JP4449887B2 - サスペンション装置 - Google Patents

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本発明は、前後左右の各輪毎に設けられた懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダを備えたサスペンション装置に関するものである。
特許文献1には、(a)前後左右の各輪毎に設けられた4つの懸架シリンダと、(b)4つの懸架シリンダの各々に接続された4つのセンタ液圧室を備え、それら4つの懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダとを備えたサスペンション装置が記載されている。
米国特許第3024037号明細書
本発明の課題は、センタシリンダを備えたサスペンション装置において、センタピストンのハウジングに対する現時点における相対位置を取得可能とすることである。
請求項1に記載のサスペンション装置は、(i)車両の前後左右の各輪に対応して、各々、車輪を保持する車輪保持装置と車体との間に設けられた4つの懸架シリンダと、(ii)(a)ハウジングと、(b)そのハウジングに相対移動可能に嵌合されたセンタピストンと、(c)そのセンタピストンによって仕切られ、前記前後左右の各輪に対応する懸架シリンダにそれぞれ接続された4つのセンタ液圧室とを含み、前記前後左右の各輪の懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダと、(iii)(a)液圧源と、(b)その液圧源と前記4つの懸架シリンダの各々との間に設けられ、前記センタシリンダと前記懸架シリンダの各々とを連通状態に保った状態で、前記液圧源と前記懸架シリンダの各々との間の作動液の流れを制御可能な個別制御弁と、(c)それら個別制御弁を、それぞれ、開状態と閉状態とに切り換える個別制御弁制御部とを含み、前記4つの懸架シリンダ各々における作動液の流入・流出を制御することにより、懸架シリンダに対応する車輪と車体との間の相対位置である車高をそれぞれ調整する流入・流出制御装置と、(iv)その流入・流出制御装置による車高調整中、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保ち、その個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて前記センタシリンダにおける前記センタピストンの前記ハウジングに対する相対位置を取得するセンタピストン位置取得装置とを含むサスペンション装置であって、当該サスペンション装置が、前記センタピストンを前記ハウジングに対して、中央位置と、移動限度に達した位置とのいずれか一方である基準相対位置に至るまで相対移動させる基準相対位置移動装置を含み、前記流入・流出制御装置が、前記センタピストンが前記基準相対位置にある状態において、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に切り換え、その少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保つとともに、残りの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出を制御する一部流入・流出制御部を含み、前記センタピストン位置取得装置が、(x)前記閉状態に保持された個別制御弁に対応する前記少なくとも1つの懸架シリンダの、前記液圧源から遮断されてからの容積変化を取得する容積変化取得部と、(y)その容積変化取得部によって取得された容積変化に基づいて、前記センタピストンの前記基準相対位置からの隔たりである現位置を取得する現位置取得部とを含むものとされる。
車両の前後左右の各輪に対応して、車輪保持装置と車体との間に懸架シリンダがそれぞれ設けられる。
センタシリンダは、ハウジングとセンタピストンとによって仕切られた4つのセンタ液圧室を含むが、センタ液圧室の各々には前後左右の各輪の懸架シリンダがそれぞれ接続される。センタピストンは、4つのセンタ液圧室の各々に対向する受圧面を有し、受圧面の各々はセンタ液圧室の液圧をそれぞれ受ける。センタピストンは、4つのセンタ液圧室の液圧、すなわち、懸架シリンダの液圧により作動させられる。
懸架シリンダには、それぞれ、流入・流出制御装置が接続される。流入・流出制御装置により、作動液が流入させられたり、流出させられたりするのであり、それによって、懸架シリンダに対応する車輪の車高が変化させられる。懸架シリンダの各々と流入・流出制御装置とにより車高調整装置が構成されると考えることができる。このように、懸架シリンダには、センタシリンダのセンタ液圧室と流入・流出制御装置との両方が接続されるのであるが、個別制御弁の開状態においては、懸架シリンダ、センタ液圧室および液圧源が互いに連通させられた状態にあるが、個別制御弁の閉状態においては、懸架シリンダはセンタ液圧室には連通させられ、液圧源からは遮断される。
流入・流出制御装置による車高調整中、少なくとも1つの個別制御弁が閉状態に保たれ、その個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて、センタシリンダにおけるセンタピストンのハウジングに対する相対位置が取得される。
少なくとも1つの個別制御弁が閉状態にされた場合のセンタピストンのハウジングに対する相対位置は予めわかっている。この相対位置を基準相対位置と称する。個別制御弁の閉状態において、残りの車輪に対応して設けられた懸架シリンダにおいて作動液の流入・流出が行われる(車高調整が行われる)。この間の車高の変化に基づいて、センタピストンの基準相対位置からの移動量、移動の向き等が取得される。
個別制御弁の閉状態においては、センタ液圧室と懸架シリンダとを含む閉空間が形成される。閉空間内に存在する作動液の量は一定であり、残りの車輪について車高調整が行われても変化することはない。また、閉空間内の作動液の圧力の変化が小さい場合には、後述するように、閉空間内の容積も一定であると考えることができる。そのため、閉空間内において、個別制御弁が閉状態に切り換えられてから現時点までの間の、懸架シリンダにおける作動液量(容積と同じ)とセンタ液圧室における作動液量(容積と同じ)とは互いに補完関係にある。すなわち、懸架シリンダにおける作動液の変化量(容積変化量)とセンタ液圧室における作動液の変化量(容積変化量)との和は0であり、一方が増加すれば他方が減少する関係にあるのである。
したがって、懸架シリンダにおける作動液の変化量、作動液の増減等に基づけば、センタ液圧室における作動液の変化量、作動液の増減を取得することができる。また、センタピストンの移動の向きは、実施例において説明するように、そのセンタ液圧室の位置で決まる。したがって、懸架シリンダにおける作動液の変化量、増減、閉状態とされた個別制御弁に対応するセンタ液圧室の位置に基づけば、センタピストンの基準相対位置からの移動量、移動の向きを取得することができるのであり、センタピストンの現位置を取得することができる。
閉空間には、懸架シリンダ、センタ液圧室の他に、アキュムレータ等が含まれる場合がある。しかし、閉空間内における作動液の圧力変化が小さく、アキュムレータにおける作動液の授受(アキュムレータの作動液収容室の容積変化)を無視できる場合には、懸架シリンダにおける作動液量とセンタ液圧室における作動液量とは補完関係にあると考えることができる。
それに対して、(懸架シリンダにおける作動液の変化量、増減とアキュムレータにおける作動液の変化量、増減との関係)と、(懸架シリンダにおける作動液の変化量、増減)とに基づいて(アキュムレータにおける作動液の変化量、増減)が取得される場合には、懸架シリンダ、アキュムレータの両方における作動液の変化量、増減に基づいて、センタ液圧室における作動液の変化量、増減が取得されるようにすることもできる。アキュムレータにおける作動液の変化量、増減等は、懸架シリンダの圧力に基づけば、より正確に取得することが可能となる。
なお、最初に閉状態に切り換えられる個別制御弁は1つであっても2つ以上であってもよい。
また、懸架シリンダが単動式のシリンダである場合には、1つの懸架用液圧室がセンタ液圧室と接続され、懸架用液圧室の容積とセンタ液圧室の容積とが補完関係にある。ショックアブソーバである場合には、ピストンの上下にある2つの液圧室がセンタ液圧室と接続され、2つの液圧室の各々の容積とセンタ液圧室の容積とが補完関係にある。
特許請求可能な発明
