JP4544816B2 - エリア別空調制御システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空調制御システム、特に、複数のエリアに対する共通の空調環境提供手段として配備される1又は複数の空調室内機を有する空気調和装置を制御する空調制御システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ビルなどの建造物に設置される空調システムでは、家庭内のペア型の空気調和装置などと異なり、オフィス等の1つの空間に対して複数台の空調室内機が共通の空調環境提供手段として配備される空気調和装置が用いられることが多い。そして、これらの空調室内機が1つの空間全体に対して概ね均一の空調環境を提供するように、空気調和装置が制御されている。
【0003】
一方、空調システムが提供する空調環境を享受する人間は、1人ではなく、複数存在することが多い。したがって、複数の人が空調環境に関する異なった要求を持っている場合には、上記のような1つの空間に一律の空調環境を提供する空調制御を行うと、快適度合いが不足していると感じる人が出現することになる。このような人は、例えば仕事を行うオフィスにおいて生産効率が低下したり、病院の大部屋において十分に快適な環境を得られなくなったりする恐れがある。
【0004】
そこで、できるだけ多くの人の空調環境に対する要求に応えられるように、空調後の空気を吹き出す空調室内機を個々の人に対してそれぞれ配備し、個別に空調を行うようにした空調システムが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。このシステムは、一般にパーソナル空調システムと呼ばれ、個々の要求を満足させることによって各人の生産効率を高く維持することができ、生産性向上の効果を得ることができるとされている。
【0005】
【特許文献1】
特公平7−88950号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のパーソナル空調システムを採用すれば、仕事を行う複数の人から成る組織においては、生産性の向上というメリットを得ることができるとともに、個々に対して1台ずつ空調室内機を配備しているため、空調室内機それぞれが消費したエネルギー量を公知の按分方法を用いて求め、各人が消費したと考えられる空調エネルギーとして扱うことが可能になる。すなわち、上記のパーソナル空調システムでは、各人(1つの空調室内機に1人の個人ではなく団体が割り当てられている場合には、各団体)が空調環境の享受により消費したエネルギー量を公知の方法で推定することが容易にでき、その推定を基にして各人に課金することも可能である。
【0007】
しかし、パーソナル空調システムが採用されておらず、個人あるいは団体が使用するエリア(空間)に対して空調室内機が1対1で対応していない場合には、まず、個人あるいは団体それぞれの要求を受けても、従来の空気調和装置ではエリア毎の要求に合わせた空調制御はできない。また、従来においては消費エネルギー量の推定する際の最小単位が各空調室内機であり、1つの空調室内機が複数の個人あるいは団体が使用するエリアに空調環境の提供を行っている場合には、各個人あるいは団体に課金を行うためのエネルギー按分をすることができない。
【0008】
本発明の課題は、複数のエリアに対する共通の空調環境提供手段として配備される1又は複数の空調室内機を有する空気調和装置によって、複数のエリアそれぞれに個別の空調環境を提供するとともに、個別の空調環境を提供した複数のエリアの使用主それぞれの空調に関するエネルギー消費度合いを明確にすることができる空調制御システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係るエリア別空調制御システムは、一つの空間の複数のエリアに対する共通の空調環境提供手段として配備される1又は複数の空調室内機を有し、且つエリアと空調室内機が一対一に対応していない空気調和装置を制御する制御システムであって、エリア情報入力部と、制御部と、演算部とを備えている。エリア情報入力部は、手入力、あるいは他のコンピュータなどを介して、エリアの空調環境に関する情報であるエリア情報を受ける。エリア情報は、例えば、窓際のエリアであり外気の影響を受けやすいといった情報、OA機器などの発熱機器が多いといった情報、空調室内機から遠いといった距離に関する情報、エリアに居る個人や団体の空調環境に関する好みや要求といった情報などが挙げられる。制御部は、エリア情報に応じて、空気調和装置を制御する。制御部は、例えば、吹き出す空気の速度を制御したり、吹き出し空気の方向を変えるフラップの動きを制御したりすることで、空調室内機から吹き出される空気の流れを制御する。また、空調室内機が個別制御の可能な複数の輻射面を持つものである場合には、制御部は、それぞれの輻射面から放出される熱量を制御する。これにより、制御部は、エリアそれぞれに対して、エリア情報に対応した空調環境を提供する。演算部は、制御部の制御の内容を加味して、空調環境の提供に要した空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分する。
【0010】
ここでは、各エリアに対して1対1に空調室内機が対応しているのではなく、少なくとも1つの空調室内機が複数のエリアに対して共通のものとして配備されている。したがって、ある第1エリアに空調環境を提供する空調室内機が他の第2エリアにも空調環境を提供する空調室内機である場合には、その空調室内機が第1エリアの都合だけによって空調制御されると、第2エリアでは十分に快適な空調環境を得られなくなる恐れがある。
【0011】
