JP4450963B2 - 半導体記憶装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は半導体記憶装置に関し、特に、半導体記憶装置のデータ読み出しを正確に行うための技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
不揮発性のランダムアクセスメモリとして、破壊型の強誘電体メモリが知られている。図13に、従来の破壊型の強誘電体メモリの一種である1T1C(1トランジスタ・1キャパシタ)型の強誘電体メモリ2の回路構成の一部を略記する。
【0003】
強誘電体メモリ2は、強誘電体キャパシタ4と負荷用キャパシタ6とを備えている。強誘電体キャパシタ4には、強誘電体のヒステリシス特性に起因して生ずる残留分極の相違に対応させて、データ「1」または「0」が不揮発的に記憶されている。
【0004】
データ読み出し時には、プレートラインPLに読み出し用電圧を印加し、ビットラインBLに生ずる電位Vblを検出する。電位Vblの値は、強誘電体キャパシタ4の残留分極の値によって異なる。
【0005】
したがって、電位Vblが所定の基準電位Vrefより大きいか小さいかを判定することにより、強誘電体キャパシタ4に記憶されていたデータが「1」であったか「0」であったかを知ることができる。
【0006】
このように、破壊型の強誘電体メモリを用いることで、不揮発性のランダムアクセスメモリを容易に実現することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のこのような破壊型の強誘電体メモリには次のような問題点があった。破壊型の強誘電体メモリに対してデータ読み出しを行うと、データが破壊されてしまうため、データの再書き込みを行う必要がある。
【0008】
このため、強誘電体キャパシタ4に対するアクセスを繰り返し行うと、強誘電体キャパシタ4のヒステリシス特性が劣化して、データ「1」のときの残留分極の値と、データ「0」のときの残留分極の値との差が小さくなってくる。残留分極の値の差が小さくなると、データ読み出し時にビットラインBLに生ずる電位Vblと基準電位Vrefとの差も小さくなるため、電位Vblが基準電位Vrefより大きいか小さいかを判定するのが困難になる。
【0009】
また、同一内容のデータを長時間保持していると、いわゆるインプリント効果によって強誘電体キャパシタ4のヒステリシス特性に歪みを生ずるため、やはり、電位Vblが基準電位Vrefより大きいか小さいかを判定するのが困難になる。
【0010】
このように、電位Vblが基準電位Vrefより大きいか小さいかを判定するのが困難になると、データの読み出しが正確に行われなくなる。
【0011】
この発明は、このような従来の破壊型の強誘電体メモリ等の問題点を解決し、長期に渡りデータの読み出しを正確に行うことのできる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【0012】
【発明の作用および効果】
請求項1の半導体記憶装置は、データを記憶する記憶用キャパシタと、少なくともデータ読み出し時に記憶用キャパシタと実質的に直列に接続される負荷用キャパシタとを備え、実質的に直列に接続された記憶用キャパシタと負荷用キャパシタとにより構成される合成キャパシタの両端に印可された読み出し電圧に起因して記憶用キャパシタと負荷用キャパシタとの接続部に発生する電位に基づいて、記憶用キャパシタに記憶されていたデータを読み出す半導体記憶装置において、データの読み出しが支障なく行えるよう負荷用キャパシタの容量を変更可能に構成したことを特徴とする。
【0013】
したがって、当該半導体装置に対するアクセス回数の増加や当該半導体装置に同一データを長期間保持することに伴う記憶用キャパシタのデータ保持特性の変化や劣化によって、記憶用キャパシタに記憶されていたデータの読み出しが困難になっても、負荷用キャパシタの容量を変更することによって、記憶用キャパシタと負荷用キャパシタとの接続部に発生する電位を変えることができる。この結果、再び、データの読み出しが可能となる。すなわち、長期に渡りデータの読み出しを正確に行うことができる。
また、請求項1の半導体記憶装置においては、接続部に発生する電位に基づいて得られるデータ判定電圧を計測し、当該計測されたデータ判定電圧が所定の許容範囲を超えたことを条件に負荷用キャパシタの容量を変更するよう構成したことを特徴とする。
したがって、アクセス回数の増加に伴う記憶用キャパシタのデータ保持特性の劣化のみならず、当該半導体装置に同一データを長期間保持することに伴う記憶用キャパシタのデータ保持特性に変化が生じた場合であっても、記憶用キャパシタに記憶されていたデータの読み出しが困難になったことを確実に把握して負荷用キャパシタの容量を変更することができる。
【0014】
請求項2の半導体記憶装置においては、記憶用キャパシタは、誘電体として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタであることを特徴とする。
