JP4449716B2 - 軸受予圧機構 - Google Patents

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Description

この発明は、軸受予圧機構に関する。
特開平8−74845号公報 特開平7−145814号公報 特開2000−192978号公報
自動車用のギア式駆動伝達ユニット、例えばトランスミッションユニットにおいては、その要所(例えばトランスミッションユニットでは終減速装置部分)に円錐ころ軸受が採用されている。円錐ころ軸受は、コンパクトでありながら大容量で使用可能な利点があり、また、ギアチェンジ時等における衝撃荷重への耐久性にも優れている利点がある。しかし、円錐ころ軸受は、ころ転走面が傾斜しているためアキシャル隙間規制用の予圧が必要である。予圧により、円錐ころ軸受のアキシャル隙間を負に設定することで、ギアの噛合い精度も向上する。
他方、近年は軽量化の一環として、トランスミッションのケースをAl合金などの軽金属で構成することが行なわれている。Alは構造材料中でも線膨張率が最も高く(室温で約23.5×10−6/℃:以下、線膨張率の単位はppm/℃と略記する))、回転軸を構成する鋼(Fe系材料)の線膨張率(室温で約12ppm/℃)とは相当の差がある。自動車の使用環境上の可能性を考慮すると、トランスミッションひいては回転軸を支持する円錐ころ軸受がさらされる温度環境は、最大で−40℃以上150℃以上にも及び、軽金属製のケースの回転軸に対する相対的な寸法変化範囲も相当に大きい。この場合、寒冷地以外の通常の使用環境では、走行中にトランスミッションの温度は室温よりも高い、例えば50℃以上80℃以下の温度域に昇温する。
円錐ころ軸受にアキシャル方向の予圧を加えると、その外輪は、傾斜したころ転送面上での分力を受けてラジアル方向にも変位し、軸受外径面がケース内面に押し付けられて予圧が支持される。しかし、上記のごとくケースを軽合金で構成する場合、トランスミッションが昇温すると、軽金属製のケースは軸受が取り付けられた回転軸よりも大きく膨張するから、特許文献1のような定位置予圧方式を採用した場合はケース内面が軸受外径面から離間する。つまり、予圧状態での軸受のアキシャル隙間の温度変化が大きく、昇温時に予圧不足となってギアがたつきによる騒音等も生じやすくなる問題がある。この場合、この予圧をコイルばねや皿ばねを用いて加える定圧予圧方式を採用すれば、ケース内面による軸受外径面の支持位置が温度変化しても、ばね付勢により予圧状態でのアキシャル隙間をほぼ一定に保つことができる。
トランスミッションに採用されるギアは、古くはスパーギアが採用され、例えばマニュアルトランスミッション車では、逆転用ギアのスライドを考慮し、現在でもバックギアにはスパーギアが採用されることがある。しかし、スパーギアはギアノイズ(うなり音)が大きいため、最近ではバックギアも含めてトランスミッションの全てのギアに、低ノイズのヘリカルギアが採用される場合がある。ヘリカルギアは歯面の接触面積がスパーギアよりも大きいため荷重容量も大きく、トランスミッションユニットの高耐久化や小形化にも寄与している。
他方、ヘリカルギアは噛合い回転に伴いスラストが発生する。このスラストは回転軸を介してこれを支持する円錐ころ軸受にも伝わることとなるが、円錐ころ軸受に付加される予圧の軸線がスラストの軸線と一致しているために、次のような問題を生ずる。すなわち、トランスミッションユニットにおいては、円錐ころ軸受への予圧付加方向が、自動車の前進回転時におけるヘリカルギアのスラストの向きと合わされており、スラストは予圧をいわば補強する向きに働くので、特に問題は生じない。他方、後退回転時の場合、バックギアがスパーギアであれば問題はないが、ヘリカルギアで構成されている場合は上記のラストの向きも逆転することになる。この場合、上記のように、ばねを用いた定圧予圧方式が採用されていると、スラストでばねが押し戻される(換言すれば、ばねによる予圧の一部がスラストで相殺される)ので、予圧不足ひいてはギアのがたつきを招きやすくなる。この事情は、トランスミッションユニットに限らず、自動車において軸回転方向の反転が考慮される全てのヘリカルギアユニット(例えば、四輪駆動車の各輪への駆動分配軸用のギアユニット)において生じうる。
なお、特許文献2及び特許文献3には、軽金属製のケースと外輪との間に、ばねに代えて樹脂製あるいは鋼製のソリッドな弾性体からなるシムを配置する技術が開示されている。しかし、このようなシムは予圧付勢のための弾性圧縮ストロークが小さいので、ケースの熱膨張が大きくなると予圧不足に陥りやすいし、後退時のスラストが大きい場合にはつぶれ変形することもあり、シムを介在させない定位置予圧方式と比較すれば、がたつき防止効果に乏しいことは否めない。
本発明の課題は、ケーシングが軽合金で構成されるヘリカルギア式の駆動伝達ユニットにおいて、ユニットの環境温度が変化しても主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧を十分なレベルに保つことができるとともに、逆転駆動時においてヘリカルギアからのスラストによる予圧相殺を生じにくい軸受予圧機構を提供することにある。
課題を解決するための手段及び発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明の軸受予圧機構の第一は、
他軸からの回転がヘリカルギアを介して主回転軸に正逆両方向に伝達されるギア式駆動伝達ユニットにおける、主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧機構であって、
