JP4452113B2 - プラズマ処理装置用下部電極 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークとの耐スティッキング性などが優れたプラズマ処理装置用アルミニウム合金下部電極に関するものである。
半導体、液晶を製造するための成膜、エッチング等を行うプラズマ処理装置内部の上面に設置される電極 (上部電極) と、下面に設置される電極 (下部電極) には、主にアルミニウム合金部材が使用されている。そして、これら電極部材の表面状態がプロセスの均一性、安定性に大きく影響するため、ブラスト、切削などの機械的加工による制御や、表面処理による制御など、様々な工夫が為されている。
プラズマ処理装置において、上記下部電極 (サセプタ) は、下部電極上にウエハなどのワークを載置して、ワーク表面にプラズマCVD 処理などを行なうものである。したがって、下部電極表面は、ウェハ、ガラス基板などのワーク表面 (下面) と直接接触するため、載置されたワーク表面が、下部電極表面と接着して(くっついて)離れなくなる、所謂スティッキングが生じやすい。
このため、従来から、このスティッキングを防止するために、電極表面にショットブラスト処理を施した後に、化学的なエッチング処理を行ない、下部電極の平坦な表面に凹凸を設けることが提案されている (特許文献1参照)。
特許第3160229 号公報 (第1 〜3 頁、図1)
この特許文献1の方法は、下部電極表面のショットブラスト処理によって実質的に例えば1 μm ≦Ra≦8 μm であるような一定粗さの凹凸を設けている。しかし、ショットブラスト処理では、この凹凸中の凸部に、急峻な( 尖った) 突起部が必然的に生じてしまう。この急峻な突起部は、下部電極としての使用中に磨耗しやすく、磨耗すると、上記プロセスの均一性、安定性に大きく影響する。
したがって、特許文献1の方法では、このショットブラスト処理後に、化学的エッチング処理を補助的に用いて、この凹凸中の凸部の急峻な突起部を除去し、急峻な突起部の無い滑らかな凹凸を下部電極表面に得ているものである。なお、この化学的エッチング処理には、水酸化ナトリウム水溶液や、水酸化ナトリウムとリン酸ナトリウムとの混合水溶液を用いている。
ただ、このようなショットブラスト処理では、ショットブラストで使用した砥粒が下部電極表面に埋め込まれたまま残留しやすいという問題がある。この残留砥粒は、下部電極表面に埋め込まれているため、前記化学的エッチング処理によっても除去されずに、下部電極表面に残留し、汚染物質となる恐れがある。
更に、ショットブラスト処理により、上記一定粗さの凹凸を得ようとする場合には、不可避的に下部電極に残留応力が生じ、凸形状に下部電極が反ってしまう問題もある。この残留応力を除去するためには、熱処理工程などが必要となり、このためのコストが上昇するとともに、熱処理の温度と時間によっては、アルミニウム合金部材 (下部電極) の強度や、下部電極表面に設ける陽極酸化皮膜などの性質が変化する可能性もある。
この点に鑑み、本発明は、このようなショットブラスト処理を施さずとも、下部電極表面に所望の凹凸を設けた、耐スティッキング性に優れたアルミニウム合金製の下部電極を提供するものである。
この目的のために、本発明プラズマ処理装置用下部電極の要旨は、ワークにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置に備えられるアルミニウム合金で形成された下部電極であって、前記アルミニウム合金が圧延板または押出材であり、この下部電極の平坦な表面はRaで 1μm ≦Ra≦6 μm である粗さの凹凸を有しており、この凹凸が下部電極表面の化学的エッチング処理のみにより生起させられていることである。
本発明で言う表面粗さRaとは、公知のように、JIS B0601 に規定された表面粗さ測定法により測定した際の中心線平均粗さである。このRaは、同じくJIS B0601 に規定されるように、下部電極表面 (アルミニウム合金表面) の凹凸の大きさや数を平均的に表している。
