JP4450357B2 - ボルト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ボルトに関し、詳細には、自身が螺入される雌ねじ部品への噛み込みが発生しにくいボルトに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、ボルトを雌ねじ部品であるナットに螺入する際、ボルトの軸心とナットの軸心とが傾いた状態のまま螺入しようとすると、ナットに対してボルトが不適正な姿勢でねじ込まれていき、雄ねじ部が本来嵌り込むはずではない雌ねじ部に嵌ってしまうという、所謂噛み込みと呼ばれる現象が発生する場合がある。この場合、ボルトは、一旦ナットに噛み込んでしまうと抜き取るのが困難であるだけでなく、そのまま無理にねじ込んだ場合には、両者を分離させるのが困難な状態になることもある。そのように分離が困難な状態となると、両者を分離できたとしても、分離後に再びそのナットを利用するためには雌ねじ部が剪断されてしまったナットの内周面に改めて雌ねじ部を形成しなければならず、このような現象の発生は、特に、ナットとボルトとの螺合箇所が多い構造物の組立ラインの現場では重大な問題となっている。
【0003】
そのような問題を解決するため、例えば、軸部の先端に棒状等のガイド部を設けたボルトや、軸部の先端に先細り形状のテーパ部を形成したボルトが提案されている。前者のボルトは、その軸部先端に設けられたガイド部をナットのねじ孔内に案内させて、姿勢を矯正しつつねじ孔にねじ込んでいくことができるものであり、また、後者のボルトは、ナットに対して傾いた状態でそのねじ孔に挿入された場合も、テーパ部の存在によって適正な姿勢となる方向への力がかかり、それによってねじ孔に適正にねじ込んでいくことができるものである。後者のボルトの一例として、例えば特許文献1に示すものがある。図5に示すように、特許文献1に係るボルト100は、一定径の定径部111と該定径部111の先端から延びた縮径部112とから構成されている。縮径部112は、その先端に向かって定径部111に対して大きく絞られた形状を有し、最も先端側の山頂径(山頂径の最小値)がd11となっている。
【0004】
【特許文献1】
実開平06−059619(第21〜23段落、図1、2)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来技術では、軸部の先端に棒状等のガイド部を設けたボルトは、ナットに対して噛み込みを防止するのには有効であるが、ガイド部がナットのねじ孔を貫通した状態では、ボルトの締め付けに関係のないガイド部がナットから突出するために、ガイド部の突出した領域には他の構造体を配置することができなくなり、ボルトの取付場所が大きく限定されてしまうという問題があった。ここで、ボルトの取付場所が限定されない場合においては、ガイド部を長くすることはできるが、そのためにボルト自体が大型化するという別の問題が発生することになる。また、このような問題に対し、ガイド部を短くしてしまうと、ガイド部がガイド機能を十分果たせなくなるという問題が発生する。
【0006】
また、特許文献1に係る図5のボルト100では、定径部111に比べて縮径部112が大きく絞られており、縮径部112の山頂径の最小値d11が定径部111の谷底径d10よりもかなり小さくなっているために、ボルト100を例えば図示外のナットのねじ孔に挿入した場合に、該ねじ孔とボルトとの間には、ボルトが傾くのを許容し得る間隙が少なからず形成されることになる。詳細には、ナットのねじ孔は、ボルト100の定径部111が螺入されるだけの内径を確保して形成されているため、ボルト100の縮径部112の先端部においては、縮径部112とねじ孔との間が大きく空いて間隙が形成された状態となる。即ち、特許文献1に係るボルト100では、このようにねじ孔との間に間隙が形成されたとき、ナット等の雌ねじ部品に対して噛み込んでしまう可能性が依然残るという問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、コンパクトなガイド部をもって自身を雌ねじ部品のねじ孔内に案内でき、かつ雌ねじ部品に対して噛み込むことなくねじ込むことができるボルトを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載のボルトは、頭部と当該頭部から軸心を同じくして延出する軸部とを備え、雌ねじ部が形成されたねじ孔を備えたナット等の雌ねじ部品と螺合するものであって、前記軸部は、一定の径を有し、その外周面に所定ピッチの完全ねじ部が形成された略円柱状の定径部と、当該定径部の先端から縮径しつつ延出し、その外周面に前記完全ねじ部と連続する不完全ねじ部が形成された略円錐台状の縮径部とを備え、当該縮径部に形成された不完全ねじ部の山頂径の最小値が、前記定径部に形成された完全ねじ部の谷径よりも大きく、前記雌ねじ部品のねじ孔の内径より僅かに小さいことを特徴とする。