円錐ころ軸受の外輪は、軸受外径面が、主回転軸の構成材料よりも線膨張率の大きい材質よりなる軸受ハウジングの内面と当接し、背面が予圧部材と当接する形で配置され、ヘリカルギアからのスラストを、主回転軸の正転時には予圧部材からの予圧付与方向と一致した正方向スラストとして受ける一方、逆転時にはスラストを予圧付与方向と逆向きの逆方向スラストとして受けるようになっており、さらに、
予圧部材を介して外輪を予圧付与方向に付勢することにより円錐ころ軸受に予圧を加えるとともに、当該付勢により、軸受ハウジングと主回転軸との線膨張率差に由来した、軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置の温度変化を吸収する予圧付勢機構と、
主回転軸の逆転時に、逆方向スラストにより予圧部材が予圧付与方向と逆向きに変位することを阻止する予圧部材逆変位阻止機構と、を有したことを前提とする。
この前提構成によると、ヘリカルギアを介して正逆両方向の回転伝達を受ける主回転軸を円錐ころ軸受で支持し、その円錐ころ軸受の軸受外径面を軽金属製の軸受ハウジングの内面で支持する。そして、軸受の外輪背面に当接する予圧部材を、ヘリカルギアの正方向スラストと一致した向きに予圧付勢機構により付勢することで、軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置の温度変化を吸収でき、ユニットの環境温度が変化しても主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧を十分なレベルに保つことができる。他方、主回転軸の逆転時には、予圧部材が逆方向スラストによって予圧付与方向と逆向きに変位することが、上記の予圧部材逆変位阻止機構により阻止される。すなわち、ヘリカルギアからの逆方向スラストに抗して予圧部材がアキシャル方向に定位置保持されるので、予圧不足ひいてはギアのがたつきを極めて効果的に防止することができる。
そして、本発明の第一では、予圧付勢機構は、予圧部材を予圧付与方向に付勢する液圧シリンダを含んで構成され、予圧部材逆変位阻止機構は、予圧部材を付勢するために液圧シリンダに圧送注入される液状圧力媒体の逆流を防止する逆止弁を含んで構成されることを特徴とする。液圧シリンダを用いることで、予圧部材を予圧付与方向に均一に付勢することができ、軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置が変化した場合でも、液圧シリンダによる付勢ストロークを変化させることで、予圧部材を常時適切な付勢位置に保持することができる。そして、ヘリカルギアからの逆方向スラストが加わった場合は、液圧シリンダに注入される液状圧力媒体の逆流を阻止し、シリンダからの液状圧力媒体の流出を遮断することで液状圧力媒体が剛体化するので、予圧部材の変位を強固に阻止することができる。つまり、逆方向スラストを受けない状態では液圧シリンダへの液状圧力媒体の流入を許容し、同じく逆方向スラストを受ける状態では流出を阻止することで、本発明の軸受予圧機構の第一の機能を、流体圧制御機構により簡単に実現することができる。特に、液圧シリンダに液状圧力媒体を圧送注入するための媒体注入経路上に設けられた逆止弁を用いれば、上記逆流防止機構を極めて簡単に構成することができる。
また、予圧付勢機構は液圧シリンダのみで構成することも可能であるが、予圧に必要な荷重を液圧シリンダが単独で担う関係上、やや大型のシリンダが必要となる。そこで、予圧付勢機構を、(液圧シリンダと協働して)予圧部材を予圧付与方向に付勢する弾性付勢部材を有するものとして構成すると、予圧に必要な荷重の一部を弾性付勢部材(例えばコイルばねや皿ばね)に担わせることで液圧シリンダの荷重負担が減り、シリンダのサイズを縮小することができる。この場合、予圧付与の機能の要部を弾性付勢部材に担わせ、液圧シリンダについては、前述の逆流防止機構と組み合わせにより、予圧部材をアキシャル方向に定位置保持するための機能を優先させた構成となっていてもよい。これにより、液圧シリンダの付勢力はさらに小さくてもよくなるから、予圧付勢機構のサイズ縮小効果がさらに高められる。
また、本発明の第一では、軸受ハウジングは、円錐ころ軸受をその主回転軸線周りに取り囲む筒状のハウジング壁部を有し、主回転軸線方向において該ハウジング壁部の外輪の背面よりも延出して液圧シリンダのシリンダ本体を形成し、予圧部材は、外輪の背面と当接する形で配置される液圧シリンダのピストンを形成するように構成され、シリンダ本体の内周面に対するピストンの摺動隙間が、液圧シリンダの内圧が過剰となった場合の液状圧力媒体の逃がし通路として機能するように構成されることを特徴とする。液圧シリンダのピストンに予圧部材を兼用させることで、予圧付勢機構をより単純に構成することができる。この場合、液圧シリンダには液状圧力媒体の逃がし通路を設けるこにより、円錐ころ軸受が過予圧となる不具合を効果的に防止することができる。逃がし通路は、リリースバルブ付きの逃がし通路を液圧シリンダに別途設ける形にしてもよいが、シリンダ本体の内周面に対するピストンの摺動隙間を、液圧シリンダの内圧が過剰となった場合の液状圧力媒体の逃がし通路として利用すれば、構造をより簡略化できる。この場合、摺動隙間における液状圧力媒体の通過抵抗に打ち勝つ予圧が加わったとき、該摺動隙間を経て液状圧力媒体がシリンダ外に漏れ出し、過予圧が防止されることとなる。
