置かれている。図16に示すように、部屋RMは、便宜上25等分されたブロック(区画)B1〜B25に分けられている。ここでは、ブロックB10が個人5cの使用するエリアに、ブロックB25が個人5dの使用するエリアに、ブロックB4が個人5aの使用するエリアに、ブロックB19が個人5bの使用するエリアに、ブロックB8が個人5eの使用するエリアに、ブロックB23が個人5fの使用するエリアに、そして、ブロックB21がOA機器の置かれるエリアになっている。
このような部屋RMの天井には、5台の空調室内機171〜175が、図17に示す平面配置で取り付けられている。空調室内機171は、ブロックB4,B5,B9,B10(図16参照)にまたがるように平面配置されている。空調室内機172は、ブロックB19,B20,B24,B25(図16参照)にまたがるように平面配置されている。空調室内機173は、ブロックB1,B2,B6,B7(図16参照)にまたがるように平面配置されている。空調室内機174は、ブロックB16,B17,B21,B22(図16参照)にまたがるように平面配置されている。空調室内機175は、ブロックB13(図16参照)の真上に配置されている。
また、5台の空調室内機171〜175は、それぞれ、図13および図17に示すように、その下面中央から吊り下がる受光器151〜155を有している。これらの受光器151〜155は、下記の発光器130a〜130gからの光を受けることができるように、発光器130a〜130gよりも高い位置に配置されている。
発光器130a〜130gは、エリア別空調のエリアを特定するための機器であり、個人5a〜5fの机の最上部などに設置され、各受光器151〜155に対して発光する。例えば、図19の1点鎖線で示すように、発光器130aは各受光器151〜155に対して斜め上方に向けて発光を行うことになる。また、発光器130a〜130gは、持ち運び可能な機器であり、部屋RM内のレイアウト変更を行う際には、新しいレイアウトにおけるエリア別空調のためのエリアを特定できる場所に移動させられる。例えば、図18に示すレイアウトにおいて個人5a〜5fの机の最上部それぞれに発光器130a〜130fが設置されているが、これが図20に示すレイアウトに変わった場合には、各個人5a〜5fが自分の移動に合わせて発光器130a〜130fを持ち運ぶことが考えられる。
さらに、部屋RM内には、各個人5a〜5fが仕事で使う情報入力端末40a,40b,・・・が存在する。これらの情報入力端末40a,40b,・・・は、通信線90を介して空調管理装置110の第1送受信部11を経由して、要望期間入力部21にアクセスが可能とされている。これらの情報入力端末40a,40b,・・・に、第2実施形態のエリア別空調制御システム100では、個人5a等の要望期間が入力される。例えば、図21に示すように、個人5aの机の上にある情報入力端末40aを、ここでは、個人5aが独占的に使用するエリアの空調環境に関する要望期間を空調管理装置10の要望期間入力部21に入力するための端末として利用する。
<エリアの位置が特定される際の動作>
エリア別空調制御システム100では、エリアの位置が特定される点で第1実施形態と異なる。すなわち、以下の点で第1実施形態と異なる。
図14に示す環境提供制御部113は、まず、受光器151〜155の設置位置の情報を入手し、それを受光器位置情報ファイル119cに記憶する。受光器151〜155の設置位置については、全てを手入力してもよいし、一部を手入力して発光器130a〜130gや受光器151〜155による相互位置認識を行わせることによって残りを自動的に入手するようにしてもよい。このように、受光器151〜155の設置位置の情報を受光器位置情報ファイル119cに記憶しているため、各エリアの位置の再度の特定を行うときにも、その度に受光器151〜155の設置位置を入力させたり検出したりする必要がなくなる。
次に、環境提供制御部113は、複数の受光器151〜155による受光情報から、発光器130a〜130gそれぞれの位置を検出する。この位置検出は、3角法を利用して行われる。ここで検出された発光器130a〜130gの位置情報は、発光器位置情報ファイル119dに記憶される。
次に、図14に示す環境提供制御部113は、発光器130a〜130g(図18参照)の位置の近傍のブロック(図16参照)を、その発光器130a〜130g(図18参照)が示すエリアとして特定する。ここでは、発光器130c(図18参照)が示すエリアがブロックB10、発光器130d(図18参照)が示すエリアがブロックB25、発光器130a(図18参照)が示すエリアがブロックB4、発光器130b(図18参照)が示すエリアがブロックB19、発光器130e(図18参照)が示すエリアがブロックB8、発光器130f(図18参照)が示すエリアがブロックB23、発光器130g(図18参照)が示すエリアがブロックB21として特定される。こうして特定されたエリアは、エリアの位置としてブロック番号が当てられ、エリア位置情報ファイル119eに記憶される。また、エリア名と、そのエリア名に対応する発光器のID番号との相関情報は、相関特定情報ファイル119fに記憶されている。この相関情報は、個人5a〜5f又は代表者が情報入力端末40a,40b,・・・から要望期間入力部21に手入力する情報である。