【0009】
この構成のボルトでは、軸部は、一定の径を有し、外周面に完全ねじ部が形成された円柱状の定径部と、当該定径部の先端から縮径しつつ延出し、外周面に定径部の完全ねじ部と連続する不完全ねじ部が形成された略円錐台状の縮径部とを備えており、縮径部に形成された不完全ねじ部の山頂径の最小値は、定径部に形成された完全ねじ部の谷径よりも大きくなっている。これにより、ボルト、具体的にはボルトの定径部を螺入できるだけのねじ孔外径を持った雌ねじ部品に対して、そのねじ孔内径に対してボルト縮径部をできるだけ近づけることができ、ボルトと雌ねじ部品との間に必要以上に隙間が空いてしまうのを防ぐことができる。従って、ボルトの軸心と雌ねじ部品のねじ孔の軸心とがある傾き角をもって傾いた状態でボルトをねじ孔に螺入しようとした場合、その傾き角の大きさによって、ボルトは、雌ねじ部品のねじ孔に適正な姿勢で挿入されてねじ込まれるか、もしくはねじ孔に対して空転するかの何れかとなる。従って、ボルトと雌ねじ部品との噛み込みの発生を確実に防止することができる。また、不完全ねじ部の山頂径の最小値と完全ねじ部の山頂径とを近づけることができるので、縮径部先端から定径部先端までの長さ、即ち縮径部の長さを短くして不完全ねじ部から完全ねじ部へ速やかに移行させることができる。これにより、ボルト全体をコンパクトにすることができる。
またこの構成のボルトでは、軸部の縮径部に形成された不完全ねじ部の山頂径の最小値が、ボルトが螺入される雌ねじ部品のねじ孔内径より僅かに小さくなっており、雌ねじ部品のねじ孔にボルトを挿入した際、該ねじ孔とボルトとの間に必要以上に隙間が空いてしまうことがない。従って、ボルトを雌ねじ部品の軸心に対して傾いた状態でねじ孔に挿入した場合、ボルトは、自ら姿勢を矯正して適正な状態で挿入されるか、またはねじ孔に対して空転するかの何れかとなり、ボルトの雌ねじ部品への噛み込みをより確実に防止することができる。
【0010】
また、請求項2に記載のボルトでは、請求項1に記載のボルトの構成に加えて、前記不完全ねじ部は、前記縮径部の基端部から先端部に向かって前記所定ピッチの2ピッチ以下の範囲に渡って形成されていることを特徴とする。
【0011】
この構成のボルトでは、請求項1に記載の発明の作用に加えて、縮径部の外周面において、不完全ねじ部を定径部に形成された完全ねじ部の所定ピッチの2ピッチ以下というごく短い範囲に形成することにより、不完全ねじ部から完全ねじ部へ速やかに移行させることができる。従って、縮径部先端から定径部先端までの長さ、即ち縮径部の長さを短くすることができるので、ボルト全体をコンパクトにすることができる。
【0012】
【0013】
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化したボルトの一実施形態について、図1〜3を参照して説明する。ここで、図1は、ボルト1の全体を示す正面図であり、図2は、ボルト1をその軸心Lに沿った面で切断したときの軸部10先端付近の形状を示す断面図である。また、図3は、ボルト1の軸部10先端がナット70のねじ孔71に挿入された状態を図2と同様な面で切断した断面図である。まず、図1及び図2を参照してボルト1の構造について説明する。図1に示すように、ボルト1は、六角柱形状の頭部5と、当該頭部5の下側面5bから図中下方に延びた軸部10とから構成されており、頭部5、軸部10共に共通の軸心Lに沿って延びている。また、図示しないが、頭部5の上側面5aには、ボルト1にトルクを伝達するための工具(図示外)が嵌合する十字穴等のトルク伝達部が設けられている。
【0015】
ボルト1の軸部10は、頭部5から延出した円柱形の定径部11と、当該定径部11の先端から、頭部5の反対方向に向かって徐々に縮径しながら延びた円錐台形状の縮径部12とから構成されている。詳細には、定径部11は、その基端部から先端部まで一定の径を有する円柱形状で、縮径部12は、定径部11の先端部と同一径の基端部を備え、そこから自身先端部に向かって所定の絞り角をもって徐々に縮径した円錐台形状となっている。また、定径部11の基端近傍から縮径部12の一部の範囲に渡って、その外周面には所定ピッチのねじ部20が連続して形成されている。図2に示すように、ねじ部20は、定径部11では、ねじ山の頂及び谷底の形状が共に完全な山形となった完全ねじ部20aとなっており、縮径部12では、完全ねじ部20aに対して、ねじ山の頂もしくは谷底の形状が完全な山形ではない不完全ねじ部20bとなっている。
