以下に、本発明の実施の形態にかかる空気調和システム、空気調和システムの機種選定方法、空気調和システムの機種選定装置および空気調和システムの機種選定システムを図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムを示す概略構成図である。図2は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。図3は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムの空気調和機4および循環用送風機6の機能の概略構成を示す図である。図1では、本実施の形態1にかかる空気調和システムが2階建ての戸建住居である建物1に適用された場合について示している。建物1は、外壁11および屋根12により建物内外が仕切られており、内部に居室2、非居室3、空気調和機4、循環風路5、循環用送風機6および断熱部材7を有している。まず、これらの構成要素について説明する。
居室2は、居住者の基本生活行為において日常生活上の在室時間が長い居室であり、具体的には、リビング、ダイニング、キッチン、寝室および子供部屋等の洋室、和室等である。居室2は、人の在室時間が長いため、人が快適に過ごすための空気調和が行われる、積極的な空気調和対象の部屋である。居室2は、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとからなる。ここで、「空気調和機が取り付けられていない居室」とは、空気調和機を簡単に移動できないようにすることを目的とした工事等による、部屋への空気調和機の固定が行われていない居室である。
空気調和機が設置された居室2aは、空気調和機4が設置されて空気調和機4により空気調和が行われる、建物1における第1の居室である。空気調和機が設置された居室2aには、空気調和機4が設けられている。空気調和機が設置された居室2aは、リビング、ダイニングおよびキッチンが繋げられた一体空間として形成される。また、空気調和機が設置された居室2aは、1階と2階とが上下方向に繋げられた吹き抜けが形成されている。また、空気調和機が設置された居室2aは、1階と2階の間に不図示の階段が形成されている。
空気調和機が設置された居室2aの合計の容積は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの合計の容積よりも大きいことが好ましい。具体的には、空気調和機が設置された居室2aの合計の容積をV2aとし、空気調和機が取り付けられていない居室2bの合計の容積をV2bとした場合に、V2aとV2bとは、「V2a>V2b」の関係となるように設定されることが好ましい。なお、空気調和機が設置された居室2aは、必ずしも吹き抜けまたは階段が形成されている必要はない。
空気調和機が取り付けられていない居室2bは、空気調和機が設置された居室2aにおいて空気調和された調和空気が供給されて空気調和が行われる、建物1における第2の居室である。空気調和機が取り付けられていない居室2bは、間仕切壁等により個々に仕切られた個別空間として形成されている。空気調和機が取り付けられていない居室2bとしては、空気調和機が取り付けられていない居室21b、空気調和機が取り付けられていない居室22b、および空気調和機が取り付けられていない居室23bとが2階に設けられている。
非居室3は、居室2以外の空間であり、浴室、トイレ、洗面所、廊下、玄関、クローゼットおよび納戸等である。非居室3には、空気調和機4が設けられていない。非居室3には、がらりまたはドアと床の間の隙間であるアンダーカット等からなる通気用開口10が適宜形成されている。
空気調和機4は、空気調和機が設置された居室2aの1階部分に設けられている。空気調和機4は、対象空間に対して空気調和を行う空気調和設備であり、空気を直接的に加熱する蓄熱暖房機もしくはファンヒーター等の暖房機、空気を直接的に加熱または冷却するエアコンディショナーである。本実施の形態1では、空気調和機4は、室内である空気調和機が設置された居室2aの1階部分に設けられた室内機4aと、空気調和機が設置された居室2aの室外である建物1の外部に設けられた室外機4bとを有する空気調和機とする。
本実施の形態1にかかる空気調和機4は、室内機4a、室外機4b、室内機4aと室外機4bとの間で冷媒を循環させるための不図示の冷媒管、および空気調和機4に対する制御指示命令を室内機4aに送信する空気調和機操作端末4cを備える。室外機4bは、不図示の通信線を介して室内機4aと通信可能とされている。
空気調和機4は、1つの完結した冷凍サイクルを室内機4aと室外機4bとで形成している。空気調和機4は、冷媒管を通って室内機4aと室外機4bとの間を循環する冷媒を使用して、空調対象空間である室内の空気と室外の空気との間で熱移動を行い、室内に対する空気調和を実現している。すなわち、室内機4aと室外機4bとは冷媒管により接続されており、冷媒管中を流れる冷媒の圧力を室外機4bの備える圧縮機により変化させて冷媒の吸熱および放熱により空気調和を行う。なお、以下では、空気調和機を空調機と表記する場合がある。
室内機4aは、室内に配置されて調和空気を室内に送風する。室内機4aは、空気調和機4の動作を制御する空気調和機制御部41と、空気調和機操作端末4c、室外機4bおよび循環用送風機6と通信を行う室内機通信部42とを有する。なお、室内機4aは、その他にも室内機熱交換器および室内機ファンなどの、空気調和機4の動作を実現する一般的な構成部を有する。
空気調和機制御部41は、空気調和機4の動作を制御する制御部であり、室内機4aおよび室外機4bの動作を制御することによって空気調和機4の運転を制御する。空気調和機制御部41は、室内機通信部42を介して空気調和機操作端末4cと情報の伝送を行うことができる。空気調和機制御部41は、室内機通信部24を介して空気調和機操作端末4cから受信した指示情報、およびあらかじめ空気調和機制御部41に記憶している情報といった、空気調和機4の運転に関する各種情報に基づいて空気調和機4の動作を制御する。また、空気調和機制御部41は、空気調和機4の本体または空気調和機操作端末4cに設けられた室内温度センサ43により室内の温度を検知し、室内が設定温度となるように空気調和機4の動作を制御する。
また、空気調和機制御部41は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。図4は、本発明の実施の形態1にかかる処理回路のハードウェア構成の一例を示す図である。空気調和機制御部41が図4に示す処理回路により実現される場合、空気調和機制御部41は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、空気調和機制御部41の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、室内機通信部42を、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、室内機通信部42を実現するためのプロセッサおよびメモリは、空気調和機制御部41を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
空気調和機4の空気調和容量は、建物1における冷房および暖房のそれぞれの最大負荷以上とする。最大負荷は、気象条件、建物外皮、内部発熱等を考慮した負荷計算により算出する。余りに過大な容量の空気調和機の選定は経済性を損なうので、最大負荷に裕度を乗じた程度の空気調和容量とすることが好ましい。
循環風路5は、給気風路5aと環気風路5bからなる。給気風路5aは、一端側が空気調和機が設置された居室2aに接続されるとともに他端側が空気調和機が取り付けられていない居室2bに接続されて、空気調和機が設置された居室2aの空気を空気調和機が取り付けられていない居室2bに導くための風路である。環気風路5bは、一端側が空気調和機が設置された居室2aに接続されるとともに他端側が空気調和機が取り付けられていない居室2bに接続されて、空気調和機が取り付けられていない居室2bの空気を空気調和機が設置された居室2aに導くための風路である。
本実施の形態1においては、循環風路5は、1部屋の空気調和機が設置された居室2aと、3部屋の空気調和機が取り付けられていない居室2bとの、合計4部屋に接続されている。すなわち、給気風路5aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。給気風路5aの他端側は、3つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室21b、空気調和機が取り付けられていない居室22bおよび空気調和機が取り付けられていない居室23bに接続されている。環気風路5bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。環気風路5bの他端側は、3つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室21b、空気調和機が取り付けられていない居室22bおよび空気調和機が取り付けられていない居室23bに接続されている。
循環風路5にはダクトが採用されている。なお、循環風路5は、風が循環して流れる一連の風路として形成されていればよく、ダクトを設けずに、部屋間を繋いでいるスペースまたはその他のスペースを利用して、各居室2に開口を設けてもよい。部屋間を繋いでいるスペースの例は、たとえば廊下または階段などである。その他のスペースの例は、たとえば床下、階間および天井裏などである。居室2に設けられる開口の例は、たとえば、がらり、アンダーカットなどである。また、循環風路5中にダンパーなど風量を調整する機構を設け、循環風路5内を流れる空気の風量である循環風量を調整できる構成とされてもよい。
給気風路5aの一端には、吸込口8aが設けられている。吸込口8aは、空気調和機が設置された居室2aの天井面に接している。なお、吸込口8aは、空気調和機が設置された居室2aにおける天井面以外の面に接していてもよい。また、給気風路5aの他端側の3つの分岐端には、吹出口9aが設けられている。すなわち、給気風路5aは吹出口9aの数に合わせて風路が分岐している。吹出口9aは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面に接している。なお、吹出口9aは、空気調和機が取り付けられていない居室2bにおける床面以外に接していてもよい。したがって、給気風路5aは、空気調和機が設置された居室2aを起点とし、空気調和機が取り付けられていない居室2bを終点とした風路であり、空気調和機が設置された居室2aの空気を、空気調和機が取り付けられていない居室2bに分配する風路である。また、給気風路5aの途中には循環用送風機6が設けられている。
環気風路5bの一端には、吹出口である吹出口9bが設けられている。吹出口9bは、空気調和機が設置された居室2aの天井面に接している。なお、吹出口9bは、空気調和機が設置された居室2aの天井面以外の面に接していてもよい。また、環気風路5bの他端側の3つの分岐端には、吸込口である吸込口8bが設けられている。吸込口8bは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの天井面に接している。なお、吸込口8bは、空気調和機が取り付けられていない居室2bにおける天井面以外に接していてもよい。環気風路5bは、吸込口8bの数の風路が合流している。したがって環気風路5bは、空気調和機が取り付けられていない居室2bを起点とし、空気調和機が設置された居室2aを終点とした風路であり、空気調和機が取り付けられていない居室2bの空気を風路内で混合し、空気調和機が設置された居室2aに戻す風路である。
循環用送風機6は、給気風路5aの風路中に設けられて、空気調和機が設置された居室2aを起点とし、空気調和機が取り付けられていない居室2bを介して空気調和機が設置された居室2aに戻る空気流を発生させる送風機である。循環用送風機6は、循環風路5内を流れる空気流を発生させる送風部31と、後述する端末制御部63の制御に基づいて送風部31の駆動を制御する送風機制御部32と、送風機操作端末50と無線通信または有線通信により通信を行う送風機通信部33とを有し、外部電源から供給される電力により駆動する。循環用送風機6は、風量を調整できるように、風量が無段階で可変とされ、または風量が複数段階に可変とされている。送風機制御部32は、後述する送風機操作端末60の端末制御部63からの制御に従って風量を調整して送風部31の駆動を制御する。なお、循環用送風機6は、環気風路5bに設けられてもよい。
