JP4451502B2 - ダイセットの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、ダイセットの製造方法に関する。更に詳しくは1Cリードフレーム等のように半導体で使用される大量の精密寸法部品をより精密に打抜加工で製造するためのダイセットの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精密打抜用組型、精密切断用組型が、精密寸法の半製品を大量に生産するために用いられている。例えば、ICリードフレーム等のような半導体製造ラインでは、このような組型により電子回路基板の成形、それに組み込まれるリード線の端部の切断が高速で行われる。このような組型は、固定側ダイプレートとこれに相対的に1直線上で運動する可動側ダイプレートとから構成されている。この相対的運動を案内するために、ガイドポストが用いられている。このガイドポストの一端部は両ダイプレートのいずれかに対して固定されその他端部は他のダイプレートに対して摺動し、又は、転動体を介して転動する。
【0003】
可動側ダイプレートは、1体又は2体のガイドポストに方持ちで支持されて昇降運動することが多い。一般に、可動側ダイプレートは、その重力又は動作時の偏荷重を受けるため、ガイドポストの軸心線に対して傾斜する方向の外力を受ける。このような外力は、両ダイプレートの相対的位置変位を起こす。この相対的位置変位は、精密寸法を求められる製品の寸法精度を劣化させ、極端な場合は組型の破壊を招く。両ダイプレートの摺動摩擦の軽減のためにガイドポストと可動側ダイプレートとの間に、ボール、ローラ等の転動体を介設することがしばしば行われている。
【0004】
従来、ガイドポストとこのガイドポストを通すために可動側ダイプレートに形成される穴は円柱状に形成されている。このように円柱状に形成する理由は、その形成のための機械加工が容易であるからである。円柱面である摺動面の磨耗を軽減するためにその周面に、転動用の多数の球体が配置されることもしばしば行われている。前述した偏荷重がダイプレートに作用すると、円柱状摩擦摺動面の磨耗が進む。この磨耗を軽減しようとして介設された球体と磨耗面部に局所的な応力が生じて、かえって磨耗が促進され、ガイドポストの曲げ変形さえ起こすようになる。
【0005】
このような局所的応力が生じないような組型が求められている。更に、大量に用いられるこのような組型の製造コストの低廉化も同時に求められている。また、ダイプレートの交換を容易にして生産効率の向上も要請されている。また更に、シングルポスト・タイプのダイセットの提供も望まれている。
【0006】
このような要求は、強いスラスト力を点接触で受けず線接触又は面接触で受けるようにしたダイセット又は型装置として特開平6−7859号、特開平8−309456号で知られている装置によっては、満たされない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような技術的背景に基づいてなされたものであり、下記のような目的を達成する。
【0008】
本発明の目的は、局所的応力が組型に発生しないようなダイセットを提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、偏荷重がかかっても局所的応力が組型に発生しないようなダイセットを提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、偏荷重がかかっても局所的応力が組型に発生しないようなシングルポスト・タイプのダイセットを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、偏荷重がかかっても局所的応力が組型に発生しないような片持ちのダブルポスト・タイプのダイセットを提供することにある。
【0012】
本発明の他の目的は、局所的応力が組型に発生しにくく、その組立コストがより低廉化するダイセットを提供することにある。
【0013】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生せず、その組立コストがより低廉化するダイセットを提供することにある。
【0014】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生せず、その組立コストがより低廉化し、更に、ダイプレートの交換を容易にすることにより生産品を生産する生産効率を向上させることができるダイセットを提供することにある。
【0015】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生しにくく耐久性が高いダイセットを提供することにある。
【0016】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生しにくく部分部分の組立が容易なダイセットを提供することにある。
【0017】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生しにくくした角筒ガイドポストを組立構造とすることによりそのような形状化を可能にするダイセットの製造方法を提供することを目的とする。
【0018】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生しにくくした角筒ガイドポストを組立構造とすることによりそのような形状化を可能にするとともに、その組立部品を射出成形により形成して更に製造のコストを低廉化することができるダイセットの製造方法を提供することを目的とする。
【0019】
本発明の更に他の目的は、局所的応力が組型に発生しにくくしたダイセットの摺動・転動面の加工を可能としその加工コストを低廉化するダイセットの製造方法を提供することを目的とする。
【0020】
本発明は、このような課題を解決するために、次のような手段が採用している。本発明によるダイセットの製造方法は、
固定側の型を形成するための固定側型形成体(2−2)と前記固定側型形成体(2−2)に対して相対的に可動である可動側の型を形成するための可動側型形成体(3−2)とからなる型形成体と、
前記可動側型形成体(3−2)を1軸方向に案内するための案内体(4)とからなり、
前記案内体(4)に対して可動な前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)に案内用孔が形成され、前記案内体(4)と前記案内用孔とは案内面(4−5)を介して滑動し、