過予圧は、予圧機構に対する温度履歴が原因となる。具体的には、温度上昇時においては、軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置の温度変化を吸収するために、液圧シリンダへの液状圧力媒体の注入によりピストンは外輪を付勢する向きに変位する。しかし、その後温度が低下すると、線膨張率が主回転軸よりも小さい(例えば軽金属製の)軸受ハウジング及びシリンダ本体は大きく収縮する。このとき、ピストンの移動によって液圧シリンダへの液状圧力媒体の注入体積は増加しているので、上記収縮が起こると閉じ込められた液状圧力媒体が圧縮され、液圧シリンダの内圧が上昇して過予圧となる場合がある。そこで、上記摺動隙間を介して液状圧力媒体を逃がせば、過予圧となることを抑制することができる。
次に、摺動隙間にはシリンダ本体の内周面とピストンの外周面とをシールする弾性シール部材を圧縮形態で配置することができる。シリンダ本体の熱膨張により摺動隙間が増加しても、弾性シール部材の配置により液圧シリンダから液圧シリンダが過剰に漏出することを防止することができる。この効果は、シリンダ本体がピストンよりも線膨張率の高い材質で構成されている場合に特に顕著である。
この場合、弾性シール部材に液状圧力媒体の逃がし制御機能を担わせることもできる。すなわち、液圧シリンダの内圧が過剰となった場合に液状圧力媒体を、弾性シール部材のシール力に打ち勝って摺動隙間内を通過させることによりこれを逃がすようにするのである。弾性シール部材の配置により摺動隙間を大きくできるので、クリアランス単体での流通抵抗は小さくなり、かつ、弾性シール部材のシール力の調整により、液状圧力媒体を適切な限界圧力で確実に逃がすことができるようになる。また、摺動隙間が大きくてよいので、液圧シリンダないしピストンの摺動面の仕上げ精度はそれ程必要でなくなり、製造が容易になる利点がある。
次に、本発明の軸受予圧機構の第二は、他軸からの回転がギアを介して主回転軸に正逆両方向に伝達されるギア式伝達機構において、主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧機構であって、
円錐ころ軸受の外輪は、軸受外径面が、主回転軸の構成材料よりも線膨張率の大きい材質よりなる軸受ハウジングの内面と当接し、背面が予圧部材と当接する形で配置され、外輪は、ギアからのスラストを、主回転軸の正転時には予圧部材からの予圧付与方向と一致した正方向スラストとして受ける一方、逆転時にはスラストを予圧付与方向と逆向きの逆方向スラストとして受けるようになっており、さらに、
回転軸と軸受ハウジングとの線膨張率差に由来した軸受ハウジング内面の軸受外径面からの熱的相対変位を吸収するために、予圧部材を介して外輪を予圧付与方向に付勢する予圧付勢機構を備えることを前提とする
この前提構成によると、ヘリカルギアを介して正逆両方向の回転伝達を受ける主回転軸を円錐ころ軸受で支持し、その円錐ころ軸受の軸受外径面を軽金属製の軸受ハウジングの内面で支持する。そして、比較的低温となる第一温度域においては、軸受の外輪背面に当接する予圧部材を、ヘリカルギアの正方向スラストと一致した向きに予圧付勢機構により付勢することで、軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置の温度変化を吸収でき、ユニットの環境温度が変化しても主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧を十分なレベルに保つことができる
そして、本発明の第二では、予圧付勢機構は、予圧部材を予圧付与方向に付勢する弾性付勢部材を有するものとして構成される。弾性付勢部材による予圧付加により、軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置の温度変化を吸収でき、第一温度域において多少温度変化が大きくても、主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧を十分なレベルに保つことができる。また、弾性付勢部材により予圧付勢機構の構成を単純化することができる。
また、本発明の第二では、軸受ハウジングは、円錐ころ軸受をその主回転軸線周りに取り囲む筒状のハウジング壁部を有、主回転軸線方向において該ハウジング壁部を外輪の背面よりも延出して支持壁部を形成しており、予圧部材は、支持壁部の内側に配置されるとともに温度上昇に応じて外径が拡径変化する膨張・収縮部材であり、予め定められた第一温度域では自身の外周面と支持壁部の内面との間に隙間を生ることにより、弾性付勢部材による該予圧部材の予圧付与方向への変位を許容し、第一温度域よりも高温の第二温度域においては、自身の拡径により、その外周面にて支持壁部の内面に自身を突っ張り固定することにより、主回転軸の逆転時に、逆方向スラストによる該予圧部材の予圧付与方向と逆向きの変位を阻止する機能を実現するものとされている。予圧部材を上記のような膨張・収縮部材とすることで、自身の逆変位を阻止する機構を極めて簡単に実現することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は本発明の適用対象となるギア式駆動伝達ユニットの一例を断面構造にて示すものである。該ギア式駆動伝達ユニット20はケース2Mを有し、その内部にギアボックス7が配置されている。ケース2M内において、入力軸(他軸:回転軸線O2)3と主回転軸(出力軸:回転軸線O1)4とが、それぞれギアボックス7を貫通する形で配置され、該ギアボックス7内において各々の軸上に配置されたギア30,31とが噛合っている。そして、入力軸3の回転はギア30,31を介して主回転軸4に正逆両方向に伝達される。出力軸3の両端は、ケース2Mの内側に固定された円筒ころ軸受5と玉軸受6とによりそれぞれ支持されている。一方、主回転軸4の両端はいずれも円錐ころ軸受8,9により支持されている。このうち、第一端側の円錐ころ軸受9はケース2Mと一体のブラケット9Bに当て止め固定されている。他方、第二端側の円錐ころ軸受8は、ケース2Mと一体の軸受ハウジング2Bに挿入され、かつ、外輪15の背面において、本発明の第一の一実施形態である軸受予圧機構(以下、単に「予圧機構」ともいう)1により、上記第一端側に向けて予圧付勢されている。