また、送風機制御部32は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。送風機制御部32が図4に示す処理回路により実現される場合、送風機制御部32は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、送風機制御部32の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、送風機通信部33を、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、送風機通信部33を実現するためのプロセッサおよびメモリは、送風機制御部32を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
送風機操作端末60は、入力部61と、表示部62と、端末制御部63と、記憶部64と、端末通信部65とを有する。入力部61と表示部62と端末制御部63と記憶部64と端末通信部65とは、互いに通信可能とされている。
入力部61は、使用者が循環用送風機6の運転、停止または風量の調整などの操作を行うための指示情報を受け付ける。入力部61は、受け付けた情報を端末制御部63に送信する。表示部62は、送風機操作端末60の運転状態、および送風機操作端末60に入力された情報など、送風機操作端末60の制御または監視に必要な各種情報を表示する。端末通信部65は、空気調和機4との間で各種情報の通信を無線通信により行う。記憶部64は、送風機操作端末60の動作および循環用送風機6の動作を制御するために使用される各種の情報を記憶する。
端末制御部63は、送風機操作端末60の運転、停止または風量の調整など、送風機操作端末60全体の動作を制御する。また、端末制御部63は、循環用送風機6の動作を制御する。端末制御部63は、空気調和機4から取得した情報および記憶部64に記憶している情報等に基づいて、循環用送風機6の動作および風量等を制御する指令を、端末通信部65を介して循環用送風機6に送信する。すなわち、端末制御部63は、後述するように建物1の延床面積と空気調和機が設置された居室2aの床面積との比などに基づいて循環用送風機6の風量を決定して循環用送風機6の風量を制御する風量制御部としての機能を有する。なお、風量制御部は、送風機操作端末60以外の場所に設けられてもよい。
また、端末制御部63は、例えば、図4に示したハードウェア構成の処理回路として実現される。端末制御部63が図4に示す処理回路により実現される場合、端末制御部63は、例えば、図4に示すメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現される。また、複数のプロセッサおよび複数のメモリが連携して上記機能を実現してもよい。また、端末制御部63の機能のうちの一部を電子回路として実装し、他の部分をプロセッサ101およびメモリ102を用いて実現するようにしてもよい。
また、入力部61および端末通信部65のうちの少なくとも一部の機能を、同様にメモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することにより、実現されるように構成してもよい。また、入力部61および端末通信部65のうちの少なくとも一部の機能を実現するためのプロセッサおよびメモリは、端末制御部63を実現するプロセッサおよびメモリと同一であってもよいし、別のプロセッサおよびメモリであってもよい。
断熱部材7は、居室2および非居室3を包含し、建物1の内部空間と建物1の外部空間とを仕切るように欠損なく設けられている。断熱部材7は、冬期には建物1の内部から建物1の外部へ熱の流出を防止し、夏期には建物1の外部から建物1の内部へ熱の流入を防止して、建物1の内部を適切な温熱環境に保つために設けられる。断熱部材7は、繊維系断熱材、プラスチック系断熱材などの、屋根、天井、外壁、床および基礎等の部位に設ける断熱手段のほか、窓および戸などの開口部における複層ガラスおよび高断熱建具等による断熱用の部材からなる。
断熱部材7、その他の建材、および空気層などによりもたらされる建物外皮の熱的性能は、建物1の地域区分、工法、コスト等を勘案して決定される。建物外皮の熱的性能は、一般に、外皮平均熱貫流率UA値(W/(m2・K))と、冷房期の平均日射熱取得率ηAC(%)、暖房機の平均日射熱取得率ηAH(%)で評価される。外皮平均熱貫流率UA値は、外部との熱的境界である各部位の面積、外部との熱的境界である各部位の熱貫流率の性能値、外部との熱的境界である各部位が隣接する空間との温度差に関する係数などを考慮したもので、外皮における熱損失を、外皮の部位の面積の合計で除した指標である。
以下に示す表1は、外皮平均熱貫流率UA値の基準および推奨水準を、日本国内の地域区分毎に整理して示すものである。
住宅の省エネルギー化の推進のため、建築物省エネ法において、外皮平均熱貫流率UA値の基準値である平成25年省エネルギー基準が定められている。平成25年省エネルギー基準は、地域区分ごとに定められており、地域区分1は旭川等の地域、地域区分2は札幌等の地域、地域区分3は盛岡等の地域、地域区分4は仙台等の地域、地域区分5は水戸等の地域、地域区分6は東京等の地域、地域区分7は鹿児島等の地域、地域区分8は那覇等の地域である。平成25年省エネルギー基準にて定められている外皮平均熱貫流率UA値の数値は、地域区分ごとに、地域1および2:0.46W/(m2・K)、地域3:0.56W/(m2・K)、地域4:0.75W/(m2・K)、地域5、6および7:0.87W/(m2・K)である。平成32年には省エネルギー化のための守るべき目標値として、平成25年省エネルギー基準の適合義務化が行われる予定である。
また、2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会では、HEAT20(Investigation committee of Hyper Enhanced insulation and Advanced Technique for 2020 houses)設計ガイドブック(HEAT20設計ガイドブック作成WG編、(株)建築技術)を発行し、「各地域において、冬期間、非暖房室での表面結露などが生じないように住宅内最低温度をおおむね10℃以上に保ち、暖房設備容量およびイニシャルコストを確実に低減できるように冬期間の暖房負荷を平成25年基準の住宅と比べて20%程度削減できる水準」として、HEAT20 G1グレードを定めている。G1グレードは、投資回収を重視した断熱水準であり、つまりコストパフォーマンス性の高い断熱水準である。G1グレードとして推奨されている外皮平均熱貫流率UA値の数値は、地域区分ごとに、地域1および2:0.34W/(m2・K)、地域3:0.38W/(m2・K)、地域4:0.46W/(m2・K)、地域5:0.48W/(m2・K)、地域6および7:0.56W/(m2・K)である。
加えて、2020年を見据えた住宅の高断熱化技術開発委員会では、「各地域において、冬期間、住空間の温度むらを数度以内に保つように住宅内最低温度を13℃〜15℃以上に保ち、冬期間の暖房負荷を平成25年基準の住宅と比べておおむね30%以上削減し、ゼロエネルギーハウス(ZEH)等の優れた省エネルギーを目指す住まいの推奨水準水準」として、HEAT20 G2グレードを定めている。G2グレードは、室間の温度差の低減を重視した断熱水準であり、室間の温度差によるヒートショックを防ぎ、健康面に配慮した断熱水準である。G2グレードとして推奨されている外皮平均熱貫流率UA値の数値は、地域区分ごとに、地域1、2および3:0.28W/(m2・K)、地域4および5:0.34W/(m2・K)、地域6および7:0.46W/(m2・K)である。
冷房期の平均日射熱取得率ηAC(%)および暖房機の平均日射熱取得率ηAH(%)は、窓、屋根および外壁などから日射の影響で熱が侵入する各部位の面積、各部位の日射熱取得率の性能値、各部位のある地域、各部位の向いている方位および庇の有無等の地表面反射を考慮したもので、外皮の冷房機または暖房機の各々の日射熱取得率を、外皮の部位の面積の合計で除した指標である。
循環用送風機6の風量Q(m3/h)の下限は、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積(V:m3)、断熱部材7による建物1の外皮平均熱貫流率UA値(UA:W/(m2・K))、係数a(a:m2K/(W・h))が下記式(1)を満たすように設定されている。循環風路5に接続される部屋の合計の室容量は、循環風路5に接続される空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの合計の気積である。なお、以下では、循環用送風機6の風量Qを循環風量Qと呼ぶ場合がある。
Q≧a×UA×V ・・・(1)
下記の表2に係数aの値を示す。
上記式(1)および表2を満たすように循環用送風機6の風量Q(m3/h)を設定することで、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度差を小さくできるとともに、すべての居室2の温度を18℃以上、28℃以下という居住に適した温度帯とすることができる。具体的には、冬期に、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を18℃以上とするために、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を28℃以下に設定することができる。また、夏期に、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を28℃以下とするために、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を18℃以上に設定することができる。式(1)および表2の根拠については後述する。
循環用送風機6の風量Q(m3/h)は、係数aを表3に示す値として、式(1)を満たすように設定されることが好ましい。
上記式(1)および表3を満たすように循環用送風機6の風量Q(m3/h)を設定することで、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度差を、上記式(1)および表2を満たすように循環用送風機6の風量Qを設定する場合に比べて、より小さくできる。具体的には、冬期に、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を18℃以上とするために、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を26℃以下に設定することができる。また、夏期に、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を28℃以下とするために、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を20℃以上に設定することができる。
循環用送風機6の風量Q(m3/h)は、さらに好適なのは、係数aを表4に示す値として、式(1)を満たすように設定されることがより好ましい。
上記式(1)および表4を満たすように循環用送風機6の風量Q(m3/h)を設定することで、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度差を、上記式(1)および表3を満たすように循環用送風機6の風量Qを設定する場合に比べて、より小さくできる。具体的には、冬期に、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を18℃以上とするために、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を24℃以下に設定することができる。また、夏期に、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を28℃以下とするために、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を22℃以上に設定することができる。
すなわち、表2、表3、表4は、空気調和機4の運転が暖房であるか冷房であるかの運転の種別を示す運転種別と、建物1の延床面積と、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合とが係数aとが関連付けられた、係数aを判定するために空気調和機4における空気調和機が設置された居室2aの設定温度毎に設けられた判定条件である。
循環用送風機6の風量Q(m3/h)の上限は、循環風路5中に設けた吹出口9a,9bから吹き出される気流の気流感、および循環風路5内を流れる気流の騒音を勘案して決定されることが好ましい。これらの条件を勘案した場合、循環用送風機6の風量Q(m3/h)の上限は、好ましくは循環風路5内の風速が5m/s以下となる風量である。