本発明者らは、前記したショットブラスト処理を施さずとも、下部電極表面の化学的エッチング処理のみにて、アルミニウム合金製の下部電極表面に、耐スティッキング性に優れた凹凸が得られることを知見した。化学的エッチング処理のみにて得られる凹凸は、Raが1 μm ≦Ra≦6 μm の範囲で、下部電極表面 (アルミニウム合金表面) とウエハ表面との表面同士の接触面積を小さくし、スティッキングを防止する。
本発明のように、下部電極表面を直接化学的エッチング処理した場合には、後述する、アルミニウム合金素材の晶出物分布状態の選択 (素材表面の切り出し量の選択) や、エッチング液のアルミニウム溶存量の制御などと併せて、耐スティッキング性向上のために必要な、下部電極表面のRa制御が可能である。即ち、アルミニウム合金素材の晶出物分布状態の選択や、エッチング液のアルミニウム溶存量の制御などにより、化学的エッチング処理に従い、下部電極表面のRaが徐々に上昇する方向にエッチングが進む。したがって、化学的エッチング処理のみで下部電極表面のRaを調整することが可能である。
この化学的エッチング処理のみにより生起させられた凹凸であれば、前記したショットブラスト処理により生起させられた凹凸に比して、凹凸の生起方法が根本的に異なり、凹凸中の凸部の急峻な突起部が生じることがなく、耐スティッキング性向上のために必要な凹凸の数と深さとの両方が確保された凹凸を形成することができる。
また、ショットブラスト処理のように、使用した砥粒が下部電極表面に埋め込まれたまま残留するという問題も無い。更に、ショットブラスト処理のように、不可避的に下部電極に残留応力が生じ、凸形状に下部電極が反る問題も生じず、精度の良い平面度を得ることが出来る。
したがって、これらの効果によって、耐スティッキング性に優れ、かつプラズマ処理装置としても安定した下部電極を供給できる。また、化学的エッチング処理のみで下部電極表面を調整することが出来るため、表面調整工程としても効率的である。
以下、本発明の実施態様について具体的に説明する。
(表面粗さRa)
先ず、化学的エッチング処理後の、下部電極の表面粗さRaは、1 μm 以上でかつ6 μm 以下の、1 μm ≦Ra≦6 μm の範囲とすることが必要である。
Raが1 μm 未満であれば、耐スティッキング性向上のために必要な凹凸の数と深さとの両方が確保されず、下部電極のワーク載置側の表面積が大きくなり、ウエハ表面との表面同士の接触面積が大きくなる。この結果、下部電極表面の耐スティッキング性が向上せず、載置されたワーク表面とのスティッキングが生じやすくなる。
一方、耐スティッキング性向上のためには、Raが6 μm を超えて下部電極の表面を粗面化する必要は無い。また、化学的エッチング処理のみによって、Raを6 μm を超えて制御しようとすると、エッチング深さが大きくなり、下部電極の寸法精度や形状の維持が困難となる。
図1 に、下部電極である、AA乃至JIS 規格でいう5052アルミニウム合金熱間圧延板素材 (板厚10mm) を化学的エッチング処理した場合の表面粗さRa (縦軸: μm)とエッチング深さ (横軸:mm)との関係を示す。なお、本発明において、エッチング深さとは、エッチング前後におけるアルミニウム合金表面の (エッチング処理前のアルミニウム合金表面からの) 厚みの減少量 (片側表面あるいはワーク載置側表面のみの厚み減少量) と規定される。
図1 において、A の曲線は10% 水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合、B の曲線はアルミニウムを8g/l溶解した7%水酸化ナトリウム水溶液を用いた場合である。このA とB の両曲線から分かる通り、化学的エッチング処理した場合、エッチング深さが増して、表面粗さRaが大きくなる。化学的エッチング処理した場合では、このエッチング深さが増すことによって、Raが大きくなり、下部電極表面の耐スティッキング性が向上するということが分かる。
