JP4450097B2 - 視角制御素子、液晶表示装置、電子機器 - Google Patents
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この構成によれば、分割された複数の電極に対して個別に電圧を印加できるので、液晶層に対する印加電界を場所によって変えることができる。そのため、斜めから見た場合、人間の目にはこのような視角制御用液晶セルを通してその背面側にある表示を視認するのが困難になる。これにより狭視角、広視角の切り替えが可能となる。
その理由は、上と同様、明るい領域の面積が小さすぎると、暗い領域を通して背面側の表示が透けて見えることになり、逆に明るい領域の面積が大きすぎると、背面側の表示が直接見えてしまい、視角制限効果が得られないからである。
また、前記液晶層に誘電率異方性が負の液晶材料が用いられ、前記一対の電極に対して非選択電圧を印加することで視角の狭い領域を形成し、前記一対の電極に対して選択電圧を印加することで視角の広い領域を形成することを特徴とすることが望ましい。
この構成によれば、例えば、ハイブリット配向を呈する液晶層をもつ視角制御素子において、選択電圧印加時にはハイブリッド配向状態が崩れ液晶分子が基板面に対してほぼ水平に倒れほぼすべての視角範囲にわたって表示の明るさが維持され、非選択電圧印加時には斜めから見たときに表示が暗くなり視角を狭めることが可能となる。
また、前記一対の電極の一方の電極は、全面ベタ状に形成されており、前記一対の電極の他方の電極は、複数の正方形パターンに分割され、縦方向に並ぶ前記正方形パターンは1個おきに接続されるとともに横方向に隣接する前記正方形パターンの列同士は分離され、1列おきに位置する前記正方形パターンの列同士は接続されることを特徴とする。
この構成によれば、容易に、分割された個々の領域の電極に対して個別に電圧が印加可能となる。
また、前記一対の透光性基板の一方の基板の前記液晶側に垂直配向膜が形成され、他方の基板の前記液晶側に水平配向膜が形成されることを特徴とする。
この構成によれば、容易にハイブリット配向を呈する液晶層をもつ視角制御素子が提供可能となる。
この構成によれば、本発明の視角制御素子を表示用液晶セルに隣接配置したことにより広視角、狭視角の切り替え効果の高い表示が得られ、様々な使用環境や用途に適応可能な液晶表示装置を実現することができる。
この構成によれば、第1の偏光板と第2の偏光板とが表示用液晶セルを挟持することになり、これら偏光板が表示用液晶セルの偏光子と検光子として機能する。さらに、第2の偏光板と第3の偏光板とが視角制御用液晶セルを挟持することになり、これら偏光板の光軸配置を最適化することでより効果的な視角制限効果を得ることができる。
この構成によれば、上記の構成と比べて偏光板が1枚少ない分だけ表示が明るくなり、装置全体が薄型化できるという効果がある。それに加えて、表示用液晶セルと視角制御用液晶セルとの間に偏光板がないことにより、2つの液晶セルの相互作用によって上記の構成とは異なる作用、効果が得られ、より狭い範囲に視角を制限することもできる。これについては後の実施の形態の項で詳述する。
この構成によれば、広視角、狭視角の切り替え効果の高い液晶表示部を有し、様々な使用環境や用途に適応可能な電子機器を実現することができる。
以下、本発明の第1の実施の形態を図1〜図9を参照して説明する。
本実施形態の液晶表示装置は、表示用液晶セルに視角制御用液晶セルを積層したものであるが、視角制御用液晶セルを用いて表示用液晶セルの視角特性を狭い角度範囲に制限するものであるから、表示用液晶セルは元来広視角の液晶モードであるVAN(Vertical Aligned Nematic、垂直配向)、IPS(In-Plain Switching)等のモードを採用することが望ましい。ここでは、VANを例に取り、説明する。また、表示用液晶セルには、画素スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode, 以下、TFDと略記する)を用いたアクティブマトリクス方式の透過型液晶表示装置の例を挙げる。なお、各図において、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