また、表1に示される外皮平均熱貫流率UA(W/(m2・K))を、0.28W/(m2・K)から0.87W/(m2・K)の範囲の中から選択することにより、HEAT20 G2グレードの地域区分1から平成25年省エネルギー基準の地域区分7までについて網羅して対応できる。表1に示される外皮平均熱貫流率UA(W/(m2・K))を、0.34W/(m2・K)から0.56W/(m2・K)の範囲の中から選択することにより、HEAT20 G2グレードの地域区分1から3および平成25年省エネルギー基準の地域区分1から3までについて網羅して対応できる。表1に示される外皮平均熱貫流率UA(W/(m2・K))を、0.28W/(m2・K)から0.46W/(m2・K)の範囲の中から選択することにより、HEAT20 G2グレードの地域区分1から3、HEAT20 G2グレードの地域区分1,2、および平成25年省エネルギー基準の地域区分1,2について網羅して対応できる。
つぎに、本実施の形態1にかかる空気調和システムを使用した場合の空気の流れについて説明する。空気調和機が設置された居室2aは、空気調和機4により、室温が設定温度になるよう空気調和されている。
循環用送風機6を動作させた場合、空気調和機が設置された居室2a内の加熱または冷却された調和空気は、循環用送風機6が発生する気流によって吸込口8aから吸い込まれて、給気風路5aを通り、吹出口9aから空気調和機が取り付けられていない居室2bに供給される。給気風路5aから空気調和機が取り付けられていない居室2bの各部屋へ供給される調和空気の風量の分配は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの各部屋の気積に対応して行なわれる。
各空気調和機が取り付けられていない居室2bに供給された調和空気は、空気調和機が取り付けられていない居室2b内の空気と混ざり合った後に、吸込口8bから環気風路5bに流入する。環気風路5bに流入した各空気調和機が取り付けられていない居室2b内の空気は、環気風路5b内において混合された後に、吹出口9bから空気調和機が設置された居室2aに吹き出される。空気調和機が設置された居室2aに吹き出された空気は、再び空気調和機4により加熱または冷却される。
一方、非居室3は、空気調和機が設置された居室2aと通気用開口10により直接または間接的に繋がっているが、循環風路5とは接続されていないため、循環用送風機6の循環送風による空気の移動はない。
つぎに、本実施の形態1にかかる空気調和システムを使用した場合の温熱環境について説明する。なお、温熱環境の試算方法の詳細については後述し、まず試算条件と結果について説明する。
一例として、延床面積:120m2、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:30%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:50%、延床面積に対する非居室3の床面積の割合:20%、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:230m3、外皮平均熱貫流率UA値0.4W/(m2・K)、外気:0℃、における暖房時を想定する。
この条件の場合の係数aは、上述した表2から3.3であり、式(1)より必要風量は303.6m3/hである。循環用送風機6の風量Qを1150m3/hとした場合、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を22.0℃に設定すると、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温は18.3℃となる。この場合の循環用送風機6の風量Q:1150m3/hは、循環回数において5回/hに対応する。循環回数(回/h)は、循環用送風機6の風量Q(m3/h)を、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V(m3)で除した値であり、一時間あたりに循環風が室内空気と何回入れ替わるかを意味するものである。
すなわち、本実施の形態1にかかる空気調和システムを使用して空気循環させることにより、すなわち空気調和機が取り付けられていない居室2bに空気調和機が設置された居室2aの空気を循環させることにより、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を18℃以上とすることができ、且つ、空気調和対象の部屋間の温度差を3.7℃に抑えることができる。空気調和対象の部屋間の温度差は、空気調和機が設置された居室2aの室温と空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温との温度差である。
一方、循環用送風機6の風量Qを230m3/hとした場合、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を22.0℃に設定すると、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温は11.0℃となる。居室は18℃以下となり、空気調和対象の部屋間の温度差も11℃と広がる。この場合の循環用送風機6の風量Q:230m3/hは、循環回数にして1回/hに対応する。
すなわち、本実施の形態1にかかる空気調和システムを使用して空気循環させる場合、空気調和機が設置された居室2aの室温が同じ条件でも、循環用送風機6の風量Qを変化させることにより、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が変化する。
つぎに、表2、表3および表4に示した係数aの設定根拠について説明する。本実施の形態1では、空気調和機が設置された居室2aを居住可能な温度とするための条件を明らかにするため、詳細なシミュレーションにより、パラメータスタディを実施した。シミュレーションには、下記式(2)に示す熱収支のモデルを用いた。
q×dt=h×A×(T−T∞)×dt+m×c×ΔT ・・・(2)
上記式(2)において、各記号は以下の事項を示す。q:単位時間あたりの投入熱量(W)、dt:微小時間、h:外比熱貫流率(UA値)(W/(m2・K))、A:外皮面積(m2)、T:建物内の空気温度(℃)、T∞:外気温度(℃)、m:空気質量(kg)、c:空気比熱(J/(kg・K))、ΔT:建物内の上昇温度(K)である。
式(2)の左辺は、建物に投入される熱量を表す。式(2)の右辺の第1項は、建物の内外の温度差により建物外皮から流入出する熱量を表す。式(2)の右辺の第2項は、建物内の空気の温度上昇に要する熱量を表す。式(2)の微分方程式を解くことで、建物の内外の熱収支が安定した際の、室温を求めることができる。
また、式(2)をベースに、以下の[1]から[16]の仮定条件を設定し、循環送風時の風量と、空気調和機が設置された居室2aおよび空気調和機が取り付けられていない居室2bの温熱環境を評価した。なお、下記の仮定条件は一般的な住居における値であり、本条件で試算を行うことで一般的な住居の温熱環境を考慮しうる。
[1]式(2)を部屋毎に計算し、建物内の空気温度Tを求める。
[2]部屋間の循環送風による、空気と熱との分配および混合を考慮する。
[3]居室2の床面積は延床面積の80%、非居室3の床面積は延床面積の20%で固定とする。
[4]空気調和機が取り付けられていない居室2bは式(2)の左辺を「0」とする。
[5]居室2は全て循環送風対象の部屋とする。
[6]室内の温度は瞬時一様拡散とする。
[7]天井高は2.4mで固定し、各部屋の気積は床面積に天井高を乗じて算出する。
[8]空気調和機が取り付けられていない居室2bが複数ある場合に、空気調和機が設置された居室2aから送風する。
[9]風量は、各部屋の気積に対応させて、すなわち各部屋の床面積に対応させて按分する。
[10]外皮平均熱貫流率は部屋によらず一定値を用いる。
[11]平成25年省エネルギー基準の算定根拠のモデル建物に基づき、延床面積が120m2の場合の外皮表面積は307.51m2とする。また、延床面積が80m2、160m2などである、延床面積が120m2以外の場合の建物の外皮表面積は、以下の仮定に基づいて算出した。まず、建物は総2階であり、床面は正方形と仮定し、建物の水平投影面積は60m2、床面の縦の長さおよび横の長さは√60≒7.7mとする。建物の断熱構造は、天井断熱および床下断熱と仮定して、建物の熱的境界が、天井面、床下面、壁面4面の、全6面からなるとした。したがって、天井面の表面積は60m2、床下面の表面積は60m2とした。ここで、壁面4面の合計の表面積は、天井面および床下面の表面積を除き、307.51m2−120m2=187.51m2とした。よって、壁面の1面当たりの表面積は、187.51m2÷4≒46.9m2とした。床面の縦の長さおよび横の長さは7.7mであるため、建物の高さは46.9m2÷7.7m≒6.1mとした。延床面積が80m2の場合および延床面積が160m2の場合は、建物高さ6.1mを固定し、総2階との条件および床面が正方形との条件を維持して、延床面積ごとの表面積を算出した。すなわち、延床面積が80m2である場合は、天井面の表面積が40m2、床下面の表面積が40m2、壁面1面あたりの表面積が√40m×6.1m≒38.6m2であり、合計の外皮表面積は40m2+40m2+38.6m2×4≒233m2とした。また、床面積が160m2である場合は、天井面の表面積が80m2、床下面の表面積が80m2、側面1面あたりの表面積が√80m×6.1m≒54.6m2であり、合計の外皮表面積は80m2+80m2+54.6m2×4≒376.5m2とした。
[12]各部屋に割り当てる外皮表面積は、循環送風対象の部屋の床面積に対する、各部屋の床面積の割合で、すなわち各部屋の気積の割合で按分する。
[13]外気温度は、冬期は0℃に固定し、夏期は35℃に固定する。
[14]換気および隙間風による熱損失は考慮しない。
[15]冬期の日射による熱流入は考慮しない。
[16]夏期の日射による熱流入は、式(2)の右辺第1項に、温度差による熱流入と日射による熱流入の割合から算出した数値を掛け合わせることにより考慮する。具体的には、外皮の温度差による熱流入を1とした時、最大負荷時の日射による熱流入を3.5倍と想定し、外皮の温度差による熱流入に4.5を掛け合わせる。4.5は、1+3.5=4.5により算出した値である。外皮の温度差による熱流入は、式(2)の右辺第1項に対応し、建物の内外の温度差により建物外皮からの流入に対応する。
図5は、本発明の実施の形態1において循環風量と建物内の温熱環境とを試算した試算結果の一例を表す特性図である。図5において、横軸は空気調和機が設置された居室2aの室温(℃)を示し、縦軸は循環風量Q(m3/h)を示す。図5は、式(2)を用いて、延床面積:120m2、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:30%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:50%、延床面積に対する非居室3の床面積の割合:20%、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:230m3、外皮平均熱貫流率UA値:0.4W/(m2・K)の条件で、冬期の外気0℃時における空気調和機が設置された居室2aおよび空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温と、循環風量との関係を試算した結果である。
図5における3本の特性線において、実線で示した特性線Aは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が18℃の場合を表し、破線で示した特性線Bは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が20℃の場合を表し、点線で示した特性線Cは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が22℃の場合を表している。