前記案内面(4−5)は平面を備え、前記平面は前記案内体(4)の軸心線と前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)が、前記案内体(4)から張り出す部分の重心を含む張出し面に概ね直交しており、
前記可動側型形成体(3−2)は、一端部が1本の前記案内体(4)に支持され他端部は支持されない片持ち梁になっており、
前記案内面(4−5)は前記案内体(4)の側面に形成され、前記案内面(4−5)の前記平面は互いに直交する4平面で形成されており、
前記4平面の各前記案内面(4−5)と前記案内孔の間にガイドブッシュ(8−1)が介設されており、
前記ガイドブッシュ(8−1)と前記案内面との間にガイドローラリテーナ(9−1)が介設されており、
前記ガイドローラリテーナ(9−1)は複数のガイドローラ(9)を備え、前記ガイドローラ(9)は前記案内面(4−5)上を転動する
ようにしたダイセットの製造方法であって、
前記ガイドブッシュの端面にねじ孔を形成することと、前記ガイドブッシュの端面にブッシュ側凹凸部分を形成することと、前記型成形体の一部に型側凹凸部分を形成することと、前記ガイドブッシュと前記型形成体との位置合わせをして前記ブッシュ側凹凸部分と前記型側凹凸部分との嵌め込みを行い前記型形成体と前記ガイドブッシュとを衝撃を加えて結合することと、前記型形成体に通してねじを前記ねじ孔にねじ込むことと
からなるものである。
【0021】
張出し面とは、案内体から張り出す型形成体の重心と案内体の軸心線を含む面である。このような1案内面は、平行に2つあることが望ましい。更に、案内面は、このような平行な2つの1平面(結局、2平行平面)とこれらを連結しこの2平面に直交する2面とからなる4平面から形成されることが特に望ましい。即ち、案内体は、断面が実質的に正方形又は長方形である4角柱であることが特に好ましい。角柱は、角筒を含み、例えば、四角柱は四角筒として形成することができる。
【0022】
このような案内体に対して可動な可動側型形成体に案内用孔が形成される。案内体と案内用孔との間には、案内面が形成されている。案内体が案内用孔に直接に接する場合は、案内面は案内体の面、案内用孔の面に実質的に一致する。この案内面が前記張出し面に直交する。この案内面は案内体の曲がりに対してはこの案内体を支持する面であり、型形成体又は案内体が相対的に支持される型形成体支持面を形成していることになる。
【0023】
案内体と案内用孔との間には、滑動媒体が介設されることが好ましい。この明細書では、用語「摺動」から区別する意味で、用語「滑動」と用語「転動」を同義で用いる。即ち、ボール、ローラを介した転動は、本明細書では滑動ともいう。滑動媒体(本発明では、以下「ガイドローラリテーナ」ともいう。)は、案内体と型形成体との間、案内体に固定されるガイドブッシュと型形成体との間、又は、案内体と型形成体に固定されるガイドブッシュとの間に介設される。
【0024】
滑動媒体は、案内体の面又は案内用孔の面に対して滑動する面又は転動面を有する。滑動媒体は、平行な表裏面を有する平板で形成することができる。この場合、平板の材料として、案内体の材料と案内用孔の側の物体の材料に対して最も適切な材料が選択され使用される。この場合、案内面はその平板の面に実質的に一致する。
【0025】
滑動媒体には、この滑動媒体が少なくとも1面が平面の案内面上を滑動するようにガイドローラを備えさせることができる。ガイドローラとは、回転軸心線の方向が一定であり特定された平面上の線分上で接触して回転することができる回転体である。その回転体としては、円柱体が一般に用いられるが、その周面の一部分をテーパ面に形成することもできる。滑動媒体は、このようなガイドローラとガイドローラを保持するガイドローラリテーナとで形成することができる。この場合、複数のガイドローラに接する接平面が、案内面に該当する。
【0026】
ガイドローラリテーナは、少なくとも1体が用いられ、案内体が4角筒であれば、4体が用いられることが好ましい。案内面とガイドローラリテーナの表面との間の隙間は、最少限に狭く形成され、数ミクロン以上で数十ミクロン以下である。案内面は、塵埃の侵入を防止するために、滑動媒体と案内体との間に位置することが好ましい。
【0027】
案内体と型形成体の間に、ガイドブッシュを追加することができる。この場合、案内面は案内体とガイドブッシュとの間に形成することができる。案内面とガイドブッシュとの間に、滑動媒体を介設することができる。ガイドローラリテーナが保持する複数のガイドローラは、案内面とガイドローラリテーナとの間に介設される。この場合も、ガイドローラに接する接平面が、案内面に該当する。
【0028】
滑動媒体は、角筒として構成され、その角数に等しい数の分割体で組立てられるようにすることが、製作費用の低廉化のために好ましい。複数の分割体は、連環状に隣り合って連結し角筒の中心軸心線のまわりに一周する。複数の分割体の1体が、単位連環要素を形成する。このような単位の連環要素にガイドローラが組み込まれる。その組み込みを容易にするために、その連環要素は、合成樹脂を射出成形して製作することが好ましい。また、このように製作すると、ガイドローラをはめ込むためのガイドローラ座の形成が容易である。
【0029】
型形成体は、機械本体であるダイベッドと一体に製作され、又は、別体物がボルトで強固に結合されて一体に製作される。最少限の部品数で構成される単体のダイセットは、ダイベッドに着脱自在に一体化され、また、このような単体のダイセットの集合が共通のラムに個別に着脱自在に一体化され、このようなダイセットの集合体は、プレス・セル(セルは細胞の意)を構成する。単一1セットのダイセットの自由な組み合わせにより、任意の種類の複数の工程を連続させ複数のステップからなるプロセス・プレスを構成することができ、ステップの変更が容易である。単位セットを共通のダイベッド又は共通のラムに着脱する時間を3分以内にすることにより、日本の現場で使用されている用語でいう「零段取り」を実現することができる。
【0030】
単一1セットは、シングルポスト・タイプとして構成することができる。これは片持ち構造であるが、角筒案内体の強い曲げ強度が生産する製品の寸法精度を保証する。ダブルポスト・タイプのものは、更に、片持ち構造の弱点を補う。シングルタイプでもダブルタイプでも、片持ち梁構造のものは、作業領域を見やすくする。このため、複数の単一体の集合であるプレス・セルは、複数の作業領域を同時に肉眼で監視することができる。