これに対し、ここでは、各エリアの空調環境に関する情報であるエリア情報を基にして、制御部が空気調和装置を制御している。このため、上記の例で言えば、第1エリアの空調環境に関する情報から第1エリアに提供すべき空調環境を認識するとともに、第2エリアの空調環境に関する情報から第2エリアに提供すべき空調環境を認識して、例えば1つの空調室内機から第1,第2エリアにそれぞれ吹き出される空気量や空気の速度を制御部で調整(制御)してやることで、第1,第2エリアの両方において快適な空調環境を得ることができる。また、制御部で第1,第2エリアにそれぞれ吹き出される空気の温度まで変えることができれば、よりきめ細かくエリア情報に合った空調環境を各エリアに提供することが可能になる。
【0012】
さらに、ここでは、そのような制御部での制御の内容を加味することで、空調環境の提供に要した空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分している。したがって、複数のエリアの使用主それぞれの空調に関するエネルギー消費度合いが明確になり、使用主それぞれに対して空調環境提供に係る課金などを行うこともできるようになる。
【0013】
これにより、例えば、空調室内機が共通である大きな空間内で複数のブースから成るレンタルオフィスを提供している事業者が、各ブース(エリア)に提供した空調環境という観点を加味した形でブース賃借人に対して消費エネルギーの課金を行うことができるようになる。このような課金方法を採れば、賃借人間での課金の不公平感が是正されることや、各賃借人が省エネルギーを意識するようになることが期待できる。
【0014】
なお、演算部は、例えば、制御部の制御の内容を空気調和装置の運転履歴情報として記憶しているものを用いることによって、空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分することができる。
【0015】
請求項2に係るエリア別空調制御システムは、請求項1に記載の制御システムであって、空気調和装置は、2以上の空調室内機を有している。制御部は、少なくとも複数のエリアの1つに対して、2以上の空調室内機からの吹き出し空気により空調環境を提供する。
【0016】
ここでは、少なくとも1つのエリアに対しては、2以上の空調室内機から吹き出された空気によって空調環境の提供が行われる。このため、そのエリアにおいては、1つの空調室内機からの吹き出し空気による空調環境の提供では実現できない複雑な気流を発生させることもできるようになり、例えば、2つの空調室内機から吹き出された空気をエリアの上部で衝突させてダウンフローを発生させたり、エリア上部に1つの空調室内機から比較的冷たい空気を送るとともにエリア下部に別の空調室内機から比較的暖かい空気を送ったりすることができるようになり、よりきめ細かいエリア情報に応じた空調環境の提供ができるようになる。
【0017】
請求項3に係るエリア別空調制御システムは、請求項1に記載の制御システムであって、制御部は、エリア情報に応じて空調室内機から吹き出される空気の流れを制御し、エリア情報に対応した空調環境をエリアそれぞれに対して提供する。
【0018】
ここでは、空調室内機から吹き出される空気の流れを積極的に制御して室内の気流を調整することにより、複数のエリアそれぞれに個別の空調環境を提供することを実現させている。
【0019】
請求項4に係るエリア別空調制御システムは、請求項1又は3に記載の制御システムであって、エリアは、特定の個人及び/又は団体が使用する空間である。例えば、1又は複数の空調室内機が共通の空調環境提供手段として配備されている室内が、個人毎の空間(ブース)に仕切られている場合、部署別に区切られている場合、病院の大部屋内の各自の空間に分かれている場合、レンタルオフィスとして仕切られている場合などが想定される。また、請求項3に係るエリア別空調制御システムは、室内におけるそれぞれのエリアの位置を記憶するエリア位置記憶部をさらに備えている。
【0020】
ここでは、特定の個人及び/又は団体が使用する各エリアと、そのエリアの室内における位置との関係が、エリア位置記憶部に記憶される。このため、制御部は、いちいち各エリアの位置を検知することなく、各エリアの位置を把握してエリア情報に応じた空気調和装置の制御を行うことができる。
【0021】
請求項5に係るエリア別空調制御システムは、請求項1から4のいずれかに記載の制御システムであって、エリア情報は、それぞれのエリアにおいて要求される空調環境の情報である要求環境情報を含んでいる。
【0022】
ここでは、エリア情報が要求環境情報を含んでおり、空気調和装置を制御部で制御することで、エリア毎の個別要求に応じた空調環境の提供を行うことができるようになる。
【0023】
請求項6に係るエリア別空調制御システムは、請求項3に記載の制御システムであって、空調室内機は、室内の空気を吸い込んで空気調和を施した後に吹き出し口から室内へと空気を吹き出すものであり、吸い込み空気の温度および吹き出し空気の温度を測定するセンサを有している。そして、演算部は、吹き出し空気の吹き出し方向を基に空調室内機が空調環境を提供する提供先となるエリアを特定するとともに、空調室内機の吹き出し空気の温度、吸い込み空気の温度、吹き出しの風速、および吹き出し口の面積から求まる提供熱量関連値を基準として用い、空調環境の提供に要した空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分する。
【0024】
空調室内機の吹き出し空気の温度、吸い込み空気の温度、吹き出しの風速、および吹き出し口の面積がわかれば、吹き出し空気と吸い込み空気との温度差に風速および吹き出し口の面積を乗じることで、空気調和により吹き出し空気に付加した熱量(マイナスの熱量を含む)に相当する値を求めることができる。このような提供熱量関連値を基準として、各空調室内機で消費したエネルギー量の比率を求めることが可能である。そして、空気調和装置の消費エネルギー量を各空調室内機に分配し、さらにエリアそれぞれに按分すれば、空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分することができる。これに鑑み、ここでは、上記の提供熱量関連値を基準として空気調和装置の消費エネルギー量を求め、その空気調和装置の消費エネルギー量をエリア別に按分することにつなげている。