ギア式駆動伝達ユニット20は、自動車のトランスミッション又は四輪駆動車の駆動分配軸用ギアユニットをなすものである。トランスミッションの場合、ギアボックス7内に配置されるギアは、入力軸3上に配置される歯数の異なる複数枚の入力側ギア(符号31側)と、主回転軸4上の同様の複数枚の出力側ギア(符号30側)であり、得るべき変速比ないし前進/後退の区別に応じて、噛合いの組み合わせが切替え可能に構成されている(例えば、マニュアルトランスミッション車の場合)。他方、オートマチック車の場合は、ギア30,31が遊星ギア機構の遊星ギアと太陽ギアとに振り分けられた構造となる場合がある。また、四輪駆動車の駆動分配軸用ギアユニットの場合は、ギア30,31のギア比は固定される。ギア30,31は、(トランスミッションの場合はバックギアも含めて)その全てが図2に示すようなヘリカルギアで構成されている。
図3及び図4は予圧機構1の要部を拡大して示すものである。円錐ころ軸受8の外輪15は、軸受外径面15aが、主回転軸4の構成材料よりも線膨張率の大きい材質よりなる軸受ハウジング2Bの内面と当接している。具体的には、主回転軸4が鋼製(例えば、機械構造用低合金鋼)であり、軸受ハウジング2Bが軽金属製である。軽金属はAl又はMgのいずれかを主成分(含有率にて50質量%以上)とする金属であるが、加工性及び耐食性の観点からAl又はAl合金が使用される。また、円錐ころ軸受8は、転動体(円錐ころ16)及び軌道輪(外輪15/内輪14)が、いずれも軸受鋼にて構成されている。本実施形態では、ケース2MもAl合金製であり、軸受ハウジング2Bは該ケース2Mの内面に一体化されてなる。Al合金としては、具体的にはダイキャスト用Al合金が使用される。自動車用のトランスミッション等における軸受使用環境温度は−40℃〜150℃の範囲(寒冷地及び高速連続運転等を除いた通常到達温度は、50℃〜80℃)であり、軸受ハウジング2Bの構成主成分であるAlの線膨張係数は23〜24ppm/℃、主回転軸4及び円錐ころ軸受8の構成主成分であるFeの線膨張係数は12〜13ppm/℃である。
外輪15の背面15bは予圧部材21と当接する形で配置されている。主回転軸4は前進駆動時には正方向に、後退駆動時には逆方向に回転する。円錐ころ軸受8への予圧付与方向は、正方向回転時のヘリカルギア30,31のスラストの向きに一致させてある。その結果、外輪15は、図6に示すように、ヘリカルギア30,31(符号30t、31tはギア30,31の歯を示す)からのスラストを、主回転軸4の正転時には予圧部材21からの予圧付与方向と一致した正方向スラストFFとして受ける一方、逆転時にはスラストを予圧付与方向と逆向きの逆方向スラストRFとして受ける。
図3は正転時、図4は逆転時の予圧機構1の状態を示すものである。予圧機構1は、予圧付勢機構11と予圧部材逆変位阻止機構24とを有する。予圧付勢機構11は、図3に示すように、予圧部材21を介して外輪15を予圧付与方向に付勢することにより円錐ころ軸受8に予圧を加える。また、当該付勢により、軸受ハウジング2Bと主回転軸4との線膨張率差に由来した、軸受ハウジング内面2aによる軸受外径面支持位置の温度変化を吸収する。他方、予圧部材逆変位阻止機構24は、図4に示すように、主回転軸4の逆転時に、逆方向スラストRFにより予圧部材21が予圧付与方向と逆向きに変位することを阻止する。
予圧付勢機構11は、予圧部材21を予圧付与方向に付勢する液圧シリンダ26(及び後述の弾性付勢部材である圧縮コイルばね22)を含んで構成される。また、予圧部材逆変位阻止機構24は、図3及び図4では、予圧部材21を付勢するために液圧シリンダ26に注入される液状圧力媒体Fの逆流防止機構を含む。該逆流防止機構は、液圧シリンダ26に液状圧力媒体Fを圧送注入するための媒体注入経路23M,23上に設けられた逆止弁、具体的にはチェックバルブ(以下、このチェックバルブに逆流防止機構の符号「24」を付与する場合がある)にて構成されている。
図1に示すように、軸受ハウジング2Bは、円錐ころ軸受8をその回転軸線O1周りに取り囲む筒状のハウジング壁部2wを有する。ハウジング壁部2wは、上記回転軸線O1の方向において該ハウジング壁部2wの外輪15の背面15bよりも延出し、液圧シリンダ26のシリンダ本体2Sを形成している。また、予圧部材21は、外輪15の背面15bと当接する形で配置される液圧シリンダ26のピストン21とされている(ただし、予圧部材21を該ピストンと別部材にし、予圧部材21をピストンにより付勢する構成も可能である)。ハウジング壁部2w及びシリンダ本体2Sはいずれも軽金属(Al合金)製である。
本実施形態では、液圧シリンダ26への液状圧力媒体Fの注入をスムーズに行なうため、図3に示すように、液圧シリンダ26の底部26Bを貫通させる形で、該液圧シリンダ26の内部空間26Sと連通する、液状圧力媒体Fの注入経路23M,23の一部をなす底部貫通孔23を形成している。また、前述のチェックバルブ(逆止弁)24を、該底部貫通孔23上に設けている。