更に、このエッチング液にアルミニウムなどの溶存元素を含むことにより、少ないエッチング深さでRaをより大きく調整することができる。即ち、少ないエッチング深さで、耐スティッキング性向上のために必要な凹凸の数と深さとの両方を確保することができる。前記図1 の通り、10% 水酸化ナトリウム水溶液を用いたA の曲線の場合よりも、アルミニウムを8g/l溶解した、7%水酸化ナトリウム水溶液を用いたB の曲線の場合の方が、同じエッチング深さに対するRaが大きくなっている。これは、エッチング液にアルミニウムなどの溶存元素が含まれる方が、エッチングされる側の素材アルミニウムの溶解反応が遅くなる一方で、アルミニウム以外の不純物の溶解の方が促進されて、耐スティッキング性向上のために必要な凹凸の数と深さとの両方がより増加する傾向にあるため、と考えられる。
したがって、前記図1 から、下部電極の表面粗さRaを1 μm ≦Ra≦6 μm の範囲とできる化学的エッチング処理においても、その条件によっては、耐スティッキング性向上効果に差が出ることが分かる。
このため、化学的エッチング処理における、エッチング液、エッチング時間、エッチング温度は、下部電極のアルミニウム合金の種類や厚みなどの必要形状条件、耐スティッキング性向上の程度、あるいはエッチング深さの制約などに応じて、表面粗さRaを1 μm ≦Ra≦6 μm の範囲として、耐スティッキング性が向上できる条件が適宜選択される。
この点、エッチング液の主成分としては、アルミニウム合金に対するエッチング液として汎用されている、アルカリ系水溶液が適している。アルカリ系の中でも、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素の水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アンモニア、アミンなどから、1種または2種以上を選択的に含む水溶液が好ましい。
また、エッチング液の液温 (エッチング処理温度) は30〜80℃の温度とすることが好ましい。温度が低過ぎるとエッチング処理に長時間を要し、また、上記適切な範囲のRaを得られない可能性もある。一方、温度が高過ぎると、エッチング処理の作業環境が悪化する。
エッチング処理時間は、下部電極表面が上記適切な範囲のRaに到達した時点で終了するようにする。このため、下部電極製品毎にエッチング時間を制御してエッチング深さを調整する方法もある。なお、エッチングによる減肉への考慮は、本発明で規定するRaの範囲内であれば、素材合金、素材切削面、エッチング条件などにより、あらかじめ減肉分を見越した製品の大きさ、形状とすることにより、製品の寸法精度や形状精度を実現できる。
前記図1 における、上記アルミニウムを溶存させたエッチング液の方が、少ないエッチング深さでRaを大きくできる。このことから、製品の寸法精度が必要な場合など、エッチング深さを小さくし、Raを大きくしたい場合には、エッチング液にアルミニウムなどの溶存元素を含むものを用いることが好ましい。この場合、前記アルカリ系水溶液に、アルミニウムを1 〜20g/l 溶解することが好ましい。アルミニウムの溶解量が1g/l未満では、エッチング深さを小さくし、Raを大きくする効果が少なく、アルミニウムの溶解しないアルカリ系水溶液と同じとなる。また、この効果を有するためには、アルミニウムの溶解量が20g/l を越える必要は無く、20g/l を越えた場合、アルカリ系水溶液のエッチング能力が低下する。
更に、上記アルミニウムを含んだエッチング液は、同じエッチング時間でもRaを大きく出来るため、処理時間の短縮に効果がある。