【0031】
角筒構造は、支持平面を形成するためのものであるから、滑動・転動することがない固定部分は、従来通りの円柱構造にすることが好ましい。角筒構造の金属加工のためには、ワイヤカット放電加工が適用される。このワイヤカット放電加工によりダイセットの組立構造を加工する際に、同時に型形成面(例えば、打抜き型のダイス穴)を加工することにより、型を含む1セットの製作のコストが低下し、かつ、寸法精度を向上させることができる。
【0032】
各部の組立には、接合位置に切割り部分を形成してその切割りの中心面に直交する方向からボルト、好ましくはテーパねじを通して締め付けることにより、そのねじの4分の1回転の動作で完璧な締め付けが完了する。
【0033】
図17と図18は、本発明の作用・効果の比較を示している。図18の実施形態の作用効果は、図17に示す非実施形態の作用効果よりもすぐれていることが、次に述べられる。図17は、ガイドローラを介して相対的に滑動する2物体の滑動面に対して45度の角度を持つ鉛直面S内に平行に片持腕が受ける衝撃力
の方向が向いている場合を示している。
【0034】
図18は、ガイドローラを介して相対的に滑動する2物体の滑動面に直交する鉛直面S(紙面に一致)内に平行に片持腕が受ける衝撃力の方向が向いている場合を示している。図18には、直交2面にそれぞれに滑動するガイドローラ群は、それぞれに上下の2体のみが示されている。
【0035】
図17にも、同様に2体のみが示されている。片持ち腕は、その下端の型が相手側の型に被切断物体を介して衝撃的に突きあたるとき、その腕には上向きの衝撃力が作用する。可動体である四角柱は、その上端面が面S上に回転矢aで示す方向に回転しょうとする。その上端面である正方形の前記回転前の4頂点を、A,B,C,Dで表す。
【0036】
下側のガイドローラの交差点付近の1点をOで示す。点Aと点Cは、面S中にあって中心点Oを中心として前記矢aの方向に回転しょうとする。僅かであるが、点Aは点A’に、点Cは点C’に進む(図では、その進みが誇張されて描かれている。)。移動距離は微小であるから、線A−A’、線C−C’は、実際には共に概ね水平に向いている。
【0037】
線分A−A’の長さをLで、線分C−C’の長さをL’で表すと、L<L’。逆に点Oは、O’に後退する。四角柱の中の任意の点のうち点Cが最大距離変位する。点C’は固定側物体例えばブッシュにその位置のガイドローラ部分を介して突き当たる。その突当力は衝撃力である。その衝撃力の反作用力で、点O’はブッシュの手前側の下方部分に突き当たる。
【0038】
点B’はブッシュの内壁面からその位置のガイドローラ部分を介して離脱し遠ざかる。幾何学的には、点C’と点O’の2点のみがブッシュに突き当たる。従って、ガイドローラはその機能が活用されていない。実際には、自己整合的、自己調整的に全体に分布する衝撃力でブッシュに突き当たるが、点C’と点O’の近傍の衝撃力は他の部分に比べて、瞬間的には何百倍、何千倍にも達する。このような局所的衝撃力が繰り返して発生する。点C’と点O’の近傍のガイドローラが、ブッシュに衝撃的に何回も繰り返して衝突する。従って、この非実施の形態では、ガイドローラの機能が相当に減殺され実質的には喪失している。
【0039】
図18に示す実施の形態でも、点Pと点Qに反対向きの衝撃力Fと−Fがガイドローラと壁面との間に発生する。このような点Pと点Qは、1直線上に乗る無数の点のうちの1つである。一方側の群の上方のガイドローラと他方側の下方のガイドローラは、その機能が幾何学的には、活用されていない。しかし上下2本のガイドローラは、図17の非実施の形態のガイドローラが点接触するのに対して線接触している。この相違は、全ガイドローラに影響し、自己整合的、自己調整的に衝撃力が分散する。このように、図18の実施形態の全ガイドローラは、図17の非実施の形態の全ガイドローラに比べて、有効に活用されている。
【0040】
【発明の実施の形態】
次に、本発明によるダイセットの実施の形態について説明する。図1は、本発明によるダイセット12の実施の形態1を示している。ダイセット12は、単位ダイセット12−Nの集合体である。図1には、Nが1から5までの単位ダイセットが示されているが、数Nは5以上にすることができる。
【0041】
単位ダイセット12−Nの1つの単位ダイセット12−1は、固定側型形成体2−2(固定側ダイプレートともいう)と可動側型形成体3−2(可動側ダイプレートともいう)と案内体4(ガイドポストともいう)とから構成されている。固定側型形成体2−2は、通常は、ボルスターともいわれるダイベッド1−5を備えている。
【0042】
ダイベッド1−5には、これと同体にT字状のベッド側嵌込み部2−5が固定されている。固定側型形成体2−2には、型側嵌込み部分1−21が形成されている。ベッド側嵌込み部2−5には、その上面側から下面側に貫通するねじ穴2−7が複数位置に形成されている。図1は、その複数位置として3位置が示されている。
【0043】
ベッド側嵌込み部2−5の上面側からその下面側に向かう方向は、案内体4の軸心線方向、即ち可動側型形成体3−2が運動する方向に一致している。1つのねじ穴2−7に直交する面に沿ってその近傍で2次元的に延びる第1切割溝2−9がベッド側嵌込み部2−5に形成されている。
【0044】
ねじ穴2−7に締付ねじ2−8をねじ込んでベッド側嵌込み部2−5をダイベッド1−5に結合する際に、第1切割溝2−9の幅が狭まって、ベッド側嵌込み部2−5がダイベッド1−5に強固に締め付けられて固定される。ベッド側嵌込み部2−5は、固定側型形成体2−2の部分である型側嵌込み部分1−21に凹凸嵌合して結合している。
【0045】
その両凹凸部分は、それぞれに案内体4の軸心線方向に直交する第1締付面1・2−1を有し、この第1締付面1・2−1は第1切割溝2−9が狭められる際に、強力に圧着する。この圧着により、固定側型形成体2−2がベッド側嵌込み部2−5を介してダイベッド1−5に強力に結合する。ベッド側嵌込み部2−5と鏡面対称に他方側のベッド側嵌込み部2−6が、ベッド側嵌込み部2−5と対で設けられている。
【0046】
他の側のベッド側嵌込み部2−6のダイベッド1−5に対する締付力は、ベッド側嵌込み部2−5のそれに対する締付力に同じである。各単位の可動側型形成体3−2−Nには、それぞれにフリーシャンク3−5が可動側型形成体3−2に一体に形成されている。
【0047】
