JP4452798B2 - 核酸定量用試薬及びそれを用いる核酸の定量方法 - Google Patents

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Description

本発明は、試料中の標的核酸を定量するための核酸プローブ、これを含む定量用試薬及び該試薬を用いた標的核酸の定量方法に関する。
従来、標的核酸を定量する方法として、定量PCR法が広く用いられている。これには、競合的PCR法とリアルタイムPCR法の2種類があるが、どちらの方法も問題点を含んでいる。
競合的PCR法は、PCRの後で、増幅産物をゲル電気泳動で分離して定量することが必要であり、手間がかかり、測定法の自動化が難しい。
また、リアルタイムPCR法は、増幅産物の量をPCRの各サイクルごとに測定する方法であり、PCRの終了とほぼ同時に定量値が算出されて簡便であるが、PCRの途中で蛍光を測定することが必要であり、そのために高価な装置がいる。
特許第3437816号公報
本発明における課題は、標的核酸の定量に際して、ゲル電気泳動という煩雑な工程を廃し、また、リアルタイムPCR法のようにPCR途中に蛍光を測定するための高価な装置も使わずに、簡便かつ安価に測定を行うための方法、および該方法に使用する新規かつ有用な試薬、あるいはその材料を提供することである。
本発明者等は鋭意研究の結果、標的核酸と競合的核酸の両方にハイブリダイズし、一方にハイブリダイズしたときと他方にハイブリダイズした時の光学的性質に差があるという特徴を有する核酸プローブと、競合的核酸とを含む試薬溶液と、標的核酸を混合し、競合的にハイブリダーゼーション反応を行わせ、光学的性質を測定した結果、この光学的性質の変化と、標的核酸と競合的核酸の存在比とは一定の関係にあり、この光学的性質の差と競合的核酸の濃度あるいは量から、試料中の標的核酸を定量可能であるとともに、さらに、試料中の標的核酸が微量である場合においてもPCR法あるいはLAMP法を併用することにより、標的核酸の定量が可能であることを見いだした。
そして、本発明の手段は、高価な装置を用いず、簡便かつ安価に標的核酸の定量ができるという極めて有用なものであると確信し、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1) 核酸プローブと競合的核酸とを含む標的核酸の定量用試薬であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるとともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid から選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を有し、該競合的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸定量用試薬。

(2) 核酸プローブ及び競合的核酸と、標的核酸と競合的核酸とにおいて共通するプライマーを含む標的核酸のPCR定量用試薬であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるとともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid から選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を、また、その3’末端に、PCRの際に核酸プローブ自体がプライマーとならないための修飾を、それぞれ有し、競合的核酸は、標的核酸と同一の塩基配列からなるフォワード及びリバースプライマー結合部位を有するとともに該結合部位の間に上記プローブとのハイブリダイズ部を有し、該競合的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸定量用試薬。

(3) 標的核酸を含む試料と、競合的核酸及び核酸プローブとを混合して測定系を構成し、核酸プローブを標的核酸と競合的核酸とに対して競合的にハイブリダイズせしめ、該測定系において検出されるハイブリダイズ前後の光学的性質の変化率と、競合的核酸の濃度あるいは量から、試料中の標的核酸の濃度あるいは存在量を求める標的核酸の定量方法であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるとともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acidから選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を有し、該競合的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸定量方法。