【0025】
また、空気調和装置の消費エネルギー量をエリア別に按分する処理自体においては、吹き出し空気の吹き出し方向を基に空調室内機がどのエリアに対して空調環境を提供しているのかを判断している。具体的には、各エリアに空気の吹き出し方向が向いている時間などを基にして空気調和装置の消費エネルギー量をエリア別に按分することが考えられる。
【0026】
【発明の実施の形態】
<全体概略>
本発明の一実施形態に係るエリア別空調制御システムの概要を、図1に示す。空調制御システムは、オフィスビルに設置される空調室外機群60および空調室内機群70から成る空気調和装置を制御するシステムであり、室内の所定のエリアを特定した上でエリア別に異なる空調環境を提供することが可能となっている。
【0027】
この空調制御システムは、1つの空調室外機と複数の空調室内機とから構成されるマルチ型の空気調和装置を複数台まとめて集中制御することが可能であり、空調室外機群60と通信線80により接続される空調管理装置10を備えている。また、空調制御システムは、空調室内機71,72,・・・に内蔵あるいは外付けされる受光器51,52,・・・と、それらの受光器51,52,・・・に光を送る発光器31,32,・・・と、エリア別空調を行わせたいエリアについての情報を入力するための情報入力端末43,44などとを備えている。
【0028】
<制御対象となる空気調和装置について>
本実施形態においてオフィスビルに設置されている空気調和装置は、複数のマルチ型の空気調和装置であって、それぞれが空調管理装置10によって監視・制御される。それぞれの空気調和装置では、1つの空調室外機と複数の空調室内機とが1つの冷媒系統を形成している。
【0029】
空調室内機群70は、全て天井埋設型である。どの空調室内機も同様の構成であるので、ここでは空調室内機71を例にとって構造を説明する。
【0030】
空調室内機71は、図7に示すように、天井に埋設されるケーシング92と、ケーシング92の下面に固定される化粧パネルとを備えている。
【0031】
ケーシング92は、その内部に各構成部品を格納するための部材あり、略矩形形状の外形を有している。化粧パネルには、下面中央に設けられた吸い込み口91と、その外周側に設けられた4つの吹き出し口71a,71b,71c,71dとが形成されている(図3参照)。また、ケーシング92内には、遠心送風機93、熱交換器94、吸い込み空気温度測定センサ95、吹き出し空気温度測定センサ96などが収容されている。さらに、各吹き出し口71a,71b,71c,71dには、吹き出し空気の方向を変えるための垂直フラップ97および水平フラップ(図示せず)が配置されている。
【0032】
遠心送風機93を回転させると、吸い込み口91から室内の空気が吸い込まれる。吸い込まれた空気は、遠心送風機93の外周側に吹き出される。遠心送風機93の外周側に吹き出された空気は、その外周側に配置された熱交換器94によって熱交換され、4つの吹き出し口71a,71b,71c,71dから室内に吹き出される。
【0033】
<室内に配備される受光器、発光器、および情報入力端末について>
次に、オフィスビル内の1つの部屋RMを例に挙げて、その部屋RMの中に配置されているエリア別空調制御システムの構成部品について説明する。
【0034】
図4に示すように、部屋RMは、1つのオフィスを構成しており、複数の個人P1〜P6が自分専用のスペースとして持っているエリアと、それ以外の共通のスペースであるエリアとに分かれている。共通のスペースの角には、発熱の多いOA機器が集中して置かれている。図2に示すように、部屋RMは、便宜上25等分されたブロック(区画)B1〜B25に分けられている。ここでは、ブロックB10が個人P1の使用するエリアに、ブロックB25が個人P2の使用するエリアに、ブロックB4が個人P3の使用するエリアに、ブロックB19が個人P4の使用するエリアに、ブロックB8が個人P5の使用するエリアに、ブロックB23が個人P6の使用するエリアに、そして、ブロックB21がOA機器の置かれるエリアになっている。
【0035】
このような部屋RMの天井には、5台の空調室内機71〜75が、図3に示す平面配置で取り付けられている。空調室内機71は、ブロックB4,B5,B9,B10にまたがるように平面配置されている。空調室内機72は、ブロックB19,B20,B24,B25にまたがるように平面配置されている。空調室内機73は、ブロックB1,B2,B6,B7にまたがるように平面配置されている。空調室内機74は、ブロックB16,B17,B21,B22にまたがるように平面配置されている。空調室内機75は、ブロックB13の真上に配置されている。
【0036】
また、5台の空調室内機71〜75は、それぞれ、図1および図3に示すように、その下面中央から吊り下がる受光器51〜55を有している。これらの受光器51〜55は、下記の発光器31〜37からの光を受けることができるように、発光器31〜37よりも高い位置に配置されている。
【0037】
発光器31〜37は、エリア別空調のエリアを特定するための機器であり、個人P1〜P6の机の最上部などに設置され、各受光器51〜55に対して発光する。例えば、図5の1点鎖線で示すように、発光器33は各受光器51〜55に対して斜め上方に向けて発光を行うことになる。また、発光器31〜37は、持ち運び可能な機器であり、部屋RM内のレイアウト変更を行う際には、新しいレイアウトにおけるエリア別空調のためのエリアを特定できる場所に移動させられる。例えば、図4に示すレイアウトにおいて個人P1〜P6の机の最上部それぞれに発光器31〜36が設置されているが、これが図8に示すレイアウトに変わった場合には、各個人P1〜P6が自分の移動に合わせて発光器31〜36を持ち運ぶことが考えられる。
