JP4450549B2 - 単面ブレーキおよびそれを用いたモータ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、単面ブレーキ、およびこれを備えたモータ、特にサーボモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来よりブレーキをモータに直結させたブレーキ付きモータは公知であり、特に両面ブレーキを用いたものがよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−9589号公報(図1)
【0004】
特許文献1記載のモータは、回転軸に取り付けたハブとブレーキ板をスプライン突起で係合させたもので、スプライン突起相互の隙間によりトルク変動時に起こるスプライン突起相互の衝突音を防止するため、ブレーキ板に回転方向とは反対方向の磁気吸引力を作用させ、さらにスプライン突起にスリットを設け、くさびピンで先端部を開いて隣り合うスプライン突起に接触させ、ハブとブレーキ板を一体化させるものである。
特許文献1記載の発明によれば、スプライン突起相互の衝突音を防止するために、ブレーキ板に回転方向とは反対方向の磁気吸引力を作用させたり、スプライン突起にスリットを設け、くさびピンに工夫したり等余分の加工工程が必要となる欠点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記欠点を解決するためになされたもので、第1には、スプライン突起相互の衝突音が生じないブレーキ付きモータを提供することにある。
そのため、本発明では、回転ディスクとモータシャフトをスプライン結合する必要のない単面ブレーキを採用し、回転ディスクをモータシャフトに直接結合させるようにした。
図5は単面ブレーキを採用した単面ブレーキ付きモータの縦断面図である。
図において、単面ブレーキは回転ディスク2と摩擦板3からなるロータをモータシャフト11に取り付けている。
また、フィールドコア4とコイル5とバネ6とアーマチュア7からなるステータはモータ反負荷側フランジ8にそれぞれ取り付けている。
ところが、単面ブレーキは動作時にブレーキのロータとステータ間に発生するバネ力(スラスト力)が図の矢印A方向に働き、モータにスラスト荷重として直接印加されるため、モータの軸受13に大きな負担がかかった。本発明は上記欠点を解決するためになされたもので、第2には、動作時にブレーキのロータとステータ間に発生するバネ力(スラスト力)が図の矢印A方向に働かないようにして、モータの軸受13に大きな負担がかからないブレーキ付きモータを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記問題を解決するため、請求項1記載の単面ブレーキ付きモータの発明は、モータシャフトに固定される円筒部分と前記円筒部分から前記モータシャフトの半径方向に立設するディスクとから成る回転ディスク、および該回転ディスクの円周部に設けられた摩擦板とから成るブレーキロータと、前記摩擦板に離接可能なアーマチュアと該アーマチュアを前記摩擦板側に押圧するバネと電磁付勢により該バネの押圧力より大きな吸引力で前記アーマチュアを吸引する電磁石とを備え、かつ、前記モータシャフトに固定された前記円筒部分が挿通する開口部が中心に設けられたブレーキステータと、から成る単面ブレーキを備え、かつ前記モータの負荷側軸受が前記モータの反負荷側軸受よりも負荷容量が大きく設計されている単面ブレーキ付きモータ において、前記ブレーキステータをモータ反負荷側フランジに取り付ける際に使用するスペーサを固定するネジ孔を前記ブレーキステータの前記ブレーキロータの外周近傍に設け、前記モータシャフトに前記ブレーキロータの前記円筒部分を固定し、該円筒部分を前記ブレーキステータの前記開口部に通し、前記モータ反負荷側フランジと前記ブレーキステータとの間にスペーサを介して前記ネジ孔からネジで前記ブレーキステータを前記モータ反負荷側フランジに固定し、かつ前記モータシャフトの前記スペーサで囲まれる領域内に前記ブレーキロータを固定することにより、前記単面ブレーキが動作時に発生するバネ力を前記回転ディスクを固定している前記モータシャフトを介して前記モータの負荷側軸受に向かわせたことを特徴とする。
