JP4449344B2 - 酸化物磁器組成物、及びセラミック多層基板 - Google Patents

酸化物磁器組成物、及びセラミック多層基板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は酸化物磁器組成物及びセラミック多層基板に関し、より詳しくは低温焼成が可能な酸化物磁器組成物、及び該酸化物磁器組成物を使用したセラミック多層基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、セラミック多層基板に使用されるセラミック材料としては、BaO−Al−SiO系の酸化物磁器組成物が広く使用されている。
【0003】
このような酸化物磁器組成物のうち、特許文献1では、Si、Ba、Al、B、Cr及びCaの各成分の含有量を所定範囲とすることにより、低温焼成が可能で焼成温度範囲が広く、しかも比誘電率の小さい酸化物磁器組成物を得ている(特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開平4−16551号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、電気回路装置の小型化が進む中、該電気回路装置に組み込まれるセラミック多層基板についても小型化・薄層化が要求されている。そして、これに伴いセラミック多層基板には高い抗折強度が要求されているが、セラミック多層基板の抗折強度は、通常、セラミック材料の組成に大きく依存する。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の酸化物磁器組成物を今日の小型化・薄層化されたセラミック多層基板に使用しても所望の十分な抗折強度を得ることができず、電気回路装置に割れが発生することがあるなど、市場の要求を十分に満足し得なくなってきている。
【0007】
また、この種のセラミック多層基板では、その製造過程で酸化物磁器組成物が内部導体と同時焼成されるため、基板特性を安定なものにするためには、より低温で焼成させる必要がある。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みなされたものであって、良好な基板特性を有し、小型化・薄層化されたセラミック多層基板の信頼性向上を図ることができる酸化物磁器組成物、及びそれを用いたセラミック多層基板を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記目的を達成するために鋭意研究を行ったところ、BaO−Al−SiO系酸化物磁器組成物に適正量のZrOを添加することにより、低温焼成で緻密な組織を有する酸化物磁器組成物を得ることができ、これによりセラミック多層基板の抗折強度を向上させることができるという知見を得た。
【0010】
本発明はこのような知見に基づきなされたものであって、本発明に係る酸化物磁器組成物は、主成分としてAl、Si、Ba、B及びCrを含有した酸化物磁器組成物であって、前記主成分が、Al成分をAlに換算して4.0〜60.0重量%、Si成分をSiOに換算して4.0〜70.0重量%、Ba成分をBaOに換算して4.0〜40.0重量%、B成分をBに換算して1.0〜30.0重量%、Cr成分をCrに換算して0.3〜3.0重量%含有し、かつ、第1の副成分として、前記主成分100重量部に対し、Zr成分をZrOに換算して0.05〜0.5重量部含有していることを特徴としている。
【0011】
さらに、本発明者らが鋭意研究を重ねたところ、MgO、CaO、ZnO及びSrOを、主成分100重量部に対し、総計で3重量部以下含有させることにより、焼成可能温度範囲を拡げることができ、これにより焼成炉に温度変動が生じても不良品の発生率が低減できて製品歩留まりの向上を図ることができるという知見を得た。
【0012】
すなわち、本発明の酸化物磁器組成物は、第2の副成分として、前記主成分100重量部に対し、Mg、Ca、Zn、及びSrの中から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれMgO、CaO、ZnO及びSrOに換算して総計で3重量部以下含有していることを特徴としている。
【0013】
また、本発明に係るセラミック多層基板は、複数のセラミック層が積層されてなるセラミック素体に内部導体が埋設されたセラミック多層基板であって、前記セラミック層が上記酸化物磁器組成物で形成されていることを特徴としている。
【0014】