【0038】
さらに、部屋RM内には、各個人P1〜P6が仕事で使うパーソナルコンピュータが存在する。これらのパーソナルコンピュータはLANを介して後述する空調管理装置10の入力部12にアクセスが可能とされている。これらのパーソナルコンピュータを、本実施形態のエリア別空調制御システムでは、エリア毎の空調環境に関する情報を入力させるための情報入力端末として利用している。例えば、図1に示すように、個人P3の机の上にあるパーソナルコンピュータを、ここでは、個人P3が独占的に使用するエリアの空調環境に関する情報を空調管理装置10の入力部12に入力する情報入力端末43として利用する。この情報入力端末43として働くパーソナルコンピュータで、個人P3が共通エリアの通常設定温度よりも低い独自の空調設定温度を入力すると、その空調設定温度が個人P3や発光器33と関連づけられた形で入力部12のエリア情報ファイル20に格納される。
【0039】
<空調管理装置について>
空調管理装置10は、オフィスビルの各部屋についてエリア別空調のためのエリアの特定を行うエリア位置特定部11および入力部12と、エリア別空調を含めた空調制御を行う空調制御部13と、空調制御の履歴に従って各部屋においてエリア別に空調に関するエネルギーの消費量を推定演算するエリア別エネルギー消費量演算部14とを有している。
【0040】
〔エリア位置特定部〕
エリア位置特定部11は、まず、受光器51〜55の設置位置の情報を入手し、それを受光器位置情報ファイル15に記憶する。受光器51〜55の設置位置については、全てを手入力してもよいし、一部を手入力して発光器31〜37や受光器51〜55による相互位置認識を行わせることによって残りを自動的に入手するようにしてもよい。このように、受光器51〜55の設置位置の情報を受光器位置情報ファイル15に記憶しているため、各エリアの位置の再度の特定を行うときにも、その度に受光器51〜55の設置位置を入力させたり検出したりする必要がなくなる。
【0041】
次に、エリア位置特定部11は、複数の受光器51〜55による受光情報から、発光器31〜37それぞれの位置を検出する。この位置検出は、3角法を利用して行われる。ここで検出された発光器31〜37の位置情報は、発光器位置情報ファイル16に記憶される。
【0042】
次に、エリア位置特定部11は、発光器31〜37の位置の近傍のブロック(図2参照)を、その発光器31〜37が示すエリアとして特定する。ここでは、発光器31が示すエリアがブロックB10、発光器32が示すエリアがブロックB25、発光器33が示すエリアがブロックB4、発光器34が示すエリアがブロックB19、発光器35が示すエリアがブロックB8、発光器36が示すエリアがブロックB23、発光器37が示すエリアがブロックB21として特定される。こうして特定されたエリアは、エリアの位置としてブロック番号が当てられ、エリア位置情報ファイル17に記憶される。また、エリア名と、そのエリア名に対応する発光器のID番号との相関情報は、相関特定情報ファイル18に記憶されている。この相関情報は、個人P1〜P6又は代表者が情報入力端末43,44などから入力部12に手入力する情報である。相関特定情報ファイル18にあるエリア名と発光器のID番号との相関情報と、エリア位置情報ファイル17にある発光器の位置情報(ここではブロック名)とから、エリア位置特定部11は、エリア名と、そのエリア名のエリアの位置(ここではブロック名)との関係を決定することができる。例えば、個人P3が自分が独占的に使うエリア名をエリアP3と命名し、その自分のエリアには発光器33を設置したという情報とともにエリアP3というエリア名を入力部12に送ると、エリア位置特定部11は、エリア位置情報ファイル17にある発光器33とブロックB4とが対応しているという情報を合わせて、個人P3のエリアP3はブロックB4という位置にあるエリアであることを特定することになる。
【0043】
〔入力部〕
入力部12は、個人P1〜P6又はオフィスを構成する部屋RMの代表者がパーソナルコンピュータなどの情報入力端末43,44などにより入力するエリアに関する情報(以下、エリア情報という。)を受ける。したがって、入力部12は、各情報入力端末43,44などと有線又は無線により接続されている。
【0044】
また、入力部12は、個人P1〜P6などが入力したエリア情報を記憶するエリア情報ファイル20を有している。エリア情報は、それぞれのエリアにおいて要求される空調環境の情報である要求環境情報を含んでいる。具体的に、エリア情報として、例えば、窓際のエリアであり外気の影響を受けやすいといった情報、OA機器などの発熱機器が多いといった情報、空調室内機から遠いといった距離に関する情報、エリアに居る個人又は団体の空調環境に関する好みや要求といった情報などが挙げられる。
【0045】
〔空調制御部〕
空調制御部13は、設定温度に基づく通常の空調制御のほかに、入力部12で受けつけエリア情報ファイル20に記憶されたエリア情報に応じて、空調室内機71〜75から吹き出される空気の流れを制御する気流制御を行う。この気流制御は、室内ファンの回転数を変更して吹き出し口から吹き出す空気の速度を制御する風速制御と、垂直フラップ97および水平フラップを作動させて吹き出し空気の方向を変える風向制御とを含んでいる。
【0046】
空調制御部13は、風速制御と風向制御とを組み合わせ、各エリアに対してエリア情報に対応した空調環境を提供する。具体的には、寒めの空調環境が求められるエリアに対しては吹き出し空気が多く当たるようにし、暑めの空調環境が求められるエリアに対しては吹き出し空気が少なく当たるようにする。
【0047】