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、「請求可能発明」という場合がある。請求可能発明は、少なくとも、請求の範囲に記載された発明である「本発明」ないし「本願発明」を含むが、本願発明の下位概念発明や、本願発明の上位概念あるいは別概念の発明を含むこともある。)の態様をいくつか例示し、それらについて説明する。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記載する。これは、あくまでも請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組を、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載,実施例の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得るのである。
(1)車両の前後左右の各輪に対応して、各々、車輪を保持する車輪保持装置と車体との間に設けられた4つの懸架シリンダと、
(a)ハウジングと、(b)そのハウジングに相対移動可能に嵌合されたセンタピストンと、(c)そのセンタピストンによって仕切られ、前記前後左右の各輪に対応する懸架シリンダにそれぞれ接続された4つのセンタ液圧室とを含み、前記前後左右の各輪の懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダと、
(a)液圧源と、(b)その液圧源と前記4つの懸架シリンダの各々との間に設けられ、前記センタシリンダと前記懸架シリンダの各々とを連通状態に保った状態で、前記液圧源と前記懸架シリンダの各々との間の作動液の流れを制御可能な個別制御弁と、(c)それら個別制御弁を、それぞれ、開状態と閉状態とに切り換える個別制御弁制御部とを含み、前記4つの懸架シリンダ各々における作動液の流入・流出を制御することにより、懸架シリンダに対応する車輪と車体との間の相対位置である車高をそれぞれ調整する流入・流出制御装置と、
その流入・流出制御装置による車高調整中、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保ち、その個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて前記センタシリンダにおける前記センタピストンの前記ハウジングに対する相対位置を取得するセンタピストン位置取得装置と
を含むサスペンション装置。
(2)当該サスペンション装置が、前記センタピストンを前記ハウジングに対して、予め定められた基準相対位置に至るまで相対移動させる基準相対位置移動装置を含む(1)項に記載のサスペンション装置。
センタピストンは、基準相対位置移動装置によって、予め定められた基準相対位置まで移動させられる。基準相対位置は、例えば、センタピストンの中央位置としたり、移動限度に達した位置としたり、リターンスプリング等の自己復帰部によって規定される位置としたるすること等ができる。自己復帰部によって規定される位置は、中央位置であることが多い。
(3)前記基準相対位置移動装置が、前記センタピストンを中央位置まで移動させる中央位置移動部と、移動限度に達した位置まで移動させる移動部との少なくとも一方を含む(2)項に記載のサスペンション装置。
中央位置は、センタピストンの全ストロークの中間の位置としたり、ハウジングの長手方向の長さの中間の位置としたりすることができる。
(4)前記基準相対位置移動装置が、前記センタピストンを、移動限度まで移動させる端位置移動部を含む(2)項または(3)項に記載のサスペンション装置。
移動限度は、例えば、センタピストンとハウジングとがストッパ等を介して当接する位置とすることができる。例えば、センタシリンダの4つの液圧室の1つにのみ作動液を供給すれば、センタピストンを移動限度位置まで移動させることができる。
(5)前記流入・流出制御装置が、前記センタピストンが前記基準相対位置にある状態において、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に切り換え、その少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保つとともに、残りの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出を制御する一部流入・流出制御部を含む(2)項ないし(4)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
(6)前記センタピストン位置取得装置が、(a)前記閉状態に保持された個別制御弁に対応する前記少なくとも1つの懸架シリンダの、前記液圧源から遮断されてからの容積変化を取得する容積変化取得部と、(b)その容積変化取得部によって取得された容積変化に基づいて、前記センタピストンの基準相対位置からの隔たりである現位置を検出する現位置検出部とを含む(5)項に記載のサスペンション装置(請求項1)
車高の変化(変化量、車高の増減)に基づけば、懸架シリンダの容積変化(変化量、容積の増減)を取得することができ、懸架シリンダの容積変化に基づけば、センタ液圧室の容積変化を取得することができる。そして、センタ液圧室の容積変化とセンタ液圧室の位置とに基づけばセンタピストンの基準相対位置からの移動量、移動の向きを取得することができる。
(7)前記センタシリンダが、少なくとも、前記4つのセンタ液圧室が互いに連通させられた状態で、前記センタピストンを前記ハウジングの予め定められた中央位置に復帰させる自己復帰部を含む(1)項ないし(6)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置。
(8)当該サスペンション装置が、前記4つのセンタ液圧室を互いに連通させるセンタ液圧室連通部を含む(7)項に記載のサスペンション装置(請求項2)
4つのセンタ液圧室が連通させられれば、自己復帰部により、センタピストンが中央位置に移動させられる。
(9)前記センタシリンダのセンタ液圧室の各々と前記懸架シリンダの各々とが、それぞれ、個別連通路を介して接続されるとともに、各々の個別連通路に、前記液圧源から延び出し、途中に個別制御弁が設けられた個別制御通路がそれぞれ接続され、前記センタ液圧室連通部が、前記4つの個別制御弁を開状態とすることにより、前記4つのセンタ液圧室を互いに連通させる全個別制御弁開部を含み、その全個別制御弁開部が前記流入・流出制御装置の個別制御弁制御部に含まれる(8)項に記載のサスペンション装置(請求項3)
懸架シリンダがセンタ液圧室に個別連通路を介して接続されるとともに、個別連通路に液圧源から延び出した個別制御通路が接続される。個別制御弁は、個別制御通路に設けられる。そのため、個別制御弁の開状態においては、懸架シリンダ,センタ液圧室および液圧源が互いに連通させられ、閉状態においては、懸架シリンダが液圧源から遮断されてセンタ液圧室に連通させられる。
(10)当該サスペンション装置が、前記前後左右の各輪の各々において、前記車輪保持装置と前記車体との間に、前記懸架シリンダとともに設けられたサスペンションスプリングを含み、前記流入・流出制御装置が、前記前後左右の各輪の車高を、前記車輪に加えられる荷重が主として前記サスペンションスプリングによって支持される大きさである設定値以下とする車高低減部を含み、前記センタ液圧室連通部が、その車高低減部によって各輪の車高が設定値以下となった状態で、前記4つのセンタ液圧室を互いに連通させるロー車高時連通部を含む(8)項または(9)項に記載のサスペンション装置(請求項4)
サスペンションスプリングと懸架シリンダとが並列に設けられる場合には、車輪に加わる荷重は、サスペンションスプリングの弾性力と懸架シリンダの液圧に応じた力との和に対応する。荷重が一定である場合には、車高が小さくされると、サスペンションスプリングの変形量が大きくなり弾性力が大きくなるため、懸架シリンダの液圧が低くなる。
懸架シリンダの液圧が低くなると、懸架シリンダに連通させられたセンタ液圧室の液圧も低くなるため、4つのセンタ流体圧室を互いに連通させた場合に、自己復帰部により、センタピストンをより正確に中央位置まで移動させることが可能となる。
設定値は、車輪に加わる荷重が主としてサスペンションスプリングに支持される大きさであり、例えば、上下方向の移動を規定するバウンド側ストッパに当接した状態に対応する大きさとすることができる。また、ストッパに当接しなくても、車高を小さくすれば、サスペンションスプリングの弾性力が大きくなって懸架シリンダの液圧が低くなるため、車高が大きい場合より、4つのセンタ液圧室を互いに連通させた場合に、センタピストンをより正確に中央位置まで移動させることができる。このことから、設定値は、4つのセンタ液圧室を連通させた場合に、センタピストンをほぼ中央位置まで移動させ得る大きさとすることができる。