相関特定情報ファイル119fにあるエリア名と発光器のID番号との相関情報と、エリア位置情報ファイル119eにある発光器の位置情報(ここではブロック名)とから、環境提供制御部113は、エリア名と、そのエリア名のエリアの位置(ここではブロック名)との関係を決定することができる。例えば、個人5aが自分で独占的に使うエリア名をエリア5aと命名し、その自分のエリアには発光器133を設置したという情報とともにエリア5aというエリア名を要望期間入力部21に送ると、環境提供制御部113は、エリア位置情報ファイル119eにある発光器130aとブロックB4とが対応しているという情報を合わせて、個人5aのエリア5aはブロックB4という位置にあるエリアであることを特定することになる。特定された位置の情報は、環境提供制御部113からデータベース119へ渡され、エリア位置情報119eとして記憶される。
<空調環境が提供される際の動作>
エリア別空調制御システム100では、空調環境が提供される際の動作が第1実施形態と異なる。すなわち、以下の点で第1実施形態と異なる。
図14に示す環境提供制御部113は、要望期間に基づいた情報すなわちPMVの情報に基づいて、空調室内機171〜175から吹き出される空気の流れを制御する気流制御を行う。この気流制御は、室内ファンの回転数を変更して吹き出し口から吹き出す空気の速度を制御する風速制御と、図22に示す垂直フラップ97および水平フラップを作動させて吹き出し空気の方向を変える風向制御とを含んでいる。
図14に示す環境提供制御部113は、風速制御と風向制御とを組み合わせ、各エリアに対してエリア情報に対応した空調環境を提供する。例えば、環境提供制御部113が冷房運転を行わせている場合を考える。例えば、PMV=−0.1とされたエリアに対しては吹き出し空気が多く当たるようにし、PMV=0.1とされたエリアに対しては吹き出し空気が少なく当たるようにする。
例えば、図20に示すように、個人5aが占有するブロックB4から成るエリアについてPMV=−0.1とされ、個人5bが占有するブロックB19から成るエリアについてPMV=0.1とされている場合には、図21に示すように、個人5aのブロックB4の斜め上方の空調室内機171が、ブロックB4のエリアに直接吹き出し空気が当たるように、吹き出し口171a(図17参照)から下向きの空気流W2,W3を多くして斜め下方向きの空気流W1,W4を少なくする。また、個人5bのブロックB19の斜め上方の空調室内機172が、吹き出し口172a(図17参照)から個人5aのブロックB4に向く斜め下向きの空気流W5を多く生成する。空調室内機172からの空気流W5は、空調室内機171からの空気流W3を個人3のブロックB4側へと導く役割も果たしている。一方、PMV=0.1とされている個人5bのブロックB19に空気流が直接当たらないように、ブロックB19の斜め上方の空調室内機172は、吹き出し口172a(図17参照)から下向きの空気流W6,W7を少なくし、吹き出し口172a(図17参照)から斜め下方向きの空気流W5,W8を多くするように制御されている。また、空調室内機171の吹き出し口171b,171dや空調室内機172の吹き出し口172b,172dから吹き出される空気についても、垂直フラップを作動させての左右の吹き出し方向の制御によって、個人5aに寒めの空調環境および個人5bに暑めの空調環境を提供するように吹き出されている。
<エリア別空調制御システム100に関する特徴>
要望期間に快適な環境を提供しつつ所定期間における環境に関する値の平均値が所定の目標値になるように制御する点は、第1実施形態と同様である。また、所定の目標値を、省エネルギー化を図ることができるような値(例えば、PMV=0)とすることが可能である点も、第1実施形態と同様である。したがって、このようなエリア別空調制御システム100によっても省エネルギー化を図りながら必要なときに生産性が向上される。
<第2実施形態の変形例>
(A)
第2実施形態では、環境提供制御部113が、発光器130a〜130gの位置の近傍のブロック(図16参照)を、その発光器130a〜130gが示すエリアとして特定している。これに代えて、所定の発光器群に囲まれる部分をエリアとして特定することも考えられる。
例えば、図23に示すように、発光器131a,131b,131c,131dで囲まれる部分を国内営業グループG1の使用するエリア、発光器132a,132b,132c,132dで囲まれる部分を海外営業グループG2の使用するエリア、発光器133a,133b,133c,133dで囲まれる部分を総務グループG3の使用するエリアと特定すれば、3つのエリアそれぞれに個別(エリア別)の空調環境を提供することもできるようになる。
また、図23に示す区分けでは、国内営業グループG1が6個のブロックB1,B2,B3,B6,B7,B8を、海外営業グループG2が9個のブロックB11,B12,B13,B16,B17,B18,B21,B22,B23を、総務グループG3が10個のブロックB4,B5,B9,B10,B14,B15,B19,B20,B24,B25を使用するレイアウトになっているが、これが図24に示す区分けに変更されてブロックB4,B5が総務グループG3から国内営業グループG1に移った場合には、国内営業グループG1が使うエリアを特定するための2つの発光器131e,131fを新たに用意して図24に示すように各発光器を配置すればよい。ここでは、発光器131a,131b,131c,131d,131e,131fで囲まれる部分が国内営業グループG1の使用するエリアとして特定される。