例えば、個人P3が占有するブロックB4から成るエリアが寒めの空調環境を要求し、個人P4が占有するブロックB19から成るエリアが暑めの空調環境を要求している場合には、図6に示すように、個人P3のブロックB4の斜め上方の空調室内機71が、ブロックB4のエリアに直接吹き出し空気が当たるように、吹き出し口71aから下向きの空気流W2,W3を多くして斜め下方向きの空気流W1,W4を少なくする。また、個人P4のブロックB19の斜め上方の空調室内機72が、吹き出し口72aから個人P3のブロックB4に向く斜め下向きの空気流W5を多く生成する。空調室内機72からの空気流W5は、空調室内機71からの空気流W3を個人3のブロックB4側へと導く役割も果たしている。一方、暑めの空調環境を要求している個人P4のブロック19に空気流が直接当たらないように、ブロックB19の斜め上方の空調室内機72は、吹き出し口72aから下向きの空気流W6,W7を少なくし、吹き出し口72aから斜め下方向きの空気流W5,W8を多くするように制御されている。また、図示していないが、空調室内機71の吹き出し口71b,71dや空調室内機72の吹き出し口72b,72dから吹き出される空気についても、垂直フラップを作動させての左右の吹き出し方向の制御によって、個人P3が望む寒めの空調環境および個人P4が望む暑めの空調環境に合うように吹き出されている。
【0048】
〔エリア別エネルギー消費量演算部〕
エリア別エネルギー消費量演算部14(以下、単に演算部14という。)は、上記の空調制御部13の風速制御および風向制御の内容を加味して、空調環境の提供に要した空気調和装置の消費エネルギー量(ここでは消費電力量)をエリアそれぞれに対して按分する。以下に、順を追って、按分の方法について説明する。
【0049】
(1)
まず、各空調室内機71〜75の吸い込み空気の温度、吹き出し空気の温度、および吹き出し空気の速度の制御履歴データと、各空調室内機71〜75の吹き出し口の面積とから、所定期間(例えば1ヶ月)において各空調室内機71〜75が部屋RM内に提供した熱量に比例する提供熱量関連値を求める。吸い込み空気の温度は吸い込み空気温度測定センサ95から、吹き出し空気の温度は吹き出し空気温度測定センサ96から取得する。提供熱量関連値は、それぞれの空調室内機について、次式で求める。
[式1]提供熱量関連値=Σ{(風速)×(吹き出し口の面積)×{(吹き出し温度)−(吸い込み温度)}×(係数K)}
(2)
次に、これらの提供熱量関連値に比例するように、空気調和装置の所定期間における消費電力を、各空調室内機71〜75に配分する。これにより、各空調室内機71〜75が所定期間のあいだに空調環境の提供に要した消費電力が、簡易的に推定される。
【0050】
なお、ここでは上記のような方法で各空調室内機71〜75に空気調和装置の消費電力を推定配分しているが、例えばマルチ式の空気調和装置において各空調室内機に対応する膨張弁の開度や各空調室内機のファンの回転数などの履歴データを用いて同様の配分を行うなど、他の方法によって空気調和装置の消費電力を各空調室内機に配分してもよい。
【0051】
(3)
次に、空調室内機71からの空気の吹き出し方向の制御内容、すなわち垂直フラップ97および水平フラップの動きの制御履歴データから、各エリアに向かって空気が吹き出されていた時間帯およびその時間帯における吹き出し延べ時間を演算する。このときに、空調室内機71の吹き出し口71a,71b,71c,71dから吹き出される空気の向きと、その空気が到達する先のエリアとの相関データが参照される。この相関データは、受光器51〜55の配置と一致する空調室内機71〜75の配置、空調室内機71〜75における各吹き出し口の位置、各エリアの配置、天井高さなどの基礎データから、演算部14が算出する。
【0052】
(4)
次に、各時間帯における単位時間あたりの空調室内機71による供給熱量を、次式によって簡易的に計算する。
[式2]単位供給熱量=(風速)×(吹き出し口の面積)×{(吹き出し温度)−(吸い込み温度)}×(係数K)
(5)
次に、所定期間における空調室内機71の消費電力を、負担指標に応じて各エリアに按分する。負担指標は、次式のように、各時間帯において単位供給熱量と吹き出し延べ時間と掛け合わせ、それを所定期間のあいだ積算した値である。
[式3]負担指標=Σ{(単位供給熱量)×(そのエリアへの吹き出し延べ時間)}
(6)
このような上記(3)〜(5)の演算によって、所定期間における空調室内機71の消費電力が、いずれかのエリアに按分される。この(3)〜(5)の演算方法を用いて、その他の空調室内機72,73,74,75についても、同様に所定期間における消費電力をいずれかのエリアに按分する。
【0053】
全ての空調室内機71〜75について所定期間における消費電力の各エリアへの按分が終わると、次に、それらの空調室内機71〜75から空調環境の提供を受けている各エリアにおいて、按分された消費電力の集計を行う。例えば、個人P3のエリアとなっているブロックB4は、その斜め上方に配置されている空調室内機71からだけではなく、空調室内機71に隣接する空調室内機72や空調室内機75からも空調環境の提供(吹き出し空気の送風)を受けている(図6参照)。したがって、個人P3のエリアについては、少なくとも3つの空調室内機71,72,75がブロックB4に向けて吹き出した空気の熱量に相当する各消費電力を集計し、その合計を負担消費電力とすることになる。
【0054】
<システムの特徴>
(1)
ここでは、各エリアに関する情報(空調環境に関する情報を含む)であるエリア情報を基にして、空調制御部13が空調室内機71〜75から吹き出される空気の流れを制御している。具体的には、それぞれのエリアに吹き出される空気量や空気の速度を制御して、各エリアにおいて快適な空調環境を実現している。これにより、上記の例では、個人P1が使用するエリアとなっているブロックB10、個人P2が使用するエリアとなっているブロックB25、個人P3が使用するエリアとなっているブロックB4、個人P4が使用するエリアとなっているブロックB19、個人P5が使用するエリアとなっているブロックB8、個人P6が使用するエリアとなっているブロックB23、およびOA機器が置かれるエリアとなっているブロックB21のそれぞれに対して、空調室内機71〜75から吹き出される空気によって個別に異なる空調環境が提供されている。