(11)当該サスペンション装置が、前記4つのセンタ液圧室のうちの、少なくとも前記センタピストンの互いに逆向きの受圧面に対応する2つのセンタ液圧室同士を、それぞれ、連通させるセンタ液圧室連通部を含む(7)項に記載のサスペンション装置。
4つのセンタ液圧室のうちの、センタピストンの互いに逆向きの受圧面に対応する2つの液圧室同士が連通させられれば、センタピストンを中央位置に移動させることができる。
サスペンション装置には、右前輪の懸架シリンダに接続されたセンタ液圧室と左前輪の懸架シリンダに接続されたセンタ液圧室とが、センタピストンの互いに逆向きの受圧面に対応する液圧室とされるとともに、これらの間に前輪側左右連通弁が設けられ、右後輪の懸架シリンダに接続されたセンタ液圧室と左後輪の懸架シリンダに接続されたセンタ液圧室とが、互いに逆向きの受圧面に対応する液圧室とされるとともに、これらの間に後輪側左右連通弁が設けられる場合があるが、この場合には、前輪側、後輪側の左右連通弁の両方が開状態に切り換えられるようにすることができる。
(12)当該サスペンション装置が、前記センタピストンを前記ハウジングに対して、予め定められた基準相対位置である中央位置に至るまで相対移動させる中央位置移動部を含み、前記流入・流出制御装置が、前記センタピストンが前記中央位置にある状態で車高調整を開始し、最初に目標車高に達した少なくとも1つの車輪に対応する個別制御弁を閉状態に保った状態で、残りの懸架シリンダに対応する車輪の車高が目標車高に達するまで、前記残りの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出を制御する位置検出時車高調整部を含み、前記センタピストン位置取得装置が、(a)前記閉状態に保持された個別制御弁に対応する前記少なくとも1つの懸架シリンダに対応する車輪の、前記個別制御弁が閉状態に切り換えられた時点から前記位置検出時車高調整部による車高調整が終了する時点までの間の車高変化を取得する車高変化取得部と、(b)その車高変化取得部によって取得された車高変化量に基づいて、前記センタピストンの前記中央位置からの隔たりである現位置を取得する車高終了時位置取得部とを含む(1)項ないし(11)項のいずれか1つに記載のサスペンション装置(請求項5)
本項に記載のサスペンション装置において、センタピストンが中央位置にある状態で車高調整が開始される。すべての車輪についての車高を同じ向きに変化させる場合には、車高調整において、すべての個別制御弁が開状態に切り換えられる。この場合において、すべての個別制御弁は、流入・流出制御装置によって開状態に切り換えられると考えたり、センタピストン相対移動装置によって開状態に切り換えられると考えたりすることができ、センタピストン相対移動装置は、流入・流出制御装置の一構成要素であると考えることができる。
すべての個別制御弁が開状態にある間は、4つのセンタ液圧室の液圧は互いに同じ大きさであり、センタピストンは中央位置に保たれる。車高調整が行われ、最初に、少なくとも1つの車輪の車高が目標車高に達すると、それに対応する個別制御弁が開状態から閉状態に切り換えられる。この時点においてもセンタピストンは中央位置にある。
その後、その個別制御弁が閉状態に保たれた状態で、残りの車輪について継続して車高調整が行われる。残りの車輪の車高調整が終了すると、すべての個別制御弁が閉状態にされるが、その場合には、センタピストンは中央位置からずれていることが多い。特に、4輪について荷重が互いに異なり、かつ、同じ車高となるように車高調整が行われる場合には、残りの車輪について車高調整が終了した場合には、センタピストンは中央位置からずれる。
この場合に、閉状態に保たれた個別制御弁に対応する車輪について、個別制御弁が閉状態に切り換えられてから車高調整が終了するまでの間の車高の変化量ΔHに、懸架シリンダのピストンロッドの断面積Swを掛けることによって懸架シリンダにおける容積変化量ΔQ(=ΔH・Sw)が求められる。また、容積変化量ΔQを、その懸架シリンダが接続されたセンタ液圧室の横断面積(センタピストンの受圧面の面積)Spで割ることによって、センタピストンの中央位置からの移動量ΔIが求められる(ΔI=ΔQ/Sp)。
また、懸架シリンダの容積は増加する場合と減少する場合とがあり、車高の変化量ΔHおよび容積変化量ΔQが正の値である場合と負の値である場合とがある。また、センタピストンの中央位置からの移動の向きは、懸架シリンダにおける容積の増減と、その懸架シリンダが接続されたセンタ液圧室の位置とによって決まる。そのため、容積の増減と、センタ液圧室の位置(懸架シリンダが設けられた車輪の位置で決まる)とに基づけば、センタピストンの移動の向きがわかる。
したがって、懸架シリンダの容積変化量ΔQ、容積の増減、センタ液圧室の位置に基づけば、センタピストンの中央位置からの移動量ΔI,移動の向きを取得することができるのであり、センタピストンの現位置を取得することができる。
車高調整は、各輪毎に行われる場合と前輪、後輪毎に行われる場合とがある。各輪毎に行われる場合には、それぞれの車輪の実際の車高が目標車高に達するように、個別制御弁がそれぞれ開閉制御され、前輪、後輪毎に行われる場合には、左右前輪の平均車高、左右後輪の平均車高がそれぞれ目標車高に達するように個別制御弁が開閉制御される。本項に記載のサスペンション装置におけるように、センタピストンの位置検出が車高調整に併せて行われる場合には、最初に開状態から閉状態にされた個別制御弁は、車高調整が終了するまで閉状態に保たれるが、残りの車輪に対応する個別制御弁は、目標車高に達した場合に、開状態から閉状態に切り換えられるようにしたり、適宜開閉させられるようにしたりすることができる。
また、車高調整が前輪、後輪毎に行われる場合には、左右前輪、左右後輪のいずれかの平均車高が最初に目標車高に達した側の2つの個別制御弁が先に閉状態に切り換えられて、閉状態に維持される。2つ以上の個別制御弁が閉状態にされた場合には、2つ以上の個別制御弁のうちの1つに対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化量が取得される。
(13)前記流入・流出制御装置が、前記センタピストンが既知の位置にある場合に、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に切り換え、その少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保つとともに、残りの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出を制御する一部流入・流出制御部を含み、前記センタピストン位置取得装置が、(a)前記閉状態に保持された個別制御弁に対応する前記少なくとも1つの懸架シリンダの、前記液圧源から遮断されてからの容積変化量を取得する容積変化量取得部と、(b)その容積変化量取得部によって取得された容積変化量に基づいて、前記センタピストンの前記既知の位置からの隔たりである現位置を取得する現位置取得部とを含む(1)項に記載のサスペンション装置
センタピストンが既知の位置にある場合に、少なくとも1つの個別制御弁が閉状態とされ、その後、少なくとも1つの個別制御弁が閉状態に保たれて車高調整が行われれば、車高調整の間、少なくとも1つの個別制御弁に対応する懸架シリンダとセンタ液圧室とを含む閉空間が形成される。そのため、その懸架シリンダにおける車高変化に基づけば、センタピストンの既知の位置からの移動の向き、移動量を取得することができるのであり、車高調整後のセンタピストンの現位置を取得することができる。
(14)車両の前後左右の各輪に対応して、各々、車輪を保持する車輪保持装置と車体との間に設けられた4つの懸架シリンダと、
(a)ハウジングと、(b)そのハウジングに相対移動可能に嵌合されたセンタピストンと、(c)そのセンタピストンによって仕切られ、前記前後左右の各輪に対応する懸架シリンダにそれぞれ接続された4つのセンタ液圧室とを含み、前記前後左右の各輪の懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダと、