上記セラミック多層基板によれば、セラミック層が上記酸化物磁器組成物で形成されているので、抗折強度や各種電気特性等、基板特性の良好なセラミック多層基板を得ることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を詳説する。
【0016】
本発明の酸化物磁器組成物は、主成分が、AlをAlに換算して4.0〜60.0重量%、SiをSiOに換算して4.0〜70.0重量%、BaをBaOに換算して4.0〜40.0重量%、BをBに換算して1.0〜30.0重量%、CrをCrに換算して0.3〜3.0重量%含有し、かつ、副成分(第1の副成分)として、前記主成分100重量部に対してZrをZrOに換算して0.05〜0.5重量部含有している。
【0017】
このように主成分中のAl、Si、Ba、B、Cr、及びZrの各成分を、上記組成範囲とすることにより、はんだ付け性を損なうこともなく、抗折強度に優れ、比誘電率(εr)、Q値等の電気的特性が良好な小型・薄層化されたセラミック多層基板に好適な酸化物磁器組成物を得ることができる。
【0018】
次に、主成分中のAl、Si、Ba、B、Cr、及びZrの各成分を上述の組成範囲とした理由について詳述する。
【0019】
(1)Al成分
酸化物磁器組成物中に適度なAl成分を含有させてAl化合物を組成物表面に析出させることにより、酸化物磁器組成物の抗折強度を制御することができる。しかしながら、Alの含有量がAlに換算して4.0重量%未満の場合は、Al成分の含有量が過少となってAl化合物が十分に析出せず、抗折強度が200MPa未満に低下する。一方、Alの含有量がAlに換算して60.0重量%を超える場合は、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、抗折強度が200MPa未満に低下し、またQ値も1000未満となって電気的特性の低下を招く。
【0020】
そこで、本実施の形態では、Al成分の含有量をAlに換算して4.0〜60.0重量%としている。
【0021】
(2)Si成分
Si成分は他の含有成分と共に、酸化物磁器組成物の電気的特性や抗折強度の向上に寄与するが、その含有量がSiOに換算して4.0重量%未満、又は70.0重量%を超えると、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、このためQ値が1000未満となって電気的特性の低下も招く。
【0022】
そこで、本実施の形態では、Si成分の含有量をSiOに換算して4.0〜70.0重量%としている。
【0023】
(3)Ba成分
Ba成分も他の含有成分と共に、酸化物磁器組成物の電気的特性や抗折強度の向上に寄与するが、その含有量がBaOに換算して4.0重量%未満、又は40.0重量%を超えると、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、このためQ値が1000未満となって電気的特性の低下も招く。
【0024】
そこで、本実施の形態では、Ba成分の含有量をBaOに換算して4.0〜40.0重量%としている。
【0025】
(4)B成分
B成分も他の含有成分と共に、酸化物磁器組成物の電気的特性や抗折強度の向上に寄与するが、その含有量がBに換算して1.0重量%未満になると、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、このためQ値が1000未満となって電気的特性の低下を招く。一方、B成分の含有量がBに換算して30.0重量%を超えると、非晶質相が増加し、Q値が1000未満となって電気的特性の低下を招く。
【0026】
そこで、本実施の形態では、B成分の含有量をBに換算して4.0〜30.0重量%としている。
【0027】
(5)Cr成分
内部導体とセラミック層とを同時焼成したときに、セラミック層中のガラス相が内部導体の表面に浮き出るとはんだ付け性が悪化する。そして、Cr成分は、ガラス相の流動を抑制してはんだ付け性の悪化を防止する作用を奏するが、Cr成分の含有量がCrに換算して0.3重量%未満の場合は、Cr成分の含有量が過少であるため、所期の作用を奏さず、はんだ付け性の向上を図ることができない。一方、Cr成分の含有量がCrに換算して3.0重量%を超えた場合もはんだ付け性が悪化することがある。
【0028】
そこで、本実施の形態では、Cr成分の含有量をCrに換算して0.3〜3.0重量%としている。
【0029】
(6)Zr成分
Zr成分は焼結助剤としての作用を有しており、したがって酸化物磁器組成物中にZr成分を含有させることにより、より低温での焼成で緻密な組織を得ることができる。しかしながら、Zr成分の含有量が、主成分100重量部に対し、ZrOに換算して0.05重量部未満、又は0.5重量部を超えると、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、Q値が1000未満となって電気的特性の低下も招く。