【0055】
そして、このような個別の空調環境の提供を可能にするためには、部屋RM内における各エリアの位置の特定が必要となるが、ここでは、個別の空調環境の提供対象となっている7つのエリアを、発光器31〜37によって1つのブロックに1対1で対応する形で特定している。また、受光器51〜55の受光情報を基にして、エリア位置特定部11が各エリアの位置の特定を行っている。
【0056】
なお、空調室内機から各エリアに吹き出される空気の温度まで個別に変えることができる空気調和装置を用いれば、よりきめ細かくエリア情報に合った空調環境を各エリアに提供することが可能になる。
【0057】
さらに、ここでは、上記のような空調制御部13での制御の内容を加味することで、空調環境の提供に要した空気調和装置の消費電力量を、エリアそれぞれに対して按分している。したがって、複数のエリアの使用主(例えば、個人P1〜P6)それぞれの空調に関するエネルギー消費度合いが明確になり、使用主それぞれに対して空調環境提供に係る課金などを行うこともできるようになっている。
【0058】
(2)
空調環境に対して人が快適と感じるか否かの目安として、温度や湿度のパラメータの他に、人に当たる風(空気)の量のパラメータも存在する。人に当たる風が多ければ比較的高い温度であっても人は涼しいと感じるが、風があまり当たらなければ同じ温度でも人は暑さを感じる傾向にある。すなわち、空調室内機から同じ温度の空気が吹き出される場合でも、多く風が人に当たるエリアでは人の体感温度は比較的低くなり、少なく風が人に当たるエリアでは人の体感温度は比較的高くなる。
【0059】
これに鑑み、ここでは、空調室内機71〜75から吹き出される空気の向きや強さを変える制御を空調制御部13に行わせ、寒めの空調環境が求められるエリアに対しては風が多く当たるようにし、暑めの空調環境が求められるエリアに対しては風が少なく当たるようにしている。これにより、エリアによって吹き出す空気の温度を変えることができない空調室内機71〜75が配備されている上記の場合にも、エリア情報に応じてエリア別に異なる空調環境の提供を行うことができるようになっている。
【0060】
<変形例>
(A)
上記の[式1]や[式2]では(吹き出し温度)や(吸い込み温度)を用いているが、このような温度を用いずにエンタルピー値を用いれば、単位供給熱量の算出精度が向上する。
【0061】
(B)
オフィスビルではなく他の建造物に設置される空気調和装置の制御システムに対して、上記のエリア別空調制御システムを適用することも可能である。例えば、病院の空調システムに対して本発明の制御方法を適用すれば、病院の大部屋内が各病人の空間に分かれている場合に、病人別空調ができるようになるとともに、病人ごとに入院費を調整して公平感を向上させることも可能になる。
【0062】
(C)
上記の実施形態では、エリア位置特定部11が、発光器31〜37の位置の近傍のブロック(図2参照)を、その発光器31〜37が示すエリアとして特定している。
【0063】
これに代えて、所定の発光器群に囲まれる部分をエリアとして特定することも考えられる。
【0064】
例えば、図9に示すように、発光器131a,131b,131c,131dで囲まれる部分を国内営業グループG1の使用するエリア、発光器132a,132b,132c,132dで囲まれる部分を海外営業グループG2の使用するエリア、発光器133a,133b,133c,133dで囲まれる部分を総務グループG3の使用するエリアと特定すれば、3つのエリアそれぞれに個別(エリア別)の空調環境を提供し、グループ毎に空調環境の提供に要した消費電力の課金を行うこともできるようになる。
【0065】
また、図9に示す区分けでは、国内営業グループG1が6個のブロックB1,B2,B3,B6,B7,B8を、海外営業グループG2が9個のブロックB11,B12,B13,B16,B17,B18,B21,B22,B23を、総務グループG3が10個のブロックB4,B5,B9,B10,B14,B15,B19,B20,B24,B25を使用するレイアウトになっているが、これが図10に示す区分けに変更されてブロックB4,B5が総務グループG3から国内営業グループG1に移った場合には、国内営業グループG1が使うエリアを特定するための2つの発光器131e,131fを新たに用意して図10に示すように各発光器を配置すればよい。ここでは、発光器131a,131b,131c,131d,131e,131fで囲まれる部分が国内営業グループG1の使用するエリアとして特定される。
【0066】
なお、複数の発光器と1つのエリアとが対応している上記のような場合には、そのような対応情報を相関特定情報として入力部12に入力すればよい。
【0067】
(D)
上記の実施形態では、エリア位置特定部11が、発光器31〜37の位置の近傍の1つのブロック(図2参照)を、その発光器31〜37が示すエリアとして特定している。
【0068】
これに代えて、図11に示すように、発光器231〜238の位置がブロックの境界にある場合に1つ発光器と複数のブロックとを対応づけさせることも可能である。
【0069】
図11に示す例は、レンタルオフィスを想定している。このレンタルオフィスは、図2に示すようにブロック割りされる部屋RMに8つの会議スペースR1〜R8を用意して、中央の廊下から各スペースR1〜R8に入ることができるように区切っている。R1〜R3およびR5〜R7は2つのブロックから成る小会議スペースであり、R4およびR8は4つのブロックから成る大会議スペースである。それぞれの会議スペースを特定するための発光器として、8つの発光器231〜238が用意されている。
【0070】
発光器231は、ブロックB1とブロックB2との境界上に配置され、小会議スペースR1をブロックB1,B2から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0071】