【0015】
したがって、当該半導体装置に対するアクセス回数の増加や当該半導体装置に同一データを長期間保持することに伴う強誘電体キャパシタの疲労現象やインプリント効果によって、強誘電体キャパシタに記憶されていたデータの読み出しが困難になっても、負荷用キャパシタの容量を変更することによって、強誘電体キャパシタと負荷用キャパシタとの接続部に発生する電位を変えることができる。
【0020】
請求項の半導体記憶装置においては、負荷用キャパシタの容量の変更は、変更により、データ判定電圧が所定の許容範囲内であって当該許容範囲の下限に近くなるような変更であることを特徴とするもの。
【0021】
このようにデータ判定電圧をできるだけ低く抑えることにより、アクセスの際に記憶用キャパシタに印可される分圧をできるだけ低く抑えることができる。このため、アクセス等による記憶用キャパシタのデータ保持特性の劣化を、いっそう抑えることができる。
【0022】
請求項の半導体記憶装置においては、負荷用キャパシタの容量の変更は、変更により負荷用キャパシタの容量が大きくなるような変更であることを特徴とする。
【0023】
したがって、変更前の負荷用キャパシタの容量をできるだけ低く抑えておくことでアクセス等による記憶用キャパシタのデータ保持特性の劣化をいっそう遅らせることができる。また、劣化が進んだ場合には、負荷用キャパシタの容量が大きくなるように変更することで、記憶用キャパシタと負荷用キャパシタとの接続部に発生する電位を変え、データの読み出しを容易に行うようにすることができる。
【0024】
請求項の半導体記憶装置においては、負荷用キャパシタとして用いることのできる要素キャパシタを複数設けておき、負荷用キャパシタとして用いる要素キャパシタの構成を変更することで負荷用キャパシタの容量を変更することを特徴とする。
【0025】
したがって、たとえば、あらかじめ設けられた複数の要素キャパシタから適当な個数の要素キャパシタを選択し並列に接続して負荷用キャパシタとして用いたり、あらかじめ設けられた異なる容量の要素キャパシタから適当な容量のひとつの要素キャパシタを選択し負荷用キャパシタとして用いたりすることができる。このため、容易に負荷用キャパシタの容量を変更することができる。
【0026】
この発明による半導体記憶装置は、次のように把握することもできる。すなわち、データを記憶する記憶用素子と、少なくともデータ読み出し時に、記憶用素子と実質的に電気的に関連付けられる補助素子とを備え、実質的に電気的に関連付けられた記憶用素子と補助素子とにより構成される合成素子に所定の電気的作用を施すことにより記憶用素子に記憶されていたデータを読み出す半導体記憶装置において、データの読み出しが支障なく行えるよう補助素子の電気的特性を変更可能に構成したことを特徴とする半導体記憶装置
【0027】
したがって、当該半導体装置に対するアクセス回数の増加や当該半導体装置に同一データを長期間保持することに伴う記憶用素子のデータ保持特性の変化や劣化によって、記憶用素子に記憶されていたデータの読み出しが困難になっても、補助素子の電気的特性を変更することによって、再び、データの読み出しが可能となる。すなわち、長期に渡りデータの読み出しを正確に行うことができる。
また、この発明による半導体記憶装置は、次のように把握することもできる。すなわち、記憶用キャパシタに対する読み出し動作の回数および書き込み動作の回数のうち少なくとも一方の動作の回数を計測し、当該計測された回数が所定の回数に達したことを条件に負荷用キャパシタの容量を変更するよう構成したことを特徴とする半導体記憶装置。
したがって、当該半導体装置に対するアクセス回数の増加に伴う記憶用キャパシタのデータ保持特性の劣化によって、記憶用キャパシタに記憶されていたデータの読み出しが困難になった場合であっても、簡易な構成により、負荷用キャパシタの容量を変更することが可能となる。
【0028】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ10の回路構成の一部を示す図面である。強誘電体メモリ10は複数のメモリセルMC11、MC12,…、MCmn、…をマトリックス状に配置した構成を備えている。複数のメモリセルMC11、MC12,…、MCmn、…は、それぞれ同様の構成であるので、メモリセルMCmnを例に説明する。
【0029】
マトリックスの第m行・第n列に位置するメモリセルMCmnは、一対の記憶用キャパシタ(記憶用素子)である強誘電体キャパシタFC1、FC2を備えた、いわゆる2T2C(2トランジスタ・2キャパシタ)型のメモリセルである。
【0030】
強誘電体キャパシタFC1、FC2は相補的な分極状態を保持するよう構成されている。強誘電体キャパシタFC1の分極状態が、たとえば図3のP1に示す状態であるとすると、強誘電体キャパシタFC2の分極状態は、図3のP2に示す状態となるよう構成されている。
【0031】