図5より、冬期に、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を23℃に設定し、循環風量を800m3/hとした場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温は18℃となる。また、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を23℃に設定し、循環風量を1600m3/hに倍増した場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温は20℃となる。なお、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を22℃まで上げようとすると、さらに多くの循環風量が必要となる。すなわち、本実施の形態1にかかる空気調和システムを使用して空気循環させる場合、空気調和機が設置された居室2aの室温が同じ条件でも、循環風量Qを増加させることにより、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を上昇させることができる。
つぎに、図5に示した特性図を別の視点で考察する。まず、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を18℃以上にするために最低限必要な条件を考える。図5において、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度が18℃以上の条件は、実線で示した特性線Aを含む、特性線Aの右上側の領域に対応する。仮に、空気調和機が設置された居室2aの温度の上限を28℃とした場合には、図5より、400m3/h程度以上の循環風量が必要であることが分かる。
ただし、冬期においては、室温が28℃の空間は暑すぎるため、空気調和機が設置された居室2aを快適にするために空気調和機が設置された居室2aの温度の上限を26℃とした場合を考える。この場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を18℃以上にするためには、図5より、500m3/h程度以上の循環風量が必要であることがわかる。
また、冬期においては、室温が26℃の空間は若干暑いため、空気調和機が設置された居室2aをより快適にするために空気調和機が設置された居室2aの温度の上限を24℃とした場合を考える。この場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を18℃以上にするためには、図5より、700m3/h程度以上の循環風量が必要であることがわかる。
したがって、図5に示す試算結果においては、冬期において空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を18℃以上にするために、循環風量を増加させることにより空気調和機が設置された居室2aを快適にするために空気調和機が設置された居室2aの温度の上限を任意の温度に設定可能であることが分かる。
図6は、本発明の実施の形態1において図5に示す外皮平均熱貫流率UA値:0.4W/(m2・K)の条件における特性図とその他の外皮平均熱貫流率UA値:0.1W/(m2・K)以上0.6W/(m2・K)以下の条件における試算結果とを基に作成した、外皮性能ごとの必要循環風量を示す特性図である。図6において、横軸は外皮平均熱貫流率UA(W/(m2・K))を示し、縦軸は循環回数(回/h)を示している。図6は、外皮平均熱貫流率UA値以外は、図5と同じく、延床面積:120m2、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:30%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:50%、延床面積に対する非居室3の床面積の割合:20%、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:230m3、冬期の外気:0℃の条件で、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を18℃で固定し、外皮平均熱貫流率UA値(W/(m2・K))と循環回数との関係を試算した結果である。
図6における3本の特性線において、実線で示した特性線Dは、空気調和機が設置された居室2aの室温が28℃の場合を表し、破線で示した特性線Eは、空気調和機が設置された居室2aの室温が26℃の場合を表し、点線で示した特性線Fは、空気調和機が設置された居室2aの室温が24℃の場合を表している。
図6より、空気調和機が設置された居室2aの室温をそれぞれ28℃以下、26℃以下、または24℃以下にするために必要な循環回数を読み取ることができる。そして、読み取った循環回数から循環風量Qを算出することができる。また、循環回数と外皮平均熱貫流率UA値との関係は原点を通る線形であることから、すなわち循環風量Qと外皮平均熱貫流率UA値の関係は原点を通る線形であることから、空気調和機が設置された居室2aの室温の条件毎に、図6に示す外皮平均熱貫流率UA値(W/(m2・K))と循環回数との関係を示す特性線の傾き、すなわち特性線の線形近似式の傾きを求めることで、必要な循環回数を見積もることができる。そして、必要な循環回数を見積もることで、必要な循環風量Qを見積もることができる。
たとえば図6において横軸をxとし、縦軸をyとすると、特性線Dの線形近似式は、y=4.511xとなり、特性線Dの線形近似式の傾きは、4.511となる。また、特性線Eの線形近似式は、y=5.643xとなり、特性線Eの線形近似式の傾きは、5.643となる。また、特性線Fの線形近似式は、y=7.526xとなり、特性線Fの線形近似式の傾きは、7.526となる。そこで、本実施の形態1においては、この特性線の線形近似式の傾きを、表2、表3および表4に示す係数aに設定した。
図7は、本発明の実施の形態1において循環風量と建物内の温熱環境とを図6と異なる条件で試算した外皮性能ごとの必要循環風量を示す特性図である。図7が図6と異なる点は、延床面積:80m2、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:154m3、の2点である。循環風路5に接続される部屋の合計の室容積Vは、前述の通り天井高を固定しており、延床面積に比例する。したがって、図7の特性図における条件は、実質的には延床面積のみを図6の特性図における条件から変化させている。
図7において実線で示した特性線Daは、図6における特性線Dに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が28℃の場合を表している。図7において破線で示した特性線Eaは、図6における特性線Eに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が26℃の場合を表している。図7において点線で示した特性線Faは、図6における特性線Fに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が24℃の場合を表している。
特性線Daの線形近似式は、y=5.132xとなり、特性線Daの線形近似式の傾きは、5.132となる。ここで、図7と図6と比較すると、図6の特性線Dは、図7の特性線Daよりも全ての外皮平均熱貫流率UA値において常に小さい。つまり、延床面積80m2以上120m2以下においては、必要な循環風量Qは少なくとも図6から読み取れる循環回数から見積もれる循環風量以上であり、係数aの値は、4.511以上である必要がある。このように、係数aは、適宜設定した延床面積の範囲の中で、できるだけ小さい値を選択している。なお、空気調和機が設置された居室2aの室温が26℃の場合および空気調和機が設置された居室2aの室温が24℃の場合も、同様である。
図8は、本発明の実施の形態1において循環風量と建物内の温熱環境とを図6と異なる条件で試算した外皮性能ごとの必要循環風量を示す特性図である。図8が図6と異なる点は、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:40%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:40%、の2点である。延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合は、前述のとおり延床面積に対する非居室3の床面積の割合を固定しており、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合に反比例する。したがって、図8の特性図における条件は、実質的には延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合のみを図6の特性図における条件から変化させている。
図8において実線で示した特性線Dbは、図6における特性線Dに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が28℃の場合を表している。図8において破線で示した特性線Ebは、図6における特性線Eに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が26℃の場合を表している。図8において点線で示した特性線Fbは、図6における特性線Fに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が24℃の場合を表している。
図8において実線で示した特性線Dbの線形近似式は、y=3.615xとなり、特性線Dの線形近似式の傾きは、3.615となる。ここで、図8と図6と比較すると、図6の特性線Dは、図8の特性線Dbよりも全ての外皮平均熱貫流率UA値において常に小さい。つまり、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合30%以上40%以下においては、必要な循環風量Qは少なくとも図8から読み取れる循環回数から見積もれる循環風量以上であり、係数aの値は、3.615以上である必要がある。このように、係数aは、適宜設定した延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合の範囲の中で、係数aができるだけ小さい値を選択している。
次に、夏期の冷房時における係数aの設定根拠について説明する。
図9は、本発明の実施の形態1において循環風量と建物内の温熱環境とを試算した試算結果の一例を表す特性図である。図9は、式(2)を用いて、延床面積:120m2、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:30%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:50%、延床面積に対する非居室3の床面積の割合:20%、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:230m3、外皮平均熱貫流率UA値:0.4W/(m2・K)の条件で、夏期の外気35℃時における空気調和機が設置された居室2aおよび空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温と、循環風量との関係を試算した結果である。
図9における3本の特性線において、実線で示した特性線Gは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が28℃の場合を表し、破線で示した特性線Hは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が26℃の場合を表し、点線で示した特性線Iは、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温が24℃の場合を表している。
図9より、夏期に、空気調和機4において、空気調和機が設置された居室2aの室温を24℃に設定し、循環風量を1800m3/hとした場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温は28℃となる。
つぎに、図9に示した特性図を別の視点で考察する。まず、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を28℃以下にするために最低限必要な条件を考える。図9において、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度が28℃以下の条件は、実線で示した特性線Gを含む、特性線Gの左上側の領域に対応する。仮に、空気調和機が設置された居室2aの温度の下限を18℃とした場合には、図9より、700m3/h程度以上の循環風量が必要であることが分かる。
ただし、夏期においては、室温が18℃の空間は寒すぎるため、空気調和機が設置された居室2aを快適にするために空気調和機が設置された居室2aの温度の下限を20℃とした場合を考える。この場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を28℃以下にするためには、図9より、900m3/h程度以上の循環風量が必要であることがわかる。