発光器232は、ブロックB6とブロックB7との境界上に配置され、小会議スペースR2をブロックB6,B7から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0072】
発光器233は、ブロックB11とブロックB12との境界上に配置され、小会議スペースR3をブロックB11,B12から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0073】
発光器234は、ブロックB16とブロックB17とブロックB21とブロックB22との境界上に配置され、大会議スペースR4をブロックB16,17,21,22から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0074】
発光器235は、ブロックB4とブロックB5との境界上に配置され、小会議スペースR5をブロックB4,B5から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0075】
発光器236は、ブロックB9とブロックB10との境界上に配置され、小会議スペースR6をブロックB9,B10から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0076】
発光器237は、ブロックB14とブロックB15との境界上に配置され、小会議スペースR7をブロックB14,B15から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0077】
発光器238は、ブロックB19とブロックB20とブロックB24とブロックB25との境界上に配置され、大会議スペースR8をブロックB19,20,24,25から成るエリアとしてエリア位置特定部11に特定させる。
【0078】
これにより、空調室内機71〜75が共通である部屋RM内で複数のスペースR1〜R8から成るレンタルオフィスを提供している事業者が、各スペース(エリア)に提供した空調環境という観点を加味した形で賃借人に対して消費エネルギーの課金を行うことができるようになる。このような課金方法を採れば、賃借人間での課金の不公平感が是正されることや、各賃借人が省エネルギーを意識するようになることが期待できる。
【0079】
(E)
上記の実施形態では、演算部14が、エリアそれぞれに対して提供された熱量に比例する形で消費電力のエリア別按分を行っているが、これに各エリアにおける気流による体感快適度を加味して空調環境の提供に要した空気調和装置の消費電力をエリア別に按分することも考えられる。
【0080】
(F)
上記の実施形態では、情報入力端末43,44などによりエリア情報を手入力させているが、これらの情報の少なくとも一部、例えば発光器31〜37を特定する発光器ID番号などを発光器31〜37から受光器51〜55に無線通信するように構成することも可能である。
【0081】
さらに、発光器31〜37がエリア情報の全てを受光器に対して送信できるように構成されていれば、情報入力端末43,44などが不要になり、情報入力端末と空調管理装置10との配線作業も不要となる。
【0082】
(G)
上記の実施形態では、受光器51〜55を天井埋設型の空調室内機71〜75から吊り下げる構造にしているが、受光器51〜55を空調室内機71〜75とは別に天井や側壁上部に設置することも可能である。また、必ずしも天井や側壁に支持させる構造に限定されるものではなく、床面から受光器支持部材を延ばして高い位置で受光器を固定させることも考えられる。
【0083】
(H)
上記の実施形態では、比較的シンプルな風速制御および風向制御について説明を行ったが、2つの空調室内機から吹き出された空気を所定のエリアの上部で衝突させてダウンフローを発生させたり、所定のエリア上部に1つの空調室内機から比較的冷たい空気を送るとともに、そのエリア下部に別の空調室内機から比較的暖かい空気を送ったりすることも考えられる。
【0084】
(I)
上記の実施形態では、空調室内機71〜75から吹き出される空気の流れを制御することにより各エリアにおいて快適な空調環境を実現しているが、各空調室内機が角度の変わる輻射パネルあるいは複数の輻射パネルを備えている場合には、輻射パネルの角度や各輻射パネルの個別制御などによって各エリアにおける快適な空調環境の提供を行わせることも考えられる。また、各エリアに共通の空調室内機が複数のペルチェ素子から成るパネルを備えている場合にも、各エリアに対して個別に空調環境を提供することが可能である。
【0085】
【発明の効果】
請求項1に係るエリア別空調制御システムでは、各エリアの空調環境に関する情報であるエリア情報を基にして、制御部が空気調和装置を制御している。このため、上記の例で言えば、第1エリアの空調環境に関する情報から第1エリアに提供すべき空調環境を認識するとともに、第2エリアの空調環境に関する情報から第2エリアに提供すべき空調環境を認識して、例えば1つの空調室内機から第1,第2エリアにそれぞれ吹き出される空気量や空気の速度を制御部で調整(制御)してやることで、第1,第2エリアの両方において快適な空調環境を得ることができる。また、制御部で第1,第2エリアにそれぞれ吹き出される空気の温度まで変えることができれば、よりきめ細かくエリア情報に合った空調環境を各エリアに提供することが可能になる。
【0086】
さらに、ここでは、そのような制御部での制御の内容を加味することで、空調環境の提供に要した空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分している。したがって、複数のエリアの使用主それぞれの空調に関するエネルギー消費度合いが明確になり、使用主それぞれに対して空調環境提供に係る課金などを行うこともできるようになる。
【0087】