図2に示すように、本実施形態の表示用液晶セルは、走査線13にTFD素子40を介して接続された画素電極31がマトリクス状に設けられており、紙面の垂直方向に画素電極31と対向するように対向電極9が短冊状(ストライプ状)に設けられている。対向電極9は上述したデータ線のことであり、走査線13と交差する形のストライプ形状を有している。本実施の形態において、各画素電極31が形成された個々の領域が1つのドット領域であり、マトリクス状に配置された各ドット領域毎にTFD素子40が具備され、ドット領域毎に表示が可能な構造になっている。図2では簡易的に各画素電極を略矩形状に図示したが、実際には後述するように島状部と連結部とを有している。ここで、TFD素子40は走査線13と画素電極31とを電気的に接続するスイッチング素子であって、TFD素子40は、Taを主成分とする第1導電膜と、第1導電膜の表面に形成され、Ta2O3を主成分とする絶縁膜と、絶縁膜の表面に形成され、Crを主成分とする第2導電膜とを含むMIM(Metal-Insulator-Metal)構造を具備して構成されている。そして、TFD素子40の第1導電膜が走査線13に接続され、第2導電膜が画素電極31に接続されている。
本実施の形態の液晶表示装置100は、図3に示したように、データ線9および走査線13等により囲まれた領域の内側に画素電極31を備えてなるドット領域を有している。このドット領域内には、図3に示すように、1つのドット領域に対応して3原色のうちの異なる色の1つの着色層が配設され、隣接する3つのドット領域(D1,D2,D3)で各着色層16B(青色),16G(緑色),16R(赤色)を含む1つの画素を形成している。
表示用液晶セル1においては、上基板(対向基板)25とこれに対向配置された下基板(素子基板)10との間に、初期配向状態が垂直配向を呈する、誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。なお、透過率向上のため、液晶層50にカイラル剤を添加しても良い。
視角制御用液晶セル2においては、上基板61とこれに対向配置された下基板62との間に、誘電異方性が正のネマチック液晶材料からなる液晶層65が挟持されている。上基板61は、ガラス等の透光性材料からなる基板本体61Aの内面に、ITO等の透明導電膜からなる上電極63が形成されている。同様に、下基板62側も、ガラス等の透光性材料からなる基板本体62Aの内面に、ITO等の透明導電膜からなる下電極64が形成されている。視角制御用液晶セル2においては、これら上電極63、下電極64はともにドット領域毎には分割されていないが、その平面形状が異なっている。上電極63は、上基板61の内面に全面ベタ状に設けられている。一方、下電極64は、図5に示すように、表示用液晶セル1の有効表示領域内において下基板62の内面にチェッカーフラグ状にパターニングされている。すなわち、正方形状の電極が存在する部分と存在しない部分が縦横に交互に配置されており、本実施形態では繰り返しピッチP(電極が存在する部分と存在しない部分の寸法の和)が8mmに設定されている。またこの例では、チェッカーフラグパターンの縦横の配列方向は、表示用液晶セルの画素の縦横の配列方向と一致している。なお、表示用液晶セル1の有効表示領域とは、実際に表示に寄与するドット領域D1,D2,D3がマトリクス状に配列された箇所のことをいう。
その作用について以下、説明する。
すなわち、視角制御用液晶セル2のΔn・dが十分に大きいため、非選択電圧印加(電圧オフ)時には旋光性が生じる。したがって、第2の偏光板66を透過した直線偏光は180°旋光して第3の偏光板19を透過する。一方、十分に高い電圧、例えば±10V、100Hzの矩形波交流電圧を印加(電圧オン)すると、液晶が基板面に対してほぼ垂直に立ち上がって複屈折性を失うため、やはり第2の偏光板66を透過した直線偏光は第3の偏光板19を透過する。したがって、観察者がパネルの法線方向から見る限りにおいては、液晶層65に電圧を印加した場合と印加しない場合の区別が付かない。ということは、電圧オン時にパネル法線方向から見た場合には、視角制御用液晶セル2のパターニングされた下電極64が存在する箇所と存在しない箇所との見分けが付かないことになる。ところが、液晶が基板面に対してほぼ垂直に立ち上がった状態においては、パネル法線方向から外れた斜め方向から入射した光は位相差を感じることになるため、第2の偏光板66を透過した直線偏光が第3の偏光板19を透過する成分が減り、暗くなる。したがって、電圧オン時に斜め方向からは見た場合には、視角制御用液晶セル2のパターニングされた下電極64が存在する箇所と存在しない箇所との区別が付くことになる。すなわち、明るい領域と暗い領域が交互に近接して存在することになり、人間の目にはこのような視角制御用液晶セル2を通して表示用液晶セル1の表示を視認するのが困難になる。これにより狭視角化が可能となり、電極に対して電圧を印加しなければ広視角化が可能となる。