(a)液圧源と、(b)その液圧源と前記4つの懸架シリンダの各々との間に設けられ、前記センタシリンダと前記懸架シリンダの各々とを連通状態に保った状態で、前記液圧源と前記懸架シリンダの各々との間の作動液の流れを制御可能な個別制御弁と、(c)それら個別制御弁を、それぞれ、開状態と閉状態とに切り換える個別制御弁制御部とを含み、前記4つの懸架シリンダ各々における作動液の流入・流出を制御することにより、懸架シリンダに対応する車輪と車体との間の相対位置である車高をそれぞれ調整する流入・流出制御装置と、
前記センタピストンのハウジングに対する相対位置が既知である場合に、少なくとも1つの閉状態にある個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて前記センタピストンの前記ハウジングに対する既知の位置からの隔たりである現位置を取得するセンタピストン位置取得装置と
を含むサスペンション装置。
センタピストンは、路面入力、車体の姿勢の変化、積載荷重の変化等に起因してハウジングに対して相対移動させられる。この場合においても、個別制御弁が閉状態にあれば、懸架シリンダとセンタ液圧室とを含む閉空間の容積は一定に保たれる。そのため、個別制御弁が閉状態にある場合のセンタピストンのハウジングに対する相対位置が既知である場合には、その既知の位置からのセンタピストンの移動の向き、移動量は、閉状態にある個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて取得することができる。
懸架シリンダ、センタ液圧室を含む閉空間にアキュムレータが含まれる場合には、懸架シリンダの液圧に基づいてアキュムレータに蓄えられた作動液の変化量(作動液収容室の容積変化量)を取得し、懸架シリンダ、アキュムレータの両方における作動液の変化量(容積変化量)に基づいてセンタピストンの現位置が取得されるようにすることが望ましい。
本項に記載のサスペンション装置には、(1)項ないし(12)項のいずれかに記載の技術的特徴を採用することができる。
以下、本発明の一実施例としてのサスペンション装置を、図面に基づいて詳細に説明する。
図1に示すように、前後左右の各輪4FL、FR、RL、RRにおいて、それぞれ、車輪保持装置6FL、FR、RL、RRと車体8との間に、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRが、サスペンションスプリングとともに設けられる。懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRは作動液により作動させられる。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRは、互いに構造が同じものであり、それぞれ、ハウジング11と、ハウジング11の内部を相対移動可能に嵌合されたピストン12と、ピストンロッド14とを含み、ピストンロッド14が車体8に、ハウジング11が車輪保持装置6に、それぞれ上下方向に相対移動不能に連結される。ピストン12には、そのピストン12により仕切られた2つの液室16,18を連通させる連通路20が設けられ、連通路20には絞りが設けられる。絞りにより、ピストン12のハウジング11に対する相対移動速度(絞りを流れる作動液の流速)に応じた減衰力が発生させられる。懸架シリンダ10はショックアブソーバとして機能する。
図1に示すように、ピストンロッド14は、サスペンションスプリング21を保持するスプリングリテーナ22にゴム等の弾性部材を介して取り付けられ、スプリングリテーナ22が車体8に上下方向に相対移動不能に取り付けられる。また、スプリングリテーナ22には、バウンド側ストッパ24が取り付けられる。バウンド側ストッパ24にシリンダ本体11の上端面26が当接することによってバウンド側の移動限度が規定される。
それに対して、ピストン12のピストンロッド14が設けられた側にはリバウンド側ストッパ28が設けられる。リバウンド側ストッパ28に本体11の内側上端面30が当接することにより、リバウンド側の移動限度が規定される。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの液室16には、それぞれ、個別連通路32FL、FR、RL、RRが接続される。
個別連通路32FL、FR、RL、RRの各々には、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの各々に対応して、互いに並列にアキュムレータ34FL、FR、RL、RRとアキュムレータ36FL、FR、RL、RRとが接続される。また、懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRとアキュムレータ36FL、FR、RL、RRとの間には、それぞればね定数切換弁38FL、FR、RL、RRが設けられる。
これらアキュムレータ34、36は、いずれもばねとしての機能を有するものであり、車輪4と車体8との相対移動に伴って弾性力を発生させる。
アキュムレータ34,36は、例えば、ハウジングとそのハウジングの内側を仕切る仕切部材とを含み、その仕切部材の一方の容積変化室に個別連通路32が連通させられ、他方の容積変化室に弾性体が設けられたものであり、一方の容積変化室の容積の増加に起因して他方の容積変化室の容積が減少し、それによって弾性力を発生させるものとすることができる。アキュムレータ34,36は、ベローズ式のものとしたり、ブラダ式のものとしたり、ピストン式のものとしたりすること等ができる。
本実施例においては、アキュムレータ34の方がアキュムレータ36よりばね定数が大きいものとされており、以下、アキュムレータ34を高圧アキュムレータと称し、アキュムレータ36を低圧アキュムレータと称する。ばね定数切換弁38は、常開の電磁開閉弁である。
個別連通路32FL、FR、RL、RRには、それぞれ、可変絞り40FL、FR、RL、RRが設けられる。前述のように、車輪保持装置6の車体8に対する相対的な上下動により液室16において作動液が流入・流出させられるが、この場合に、可変絞り40によって個別連通路32の流路面積が制御されることにより、懸架シリンダ10において発生させられる減衰力が制御される。本実施例においては、可変絞り40等により減衰力調整機構が構成される。
懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRの各々は、個別連通路32FL、FR、RL、RRを介してセンタシリンダ48に接続される。センタシリンダ48は、3つのピストンが連結されて成るピストン組立体としてのセンタピストン50と、そのセンタピストン50を液密かつ摺動可能に収容するシリンダハウジング51とを含む。センタピストン50は、図1の右側から順に、第一ピストン52,第二ピストン53および第三ピストン54を有し、第一ピストン52と第二ピストン53、第二ピストン53と第三ピストン54がそれぞれ連結ロッド56,58により直列に連結されている。
シリンダハウジング51は大径部と小径部とを備えた段付き状のシリンダボアを備え、そのシリンダボアにセンタピストン50が嵌合されることにより、ハウジング51内に4つの液室が形成されている。シリンダボアの大径部に第二ピストン53が嵌合され、小径部にそれぞれ第一ピストン52,第三ピストン54が嵌合される。したがって、第一ピストン52,第三ピストン54の直径は、第二ピストン53の直径より小さい。また、第一ピストン52,第三ピストン54の直径は互いに同じである。
第一ピストン52の第二ピストン53とは反対側が第一液室60、第一ピストン52と第二ピストン53との間が第二液室61、第二ピストン53と第三ピストン54との間が第三液室62、第三ピストン54の第二ピストン53とは反対側が第四液室63とされる。また、第一ピストン52において、第一液室60側が外側受圧面65とされて、第二液室61側が内側受圧面66とされる。また、第二ピストン53において、第二液室61側が内側受圧面67とされ、第三液室62側が内側受圧面68とされるとともに、第三ピストン54において、第三液室62側が内側受圧面69とされ、第四液室63側が外側受圧面70とされる。
本実施例においては、第一〜第四液室60〜63がセンタ液圧室に該当する。
第一液室60,第四液室63には、それぞれ、右前輪4FRの懸架シリンダ10FRの液室16,左前輪4FLの懸架シリンダ10FLの液室16が個別連通路32FR、FLを介して接続される。その結果、センタピストン50の外側受圧面65は、右前輪4FRの懸架シリンダ10FRの液室16の液圧(以下、懸架シリンダの液圧と称する)を受け、外側受圧面70は左前輪4FLの懸架シリンダ10FLの液圧を受ける。本実施例においては、第一ピストン52と第三ピストン54との直径が等しく、外側受圧面65と外側受圧面70との受圧面積も等しい。