請求項2に係るエリア別空調制御システムでは、少なくとも1つのエリアに対しては、2以上の空調室内機から吹き出された空気によって空調環境の提供が行われる。このため、そのエリアにおいては、1つの空調室内機からの吹き出し空気による空調環境の提供では実現できない複雑な気流を発生させることもできるようになり、例えば、2つの空調室内機から吹き出された空気をエリアの上部で衝突させてダウンフローを発生させたり、エリア上部に1つの空調室内機から比較的冷たい空気を送るとともにエリア下部に別の空調室内機から比較的暖かい空気を送ったりすることができるようになり、よりきめ細かいエリア情報に応じた空調環境の提供ができるようになる。
【0088】
請求項3に係るエリア別空調制御システムでは、空調室内機から吹き出される空気の流れを積極的に制御して室内の気流を調整することにより、複数のエリアそれぞれに個別の空調環境を提供することが実現できる。
【0089】
請求項4に係るエリア別空調制御システムでは、特定の個人及び/又は団体が使用する各エリアと、そのエリアの室内における位置との関係が、エリア位置記憶部に記憶される。このため、制御部は、いちいち各エリアの位置を検知することなく、各エリアの位置を把握してエリア情報に応じた空気調和装置の制御を行うことができる。
【0090】
請求項5に係るエリア別空調制御システムでは、エリア情報が要求環境情報を含んでおり、空気調和装置を制御部で制御することで、エリア毎の個別要求に応じた空調環境の提供を行うことができるようになる。
【0091】
請求項6に係るエリア別空調制御システムでは、空調室内機から吹き出される空気の向きを変える制御を制御部に行わせ、寒めの空調環境が求められるエリアに対しては風が多く当たるようにし、暑めの空調環境が求められるエリアに対しては風が少なく当たるようにすることを可能にしている。これにより、エリアによって吹き出す空気の温度を変えることができない空調室内機が配備されている場合にも、エリア情報に応じてエリア別に空調環境の提供を行うことができる。
【0092】
また、演算部が、空気調和装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに対して按分するに際して、エリアそれぞれにおける気流による体感快適度を加味している。これにより、エリア毎に適切な課金などを行うことができるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係るエリア別空調制御システムの概略構成図。
【図2】 部屋のブロック割り(区画)を示す図。
【図3】 空調室内機の平面配置図。
【図4】 部屋のレイアウト図。
【図5】 受光器および発光器の平面配置図。
【図6】 気流制御の一例を示す図。
【図7】 空調室内機の縦断面図。
【図8】 部屋のレイアウト変更後のレイアウト図。
【図9】 変形例における部屋の部署別レイアウト図。
【図10】 変形例における部屋のレイアウト変更後の部署別レイアウト図。
【図11】 変形例におけるレンタルオフィスの会議スペースのレイアウト図。
【符号の説明】
12 入力部(エリア情報入力部)
13 空調制御部(制御部)
14 エリア別エネルギー消費量演算部(演算部)
17 エリア位置情報ファイル(エリア位置記憶部)
20 エリア情報ファイル(エリア情報)
71〜75 空調室内機
71a〜71d 吹き出し口
72a〜72d 吹き出し口
73a〜73d 吹き出し口
74a〜74d 吹き出し口
75a〜75d 吹き出し口
95 吸い込み空気温度測定センサ
96 吹き出し空気温度測定センサ
Claims (6)
- 一つの空間の複数のエリアに対する共通の空調環境提供手段として配備される1又は複数の空調室内機(71〜75)を有する前記エリアと前記空調室内機が一対一に対応していない空気調和装置を制御する制御システムであって、
前記エリアの空調環境に関する情報であるエリア情報(20)を受けるエリア情報入力部(12)と、
前記エリア情報に応じて空気調和装置を制御し、前記エリア情報に対応した空調環境を前記エリアそれぞれに対して提供する制御部(13)と、
前記制御部の制御の内容を加味して、空調環境の提供に要した前記空気調和装置の消費エネルギー量を前記エリアそれぞれに対して按分する演算部(14)と、
を備えたエリア別空調制御システム。 - 前記空気調和装置は、2以上の空調室内機を有しており、
前記制御部は、少なくとも前記エリアの1つに対して、2以上の前記空調室内機からの吹き出し空気により空調環境を提供する、
請求項1に記載のエリア別空調制御システム。 - 前記制御部は、前記エリア情報に応じて前記空調室内機から吹き出される空気の流れを制御し、前記エリア情報に対応した空調環境を前記エリアそれぞれに対して提供する、
請求項1又は2に記載のエリア別空調制御システム。 - 前記エリアは、特定の個人及び/又は団体が使用する空間であり、
室内における前記エリアそれぞれの位置を記憶するエリア位置記憶部(17)をさらに備えた、
請求項1〜3のいずれかに記載のエリア別空調制御システム。 - 前記エリア情報は、それぞれの前記エリアにおいて要求される空調環境の情報である要求環境情報を含む、
請求項1〜4のいずれかに記載のエリア別空調制御システム。 - 前記空調室内機(71)は、室内の空気を吸い込んで空気調和を施した後に吹き出し口(71a,71b,71c,71d)から室内へと空気を吹き出すものであり、吸い込み空気の温度および吹き出し空気の温度を測定するセンサ(95,96)を有しており、
前記演算部は、吹き出し空気の吹き出し方向を基に前記空調室内機が空調環境を提供する提供先となる前記エリアを特定するとともに、前記空調室内機の吹き出し空気の温度、吸い込み空気の温度、吹き出しの風速、および吹き出し口の面積から求まる提供熱量関連値を基準として用い、前記按分を行う、
請求項3に記載のエリア別空調制御システム。
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