前述のごとく、本実施形態において予圧付勢機構11は、液圧シリンダ26とともに予圧部材21を予圧付与方向に付勢する弾性付勢部材22を有する。該弾性付勢部材22は、自身の配置スペースの確保を考慮して、予圧部材21に対して、円錐ころ軸受8の外輪15の背面15bに当接しているのと反対側に当接させている。弾性付勢部材22の変位は、予圧付与方向とは逆方向であるから、本実施形態では圧縮弾性付勢部材を採用しており、具体的には圧縮コイルばねとしている(以下、圧縮コイルばね22ともいう)。
本実施形態では、予圧付勢機構11において、液圧シリンダ26と圧縮弾性付勢部材22を併用する構成が採用されており、圧縮弾性付勢部材22は、シリンダ本体2Sの液状圧力媒体Fの注入空間26S内に配置され、ピストン21を(液状圧力媒体Fによる液体圧と協働して)予圧付与方向に付勢するものとされている。圧縮弾性付勢部材22を液圧シリンダ26内に配置することで、予圧付勢機構11の大幅なコンパクト化が図られている。本実施形態では、液圧シリンダ26は油圧シリンダを採用している。液状圧力媒体Fがオイルであり、シリンダ本体2S内部にてこれと常時接触する状態で配置されることを考慮すれば、圧縮弾性付勢部材22は、吸油により膨潤の懸念があるゴムやプラスチック等で構成するよりは、ばね鋼やベリリウム銅などのばね用金属材料で構成するほうが耐久性の観点で有利である。また、シリンダ本体2Sの内周面に沿って配置された圧縮コイルばね22とすることが、省スペース上望ましい。
以下、軸受予圧機構1の動作について説明する。
図1において、主回転軸4は、入力軸3からの回転伝達により正逆両方向に回転する。図3において、予圧部材をなすピストン21は、圧縮コイルばね22のばね付勢力により円錐ころ軸受8の外輪15の背面を当接して、これを予圧する。主回転軸4が正転する場合、ヘリカルギア30,31のスラストはこの予圧方向と一致している(図6右参照)。また、油圧シリンダ26の内部空間26Sには、液体圧ポンプ25により、注入経路23M,23を経てオイル(液状圧力媒体)Fが注入される。貫通孔23上に配置されたチェックバルブ24は、オイルの入り口23Eと出口23Qとを有し、オイルFが注入方向に流れている場合は、ボール24Bが、ボールよりも大寸法に形成された出口23Qに移動して、オイルFの内部空間26Sへの注入を許容する。この注入による油圧も、ピストン21に加わる予圧荷重の一部をなし、付加される油圧のレベルは液体圧ポンプ25の出力に応じて調整可能である。
図5に示すように、軸受予圧機構1の温度が比較的温にて一定に保たれる状態では、ピストン21の予圧方向の位置は変化せず、圧縮コイルばね22と油圧とによる予圧荷重のレベルもほぼ一定に保たれる。しかし、温度が上昇すると、軸受8及び主回転軸4(図3)よりも軸受ハウジング2Bのほうが線膨張率が大きいため、軸受ハウジング2Bの内面2aが拡径し、軸受外径面15aから離間しようとする。つまり、軸受ハウジング内面2aによる軸受外径面支持位置がラジアル方向外向きに変化し、外輪15によるピストン21への反力が減少する。すると、ピストン21は外輪15を、圧縮コイルばね22と油圧による予圧付勢力と、外輪15からの反力とがバランスする位置まで移動させる。その結果、軸受外径面支持位置が温度上昇により移動しても、外輪15に対する予圧はほぼ一定に保たれる。
他方、図4に示すように、自動車後退時のように主回転軸4が逆転する場合は、ヘリカルギア30,31のスラストが予圧方向に対し逆向きにかかることになる(図6左参照)。すると、この逆方向スラストによりピストン21が予圧方向と逆向きに押し戻される。ピストン21が後退するには、油圧シリンダ26の内部空間体積は減少しなければならず、オイルFは貫通孔23から液体圧ポンプ25側へ流出する必要がある。しかし、貫通孔23の途上にはチェックバルブ24が設けられており、オイルFの逆流に反応してボール24Bが入り口23E側に移動してこれを塞ぐので、オイルFは内部空間26Sからの流出が遮断される。これにより、内部空間26S内のオイルFは、密閉液体特有の大きな剛性によりピストン21の後退を阻止する。つまり、ヘリカルギア30,31からの逆方向スラストにより予圧部材21が予圧付与方向と逆向きに変位することが阻止され、定位置予圧状態となる。
圧縮コイルばね22だけの付勢であると、逆方向スラストを受けた場合に、ピストン21はこの圧縮コイルばね22の付勢力に打ち勝って後退し、予圧不足状態となる。すると、円錐ころ軸受8のアキシャル隙間が増大し、図1のヘリカルギア30,31の噛合いにがたつきを生ずる。例えばトランスミッションの場合、バックギアをヘリカルギア30,31で構成しても、上記のようながたつきを生ずるとギアうなり音を十分抑制できなくなるし、ギアの磨耗も進行しやすくなる。しかし、上記のように、弾性圧縮率の小さい密閉液体(オイルF)の剛性を利用してピストン21(つまり予圧部材)を固定し、定位置予圧化を図れば、ギアのがたつきはほとんど生じない。特に本実施形態では、ヘリカルギアからのスラストの方向を貫通孔(媒体注入経路)23のオイル(液状圧力媒体)Fの流れの向きに変換し、これをチェックバルブ24により機械的に検知させてオイルFの流出を自動遮断するので、構造が極めて簡単である。
また、本実施形態の軸受予圧機構1の場合、過予圧は、軸受予圧機構1の温度履歴が原因となって生ずることもある。以下、具体的に説明する。図5の「昇温時」に示すごとく、軸受ハウジング2Bの内面2aによる軸受外径面支持位置が昇温により拡径方向に移動すると、そのままでは予圧不足となって円錐ころ軸受8のアキシャル隙間が増加してしまう。そこで、前述のごとく油圧シリンダ26は、オイルFの注入によりピストン21を、該アキシャル隙間が減少する向き、つまりシリンダ26の内部空間26Sが増加する向きに変位する。しかし、その状態で温度が低下すると、図5の「降温時」に示すように、線膨張率が主回転軸よりも小さい軸受ハウジング2B(及びシリンダ本体)は収縮し、オイルFで満たされた内部空間26Sの体積も減少する。しかし、オイルFの排出は図4のチェックバルブ24により阻止されるので、弾性圧縮率の小さい密閉オイルの剛性によりピストン21は過予圧状態となる。そこで、上記摺動隙間40を介してオイルFを逃がせば、過予圧となることを抑制することができる。