フリーシャンク3−5と可動側型形成体3−2とは一体に結合された一体物ではあるが、一体の材料で構成しても良い。フリーシャンク3−5の自由側端面(案内体4の軸心線に直交する線に直交する端面)で開放されたテーパーねじ通し穴3−7が開けられている。
【0048】
テーパーねじ通し穴3−7の軸線は、案内体4の軸心線に交叉して直交している。テーパーねじ通し穴3−7の直径方向に展開する第2切割溝3−9が切られている。第2切割溝3−9が含む展開面は、案内体4の軸心線に直交している。フリーシャンク3−5は、ダイプレート側突出嵌込部分3−11を有している。
【0049】
ダイプレート側突出嵌込部分3−11は、案内体4に向かう方向に突出している。フリーシャンク3−5に嵌め込まれてフリーシャンク3−5に結合する共通プレスラム1−6は、案内体4から遠ざかる方向に突出するラム側突出嵌込部分1−22を有している。
【0050】
ラム側突出嵌込部分1−22とダイプレート側突出嵌込部分3−11は、第2締付面1・3−1を有している。第2締付面1・3−1は、案内体4の軸心線に直交している。テーパーねじ通し穴3−7の延長方向に、共通プレスラム1−6にテーパーねじ穴3−12が切られている。
【0051】
テーパーねじ通し穴3−7に通されるテーパーねじ3−10は、共通プレスラム1−6のテーパーねじ穴3−12にねじ込まれ、フリーシャンク3−5と共通プレスラム1−6が案内体4の軸心線に直交する方向に強力に結合する。この結合の際に、第2切割溝3−9の幅が狭まって、第2締付面1・3−1で案内体4の軸線方向にもフリーシャンク3−5と共通プレスラム1−6が強力に締め付けられあう。
【0052】
この締付合いは、各単位の可動側型形成体3−2−Nと一体の共通の共通プレスラム1−6の間で行われる。可動側型形成体3−2の自由端部と固定側型形成体2−2の自由端部(案内体4からより遠い方部分)との間は、通常、開放されている。このように開放される空間部分は、打ち抜きされる材料の供給・排出のための通路、その通路上で動作する搬送系構成手段が往復運動する作業領域である。
【0053】
このため、可動側型形成体3−2の自由端部は固定側型形成体2−2に支持されていないから、可動側型形成体3−2は、その一端部分が案内体4に支持されているが他端部分は支持されず、片持ち梁になっている。この片持ち梁の曲げモーメントによる曲がりが可能な限り少ないことが、製品の寸法精度を向上させる。
【0054】
この向上のために、案内体4の好ましい形状は4角柱である。4角柱とは、4側面が互いに直交する物体である。案内体4の軸心線に直交する直交線の方向に、又は、その直交線を含む平面にその中心線が含まれるように、可動側型形成体3−2は案内体4から張り出している。
【0055】
可動側型形成体3−2の張出方向線と案内体4の軸心線を含む平面に直交するように案内体4の1側面である型形成体支持面4−5が形成されていることが特に好ましい。
【0056】
案内体4に対して曲がろうとする可動側型形成体3−2の軸心方向の運動を案内する型形成体支持面4−5は、案内面4−5として定義することができる。このような案内体4の1側面が、図1に示されている。型形成体支持面4−5は、可動側型形成体3−2の曲がりを阻止するように可動側型形成体3−2を支持する支持面である。
【0057】
プロセス中の作業の良好性を担保するために、型形成体支持面4−5は通常鉛直面であることが好ましい。鉛直面である型形成体支持面4−5を含む案内体4の複数面の数は、4面がもっとも好ましく、次に3面が好ましい。この場合、案内体4は3角柱になる。
【0058】
この面数が5面以上であれば、特に、この面数があまりに大きくなると、案内体4は従来のガイドポストである円柱に近づいて好ましくない。このような上下関係から、固定側型形成体2−2は下側ダイプレート、可動側型形成体3−2は上側ダイプレートと呼ばれている。1組の型は、上側ダイプレート、下側ダイプレートに振り分けられて取りつけらる。
【0059】
案内体4は、固定側型形成体2−2又はダイベッド1−5に結合されている。固定側型形成体2−2とダイベッド1−5とは、ベッド側嵌込み部2−5により締付固定されて一体化されているから、これらは同体物として理解される。固定側型形成体2−2とダイベッド1−5とは、それらの名称に係わらず、同一体である。
【0060】
案内体4と可動側型形成体3−2との間には、通常、ガイドブッシュ8−1が介設される。ガイドブッシュ8−1の材料には、摺動面が形成される部材として使用される各種の公知金属が用いられる。ガイドブッシュ8−1と案内体4との間には、ローラリテーナ9−1が介設されることが好ましい。
【0061】
ローラリテーナ9−1の側面、特に型形成体支持面4−5とガイドブッシュ8−1の内面との間には、多数のガイドローラ9が回転自在に介設されている。ガイドローラ9は、ローラリテーナ9−1に保持されている。ローラリテーナ9−1は、材料の相違のため案内体4とは別物体として設けられているが、案内体4とローラリテーナ9−1の材料が同じであれば、案内体4自体がローラリテーナとして形成することもできる。
【0062】
図1に示される実施の形態のダイベッド1−5とベッド側嵌込み部2−5の締付構造は、ねじと切割溝つきねじ穴の締合せである。したがって、本発明の実施の形態の構造は、ねじ締付ねじ2−8及びテーパねじ3−10のそれぞれの4分の1回転で完全に締合せが完了し、1単位のダイセット12−Nの共通プレスラム1−6に対する着脱は3分以内で完了させることができる。3分以内に完了する工程は、段取り工程には勘定されず、日本の工場現場では「零段取り」と呼ばれることもある。
【0063】
図2ないし図6は、案内体4を固定側型形成体2−2に、ガイドブッシュ8−1を可動側型形成体3−2に取り付けて固定するためのねじ穴、ずれ止めなどの手段を示している。案内体4の固定側型形成体2−2との嵌合関係、及び、ガイドブッシュ8−1と可動側型形成体3−2との取付関係の他の実施の形態を詳細に示している。
【0064】
図2は、案内体とガイドブッシュの組立関係を示す図であり、図3は図2の底面図であり、図4は図3の一部拡大断面図である。図3に示すように、案内体4の底側端面には軸心線を共有するように、第1取付ねじ穴7−6が設けられている。その底側端面には、4角形の4頂点に対応して、4カ所にそれぞれに第1突起部分7−7が形成されている。第1突起部分7−7の1つの立体構造が、図4に明白に示されている。
【0065】