また、夏期においては、室温が20℃の空間は若干寒いため、空気調和機が設置された居室2aをより快適にするために空気調和機が設置された居室2aの温度の下限を22℃とした場合を考える。この場合には、空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を28℃以下にするためには、図9より、1200m3/h程度以上の循環風量が必要であることがわかる。
したがって、図9に示す試算結果においては、夏期において空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度を28℃以下にするために、循環風量を増加させることにより空気調和機が設置された居室2aを快適にするために空気調和機が設置された居室2aの温度の下限を任意の温度に設定可能であることが分かる。
図10は、本発明の実施の形態1において図9に示す外皮平均熱貫流率UA値:0.4W/(m2・K)の条件における特性図とその他の外皮平均熱貫流率UA値:0.1W/(m2・K)以上0.6W/(m2・K)以下の条件における試算結果とを基に作成した、外皮性能ごとの必要循環風量を示す特性図である。図10は、外皮平均熱貫流率UA値以外は、図9と同じく、延床面積:120m2、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:30%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:50%、延床面積に対する非居室3の床面積の割合:20%、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:230m3、夏期の外気:35℃の条件で、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を28℃で固定し、外皮平均熱貫流率UA値(W/(m2・K))と循環回数との関係を試算した結果である。
図10における3本の特性線において、実線で示した特性線Jは、空気調和機が設置された居室2aの室温が18℃の場合を表し、破線で示した特性線Kは、空気調和機が設置された居室2aの室温が20℃の場合を表し、点線で示した特性線Lは、空気調和機が設置された居室2aの室温が22℃の場合を表している。
図10より、空気調和機が設置された居室2aの室温をそれぞれ18℃以上、20℃以上、または22℃以上にするために必要な循環回数を読み取ることができる。そして、読み取った循環回数から循環風量Qを算出することができる。また、循環回数と外皮平均熱貫流率UA値との関係は原点を通る線形であることから、すなわち循環風量Qと外皮平均熱貫流率UA値の関係は原点を通る線形であることから、空気調和機が設置された居室2aの室温の条件毎に、図10に示す外皮平均熱貫流率UA値(W/(m2・K))と循環回数との関係を示す特性線の傾き、すなわち特性線の線形近似式の傾きを求めることで、必要な循環回数を見積もることができる。そして、必要な循環回数を見積もることで、必要な循環風量Qを見積もることができる。
たとえば図10において横軸をxとし、縦軸をyとすると、特性線Jの線形近似式は、y=7.905xとなり、特性線Jの線形近似式の傾きは、7.905となる。また、特性線Kの線形近似式は、y=9.880xとなり、特性線Kの線形近似式の傾きは、9.880となる。また、特性線Lの線形近似式は、y=13.165xとなり、特性線Lの線形近似式の傾きは、13.165となる。そこで、本実施の形態1においては、この特性線の線形近似式の傾きを、表2、表3および表4に示す係数aに設定した。
図11は、本発明の実施の形態1において循環風量と建物内の温熱環境とを図10と異なる条件で試算した外皮性能ごとの必要循環風量を示す特性図である。図11が図10と異なる点は、延床面積:80m2、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V:154m3、の2点である。循環風路5に接続される部屋の合計の室容積Vは、前述の通り天井高を固定しており、延床面積に比例する。したがって、図11の特性図における条件は、実質的には延床面積のみを図10の特性図における条件から変化させている。
図11において実線で示した特性線Jaは、図10における特性線Jに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が18℃の場合を表している。図11において破線で示した特性線Kaは、図10における特性線Kに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が20℃の場合を表している。図10において点線で示した特性線Laは、図10における特性線Lに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が22℃の場合を表している。
図11において実線で示した特性線Jaの線形近似式は、y=8.989xとなり、特性線Jaの線形近似式の傾きは、8.989となる。ここで、図11と図10と比較すると、図10の特性線Jは、図11の特性線Jaよりも全ての外皮平均熱貫流率UA値において常に小さい。つまり、延床面積80m2以上120m2以下においては、必要な循環風量Qは少なくとも図10から読み取れる循環回数から見積もれる循環風量以上であり、係数aの値は、7.905以上である必要がある。このように、係数aは、夏期においても、適宜設定した延床面積の範囲の中で、係数aができるだけ小さい値を選択している。
図12は、本発明の実施の形態1において循環風量と建物内の温熱環境とを図10と異なる条件で試算した外皮性能ごとの必要循環風量を示す特性図である。図12が図10と異なる点は、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合:40%、延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合:40%、の2点である。延床面積に対する空気調和機が取り付けられていない居室2bの床面積の割合は、前述のとおり延床面積に対する非居室3の床面積の割合を固定しており、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合に反比例する。したがって、図12の特性図における条件は、実質的には延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合のみを図10の特性図における条件から変化させている。
図12において実線で示した特性線Jbは、図10における特性線Jに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が18℃の場合を表している。図12において破線で示した特性線Kbは、図10における特性線Kに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が20℃の場合を表している。図12において点線で示した特性線Lbは、図10における特性線Lに対応しており、空気調和機が設置された居室2aの室温が22℃の場合を表している。
図12において実線で示した特性線Jbの線形近似式は、y=6.323xとなり、特性線Jbの線形近似式の傾きは、6.323となる。ここで、図12と図10と比較すると、図12の特性線Jbは、図10の特性線Jよりも全ての外皮平均熱貫流率UA値において常に小さい。つまり、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合30%以上40%以下においては、必要な循環風量Qは少なくとも図12に示す循環風量以上であり、係数aの値は、6.323以上である必要がある。このように、係数aは、適宜設定した延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合の範囲の中で、係数aができるだけ小さい値を選択している。
つぎに、循環用送風機6の運転について説明する。表2、表3および表4に示す情報のうち建物1に適合する係数aの情報、断熱部材7による建物1の外皮平均熱貫流率UA値(UA:W/(m2・K))の情報、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積(V:m3)の情報、およびこれらから得られる式(1)の情報は、空気調和機4の設置時に予め送風機操作端末60の記憶部64に記憶させておく。
送風機操作端末60の端末制御部63は、空気調和機4の運転時に、空気調和機4の運転が暖房であるか冷房であるかの運転の種別を示す運転種別情報と、空気調和機4における空気調和機が設置された居室2aの設定温度の情報と、を空気調和機4から取得する。
冬期における空気調和機4の暖房運転時の係数aの取得について説明する。端末制御部63は、空気調和機4から取得した運転種別情報と設定温度の情報とに基づいて、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を18℃以上にするための係数aを表2、表3および表4から選択する。
たとえば、運転種別が暖房であり、設定温度が26℃より高く28℃以下である場合には、端末制御部63は、係数aを表2から選択する。運転種別が暖房であり、設定温度が24℃より高く26℃以下である場合には、端末制御部63は、係数aを表3から選択する。運転種別が暖房であり、設定温度が24℃以下である場合には、端末制御部63は、係数aを表4から選択する。
つぎに、夏期における空気調和機4の冷房運転時の係数aの取得について説明する。端末制御部63は、空気調和機4から取得した運転種別情報と設定温度の情報とに基づいて、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を28℃以下にするための係数aを表2、表3および表4から選択する。
たとえば、運転種別が冷房であり、設定温度が18℃以上であり20℃未満である場合には、端末制御部63は、係数aを表2から選択する。運転種別が冷房であり、設定温度が20℃以上であり22℃未満である場合には、端末制御部63は、係数aを表3から選択する。運転種別が冷房であり、設定温度が22℃以上である場合には、端末制御部63は、係数aを表4から選択する。
表2、表3、表4に示すように、空気調和機4の運転が暖房であるか冷房であるかの運転の種別を示す運転種別と、建物1の延床面積と、延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合とが係数aと関連付けられた、係数aを判定するための判定条件を、空気調和機4における空気調和機が設置された居室2aの設定温度毎に有することで、現在の空気調和機が設置された居室2aの状況に対応した適切な循環風量の下限値を算出することができる。
なお、式(1)の情報および表2、表3および表4に示す情報の全てを、空気調和機4の設置時に予め送風機操作端末60の記憶部64に記憶させておき、端末制御部63が、入力部61から入力される建物1についての延床面積の情報、および延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合の情報に基づいて、端末制御部63が表2、表3および表4に示す情報から建物1に適合する係数aを取得してもよい。
端末制御部63は、選択した係数a、断熱部材7による建物1の外皮平均熱貫流率UA値(UA:W/(m2・K))の情報、および循環風路5に接続される部屋の合計の室容積(V:m3)の情報、を用いて上記式(1)により循環用送風機6の風量Qを算出して、算出した循環用送風機6の風量Qを下限指示循環風量として送風を指示する風量指令を循環用送風機6の送風機制御部32に送信する。すなわち、端末制御部63は、表2、表3、表4に示す、空気調和機4における冷暖房の運転種別と、建物の延床面積と、建物の延床面積に対する第1の居室の床面積の割合と、に対応した係数a(m2K/(W・h))と、建物の外皮平均熱貫流率UA(W/(m2・K))と、循環風路5に接続される第1の居室と第2の居室との合計の室容積V(m3)と、循環用送風機の風量Q(m3/h)とが上記式(1)を満たすように循環用送風機6の風量を制御する。
循環用送風機6の送風機制御部32は、端末制御部63から送信された風量指令の下限指示循環風量以上の風量で循環用送風機6の送風部31の運転を制御する。なお、循環用送風機6が複数段階の風量に運転可能な場合には、送風機制御部32は、端末制御部63から送信された風量指令の下限指示循環風量を循環用送風機6の風量の下限値として、指示循環風量に近い風量で循環用送風機6の送風部31の運転を制御する。