【0016】
詳しくは、縮径部12では、その基端から先端に向かって略1ピッチ分の領域に渡って不完全ねじ部20bが形成されている。また、縮径部12において、不完全ねじ部20bの先端から縮径部12先端までの範囲にはねじ部が形成されておらず、この部分は、ボルト1を後述する雌ねじ部品のねじ孔に挿入する際に、ボルト1の姿勢を適正な状態に矯正するためのガイド部15として機能することになる。尚、ガイド部15は、本実施の形態で示す円錐台状のものに限られず、丸棒状のものや半球状のものでもよい。また、縮径部12において、不完全ねじ部20bは、ねじ部20の略1ピッチ分の領域だけでなく、2ピッチ以下の任意の領域に形成することが可能である。
【0017】
ここで、ボルト1軸部10のねじ部20は、図示しないが、例えば、丸棒状のブランクを固定型と当該固定型に対して相対的に移動する移動型とから構成される一対の転造型で挟み込んで、ブランク外周面にねじを転造することで形成される。本実施の形態におけるブランクとは、まだねじが切られていない状態のボルト1の基材をいい、頭部は形成されていても形成されていなくてもよい。本実施の形態のボルト1の製造工程において、ブランクにねじを転造する一対の転造型は、具体的には、それぞれブランクの定径部11となる部分に完全ねじ部20aを形成する転造面を備えた第1の転造部と、縮径部12となる部分に不完全ねじ部20bを形成する転造面を備えた第2の転造部とから構成されている。尚、固定型と移動型とは、ほぼ同一形状となっており、それぞれ移動型の移動方向に沿って長尺形状を有している。
【0018】
この一対の転造型を対向させたとき、第1の転造部の転造面は、互いに平行な状態となっており、この転造面の下側縁からそれぞれ第2の転造部の転造面が下方に向かって延びている。第1の転造部の転造面がそれぞれ平行な状態で対向しているのに対し、第2の転造部の転造面は、ブランクに円錐台状の縮径部を形成すべく、それぞれ第1の転造部から離れるに従って互いに近づく方向に傾斜している。詳細には、第2の転造部の転造面は、第1の転造部の転造面からボルト1の縮径部12の絞り角度と等しい所定角度だけ前記互いに近づく方向に傾いた状態となっている。
【0019】
また、第1及び第2両転造部の転造面には、ブランクにねじを形成するための溝部が前記長尺方向に沿ってそれぞれ形成されている。第1の転造部の転造面には、該転造部上側縁近傍から第1及び第2の転造部のつなぎ目までの範囲で溝部が形成されており、この溝部によって完全ねじ部が形成されることになる。第2の転造部の転造面においては、第1及び第2の転造部のつなぎ目から第2の転造部先端に向かってねじ略1ピッチ分の範囲にのみ溝部が形成されており、この溝部によって不完全ねじ部が形成され、溝部が設けられていない転造面によって上述したガイド部15が形成されることになる。尚、ボルト1のブランクとして、上記したような一定径の丸棒状のものを用いてもよいが、好適には、転造型の命数を長くするために、予め定径部の先端に縮径部が形成されたブランクを用いるのが望ましい。
【0020】
そして、以上説明したような転造型を用いることにより、ブランクに定径部と縮径部とが形成され、各々の外周面に完全ねじ部と不完全ねじ部とがそれぞれ形成されることになる。図2に示すように、ボルト1の縮径部12に形成された不完全ねじ部20bは、縮径部12の先端側でその山頂径が最小(最小値d1)となっており、この山頂径の最小値d1は、定径部11の谷底の径d2よりも大きくなっている。これにより、ボルト1を例えばナット等の雌ねじ部品にねじ込んだ際、雌ねじ部品のねじ孔とボルトとの間には、従来のように必要以上に隙間が空いてしまうことがない。即ち、ボルト1は、雌ねじ部品のねじ孔に対して適正な姿勢に矯正されてねじ込まれるか、もしくはねじ孔に対して空転するかの何れかとなって、ボルトの雌ねじ部品への噛み込みを確実に防止することができる。尚、ボルト1は、その軸部10先端のガイド部15が機能することによって適正な姿勢に矯正されることはいうまでもない。加えて、不完全ねじ部20bの山頂径の最小値d1と完全ねじ部20aの谷径d2とを近づけることにより、縮径部12の不完全ねじ部20b先端から定径部11の完全ねじ部20a先端までの軸心方向距離を僅か略1ピッチとすることができるので、ボルト1を全体的にコンパクトに成形することができる。