逆に、強誘電体キャパシタFC1の分極状態が、図3のP2に示す状態であるとすると、強誘電体キャパシタFC2の分極状態は、図3のP1に示す状態となるよう構成されている。
【0032】
強誘電体キャパシタFC1、FC2の一端は、ともに、プレートラインPLmに接続されている。なお、図示しないが、プレートラインPLmには、第m行に属する他のメモリセルの強誘電体キャパシタFC1、FC2の一端が接続されている。
【0033】
強誘電体キャパシタFC1、FC2の他端は、それぞれ、トランジスタWT1およびWT2を介して、第n列の一対のビットラインBLnおよびBLnBに接続されている。図示しないが、第n列を構成する他のメモリセルの強誘電体キャパシタの他端も、それぞれ、一対のトランジスタを介して、第n列の一対のビットラインBLnおよびBLnBに接続されている。
【0034】
第n列の一対のビットラインBLnおよびBLnBには、第n列用のセンスアンプSAnが接続されている。
【0035】
トランジスタWT1およびWT2のゲートは第m行のワードラインWLmに接続されている。図示しないが、ワードラインWLmには、第m行に属する他のメモリセルの一対のトランジスタのゲートも接続されている。
【0036】
第n列の一対のビットラインBLnおよびBLnBには、データ読み出し時に一対のビットラインBLn、BLnB間に生ずる電位差であるデータ判定電圧を計測するためのコンパレータCMPnが接続されている。同様に、他の各対のビットラインにもコンパレータ(図示せず)が接続されている。
【0037】
各コンパレータCMP1、…、CMPn、…の出力端は、低電位検出部12の入力端に接続されている。低電位検出部12の出力端は、後述する負荷容量制御部14の入力端に接続されている。
【0038】
図1に示すように、ビットラインBLnには、トランジスタST11,ST12,…を介して、要素キャパシタであるキャパシタEC11、EC12、…が接続されている。各キャパシタEC11,EC12、…の他端は、全て接地されている。各キャパシタEC11,EC12、…のうち、負荷容量制御部14によって選択された要素キャパシタによって負荷用キャパシタLCn1(補助素子)が構成される。他の負荷用キャパシタLCn2、…(補助素子)も、負荷用キャパシタLCn1と同様の構成である。
【0039】
負荷用キャパシタLCn1、LCn2、…を構成する要素キャパシタのうち対応する要素キャパシタEC11、EC21、…に接続されたトランジスタST11,ST21、…は、ともに、制御線CL1を介して、負荷容量制御部14に接続されている。
【0040】
同様に、負荷用キャパシタLCn1、LCn2、…を構成する要素キャパシタのうち、他の対応する要素キャパシタEC12、EC22、…に接続されたトランジスタST12,ST22、…は、ともに、制御線CL2を介して、負荷容量制御部14に接続されている。その他の対応する要素キャパシタも同様である。
【0041】
対応する要素キャパシタは同一の容量値を有している。また、この実施形態においては、対応する要素キャパシタと他の対応する要素キャパシタとでは容量値が異なる。たとえば、キャパシタEC12、EC22、…の容量値は、キャパシタEC11、EC21、…の容量値の2倍となるよう設定されている。
【0042】
初期状態においては、制御線CL1のみが「H」になるよう構成されている。すなわち、トランジスタST11,ST21、…のみがONになっている。したがって、初期状態においては、ビットラインBLnの負荷用キャパシタLCn1を構成する要素キャパシタは、要素キャパシタEC11のみであり、ビットラインBLnBの負荷用キャパシタLCn2を構成する要素キャパシタは、要素キャパシタEC21のみである。他のビットラインについても、同様である。
【0043】
つぎに、図1に示す強誘電体メモリ10の動作を説明する。まず、特定のメモリセルからデータを読み出す場合の動作を、メモリセルMCmnを例に説明する。いま、メモリセルMCmnを構成する強誘電体キャパシタFC1、FC2の分極状態が、それぞれ、図3に示すP1,P2であるとする。この状態を、メモリセルMCmnにデータ「1」が記憶されている状態と定義する。
【0044】
ここに、図3は、強誘電体キャパシタFC1(またはFC2)における電圧(横軸)と分極状態(縦軸。図では、分極状態と等価な電荷で表している。)との関係を示す図面である。強誘電体キャパシタFC1(またはFC2)の当該関係が、ヒステリシス曲線100として表されている。なお、ここでは、強誘電体キャパシタFC1と強誘電体キャパシタFC2とは、ほぼ同一の特性を有するものとして便宜上、ひとつのヒステリシス曲線100で表している。
【0045】
負荷用キャパシタLCn1、LCn2(すなわち、初期状態においては、キャパシタEC11、EC21)を所定の方法で放電した後、一対のビットラインBLn、BLnBをフローティング状態とし、その後、ワードラインWLmを「H」にしてトランジスタWT1、WT2をONにする。その直後に、プレートラインPLに読み出し電圧Vpを与える。