なお、たとえば係数aを表2から選択して上記式(1)により循環用送風機6の風量Qが算出された場合、送風機制御部32は、延床面積:80m2未満、延床面積に対する空気調和機が設置された居室の床面積の割合:30%以上40%未満の条件から係数a:4.1が選択された場合には、延床面積:80m2未満、延床面積に対する空気調和機が設置された居室の床面積の割合:30%未満の条件から係数a:5.1が選択された場合よりも小さい風量で、循環用送風機6の送風部31の運転を制御する。
また、たとえば係数aを表2から選択して上記式(1)により循環用送風機6の風量Qが算出された場合、送風機制御部32は、延床面積:80m2未満、延床面積に対する空気調和機が設置された居室の床面積の割合:40%以上の条件から係数a:3.0が選択された場合には、延床面積:80m2未満、延床面積に対する空気調和機が設置された居室の床面積の割合:30%以上40%未満の条件から係数a:4.1が選択された場合よりも小さい風量で、循環用送風機6の送風部31の運転を制御する。
すなわち、延床面積が同じ条件の範囲において延床面積に対する空気調和機が設置された居室の床面積の割合が異なる場合を比べると、送風機制御部32は、小さい係数aが選択された場合には、大きい係数aが選択された場合よりも、小さい風量で、循環用送風機6の送風部31の運転を制御する。これにより、循環用送風機6の省エネルギー化を図りつつ、空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を上げることができる。
端末制御部63は、循環用送風機6の停止を指示する指令を入力部61から受信した場合には、送風機制御部32に対して循環用送風機6の停止の制御を行う。
なお、上記においては、空気調和機が設置された居室2aに1台の空気調和機4が設けられた場合について示したが、空気調和機が設置された居室2aにおける空気調和機4の数量は限定されない。
上述したように、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、建物1の空気調和機が設置された居室2a内に設置された1台の空気調和機4によって空気調和された調和空気を、空気調和機が取り付けられていない居室2bに循環させることで、空気調和機が取り付けられていない居室2b内を間接的に空気調和することができる。すなわち、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2a内の調和空気を、空気調和機が取り付けられていない居室2bに循環させることにより、冬期においては空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を上げることができ、建物1内の温度の底上げを図ることができる。また、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2a内の調和空気を、空気調和機が取り付けられていない居室2bに循環させることにより、夏期においては空気調和機が取り付けられていない居室2bの室温を低下させて室温上昇防止を図ることができる。
また、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aで空気調和された調和空気を循環させるため、空気調和を行うための専用のスペースとして、人が居住することができない機械室のようなスペースを設ける必要がない。すなわち、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、建物1内において居住スペースを減らすことなく、居住可能な空間で空気調和された調和空気を、空気調和機が取り付けられていない居室2bに循環させるため、建物1内の全体を空気調和することができる。
また、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、通常時において人が居住する空気調和機が設置された居室2aに空気調和機4が設置されているため、空気調和機4のメンテナンスが容易である。
また、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、循環風路5に接続される部屋の合計の室容積V、断熱部材7による建物1の外皮平均熱貫流率UA、係数aが上記式(1)を満たすように循環用送風機6の風量Qの下限を設定することができる。これにより、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bを空気調和するために必要な適切な循環用送風機6の風量Qを設定できる。
また、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bを空気調和するために必要な適切な循環用送風機6の風量Qを設定できる。仮に、空気調和機が設置された居室2aの調和空気を送風することにより空気調和機が取り付けられていない居室2bを空気調和する場合に、単純に調和空気の送風を行う場合には、空気調和機が設置された居室2aを、夏期には極めて寒くする必要があり、また冬期には極めて暑くする必要がある。本実施の形態1にかかる空気調和システムでは、適切な循環用送風機6の風量Qを設定できるため、空気調和機が取り付けられていない居室2bを空気調和するために空気調和機が設置された居室2aを、夏期に極めて寒くする必要がなく、また冬期に極めて暑くする必要がない。したがって、空気調和機が取り付けられていない居室2bを空気調和しつつ、空気調和機が設置された居室2aを適温に保持することが可能である。
したがって、本実施の形態1にかかる空気調和システムは、空間が限られている建物1内の空間を有効活用しつつ、建物1内において空気調和機が取り付けられていない空間を、調和空気の空気循環により空気調和することが可能な空気調和システムを実現可能である。
図13は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムの機種選定装置200の構成を示すブロック図である。以下、空気調和システムの機種選定装置200を単に機種選定装置200と呼ぶ。機種選定装置200は、実施の形態1の空気調和システムの機種選定方法を実行するためのプログラムである空気調和システムの機種選定プログラムがインストールされたコンピュータである。機種選定装置200は、建物に適した空気調和機および循環用送風機6の必要能力を算出する処理、建物に適した空気調和機および循環用送風機6の機種および台数を選定する処理を行う。建物に適した必要能力は、空気調和機では冷暖房能力であり、循環用送風機6では風量である。図13に示す機種選定装置200の各機能部は、ハードウェアであるコンピュータによって空気調和システムの機種選定プログラムが実行されることによって実現される。
なお、機種選定装置200は、建物に適した空気調和機の冷暖房能力および建物に適した循環用送風機6の風量のうち、少なくとも一方を算出する算出処理を行ってもよい。そして、機種選定装置200は、建物に適した空気調和機の機種および台数を選定する選定処理、および建物に適した循環用送風機6の機種および台数を選定する選定処理のうち、少なくとも一方の選定処理を行ってもよい。すなわち、機種選定装置200において処理される処理項目は、建物に適した空気調和機の冷暖房能力、空気調和機の機種および台数と、建物に適した循環用送風機6の風量、循環用送風機6の機種および台数と、のうちどちらか一方だけでもよい。
機種選定装置200は、機種選定装置200全体を制御する機能部である制御部210を備える。制御部210は、係数a(m2K/(W・h))、空気調和機の冷暖房の容量および必要循環風量Qn(m3/h)を算出する処理を実行する機能部である演算部211と、演算部211での算出結果に基づいて、冷暖房の容量を満足する空気調和機の機種候補および必要循環風量Qn(m3/h)を送風することのできる循環用送風機6の機種候補を選定する選定処理を実行可能な機能部である選定処理部212と、を有する。
空気調和機の冷暖房の容量は、空気調和機が設置された居室2aに設けて空気調和をすべき、空気調和機の冷暖房の容量であり、循環風路5に接続される空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの合計の気積である。必要循環風量Qn(m3/h)は、空気調和機が設置された居室2aの温度と空気調和機が取り付けられていない居室2bの温度とを各々についてあらかじめ決められた温度に保つために循環用送風機6が送風するべき循環風量である。
機種選定装置200は、情報を記憶する機能部である記憶部220を備える。記憶部220は、空気調和機の機種と循環用送風機6の機種とを選定するための選定条件を記憶する機能部である選定条件記憶部221と、演算部211での算出結果である冷暖房の容量を満足する空気調和機の複数の機種候補を記憶する機能部である空気調和機候補記憶部222と、演算部211での算出結果である必要循環風量Qn(m3/h)を送風することのできる循環用送風機6の複数の機種候補を記憶する機能部である循環用送風機候補記憶部223と、選定処理部212で選定された選定結果である選定された空気調和機と選定された循環用送風機6とを記憶する機能部である選定結果記憶部224と、を有する。
選定条件は、機種選定装置200に入力される、建物の外皮平均熱貫流率UA、延床面積および延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合である。
機種選定装置200は、選定条件の情報を入力する機能部である入力部230と、選定処理部212で選定された選定結果の情報を提示する機能部である提示部240と、外部装置との通信を行う機能部である通信部250と、を有する。
図14は、実施の形態1にかかる機種選定装置200のハードウェア構成を示すブロック図である。機種選定装置200は、各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)261と、データ格納領域を含むRAM(Random Access Memory)262と、不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)263と、外部記憶装置264とを備える。機種選定装置200は、機種選定装置200の外部の装置との接続インタフェースである通信インタフェース(Interface,I/F)265と、技術者による操作にしたがって情報を入力する入力デバイス266と、画面にて情報を表示する出力デバイスであるディスプレイ267とを備える。図14に示す機種選定装置200の各部は、バス268を介して相互に接続されている。
CPU261は、ROM263および外部記憶装置264に記憶されているプログラムを実行する。図13に示す制御部210の機能は、CPU261を使用して実現される。外部記憶装置264は、HDD(Hard Disk Drive)あるいはSSD(Solid State Drive)である。外部記憶装置264は、空気調和システムの機種選定プログラムと、各種データとを記憶する。図13に示す記憶部220の機能は、外部記憶装置264を使用して実現される。ROM263には、機種選定装置200であるコンピュータの基本となる制御のためのプログラムであるBIOS(Basic Input/Output System)あるいはUEFI(Unified Extensible Firmware Interface)が記憶されている。なお、空気調和システムの機種選定プログラムは、ROM263に記憶されてもよい。
ROM263および外部記憶装置264に記憶されているプログラムは、RAM262にロードされる。CPU261は、RAM262にデータ処理プログラムを展開して各種処理を実行する。入力デバイス266は、キーボードおよびポインティングデバイスを含む。図13に示す入力部230の機能は、入力デバイス266を使用して実現される。ディスプレイ267の1つの例は、液晶パネルを備える液晶ディスプレイである。図13に示す提示部240の機能は、ディスプレイ267を使用して実現される。図13に示す通信部250の機能は、通信I/F265を使用して実現される。
空気調和システムの機種選定プログラムは、コンピュータによる読み取りが可能とされた記憶媒体に記憶されたものであってもよい。機種選定装置200は、記憶媒体に記憶された空気調和システムの機種選定プログラムを外部記憶装置264へ格納してもよい。記憶媒体は、フレキシブルディスクである可搬型記憶媒体、あるいは半導体メモリであるフラッシュメモリであってもよい。空気調和システムの機種選定プログラムは、他のコンピュータあるいはサーバ装置から通信ネットワークを介して、機種選定装置200となるコンピュータへインストールされてもよい。
図15は、本発明の実施の形態1にかかる機種選定装置200での処理によって得られるデータが提示されるまでの手順を表すフローチャートである。