【0030】
そこで、本実施の形態では、Zr成分の含有量を、主成分100重量部に対し、ZrOに換算して0.05〜0.5重量部としている。
【0031】
尚、上記酸化物磁器組成物は、例えばSiO、BaCO、Al、B、Cr及びZrOを所定の組成比率となるように調合・混合し、所定温度で仮焼処理を施し、その後湿式粉砕等を経て容易に製造することができる。
【0032】
図1は本発明に係るセラミック多層基板の一実施の形態を示す断面図であって、該セラミック多層基板は、セラミック層1(1a〜1c)が上記酸化物磁器組成物からなり、複数のセラミック層1a〜1cが積層されてセラミック素体2を形成している。
【0033】
また、セラミック素体2の表面には外部導体3(3a、3b)が形成されると共に、該セラミック素体2の内部には所定パターンの内部導体4(4a〜4c)が埋設されており、ビアホール5(5a〜5d)を介して各内部導体間4、又は内部導体4と外部導体3とが電気的に接続されている。
【0034】
次に、このセラミック多層基板の製造方法を説明する。
【0035】
まず、上記酸化物磁器組成物に適量のバインダ、溶媒、及び可塑剤を添加して湿式粉砕し、スラリー状とした後、ドクターブレード法等により成形加工を施し、所定形状に成形されたセラミックグリーンシートを作製する。
【0036】
次いで、該セラミックグリーンシートに対し、必要に応じてビアホール5を形成し、さらに、導電性ペーストを使用し、所定の配線パターンをセラミックグリーンシート上にスクリーン印刷して内部導体4を形成し、その後、セラミックグリーンシートを適宜積層してセラミック層1を形成し、該セラミック層1を複数積層した積層体に、所定温度下、焼成処理を施し、セラミック素体2を形成する。
【0037】
次いで、セラミック素体2の表面にAg又はCuを主成分とする導電性ペーストを塗布して焼付処理を行ない、外部導体3を形成し、これによりセラミック多層基板が作製される。
【0038】
このように本実施の形態では、セラミック層1が上記酸化物磁器組成物で形成されているので、はんだ付け性を損なうこともなく、抗折強度等や、比誘電率(εr)、Q値等の電気的特性を向上させることができるセラミック多層基板を得ることができる。
【0039】
尚、本発明は上記実施の形態に限定されるものではない。焼成炉の温度変動による不良品の発生を低減するためには、焼成可能温度範囲を拡くするのが望ましく、斯かる観点からは、第2の副成分として、Mg、Ca、Zn、及びSrの中から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれMgO、CaO、ZnO及びSrOに換算し、前記主成分100重量部に対して総計で3重量部以下となるように前記酸化物磁器組成物に含有させるのが好ましい。そして、このようにすることにより、焼成可能温度範囲が拡がり、焼成炉の温度変動に起因した不良品の発生を低減して製品歩留まりの向上を図ることができる。但し、第2の副成分が主成分100重量部に対し、総量で3重量部を超えると、焼成温度の上昇を招き、また、焼成温度範囲も第2の副成分を含有させなかったときと同程度の温度範囲に狭まる。したがって、第2の副成分を添加する場合は、主成分100重量部に対し、総量で3重量部以下が好ましい。
【0040】
【実施例】
次に、本発明の実施例を具体的に説明する。
【0041】
〔第1の実施例〕
まず、セラミック素原料として、平均粒径が2.0μm以下のSiO、BaCO、Al、B、Cr及びZrOを準備した。
【0042】
次に、表1に示す組成範囲の酸化物磁器組成物が得られるように前記セラミック素原料を調合、混合し、800〜1000℃で仮焼した。得られた仮焼物を粉砕媒体としてのジルコニアが内有されたボールミルで12時間湿式粉砕した。
【0043】
次に、この仮焼物に、有機バインダとしてのポリビニルブチラール樹脂、溶媒としてのトルエン及びエチルアルコール、可塑剤としてのフタル酸ジオクチルを添加し、ボールミルで湿式混合し、減圧下で脱泡処理を行ってセラミックスラリーを作製した。
【0044】
次いで、ドクターブレード法により前記セラミックスラリーをフィルム(PET)上で厚さ1.5mmに成形加工を施し、該フィルムを剥離し、所定の形状にカットしてセラミックグリーンシートを得た。
【0045】
そしてこの後、Cu粉末と有機ビヒクルとの重量比が80:20となるように導電性ペーストを調製し、前記セラミックグリーンシートの表裏両面に導電性ペーストを印刷し、次いで、N−Hの非酸化性雰囲気中、温度950〜1000℃で焼成処理を施し、Cu電極が付与された試料番号1〜26の試料を得た。