【0046】
すなわち、負荷用キャパシタLCn1と強誘電体キャパシタFC1とを直列に接続し、接続により形成された合成キャパシタの両端に電位差Vpを与えることになる。同様に、負荷用キャパシタLCn2と強誘電体キャパシタFC2とを直列に接続し、接続により形成された合成キャパシタの両端に電位差Vpを与えることになる。
【0047】
このとき強誘電体キャパシタFC1、FC2の両端に発生する電圧は、図式解法によれば、図3のV1,V2となる。なお、2つの直線210、220は、負荷用キャパシタLCn1、LCn2を表している。すなわち、2つの直線210、220の傾きが、それぞれ、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量を表している。なお、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量は等しいから、2つの直線210、220の傾きは、等しい。
【0048】
この図を用いれば、負荷用キャパシタLCn1、LCn2に発生する電圧、すなわち、ビットラインBLnおよびBLnBに現れる電圧は、それぞれ、Vp−V1およびVp−V2で表される。
【0049】
第n列のセンスアンプSAnは、ビットラインBLnおよびBLnBに現れる電圧、のどちらが大きいかを判別することで、メモリセルMCmnに記憶されているデータの内容を知る。この実施形態においては、ビットラインBLnに現れる電圧(Vp−V1)よりもビットラインBLnBに現れる電圧(Vp−V2)の方が大きい場合を「1」、逆の場合を「0」としている。つまり、V1>V2の場合を「1」、逆の場合を「0」としている。したがって、図3から明らかなように、メモリセルMCmnに記憶されているデータは、「1」であることが分かる。
【0050】
なお、この実施形態においては、データ「1」を記憶している場合における一対のビットライン間の電位差(V1−V2)の値が正で、かつ、センスアンプの感度よりやや大きくなるよう、要素キャパシタEC11、EC21の容量値を設定している。したがって、読み出し動作等の際、強誘電体キャパシタFC1、FC2に印可される電圧を低く抑えることができる。このため、初期状態においても読み出し動作の繰り返しによる強誘電体キャパシタFC1、FC2の劣化が生じにくくなる。
【0051】
このように、初期状態において強誘電体キャパシタFC1、FC2の劣化をある程度防いでおいた上、それでも劣化が生じて、V1−V2の値がセンスアンプの検出限度を下回ったような場合は、後述するように、V1−V2の値がセンスアンプの検出限度を上回るように、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量を変更するのである。
【0052】
図1に戻って、センスアンプSAnは、V1>V2であることを検出するとビットラインBLn、BLnBを、強制的にそれぞれ論理「L」、論理「H」レベルにする。読み出しからここまでの動作により、読み出し動作により破壊されたデータを元のデータに書き戻すことができる。読み出し動作により破壊されたデータを書き戻す動作は、再書き込み動作と呼ばれる。
【0053】
ところで、メモリセルMCmnに同一のデータを長時間保持しておくと、インプリント効果によって、強誘電体キャパシタFC1、FC2のヒステリシス曲線100に歪みが生ずる。図4は、インプリント効果によって、ヒステリシス曲線100がヒステリシス曲線101に変化した様子を表す図面である。
【0054】
ヒステリシス曲線100(初期状態)がヒステリシス曲線101に変化してしまうと、たとえば図4に示すように、データ「1」を読み出す際の一対のビットラインBLn、BLnB間の電位差(V1−V2)の絶対値が小さくなり、しかも、正負が反転してしまっている。これでは、データを正確に読み出すことはできない。
【0055】
そこで、図1に示すように、この実施形態においては、低電位検出部12が、コンパレータCMPnを介して、一対のビットラインBLnB、BLn間の電位差(V1−V2)を監視している。
【0056】
低電位検出部12は、ビットラインBLnB、BLn間の電位差(V1−V2)が、あらかじめ設定された所定の電圧より小さくなったことを検出した場合は、容量変更信号を生成するよう構成されている。
【0057】
低電位検出部12において容量変更信号が生成されると、負荷容量制御部14は、現在「H」になっている制御線CL1を「L」にするとともに、現在「L」になっている制御線CL2を「H」にする。これによって、負荷用キャパシタLCn1、LCn2を構成する要素キャパシタは、キャパシタEC11、EC21から、キャパシタEC12、EC22に変更される。
【0058】
前述のように、この実施形態においては、キャパシタEC12、EC22、…の容量値は、キャパシタEC11、EC21、…の容量値の2倍となるよう設定されているとする。したがって、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値も、変更前の2倍となる。