また、互いに隣接する第一ピストン52と第二ピストン53との間の第二液室61には、個別連通路32RLにより左後輪4RLの懸架シリンダ10RLが接続され、第二ピストン53と第三ピストン54との間の第三液室62には個別連通路32RRにより右後輪4RRの懸架シリンダ10RRが接続される。
それに対して、第二液室61の両側の互いに反対向きである第一ピストン52の内側受圧面66と第二ピストン53の内側受圧面67とは、左後輪4RLの懸架シリンダ10RLの液圧を受ける。しかし、2つのピストンのうち直径の小さい第一ピストン52に加える力は、直径の大きい第二ピストン53の内側受圧面67のうち第一ピストン52の内側受圧面66と等しい受圧面積の部分に加える力により相殺される。そのため、センタピストン50の第二液室61の液圧に対する有効受圧面積は、第二ピストン53の内側受圧面67の受圧面積から第一ピストン52の内側受圧面66の受圧面積を差し引いた大きさとなる。同様に、センタピストン50の第三液室62の液圧に対する有効受圧面積は、第二ピストン53の内側受圧面68の受圧面積から第三ピストン54の内側受圧面69の受圧面積を差し引いた大きさとなる。つまり、センタピストン50には、第二液室61,第三液室62の液圧と、上述した有効受圧面積との積で表される力がそれぞれ作用することになる。
また、前述のように、第一ピストン52の直径と第三ピストン54の直径は等しいため、センタピストン50の第二液室61に対する有効受圧面積と第三液室62に対する有効受圧面積も等しい。さらに、本実施例においては、センタピストン50の第二液室61および第三液室62に対する有効受圧面積が、第一液室60および第四液室63に対する受圧面積と等しくなるように、第2ピストン53の直径が決定されている。
したがって、センタピストン50において、同じ側の2つの受圧面65,67にはそれぞれ、右前輪4FR、左後輪4RLの懸架シリンダ10FR,10RLの液圧に応じた力FFR、FRLを受け、2つの受圧面65,67とは反対側の2つの受圧面70,68には、それぞれ、左前輪4FL,右後輪4RRの懸架シリンダ10FL,10RRの液圧に応じた力を受ける。
また、センタシリンダ48において。センタピストン50の外側受圧面65とハウジング51の端面との間、外側受圧面70とハウジング51の端面との間には、それぞれ、自己復帰部としてのリターンスプリング71,72が設けられる。
本サスペンション装置には、流入・流出制御装置としての作動液給排装置74が設けられる。作動液給排装置74は、高圧源76、低圧源78としてのリザーバ、個別制御弁装置80等を含む。
高圧源76は、ポンプ81とポンプモータ82とを備えたポンプ装置84、蓄圧用アキュムレータ86等を含む。ポンプ装置84,蓄圧用アキュムレータ86等は制御通路88に設けられる。ポンプ81によってリザーバ78の作動液が汲み上げられて吐出され、蓄圧用アキュムレータ86において加圧した状態で蓄えられる。蓄圧用アキュムレータ86は常閉の電磁開閉弁である蓄圧制御弁90を介して制御通路88に接続される。制御通路88には、液圧センサ92が設けられる。液圧センサ92によれば、ポンプ81の吐出圧やアキュムレータ圧を検出することができる。
制御通路88のポンプ81の吐出側には、逆止弁94,消音用アキュムレータ96が設けられる。また、ポンプ81の高圧側と低圧側とを接続する流出通路104が設けられ、流出通路104に流出制御弁106が設けられる。
流出制御弁106は、ポンプ81の吐出圧をパイロット圧とするメカ式の開閉弁である。ポンプ81の非作動時には連通状態にあるが、ポンプ81の作動により吐出圧が高くなると遮断状態とされる。ポンプ81は、ギアポンプである。
個別制御弁装置80は、個別制御通路108FL、FR、RL、RRに設けられた個別制御弁110FL、FR、RL、RRを含む。個別制御通路108FL、FR、RL、RRは制御通路88と個別連通路32FL、FR、RL、RRとをそれぞれ接続する通路である。また、個別制御通路108FL、FRを接続する前輪側左右連通路111に左右連通弁112が設けられ、個別制御通路108RL、RRを接続する後輪側左右連通路113に左右連通弁114が設けられる。なお、個別制御通路108と個別連通路32とによって、懸架シリンダ10と制御圧通路88とがそれぞれ接続される。
本実施例においては、個別制御弁110が閉状態にされると懸架シリンダ10が液圧源98から遮断されるが、センタシリンダ48とは連通状態にある。
これら個別制御弁110FL、FR、RL、RR、左右連通弁112,114は、常閉の電磁開閉弁であり、左右連通弁112,114の遮断状態において個別制御弁110FL、FR、RL、RRを個別に制御することにより、各車輪4FL、FR、RL、RRの各々において、車輪保持装置6FL、FR、RL、RRとそれに対応する車体8の部分(懸架シリンダ10FL、FR、RL、RRに対応する部分)との間の距離である車高が独立に制御可能とされる。
本サスペンション装置は、コンピュータを主体とする車高調整ECU200によって制御される。車高調整ECU200は、実行部204,記憶部206,入出力部208等を含み、入出力部208には、ばね定数切換弁38、可変絞り40のコイル、作動液給排装置74(蓄圧用制御弁90,個別制御弁110,左右連通弁112、114のコイル、ポンプモータ82等)が図示しない駆動回路を介して接続されるとともに、液圧センサ92,前後左右の各輪毎に設けられ、車高をそれぞれ検出する車高センサ220,車両の走行状態を検出する走行状態検出装置222,車高調整モード選択スイッチ224,車高調整指示スイッチ226,イグニッションスイッチ227等がそれぞれ接続される。
走行状態検出装置222は、車両の走行状態を検出するものであり、車速センサ228等を含む。
車高調整モード選択スイッチ224は、運転者によって操作されるものであり、スイッチ224の操作により、自動モードとマニュアルモードとのいずれか一方が選択される。
車高調整指示スイッチ226は、車高を増大させる場合、車高を減少させる場合等に操作されるスイッチで、運転者のマニュアル操作によって切り換えられる。
記憶部206には、図2のフローチャートで表される位置検出用車高調整プログラム等が記憶される。
以上のように構成されたサスペンション装置における作動について説明する。
センタシリンダ48において、センタピストン50には、各車輪に設けられた懸架シリンダ10の液圧に応じた力(その液圧と、それに対応する受圧面の受圧面積との積で表される力)が作用し、原則として、静止状態においては、これらが釣り合っている。
車体にピッチング、例えば、車両の前側において車輪保持装置6と車体8との間の距離が減少して後側において増大した場合(例えば、制動した場合等)、左右前輪4FL,4FRの懸架シリンダ10FL,10FRの液圧が高くなり、左右後輪4RL,4RRの懸架シリンダ10RL,10RRの液圧が低くなる。そのため、第一ピストン52,第三ピストン54のそれぞれの外側受圧面65,70に作用する液圧が高くなり、第二ピストン52の内側受圧面67,68に作用する液圧が低くなる。この場合には、センタピストン50に作用する力の釣り合いの状態は変わらないため、センタピストン50の移動が抑制され、各懸架シリンダ10は、それぞれ独立しているに等しい状態となり、大きな減衰力が発生させられ、車両のピッチングが効果的に抑制される。
車体にローリング、例えば、車両の左側において車輪保持装置6と車体8との間の距離が増大して右側において減少した場合(例えば、左旋回時等の場合)、左前輪4FL、左後輪4RLの懸架シリンダ10FL,10RLの液圧が低くなり、右前輪4FR、右後輪4RRの懸架シリンダ10FR,10RRの液圧が高くなる。それに応じ、第三ピストン54の外側受圧面70および第二ピストン53の内側受圧面67に作用する液圧が低くなり、第一ピストン52の外側受圧面65および第二ピストン53の内側受圧面68に作用する液圧が高くなる。ローリング時にもセンタピストン50に作用する力の釣り合い状態が変わらない場合には、各懸架シリンダ10は、それぞれ独立しているに近い状態(極端に言えば、センタシリンダ48がなきに等しい状態)となり、ピストン12の移動に伴って懸架シリンダ10の各々において大きい減衰力が発生させられて、ローリングが効果的に抑制される。