(4) 標的核酸を含む試料と、競合的核酸、標的核酸と競合的核酸に共通するPCRプライマー及び核酸プローブを混合して測定系を構成し、該測定系において、PCR増幅、及び核酸プローブの標的核酸と競合的核酸とに対する競合的ハイブリダイゼーションを行った後、該測定系において検出されるPCR前後の光学的性質の変化率と、競合的核酸の濃度あるいは量から、試料中の標的核酸の濃度あるいは存在量を求める標的核酸の定量方法であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acidから選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を、また、その3’末端に、PCRの際に核酸プローブ自体がプライマーとならないための修飾を、それぞれ有し、競合的核酸は、標的核酸と同一の塩基配列からなるフォワード及びリバースプライマー結合部位を有するとともに、該結合部位の間に上記プローブとのハイブリダイズ部を有し、競合的核酸における上記核酸プローブとのハイブリダイス部分の上記修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブとのハイブリダイス部分の上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブとのハイブリダイス部分の上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸の定量方法。
本発明によれば、光学的性質を測定する単純な機械を利用して標的核酸を定量することが可能になる。さらに、PCR等の核酸増幅方法との組み合わせにより、以下の効果を奏する。
(1)微量に含まれる標的核酸を定量することができる。
(2)増幅から定量までを1つの反応チューブ内で行えるので、簡便であり、測定の自動化にも適している。
(3)反応チューブを開放する必要がないので、増幅産物が飛散しない。
(4)核酸増幅途中での蛍光測定が不要であり、単純な光度計を使っての定量が可能となる。
本発明で使用する核酸プローブは、1本鎖のオリゴヌクレオチドであり、標的核酸と競合的核酸との双方にハイブリダイズ可能に設計した塩基配列を有するものである。
また、本発明において使用する核酸プローブは、標的核酸または競合的核酸とハイブリダイズした時に光学的性質に変化が生じる物質で修飾されたものである。これには、例えば、核酸プローブ中の1ヌクレオチドを蛍光色素で修飾するが、このような蛍光色素の中には、核酸中の塩基の影響を受けて、蛍光強度が変化するものがあり、これを使用するのが好ましい。
また、核酸プローブ中の蛍光色素で修飾されるヌクレオチドは、5’末端または3’末端のヌクレオチドでも、鎖中のヌクレオチドでもよい。
本発明の標的核酸の定量おいては、一種類の蛍光色素で修飾された核酸プローブを単独で用いる点に特徴があり、これにより極めて簡便に標的核酸の定量ができる。
本発明において、核酸プローブに修飾する蛍光色素としては、例えば、fluorescein isothiocyanate (FITC)、tertamethylrhodamine isothiocyanate(TMRITC)、
4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid (BODIPY FL、Molecular Probe社製) などの市販されているものが利用でき、これらの色素は核酸塩基の一種であるグアニンにより、蛍光強度が低下する。
また、これら蛍光色素を核酸プローブのヌクレオチドに修飾する手段は、周知の手段(例えばMolecular Microbial Ecology Manual 3.3.6; 1-15 (1995))を用いればよく、また、Espec Oligo Service社(つくば)、北海道システム・サイエンス社(札幌)など、蛍光色素で修飾した核酸プローブの受託合成を行っている会社が数多くあるので、これらの会社に委託してもよい。
本発明において使用する競合的核酸とは、上記核酸プローブに対し標的核酸と競合的にハイブリダイズする核酸を意味する。このため核酸プローブとハイブリダイズする部分の塩基配列は標的核酸と同一か、若しくは近似する塩基配列を有する。
しかし、本発明においては、上記核酸プローブが競合的核酸とハイブリダイズするときと標的核酸とハイブリダイズするときとで、検出される光学的性質において差を生じさせるため、標的核酸と競合的核酸とでは、該核酸プローブとハイブリダイズする部分の一部が異なるか、若しくはその近傍の塩基配列が異なる。
すなわち、本発明においては、標的核酸の塩基配列に基づき、上記核酸プローブの塩基配列及び競合的核酸の塩基配列をそれぞれ設計する。例えば、核酸プローブに修飾された蛍光色素が、グアニンの影響を受けて蛍光強度が低下するものである場合、該核酸プローブは、標的核酸におけるハイブリダイズ部分あるいはその近傍にグアニンが位置するように、あるいは位置しないように標的核酸中の部位を選択して設計する。