【0021】
次に、図3を参照して、上記雌ねじ部品の一例としてナット70を挙げ、このナット70とボルト1との螺合について説明する。図3に示すように、ナット70は、その軸心部にねじ孔71を有し、ねじ孔71内周面には雌ねじ部75が形成されている。ボルト1の縮径部12に形成された不完全ねじ部20bの山頂径の最小値d1は、この雌ねじ部75の山頂径、即ちねじ孔71の内径d3とほぼ等しく、かつボルト1をねじ孔71に挿入可能にするために前記内径d3よりも僅かに小さくなっている。また、当然のことながら、ナットの谷底径(外径)は、ボルト1の定径部11の山頂径が螺合できる程度に該山頂径よりも僅かに大きい寸法となっている。
【0022】
上述したように、縮径部12の不完全ねじ部20bの山頂径の最小値d1とナット70のねじ孔71の内径d3とはほぼ等しく、ボルト1のナット70ねじ孔への挿入時には、ボルト1とナット70との間にはほとんど隙間のない状態となるので、ボルト1をナット70に対して傾いた状態のままでねじ孔71に挿入することができないことになる。具体的には、ボルト1は、自らの姿勢を矯正できる程度の傾き角をもってナット70に対して傾いている場合、即ち前記傾き角が小さい場合は、ガイド部15を介してナット70のねじ孔71に正常に挿入及び螺入され、矯正ができない程度に大きくナット70に対して傾いている場合には、ナット70のねじ孔71に対して空転することになる。従って、適正に螺入される場合、空転する場合の何れの場合も、ボルト1をナット70に対して傾いた状態で螺入することはできないので、噛み込みが発生する可能性をきわめて低くすることができる。
【0023】
以上に説明したように、本実施の形態のボルト1は、軸部10の先端に縮径部12を備えており、また、その縮径部12に形成された不完全ねじ部20bの山頂径の最小値d1が、定径部11の完全ねじ部20aの谷底径d2よりも大きくなっている。これにより、ボルト1を、定径部11の山頂径がナット70の谷径よりも小さく、即ちボルト1がナット70のねじ孔71に螺入可能で、かつ縮径部12の山頂径の最小値d1をナット70の内径d3とほぼ同一とすることができる。従って、ボルト1のガイド部15とナット70のねじ孔71との間に間隙を生じさせることなく両者を螺合させることができ、ボルト1のナット70に対する噛み込みを確実に防止することができる。また、ボルト1では、不完全ねじ部20bから完全ねじ部20aへと速やかに移行させることができるので、ガイド部15を含めて縮径部12を最小限に成形することができ、ボルト1を全体的にコンパクトにできる。
【0024】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、各種の変形が可能である。本発明の変形例として、縮径部先端のガイド部形状が、上記実施の形態のボルト1のものと異なるボルト40を図4に示す。尚、図4では、ボルト40の先端部のみを拡大して示し、ボルト40の軸部50に形成されたねじ部90は簡略化して示す。ボルトのガイド部が、円錐台状のものに限られず、丸棒状又は半球状のものでもよいことは上述した通りであるが、図4に示すように、ボルト40のガイド部65を、円錐台の先端周縁の角部を取り除いて稜線をなくし、先端に丸みを帯びた略円錐台形状に成形してもよい。尚、ボルト40は、上述したボルト1と同様に、定径部51と縮径部52とからなる軸部50を備え、ねじ部90に関しては、縮径部52の先端近傍における最小山径d31が、定径部51の谷径d30よりも大きくなっている。このボルト40では、ガイド部65の先端周縁が角のない丸みを帯びた形状となっているので、ボルト40をナット等の雌ねじ部品のねじ孔に挿入及び螺入する際、該ねじ孔への案内動作がより円滑となる。
【0025】