路面から、前後左右の車輪の1つに入力が加わった場合、例えば、左前輪4FLに設けられた懸架シリンダ10FLに車輪保持装置6と車体8との間の距離を小さくする力が加わった場合(例えば左前輪FLが路面の隆起に乗り上げたような場合)あるいは車体8の対角位置にある車輪にそれらを同相移動させる力、例えば、懸架シリンダ10FL,10RRに車輪保持装置6と車体8との間隔を小さくする力が加わった場合には懸架シリンダ10FL,10RRの液圧が高くなり、懸架シリンダ10FR,10RLの液圧が低くなる。これに伴い、第三ピストン54の外側受圧面70および第二ピストン52の内側受圧面68に作用する液圧が高くなり、第二ピストン52の内側受圧面67および第一ピストン52の外側受圧面65に作用する液圧が低くなる。それによって、センタピストン50は、図1において右方へ移動する。その結果、第四液室63および第三液室62の容積が大きくなり、第二液室61,第一液室60の容積が小さくなる。したがって、懸架シリンダ10FL,10RRから作動液が流出するとともに懸架シリンダ10FR,10RLに流入し、あたかも、センタシリンダ48を介して2つの懸架シリンダ10FL,10RRと2つの懸架シリンダ10FR,10RLとが連通させられ、それらの間で作動液の授受が行われるに等しい状態となる。
懸架シリンダ10の各々において、減衰特性が可変絞り40の制御により制御される。
可変絞り40により個別連通路32の流路面積が小さくされた場合には、サスペンションの硬さがハード(車輪と車体との上下方向の相対移動速度が同じ場合の減衰力が大きくなる状態)となり、流路面積が大きくされた場合にはソフト(相対移動速度が同じ場合の減衰力が小さくなる状態)となる。サスペンションの硬さは、図示しないモード選択スイッチの運転者による操作に応じて切り換えられるが、車両の走行状態に基づいて制御されるようにすることもできる。
また、ばね定数切換弁38の制御によりばね定数が切り換えられる。
ばね定数切換弁38が連通状態とされた場合には、液室16に2つのアキュムレータ34,36が連通させられて、ばね定数が小さい状態とされ、ばね定数切換弁38が遮断状態とされた場合には、液室16から低圧アキュムレータ36が遮断されて高圧アキュムレータ34が連通させられるため、ばね定数が大きい状態とされる。
4つの車輪4FL,FR,RL,RRに対応する車高が作動液給排装置74により制御される。
左右連通弁112,114、個別制御弁110は、通常は、図示する原位置にある。例えば、左前輪4FLについて、車輪保持装置6FLと車体8の左前輪4FLに対応する部分との間の距離である車高を大きくする場合には、個別制御弁110FLが連通状態とされて、ポンプ81が作動させられる。ポンプ81の作動により流出制御弁106が遮断状態とされるため、ポンプ81から吐出された作動液が懸架シリンダ10FLに供給され、車高が大きくなる。実際の車高が目標値に達すると、個別制御弁110FLが遮断状態とされ、ポンプ81の作動が停止させられる。
車高を小さくする場合は、個別制御弁110FLが連通状態とされる。ポンプ81は停止状態にあるため、流出制御弁106は連通状態にある。懸架シリンダ10FLからリザーバ78に作動液が流出させられる。実際の車高が目標値に達すると、個別制御弁110FLが遮断状態とされる。
本実施例においては、ロー車高からすべての個別制御弁110が開状態とされて、ノーマル車高あるいはハイ車高まで車高を大きくする車高調整が行われる場合に、センタピストン50の位置が取得される。
ロー車高においては、各車輪の荷重は、主としてサスペンションスプリング21によって支持されるため、懸架シリンダ10の液室16の液圧は低い。そのため、個別制御弁110がすべて開状態とされて、センタシリンダ48の第一〜第四液室60〜63が互いに連通させられれば、センタピストン50は、スプリング71,72によりほぼ中央位置に戻される。
ポンプ81が作動させられることにより流出制御弁106が閉状態とされて、すべての懸架シリンダ10の液室16に作動液が供給される。例えば、各輪毎で荷重が同じではない場合には、最も荷重が小さい車輪(例えば、左前輪4FLの場合)について、車高が最初に目標車高HrefFLに達し、個別制御弁110FLが閉状態とされる。その後、個別制御弁110FLが閉状態に保たれた状態で、残りの個別制御弁110FR, RL, RRが開状態に保たれ、懸架シリンダ10FR, RL, RRに作動液が供給される。各輪の各々において、実際の車高が目標車高に達すると、その車輪に対応する個別制御弁110が開状態から閉状態に切り換えられる。すべての個別制御弁FL、FR、RL、RRが閉状態とされることにより車高調整は終了する。
車高調整が終了した時点においては、左前輪4FLの車高は目標車高からずれていることが多い。車高調整終了時の左前輪4FLの実際の車高HendFLが検出され、個別制御弁110FLが閉状態に切り換えられた時点の車高HrefFLとの差ΔHFLが取得される。
ΔHFL=HrefFL−HendFL
また、車高の変化量ΔHFLに懸架シリンダ10のピストンロッド14の断面積Swを掛けることにより、懸架シリンダ10FLにおける容積変化量ΔQFLが取得される。
ΔQFL=ΔHFL・Sw
一方、懸架シリンダ10FLとセンタシリンダ48の第四液圧室63とは個別制御弁110FLの閉状態において、液圧源98から遮断された状態で、互いに連通させられており、懸架シリンダ10FLの液室16,18と第四液室63とによって閉空間が形成される。閉空間内においては、作動液量、全体の容量は一定に保たれる。なお、閉空間内の圧力変化が小さい場合には、アキュムレータ34,36との間の作動液の授受は無視することができる。懸架シリンダ10FLにおける容積変化量ΔQFLとセンタピストン50における容積変化量とは、大きさは同じであるが、符号は逆となる。そのため、懸架シリンダ10FLにおける容積変化量ΔQFLをセンタピストン50の受圧面70の面積(第四液圧室63の横断面積)Spで割った値がセンタピストン50の移動量ΔIに対応する。
ΔI=ΔQFL/Sp
個別制御弁110FLが閉状態に切り換えられてから車高調整が終了するまでの間に、左前輪4FLの車高が小さくなった場合には、懸架シリンダ10FLの容積が減少し、第四液室63の容積が増加する。懸架シリンダ10FLから作動液が流出し、第四液室63に流入するのであり、センタピストン50は、中央位置から図1の右方へ移動させられる。その結果、車高終了時には、センタピストン50は、中央位置から右へ移動量ΔIの位置にあることがわかる。左前輪4FLの車高が大きくなった場合には、懸架シリンダ10FLの容積が増加し、第四液室63の容積が減少する。第四液室63から作動液が流出し、懸架シリンダ10FLに流入するのであり、センタピストン50は、中央位置から左方へ移動させられる。車高終了時には、中央位置から左へ移動量ΔIの位置にあることがわかる。
図2のフローチャートで表される位置検出用車高調整プログラムは、ピストン位置取得条件が満たされた場合に実行される。ピストン位置取得条件は、例えば、イグニッションスイッチ227がOFF状態からON状態に切り換えられた場合、走行距離が設定距離だけ増加した場合、車高調整が予め定められた設定回数以上行われた場合等の少なくとも1つが満たされた場合に、満たされたとすることができる。
S1において、すべての車輪4FR、FL、RR、RLについて、車高がロー車高にあり、かつ、車高を大きくする要求があるか否かが判定される。車高を大きくする要求がある場合には、S2において、ポンプモータ82が始動させられ、S3において、すべての個別制御弁110FR、FL、RR、RLが開状態に切り換えられる。ロー車高にあることにより、第一〜第四液室60〜63の液圧が低い状態で、互いに連通させられることによって、センタシリンダ48において、センタピストン50はリターンスプリング71,72によってほぼ中央位置に戻される。なお、すべての車輪4について荷重は同じであるとは限らないが、ロー車高であって、荷重が主としてサスペンションスプリング21によって支持されている場合には、第一〜第四液室60〜63を互いに連通させても、車体8が大きく傾くことはない。
S4において、各輪の車高が検出され、S5において、右前輪4FRの実際の車高が目標車高に達したか否かが判定される。目標車高に達する以前においては、判定がNOとなり、個別制御弁110FRは開状態に保たれる。目標車高に達すると、S5の判定がYESとなり、S6において、個別制御弁110FRが閉状態に切り換えられる。以下、同様に、S7〜12において、左前輪4FL、右後輪4RR、左後輪4RLの各々において、実際の車高が目標車高に達したか否かが判定され、目標車高に達する以前においては、個別制御弁110が開状態に保たれるが、目標車高に達すると開状態から閉状態に切り換えられる。