本実施形態では、油圧シリンダ26をAl合金で構成する一方、予圧部材となるピストン21は鋼で構成している。このため、温度が上昇すると、シリンダ本体2Sとピストン21との間の線膨張率差により摺動隙間40が増加することになる。そこで、摺動隙間40には、シリンダ本体2Sの内周面2aとピストン21の外周面21aとをシールする弾性シール部材27(例えばゴム製のシールリングである)が圧縮形態で配置されている。温度履歴により摺動隙間40の寸法が変化した場合、弾性シール部材27は、その寸法変化に追随して自身の弾性圧縮変形量を変化させることで、シール面との密着状態を常時維持することが可能である。弾性シール部材27に使用するゴムの材質は、オイルFとの接触を考慮して、機械的強度と耐油性とを両立できるゴム、例えばニトリルゴム(特に、水素化ニトリルゴム)、アクリルゴム及びフッ素ゴム等が好適である。
また、円錐ころ軸受8は潤滑油による飛沫潤滑状態にて摺動するようになっているが、油圧シリンダ26は、そのオイルFとして、円錐ころ軸受8の潤滑油として機能するものが使用されている。これにより、摺動隙間40からの漏出オイルLOは、そのまま円錐ころ軸受8の潤滑に流用することができる。この場合、ゴム製の弾性シール部材27の膨潤を抑制する観点から、潤滑油はアニリン点のなるべく高いもの(例えば、ニトリルゴムの場合、アニリン点が90℃以上のもの)を使用することが望ましい。
この場合、図5に示すごとく、油圧シリンダ26の内圧が、圧縮状態の弾性シール部材27の剛性に打ち勝って増加すると、漏出オイルLOは弾性シール部材27を変形させながら摺動隙間40内に流れ出すこととなる。つまり、弾性シール部材27は、漏出オイルLOの逃がし制御機能も担う。また、弾性シール部材27の該機能により、摺動隙間40はある程度大きく設定することができるので、摺動隙間40自体の漏出オイルLOに対する流通抵抗を小さくでき、適切な限界圧力でオイルFを確実に逃がすことができるようになる。また、摺動隙間40を大きくできるということは、図1において、油圧シリンダ26及びピストン21の摺動面の仕上げ精度を軽減でき、製造が容易になる利点ももたらす。
以下、本発明の第一に係る軸受予圧機構1の種々の変形例について説明する(図3及び図4と共通の構成要素においては同一の符号を付与して詳細な説明は省略する)。図7の構成においては、弾性付勢部材を省略し、油圧シリンダ26のみによって予圧付勢機構11を構成している。この場合、油圧シリンダ26は予圧付勢力の全てを担う必要があるので、より容量の大きなものを使用する必要があり、ポンプ25の出力も高める必要がある。
また、図8の構成は、ピストン21Bを、シリンダ本体2S(軸受ハウジング2B)と同様のAl合金(軽金属)にて構成した例である。図9は、図5と同様の温度履歴に対する作用説明図であるが、この場合はピストン21Bとシリンダ本体との線膨張率差が小さい(同一材料ならゼロ)ので、摺動隙間40は温度が変化してもほぼ一定である。そこで、一定圧力以上でのオイル漏出が可能な範囲内で、摺動隙間40の寸法を適当に小さく設定しておけば、弾性シール部材を廃止することができる。ただし、オイルの流通抵抗を下げるために、摺動隙間40を広げて図5と同様の弾性シール部材27を配置することも、もちろん可能である。
また、図10に示すごとく、チェックバルブ24(逆止弁)の配置場所は、油圧シリンダ26の貫通孔23(注入経路)上に限られるものではなく、当然、ポンプ25と油圧シリンダ26とを結ぶ主経路23M上に設けることも可能であるし、ポンプ25自身が逆止弁25Bを内蔵している場合は、それを流用することもできる。しかし、主経路23Mやポンプ25のオイル圧送空間の弾性変形代が大きいと、その変形代の分だけオイルFの逆流が許容されてしまい、ピストン21(予圧部材)の定位置化効果が損なわれる懸念もある。従って、逆止弁は油圧シリンダ26になるべく近い位置に設けること、ひいては、図2のごとく油圧シリンダ26の壁部(底部26B)に内蔵することが、より望ましいといえる。また、逆止弁に代えて電磁バルブ等で構成されたストップバルブを設け、他方、油圧シリンダ内に圧力センサ26hを配置し、圧力センサ26hが検出するシリンダ内圧により、逆方向スラストの発生を検知し、ストップバルブを作動させてオイルFの注入経路23M,23からの流出を遮断するようにしてもよい。さらに、圧力センサ26hが検出するシリンダ内圧に追従してポンプ25によるオイルの圧送圧力を変化させる方式も可能である。この場合、逆方向スラストが発生した場合は、オイルの圧送圧力を増加させることでオイルFの注入経路23M,23からの流出が遮断される。従って、逆止弁やストップバルブなどが不要となる。
(実施の形態2)
以下、本発明の第二に係る予圧機構の実施形態について説明する。ただし、実施の形態1の予圧機構と共通の部分には、共通の符号を付与して詳細な説明は省略する。図11において、ギア式駆動伝達ユニット20は図1とほぼ同様に構成されているが、これに採用されている軸受予圧機構100は、本発明の第二の一実施形態をなすものとして構成されている。軸受予圧機構100は予圧付勢機構11を有するが、これは、予め定められた基準温度T0(例えば50℃〜80℃の範囲内で設定される)未満の温度域においてのみ、予圧部材121を介して外輪15を予圧付与方向に付勢するものとして構成されている。他方、基準温度T0を超える温度域においては、主回転軸4の逆転時に、逆方向スラストRFにより予圧部材121が予圧付与方向と逆向きに変位することを阻止する予圧部材逆変位抑制手段が形成されている。