電圧オフ時には、図7に示すように、全ての視角領域で透過率が42〜50%、すなわち一方の直線偏光をほとんど透過するため、表示用液晶セルの広い視角特性がそのまま保持されることになる。その一方、電圧オン時には、図8に示すように、透過率が低い領域ができ、特に左右方向(3時−9時方向)で透過率0〜30%程度の領域が大きく生じるため、左右方向からの覗き見を効果的に防止することができる。
例えば、図11に示す電極64aのように、同じチェッカーフラグパターンであっても、表示用液晶セルの画素の縦横に対してチェッカーフラグパターンが斜めになるように配置しても良い。この場合、視角制限効果は本実施形態と変わらないが、特にピッチが小さい場合に表示用液晶セルの画素とモアレが生じにくくなるという効果がある。
以下、本発明の第2の実施の形態を図14を参照しつつ説明する。
本実施形態の液晶表示装置は、表示用液晶セル、視角制御用液晶セルの構成自体は第1の実施の形態と同様であり、偏光板の構成が第1の実施の形態と異なるのみである。図14は本実施の形態の液晶表示装置の断面図であるが、図14において図4と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
以下、本発明の第3の実施の形態を図15〜図18を参照しつつ説明する。
本実施形態の液晶表示装置は、表示用液晶セルの構成は第1の実施の形態と同様であって、視角制御用液晶セルの液晶層および電極パターンが第1の実施の形態と異なるのみである。図15は本実施の形態の液晶表示装置の断面図であるが、図15において図4と共通の構成要素には同一の符号を付し、説明は省略する。
本実施形態の視角制御用液晶セル2Aにおいては、図15に示すように、上基板61と下基板62との間に、初期配向状態がハイブリッド配向を呈する、誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層75が挟持されている。液晶層75は、上基板61側界面でほぼ水平配向、下基板62側界面でほぼ垂直配向を呈し、その間で液晶分子75Bのチルト角が連続的に変化するハイブリッド配向を取っている。このような初期配向状態は、例えば上基板61の上電極63上に水平配向用ポリイミド膜を塗布、焼成してラビング処理する一方、下基板62の下電極64上に垂直配向用ポリイミド膜を塗布、焼成することによって得られる。そして、上電極63、下電極64間に電圧を印加することにより液晶層65の液晶分子75Bを基板面にほぼ平行に倒すことができる。なお、本実施の形態とは逆に、上基板61側界面でほぼ垂直配向、下基板62側界面でほぼ水平配向を呈するようにしても良い。上述したように、液晶層65には誘電異方性が負の液晶材料を用い、その複屈折率Δnと液晶層厚dとの積Δn・dを6.0μmと設定する。
例えば、図17に示す光軸配置において、視角制御用液晶セル2Aの法線方向からハイブリッド配向の液晶層75を見ると、液晶分子75Bの遅相軸方向が液晶層75の上層から下層まで直線上に重なって見える。これに対して、前記法線方向に対して斜めにハイブリッド配向の液晶層75を見ると、液晶分子75Bの遅相軸方向が液晶層65上層から下層にかけて90°ねじれて見える。このことは、視角制御用液晶セル2Aの法線方向に対して斜めに入射する光にとっては液晶層75が見かけ上90°ツイスト配向していることを意味する。すなわち、斜めに入射する光には旋光性が生じ、バックライト15から射出された後、第2の偏光板66を透過した直線偏光が旋光し、第3の偏光板19の吸収軸により吸収される。したがって、平行ニコルの下で、斜めから見たときにはあたかもノーマリーブラック型のTNモードのように表示が暗くなる一方、正面から見たときには旋光性が生じないので表示用液晶セル1の表示の明るさが維持される。この効果は、後述する図18から明らかなように第1の実施形態よりも大きい。