下部電極用のアルミニウム合金素材は、下部電極としての形状への加工に適した、加工方法が適宜選択できる。例えば、エッチング処理前の表面が平坦であれば、熱間圧延板、冷間圧延板、熱間押出材が、そのままか、あるいは熱処理によってO 、T4、T5、T6、T7などの調質したものが適宜使用できる。また、更に、機械加工、研磨加工などを施したものも適宜使用できる。これらアルミニウム合金素材は、下部電極としての形状に機械的に加工された後に、化学的エッチング処理される。
また、使用するアルミニウム合金の種類も、機械的な性質など、下部電極としての必要特性に応じて、1000系、3000系、5000系、6000系などの市販あるいは新規なアルミニウム合金が適宜選択できる。
但し、いずれのアルミニウム合金素材を用いるにせよ、素材の組織中に含まれる晶出物は、化学的エッチング処理された下部電極の表面粗さRaに大きく影響する。例えば上記圧延板の場合、素材表面側ほど晶出物が細かく、素材の中心 (板内部) 側ほど晶出物が大きくなる。そして、晶出物が大きいほど、化学的エッチング処理によって、大きい凹凸が形成されるため、細かい晶出物が多い表面側より、表面粗さRaは大きくなる。
したがって、上記製造されたアルミニウム合金素材の中心 (内部) 側を、切削や研削などの機械加工によって切り出して、下部電極用の表面とし、これを化学的エッチング処理することによって、下部電極の表面粗さRaを大きくできる。即ち、下部電極を製造する際、アルミニウム合金素材の切削部位を適宜選択することで、化学的エッチング処理における下部電極の表面粗さRaを制御できる。より具体的には、元のアルミニウム合金素材表面 (片面) からの下部電極表面 (化学的エッチング処理対象材表面) への切り出し量 (切り出し量C =アルミニウム合金素材の初期厚みA −化学的エッチング処理対象材厚みB ) によって、化学的エッチング処理における下部電極の表面粗さRaを制御できる。
また、上記圧延板や押出材の素材の場合、晶出物の分布が圧延方向乃至押出方向の材料中心方向に、比較的想定通りに晶出物が分布しており、上記切削量による表面粗さRaの制御がしやすい。
化学的エッチング処理された下部電極は、そのまま電極として使用されるか、または陽極酸化処理によって、最外表面に陽極酸化処理皮膜が設けられた上で、電極として使用される。そのまま電極として使用された場合は、最外表面のアルミ素地か自然酸化皮膜の表面粗さRaが下部電極の表面粗さRaとなる。また、最外表面に陽極酸化処理皮膜が設けられた場合は、この陽極酸化処理皮膜表面のRaが下部電極の表面粗さRaとなる。
陽極酸化処理皮膜を形成する方法としては、電解を行なう条件、即ち、電解溶液の組成、濃度、電解条件 (電圧、電流密度、電流電圧波形) 等の条件を適宜選択して行なえば良い。陽極酸化処理液については、C,S,N,P,Bから選ばれる1種以上の元素を含有する溶液で電解を行うことが好ましく、例えば、シュウ酸、ギ酸、スルファミン酸、リン酸、亜リン酸、ホウ酸、硝酸、硫酸、あるいはその化合物、フタル酸あるいはその化合物から選ばれる1種以上を含む水溶液を用いて行うことが有効である。陽極酸化皮膜の膜厚は特に制限されないが、0.1〜200μm 程度、好ましくは0.5〜70μm 程度、より好ましくは1〜50μm 程度が適当である。
化学的エッチング処理された下部電極の表面粗さRaは、そのまま陽極酸化処理皮膜の表面粗さRaに引き継がれる。即ち、陽極酸化処理皮膜の表面粗さRaは、素材表面である化学的エッチング処理された下部電極の表面粗さRaにそのまま依存し、大きく変わることは無い。
表1 に示すように、アルミニウム合金圧延板素材表面からの下部電極表面 (化学的エッチング処理対象材表面) への切り出し量と、化学的エッチング処理条件とを種々変えて、表面粗さRaを制御した下部電極 (表面に更に陽極酸化処理皮膜を設けたもの) の、エッチング深さ、平面度 (表面の反り量) 、表面状態、スティッキング発生の有無、などを評価した。比較として、ショットブラスト処理、ショットブラスト処理+化学的エッチング処理した例も同様に評価した。これらの結果を表2 に示す。