第1突起部分7−7の周囲には案内体4の基準底面から窪んだ周溝である第1周溝7−8が形成されている。固定側型形成体2−2又はダイベッド1−5との位置合わせを行ってそれに設けられている4カ所の対応穴(図示せず)に第1突起部分7−7を嵌め込み、案内体4をその上側端面の側から案内体4をハンマーで叩くと、第1突起部分7−7が相手側の穴の中で塑性変形により潰れて更に第1周溝7−8の中で展伸して第1周溝7−8を埋める。
【0066】
この埋込み作業は、第1取付ねじ穴7−6とこれに対応する固定側型形成体2−2又はダイベッド1−5の側のねじ穴(図示せず)に6角穴つきボルトをねじ込む作業と同時的に又は併行して行われる。このような作業により、案内体4と固定側型形成体2−2又はダイベッド1−5との精密で、かつ強固な位置決め固定が可能である。
【0067】
図5は、図4の第1突起部分7−7に代えて、その位置に開けた挿入穴7−5に別体の突起用部品7−9を差し込んだ他の実施の形態を示している。突起用部品7−9は、外側部分として小径部分7−10に形成されている。小径部分7−10と挿入穴7−5の内周面との間に、図4の第1周溝7−8に代わる第1周溝7−11が開けられている。図4の実施の形態と図5の実施の形態は、位置決め取付構造の作用としては同じである。
【0068】
図2に示すようダイプレートに、ガイドブッシュ8−1の上側端面側でその4角形の4頂点に対応する4位置にそれぞれに第2取付ねじ穴8−9が軸心線方向に開けられている。隣り合う2カ所の第2取付ねじ穴8−9の中間位置に、第2突起部分8−7が設けられている。
【0069】
第2突起部分8−7の1つの立体構造が、図6に明白に示されている。第2突起部分8−7の周囲にはガイドブッシュ8−1の基準底面から窪んだ周溝である第2周溝8−8が設けられている。可動側型形成体3ー2との位置合わせを行ってそれに設けられている4カ所の対応穴(図示せず)に第2突起部分8−7を嵌め込み、可動側型形成体3−2をその上側端面の側から可動側型形成体3−2をハンマーで叩くと、第2突起部分8−7が相手側の穴の中で塑性変形により潰れて更に第2周溝8−8の中で展伸して第2周溝8−8を埋める。
【0070】
この埋込み作業は、第2取付ねじ穴8−9とこれに対応する可動側型形成体3ー2の側のねじ穴(図示せず)に6角穴つきボルトをねじ込む作業と同時的に又は併行して行われる。このような作業により、ガイドブッシュ8−1と可動側型形成体3−2との精密で、かつ強固な位置決め固定が可能である。
【0071】
図6は、滑動媒体、言い換えると転動体としてのローラリテーナ9−2を示している。ローラリテーナ9−2は、軸線方向に配列された多数のガイドローラ9を保持している。各ガイドローラ9は、1回転軸心線を有しおり、ボールではない。
【0072】
案内体4の上方部分は大径部分として形成されその大径部分の下端面に突き当たるように、ローラリテーナ9−2が案内体4の下方側から挿入されて外装されている。4角筒状のローラリテーナ9−2の4周壁には、多数のローラ装着溝(詳しくは後述)が上下方向に配列されて開けられている。1つのローラ装着溝に1つのガイドローラ9が装着されている。
【0073】
図7は、案内面(型形成体支持面)4−5とこれにより案内される他の部材との間に介設されるローラリテーナ9−2の好ましい実施の形態及びその組立方法を示している。この4角筒のローラリテーナ9−2は、4枚の連環リテーナプレート9−4を備えている。
【0074】
各連環リテーナプレート9−4は、角筒の4辺壁の1つに対応している。連環リテーナプレート9−4の2つの上下方向縁部は、それぞれに連環用凸部端子9−8と連環用凹部端子9−9とを有している。複数の連環用凸部端子9−8と複数の連環用凹部端子9−9は、それぞれの1つずつが交互に上下方向である軸心方向に並んでいる。
【0075】
片側の縁部の連環用凸部端子9−8と他の側の縁部の連環用凸部端子9−8とは、高さ位置が異なっている。片側の縁部の連環用凹部端子9−9と他の側の縁部の連環用凹部端子9−9とも、高さ位置が異なっている。片側の縁部の連環用凸部端子9−8と他の側の縁部の連環用凹部端子9−9は、同じ高さ位置に配列されている。
【0076】
片側の縁部の連環用凹部端子9−9と他の側の縁部の連環用凸部端子9−8とも、同じ高さ位置に配列されている。両側の縁部の複数の連結用凸部端子9−8には、1直線上に配置し形成されることになるピン通し孔9−5が形成されている。
【0077】
1体の連環リテーナプレート9−4の連環用凸部端子9−8を隣の他の1体の案内体4の連環用凹部端子9−9に挿入すると、隣り合う2枚の連環リテーナプレート9−4の両ピン通し孔9−5が、1直線上に並んで1つのピン通し孔9−5として形成される。
【0078】
この1つのピン通し孔9−5に1本のピン9−11が通され、隣り合う2枚の連環リテーナプレート9−4は、1対の蝶番構造体を形成している。もう1対の蝶番構造体を組み立てて、更に2本のピン9−11を用いて、2対の蝶番構造体を1構造体体に組み立てる。
【0079】
このように組上がった角筒が、ローラリテーナ9−2として用いられる。このように組立てられたローラリテーナ9−2の変形性は、それが可動側型形成体3−2等の角穴に挿入された際にその角穴形状に制約されて固定化される。その角穴形状は、例えば、軸直角断面で正方形である。ガイドローラ9はローラリテーナ9−2の軸心線(角穴の中心線)に直交する方向に回転軸心線を有している。
【0080】
図8は、複数のガイドローラ9が1枚の単位連環リテーナプレート9−4に組み込まれた状態を示している。図9は、その組込みのために好適な量産用の連環リテーナプレート9−4の部分を示している。ローラリテーナ9−2の軸心線に直交する方向に貫通するローラ保持穴9−12が、多数、連環リテーナプレート9−4に開けられている。
【0081】
各ローラリテーナ9−12の保持穴面は、図10に詳しく示されるように、部分円筒面部分9−13と略平面部分9−14とから形成されている。部分円筒面部分9−13と略平面部分9−14とは、内側で連続している。部分円筒面部分9−13の外端の幅Tは、ガイドローラ9の直径Rよりも短い。
【0082】
略平面部分9−14の外端の幅は、ガイドローラ9の直径Rに概ね等しい。部分円筒面部分9−13は、それ自体でガイドローラ9を保持できる角度範囲θに広がっている。略平面部分9−14の均一な厚みTは、ガイドローラ9の直径Rに概ね等しいが、厚み幅Tは直径Rよりも僅かに短い。
【0083】