【0059】
図5に、変更後の負荷用キャパシタLCn1、LCn2を表す直線211,221を示す。図5から、データ読み出し時における一対のビットラインBLnB、BLn間の電位差(V1−V2)が、再び正になり、かつ、その絶対値も、図1に示す初期状態の場合と同程度まで回復していることが分かる。
【0060】
このように、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更することで、インプリント効果によって、ヒステリシス曲線100がヒステリシス曲線101に変化した場合であっても、データの読み出しを支障なく行うことができる。
【0061】
さて、この実施形態における強誘電体メモリ10のような破壊読み出しを行う記憶装置においては、上述のように、読み出し動作により破壊されたデータを元のデータに書き戻す必要があるから、読み出し動作を繰り返すといわゆる疲労により強誘電体キャパシタFC1、FC2のヒステリシス特性が劣化する。
【0062】
図6に、疲労により劣化した誘電体キャパシタFC1、FC2のヒステリシス曲線102を示す。ヒステリシス曲線100(初期状態)がヒステリシス曲線102に変化してしまうと、やはり、たとえばデータ「1」を読み出す際の一対のビットラインBLn、BLnB間の電位差(V1−V2)の絶対値が小さくなってしまい、データを正確に読み出すことが困難になる。
【0063】
この実施形態においては、低電位検出部12が、コンパレータCMPnを介して、一対のビットラインBLnB、BLn間の電位差(V1−V2)を監視しているので、疲労により強誘電体キャパシタFC1、FC2のヒステリシス特性が劣化したような場合であっても、劣化に伴う電位差(V1−V2)の低下を検出して、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値が変更されることになる。
【0064】
図7に、変更後の負荷用キャパシタLCn1、LCn2を表す直線211,221を示す。図7から、データ読み出し時における一対のビットラインBLnB、BLn間の電位差(V1−V2)が、図1に示す初期状態の場合と同程度まで回復していることが分かる。
【0065】
このように、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更することで、疲労によるヒステリシス特性の劣化によって、ヒステリシス曲線100がヒステリシス曲線102に変化した場合であっても、データの読み出しを支障なく行うことができる。
【0066】
このように、図1に示す強誘電体メモリ10においては、データ読み出し時における一対のビットラインBLnB、BLn間の電位差(V1−V2)の低下を検出して、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更するようにしている。したがって、強誘電体キャパシタFC1、FC2のヒステリシス特性の変化(劣化)の原因がなんであれ、データ読み出しが困難になったことを感知して、自動的に、的確な読み出しが行えるよう、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更するのである。
【0067】
もちろん、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更したあと、再び、データ判定電圧が低下した場合、これを検出して、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を再変更するよう構成することもできる。
【0068】
つぎに、図2に、この発明の他の実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ20の回路構成の一部を示す。強誘電体メモリ20の回路構成は、上述の図1に示す強誘電体メモリ10の回路構成に類似している。ただし、図2の強誘電体メモリ20は、コンパレータCMP1,…、CMPn、…および低電位検出部12を備えておらず、代わりに、アクセス回数検出部22を備えている。
【0069】
アクセス回数検出部22は、強誘電体メモリ20に対するのデータの読み出し回数および書き込み回数の合計、すなわちアクセス回数を監視している。
【0070】
アクセス回数検出部22は、強誘電体メモリ20に対するアクセス回数が、あらかじめ設定された所定回数に達したことを検出した場合は、容量変更信号を生成するよう構成されている。所定回数は、特に限定されるものではないが、経験的に或いは計算上、アクセス回数がこの程度になれば読み出しが困難になると考えられる回数よりやや少ない回数に設定しておくと好ましい。
【0071】
生成された容量変更信号を受けて負荷容量制御部14が、負荷用キャパシタLCn1、LCn2を構成する要素キャパシタを、キャパシタEC11、EC21から、キャパシタEC12、EC22に変更するのは、上述の図1の強誘電体メモリ10の場合と同様である。
