JP5601969B2 - 空調熱量及び消費電力の按分システム - Google Patents

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Description

本発明は、複数のフロアを有しかつ各フロア毎に１つ又は複数の空調機と複数の空調エリアとを有する空調用建物について空調熱量及び消費電力を各空調エリアに按分する方法とシステムに関する。
複数のフロアや空調エリアを有する貸しビル等では、省エネルギーあるいはテナントの課金を目的として、空調エリア（単位区画又は単位個室）毎の空調熱量と消費電力の算出が求められる。複数の空調エリアを受け持つ空調機で構成されるシステムを採用した場合、
（１）各空調エリアの空調熱量を求める場合は、各空調エリアの吹き出し温湿度、吸い込み温湿度、吹き出し風量を計測する必要がある。
（２）各空調エリアの消費電力を求める場合は、各運転機器に電力量計を設置する必要がある。
しかしながら、（１）（２）で測定可能なのは機器単位での消費電力であり、エリア毎の消費電力ではなく、しかも各空調エリア毎にそれらの計測器を設置するには膨大なコストを必要とする。
特開平５−１１８９３１「熱量按分装置」には、水配管系からの測定を行わず気流系の測定値から潜熱を含めた全消費熱量の算出を可能とする熱量按分装置が記載されており、還気温度センサ、還気湿度センサ、給気温度センサ、給気風速センサ、還気エンタルピと給気エンタルピとの差と給気風量とから全熱量を算出する制御手段とを包含している。このシステムでは高価な測定器を多数必要とするためイニシャルコストが膨大なものとなる。
特開２０００−２７４７７７「水方式空調機器の課金システム」には、空調機器の消費エネルギー量から空調料金を算出する水方式空調機器課金システムが記載され、水方式の空調機器、熱源機器、計測器、課金管理機器を包含し、冷温水バルブの開時間及び開度制御量に基づく運転量から消費エネルギー量を按分算出し、空調料金を算出している。このシステムでは消費エネルギー量の算出を冷温水バルブの開度だけに依存しているため、公平な熱量と消費電力が按分して算出されないという欠点がある。
特開２００４−１４４３４８「エリア別空調制御システム」には、エリア情報を受ける入力部、空調制御部、演算部を包含し、空調制御部がエリア情報に応じて空調機から吹き出される空気流を制御し、演算部が制御の内容を勘案して空調装置の消費エネルギー量をエリアそれぞれに按分するシステムが記載されている。このシステムでは、各計量ポイント毎に流量計、風速計、風量計が必要となりイニシャルコストが膨大なものとなる。
本発明の目的は、空調制御の制御信号と必要最低限の計測器により、空調熱量及び消費電力をできるだけ公平に按分するシステムを提供することにある。
本発明は、その第１の態様において、複数のフロアを有しかつ各フロア毎に１つ又は複数の空調機と複数の空調エリアとを有し、前記空調エリア毎に室温計を有する中央熱源方式の空調用建物において、前記空調機は複数の空調エリアにダンパーまたはVAV装置によって送風量を制御するシステムについて空調熱量及び消費電力を各空調エリアに按分する方法であって、
建物全体の空調熱量及び消費電力を算出してフロア単位で按分し、
各フロア全体の空調熱量及び消費電力を算出して各空調機系統単位で按分し、
各空調機系統単位の空調熱量及び消費電力をその空調機が受け持つ各空調エリア単位で前記ダンパーまたはVAV装置の開度から求めた各空調エリアの風量と、室温と吹き出し温度の差とから求めた熱量を元に按分する空調熱量及び消費電力の按分方法を提供する。
かかる構成に基づき、本発明による按分方法では、従来のように、各空調エリア毎に高価な測定機器を多数設置する必要がなくなり、比較的低コストで公平な按分方法が実現できることになる。
本発明は、その第２の態様において、
複数のフロアを有しかつ各フロア毎に１つ又は複数の空調機と複数の空調エリアとを有する空調用建物について空調熱量及び消費電力を各空調エリアに按分するシステムであって、
各フロア毎に１個の熱量計が設置され、
各フロア毎に１個の電力量計が設置され、
各フロア毎に１つ又は複数の空調機が設置されて当該フロア内の各空調エリアへと空調用空気が送られるようになっており、各空調機にはモーターバルブとコイル出口温度計とが設置されており、