従って、ガイドローラ9に外接し連環リテーナプレート9−4の両側の平行平面Sに平行な外接面とその平行平面との間の隙間ΔRは、(T−R)/2である。この隙間ΔRは、数ミクロンよりも大きく数十ミクロンよりも小さい。この隙間の範囲は、ガイドローラ9、ローラリテーナ9−2、連環リテーナプレート9−4、連環リテーナプレート9−4が装着される相手側、例えばガイドブッシュ8−1、案内体4の材料の硬度、膨張係数などが考慮された上での最大隙間幅として与えられてる。しかしながら、この隙間の範囲を滑動(転動)に支障がないための最少幅に形成することは、表面張力により毛細管現象による潤滑油の下方への流動を抑止するため給油の頻度を極端に減少させ、又、そこに入り込む塵埃の大きさを最少のものにすることができる。
【0084】
このようにローラ保持穴9−12の一方側が他方側よりも幅広の幅広穴9−15に形成される理由としては、ガイドローラ9の装着・離脱を容易にする理由以外に、連環リテーナプレート9−4の製作上の理由がある。金属で製作することが困難である連環リテーナプレート9−4は、合成樹脂を用いて射出成形により製作されることが好ましい。
【0085】
合成樹脂の使用は、ガイドローラ9の磨耗促進を抑制する。幅広穴9−15にある程度の幅を持たせることにより、射出成形時にこの穴に相当する型部分の抜き取りを可能にする。角度範囲θは、その抜き取りを不可能にしない。なぜなら、樹脂成形では成形品の逆勾配形状での抜き金型は、常套手段であるからである。
【0086】
樹脂としては、各種のエンジニアリング・プラスティックスが使用され、特に、硬度と滑り良さ、金属ローラとの馴染みなどの点から、ポリアミド系統が好ましい。ガイドローラ9にも樹脂を使用することは、耐久性の点からも可能である。連環リテーナプレート9−4を金属で製作することは不可能ではない。板状の連環リテーナプレート9−4の本体部分の加工は、マシニングセンタ又は研削盤による研削加工により可能であり、ガイドローラ9を挿入する穴部分の穴開加工はボールエンドミルを用いたフライス盤等による加工により可能である。ガイドローラ9及びこれに接触する部材としてはオイルレスメタルを使用することが好ましい。幅広穴9−15の側は、可動側型形成体3−2又はその側のブッシュの側に向くよりも、案内体4の側に向くように組み立てた方がよい。なぜなら、ガイドローラ接触部分に塵埃が入りにくいからである。
【0087】
図11は、本発明によるダイセットのシングルポスト・タイプの実施の形態を示している。この実施の形態のものは、これを単体としても使用できるが、可動側型形成体3−2がフリーシャンク3−5を備えている点では、図1に示したものと同じであり、複数のものを集合的に使用することができるように配慮されている。
【0088】
ガイドブッシュ8−3は、可動側型形成体3−2の下端面に接合している。ガイドポストである案内体4−1が、固定側型形成体(下ダイプレート)2−3に固定されて立ち上がっている。ガイドブッシュ8−3の中には角柱面に形成されている穴が開けられている。その穴と案内体4−1との間に、ローラリテーナ9−2が介設されている。
【0089】
ローラリテーナ9−2は、滑動媒体として設けられている。ローラリテーナ9−2の構造は、図7に示した単一体構造に類似しているが、縦長さが横長さの2倍になっている点で、図7の実施の形態とは異なっている。この縦長さの縦方向は、案内体4−1の軸心線及び可動側型形成体3−2が案内体4−1から張り出す方向の線を含む張し出平面上の線の方向であり、特に、案内体4−1の軸心線に直交していることが好ましい。案内体4−1が有する案内面は互いに直交する4面であるが、その内の1面は、その張出し平面に直交する型形成体支持面4−5として形成されている。型形成体支持面4−5は、使用状態で通常は鉛直面である。
【0090】
ローラリテーナ9−2の横方向辺を形成する壁体には、図8に示す単体要素の連環リテーナプレート9−4が1枚用いられている。ローラリテーナ9−2の縦方向辺を形成する壁体には、図8に示す単体要素の連環リテーナプレート9−4が2枚用いられている。
【0091】
従って、6枚の連環リテーナプレート9−4が使用されるガイドブッシュ8−3の外形寸法は、縦長さが横長さに対して概ね2倍である。このように壁体を形成する単一枚の連環リテーナプレート9−4の構造は、ピン9−11を含めて全く同一である。この実施の形態でも、案内面は可動側型形成体3−2側又は可動側型形成体3−2側に属するガイドブッシュ8−3に与えられている。
【0092】
図11中に併記されるように、可動側型形成体3−2とガイドブッシュ8−3の位置決め固定構造が、点線図示線A−A’で示される位置で、凹凸締合い構造に形成されている。可動側型形成体3−2とガイドブッシュ8−3が締付ボルト3−11で締め付けられ結合される際に、ガイドブッシュ8−3側に形成されている凹凸状輪8−4に可動側型形成体3−2側に形成されている突起部分8−5が圧入され両体がしっくり圧着する。
【0093】
これと同様な構造が、他の点線図示線A−A’で示す位置の案内体4−1と固定側型形成体2−3との間にも与えられている。可動側型形成体3−2には、可動側型体3−13が固定されている。固定側型形成体2−3上には、可動側型体2−13が固定配置されている。可動側型体3−13と固定側型体2−13は、一対の打抜用金型を構成している。固定側型形成体2−3には、これが図1に対して示すベッド側嵌込み部2−5によりダイベッド1−5に取り付けられ固定されるための第1締付面1・2−1が形成されている。
【0094】
このようなシングルポスト・タイプのダイセットは、その複数体が、縦方向(可動側型形成体3−2が直列に並ぶ方向)に並べて使用されると、複数の型動作部が一望できて好都合である。フリーシャンク3−5及び第1締付面1・2−1を用いれば、図1に示すような横並びの使用も容易である。このような単体のダイセットの交換により複数工程の任意の組み合わせが可能である。
【0095】
図12は、案内体4に一体のローラリテーナ9−2が、固定側型形成体2−3のガイドブッシュ部分8−6に対して運動する場合を示している。この場合、案内面(型形成体支持面)4−5は、固定側型形成体2−3側に与えられている。
【0096】
図11及び図12に示されるダイセットの実施の形態は、案内体4で片持ちされている可動側型形成体3−2又は可動側型形成体3−2に一体化されている可動側型体3−13により曲げられようとする案内体4の強度を一層に強くしている。曲げモーメントに関して片持ち支持面である案内面(型形成体支持面)4−5は、その曲げ力の作用線が含まれる面に直交している点は、その他の実施の形態と同じである。