まず、ステップS10では、データ保持工程が行われる。機種選定装置200は、選定条件の情報の提供者によって提供される記憶媒体から選定条件を取り込む。機種選定装置200は、通信手段を介して送信された選定条件を取り込んでもよい。機種選定装置200は、技術者による手動入力によって選定条件を取り込んでもよい。選定条件記憶部221は、取得された選定条件を記憶する。選定条件は、建物の外皮平均熱貫流率UA、延床面積および延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合である。
ステップS20では、算出工程が行われる。演算部211は、選定条件記憶部221に記憶されている選定条件を読み出して、係数a(m2K/(W・h))、空気調和機の冷暖房の容量および必要循環風量Qn(m3/h)を算出する演算処理を行う。演算部211は、上述した[1]から[16]の仮定条件を記憶している。演算部211は、あらかじめ上述した表2、表3および表4を記憶している。また、演算部211は、あらかじめ下記式(4)を記憶している。式(4)は、必要循環風量Qn(m3/h)を算出するための式である。
Qn=a×UA×V ・・・(4)
演算部211は、上述した[1]から[16]の仮定条件を用いて、循環風路5に接続される部屋の合計の室容量Vを算出し、算出した室容量Vを空気調和機の冷暖房の容量とする。演算部211は、建物の外皮平均熱貫流率UA、延床面積および延床面積に対する空気調和機が設置された居室2aの床面積の割合の情報に基づいて、表2、表3および表4の中から係数a(m2K/(W・h))を選択し、決定する。そして、演算部211は、係数a(m2K/(W・h))、建物の外皮平均熱貫流率UAおよび室容量Vを用いて、上記式(4)により、必要循環風量Qn(m3/h)を算出する。
ステップS30では、機種候補の選定工程が行われる。選定処理部212は、演算部211での算出結果に基づいて、冷暖房の容量、すなわち室容量Vを満足する空気調和機の機種と台数との組み合わせを空気調和機候補記憶部222に記憶された空気調和機の複数の機種候補から選択する選定処理を行う。また、選定処理部212は、必要循環風量Qn(m3/h)を送風することのできる循環用送風機6の機種と台数との組み合わせを、循環用送風機候補記憶部223に記憶された循環用送風機6の複数の機種候補から選定する選定処理を行う。空気調和機の機種と台数との組み合わせは、冷暖房の容量、すなわち室容量Vに対してあらかじめ決められた設定温度に保つことが可能な組み合わせである。選定結果記憶部224は、選定処理部212で選定された選定結果を記憶する。
ステップS40では、選定結果の提示の選定工程が行われる。提示部240は、ステップS30において選定された、空気調和機の機種と台数との組み合わせと、循環用送風機6の機種と台数との組み合わせとを提示する。なお、提示部240による提示は、ディスプレイ267を使用した情報の表示の他、紙やデータに出力することによって行われてもよい。提示された機種と台数との組み合わせの情報により、送風機のメーカー、空気調和機のメーカー、または設備設計者は、適切な循環用送風機6の機種と台数との組み合わせを直ぐに選定することができる。これにより、機種選定装置200は、図15に示す手順を終了する。
なお、ステップS30において選定処理部212は、建物に適した空気調和機の機種および台数を選定する選定処理、および建物に適した循環用送風機6の機種および台数を選定する選定処理のうち、少なくとも一方の選定処理を行ってもよい。すなわち、選定処理部212において処理される処理項目は、建物に適した空気調和機の冷暖房能力、空気調和機の機種および台数と、建物に適した循環用送風機6の風量、循環用送風機6の機種および台数と、のうちどちらか一方だけでもよい。
図16は、本発明の実施の形態1にかかる空気調和システムの機種選定システムの構成を示すブロック図である。空気調和システムの機種選定システムは、通信可能に接続されたサーバ301と外部端末302とを有する、空気調和システムの機種選定システムとして実現されてもよい。この場合、サーバ301が、演算部211と選定処理部212とを備える。また、外部端末302が、入力部230と提示部240とを備える。
実施の形態2.
図17は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムの概略構成図である。図18は、本発明の実施の形態2にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態2にかかる空気調和システムは、循環風路5の経路数と、循環用送風機6の台数および配置とが異なる以外は、上述した実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態2にかかる空気調和システムは、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態2にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間に、並列に配置された2本の給気風路5aである第1給気風路51aおよび第2給気風路52aが設けられている。第1給気風路51aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第1給気風路51aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第2給気風路52aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第2給気風路52aの他端側は、2つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室22bおよび空気調和機が取り付けられていない居室23bに接続されている。第1給気風路51a中および第2給気風路52a中には、各々1台の循環用送風機6が設けられている。
このように2本の給気風路5aである第1給気風路51a中および第2給気風路52a中に並列に複数の循環用送風機6を設ける場合、実施の形態1にかかる空気調和システムのように1台の循環用送風機6で送風を行う場合に比べて、空気調和機が取り付けられていない居室2bの部屋毎にきめ細かな循環風量Qを設定できるという効果を奏する。
本実施の形態2にかかる空気調和システムにおいては、第1給気風路51a中および第2給気風路52a中に並列に設けられた2台の循環用送風機6の設計風量の合計風量を循環風量Qとし、循環風量Qが上述した式(1)に示す条件を満たすように設定される。また、仮に、並列に配置された3本以上の複数の循環風路に3台以上の複数の循環用送風機6が並列に並ぶ場合は、複数の循環用送風機6の合計風量を循環風量Qとして考えて、複数の循環用送風機6の風量が制御される。
実施の形態3.
図19は、本発明の実施の形態3にかかる空気調和システムの概略構成図である。図20は、本発明の実施の形態3にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態3にかかる空気調和システムは、循環用送風機6の台数および配置が異なる以外は、上述した実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態3にかかる空気調和システムは、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態3にかかる空気調和システムは、給気風路5a中および環気風路5b中に循環用送風機6が1台ずつ設けられている。このように循環風路5中に直列で並ぶ複数の循環用送風機6を設ける場合には、実施の形態1にかかる空気調和システムのように1台の循環用送風機6で送風を行う場合に比べて、建物1の気密性および居室2の各部屋の通気性によらず、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間で確実に空気を循環させることができるという効果を奏する。
なお、本実施の形態3にかかる空気調和システムにおいては、環気風路5b中の循環用送風機6があれば空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間で空気を循環させることができるので、給気風路5a中の循環用送風機6は必ずしも必要ではない。ただし、給気風路5a中の循環用送風機6を取り除く場合には、建物1の気密性を十分高くする必要がある。
本実施の形態3にかかる空気調和システムにおいては、循環風路5に対して直列に設けられた2台の循環用送風機6の設計風量のうち、いずれか風量の小さい方の循環用送風機6の風量を循環風量Qとして、式(1)を満たすように設定される。仮に3台以上の循環用送風機6が直列に並ぶ場合は、それら複数の循環用送風機6の設計風量のうち、最も小さい風量の循環用送風機6の風量を循環風量Qとして考えて、複数の循環用送風機6の風量が制御される。
実施の形態4.
図21は、本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムの概略構成図である。図22は、本発明の実施の形態4にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態4にかかる空気調和システムの構成は、循環風路5の経路数と、循環用送風機6の台数および配置が異なること以外は、上述した実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態4にかかる空気調和システムは、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態4にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bごとに、給気風路5a、環気風路5bおよび循環用送風機6が設けられている。
本実施の形態4にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間に、並列に配置された3本の給気風路5aである第1給気風路51a、第2給気風路52aおよび第3給気風路53aが設けられている。第1給気風路51aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第1給気風路51aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第2給気風路52aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第2給気風路52aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。第3給気風路53aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第3給気風路53aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室23bに接続されている。第1給気風路51a中、第2給気風路52a中、および第3給気風路53a中は、各々1台の循環用送風機6が設けられている。
本実施の形態4にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間に、並列に配置された3本の環気風路5bである第1環気風路51b、第2環気風路52bおよび第3環気風路53bが設けられている。第1環気風路51bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第1環気風路51bの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第2環気風路52bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第2環気風路52bの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。第3環気風路53bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第3環気風路53bの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室23bに接続されている。
このように空気調和機が取り付けられていない居室2bごとに、給気風路5a、環気風路5bおよび循環用送風機6を設ける場合には、実施の形態2にかかる空気調和システムに比べて、空気調和機が取り付けられていない居室2bの部屋毎にきめ細かな循環風量を設定できるという効果を奏する。
本実施の形態4にかかる空気調和システムにおいては、循環風路5である給気風路5aに対して並列に設けられた3台の循環用送風機6の設計風量の合計風量を循環風量Qとする。
実施の形態5.