各空調エリアの空調機毎に送風用ダンパーと室温計が設置されており、
全熱量計と全電力量計との測定値から建物全体の空調熱量及び消費電力を算出し、各フロア単位で按分し、
前記各フロア内の全空調機の熱量から各フロア全体の空調熱量及び消費電力を算出し、各空調機系統単位で按分し、
各空調エリア内の前記送風用ダンパーの開度と室温から各空調エリアの空調熱量及び消費電力を各空調エリア単位で按分する空調熱量及び消費電力の按分システムを提供する。
本発明の好適な態様において、熱量計は冷温水配管の往き還り温度差と流量から熱量を算出するように設定することができる。
本発明の按分システムの構成について、さらに詳述すると、本発明は、中央熱源の変流量・変風量制御方式において、好適な態様として、
ａ 冷温水送水ポンプ電力量計とそれ以外の補機を含めた熱源機器の電力量計
ｂ フロア毎の熱量に、１個の熱量計（冷温水配管の往き還り温度差と流量より）
ｃ フロア毎の消費電力に、１個の電力量計
ｄ 空調機毎の熱量に、各１個の冷温水コイル流量バルブと冷温水コイル出口温度計
ｅ 空調エリア毎の熱量に、１個の空調機インバータファン
ｆ 各エリアの風量調整ダンパー
ｇ 各エリアの室内温度計
を包含し、計測したフロア毎の熱量と消費電力を各空調機の熱量と消費電力に按分し、さらに各空調機の熱量と消費電力を各空調エリアの熱量と消費電力とに按分するシステムである。
中央熱源方式に限らず、各階空調方式など複数の空調エリアを受け持つ空調機で構成される全てのシステムにおいても、またフロア毎に限定せずに１個の熱量計と電力量計のみの設置でも同様の考え方で按分が可能である。
空調熱量・消費電力の按分アルゴリズムとしては、
１ フロア単位
（１）フロアの熱量
フロア毎に設けた熱量計により計量する。
（２）フロアの消費電力
ａ フロア熱量を各フロアの熱量の合計で除した値に、補機（１次ポンプ，２次ポンプ，冷却塔など）を含めた熱源の消費電力を乗じて算出した熱源消費電力の負担分
ｂ フロア毎に設けた電力量計（動力系統）により計量したフロアの消費電力（空調機のファン動力に相当）
以上の合計値をフロアの空調消費電力とする。
２ 空調機系統単位
（１）空調機系統の熱量
ａ 冷温水コイルに設けた流量調整バルブの開度（制御信号）から冷温水の流量を求める
例えば、冷温水配管の圧力損失などから係数を設定し、バルブ開度に乗じて流量を算出する
ｂ 求めた冷温水流量にコイル出入口温度差を乗じて空調機の消費熱量を求める
ｃ 求めた空調機の消費熱量を同フロアの空調機消費熱量の合計で除して熱量比を求める
ｄ 求めた熱量比にフロア熱量を乗じて空調機系統の熱量を算出する。
（２）空調機系統の消費電力
ａ インバータ制御の場合、各空調系統のファンインバータ周波数から消費電力を求める
例えば、（ファンインバータ周波数÷５０Ｈｚ）3 ×定格電力などにより算出する（５０Ｈｚ地域の場合）
ｂ ＯＮ／ＯＦＦ制御の場合、ファンのＯＮ／ＯＦＦ信号から消費電力を求める
例えば、単位時間あたりの運転時間に定格電力を乗じて電力を算出する
ｃ 求めた空調機の消費電力を同フロアの空調機消費電力の合計で除して消費電力比を求める
ｄ 求めた消費電力比にフロア消費電力を乗じて空調機系統の消費電力を求める。
３ 空調エリア単位
（１）空調エリアの熱量
ａ 定格風量、ファンインバータ周波数、定格周波数と圧力損失係数などから空調機系統の風量を求める
例えば、圧力損失係数は、局部抵抗係数と直管部抵抗係数の計算値から求めたり、相当長換算で求める
ｂ ダンパーやＶＡＶの開度、ファンインバータ周波数やＯＮ／ＯＦＦ信号などから空調エリアの風量を求める
ｃ 求めた空調エリアの風量をそのエリアを受け持つ空調機系統の風量の合計で除して風量比を求める
ｄ 求めた風量比に「吹き出し温度と室内温度の差」と空気の熱容量を乗じて熱量比を求める
ｅ 求めた熱量比に空調機系統の熱量を乗じて空調エリアの熱量を求める。
（２）空調エリアの消費電力
ａ 空調エリアの風量比から消費電力量比を求める
例えば、風量比を３乗して電力量比を算出する
ｂ 求めた電力量比に空調機系統の消費電力を乗じて空調エリアの消費電力を求める。
本発明による按分システムの概略図である。