核酸プローブを、標的核酸におけるハイブリダイズ部分あるいはその近傍にグアニンが位置するように設計した場合には、競合的核酸の設計においては、核酸プローブとハイブリダイズする部分及びその近傍にはグアニンを位置させないようにその塩基配列を設計する。また、該核酸プローブを、標的核酸におけるハイブリダイズ部分及びその近傍にグアニンが位置しないように設計した場合には、競合的核酸の設計においては、核酸プローブとハイブリダイズする部分及びその近傍にグアニンを位置させるようにその塩基配列を設計する。
このように核酸プローブ及び競合的核酸を設計することにより、核酸プローブが標的核酸にハイブリダイズする場合と競合的核酸にハイブリダイズする場合とにおいて、蛍光強度が変化する。
以下に、本発明の標的核酸の定量法について、蛍光強度の減少率を測定する場合を例にとり、さらに具体的に説明する。
〔1〕例えば、核酸プローブが、標的核酸とハイブリダイズするとき、標的核酸のグアニンによる影響を受けるように設計した場合、核酸プローブと試料中の標的核酸とのハイブリダイズにより、蛍光強度が減少するが、他方の競合的核酸とのハイブリダイズによっては、蛍光強度は減少しない。 したがって、この測定系においては、核酸プローブがハイブリダイズする前においては、使用する核酸プローブの量に応じて一定の蛍光強度が検出されるが、核酸プローブが、標的核酸及び競合核酸とハイブリダイズすると、標的核酸にハイブリダイズした量に応じて蛍光強度は減少する。標的核酸と競合的核酸の合計量が、核酸プローブの量と同じかまたはこれより多い場合には、すべての核酸プローブが標的核酸もしくは競合的核酸のどちらかにハイブリダイズしており、標的核酸にハイブリダイズした量は、標的核酸の含有比〔標的核酸の量/(標的核酸の量+競合的核酸の量)〕に比例する。これにより、蛍光の減少する割合は、標的核酸の含有比に比例し、含有比が大きいほど多くなる。
したがって、ハイブリダイズ前と後で測定系で検出される蛍光強度の変化率から、標的核酸の含有比を知ることができ、さらに、この含有比と上記測定系で使用した競合核酸の濃度あるいは量から、試料中の標的核酸の濃度及びその存在量が求められる。
また、逆に、競合的核酸における核酸プローブのハイブリダイズ部分あるいはその近傍にグアニンを位置させた場合には、核酸プローブが、標的核酸および競合的核酸と競合的にハイブリダイズする場合、標的核酸の含有比が大きいほど、蛍光強度の減少割合は少なくなる。 したがって、この場合の蛍光強度の変化率も標的核酸の含有比を反映するから、同様にして試料中の標的核酸の濃度及びその存在量が求められる。
以上は、本発明の基本的な原理を説明するため、ハイブリダイズ前後で蛍光強度の変化率を求めるという比較的簡単な測定系を例にして説明したものであり、このような定量法は、試料中に標的核酸が多く存在する場合に適するものである。細胞抽出物中に含まれる極めて微量に存在する特定の核酸を標的核酸として定量する場合には適さないので、この場合は、別の手段との併用を必要とする。
〔2〕本発明において、試料中に微量に存在する標的核酸を定量するためには、PCR等の核酸増幅法を併用する。
この定量法に使用する核酸プローブは前述と同様のものでよい。ただし、プローブの3’末端が修飾されていない場合は、このプローブがPCR等においてプライマーとして使用されてしまい、定量目的を果たせなくなるおそれがあるので、このようなおそれがある場合に限っては、3’末端をリン酸化するなどの方法で、これを防止する必要がある。
一方、この方法の測定系においては、標的核酸含有試料、競合的核酸および核酸プローブに加え、さらにPCR増幅するためのプライマー、DNAあるいはRNAポリメラーゼ、各種ヌクレシド3リン酸等の常用成分を含有させるが、このプライマーは、最初の(PCR前の)測定系溶液中における標的核酸と競合的核酸の存在比がPCR後においても反映するよう増幅するために、標的核酸と競合的核酸とに共通する塩基配列部分に結合するプライマーであることを必要とする。これには、標的核酸と競合的核酸とにおける、プライマーが結合する部分の塩基配列が同一になるように、2本鎖の競合的核酸を設計すればよい。したがって、このPCR増幅を伴う定量法において使用する競合的核酸は、フォワード及びリバースプライマーがハイブリダイズする標的核酸の塩基配列部分と同一の塩基配列部分を有し、さらにこれらプライマーのハイブリダイズ部分の間に位置するように、核酸プローブがハイブリダイズするための標的核酸と同一あるいは近似の塩基配列部分とを少なくとも有するように設計する。