【0097】
図12は、ダイセットの更に他の実施の形態を示している。固定側型形成体2−3には直接に型部分2−14が形成されている。この実施の形態では特に、ワイヤ放電加工が用いられる。ローラリテーナ9−2を挿入させる穴を形成して案内面4−5を形成する時に、同時に型部分2−14の穴も形成することができる。案内面4−5と型部分2−14の穴の面とは、同時にワイヤカット放電加工により加工することができる。この放電加工には、現在知られている最高精度の精密ワイヤカット放電加工機が適用される。
【0098】
可動側型形成体3−2に案内体4を挿入するための取付穴3−14と可動側型体3−13を可動側型形成体3−2に取り付けるための取付ピン3−15を可動側型形成体3−2に挿入するための挿入穴3−16も同時に放電加工機により加工することができる。
【0099】
本発明によるダイセットは、小さいが大きい打抜き力を必要とする製品の大量生産に適している。超精密な部品の打抜型には、曲げ・歪みが小さくなるようにサイズ的に大きい厚めの型部材が用いられる。本発明のダイセットは、放電加工により生産するとこのような精密部品生産用の低廉・高精度のダイセットとして半導体生産工場に大量に供給することができる。
【0100】
図13及び図14は、従来のダイセットと本発明のダイセットを比較して、既述の実施の形態の角形構造を改善するための考え方を示している。図13に示すように、従来は、軸心線を取りまく閉じた形状面は、その全てが円柱面に形成されている。
【0101】
本発明においても、それらの面を全て円柱面に形成することは生産上不経済である。運動する面及びこれに対して摺動・滑動・転動する面は、角形面に形成するが、ダイプレート(型形成体)に対して取り付け固定する部位は、円柱体にする方が安上がりであり、且つ、取り付け精度も容易に向上する。ガイドブッシュ5−5の外側面、案内体4の下端部分4−7は、円柱面、円柱に構成する。ガイドブッシュ5−5の内周面は4角柱面に形成されている。
【0102】
図15と図16は、ダブルポスト・タイプの従来例とダブルポスト・タイプの本発明例を基本的に比較している。どちらも、上下ダイプレート2’(20),3’(30)と一対のガイドポスト4’(40)と一対のガイドブッシュ5’(50)とからなる点は、全く同じである。両者は、円柱面構造か詳しく既述した角柱面構造かの点でのみ異なっている。片持ち構造が強化されている本発明のダイセットであっても、より高精度・高耐久性点に関しては、シングルポスト・タイプのものよりも、ダブルポスト・タイプのものの方がすぐれている点においては、従来のものと同じである。
【0103】
効果を具体的に比較した1例を次に述べる。角形と丸形との強度比較をする。25mmの直径で断面が円のガイドポストの体積は、25mmの一辺で断面が正方形のガイドポストの体積の約1.6倍であり、これは27%の差である。その折曲耐力の点では、ある適正な金属に関して、無熱処理の場合、前者が後者の1.7倍である。実際に使用する際に必ず行う熱処理後で比較すると(適正な金属材料でその硬度がロックウエルCスケールで62度のもので比較)、その比は約2倍になり、規格品でいうと次のクラスの直径32mmのものに匹敵する。このことは、従来ダブルポスト・タイプであったものをそれと同じ性能のシングルポスト・タイプのものに変えることができることを意味する。
【0104】
但し、断面が円構造に対して断面が矩形である構造は、摺動面部の隙間が大きくなる恐れがある。この恐れを解消するために用いる滑動(転動)媒体の比較を次に行う。直径3mmの綱玉を用いた従来のボールリテーナと直径3mmの同材質のガイドローラを用いた本発明のリテーナの耐圧比較をベアリングメーカのカタログのデータで行うと、直径25mm用の長さ(摺動距離のストロークに対応)70mmのガイドポストの耐圧が350〜350Kgfであるのに対して、25mm角用の同じ長さ70mmのガイドポストの耐圧が12000〜30000Kgfであり、本発明品は従来品に比べて50倍以上の耐圧を示す。ガイドローラを直径2mm、長さ25mmの本発明によるガイドポストですら、9000〜17000Kgfの耐圧を示し、この場合ですら、従来品に比べて、40倍の耐圧を示す。
【0105】
これは、ガイドローラの半径が小さくなった分、より多くのガイドローラを用いることができたからである。このような圧倒的な差異が生じるのは、断面が円形の丸構造ではボールが点接触であるため、実質上の接触面積が極めて小さくなるからであるが、それだけでなく、点状接触領域から内部に発生する局所的応力は、線状接触領域から発生する大域的応力に比べて極端に大きく、本発明によるときは、案内体の曲げモーメントによる変形量は極端に小さくなっている。
【0106】
【発明の効果】
本発明によるダイセットは、これにより生産される製品の寸法精度を更に高めることができる。組立方法を考慮しさえすれば、そのようなダイセットの製造コストも低下させることができる。特に、シングルポスト・タイプの片持ち構造のダイセットの曲げ強度を極端に向上させることができる。ワイヤカット放電加工は、ダイセット部品と型の同時加工を可能に生産コストを下げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明によるダイセットの実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図2】図2は、案内体とガイドブッシュの組立状態を示す斜軸投影図である。
【図3】図3は、図2の拡大底面図である。
【図4】図4は、図3の一部の断面図である。
【図5】図5は、図4の実施の形態の他の例を示す断面図である。
【図6】図6は、図2の断面図である。
【図7】図7は、本発明によるダイセットのガイドローラリテーナの実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図8】図8は、図7の一部を示す斜軸投影図である。
【図9】図9は、図8の断面図である。
【図10】図10は、図9の部分拡大図である。
【図11】図11は、本発明によるダイセットの他の実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図12】図12は、本発明によるダイセットの更に他の実施の形態を示す斜軸投影図である。
【図13】図13は、従来の円筒形のガイドポストを示す斜軸投影図である。