図23は、本発明の実施の形態5にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態5にかかる空気調和システムの構成は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの数量および循環風路5の経路が異なること以外は、基本的に上述した実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態5にかかる空気調和システムは、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態5にかかる空気調和システムは、上述した実施の形態1にかかる空気調和システムにおいて、空気調和機が取り付けられていない居室23bが設けられていない構成を有する。すなわち、本実施の形態5にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bとして、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bの2つの居室が2階に設けられている。
給気風路5aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。給気風路5aの他端側は、2つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。環気風路5bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。環気風路5bの他端側は、2つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。
一方、不図示の循環用送風機6は、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの間を循環させる空気流を発生させられればよく、給気風路5a中の任意の場所または環気風路5b中の任意の場所に設けられればよい。
このように構成された本実施の形態5にかかる空気調和システムは、給気風路5aの他端側が2つに分岐されて空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されているため、循環風路5のダクト等の使用量を削減することができる。また、本実施の形態5にかかる空気調和システムは、環気風路5bの他端側が2つに分岐されて空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されているため、循環風路5のダクト等の使用量を削減することができる。したがって、本実施の形態5にかかる空気調和システムは、安価な空気調和システムを提供できるという効果を奏する。
実施の形態6.
図24は、本発明の実施の形態6にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態6にかかる空気調和システムの構成は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの数量および循環風路5の経路が異なること以外は、基本的に上述した実施の形態2にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態6にかかる空気調和システムは、実施の形態1,2にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1,2にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態6にかかる空気調和システムは、上述した実施の形態2にかかる空気調和システムにおいて、空気調和機が取り付けられていない居室23bが設けられていない構成を有する。すなわち、本実施の形態6にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bとして、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bの2つの居室が2階に設けられている。
第1給気風路51aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第1給気風路51aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第2給気風路52aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第2給気風路52aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。したがって、本実施の形態6にかかる空気調和システムは、給気風路5aを、第2の居室毎に有している。
環気風路5bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。環気風路5bの他端側は、2つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。したがって、本実施の形態6にかかる空気調和システムでは、環気風路5は、一端側が第1の居室に接続されるとともに他端側が複数の第2の居室に接続されている。
第1給気風路51a中および第2給気風路52a中には、各々1台の循環用送風機6が設けられている。循環用送風機6は、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの間を循環させる空気流を発生させられればよく、第1給気風路51a中の任意の場所および第2給気風路52a中の任意の場所に設けられればよい。
このように構成された本実施の形態6にかかる空気調和システムは、2本の給気風路5aである第1給気風路51a中および第2給気風路52a中に並列に複数の循環用送風機6を設けるため、空気調和機が設置されていない居室2bに供給する風量を居室ごとに独立に変更することでき、空気調和機が取り付けられていない居室2bの部屋毎にきめ細かな循環風量Qを設定できる。したがって、本実施の形態6にかかる空気調和システムは、、実施の形態5にかかる空気調和システムに比べて、循環風量Qの風量の調整に長けるという効果を奏する。
実施の形態7.
図25は、本発明の実施の形態7にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態7にかかる空気調和システムの構成は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの数量および循環風路5の経路が異なること以外は、基本的に上述した実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態7にかかる空気調和システムは、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態7にかかる空気調和システムは、上述した実施の形態1にかかる空気調和システムにおいて、空気調和機が取り付けられていない居室23bが設けられていない構成を有する。すなわち、本実施の形態7にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bとして、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bの2つの居室が2階に設けられている。
給気風路5aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。給気風路5aの他端側は、2つに分岐して、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。すなわち、本実施の形態7にかかる空気調和システムでは、給気風路5aは、一端側が第1の居室に接続されるとともに他端側が複数の第2の居室に接続されている。
本実施の形態7にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間に、並列に配置された2本の環気風路5bである第1環気風路51bおよび第2環気風路52bが設けられている。第1環気風路51bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第1環気風路51bの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第2環気風路52bの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。第2環気風路52bの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。したがって、本実施の形態7にかかる空気調和システムは、環気風路5bを、第2の居室毎に有している。
一方、不図示の循環用送風機6は、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの間を循環させる空気流を発生させられればよく、給気風路5a、第1環気風路51bおよび第2環気風路52bのうち任意の場所に設けられればよい。
このように構成された本実施の形態7にかかる空気調和システムは、給気風路5aの他端側が2つに分岐されて空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されているため、循環風路5のダクト等の使用量を削減することができ、安価な空気調和システムを提供できるという効果を奏する。
また、本実施の形態7にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bごとに環気風路5bを備えるため、空気調和機が取り付けられていない居室21bと空気調和機が取り付けられていない居室22bとの距離が長くなる場合でも、空気調和機が取り付けられていない居室2bの空気を、環気風路5bを介して空気調和機が設置された居室2aに確実に戻すことができる、という効果を奏する。
実施の形態8.
図26は、本発明の実施の形態8にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態8にかかる空気調和システムの構成は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの数量および循環風路5の経路が異なること以外は、基本的に上述した実施の形態4にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態8にかかる空気調和システムは、実施の形態4にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態4にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態8にかかる空気調和システムは、上述した実施の形態4にかかる空気調和システムにおいて、空気調和機が取り付けられていない居室23bが設けられていない構成を有する。すなわち、本実施の形態8にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bとして、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bの2つの居室が2階に設けられている。
本実施の形態8にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間に、並列に配置された2本の給気風路5aである第1給気風路51aおよび第2給気風路52aが設けられている。また、本実施の形態8にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bとの間に、並列に配置された2本の環気風路5bである第1環気風路51bおよび第2環気風路52bが設けられている。したがって、本実施の形態8にかかる空気調和システムは、給気風路5aと環気風路5bとを、第2の居室毎に有している。
一方、不図示の循環用送風機6は、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの間を循環させる空気流を発生させられればよく、第1給気風路51aおよび第1環気風路51bのうちの任意の場所と、第2給気風路52aおよび第2環気風路52bのうちの任意の場所に設けられればよい。
このように構成された本実施の形態8にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置されていない居室2bに供給する風量を空気調和機が設置されていない居室2bごとに独立に変更することでき、空気調和機が取り付けられていない居室2bの部屋毎にきめ細かな循環風量Qを設定できる。
また、本実施の形態8にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bごとに環気風路5bを備えるため、空気調和機が取り付けられていない居室21bと空気調和機が取り付けられていない居室22bとの距離が長くなる場合でも、空気調和機が取り付けられていない居室2bの空気を、環気風路5bを介して空気調和機が設置された居室2aに確実に戻すことができる、という効果を奏する。
実施の形態9.
図27は、本発明の実施の形態9にかかる空気調和システムの風路の構成を示す模式図である。本実施の形態9にかかる空気調和システムの構成は、空気調和機が取り付けられていない居室2bの数量および循環風路5の経路が異なること以外は、基本的に上述した実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成である。したがって、本実施の形態9にかかる空気調和システムは、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の効果を有する。なお、実施の形態1にかかる空気調和システムと同様の構成の説明は省略する。
本実施の形態9にかかる空気調和システムは、上述した実施の形態1にかかる空気調和システムにおいて、空気調和機が取り付けられていない居室23bが設けられていない構成を有する。すなわち、本実施の形態9にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室2bとして、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bの2つの居室が2階に設けられている。
給気風路5aの一端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。給気風路5aの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第1環気風路51bの一端側は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続されている。第1環気風路51bの他端側は、空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。第2環気風路52bの一端側は、空気調和機が取り付けられていない居室22bに接続されている。第2環気風路52bの他端側は、空気調和機が設置された居室2aに接続されている。
第1環気風路51bは、第2の居室である空気調和機が取り付けられていない居室21bと、他の第2の居室である空気調和機が取り付けられていない居室22bとを接続して、第2の居室の空気を他の第2の居室に導くための風路である。そして、本実施の形態9にかかる空気調和システムでは、給気風路5aは、一端側が第1の居室に接続されるとともに他端側が第2の居室に接続されている。また、環気風路5は、一端側が第1の居室に接続されるとともに他端側が他の第2の居室に接続されている。
不図示の循環用送風機6は、空気調和機が設置された居室2aと空気調和機が取り付けられていない居室2bの間を循環させる空気流を発生させられればよく、給気風路5a、第1環気風路51bおよび第2環気風路52bのうちの任意の場所に設けられればよい。
これにより、空気調和機が設置された居室2aの空気は、空気調和機が取り付けられていない居室21bに送られるとともに、空気調和機が取り付けられていない居室21bを介して空気調和機が取り付けられていない居室22bに送られる。また、空気調和機が取り付けられていない居室21bの空気が空気調和機が取り付けられていない居室22bに送られる。したがって、本実施の形態9にかかる空気調和システムは、空気調和機が設置された居室2aと、空気調和機が取り付けられていない居室21bと、空気調和機が取り付けられていない居室21bとの間で空気を循環させることができる。
このように構成された本実施の形態9にかかる空気調和システムは、空気調和機が取り付けられていない居室21bおよび空気調和機が取り付けられていない居室22bに対して調和空気を循環させる給気風路5aが、空気調和機が取り付けられていない居室21bに接続する1本のみとされている。これにより、本実施の形態9にかかる空気調和システムは、循環風路5のダクト等の使用量を削減することができ、安価な空気調和システムを提供できるという効果を奏する。
以上の実施の形態に示した構成は、本発明の内容の一例を示すものであり、別の公知の技術と組み合わせることも可能であるし、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、構成の一部を省略、変更することも可能である。