予圧付勢機構11は、予圧部材121を予圧付与方向に付勢する弾性付勢部材22(実施の形態1と同様の圧縮コイルばね)を有している。そして、軸受ハウジング2Bは、円錐ころ軸受8をその主回転軸4線周りに取り囲む筒状のハウジング壁部2wを有し、回転軸線方向において該ハウジング壁部2wの外輪15の背面15bよりも延出して支持壁部2SSを形成する。他方、予圧部材121は、支持壁部2SS(Al合金製)の内側に配置されるとともに温度上昇に応じて外径が拡径変化する膨張・収縮部材として構成されている。そして、図14の「低温時」に示すように、基準温度T0未満の温度域では、予圧部材121は自身の外周面121aと支持壁部2SSの内面2aとの間に隙間40を生じることにより、予圧付勢機構1(圧縮コイルばね22)による予圧部材121の、予圧方向への変位が許容される。他方、図14の「高温時」に示すように、基準温度T0を超える温度域においては、自身の拡径により、その外周面にて支持壁部2SSの内面2aに自身を突っ張り固定し(つまり、隙間40が負の値となる)、予圧部材逆変位抑制手段としての機能を実現する。
上記のような予圧部材121は、例えばバイメタルリングで構成することができる。図12に、その具体的な構成例を示している。このバイメタルリング121は、リング半径方向において外側に位置する金属層121pが、内側に位置する金属層121bよりも線膨張率が大であり、かつ、リング半径方向に振幅を一致させた波型のうねり120wを、リング周方向に周期的に形成した波型クラッドリングにて形成されている。このように構成しておくと、昇温によりリング内側の波の開口が広がるように変形しリング121が拡径し、降温すれば縮径することとなる。そして、リング121の外接円径は、望みの温度範囲において、支持壁部2SSの内径よりも小さくなる値と、同じく大きくなる値との間で変化するように定められる。従って、うねりに沿ったリングの線長は、支持壁部2SSの内径全周長よりも、当然長く設定しておく必要がある。なお、昇温による外側金属層121pの内側金属層121bに対する相対膨張により、うねりが延びきった単純なリング形状となることを妨げない。
具体的な材質であるが、昇温時の拡径変位を大きくするためには、外側金属層121pと内側金属層121bとの線膨張率差をなるべく大きく設定することが望ましい。この場合、内側金属層121bは、Fe−Ni合金(特にインバー組成に近いもの)などの低膨張材料で構成するとよい。他方、外側金属層121pは、Ni単体金属、Fe−Ni−Mn合金、Fe−Ni−Cr合金などで構成できる。
なお、膨張・収縮部材として構成された予圧部材121はバイメタルリングに限らず、図13に示す予圧部材221のように、例えば支持壁部2SSよりも線膨張係数の大きい高分子材料(例えばポリテトラフルオロエチレン樹脂など)で構成することも可能である。また、低温相状態である支持壁部2SSの内面よりも径小の第一リング形状と、高温相状態である支持壁部2SSの内面よりも径大の第二リング形状との双方を記憶した二方向形状記憶合金(例えば、組成をNiリッチ側にシフトさせたTi−Ni合金を用い、高温相状態で支持壁部2SSの内径よりも径大のリング形状にて記憶熱処理したものを、さらに低温相状態で支持壁部2SSの内径よりも径小のリング形状に成形し、その状態で拘束加熱処理を施すことにより、縮径した低温相状態も記憶できるようになる)として構成してもよい。
図15は、リング外径の温度変化を模式的に示すものであり、Aはバイメタルリング又は高分子材料リングを使用した場合であり、温度変化に伴いリング外径はほぼ連続的に変化する。しかし、Bの形状記憶合金リングの場合は、一次相転移に伴う材料の不連続な体積変化を利用するので、ある変態温度(昇温時:開始温度AS/終了温度Af、降温時:開始温度MS/終了温度Mf)で不連続に外径が変化する。また、昇温時と降温時とで変態温度に数℃程度のヒステリシスを生ずるのが通常である。図16は、隙間40の温度変化を示すもので、昇温に伴い、Aの場合はある温度T0まで連続的に隙間が減少した後にゼロになるが、Bの場合は、変態温度に到達するまで連続的に隙間が減少した後、ある温度で不連続に隙間が減少し、ゼロとなる。
本発明の軸受予圧機構の第一において、その一実施形態を示す断面図。 ヘリカルギアの模式図。 図1の要部を示す断面図(正転時)。 図1の要部を示す断面図(逆転時)。 図1の軸受予圧機構の作用説明図。 ヘリカルギアのスラスト発生の説明図。 図1の軸受予圧機構の、第一変形例の要部を示す断面図。 図1の軸受予圧機構の、第二変形例の要部を示す断面図。 図8の軸受予圧機構の作用説明図。 図1の軸受予圧機構の、第三変形例の要部を示す断面図。 本発明の軸受予圧機構の第二において、その一実施形態を示す断面図。 膨張・収縮部材として構成された予圧部材の第一例を示す図。 同じく第二例を示す図。 膨張・収縮部材として構成された予圧部材の作用説明図。 膨張・収縮部材として構成された種々の予圧部材の外径と温度との関係を模式的に示すグラフ。 同じく隙間量と温度との関係を模式的に示すグラフ。
符号の説明
1,121 予圧機構
2B 軸受ハウジング
2w ハウジング壁部
2M ケース
2S シリンダ本体
2SS 支持壁部
3 入力軸(他軸)
4 出力軸(主回転軸)
8 円錐ころ軸受
11 予圧付勢機構