【0046】
次に、各試料の基板特性を求めた。
【0047】
すなわち、電気的特性として、周波数1MHzにおける静電容量及びQ値を測定し、静電容量に基づいて比誘電率(εr)を算出した。
【0048】
また、JIS R1601に準拠して3点曲げ強度試験を行い、機械的特性としての抗折強度を測定した。
【0049】
また、各試料のはんだ付け性を調べた、
すなわち、各試料を予め20秒間予熱し、Cu電極の表面に塩素系フラックスを付けた後、はんだ付けを行い、Cu電極の表面を目視で観察した。そして、Cu電極表面の90%以上がはんだで覆われているものをはんだ付け性「良」と判断し、90%に満たないものをはんだ付け性「不良」と判断した。
【0050】
表1は各試料の成分組成及び基板特性を示している。
【0051】
【表1】
Figure 0004449344
尚、表1中、○印ははんだ付け性が「良」の試料を示し、×印ははんだ付け性が「不良」の試料を示している。
【0052】
表1から明らかなように試料番号1は、Alの含有量が2.0重量%と過少であり、このため抗折強度が180MPaと低くなっている。また、試料番号2は、Alの含有量が65.0重量%であり、60.0重量%を超えているため、この場合も抗折強度が190MPaと低く、またQ値も900と低くなっている。
【0053】
試料番号3は、SiOの含有量が72.0重量%と過剰であり、また、試料番号4は、SiOの含有量が2.0重量%と過少であるため、いずれも焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、Q値が1000未満となって電気的特性の低下を招いている。
【0054】
試料番号5及び試料番号6は、BaOの含有量が40.0重量%を超えており、また、試料番号7は、BaOの含有量が2.0重量%と過少であるため、いずれも焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、Q値が1000未満となって電気的特性の低下を招いている。
【0055】
試料番号8は、Bの含有量が0.5重量%と過少であり、また試料番号9は、Bの含有量が34.0重量%と過剰であるため、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、Q値が1000未満となって電気的特性の低下を招いている。
【0056】
試料番号10は、Crの含有量が5.0重量%と過剰であり、また、試料番号11はCrを含有していないため、はんだ付け性が「不良」となった。
【0057】
試料番号12は、ZrOを含有していないため、抗折強度が190MPaと低い。また、試料番号13はZrOの含有量が主成分100重量部に対し1.00重量部と過剰であるため、焼結性が悪化して組織が十分に緻密化せず、このためQ値が600と低く、電気的特性の低下を招いている。
【0058】
これに対して試料番号14〜26は、Alを4.0〜60.0重量%、SiOを換算して4.0〜70.0重量%、BaOを4.0〜40.0重量%、Bを1.0〜30.0重量%、Crを0.3〜3.0重量%含有し、さらにZrOを主成分100重量部に対し0.05〜0.50重量部含有しているので、Q値が1000以上、抗折強度が200MPa以上となり、はんだ付け性を損なうこともなく、基板特性に優れた酸化物磁器組成物を得ることができる。
【0059】
〔第2の実施例〕
まず、セラミック素原料として、平均粒径が2.0μm以下のSiO、BaCO、Al、B、Cr、ZrO、CaCO、MgO、ZnO、及びSrCOを準備した。
【0060】
次に、表2に示す組成範囲の酸化物磁器組成物が得られるように前記セラミック素原料を調合、混合し、800〜1000℃で仮焼した。得られた仮焼物を粉砕媒体としてのジルコニアが内有されたボールミルで12時間湿式粉砕した。
【0061】
次に、第1の実施例と同様、この仮焼物に、有機バインダとしてのポリビニルブチラール樹脂、溶媒としてのトルエン及びエチルアルコール、可塑剤としてのフタル酸ジオクチルを添加し、ボールミルで湿式混合し、減圧下で脱泡処理を行ってセラミックスラリーを作製した。
【0062】
次いで、ドクターブレード法により前記セラミックスラリーをフィルム(PET)上で厚さ1.5mmに成形加工を施し、該フィルムを剥離し、所定の形状にカットしてセラミックグリーンシートを得た。
【0063】
次いで、N−Hの非酸化性雰囲気中、温度965〜1015℃で焼成処理を施し、試料番号31〜41の試料を得た。
【0064】
表2は試料番号31〜41の成分組成、焼成可能温度範囲及び温度幅を示している。