【0072】
このように、図2の実施形態においては、アクセス回数が、あらかじめ設定された所定回数に達したことを条件に、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更するようにしている。したがって、アクセス回数をカウントするという簡易な構成で、自動的に、再び、的確な読み出しが行えるよう、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更するのである。
【0073】
もちろん、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更したあと、アクセス回数が、再び所定回数に達した場合に、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を再変更するよう構成することもできる。
【0074】
つぎに、図8に、この発明のさらに他の実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ30の回路構成の一部を示す。強誘電体メモリ30の回路構成は、上述の図1に示す強誘電体メモリ10の回路構成に類似している。ただし、図8の強誘電体メモリ30においては、マトリックスの第m行・第n列に位置するメモリセルMCmnは、ひとつの記憶用キャパシタである強誘電体キャパシタFCを備えた、いわゆる1T1C(1トランジスタ・1キャパシタ)型のメモリセルである。
【0075】
強誘電体キャパシタFCの一端は、プレートラインPLmに接続されている。なお、図示しないが、プレートラインPLmには、第m行に属する他のメモリセルの強誘電体キャパシタFCの一端が接続されている。
【0076】
強誘電体キャパシタFCの他端は、トランジスタWTを介して、第n列のひとつのビットラインBLnBに接続されている。図示しないが、第n列を構成する他のメモリセルの強誘電体キャパシタの他端も、それぞれ、トランジスタを介して、第n列のひとつのビットラインBLnBに接続されている。
【0077】
この強誘電体メモリ30は、マトリックスの各列にひとつずつ、基準セルRC1,…、RCn、…を備えている。基準セルRC1,…、RCn、…は、この実施形態においては、常誘電体キャパシタである。各基準セルRC1,…、RCn、…の一端は、プレートラインPL1、…、PLm、PLm+1、…をOR接続した出力ラインに接続されている。各基準セルRC1,…、RCn、…の他端は、それぞれ、トランジスタを介して、各列の他のビットラインBL1、…、BLn、…に接続されている。このトランジスタは、常にON状態になっている。
【0078】
トランジスタWTのゲートは第m行のワードラインWLmに接続されている。図示しないが、ワードラインWLmには、第m行に属する他のメモリセルのトランジスタのゲートも接続されている。他の構成は、図1の強誘電体メモリ10と、ほぼ同様である。
【0079】
強誘電体キャパシタFCは、定常時において、図10に示す分極状態P1または分極状態P2のいずれかの状態を取りうる。たとえば、分極状態P1をデータ「1」を記憶している状態と定義すると、分極状態P2は、データ「0」を記憶している状態となる。
【0080】
図10において、直線300は、たとえば基準セルRCnを表す直線である。すなわち、直線300の傾きが基準セルRCnの静電容量値を表している。また、直線240は、基準セルRCn側のビット線BLnの負荷用キャパシタLCn1を表す直線である。すなわち、直線240の傾きが負荷用キャパシタLCn1の静電容量値を表している。
【0081】
したがって、図式解法によれば、データ読み出し時において、図8に示すビット線BLnに現れる電圧は、図10に示す(Vp−Vref)となる。これを基準電圧と呼ぶ。
【0082】
一方、図10において、直線230は、図8に示す強誘電体キャパシタFC側のビット線BLnBの負荷用キャパシタLCn2を表す直線である。すなわち、直線230の傾きが負荷用キャパシタLCn2の静電容量値を表している。
【0083】
したがって、図式解法によれば、データ読み出し時において、図8に示すビット線BLnBに現れる電圧は、図10に示す(Vp−V10)(データ「1」を記憶している場合)または(Vp−V20)(データ「0」を記憶している場合)となる。
【0084】
センスアンプSAnは、ビットラインBLnBに現れる電圧(Vp−V10)または(Vp−V20)が、ビットラインBLnに現れる電圧(Vp−Vref)より小さいか大きいかを判別することで、メモリセルMCmnに記憶されているデータの内容を知る。
【0085】
この実施形態においては、ビットラインBLnBに現れる電圧が、ビットラインBLnに現れる電圧(Vp−Vref)より小さい場合を「1」、逆の場合を「0」としている。
【0086】