15 外輪
15a 軸受外径面
15b 背面
20 ギア式駆動伝達ユニット
21 ピストン(予圧部材)
22 弾性付勢部材(圧縮コイルばね)
23 貫通孔
23M 主経路(媒体注入経路)
24 逆止弁(チェックバルブ、予圧部材逆変位阻止機構)
26 油圧シリンダ(液圧シリンダ)
27 弾性シール部材
F オイル(液状圧力媒体)
30,31 ヘリカルギア
40 摺動隙間
120,220 予圧部材(予圧部材逆変位抑制手段)

Claims (6)

  1. 他軸からの回転がヘリカルギアを介して主回転軸に正逆両方向に伝達されるギア式駆動伝達ユニットにおける、前記主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧機構であって、
    前記円錐ころ軸受の外輪は、軸受外径面が、前記主回転軸の構成材料よりも線膨張率の大きい材質よりなる軸受ハウジングの内面と当接し、背面が予圧部材と当接する形で配置され、前記ヘリカルギアからのスラストを、前記主回転軸の正転時には前記予圧部材からの予圧付与方向と一致した正方向スラストとして受ける一方、逆転時には前記スラストを前記予圧付与方向と逆向きの逆方向スラストとして受けるようになっており、さらに、
    前記予圧部材を介して前記外輪を前記予圧付与方向に付勢することにより前記円錐ころ軸受に予圧を加えるとともに、当該付勢により、前記軸受ハウジングと前記主回転軸との線膨張率差に由来した、前記軸受ハウジング内面による軸受外径面支持位置の温度変化を吸収する予圧付勢機構と、
    前記主回転軸の逆転時に、前記逆方向スラストにより前記予圧部材が前記予圧付与方向と逆向きに変位することを阻止する予圧部材逆変位阻止機構と、を備え、
    前記予圧付勢機構は、前記予圧部材を前記予圧付与方向に付勢する液圧シリンダを含んで構成され、前記予圧部材逆変位阻止機構は、前記予圧部材を付勢するために前記液圧シリンダに圧送注入される液状圧力媒体の逆流を防止する逆止弁を含んで構成されており、
    前記軸受ハウジングは、前記円錐ころ軸受をその主回転軸線周りに取り囲む筒状のハウジング壁部を有し、前記主回転軸線方向において該ハウジング壁部の前記外輪の背面よりも延出して前記液圧シリンダのシリンダ本体を形成し、前記予圧部材は、前記外輪の背面と当接する形で配置される前記液圧シリンダのピストンを形成しており、
    前記シリンダ本体の内周面に対する前記ピストンの摺動隙間が、前記液圧シリンダの内圧が過剰となった場合の前記液状圧力媒体の逃がし通路として機能することを特徴とする軸受予圧機構。
  2. 前記シリンダ本体の内周面に対する前記ピストンの摺動隙間には,前記シリンダ本体の内周面と前記ピストンの外周面とをシールする弾性シール部材が圧縮形態で配置され、前記液圧シリンダの内圧が過剰となった場合に前記液状圧力媒体を、前記弾性シール部材のシール力に打ち勝って前記摺動隙間内を通過させることによりこれを逃がすようにした請求項1記載の軸受予圧機構。
  3. 前記摺動隙間が温度履歴に伴い変化するようになっており、前記弾性シール部材は該摺動隙間の温度変化に追随して自身の圧縮変形量を変化させるものである請求項2記載の軸受予圧機構。
  4. 前記予圧付勢機構は、前記液圧シリンダとともに前記予圧部材を前記予圧付与方向に付勢する弾性付勢部材を有する請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の軸受予圧機構。
  5. 前記弾性付勢部材は前記予圧部材に対して、前記円錐ころ軸受の前記外輪の背面に当接しているのと反対側に当接する圧縮弾性付勢部材である請求項4記載の軸受予圧機構。
  6. 他軸からの回転がヘリカルギアを介して主回転軸に正逆両方向に伝達されるギア式伝達機構において、前記主回転軸を支持する円錐ころ軸受の予圧機構であって、
    前記円錐ころ軸受の外輪は、軸受外径面が、前記主回転軸の構成材料よりも線膨張率の大きい材質よりなる軸受ハウジングの内面と当接し、背面が予圧部材と当接する形で配置され、前記外輪は、前記ヘリカルギアからのスラストを、前記主回転軸の正転時には前記予圧部材からの予圧付与方向と一致した正方向スラストとして受ける一方、逆転時には前記スラストを前記予圧付与方向と逆向きの逆方向スラストとして受けるようになっており、さらに、
    前記主回転軸と前記軸受ハウジングとの線膨張率差に由来した前記軸受ハウジング内面の前記軸受外径面からの熱的相対変位を吸収するために、前記予圧部材を介して前記外輪を前記予圧付与方向に付勢する予圧付勢機構を備え
    前記予圧付勢機構は、前記予圧部材を前記予圧付与方向に付勢する弾性付勢部材を有し、
    前記軸受ハウジングは、前記円錐ころ軸受をその主回転軸線周りに取り囲む筒状のハウジング壁部を有し、前記主回転軸線方向において該ハウジング壁部の前記外輪の背面よりも延出して支持壁部を形成しており、
    前記予圧部材は、前記支持壁部の内側に配置されるとともに温度上昇に応じて外径が拡径変化する膨張・収縮部材であり、予め定められた第一温度域では自身の外周面と前記支持壁部の内面との間に隙間を生じることにより、前記弾性付勢部材による該予圧部材の前記予圧付与方向への変位を許容し、前記第一温度域よりも高温の第二温度域においては、自身の拡径により、その外周面にて前記支持壁部の内面に自身を突っ張り固定することにより、前記主回転軸の逆転時に、前記逆方向スラストによる該予圧部材の前記予圧付与方向と逆向きの変位を阻止することを特徴とする軸受予圧機構。
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