この定量法においては、使用する核酸プローブの量は、PCR前において測定系溶液に含まれる標的核酸及び競合的核酸の量よりも充分多くし、PCR前において、測定系において微量存在する標的核酸及び競合的核酸と核酸プローブがハイブリダイズすることにより、生ずる光学的性質の変化、例えば蛍光強度の変化を無視できるようにしておくことが好ましい。また、PCR後においては、標的核酸及び競合的核酸は当初の数百万〜数百億倍にすることが可能であり、使用する核酸プローブの量はこのようなPCR後の標的核酸及び競合的核酸の量に見合う量にするが、核酸プローブは標的核酸と競合的核酸に対しハイブリダイズにより全て消費する必要があり、このため想定するPCR後の標的核酸と競合的核酸の量よりも少量使用する。すなわち、PCRにおけるサイクル数は、使用した核酸プローブに対し、標的核酸および競合的核酸が過剰量生成するように設定する。
このような設定により、PCR前後において、標的核酸の含有比は変わらず、また、PCR前の標的核酸及び競合的核酸と核酸プローブのハイブリダイズによる蛍光強度の減少は無視することが可能となるので、単にPCR後の蛍光強度の減少率を測定するのみで、PCR前の標的核酸の含有比を求めることができ、さらにPCR前に使用した競合的核酸の量及び濃度から、試料中の標的核酸の存在量及びその濃度を簡単に求めることができる。
本発明の定量法においては、蛍光強度の減少率と標的核酸の含有比〔標的核酸の量/(標的核酸の量+競合的核酸の量)〕は、原理的に比例関係にあり、蛍光強度の減少率から、極めて簡単な計算式により、標的核酸の含有比が算出でき、さらに、使用した競合的核酸の量、濃度(PCRを併用する場合には、PCR前の競合的核酸の量、濃度)から、試料中に含まれる標的核酸の量、その濃度を求めることができるが、種々の要因から、蛍光強度の減少割合と標的核酸の含有比が必ずしも比例関係にない場合もあり、この場合には、予め蛍光強度の減少率と標的核酸の含有比との関係を求めておき、検量線を作成し、この検量線から標的核酸の含有比を求めてもよいし、また、予め求めた標的核酸の含有比と蛍光強度の減少率から関係式を導きだすことにより、標的核酸の含有比を求めてもよい。
しかし、このような場合であっても、蛍光強度の減少率と標的核酸の含有比の関係が比例関係にあるとみなして、標的核酸の含有比を求めても、従来のPCR定量法と同程度の精度で、試料中の標的核酸を定量でき、極めて簡単に定量できる点で実用的である。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明は実施例により限定されるものではない
[実施例]
試薬混合物
下記の組成からなる試薬混合物を作成した。
核酸プローブ:塩基配列が5’-CAGGGGCATAGAAGGTGAAGTTGAAGC-3’ で、5’末端をBODIPY FL(Molecular Probe社)で修飾し、3’末端をリン酸化したプローブの合成をEspec Oligo Service 社(つくば)に委託して入手した。濃度は50nMである。
競合的核酸:下記の塩基配列の二本鎖DNAを合成して用いた。濃度は 5,000、10,000、50,000、100,000、または500,000コピーである。
測定方法
上記の新規混合物(最終的な容量は25μl)に対して、下記の塩基配列の標的核酸を50,000コピー、フォワードプライマー(塩基配列は5’-GCCCTCTACTCCACCCCCA-3’)を1000nM、リバースプライマー(塩基配列は5’-GCCCATCTGCAAGCCTTTTT)を300nM、dATP, dCTP, dGTPを200μM, dUTPを600μM、バッファーを2.5μl (10×Gene Taq Buffer; NIPPON GENE)、DNA Polymeraseを0.625U (Gene Taq; NIPPON GENE)、TaqStart Antibody (Clontech) を0.125μl、Uracil-DNA Glycosylase,hear-labile(Roche Diagnostics)を0.25μl、MgCl2を1mM加えた。この混合物を用いてPCRを行い、PCR前後に59℃で蛍光強度を測定した。
比較のため、標的核酸無添加(競合的核酸は50,000コピー)、競合的核酸無添加、両方ともに無添加のものも、並行して用いた。PCRにはSmart Cycler (Cepheid) を用い、95℃で2分の後、95℃で30秒、59℃で30秒、72℃で20秒のサイクルを60回行い、最後に72℃で2分置いた。蛍光の測定にはChannel 1を用いた。励起波長は450-495nm、測定波長は505-537nmであった。標的核酸の塩基配列は以下の通りであった。下線はプライマーの結合部分、破線は核酸プローブの結合部分を示す。
5’GATAAGCCCTCTACTCCACCCCCATCCACATTTGGGACAAAGAAACCGGTAGCGTTGCCAGCTTCGC
3’CTATGCGGGAGATGAGGTGGGGGTAGGTGTAAACCCTGTTTCTTTGGCCATCGCAACGGTCGAAGCG