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の単面ブレーキ付きモータにおいて、前記スペーサが前記回転ディスクを中央に収納するリング状のスペーサであることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について図1〜図4に基づき詳しく説明する。
図1および図2は本発明の第1の実施の形態に係る単面ブレーキ付きモータを示す図で、図1は単面ブレーキ付きモータの縦断面図、図2は第1の実施の形態に用いられるスペーサである。
図1において、単面ブレーキは回転ディスク2と摩擦板3からなるロータをモータシャフト11に取り付け、フィールドコア4とコイル5とバネ6とアーマチュア7からなるステータをモータ反負荷側フランジ8にスペーサ1を介して取り付けている。
ブレーキ開放時は、コイル5に通電することにより、コイル5にアーマチュア7は吸引される。したがって、摩擦板3を配した回転ディスク2にバネ力は印加されていないため、コイルバネ6のバネ力はモータに作用していない。
一方、ブレーキ動作時は、コイル5への通電を無くするものであり、これによってコイル5の吸引力はなくなり、アーマチュア7はコイルバネ6のバネ力により、回転ディスク2に配された摩擦板3に押し付けられる。したがって、摩擦板3に印加されたバネ力が図の矢印B方向に働き、回転ディスク2を固定しているモータシャフト11を介してモータの負荷側軸受12に印加される。
そして、通常、モータの負荷側軸受12はモータの反負荷側軸受13よりも負荷容量が大きく設計されているため、矢印B方向のスラスト力程度は苦にならない。
【0008】
図2は第1の実施の形態に用いられるスペーサを説明する図で、(a)は回転ディスク2の円周部に散在される複数個のカラの1例で、(1)は正面図、(2)は側面図である。(b)は(a)のスペーサを用いた単面ブレーキの正面断面図、(c)はスペーサを用いた単面ブレーキの側面図である。
図2の(a)において、スペーサ1は中空円筒をして成るカラで、ここではこの中空円筒カラを3個(c)の単面ブレーキの回転ディスク2の円周近傍に設けている。
これを(b)で見ると、ブレーキステータのモータ側にスペーサ1を配備しており、ブレーキロータ2はモータシャフト上の3個のスペーサ1で囲まれる領域に固定されるようになっている。このようにすることにより、単面ブレーキの動作時に発生するバネ力はブレーキロータ2をモータ側に向かわせるようになる。
【0009】
図3および図4は本発明の第2の実施の形態に係る単面ブレーキ付きモータを示す図で、図3は単面ブレーキ付きモータの縦断面図、図4は第2の実施の形態に用いられるスペーサである。
図3において、単面ブレーキは図1と同じく、回転ディスク2と摩擦板3からなるロータをモータシャフト11に取り付け、フィールドコア4とコイル5とバネ6とアーマチュア7からなるステータをモータ反負荷側フランジ8にスペーサ1’を介して取り付けている。
ブレーキ開放時は、コイル5に通電することにより、コイル5にアーマチュア7は吸引される。したがって、摩擦板3を配した回転ディスク2にバネ力は印加されていないため、コイルバネ6のバネ力はモータに作用していない。
一方、ブレーキ動作時は、コイル5への通電を無くするものであり、これによってコイル5の吸引力はなくなり、アーマチュア7はコイルバネ6のバネ力により、回転ディスク2に配された摩擦板3に押し付けられる。したがって、摩擦板3に印加されたバネ力が図の矢印B方向に働き、回転ディスク2を固定しているモータシャフト11を介してモータの負荷側軸受12に印加される。
そして、通常、モータの負荷側軸受12はモータの反負荷側軸受13よりも負荷容量が大きく設計されているため、矢印B方向のスラスト力程度は苦にならない。
【0010】
図4は第2の実施の形態に用いられるスペーサを説明する図で、(a)は回転ディスク2の円周部を取り囲むリング状のスペーサの1例で、(1)は正面図、(2)は側面図である。(b)は(a)のスペーサを用いた単面ブレーキの正面断面図、(c)はスペーサを用いた単面ブレーキの側面図である。
図4の(a)において、スペーサ1’はリング状をしており、このリングの中に(c)のように単面ブレーキの回転ディスク2を納めている。
これを(b)で見ると、ブレーキステータのモータ側にスペーサ1’を配備しており、ブレーキロータ2はモータシャフト上のリング状のスペーサ1’のリング内領域に固定されるようになっている。
このようにすることにより、単面ブレーキの動作時に発生するバネ力はブレーキロータ2をモータ側に向かわせるようになる。