アルミニウム合金圧延板素材表面 (片面: ワーク載置側表面) からの下部電極表面への切り出し量C(mm) は、アルミニウム合金圧延板素材初期板厚A(mm) −化学的エッチング処理対象材板厚B(mm) で計算した。
アルミニウム合金圧延板素材は、板厚が15〜50mmの5052および6061のアルミニウム合金熱延板を用い、上記下部電極表面 (片側) への所定量の切り出しを機械研削により行い、更に、直径250mm 、厚さ10mmの円盤状に機械加工したものをエッチング用素材とした。
この素材の上記下部電極用表面のみを7 〜10% の濃度の水酸化ナトリウム(NaOH)か水酸化カリウム(KOH) の水溶液であって、選択的にアルミニウムを8g/l含有させた水溶液にて、50〜60℃の処理温度 (水溶液温度) で、かつ5 分〜 160分の処理時間の条件で化学的エッチング処理した。その後、更に、いずれも硫酸法の同一条件により、このエッチング処理した片面に、10〜15μm 程度の陽極酸化処理皮膜を設けて下部電極とした。
なお、比較のためのショットブラストは、上記素材表面に、ホワイトアルミナ♯60研掃材を2.5kgf/cm2で吹き付けるショットブラスト処理して、下部電極表面に凹凸を設けたもの (比較例16) 、このショットブラスト処理後に、化学的エッチング処理を行い、下部電極表面に凹凸を設けたもの (比較例17) 、なども同様に試験、評価した。
これら下部電極のウエハ載置側表面 (エッチング処理あるいはショットブラスト処理した側の表面) のRa、エッチング深さ、平面度などを計測した。また、下部電極の表面状態を評価するために、表面と表面近傍の断面も顕微鏡観察した。更に、プラズマCVD 処理装置に用いて、これら下部電極の耐スティッキング性も評価した。
下部電極の表面粗さRaは、JIS B0601 に規定された表面粗さ測定法を行なう (株) 東京精密社製のサーフコム570Aを使用して測定した。具体的には、下部電極表面 (ウエハ載置側表面) の中心部および中心部を起点とした十字4 方向に100mm 離れた位置4 箇所の合計5 箇所を4mm 長さを計測して、これらを平均化した。
エッチング深さ(mm)は、化学的エッチング処理前後におけるアルミニウム合金下部電極のワーク載置側表面の厚みの減少量を、下部電極の処理前と処理後との比較で、マイクロメーターを用いて計測した。
平面度は、市販の3 次元形状測定器[(株) 東京精密社製ザイザックPA-1500A] にて測定した。そして、反り量が0.02mm未満であるものを○、反り量が0.02mm以上0.04mm未満の範囲であるものを△、反り量が0.04mm以上のものを×、と各々評価した。
表面状態の評価のための下部電極断面の顕微鏡観察は、下部電極表面側の断面が観察できるように、採取した供試片を樹脂に埋め込み、観察面を鏡面研磨した後、200 倍の光学顕微鏡にて観察し、表面近傍の状態を評価した。表面の凹凸中の凸部の急峻な突起部が無く、凹凸が滑らかに形成されており、残留物などの異常が無いものを○、急峻な突起等の凹凸が存在するか、砥粒などの異物が表面近傍に残存していたものを×、と評価した。
スティッキングは、プラズマCVD 処理装置に用いて、ウエハ100 枚を処理し、スティッキング発生の有無を調査した。そして、この試験結果で、ウエハのスティッキングが全く発生しなかったものを下部電極の耐スティッキング性が優れるとして○、1 〜2 枚のウエハにスティッキングが発生したものを△、5 枚以上のウエハにスティッキングが発生したものを下部電極の耐スティッキング性が劣るとして×、と各々評価した。
なお、上記プラズマCVD 処理装置は、ソースガスを用いて反応チャンバ内の清掃を行なった上で、下部電極と下部電極上に載置したウエハを300 〜380 ℃に加熱し、2 〜5torr に減圧維持された反応チャンバ内で、プラズマを発生させ、ウエハ表面に500nm 程度のシリコン酸化皮膜を生成させるものを使用した。