【図14】図14は、図13の従来のものとの比較対応のために示す本発明のガイドポストの斜投影図である。
【図15】図15は、従来のダイセットを示す斜軸投影図である。
【図16】図16は、図14の従来のものとの比較対応で示す本発明の斜軸投影図である。
【図17】図17は、従来の作用を説明するための幾何学図である。
【図18】図18は、本発明による作用を説明するための幾何学図である。
【符号の説明】
12…ダイセット
12−N…単位ダイセット
1−21型側嵌込み部分
1・2−1…第1締付面
1−5…ダイベッド
1−6…共通プレスラム
1−22…ラム側突出嵌込部分
2−2…固定側型形成体
2−3…固定側型形成体
2−5…ベッド側嵌込み部
2−6…ベッド側嵌込み部
2−8…締付ねじ
2−9…第1切割溝
2−13…固定側型体
2−14…型部分
3−2…可動側型形成体
3−5…フリーシャンク
3−7…テーパーねじ通し穴
3−9…第2切割溝
3−10…テーパーねじ
3−11…ダイプレート側突出嵌込部分
3−12…テーパーねじ穴
3−13…可動側型体
4…案内体
4−1…案内体
4−5…型形成体支持面(案内面)
7−6…第1取付ねじ穴
7−7…第1突起部分
7−8…第1周溝
8−1…ガイドブッシュ
8−3…ガイドブッシュ
8−6…ガイドブッシュ部分
8−7…第2突起部分
8−9…第2取付ねじ穴
9…ガイドローラ
9−1…ローラリテーナ
9−4…連環リテーナプレート
9−5…ピン通し孔
9−8…連環用凸部端子
9−9…連環用凹部端子
9−11…ピン
9−13…部分円筒面部分
9−14…略平面部分
Claims (4)
- 固定側の型を形成するための固定側型形成体(2−2)と前記固定側型形成体(2−2)に対して相対的に可動である可動側の型を形成するための可動側型形成体(3−2)とからなる型形成体と、
前記可動側型形成体(3−2)を1軸方向に案内するための案内体(4)とからなり、
前記案内体(4)に対して可動な前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)に案内用孔が形成され、前記案内体(4)と前記案内用孔とは案内面(4−5)を介して滑動し、
前記案内面(4−5)は平面を備え、前記平面は前記案内体(4)の軸心線と前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)が、前記案内体(4)から張り出す部分の重心を含む張出し面に概ね直交しており、
前記可動側型形成体(3−2)は、一端部が1本の前記案内体(4)に支持され他端部は支持されない片持ち梁になっており、
前記案内面(4−5)は前記案内体(4)の側面に形成され、前記案内面(4−5)の前記平面は互いに直交する4平面で形成されており、
前記4平面の各前記案内面(4−5)と前記案内孔の間にガイドブッシュ(8−1)が介設されており、
前記ガイドブッシュ(8−1)と前記案内面との間にガイドローラリテーナ(9−1)が介設されており、
前記ガイドローラリテーナ(9−1)は複数のガイドローラ(9)を備え、前記ガイドローラ(9)は前記案内面(4−5)上を転動する
ようにしたダイセットの製造方法であって、
前記ガイドブッシュの端面にねじ孔を形成することと、前記ガイドブッシュの端面にブッシュ側凹凸部分を形成することと、前記型成形体の一部に型側凹凸部分を形成することと、前記ガイドブッシュと前記型形成体との位置合わせをして前記ブッシュ側凹凸部分と前記型側凹凸部分との嵌め込みを行い前記型形成体と前記ガイドブッシュとを衝撃を加えて結合することと、前記型形成体に通してねじを前記ねじ孔にねじ込むこととからなることを特徴とするダイセットの製造方法。 - 請求項1に記載のダイセットの製造方法であって、
前記案内面をワイヤカット放電加工により形成することを特徴とするダイセットの製造方法。 - 請求項1に記載のダイセットの製造方法であって、
前記案内面をワイヤカット放電加工により形成し、前記案内体の端面にねじ孔を形成し、前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)に通してねじを前記ねじ孔にねじ込むことを特徴とするダイセットの製造方法。 - 固定側の型を形成するための固定側型形成体(2−2)と前記固定側型形成体(2−2)に対して相対的に可動である可動側の型を形成するための可動側型形成体(3−2)とからなる型形成体と、
前記可動側型形成体(3−2)を1軸方向に案内するための案内体(4)とからなり、
前記案内体(4)に対して可動な前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)に案内用孔が形成され、前記案内体(4)と前記案内用孔とは案内面(4−5)を介して滑動し、
前記案内面(4−5)は平面を備え、前記平面は前記案内体(4)の軸心線と前記固定側型形成体(2−2)又は前記可動側型形成体(3−2)が、前記案内体(4)から張り出す部分の重心を含む張出し面に概ね直交しており、
前記可動側型形成体(3−2)は、一端部が1本の前記案内体(4)に支持され他端部は支持されない片持ち梁になっており、
前記案内面(4−5)は前記案内体(4)の側面に形成され、前記案内面(4−5)の前記平面は互いに直交する4平面で形成されており、
前記4平面の各前記案内面(4−5)と前記案内孔の間にガイドブッシュ(8−1)が介設されており、
前記ガイドブッシュ(8−1)と前記案内面との間にガイドローラリテーナ(9−1)が介設されており、
前記ガイドローラリテーナ(9−1)は複数のガイドローラ(9)を備え、前記ガイドローラ(9)は前記案内面(4−5)上を転動する
ようにしたダイセットを単位ダイセットとしてその複数体を一体化したダイセットを製造するためのダイセットの製造方法であって、
前記ガイドブッシュの端面にねじ孔を形成することと、前記ガイドブッシュの端面にブッシュ側凹凸部分を形成することと、前記型成形体の一部に型側凹凸部分を形成することと、前記ガイドブッシュと前記型形成体との位置合わせをして前記ブッシュ側凹凸部分と前記型側凹凸部分との嵌め込みを行い前記型形成体と前記ガイドブッシュとを衝撃を加えて結合することと、前記型形成体に通してねじを前記ねじ孔にねじ込むこととにより単位ダイセットを形成し、前記固定側型形成体の複数体をダイベッドにそれぞれ結合し、前記可動側型形成体の複数体を1体のラムにそれぞれに固定することを特徴とするダイセットの製造方法。
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