図1に示す実施形態の場合と同様に、メモリセルMCmnに同一のデータを長時間保持しておくと、インプリント効果や疲労によって、強誘電体キャパシタFCのヒステリシス曲線100が変化してしまう。図11は、インプリント効果によって、ヒステリシス曲線100がヒステリシス曲線101に変化した様子を表す図面である。
【0087】
ヒステリシス曲線100(初期状態)がヒステリシス曲線101に変化してしまうと、たとえば図11に示すように、データ「1」を読み出す際の一対のビットラインBLn、BLnB間の電位差の絶対値が小さくなり、しかも、正負が反転してまう。また、データ「0」を読み出す際の一対のビットラインBLn、BLnB間の電位差の絶対値も小さくなってしまっている。これでは、データを正確に読み出すことはできない。
【0088】
そこで、図1に示す実施形態の場合と同様に、この実施形態においても、低電位検出部12が、コンパレータCMPnを介して、一対のビットラインBLnB、BLn間の電位差を監視しており、該電位差があらかじめ設定された所定の電圧より小さくなったことを検出した場合は、容量変更信号を生成するよう構成されている。
【0089】
図1に示す実施形態の場合と同様に、低電位検出部12において容量変更信号が生成されると、負荷容量制御部14は、負荷用キャパシタLCn1、LCn2を構成する要素キャパシタを変更することで、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更するのである。
【0090】
図12に、変更後の負荷用キャパシタLCn1、LCn2を表す直線241,231を示す。図12から、データ「1」および「0」を読み出す際の一対のビットラインBLn、BLnB間の電位差の絶対値が、図10に示す初期状態の場合と同程度まで回復していることが分かる。
【0091】
このように、1T1C型の強誘電体メモリ30においても、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更することで、インプリント効果等によって、ヒステリシス曲線100が変化した場合であっても、データの読み出しを支障なく行うことができる。
【0092】
なお、上述の実施形態においては、基準セルRCnを常誘電体キャパシタを用いて構成した場合を例に説明したが、基準セルRCnを強誘電体キャパシタを用いて構成した場合にも、この発明を適用することができる。
【0093】
また、上述の実施形態においては、基準セルRCnが接続されているビット線BLnの負荷用キャパシタLCn1についても、その容量値を変更するよう構成したが、負荷用キャパシタLCn1の容量値を変更しないよう構成することもできる。
【0094】
つぎに、図9に、この発明のさらに他の実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ40の回路構成の一部を示す。強誘電体メモリ40の回路構成は、上述の図2に示す強誘電体メモリ20の回路構成を、前述の1T1C型の強誘電体メモリ30に適用したものである。すなわち、図9の強誘電体メモリ40は、図8の強誘電体メモリ30のようなコンパレータCMP1,…、CMPn、…および低電位検出部12を備えておらず、代わりに、アクセス回数検出部22を備えている。
【0095】
したがって、図2に示す強誘電体メモリ20の場合と同様に、図9の実施形態においては、アクセス回数が、あらかじめ設定された所定回数に達したことを条件に、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更するのである。このため、アクセス回数をカウントするという簡易な構成で、自動的に、再び、的確な読み出しが行えるよう、負荷用キャパシタLCn1、LCn2の容量値を変更することができるのである。
【0096】
なお、上述の各実施形態においては、容量値の異なる複数の要素キャパシタの中からひとつの要素キャパシタを選択し、選択された該ひとつのキャパシタで負荷用キャパシタを構成するようにしたが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0097】
たとえば、複数の要素キャパシタの中から、ひとつまたは2以上の要素キャパシタを選択し、選択された要素キャパシタを並列に接続する形で負荷用キャパシタを構成するようにしてもよい。この場合、各要素キャパシタを全て同一容量値とすることもできる。また、選択された要素キャパシタを直列に接続する形で負荷用キャパシタを構成するようにしてもよい。
【0098】
また、上述の各実施形態においては、初期状態および負荷用キャパシタの容量の変更後のいずれにおいても、データ判定電圧が所定の許容範囲内であって当該許容範囲の下限に近くなるよう構成したが、この発明はこれに限定されるものではない。たとえば、初期状態および負荷用キャパシタの容量の変更後のいずれかにおいて、データ判定電圧が所定の許容範囲内であって当該許容範囲のほぼ中央または上限に近くなるよう構成することもできる。