次に、本発明の上記実施の形態の液晶表示装置を備えた電子機器の具体例について説明する。
図19は、携帯電話の一例を示した斜視図である。図19において、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001は上記液晶表示装置を用いた表示部を示している。このような携帯電話等の電子機器の表示部に、上記実施の形態の液晶表示装置を用いた場合、広視角、狭視角の切り替え効果の高い液晶表示部を有し、様々な使用環境や用途に適応可能な電子機器を実現することができる。その他の電子機器として、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々に好適に用いることができる。
Claims (10)
- 任意の表示装置に隣接配置して用いられ、前記表示装置の視角を制御する視角制御素子であって、
一対の透光性基板と、前記一対の透光性基板間に挟持された液晶層と、前記液晶層に電界を印加するための一対の電極とを有する視角制御用液晶セルを備え、
前記一対の電極のうちの少なくとも一方の電極において、当該電極の前記表示装置の有効表示領域に対応する領域がパターニングされており、前記パターニングされた電極が複数の領域に分割され、分割された個々の領域の電極に対して個別に電圧が印加可能とされ、前記一対の電極からの印加電圧によって前記液晶層の配向状態を変化させ、前記一対の電極に非選択電圧が印加される領域および選択電圧が印加される領域のいずれか一方に視角の狭い領域を形成し、他方に視角の広い領域を形成することで前記表示装置の視角を制御することを特徴とする視角制御素子。 - 前記一対の電極に非選択電圧が印加される領域および選択電圧が印加される領域は、いずれか一方が法線方向から外れた斜め方向に対して明るい領域を形成し、他方が法線方向から外れた斜め方向に対して暗い領域を形成し明るい領域と暗い領域とが近接していることを特徴とする請求項1に記載の視角制御素子。
- 前記分割された複数の領域が略等しい面積を有することを特徴とする請求項1または2に記載の視角制御素子。
- 前記液晶層に誘電率異方性が負の液晶材料が用いられ、前記一対の電極に対して非選択電圧を印加することで視角の狭い領域を形成し、前記一対の電極に対して選択電圧を印加することで視角の広い領域を形成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の視角制御素子。
- 前記一対の電極の一方の電極は、全面ベタ状に形成されており、前記一対の電極の他方の電極は、複数の正方形パターンに分割され、縦方向に並ぶ前記正方形パターンは1個おきに接続されるとともに横方向に隣接する前記正方形パターンの列同士は分離され、1列おきに位置する前記正方形パターンの列同士は接続されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一項に記載の視角制御素子。
- 前記一対の透光性基板の一方の基板の前記液晶側に垂直配向膜が形成され、他方の基板の前記液晶側に水平配向膜が形成されることを特徴とする請求項4に記載の視角制御素子。
- 請求項1ないし6のいずれか一項に記載の視角制御素子と、前記視角制御素子に隣接配置された表示用液晶セルとを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
- 前記表示用液晶セルの前記視角制御用液晶セルが配置された側と反対側の外面に設けられた第1の偏光板と、前記視角制御用液晶セルの前記表示用液晶セルが配置された側と反対側に設けられた第2の偏光板と、前記表示用液晶セルと前記視角制御用液晶セルとの間に設けられた第3の偏光板とが備えられたことを特徴とする請求項7記載の液晶表示装置。
- 前記表示用液晶セルの前記視角制御用液晶セルが配置された側と反対側に設けられた第1の偏光板と、前記視角制御用液晶セルの前記表示用液晶セルが配置された側と反対側に設けられた第2の偏光板とが備えられたことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
- 請求項7ないし9のいずれか一項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
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