なお、複数の発光器と1つのエリアとが対応している上記のような場合には、そのような対応情報を相関特定情報119fとして要望期間入力部21に入力すればよい。
(B)
第2実施形態では、環境提供制御部113が、発光器130a〜130gの位置の近傍の1つのブロック(図16参照)を、その発光器130a〜130gが示すエリアとして特定している。
これに代えて、図25に示すように、発光器131〜138の位置がブロックの境界にある場合に1つの発光器と複数のブロックとを対応づけさせることも可能である。
図25に示す例は、レンタルオフィスを想定している。このレンタルオフィスは、図16に示すようにブロック割りされる部屋RMに、図25に示す8つの会議スペースR1〜R8を用意して、中央の廊下から各スペースR1〜R8に入ることができるように区切っている。R1〜R3およびR5〜R7は2つのブロックから成る小会議スペースであり、R4およびR8は4つのブロックから成る大会議スペースである。それぞれの会議スペースを特定するための発光器として、8つの発光器131〜138が用意されている。
発光器131は、ブロックB1とブロックB2との境界上に配置され、小会議スペースR1をブロックB1,B2から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器132は、ブロックB6とブロックB7との境界上に配置され、小会議スペースR2をブロックB6,B7から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器133は、ブロックB11とブロックB12との境界上に配置され、小会議スペースR3をブロックB11,B12から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器134は、ブロックB16とブロックB17とブロックB21とブロックB22との境界上に配置され、大会議スペースR4をブロックB16,17,21,22から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器135は、ブロックB4とブロックB5との境界上に配置され、小会議スペースR5をブロックB4,B5から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器136は、ブロックB9とブロックB10との境界上に配置され、小会議スペースR6をブロックB9,B10から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器137は、ブロックB14とブロックB15との境界上に配置され、小会議スペースR7をブロックB14,B15から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
発光器138は、ブロックB19とブロックB20とブロックB24とブロックB25との境界上に配置され、大会議スペースR8をブロックB19,20,24,25から成るエリアとして環境提供制御部113に特定させる。
これにより、空調室内機171〜175が共通である部屋RM内で複数のスペースR1〜R8から成るレンタルオフィスを提供している事業者が、各スペース(エリア)に適した空調環境を提供することができる。
(C)
第2実施形態では、情報入力端末40a,40b,・・・などによりエリア情報を手入力させているが、これらの情報の少なくとも一部、例えば発光器130a〜130gを特定する発光器ID番号などを発光器130a〜130gから受光器151〜155に無線通信するように構成することも可能である。
さらに、発光器130a〜130gがエリア情報の全てを受光器に対して送信できるように構成されていれば、情報入力端末40a,40b,・・・などが不要になり、情報入力端末と空調管理装置110との配線作業も不要となる。
(D)
第2実施形態では、受光器151〜155を天井埋設型の空調室内機171〜175から吊り下げる構造にしているが、受光器151〜155を空調室内機171〜175とは別に天井や側壁上部に設置することも可能である。また、必ずしも天井や側壁に支持させる構造に限定されるものではなく、床面から受光器支持部材を延ばして高い位置で受光器を固定させることも考えられる。
(E)
第2実施形態では、比較的シンプルな風速制御および風向制御について説明を行ったが、2つの空調室内機から吹き出された空気を所定のエリアの上部で衝突させてダウンフローを発生させたり、所定のエリア上部に1つの空調室内機から比較的冷たい空気を送るとともに、そのエリア下部に別の空調室内機から比較的暖かい空気を送ったりすることも考えられる。すなわち、空調空気の温度も加味して気流制御を行ってもよい。
(F)
第2実施形態では、空調室内機171〜175から吹き出される空気の流れを制御することにより各エリアにおいて快適な空調環境を実現しているが、各空調室内機が角度の変わる輻射パネルあるいは複数の輻射パネルを備えている場合には、輻射パネルの角度や各輻射パネルの個別制御などによって各エリアにおける快適な空調環境の提供を行わせることも考えられる。また、各エリアに共通の空調室内機が複数のペルチェ素子から成るパネルを備えている場合にも、各エリアに対して個別に空調環境を提供することが可能である。