【0099】
また、上述の各実施形態においては、データ判定電圧が所定の許容範囲を超えたか否かによって、または、強誘電体メモリに対するアクセス回数が所定の回数に達したか否かによって、負荷用キャパシタの容量を変更するか否かを決定したが、この発明はこれに限定されるものではない。
【0100】
たとえば、強誘電体メモリの稼働時間やデータを保持したまま経過した時間が所定の時間に達したか否かによって、負荷用キャパシタの容量を変更するか否かを決定するようにしてもよい。
【0101】
また、上述の各実施形態においては、いわゆる2T2C型の強誘電体メモリおよび1T1C型の強誘電体メモリを例に説明したがこの発明はこれに限定される物ではない。
【0102】
また、上述の各実施形態においては、記憶用キャパシタとして強誘電体キャパシタおよび基準セル(常誘電体キャパシタ)を例に説明したが、これら以外のキャパシタを記憶用キャパシタとして用いることもできる。また、キャパシタ以外の記憶用素子を有する半導体記憶装置にも、この発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ10の回路構成の一部を示す図面である。
【図2】この発明の他の実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ20の回路構成の一部を示す図面である。
【図3】強誘電体メモリ10および強誘電体メモリ20の動作を説明するための図面である。
【図4】強誘電体メモリ10および強誘電体メモリ20の動作を説明するための図面である。
【図5】強誘電体メモリ10および強誘電体メモリ20の動作を説明するための図面である。
【図6】強誘電体メモリ10および強誘電体メモリ20の動作を説明するための図面である。
【図7】強誘電体メモリ10および強誘電体メモリ20の動作を説明するための図面である。
【図8】この発明のさらに他の実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ30の回路構成の一部を示す図面である。
【図9】この発明のさらに他の実施形態による半導体記憶装置である強誘電体メモリ40の回路構成の一部を示す図面である。
【図10】強誘電体メモリ30および強誘電体メモリ40の動作を説明するための図面である。
【図11】強誘電体メモリ30および強誘電体メモリ40の動作を説明するための図面である。
【図12】強誘電体メモリ30および強誘電体メモリ40の動作を説明するための図面である。
【図13】従来の強誘電体メモリ2の回路構成の一部を略記した図面である。
【符号の説明】
12・・・・・・・・低電位検出部
14・・・・・・・・負荷容量制御部
BLn、BLnB・・・ビットライン
CMPn ・・・・・・コンパレータ
EC11、EC12・・要素キャパシタ
FC1、FC2・・・・強誘電体キャパシタ
LCn1、LCn2・・・負荷用キャパシタ
ST11,ST12・・・トランジスタ

Claims (5)

  1. 情報を記憶する記憶用キャパシタと、
    少なくともデータ読み出し時に、記憶用キャパシタと実質的に直列に接続される負荷用キャパシタと、を備え、
    実質的に直列に接続された記憶用キャパシタと負荷用キャパシタとにより構成される合成キャパシタの両端に印可された読み出し電圧に起因して記憶用キャパシタと負荷用キャパシタとの接続部に発生する電位に基づいて、記憶用キャパシタに記憶されていたデータを読み出す半導体記憶装置において、
    データの読み出しが支障なく行えるよう負荷用キャパシタの容量を変更可能に構成するとともに、
    前記接続部に発生する電位に基づいて得られるデータ判定電圧を計測し、当該計測されたデータ判定電圧が所定の許容範囲を超えたことを条件に前記負荷用キャパシタの容量を変更するよう構成したこと、
    を特徴とする半導体記憶装置。
  2. 請求項1の半導体記憶装置において、
    前記記憶用キャパシタは、誘電体として強誘電体を用いた強誘電体キャパシタであること、
    を特徴とするもの。
  3. 請求項1ないし2の半導体記憶装置において、
    前記負荷用キャパシタの容量の変更は、変更により、前記データ判定電圧が所定の許容範囲内であって当該許容範囲の下限に近くなるような変更であること、
    を特徴とするもの。
  4. 請求項1ないし3のいずれかの半導体記憶装置において、
    前記負荷用キャパシタの容量の変更は、変更により負荷用キャパシタの容量が大きくなるような変更であること、
    を特徴とするもの。
  5. 請求項1ないし4のいずれかの半導体記憶装置において、
    前記負荷用キャパシタとして用いることのできる要素キャパシタを複数設けておき、負荷用キャパシタとして用いる要素キャパシタの構成を変更することで負荷用キャパシタの容量を変更すること、
    を特徴とするもの。
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