また、本実施の形態では、ボルトを螺入する雌ねじ部品としてナットを例に挙げたが、他の雌ねじ部品にも本発明のボルトが対応可能であることはいうまでもない。また、縮径部の長さ及びその絞り角度等は、ボルトが螺合する雌ねじ部品等に対応して、より噛み込み防止に効果的な値に変更することができる。さらに、本実施の形態では、ボルトのブランクにねじを形成する際に、固定型と移動型とから構成された一対の転造型を用いたが、転造型はこの形状のものに限られず適宜変更が可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載のボルトでは、軸部は、一定の径を有し、外周面に完全ねじ部が形成された円柱状の定径部と、当該定径部の先端から縮径しつつ延出し、外周面に定径部の完全ねじ部と連続する不完全ねじ部が形成された略円錐台状の縮径部とを備えており、縮径部に形成された不完全ねじ部の山頂径の最小値は、定径部に形成された完全ねじ部の谷径よりも大きくなっている。これにより、ボルト、具体的にはボルトの定径部を螺入できるだけのねじ孔外径を持った雌ねじ部品に対して、そのねじ孔内径に対してボルト縮径部をできるだけ近づけることができ、ボルトと雌ねじ部品との間に必要以上に隙間が空いてしまうのを防ぐことができる。従って、ボルトの軸心と雌ねじ部品のねじ孔の軸心とがある傾き角をもって傾いた状態でボルトをねじ孔に螺入しようとした場合、その傾き角の大きさによって、ボルトは、雌ねじ部品のねじ孔に適正な姿勢で挿入されてねじ込まれるか、もしくはねじ孔に対して空転するかの何れかとなる。従って、ボルトと雌ねじ部品との噛み込みの発生を確実に防止することができる。また、不完全ねじ部の山頂径の最小値と完全ねじ部の山頂径とを近づけることができるので、縮径部先端から定径部先端までの長さ、即ち縮径部の長さを短くして不完全ねじ部から完全ねじ部へ速やかに移行させることができる。これにより、ボルト全体をコンパクトにすることができるので、ボルトの取扱いをより容易にできる。
また、請求項1に係る発明のボルトでは、軸部の縮径部に形成された不完全ねじ部の山頂径の最小値が、ボルトが螺入される雌ねじ部品のねじ孔内径より僅かに小さくなっているので、雌ねじ部品にボルトを挿入する際、ボルトと雌ねじ部品のねじ孔との間には必要以上に隙間が空いてしまうことがなく、ボルトは、雌ねじ部品に対して大きく傾いた状態では雌ねじ部品に螺合することができない。従って、ボルトを雌ねじ部品の軸心に対して傾いた状態でねじ孔に挿入した場合、ボルトは、自ら姿勢を矯正して適正な状態で挿入されるか、またはねじ孔に対して空転することになる。従って、ボルトの雌ねじ部品への噛み込みをより確実に防止することができる。
【0027】
また、請求項2に係る発明のボルトでは、請求項1に記載の発明の効果に加えて、縮径部の外周面において、不完全ねじ部を定径部に形成された完全ねじ部の所定ピッチの2ピッチ以下というごく短い範囲に形成することにより、不完全ねじ部から完全ねじ部へ速やかに移行させることができる。従って、縮径部先端から定径部先端までの長さ、即ち縮径部の長さを短くすることができるので、ボルト全体をコンパクトにすることができ、ボルトの取扱いをより容易にできる。
【0028】
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、ボルト1の正面図である。
【図2】 図2は、ボルト1の軸部先端を示す断面図である。
【図3】 図3は、ボルト1の軸部先端をナット70のねじ孔71に挿入した状態を示す断面図である。
【図4】 図4は、本発明の変形例を示す部分拡大図である。
【図5】 図5は、従来のボルト100の先端形状を示す部分拡大図である。
【符号の説明】
1 ボルト
5 頭部
10 軸部
11 定径部
12 縮径部
15 ガイド部
20 ねじ部
20a 完全ねじ部
20b 不完全ねじ部
70 ナット
71 ねじ孔
75 雌ねじ部
L 軸心
Claims (2)
- 頭部(5)と当該頭部(5)から軸心を同じくして延出する軸部(10)とを備え、雌ねじ部(75)が形成されたねじ孔(71)を備えたナット(70)等の雌ねじ部品と螺合するボルト(1)であって、前記軸部(10)は、一定の径を有し、その外周面に所定ピッチの完全ねじ部(20a)が形成された略円柱状の定径部(11)と、当該定径部(11)の先端から縮径しつつ延出し、その外周面に前記完全ねじ部(20a)と連続する不完全ねじ部(20b)が形成された略円錐台状の縮径部(12)とを備え、当該縮径部(12)に形成された不完全ねじ部(20b)の山頂径の最小値が、前記定径部(11)に形成された完全ねじ部(20a)の谷底径よりも大きく、前記雌ねじ部品のねじ孔(71)の内径より僅かに小さいことを特徴とするボルト。
- 前記不完全ねじ部(20b)は、前記縮径部(12)の基端部から先端部に向かって前記所定ピッチの2ピッチ以下の範囲に渡って形成されていることを特徴とする請求項1に記載のボルト。
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