図１は本発明による按分システムの好適な態様を表しており、１つの建物の中の２つのフロアだけを図示し、他のフロアは図示を省略している。すなわち、この建物は第１のフロア１０Ａと第２のフロア１０Ｂを有し、かつ第１のフロア１０Ａには１つ又は複数の空調機１と複数の空調エリア１１，１２，１３を有し、第２のフロア１０Ｂには１つ又は複数の空調機２と複数の空調エリア２１，２２，２３を有している。
フロア１０Ａへの水配管の回路には１個の熱量計１５が設置され、フロア１０Ｂへの水配管の回路には１個の熱量計２５が設置されている。この熱量計は、冷温水配管の往き還り温度差（ＴCHR −ＴCH）と流量Ｆから熱量を算出するように設定されている。
フロア１０Ａへの電気回路には１個の電力量計１７が設置され、フロア１０Ｂへの電気回路には１個の電力量計２７が設置されている。
上述したように、各フロア毎に１つ又は複数の空調機１，２が設置されて当該フロア内の各空調エリアへと空調用空気が送られるようになっており、各空調エリア毎に送風用ダンパー（図示せず）と室温計が設置されている。
かかる構成に基づき、本発明の按分システムでは、全熱量計と全電力量計との測定値から建物全体の空調熱量及び消費電力を算出して各フロア単位で按分し、前記各フロア内の全空調機の熱量から各フロア全体の空調熱量及び消費電力を算出して各空調機系統単位で按分し、各空調エリア内の前記送風用ダンパーの開度と室温から各空調エリアの空調熱量及び消費電力を各空調エリア単位で按分するようになっている。
空調熱量及び消費電力の正確な値は、上述した按分アルゴリズムを用いて算出される。なお、試算した結果では、本発明により按分率を把握するためのコストは従来の方法の約５０％となった。
以上詳細に説明した如く、本発明による按分方法及びシステムでは、従来のように、各空調エリア毎に高価な測定機器を多数設置する必要がなくなり、比較的低コストで公平な按分方法が実現できることになるなど、その技術的価値には極めて顕著なものがある。
１，２ 空調機
１０Ａ，１０Ｂ フロア
１１，１２，１３ 空調エリア
１５ 熱量計
１７ 電力量計
２１，２２，２３ 空調エリア
２５ 熱量計
２７ 電力量計

Claims (3)

  1. 複数のフロアを有しかつ各フロア毎に１つ又は複数の空調機と複数の空調エリアとを有し、前記空調エリア毎に室温計を有する中央熱源方式の空調用建物において、前記空調機は複数の空調エリアにダンパーまたはVAV装置によって送風量を制御するシステムについて空調熱量及び消費電力を各空調エリアに按分する方法であって、
    建物全体の空調熱量及び消費電力を算出してフロア単位で按分し、
    各フロア全体の空調熱量及び消費電力を算出して各空調機系統単位で按分し、
    各空調機系統単位の空調熱量及び消費電力をその空調機が受け持つ各空調エリア単位で前記ダンパーまたはVAV装置の開度から求めた各空調エリアの風量と、室温と吹き出し温度の差とから求めた熱量を元に按分することを特徴とする空調熱量及び消費電力の按分方法。
  2. 複数のフロアを有しかつ各フロア毎に１つ又は複数の空調機と複数の空調エリアとを有する中央熱源方式の空調用建物について空調熱量及び消費電力を各空調エリアに按分するシステムであって、
    各フロア毎に１個の熱量計が設置され、
    各フロア毎に１個の電力量計が設置され、
    各フロア毎に１つ又は複数の空調機が設置されて当該フロア内の各空調エリアへと空調用空気が送られるようになっており、各空調機にはモーターバルブとコイル出口温度計とが設置されており、
    各空調エリアの空調機毎に送風用ダンパーと室温計が設置されており、
    全熱量計と全電力量計との測定値から建物全体の空調熱量及び消費電力を算出し、各フロア単位で按分し、
    前記各フロア内の全空調機の熱量から各フロア全体の空調熱量及び消費電力を算出し、各空調機系統単位で按分し、
    各空調エリア内の前記送風用ダンパーの開度と室温から各空調エリアの空調熱量及び消費電力を各空調エリア単位で按分することを特徴とする空調熱量及び消費電力の按分システム。
  3. 前記熱量計は冷温水配管の往き還り温度差と流量から熱量を算出するように設定されている請求項２記載のシステム。
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