次に、S13において、今回のS4〜12の実行により開状態から閉状態に切り換えられた個別制御弁110があったか否かが判定され、今回閉状態に切り換えられた個別制御弁があった場合には、S14において、4つの個別制御弁110FR、FL、RR、RLのうちで、閉状態に切り換えられたのが最初であるか否かが判定される。換言すれば、前回の実行時には、すべての個別制御弁110FR、FL、RR、RLは開状態にあり、今回の実行時に、始めて閉状態に切り換えられたか否かが判定されるのである。
今回、始めて個別制御弁が閉状態に切り換えられた場合には、S15において、今回、閉状態に切り換えられた個別制御弁110に対応する車輪4の位置(閉状態にされた個別制御弁110に対応する懸架シリンダが接続されたセンタ液圧室の位置に対応)が記憶される。この時点において、閉状態にされた個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高は目標車高である。次に、S16において、すべての個別制御弁110FR、FL、RR、RLが閉状態に切り換えられたか否かが判定される。すべての車輪について、実際の車高が目標車高に達したか否かが判定されるのであり、車高調整が終了したか否かが判定される。なお、S13において、今回、閉状態に切り換えられた個別制御弁は1つの場合や2つ以上の場合がある。
車高調整の開始当初においては、S16の判定はNOとなり、S4,5,7,9,11,13,16が繰り返し実行され、個別制御弁110FR、FL、RR、RLが開状態に保たれたまま、ポンプ81から吐出された作動液がすべての懸架シリンダ10FR、FL、RR、RLに供給される。そのうちに、例えば、左前輪4FLの実際の車高が目標車高HrefFLに達すると、S7の判定がYESとなり、S8において個別制御弁110FLが閉状態に切り換えられる。S13,14の判定がYESとなり、S15において、左前輪4FLであることが記憶される。目標車高に達した車輪が1つであるため、S16の判定はNOとなり、S4に戻される。
S7において、左前輪4FLについては、車高は目標車高に達したため、S7の判定がYESとなりS8が実行される場合と、残りの車輪の車高調整に伴って目標車高から外れることにより、S7の判定がNOとなる場合があるが、S7の判定がNOとなっても、個別制御弁110FLについては、その状態が保たれ、開状態とされことはない。
そのうちに、例えば、右前輪4FRの実際の車高が目標車高に達すると、S5の判定がYESとなって、S6において個別制御弁110FRが閉状態に切り換えられるが、最初に閉状態になったのではないためS14の判定がNOとなる。また、すべての車輪について実際の車高が目標車高に達したわけではないため、S16の判定もNOとなり、S4に戻される。
そのうちに、すべての個別制御弁110FR、FL、RR、RLが閉状態とされると、S16の判定がYESとなって、S17において、車高調整が終了させられる。ポンプモータ82が停止させられる等の終了処理が行われる。S18において、左前輪4FLの車高の変化量ΔHが取得され、
ΔH=HendFL−HrefFL
S19において、センタピストン50の中央位置からの移動量ΔIが取得される。
ΔI=ΔH・Sw/Sp
また、左前輪4FLに対応する個別制御弁110FLが閉状態に保たれていたことから、車高の変化量ΔHが正の値である場合には、センタピストン50は、中央位置から図1の左方へ移動し、ΔHが負の値である場合には図1の右方へ移動したことがわかる。
S4〜12の実行において、2つ以上の個別制御弁110が閉状態に切り換えられることがあり、その場合には、2つ以上の個別制御弁110が閉状態に保たれた状態で、残りの車高について車高調整が行われる。この場合には、閉状態に保たれた個別制御弁110に対応する車輪のうちのいずれか1つについての車高の変化量が取得されるようにすればよい。
このように、本実施例においては、車高調整の終了時のセンタピストン50の中央位置からの隔たりである相対位置を取得することができる。
以上のように、本実施例においては、車高センサ220,車高調整ECU200の図2のフローチャートで表される位置検出用車高調整プログラムを記憶する部分、実行する部分等によりセンタピストン位置取得装置が構成される。センタピストン位置取得装置のうち、S3を記憶する部分、実行する部分等により基準相対位置移動装置が構成される。基準相対位置移動装置は、中央位置移動部、全個別制御弁開部、センタ液圧室連通部、ロー車高時連通部でもある。S18を記憶する部分、実行する部分および車高センサ220等により容積変化取得部、車高変化取得部が構成され、S19を記憶する部分、実行する部分等により現位置取得部、車高終了時位置取得部が構成される。また、中央位置は、既知の位置の一態様でもある。
なお、上記実施例においては、1つの個別制御弁110FLが閉状態に切り換えられた後、残りの個別制御弁110は、実際の車高が目標車高に達するまで開状態に保たれるようにされていたが、実際の車高が目標車高に達するまでの間に、開閉制御が行われるようにすることもできる。
また、上記実施例においては、各輪毎に、実際の車高が目標車高に達したか否かが判定され、個別制御弁110が1つずつ開閉させられるようにされていたが、左右前輪4FR、FL、左右後輪4RR、RLの平均車高がそれぞれ目標車高に達するか否かが判定され、個別制御弁110FR、FL、個別制御弁110RR、RLが同時に開閉させられるようにすることもできる。その一例を図3のフローチャートで表す。
本実施例においては、S50において、左右前輪4FR、FLの平均車高が目標車高に達したか否かが判定される。目標車高に達しない場合には、個別制御弁110FR、FLは開状態に保たれるが、目標車高に達すると、S51において、個別制御弁110FR、FLの両方が閉状態に切り換えられる。また、S52において、左右後輪4RR、RLの平均車高が目標車高に達したか否かが判定され、目標車高に達した場合には、S53において、個別制御弁110RR、RLの両方が閉状態に切り換えられる。
そして、S54において、個別制御弁110FR、FLあるいは個別制御弁110RR、RLのいずれかが今回のS4、50〜53の実行において閉状態に切り換えられたか否かが判定される。個別制御弁が閉状態にされたのが最初である場合には、S56において、閉状態にされた個別制御弁110に対応する車輪の位置(例えば、左右前輪であること)が記憶されるとともに、左前輪4FL(あるいは右前輪4FR)の車高HSFL(あるいはHSFR)が記憶される。この場合において、左輪の車高が記憶されても、右輪の車高が記憶されてもよい。例えば、左輪、右輪で荷重が異なる場合等には、平均車高が目標車高に達しても、左輪の車高と右輪の車高とが異なる場合がある。そのため、S57において、個別制御弁が閉状態に切り換えられた場合の実際の車高が記憶されるのである。
その後、左右後輪の平均車高が目標車高に達して、すべての個別制御弁110が閉状態にされた場合には、上記実施例における場合と同様に、S17において終了処理が行われ、S18において、左前輪4FLの現車高HendFLとS56において記憶された車高HSTLとの差
ΔH=HendFL−HSFL
が取得され、S19において、センタピストン50の中央位置からの隔たりである現位置が取得される。
このように、左右前輪、左右後輪の平均車高が目標車高に達するように車高調整が行われる場合においても同様に、車高調整終了時のセンタピストン50の位置を取得することができる。
また、上記実施例においては、センタピストン50の中央位置からの隔たりが検出されるようにされていたが、センタピストン50の図1の右端あるいは左端からの隔たりが検出されるようにすることもできる。センタピストン50を予め右端あるいは左端まで移動させ、その位置において、1つ以上の個別制御弁110を閉状態とするとともにその閉状態とされた個別制御弁110に対応する車輪の車高を検出して記憶する。そして、その個別制御弁110を閉状態に保ったまま、残りの車輪の車高調整を行う。この車高調整の前後のその車輪の車高の変化に基づいて車高調整終了時のセンタピストン50の右端あるいは左端からの移動量、移動の向きが取得される。
さらに、センタピストン50の既知の位置からの隔たりが検出されるようにすることもできる。既知の位置において、1つ以上の個別制御弁を閉状態とするとともに車輪の車高を記憶しておく。その個別制御弁を閉状態に保ったまま、残りの車輪について車高調整を行う。そして、その閉状態に保たれた個別制御弁110に対応する車輪の、車高調整の前後の車高の変化に基づいて、センタピストン50の既知の位置からの移動量、移動の向きが取得される。