CGCTTCCTTCAACTTCACCTTCTATGCCCCTGACACAAAAAGGCTTGCAGATGGGCGACTT 3’
GCGAAGGAAGTTGAAGTGGAAGATACGGGGACTGTGTTTTTCCGAACGTCTACCCGCTGAA 5’

競合的核酸の塩基配列は以下の通りであった。下線はプライマーの結合部分、破線は核酸プローブの結合部分を示す。

5’GATAAGCCCTCTACTCCACCCCCATCCACATTTGGGACAAAGAAACCGGTAGCGTTGCCAGCTTCGC
3’CTATGCGGGAGATGAGGTGGGGGTAGGTGTAAACCCTGTTTCTTTGGCCATCGCAACGGTCGAAGCG

CGCTTGCTTCAACTTCACCTTCTATGCCCCTCACACAAAAAGGCTTGCAGATGGGCGACTT 3’
GCGAACGAAGTTGAAGTGGAAGATACGGGGAGTGTGTTTTTCCGAACGTCTACCCGCTGAA 5’
実験結果
核酸プローブは、5’末端のシトシンがBODYPY FLで修飾されており、これが標的核酸にハイブリダイズしたときは、グアニンによってBODIPY FLの蛍光が減少する。この核酸プローブが競合的核酸にハイブリダイズした場合、当該部位の塩基がチミン(PCR産物ではウラシル)であり、また、その周りにもグアニンがないために蛍光の減少が起こらない。したがって、当該核酸プローブは、標的核酸にハイブリダイズしたときにだけ、蛍光の減少が起こる。標的核酸と競合的核酸は、核酸プローブ結合部位にのみ塩基の違いがあって、プライマーの結合部位を含むその他の部位には塩基配列の違いがないため、PCRにおいては両者が区別なく増幅されると考えられる。したがって、PCRにおいて、標的核酸からの産物と、競合的核酸からの産物の比は常に同じに保たれる。PCR前には、標的核酸が50,000個しかないために、この影響による蛍光の減少は無視できる。PCRで標的核酸からの産物が数兆個に達し、PCR後に測定した蛍光は、標的核酸からの産物と核酸プローブがハイブリダイズした分だけ減少する。
実験結果を表1に示す。これによれば、標的核酸が含まれていない場合は、PCR前後における蛍光の変化がほとんどないのに対し、標的核酸の含有比、すなわち、(標的核酸の個数)/{(標的核酸の個数)+(競合的核酸の個数)}が大きくなるにつれて、蛍光強度の率が小さくなった。すなわち、標的核酸の含有比に対応して、蛍光が変化している。そこで、この蛍光強度の率から、標的核酸の個数を次式で計算した。
(50,000+競合的核酸の個数)x{1.02−(蛍光強度の率)}/(1.02-0.59)
算出結果を、表1に付記した。真の値である50,000と一致する場合もあり、また約半分の値にしかならない場合もあるが、従来の定量的PCRにおいても、測定値に2倍程度の差がでることは報告されており、この新しい方法においても、このような簡単な計算で従来法の定量的PCRと変わらない精度での測定が可能であることがわかった。
上記表1に示される蛍光強度の変化率を横軸(x)に標的核酸の含有率を縦軸(y)にして、測定された蛍光強度変化率及びこれに対応する標的核酸の含有率をグラフ上にプロットし、近似曲線を求めた(図1)。該曲線はy=−3.1056x2+2.755x+0.433で表される。したがって、この近似曲線を検量線として、あるいは上記関係式から、測定された蛍光強度変化率に基づき標的核酸の含有率を求めることができる。
本発明は、特定の核酸を定量するものであり、これによって、病原菌の存在量の測定、遺伝子組み換え作物の混入率の測定、廃水処理プラントにおける障碍微生物量の測定など、医療技術、農業技術、環境保全技術などに貢献するものである。
測定された蛍光強度変化率及びこれに対応する標的核酸の含有率をプロットして近似曲線を求めたグラフである。