【0065】
【表2】
Figure 0004449344
尚、焼成可能温度範囲は、以下のように求めた。
【0066】
セラミック焼成時の焼成収縮率の挙動は、焼成温度の上昇に伴って所定温度までは大きくなり、焼成温度が前記所定温度を超えると焼成収縮率は低下する。
【0067】
そこで、本第2の実施例では、焼成収縮率が最大となる前記所定温度を最適焼成温度とし、該最適焼成温度である最大収縮率との差(絶対値)が0.5%以内の温度範囲を焼成可能温度範囲とし、また、焼成可能温度範囲の上限値と下限値との差を温度幅とした。
【0068】
この表2から明らかなように試料番号35及び41は、第2の副成分の総量が、主成分100重量部に対し5.0重量部と多く、このため試料番号31のように第2の副成分を添加しなかった場合と同程度の温度幅しか得ることができず、しかも焼成可能温度が1000℃以上に上昇することが分った。
【0069】
これに対し試料番号32〜34、及び36〜40は、主成分100重量部に対し3.0重量部以下の分量で含有されているので、焼成可能温度の上昇を招くこともなく、焼成可能温度の温度幅を20〜25℃に拡げることができることが分った。
【0070】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明に係る酸化物磁器組成物は、主成分としてAl、Si、Ba、B及びCrを含有した酸化物磁器組成物であって、前記主成分が、Al成分をAlに換算して4.0〜60.0重量%、Si成分をSiOに換算して4.0〜70.0重量%、Ba成分をBaOに換算して4.0〜40.0重量%、B成分をBに換算して1.0〜30.0重量%、Cr成分をCrに換算して0.3〜3.0重量%含有し、かつ、第1の副成分として、前記主成分100重量部に対し、Zr成分をZrOに換算して0.05〜0.5重量部含有しているので、はんだ付け性を損なうこともなく、抗折強度や、比誘電率、Q値等の電気的特性を向上させることができ、小型化・薄層化されたセラミック多層基板に使用した場合であっても基板特性の優れたものとなる。
【0071】
また、本発明の酸化物磁器組成物は、第2の副成分として、前記主成分100重量部に対し、Mg、Ca、Zn、及びSrの中から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれMgO、CaO、ZnO及びSrOに換算して総計で3重量部以下含有しているので、セラミック多層基板の製造過程における焼成可能温度範囲を拡くすることができ、これにより焼成炉の温度変動による不良品の発生を低減することが可能となり、セラミック多層基板の製品歩留まりの向上を図ることができる。
【0072】
また、本発明に係るセラミック多層基板は、複数のセラミック層が積層されてなるセラミック素体に内部導体が埋設されたセラミック多層基板であって、前記セラミック層が上記酸化物磁器組成物で形成されているので、比誘電率やQ値が良好で、優れた抗折強度を有し、はんだ付け性を損なうことのないセラミック多層基板を高効率で得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るセラミック多層基板の一実施の形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1 セラミック層
4 内部導体

Claims (3)

  1. 主成分としてAl、Si、Ba、B及びCrを含有した酸化物磁器組成物であって、
    前記主成分が、Al成分をAlに換算して4.0〜60.0重量%、Si成分をSiOに換算して4.0〜70.0重量%、Ba成分をBaOに換算して4.0〜40.0重量%、B成分をBに換算して1.0〜30.0重量%、Cr成分をCrに換算して0.3〜3.0重量%含有し、
    かつ、第1の副成分として、前記主成分100重量部に対し、Zr成分をZrOに換算して0.05〜0.5重量部含有していることを特徴とする酸化物磁器組成物。
  2. 第2の副成分として、前記主成分100重量部に対し、Mg、Ca、Zn、及びSrの中から選択された少なくとも1種の元素を、それぞれMgO、CaO、ZnO及びSrOに換算して総計で3重量部以下含有していることを特徴とする請求項1記載の酸化物磁器組成物。
  3. 複数のセラミック層が積層されてなるセラミック素体に内部導体が埋設されたセラミック多層基板であって、
    前記セラミック層が請求項1又は請求項2記載の酸化物磁器組成物で形成されていることを特徴とするセラミック多層基板。
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