また、上記実施例においては、予め定められた車高調整要求があった場合に行われる車高調整において、センタピストン50の位置が取得されるようにされていたが、センタピストン50の位置を検出するために、作動液の給排が行われる(車高調整が行われる)ようにすることができる。
さらに、上記実施例においては、ロー車高から車高を大きくする場合に適用される場合について説明したが、ノーマル車高から車高を小さくあるいは大きくする場合にも適用したり、ハイ車高から車高を小さくする場合に適用したりすることもできる。これらの場合には、個別制御弁110FR、FL、RR、RLすべてを開状態に切り換えた場合に、センタピストン50を中央位置に正確に戻すことができない場合もあるが、車高調整終了後のセンタピストン50のおよその位置を取得することができる。
本発明は、前述に記載の態様の他、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した態様で実施することができる。
本発明の一実施例であるサスペンション装置全体を表す図である。 上記サスペンション装置の車高調整ECUの記憶部に記憶された位置検出用車高調整プログラムを表すフローチャートである。 上記車高調整ECUの記憶部に記憶された別の位置検出用車高調整プログラムを表すフローチャートである。
符号の説明
10:懸架シリンダ 48:センタシリンダ 50:センタピストン 110:個別制御弁 200:車高調整ECU

Claims (5)

  1. 車両の前後左右の各輪に対応して、各々、車輪を保持する車輪保持装置と車体との間に設けられた4つの懸架シリンダと、
    (a)ハウジングと、(b)そのハウジングに相対移動可能に嵌合されたセンタピストンと、(c)そのセンタピストンによって仕切られ、前記前後左右の各輪に対応する懸架シリンダにそれぞれ接続された4つのセンタ液圧室とを含み、前記前後左右の各輪の懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダと、
    (a)液圧源と、(b)その液圧源と前記4つの懸架シリンダの各々との間に設けられ、前記センタシリンダと前記懸架シリンダの各々とを連通状態に保った状態で、前記液圧源と前記懸架シリンダの各々との間の作動液の流れを制御可能な個別制御弁と、(c)それら個別制御弁を、それぞれ、開状態と閉状態とに切り換える個別制御弁制御部とを含み、前記4つの懸架シリンダの各々における作動液の流入・流出を制御することにより、懸架シリンダに対応する車輪と車体との間の相対位置である車高をそれぞれ調整する流入・流出制御装置と、
    その流入・流出制御装置による車高調整中、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保ち、その個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて前記センタシリンダにおける前記センタピストンの前記ハウジングに対する相対位置を取得するセンタピストン位置取得装置と
    を含むサスペンション装置であって、
    当該サスペンション装置が、前記センタピストンを前記ハウジングに対して、中央位置と、移動限度に達した位置とのいずれか一方である基準相対位置に至るまで相対移動させる基準相対位置移動装置を含み、
    前記流入・流出制御装置が、前記センタピストンが前記基準相対位置にある状態において、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に切り換え、その少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保つとともに、残りの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出を制御する一部流入・流出制御部を含み、
    前記センタピストン位置取得装置が、(x)前記閉状態に保持された個別制御弁に対応する前記少なくとも1つの懸架シリンダの、前記液圧源から遮断されてからの容積変化を取得する容積変化取得部と、(y)その容積変化取得部によって取得された容積変化に基づいて、前記センタピストンの前記基準相対位置からの隔たりである現位置を取得する現位置取得部とを含むことを特徴とするサスペンション装置。
  2. 前記基準相対位置移動装置が、前記センタピストンを前記中央位置まで移動させる中央位置移動部を含み、
    前記センタシリンダが、少なくとも、前記4つのセンタ液圧室が互いに連通させられた状態で、前記センタピストンを中央位置に復帰させる自己復帰部を含み、
    前記中央位置移動部が、前記4つのセンタ液圧室を互いに連通させるセンタ液圧室連通部を含む請求項1に記載のサスペンション装置。
  3. 前記センタシリンダのセンタ液圧室の各々と前記懸架シリンダの各々とが、それぞれ、個別連通路を介して接続されるとともに、各々の個別連通路に、前記液圧源から延び出し、途中に前記個別制御弁が設けられた個別制御通路がそれぞれ接続され、前記センタ液圧室連通部が、前記4つの個別制御弁を開状態とすることにより前記4つのセンタ液圧室を互いに連通させる全個別制御弁開部を含み、その全個別制御弁開部が前記流入・流出制御装置の個別制御弁制御部に含まれる請求項に記載のサスペンション装置。
  4. 当該サスペンション装置が、前記前後左右の各輪の各々において、前記車輪保持装置と前記車体との間に、前記懸架シリンダとともに設けられたサスペンションスプリングを含み、前記流入・流出制御装置が、前記前後左右の各輪の車高を、前記車輪に加えられる荷重が主として前記サスペンションスプリングによって支持される大きさである設定値以下とする車高低減部を含み、前記センタ液圧室連通部が、その車高低減部によって各輪の車高が設定値以下となった状態で、前記4つのセンタ液圧室を互いに連通させるロー車高時連通部を含む請求項2または3に記載のサスペンション装置。
  5. 車両の前後左右の各輪に対応して、各々、車輪を保持する車輪保持装置と車体との間に設けられた4つの懸架シリンダと、
    (a)ハウジングと、(b)そのハウジングに相対移動可能に嵌合されたセンタピストンと、(c)そのセンタピストンによって仕切られ、前記前後左右の各輪に対応する懸架シリンダにそれぞれ接続された4つのセンタ液圧室とを含み、前記前後左右の各輪の懸架シリンダの液圧により作動させられるセンタシリンダと、
    (a)液圧源と、(b)その液圧源と前記4つの懸架シリンダの各々との間に設けられ、前記センタシリンダと前記懸架シリンダの各々とを連通状態に保った状態で、前記液圧源と前記懸架シリンダの各々との間の作動液の流れを制御可能な個別制御弁と、(c)それら個別制御弁を、それぞれ、開状態と閉状態とに切り換える個別制御弁制御部とを含み、前記4つの懸架シリンダの各々における作動液の流入・流出を制御することにより、懸架シリンダに対応する車輪と車体との間の相対位置である車高をそれぞれ調整する流入・流出制御装置と、
    その流入・流出制御装置による車高調整中、少なくとも1つの個別制御弁を閉状態に保ち、その個別制御弁に対応する懸架シリンダが設けられた車輪の車高の変化に基づいて前記センタシリンダにおける前記センタピストンの前記ハウジングに対する相対位置を取得するセンタピストン位置取得装置と
    を含むサスペンション装置であって、
    当該サスペンション装置が、前記センタピストンを前記ハウジングに対して、予め定められた基準相対位置である中央位置に至るまで相対移動させる中央位置移動部を含み、
    前記流入・流出制御装置が、前記センタピストンが前記中央位置にある状態で車高調整を開始し、最初に目標車高に達した少なくとも1つの車輪に対応する個別制御弁を閉状態に保った状態で、残りの懸架シリンダに対応する車輪の車高が目標車高に達するまで、前記残りの懸架シリンダにおける作動液の流入・流出を制御する位置検出時車高調整部を含み、
    前記センタピストン位置取得装置が、(a)前記閉状態に保持された個別制御弁に対応する前記少なくとも1つの懸架シリンダに対応する車輪の、前記個別制御弁が閉状態に切り換えられた時点から前記位置検出時車高調整部による車高調整が終了する時点までの間の車高変化を取得する車高変化取得部と、(b)その車高変化取得部によって取得された車高変化に基づいて、前記センタピストンの前記中央位置からの隔たりである現位置を取得する車高終了時位置取得部とを含むことを特徴とするサスペンション装置。
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