表1 、2 から明らかな通り、エッチング処理条件にかかわらず、化学的エッチング処理のみによって、下部電極のウエハ載置側表面の表面粗さRaを1 μm ≦Ra≦6 μm の範囲内とした発明例1 〜11は、反りが無く平面度に優れ、表面状態も問題なく、かつ下部電極の耐スティッキング性が優れている。
ただ、表面粗さRaが1 μm の下限である、発明例1 、4 、7 、9 、11の内、発明例4 、7 、11は下部電極の耐スティッキング性が、他の発明例に比して劣っており、1 μm が、表面粗さRaの耐スティッキング性に対する下限であることが分かる。
一方、Raが5 μm あるいは6 μm に大きくなると、エッチング深さも著しく大きくなっている。したがって、前記したように、エッチング深さが大きくなって、下部電極の厚み減少量が大きくなり、寸法精度への影響、角部形状の変形、製品形状の維持などを考慮すると、この程度のエッチング深さが上限と考えられる。
また、同じエッチング処理条件同士で比較しても、アルミニウム合金圧延板素材表面からの下部電極表面への切り出し量C(mm) を多くして、素材内部を下部電極表面とした発明例ほど、Raが大きくなっており、晶出物が大きな素材内部を下部電極表面として用いることの意義が分かる。また、晶出物分布が比較的想定しやすい圧延板素材はRaを制御しやすいことが分かる。
これら発明例に対し、同じ化学的なエッチング処理であるにかかわらず、下部電極の表面粗さRaが1 μm 未満である比較例12〜15は、発明例に比して、下部電極の耐スティッキング性が劣っている。
また、ショットブラスト処理により下部電極表面に凹凸を設けた比較例16と18や、このショットブラスト処理後に化学的エッチング処理を行って下部電極表面に凹凸を設けた比較例17は、Ra自体は本発明範囲内であった。
しかし、比較例16と18はショットブラスト処理による残留応力によって反りが生じていたため、平面度が悪く、急峻な凸部やショットブラストの砥粒が残留するなど、表面状態が悪かった。
また、比較例17は、化学的エッチング処理によって、残留応力は除去され、平面度は改善されているものの、ショットブラストの砥粒が残留するなど、表面状態が悪かった。
したがって、これらの結果から、本発明における化学的なエッチング処理と、それによる下部電極の表面粗さRaの範囲との意義が分かる。
Figure 0004452113
Figure 0004452113
以上説明したように、本発明によれば、下部電極表面に所望の凹凸を設けた、耐スティッキング性に優れたアルミニウム合金製下部電極を提供できる。したがって、プラズマ処理装置用下部電極へのアルミニウム合金の用途の拡大を図れるものである。
アルミニウム合金下部電極を化学的エッチング処理した場合の表面粗さRa (縦軸) とエッチング深さ (横軸) との関係を示す説明図である。

Claims (4)

  1. ワークにプラズマ処理を施すプラズマ処理装置に備えられるアルミニウム合金で形成された下部電極であって、前記アルミニウム合金が圧延板または押出材であり、この下部電極の平坦な表面はRaで 1μm ≦Ra≦6 μm である粗さの凹凸を有しており、この凹凸が下部電極表面の化学的エッチング処理のみにより生起させられていることを特徴とするプラズマ処理装置用下部電極。
  2. 前記化学的エッチング処理がアルミニウムを1 〜20g/l 溶解したアルカリ系水溶液にて行なわれる請求項1に記載のプラズマ処理装置用下部電極。
  3. 前記下部電極が前記凹凸を有する表面に更に陽極酸化処理皮膜を有している請求項1または2に記載のプラズマ処理装置用下部電極。
  4. 前記下部電極表面が、アルミニウム合金素材の内部側を、下部電極表面として切り出したものである請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置用下部電極。
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