【0011】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、モータシャフトに固定される回転ディスクと該回転ディスクの円周部に設けられた摩擦板とから成るブレーキロータと、前記摩擦板に離接可能なアーマチュアと該アーマチュアを前記摩擦板側に押圧するバネと電磁付勢により該バネの押圧力より大きな吸引力で前記アーマチュアを吸引する電磁石とを備えて成るブレーキステータと、から成る単面ブレーキにおいて、前記ブレーキステータをモータ反負荷側フランジに取り付ける際に使用するスペーサを固定するネジ孔を前記ブレーキステータのブレーキロータの外周近傍に設け、このようにすることにより単面ブレーキをモータに固定する際、モータ反負荷側フランジとブレーキステータとの間にスペーサを介して前記ネジ孔からネジで前記ブレーキステータを前記モータ反負荷側フランジに固定し、かつブレーキロータをモータシャフトの前記スペーサで囲まれる領域に固定することになり、したがって単面ブレーキが動作時に発生するバネ力がモータ側に向かうようになり、したがって単面ブレーキが動作時に発生するスラスト荷重をモータの負荷容量の大きい軸受で受けるようになるので、スラスト荷重の影響を軽減することができる。
また、回転ディスクをモータシャフトに直付け固定しているので、スプライン突起の相互の衝突音が生じないブレーキ付きモータが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る単面ブレーキ付きモータの縦断面図である。
【図2】第1の実施の形態に用いられるスペーサを説明する図で、(a)は回転ディスク2の円周部に散在される複数個のカラの1例で、(1)は正面図、(2)は側面図である。(b)は(a)のスペーサを用いた単面ブレーキの正面断面図、(c)はスペーサを用いた単面ブレーキの側面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態に係る単面ブレーキ付きモータの縦断面図である。
【図4】第2の実施の形態に用いられるスペーサを説明する図で、(a)は回転ディスク2を取り囲むリングの例で、(1)は正面図、(2)は側面図である。(b)は(a)のスペーサを用いた単面ブレーキの正面断面図、(c)はスペーサを用いた単面ブレーキの側面図である。
【図5】従来の単面ブレーキ付きモータの縦断面図である。
【符号の説明】
1 スペーサ
2 回転ディスク
3 摩擦板
4 フイールドコア
5 コイル
6 バネ
アーマチュア
8 反負荷側フランジ
9 ブレーキカバー
10 ネジ
11 モータシヤフト
12 モータ負荷側軸受
13 モータ反負荷側軸受

Claims (2)

  1. モータシャフトに固定される円筒部分と前記円筒部分から前記モータシャフトの半径方向に立設するディスクとから成る回転ディスク、および該回転ディスクの円周部に設けられた摩擦板とから成るブレーキロータと、
    前記摩擦板に離接可能なアーマチュアと該アーマチュアを前記摩擦板側に押圧するバネと電磁付勢により該バネの押圧力より大きな吸引力で前記アーマチュアを吸引する電磁石とを備え、かつ、前記モータシャフトに固定された前記円筒部分が挿通する開口部が中心に設けられたブレーキステータと、
    から成る単面ブレーキを備え、かつ前記モータの負荷側軸受が前記モータの反負荷側軸受よりも負荷容量が大きく設計されている単面ブレーキ付きモータ において、
    前記ブレーキステータをモータ反負荷側フランジに取り付ける際に使用するスペーサを固定するネジ孔を前記ブレーキステータの前記ブレーキロータの外周近傍に設け、前記モータシャフトに前記ブレーキロータの前記円筒部分を固定し、該円筒部分を前記ブレーキステータの前記開口部に通し、前記モータ反負荷側フランジと前記ブレーキステータとの間にスペーサを介して前記ネジ孔からネジで前記ブレーキステータを前記モータ反負荷側フランジに固定し、かつ前記モータシャフトの前記スペーサで囲まれる領域内に前記ブレーキロータを固定することにより、前記単面ブレーキが動作時に発生するバネ力を前記回転ディスクを固定している前記モータシャフトを介して前記モータの負荷側軸受に向かわせたことを特徴とする単面ブレーキ付きモータ。
  2. 前記スペーサが前記回転ディスクを中央に収納するリング状のスペーサであることを特徴とする請求項1記載の単面ブレーキ付きモータ。
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