Claims (4)

  1. 核酸プローブと競合的核酸とを含む標的核酸の定量用試薬であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるとともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
    4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acidから選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を有し、該競合的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸定量用試薬。
  2. 核酸プローブ及び競合的核酸と、標的核酸と競合的核酸とにおいて共通するプライマーを含む標的核酸のPCR定量用試薬であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるとともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
    4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acidから選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を、また、その3’末端に、PCRの際に核酸プローブ自体がプライマーとならないための修飾を、それぞれ有し、競合的核酸は、標的核酸と同一の塩基配列からなるフォワード及びリバースプライマー結合部位を有するとともに該結合部位の間に上記プローブとのハイブリダイズ部を有し、該競合的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸定量用試薬。
  3. 標的核酸を含む試料と、競合的核酸及び核酸プローブとを混合して測定系を構成し、核酸プローブを標的核酸と競合的核酸とに対して競合的にハイブリダイズせしめ、該測定系において検出されるハイブリダイズ前後の光学的性質の変化率と、競合的核酸の濃度あるいは量から、試料中の標的核酸の濃度あるいは存在量を求める標的核酸の定量方法であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるとともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
    4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acidから選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を有し、該競合的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸定量方法。
  4. 標的核酸を含む試料と、競合的核酸、標的核酸と競合的核酸に共通するPCRプライマー及び核酸プローブを混合して測定系を構成し、該測定系において、PCR増幅、及び核酸プローブの標的核酸と競合的核酸とに対する競合的ハイブリダイゼーションを行った後、該測定系において検出されるPCR前後の光学的性質の変化率と、競合的核酸の濃度あるいは量から、試料中の標的核酸の濃度あるいは存在量を求める標的核酸の定量方法であって、核酸プローブは、標的核酸と競合的核酸の双方にハイブリダイズ可能に設計されるともに、その5’末端にFITC、TMRITCおよび
    4,4-difluoro-5,7-dimethyl-4-bora-3a,4a-diaza-s-indacene-3-propionic acid から選ばれた蛍光色素で修飾されたシトシン塩基を、また、その3’末端に、PCRの際に核酸プローブ自体がプライマーとならないための修飾を、それぞれ有し、競合的核酸は、標的核酸と同一の塩基配列からなるフォワード及びリバースプライマー結合部位を有するとともに、該結合部位の間に上記プローブとのハイブリダイズ部を有し、競合的核酸における上記核酸プローブとのハイブリダイス部分の上記修飾シトシン塩基と対応する塩基は、標的核酸における上記核酸プローブとのハイブリダイス部分の上記核酸プローブのシトシン塩基と対応する塩基がグアニンの場合は、グアニン以外の塩基であり、標的核酸における上記核酸プローブとのハイブリダイス部分の上記核酸プローブの修飾シトシン塩基と対応する塩基がグアニン以外の塩基である場合は、グアニン塩基であることを特徴とする、上記標的核酸の定量方法。
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